共有者が海外に住んでいる場合の共有名義不動産の売却方法

海外共有名義

ただでさえ処分が難しいと言われている共有名義不動産。共有者の中で海外に住んでいる方がいる場合、売却が難しくなるのではないかと不安に思われているかもしれません。

ですが、安心してください。
共有者が海外に住んでいる場合でも問題なく、共有名義不動産の売却はできます
ただし、売却で必要な書類や手続きが通常の不動産売却とは異なるので注意してください。

では、どのように共有名義不動産を売却すればよいのでしょうか。

具体的な方法と売却後の税金と確定申告について以下の流れで解説します。

  1. 共有者が海外に住んでいる場合の共有名義不動産の売却方法
  2. 海外在住の共有者が不動産売却をしたときの税金と確定申告
  3. 海外在住の共有者が不動産を賃貸として貸し出す場合はどうすればいいのか?

これを読めば、共有者が海外に住んでいる場合でもスムーズに共有名義不動産の売却を進められるようになるでしょう。

共有者が海外に住んでいる場合の共有名義不動産の売却方法

海外共有名義
共有名義不動産を売却するときは原則、すべての共有者が売買契約に立ち会います
そのため、共有者が海外に住んでいる場合はまず、共有者本人が立ち会えるかどうかを確認します。
立ち会いが難しい場合は、代理人を立てることになります。

それぞれの場合の売却方法は下記の通りです。

本人が立ち会いできる場合

本人が契約に立ち会いできる場合、基本的に通常の共有名義不動産を売却する流れと変わりません。そのため、売却の手順については特別気にすることはありません。

異なるのは必要書類です。

不動産を売却するときには印鑑証明書や住民票が必要になります。
しかし、海外に住んでいる場合は当然ですが、住民票はありません。
そして印鑑証明書の発行には住民票が必要となるので、印鑑証明書も発行できません。

したがって、海外居住者は別の方法で同等の書類を準備する必要があります。

それが、在留証明書とサイン証明書です。海外の日本大使館などの在外公館で取得することができます。

(1)在留証明書

在留証明書は、海外に住んでいる方の住民票のようなものです。
現在、どこに住所があるかを証明します。

注意点として、在留証明書の発行は在外公館のみで発行されているもので、日本国内で手に入れることはできません。

ただ万が一、在留証明書を取得せずに日本に戻ってきた場合は、担当する不動産会社の担当者に相談してください。
現地公的機関が発行した納税証明書、公共料金の領収書、現地の運転免許証などが、在留証明書の代わりとして認められる可能性があります。
ただし、認められるかどうかは不動産会社次第です。

ですので、海外に住んでいる本人が、共有名義不動産の売却の場に立ち会えるときには、忘れずに在留証明書を取得してから帰国するように伝えてください

(2)サイン証明書

サイン証明書は、海外に住んでいる方の印鑑証明書のようなものです。
本人の署名と拇印がたしかに領事の目の前で行われたことを証明します。

そして証明の方法は2種類あります。
1つが、在外公館が発行する証明書と本人が領事の目の前で証明した私文書を綴り合せて割り印を行うものです。
もう1つが、本人の署名を単独で証明するものです。

共有名義不動産を売却するときには、割り印を行う方法で証明する必要があります。

具体的には、売渡承諾書や司法書士への委任状を、海外に在住している共有者へ送ります。そして、本人が在外公館へ書類を持っていき、領事の目の前で署名と拇印をして、サイン証明書と綴り合せて割り印を行います。

領事の面前で署名と拇印を行わなければならないので、売渡承諾書などへも事前に署名してはいけません。もし、事前に署名してしまった場合は、その署名を抹消したあと改めて、領事の面前で余白に署名と拇印をすることになります。

代理人をたてる場合

共有者が売買契約を交わす場に立ち会いできない場合は、代理人を立てる必要があります。
このとき、共有者本人の在留証明書、サイン証明書以外に代理権限委任状も用意します。

この委任状は、代理人がたしかに不動産売買契約を交わすときに、本人に代わる権利を持っていることを証明する書類です。
そうはいっても、代理人が自由に価格を決めて売却できてしまっては大変です。
本人が望まない価格や条件で売却されてしまうかもしれません。

そこで、委任状を作成するときには、代理人が行使できる権利の範囲も記載することが大切です。
委任状に特定の書式はありません。また、インターネットで検索すればテンプレートを見つけることもできます。
しかし、最も安心なのは、信頼できる不動産会社や弁護士や司法書士などの専門家に委任状を作成してもらうことです。

