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離婚時に親名義の家が財産分与の対象になる3つのケース!注意点も詳しく解説

離婚時に親名義の家が財産分与の対象になる3つのケース!注意点も詳しく解説

夫婦が離婚によって財産分与をおこなう際は、原則として夫婦で1/2ずつ財産を分け合います。しかし親から資金援助を受けるなどで、夫婦と親の共有名義になっているケースがあります。離婚するときに、財産分与で「親の名義がある不動産」をどのように取り扱うべきかわからない人も多いでしょう。

財産分与の対象は、原則として「夫婦の共有財産」のみです。親の名義分は除いて財産分与を行います。

親と夫婦の共有名義になっている家の場合、夫婦それぞれの所有割合に応じて財産分与がおこなわれます。「親が土地」「自分が家」といった土地と建物で所有者が異なる場合は、夫婦所有の財産が財産分与の対象です。

「土地は親名義、家は夫婦名義」とはっきり分かれている場合もありますが、1つの不動産に親と夫婦の名義が混ざっている場合、財産分与が難しくなります。

離婚時の不動産に関してトラブルとなっているときは、売却して清算するのが手っ取り早く確実な解決方法です。ただし、親と共有名義だと家の売却が難しいケースがあります。売却が難しいときは、「家を取得しない側に代償金を支払って財産分与が1/2ずつになるように調整する」などの方法での対応がおすすめです。

売却時の注意点としては、税金が発生する点が挙げられます。売却額が高くなるほど発生する税金も高額になるため、「いくらかかるのか」「どのような税金がかかるのか」を事前にチェックし、納税を前提としたキャッシュフローを考えておきましょう

また財産分与をおこなうために家を売却する際は、財産分与後にいくらずつ受け取るのか金額を事前に計算しておくのがおすすめです。あらかじめ計算しておくことで、金額についてのトラブルなく、納得感のある財産分与が可能となります。

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離婚時でも親名義単独である家だけなら財産分与の対象外

離婚時の財産分与は「対象になる財産」と「対象にならない財産」があります。これは現金や預貯金だけでなく、不動産や車などの財産にも共通の考え方です。

まずは対象となる財産とならない財産について説明します。

「親の単独名義である家」だけなら財産分与の対象にならない

結論からいうと、親名義の家だけなら、財産分与の対象になりません。

財産分与の対象となる「共有財産」および、財産分与の対象にならない「特有財産」のいずれにも該当しないからです。

その理由として、親の単独名義の家は、夫婦が協力して形成した財産ではない点が挙げられます。また、親名義ということは親が所有している家であり、離婚時の夫婦の財産分与には関係しません。

