【共有持分の相続】手続きの流れと売却時の注意点を詳しく解説!

共有持分

共有持分も相続財産に含まれます。したがって、遺産分割協議の対象です。

そのため、共有持分の相続が発生したときに、どのような手続きをすればよいか、どのような相続方法があるのか疑問を抱く人も少なくありません。

相続の方法は大きく3つのパターンに分かれ、その1つに換価分割としての売却があります。

この記事では、共有持分の相続が発生したときの流れと売却して現金を分割すると決めた時の流れ、注意点を解説します。

共有持分の相続が発生したときの流れ

相続 流れ
共有持分を相続するとき、単独所有の不動産を相続するときと同様に、名義を変更する相続登記が必要です。また、相続財産ですので、相続税を納める必要もあります。

具体的には次のような流れで手続きを進めます。

  1. 遺言書を探す
  2. 遺産分割協議
  3. 相続登記
  4. 相続税を納める

①遺言書を探す

被相続人が遺言書を残していたかどうかで、その後の手続きが変わります。そのため、まずは遺言書を探しましょう。

自宅に置かれているケースが多いですが、弁護士や司法書士のような専門家が保管している可能性もあります。そのような専門家の名刺や連絡先の有無を確認してみましょう。

それでも見つからない場合、公正証書遺言が作成されている可能性も考えてみてください。

公正証書遺言があるかどうかは、公証役場に戸籍謄本や身分証明書などの書類を持参することで照会を申し出ることが可能です。

また、遺言書は公正証書遺言を除き、開封するときには家庭裁判所で検認手続きが必要です。正当な手続きに従わずに開封した場合、開封者が罰則を受ける可能性があるので注意してください。

遺言書が見つかれば原則、遺言書の内容に従って遺産を分割するので、遺産分割協議は不要です。そのまま相続登記・相続税の納税の手続きを進めてください。

②遺産分割協議

相続人が複数人いるにもかかわらず遺言書が見つからなかったり、遺言書はあっても共有持分について記されていなかったりした場合、遺産分割協議によってどのように遺産を分けるか協議する必要があります。

遺産分割協議で大切なことは、相続人全員が協議の内容に同意していることです。連絡が取れないからといって相続人が不足した状態で遺産分割協議をおこなっても無効となるので気をつけてください。

また、遺産分割協議書の作成には実印と印鑑証明書が必要です。遺産分割協議書の書式に規定はありませんが、記載必須の項目などはあります。

遺産分割協議書の作成に疑問や不安がある場合、弁護士や司法書士などの専門家に相談するとよいでしょう。

③相続登記

遺産分割協議が完了したら相続登記をおこないます。相続登記は共有持分の名義人を被相続人から相続人に名義変更する手続きです。

相続登記では登記申請書を作成し、添付書類として登記原因証明情報と住所証明書・評価証明書を準備します。

この登記原因証明情報が、遺産分割協議書となります。遺言書がある場合は、遺言書です。また、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書も必要です。

登記申請書は、個人でも作成は可能ですが手間がかかります。さらに、誤りがあると繰り返し修正しなければなりません。

そのため、費用はかかりますが、司法書士などの専門家に任せたほうが手間もなく確実に書類を作成できます。

④相続税を納める

共有持分は相続財産なので相続税もかかります。実際に納める相続税額は他の取得した相続財産にかかる相続税と各種控除によって変わりますが、相続した共有持分に対する相続税額は下記のように算出します。

①対象不動産の価額を算出する
②相続した共有持分の割合を掛ける

さらに、状況によっては小規模宅地等の特例が適用されて、相続税を大きく抑えることもできるので、相続税額を計算するときには一度、税理士などの専門家に相談してください。