そして、ご自身と共有不動産の状況に合わせて、契約の場に立ち会わなくても滞りなく売却を進められる範囲を相談しながら決めるようにしましょう。

また、委任する代理人に制限はありません。ですが、不動産売却は共有名義であっても大金が動きます。
安心して任せるためにも、信頼できる家族や親族、それが難しければ弁護士や司法書士などの専門家を代理人に選ぶのがおすすめです。

海外在住の共有者も持ち分のみを売却できる

ここまで共有者全員が同意して売却する全部売却を前提にお伝えしましたが、
「在留証明書」、「サイン証明書」、「代理人を立てる場合は代理権限委任状」を用意することで、海外在住の共有者が自分の持分のみを売却する一部売却も可能です。

ただし、持分のみの売却となると取得しても使いみちが限られるため、一般の個人の方には売却できません。
その結果、投資家か買取業者に売り先は絞られます。
しかし、売主が国外在住で日本の非居住者の場合、源泉徴収など購入時の手間が増えるので購入を避けられがちです。

ですので、海外に住んだまま持分のみを売却したいときは事前に不動産会社へ対応可能かどうか確認するようにしてください。

本サイト「イエコン」を運営する株式会社クランピーリアルエステートでも買取を行っております。

弊社の「不動産スピード買取窓口」に依頼をして頂くと最短48時間以内という早さで現金化が可能なだけでなく、税理士や弁護士を中心とした士業とのネットワークを活かし、共有者が海外に住まれているような複雑な物件も柔軟に買い取ることができます。

共有持分の売却をご検討の方は、お気軽にご相談ください。

海外在住の共有者が不動産売却をしたときの税金と確定申告

確定申告
海外在住であっても、日本の国内で発生した「国内源泉所得」については日本の所得税が課税されます。

つまり、海外在住の共有者が不動産を売却したときに得られる所得は譲渡所得として、日本の所得税の対象となり、確定申告が必要です。

この場合の譲渡所得と所得税の計算方法は、日本に住んでいる方と同じ計算方法になります。また譲渡税のうち、国内非居住者は日本に住所を持たないので住民税は課税対象外です。

具体的な納税手順は次のとおりです。

(1)所得税額を計算する

まずは、共有名義不動産を売却したときにかかる所得税額を計算します。
所得税は利益に対してかかるので、売却金額から取得費と売却にかかった費用、特別控除を差し引いてプラスになった場合が所得税の課税対象額です。

また、相続によって不動産を取得した場合の取得費は、その亡くなった方が不動産を購入したときの購入代金や購入手数料をもとに算出されます。
ただ実際は取得費がわからないことも多く、その場合は、売却金額の5%相当額を取得費として計算します。

譲渡所得税は、その対象不動産の所有期間に応じて税率が異なります。
売却した年の1月1日時点での所有期間が5年を超えている場合、税率は長期譲渡所得が適用されて15%です。
5年未満の場合は短期譲渡所得となり、税率は30%となります。

この所有期間について、相続によって取得したときには亡くなった方が取得した時期をそのまま引き継ぎます
つまり、すでに20年所有された不動産が相続で共有名義不動産となり、翌月に売却したとしても、所有期間は20年として所得税額は計算されるというわけです。

相続してすぐに売却すると短期譲渡所得になるのではないかと不安に思われる方も多いですが、そのようなことはないので安心してください。

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(2)納税管理人を選出する

国内に住所を持たない海外在住者が確定申告を行うには、納税管理人を選任する必要があります。
納税管理人は、海外在住者に代わって日本の税務署へ確定申告書の提出をしたり、税金を納めたり、税務署からの連絡を受けたりする人のことです。

納税管理人は個人だけでなく、法人も認められています
そのため、たとえば親族との関係が悪く納税管理人を頼めない場合には、会計事務所や税理士事務所も指定できます。

そして、納税管理人を決めたら、その方の納税地を所轄する税務署長に「所得税の納税管理人の届出書」を提出します。
届出書提出後は、納税管理人へ税に関する連絡、書類は届くので、必要に応じて連絡を受けるようにしてください。