婚姻前に夫婦のどちらか一方が所有したというものでもないので特有財産にもなりません。そのため原則、親名義の家は財産分与の対象にはならないのです。

財産分与の対象となる共有財産とは

一般的に財産分与とは、離婚時や離婚後に夫婦の財産を分けることやどちらか一方が相手に財産を分ける旨を請求することをいいます。

しかし、夫もしくは妻が所有しているすべての財産を分けるわけではありません。財産分与の対象となる財産とは「共有財産」のみです。

共有財産とは夫婦が婚姻中に協力して形成した財産のことをいいます。夫婦が婚姻中に協力して形成した財産であれば財産の種類に制限はありません。

現金や普通預金、定期預金などの預貯金だけでなく、株式などの有価証券、車、不動産などすべての財産が財産分与の対象となります。

妻が専業主婦であっても婚姻中に取得した財産であれば、夫婦が協力して形成した財産だとみなされます。そのため、不動産や車などの名義は関係ありません。

離婚の際に入手したい財産がある場合、まずはその財産が共有財産に該当するのか確認することが大切です。

財産分与の対象とならない特有財産とは

一方で、財産分与の対象にならないものを「特有財産」といいます。特有財産とは婚姻中に協力して形成した財産ではないもののことです。

代表的なものは夫や妻が結婚前に購入した財産です。これは婚姻中に協力して形成した財産ではないため特有財産になります。

また、どちらかの親や親族などが死亡して相続した財産についても、婚姻中に協力して形成した財産とはいえないため特有財産になります。

原則、特有財産は財産分与がおこなわれないため、離婚時に入手することが困難です。

親名義の家が財産分与の対象となる3つのケース

前の項目で説明したように、親名義の家は「共有財産」と「特有財産」のどちらにも当てはまらないため、財産分与の対象にならないとされています。

しかし、ケースによっては財産分与できることもあります。そのケースが以下の通りです。

  • 家が親と共有名義になっている
  • 親名義の土地に家を建てている
  • 夫婦名義の土地に親名義の家を建てている

次の項目からそれぞれのケースについて詳しく解説します。

また、離婚時に財産分与で家を分ける方法については以下の記事でもわかりやすく解説しているため、参考にすることでより理解が深まるでしょう。

家が親と共有名義になっている

夫婦2人の資金だけでは家を購入できない場合や住宅ローンを組めない場合などがあり、夫婦の親から資金援助をしてもらうことも考えられます。

このような場合、夫婦と親の共有名義になっており、夫婦が負担した購入金額の割合のみが財産分与の対象となります。

例えば、父親と夫婦で1/2ずつ負担して家を購入したとします。また、その家における時価は土地・建物合わせて4,000万円だとすると、財産分与できる金額は以下の通りになります。

■夫婦の所有部分の時価
夫婦の所有部分=家の時価4,000万円×所有割合1/2=2,000万円

この2,000万円を夫婦で1/2ずつ財産分与することになった場合、1人あたりの財産分与額は以下の通りです。

■1人あたりの財産分与額
1人あたりの財産分与額=夫婦の所有部分の時価2,000万円×1/2=1,000万円

もし夫婦のどちらかが家を売却せずにそのまま住み続けたいという場合、他の所有者に金銭を支払うことで家を取得可能なこともあります。

上記の例であれば、親に所有分の2,000万円、夫(または妻)に所有分の1,000万円を支払うことにより単独名義で所有できるかもしれません。

親名義の土地に家を建てている

親が所有している土地の上に夫婦名義の家を建てていることも考えられます。言い換えると、土地は親名義で家は夫婦の名義であるということです。

このようなケースでは、家のみが財産分与の対象となり夫婦それぞれが所有している割合に応じて分与される金額が決定します。

例えば、評価額1,000万円の建物に対して「夫が7割」「妻が3割」の割合で所有しているとすると、財産分与額は以下の計算になります。

■夫の財産分与額
建物の時価1,000万円×70%=700万円

■妻の財産分与額
建物の時価1,000万円×30%=300万円

正確な財産分与額を決定するためにも、夫婦それぞれがどのくらいの割合で家を所有しているのかしっかりと把握しておくとよいでしょう。

共有持分について

共有持分とは、共有不動産における「共有者ごとの所有権割合」を表したものです。

たとえば夫が2/3の共有持分をもっている場合、財産分与で折半すると夫2/6、妻2/6の割合で分割することになります。

共有持分が発生している不動産は、原則として共有名義となっています。共有持分がある不動産は管理・売却などをおこなう際、ほかの共有者の同意を得なければなりません。

財産分与や相続時には、共有持分が原因でトラブルが複雑化する可能性もあります。

夫婦名義の土地に親名義の家を建てている

土地と建物(家)が別の所有者になっているもう1つのケースとして、土地が夫婦名義・家が親名義になっているということも考えられます。

このようなケースでは、土地のみが財産分与の対象となります。財産分与額の算出方法は「親名義の土地に家を建てている」場合と同じです。

例えば、評価額2,000万円の土地を「夫が7割」「妻が3割」の割合で所有しているとすると、それぞれの財産分与額は以下の通りです。

■夫の財産分与額
土地の時価2,000万円×70%=1,400万円

■妻の財産分与額
土地の時価2,000万円×30%=600万円

夫婦名義の土地に親名義の家を建てているケースでは、財産分与をおこなう際にトラブルが起こりやすいでしょう。

その理由は、第三者に土地を売却することで親に対して立ち退きを要求されてしまい、住居を失ってしまう可能性があるからです。

そのため、財産分与時には「夫婦どちらかが他方の土地の所有分を買い取る」「親が住む場所を見つけてから売却する」など親の生活を考慮しながら全員が納得できるように協議することが大切です。