自分が被相続人の配偶者であれば1億6,000万円まで非課税です。ただし、配偶者の税額軽減を受けるためには、手続きが必要なので忘れずに必要書類を提出しましょう。

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共有持分を相続するときの3パターン

分割
ここまで共有持分を相続するときの基本的な流れについて解説してきました。次に、共有持分を相続するときの3つの分割方法を解説します。それが以下の通りです。

  1. 現物分割
  2. 代償分割
  3. 換価分割

現物分割

現物分割は共有持分を相続人が共有して相続する分割方法です。

たとえば、
「相続対象は持分2分の1」
「相続人は子供3人のみ」
「配偶者にあたる妻・夫はいない」

とします

このとき、相続人それぞれが共有不動産の持分6分の1を相続することになります。したがって、現物分割では共有持分は細分化されて相続されます。

共有持分をさらに共有して相続することで権利関係がより複雑になるため、共有不動産の取り扱いを巡ってトラブルに発展する可能性が高いといえます。

しかし、遺産分割協議がまとまらず「どうしようもないからとりあえず共有で相続する」ことが多いのが実情です。

また、現金や車などの相続財産があったときには話し合いで「Aさんが車」「Bさんが現金」「Cさんが共有持分すべて」のような遺産分割に決めることも現物分割に該当します。

代償分割

代償分割は相続人のうち特定の1人が持分をすべて相続することです。このとき、他の相続人には、持分をすべて相続する人から持分に応じた現金が支払われます。

たとえば、
「相続人はA・B・Cの3人」
「相続財産は共有不動産の持分2分の1のみ」
「不動産全体の評価額を3,000万円」

だとします。

代償分割によって代表してAがすべての持分を相続すると決めた場合に、AはB・Cに対して持分6分の1に相当する現金(500万円)を支払います。

このような手続きを踏むことにより、A・B・Cはそれぞれ法定相続分に基づいた財産を相続できます。

ただし、共有持分を相続する人は多額の現金が必要になることがほとんどです。また、相続後も共有持分であれば、その土地・建物を自由に使用できるわけではありません。

そのため、対象の不動産に住んでいるということでなければ、権利トラブルを避けるためにも、換価分割を検討するとよいでしょう。

換価分割

換価分割は共有持分を売却した代金を相続人で分配する分割方法です。この方法であれば、持分を取得しないので、共有不動産のトラブルに巻き込まれることはないでしょう。

また、売却代金から分割されるので、自分や他の相続人に現金がなくても問題ないです。持分を売却して得た現金を分割するため、単純な方法だといえます。

ただし、共有持分の売却は単独名義である通常の不動産売却に比べて難しいことがデメリットです。

換価分割しようにも持分のみの売却に時間がかかったり、売却価格が安いことで相続人の間で意見が合わないなどの可能性もあります。

共有持分を売却する場合の流れ

売却
共有持分を換価分割するために売却することになったときの流れは次のとおりです。

  1. 遺産分割協議で換価分割に合意する
  2. 必要書類を集める
  3. 不動産業者に売却を依頼する
  4. 売買契約を結ぶ
  5. 決済・引き渡しをおこなう

①遺産分割協議で換価分割に合意する

共有持分を売却する場合、共有不動産の変更行為となるので、相続人全員の合意が必要です。相続人が1人でも反対してしまうと換価分割の手続きを進めることはできません。

そのため、まずは遺産分割協議で共有持分を換価分割することに対して相続人全員の合意をとることが大切です。

②必要書類を集める

共有持分を売却すると決まったあとは、必要書類を集めます。詳細は不動産業者に確認すると確実ですが、少なくとも以下の書類が必要です

  • 権利証または登記識別情報
  • 固定資産税納税通知書
  • 土地測量図
  • 登記簿謄本
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続人全員の住民票

これらの書類すべてが、売却活動を始める前に必要というわけではありませんが、買主が見つかったときに滞りなく手続きを進められるように前もって準備しておくとよいです。

③不動産業者に売却を依頼する

共有持分の売却では「自由にリフォーム・リノベーションできない」「見知らぬ人と住居を共にする可能性がある」などの理由があるため、住宅目的で持分を取得する買主はあまりいません。