(3)確定申告をする

確定申告は、売却した翌年2月16日から3月15日までです。
この期限内に共有名義不動産の売却で得た所得を計算して確定申告を行い、所得税を納めます。

源泉徴収される場合もある

海外在住者が不動産を売却するとき、その買主は購入代金から源泉徴収をして納付しなければならない場合があります。
これは海外在住者が日本国内で所得を得たのに、そのままお金を海外に持ち出して確定申告しないことを防ぐための対策です。

源泉徴収の必要がないのは、下記の3つの条件を満たしているときだけになります。

  • 買主が個人
  • 買主の本人または買主の親族の居住用
  • 共有者の持分に応じた売却価格が1億円以下

このうち、共有名義不動産が大豪邸でもなければ、持分に応じた売却価格が1億円を超えることはまずないと思います。

ですが、たとえば、共有名義不動産の買主がなかなか見つからずに不動産会社へ買取を依頼することになったり、買主が不動産投資を目的として購入したりする場合には、支払価格の10.21%相当額が源泉徴収されます。

源泉徴収をして納税する義務は買主側にあるので、手続きについて特に心配する必要はありませんが、海外在住者が受け取れる金額は、譲渡価額に持分を掛けた金額よりも少なくなることに注意してください。

また源泉徴収された金額が計算した所得税よりも多かった場合には、確定申告することで還付を受けることができます
そのため、源泉徴収されている場合には、たとえ共有名義不動産の売却で所得税がかからなかったとしても納税管理人を選び、確定申告するようにしてください。

海外在住の共有者が不動産を賃貸する場合はどうすればいいのか?

海外共有名義
共有名義不動産が土地の場合は5年、建物の場合は3年以内であれば賃貸借契約は管理行為とみなされて、持分割合で過半数の同意を得られれば全員の同意は必要ありません

ですが、この期間を超えて貸し出す場合には共有者全員の合意が必要となります。
このことは、共有者が海外在住であろうと、国内在住であろうと変わりません。

そのため、共有者が海外在住であっても、共有名義不動産を貸し出す方法は次のように同じです。

  1. 賃貸借契約の期間に応じて共有者の過半数または全員の同意を得る
  2. 周辺相場から賃料を決める
  3. 税金や管理費などの支出も考慮して、収支を考える
  4. 不動産会社に賃料の査定を依頼する
  5. 不動産管理会社に入居者の募集や管理を依頼する
  6. 賃貸条件を決めて入居者募集を始める
  7. 入居申込者の審査をして賃貸借契約を結ぶ
  8. 賃料から諸経費を引き、共有者で分配する

ただし、売却するときと同じように税金については注意が必要です。

賃料が源泉徴収された金額で振り込まれる場合がある

海外在住の方が不動産を貸し出すときには、確定申告漏れを防ぐために一定の条件に従って借主は源泉徴収して、その金額を税務署に支払う義務があります。

一定の条件というのは、「借主が法人」、「借主本人または借主の親族の居住用以外」のどちらかです。

たとえば、借主が個人であっても、その借主が自分ではない第三者を住まわせたり、誰かに賃貸物件として貸し出したりする場合には、賃料の支払い時に源泉徴収されます。

源泉徴収額は賃料の20.42%です。
持分割合に応じた金額が源泉徴収の対象となるので、海外在住の共有者の持分が3分の1で、賃料が9万円だった場合は、3万円が源泉徴収の対象となります。
そのため、受け取れる金額は3万円から源泉徴収を引いた79.58%、23,874円です。

もちろん確定申告をして、源泉徴収された金額より所得税額の方が少なければ、その分は還付されるので安心してください。
海外在住者が確定申告をするときには、納税管理人を選出して、その人が行うことになるので忘れずに決めておきましょう。

まとめ

以上、共有者が海外に住んでいる場合の共有名義不動産の売却方法と税金について解説してきました。

まとめると、以下のようになります。

  • 非居住者は在留証明書とサイン証明書が必要
  • 本人が契約に立ち会えない場合は代理人を立てる
  • 確定申告は納税管理人を選出して行う
  • 売却条件によっては売却価格から源泉徴収される可能性がある
  • 賃貸として貸し出す場合も源泉徴収される可能性がある

共有者が海外に住んでいる場合、必要書類が日本にいる方と異なりますが正しく準備することで問題なく共有名義不動産を売却できるので安心してください。

納税の手続きなど複雑に感じるかもしれないので、売却する前に、不動産会社や司法書士、税理士などの専門家へ相談するのもおすすめです。

最終更新日:

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