離婚時に親名義の家を財産分与する場合の3つの注意点

注意点

離婚時に親名義の家を財産分与する場合、注意点が3つあります。それが以下の通りです。

  • 家の売却が難しいケースがある
  • 不動産の売却や贈与には税金がかかる
  • 土地を貸すと不動産所得として税金がかかる

次の項目からそれぞれの注意点についてわかりやすく解説していきます。

家の売却が難しいケースがある

親と夫婦が共有名義になっている家の場合、売却が難しいケースがあります。そのケースが以下の通りです。

・親と共有名義になっている
・土地と家の所有者が異なる

次の項目からそれぞれのケースについて解説します。

親と共有名義になっている

共有名義の不動産は共有者全員の同意がないと売却ができません。

例えば、土地や建物が親と夫婦の共有名義になっている場合、親の同意がなければ家を勝手に売却できないということです。

もし家や土地を売却して財産分与したいのであれば、親や配偶者としっかりと話し合うことが大切です。

話し合ったとしても、売却の同意が得られなかったりなかなか協議が進まないという場合は不動産に関わる法律に詳しい弁護士に相談することが大切です。

親と共有名義になっている不動産の場合は、以下の対処法が考えられます。

  • 離婚後も親の実子や嫁・婿がその家に住み続ける
  • 家と土地をどちらも売却する
  • 家を取得しない側に代償金を支払い財産的価値が1/2になるようにする

離婚後も親の実子や嫁・婿がその家に住み続ければ、売却や管理関係に対応せずとも、現状維持のまま不動産を残せます。住宅ローンが残っていても、離婚時にその債務の取扱いを整理しておけば、問題なく住み続けられるでしょう。

もし親との話し合いがまとまれば、家も土地も一緒に売却してしまうのも手です。借地権、共有人の権利関係などをすべて手放してお金に変えれば、その後の財産分与も楽になるでしょう。

金銭で解決できるなら、不動産を取得する側が取得しない側に、不動産の代わりとして代償金を支払って解決する方法もあります。「一方が不動産2,000万円分をもらう代わりに、金銭+財産的価値のあるもの合計2,000万円」とすれば、財産分与1/2ずつが成立します。

土地と家の所有者が異なる

土地と家の所有者が異なる場合、建物の所有者が土地を借りることになります。土地と建物(家)が別の所有者になっているケースでは、不動産の売却が難しくなるといわれています。

例えば、土地が親名義で建物が夫婦名義である場合、夫婦はその上にある建物だけを売却することになりますが、土地付きでない建物の需要は土地付きのものに比べて低いです。

また、前の項目で説明したように、土地が夫婦どちらかの名義、家が親の名義になっているケースでは、親の生活のことを考慮に入れた財産分与の協議が必要になります。

この他にも住宅ローンを完済できない場合、不動産に設定された抵当権を抹消できないため売却できないこともあります。

もし住宅ローンを完済できないのであれば、不動産会社へ依頼して任意売却をするなどの手段を検討することも大切です。

不動産の売却や贈与には税金がかかる

家やマンションなどの不動産の財産分与では、売却により不動産を現金化してから分与することが多いといわれています。

ただし、売却利益に対して税金がかかることに注意しなければいけません。

物件の利用目的や保有年数などによって異なりますが、最高で40%近い税金(所得税、住民税など)が課されます。この税金を譲渡所得税といいます。

例えば、3,000万円で購入した土地を4,000万円で売却したら、売却益は1,000万円です。この売却益1,000万円に40%の税金が課されると400万円になります。

譲渡所得税に関する内容や計算方法などは以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

売却資金を頼りに離婚後の生活計画を立てている場合、税金のことを考慮していないと離婚後の生活に影響が出る可能性があります。

また、親と夫婦が共有名義になっている家の場合、親が自分の所有部分を夫婦に無償で渡すこともあるでしょう。

この場合は「贈与」に該当するため、譲り受けた夫婦は贈与税を支払わなければなりません。ちなみに、財産の価格によって税率が異なり10%~55%の贈与税がかかります。

土地を貸すと不動産所得として税金がかかる

土地が親名義でその上にある夫婦名義の建物を他者に売る場合、考えなければならないのが地代(土地に対する家賃)です。

親が子に土地を貸す場合は、無償で貸すことが多いです。しかし、他人に貸す場合では、無償ということは滅多にないでしょう。

そのため、第三者に土地を貸す際は地代を受け取ることが多いです。

収入を受け取ることができるメリットもありますが、デメリットもあります。そのデメリットは家賃や地代収入を得ると不動産所得として税金がかかることです。

毎年、確定申告をおこなって国に申告・納税しなければなりません。納税を忘れたり遅れてしまうと延滞税などのペナルティが課せられてしまうため注意が必要です。

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まとめ

親名義の不動産は共有財産ではないため、原則、財産贈与の対象にはなりません。しかし、親と夫婦の共有名義になっている家であれば、夫婦それぞれの所有割合に応じて財産分与がおこなわれます。

また、親との共有ではなく土地と建物(家)の所有者が異なるケースでは、夫婦所有の財産が財産分与の対象になります。

もし財産分与をおこなうために家を売却するのであれば、それぞれ受け取る金額をあらかじめ計算して決めておくとよいでしょう。

財産分与に関する話し合いが上手くまとまらなかったり、離婚トラブルに発展してしまった場合などは早めに弁護士に相談することが大切です。

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更新日 : 2024年05月23日
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