そのため、買主の候補となるのは、
・他の共有名義人
・個人投資家
・不動産買取業者

です。

このうち、他の共有名義人であれば親族であることも多いです。そのような関係にある相手との売買では不動産業者に仲介を依頼する必要性を感じないかもしれません。

しかし、近い関係だからこそ売買条件などの取り決めが曖昧になってしまう恐れもあります。そのため、不動産業者に仲介を頼んだほうがトラブルを避けられるでしょう。

ただし、依頼する不動産業者はどこでもいいわけではありません。

共有持分の取引に慣れていない業者に依頼してしまうと「途中でトラブルになって手続きが思ったように進まない」「なかなか購入希望者が見つからない」「不必要な値下げを要求される」などのケースが考えられます。

依頼するときには、共有持分の売買の実績があるかを確認するようにしましょう。

④売買契約を結ぶ

購入希望者が見つかり、価格交渉も完了したら売買契約を結びます。不動産会社に仲介を依頼している場合、売買契約書は準備してもらえます。

そして、共有持分の売買契約を結ぶときには、相続人全員の立ち会いが必要です。

仕事や家庭で忙しかったり、遠方に住んでいたりして立ち会いが難しい場合には、代表者を立てたり、代理人に委任することもできます。

どちらにしろ立ち会いが難しい人の権限を委任する形になるので、委任状が必要です。忘れずに作成してください。

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⑤決済・引き渡しをおこなう

売買契約を結んだあとは、代金の決済・引き渡しです。決済のときには、共有持分の所有権移転登記もおこないます。

共有持分の名義人は、相続登記によって被相続人から相続人に変更しておく必要があります。

換価分割が前提だから、相続登記は不要と思われるかもしれませんが、手続き上、共有持分の名義人を被相続人から買主に直接移転されることはできません。

買主が見つかっても、相続登記ができていない場合、決済まで期間があくことになります。

手続きが滞ってしまうので、遺産分割協議書の作成が完了したら速やかに、相続登記まで完了させるようにしましょう。

共有持分を売却するときの注意点

注意点
最後に、共有持分を売却するときの注意点を3つ解説します。

  1. 売却には相続人全員の同意が必要
  2. 売却価格の不一致でトラブルになりやすい
  3. 共有持分のみの買主は見つけにくい

売却には相続人全員の同意が必要

相続が発生して相続財産の1つである共有持分を売却には、相続人全員の同意が必要になります。

遺産分割協議で誰が、どの割合で共有持分を相続するか決まらない限り、共有持分は相続人全員のものです。

そのため、連絡が取れる・取れないにかかわらず、相続人のうち1人でも、売却に賛成していなければ、売却できません。

売却価格の不一致でトラブルになりやすい

共有持分の売却は、相続人全員の同意を持って進められます。相続人全員が必要になるのは、売却活動を始めるときだけではありません。

実際にいくらで売却するかを決めるときも同様です。しかし、相続人によって希望はさまざまあります。

たとえば、
「できるだけ高く売却したい」
「できるだけ早く売却したい」
「とりあえず共有持分のまま相続する状況を避けたい」

などです。

特に、お金を重視することとスピードを重視することの両立は難しく、相続人同士でも話がまとまらずにトラブルになっていることも多いです。

そのため、金額で他の相続人とトラブルにならないためにも、売却活動を始める前に相続人の間で「最低何円だったら売却に同意する」という最低売却価格を決めておくとスムーズに手続きを進められます。

共有持分のみの買主は見つけにくい

一般的な不動産と異なり、共有持分のみの売却活動では買主は見つかりにくいです。共有持分のみを取得しても、その不動産を買主が自由に使用できるわけではないからです。

そのため、換価分割したいのに買主が見つからないからできない、と悩まれる人もいます。そのことを理解して、時間をかけてでも買主を見つけるか、買取業者に売却するか選ぶようにしましょう。

まとめ

共有持分を相続するときは、現物分割・代償分割・換価分割の3つの分割方法によって必要な対応は異なります。

そのため、遺産分割協議では、どのような形で共有持分を相続するか決めることが一番です。

そして、換価分割となったときには、相続登記も忘れずにおこなってください。そのほか共有持分の売却では注意するべきポイントもあります。

スムーズに売却を完了させるためにも、共有持分の取引実績が豊富な不動産業者に相談することが大切です。

最終更新日:
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