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共有不動産の持分の相続を遺言書に記したい!作成方法や注意点を解説

共有不動産の持分の相続を遺言書に記したい!作成方法や注意点を解説

「共有不動産を所有しているけど、相続するにはどうしたら良いだろうか」
「共有不動産の相続に備えて遺言書を書きたいけれど、書き方が分からない」
共有不動産を所有している人の中には、上記のような疑問をお持ちの方もいることでしょう。

不動産を相続する際には、相続人間での意見対立や争いを起こさないため、遺言書を作成することが大切です。特に、共有不動産のような利害関係者が複数人いる不動産では、遺言書がないことで要らぬ揉め事に発展する可能性もあります。

そもそも共有不動産とは、複数の所有者が存在し、その管理や処分には他の共有者の同意が必要となる不動産です。共有不動産を処分したい場合には、共有者全員の同意が必要となります。不動産を相続する際に遺言書がない場合、「遺産分割協議」で話し合うか、それがうまくいかない場合は「遺産分割調停」を申し立て、相続人を決定します。

共有不動産を相続する際には、以下のポイントを踏まえて遺言書を作成することが大切です。

  • 相続後の管理や利用に関するトラブルを減らすため、相続人を一人に指定する
  • 第三者から見ても不動産が特定できるよう、登記事項証明書に基づいて不動産の詳細を記載する
  • 複数人に相続する場合には、「誰にどれだけ相続させるか」を明記する
  • 信頼できる人物や法律専門家から「遺言執行者」を選び、遺言書に記載する

相続時の共有不動産に関するトラブルを回避するためには、共有持分のみを専門業者に買い取ってもらい、現金化しておく方法もおすすめです。そのほかにも、生前贈与や土地の分筆、共有持分の放棄などの方法があります。

この記事では、共有不動産を相続する際の遺言書の書き方や注意点について、詳しく解説します。共有不動産をお持ちの方や、相続後のトラブルを避けたい方は、ぜひ参考にしてください。

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共有不動産の相続を行うなら遺言書を作成すべき

共有不動産とは、一つの不動産に対して所有者が複数存在する不動産を指します。複数の所有者がいる場合、その不動産の建て替え・大規模修繕・売却などを行う際に、他の共有者の同意が必要になる場合が多く、一人の判断で勝手に対応することは認められません。

共有持分の取り扱いに関しては、以下のような条件があります。

具体例 条件
変更行為
処分行為
  • 売却
  • 建て替え
  • 解体
  • 登記申請 など
  • 共有者全員の同意が必要
    管理行為
  • 賃貸借契約
  • 賃料改定
  • 大規模修繕 など
  • 共有持分価格の過半数の同意が必要
    保存行為
  • 修繕
  • 法定相続
  • 不法占拠者に対する明け渡し請求 など
  • 共有者単独で行える

    共有不動産は、所有者が増えれば増えるほど、管理行為や変更行為を行うために共有者の過半数もしくは全員から同意を得ることが難しくなります。相続が発生した場合、遺言書がないと法定相続人の順位通りに相続が行われるか、遺産分割協議を行う必要があり、手続きが複雑化するリスクが高まります。そのため、相続に備えて遺言書を作成し、誰がどのように相続するかを明記しておくことが重要です。

    遺言書がない場合、以下のような問題が発生する可能性があります。

    • 相続権を持つ全員が相続することになり、売却するにも全員の同意が必要になる
    • 遺産分割協議で共有名義不動産の活用や処分を巡って意見が割れ、「遺産分割調停や審判」に発展する可能性がある

    遺言書がない場合、「遺産分割協議」を行う必要が出てくる可能性があります。遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方について話し合うことです。相続権を持つ人全員が揃い、意見を一致させる必要があります。

    遺産分割協議がうまくいかない場合、遺産分割調停に移行します。遺産分割調停では、家庭裁判所が中立的な立場から当事者間の合意を目指します。ただし、調停は複数回にわたることが多く、必要な書類の準備や調整に時間や手間がかかる場合があります。また、調停でも解決しない場合は、審判に進み、裁判所が遺産分割方法を決定します。裁判所が不動産の分割方法を決定するため、当事者間での自主的な解決が難しくなります。

    このように、遺言書がないために複数人で相続した場合、相続後のトラブルに発展したり、管理が行き届かなかったりするリスクがあります。一人の相続人に決めておけば、このような管理上の問題も回避できるでしょう。共有不動産の相続に際しては、遺言書を作成し、明確な指示を遺しておくことが大切です。

    共有不動産の遺言書の作成方法

    共有不動産を相続する際には、以下のポイントを踏まえて遺言書を作成することが大切です。

    • 相続後の管理や利用に関するトラブルを減らすため、相続人を一人に指定する
    • 第三者から見ても不動産が特定できるよう、登記事項証明書に基づいて不動産の詳細を記載する
    • 複数人に相続する場合には、「誰にどれだけ相続させるか」を明記する
    • 信頼できる人物や法律専門家から「遺言執行者」を選び、遺言書に記載する

    以下にて、それぞれ詳しく解説します。

    1. 相続人を一人指定する

    遺言書を作成する際、相続人が複数いる場合には、誰か一人を相続人として指定することをおすすめします。日本の法律では、相続人の範囲や法定相続分が定められていますが、相続人が二人以上いるケースがほとんどです。

    しかし、「二人以上に共有名義として遺しておきたい」という強い意志がない限りは、相続人を一人に絞った方が、相続後のトラブルは避けられると言えます。

    複数の相続人がいる場合、そのまま共有名義にしてしまうと、不動産の管理や売却に関して意見の不一致が生じやすく、長期的に見て問題が発生しやすくなります。例えば、一人が不動産を売却したいと考えても、他の相続人が反対すれば売却は進みません。

    すでに共有者がいる不動産であれば、相続によってさらに共有者を増やすことになり、トラブルが起こりやすくなります。こうした事態を避けるためにも、遺言書で具体的に相続人を一人に絞って指定することを検討しましょう。

    また、一人を相続人に指定することで、相続手続きがスムーズに進むだけでなく、不動産の管理や利用についての決定もしやすくなります。相続後の不動産の運用や処分について、家族間の争いや摩擦を最小限に抑えやすいでしょう。遺産分割協議も必要なくなるため、相続手続きにかかる時間や費用も削減できます。

    2. 遺言書に登記事項証明書の記載に従って必要な情報を記載する

    遺言書には、共有不動産の詳細情報を記載します。相続の際に生じる可能性のあるトラブルや誤解を防ぐためにも、登記簿謄本や登記事項証明書に従い、必要な情報を正確に記載する必要があります。

    登記事項証明書」とは、不動産の所在地・担保・所有者などの情報について、登記官が公的に証明する書類です。法務局の窓口や郵送のほか、法務局のホームページ上でオンラインでも取得できます。

    遺言書に記載すべき情報は、以下の通りです。

    相続する不動産の詳細 所在・建物の名称・家屋番号・種類・構造・床面積など(土地のみの場合は所在・地番・地目・地積など)
    誰にどれだけ相続するか 「相続人が誰であるか」「どれだけの割合で相続するのか」を具体的に示す(例:「長男〇〇に全体の2分の1を相続させる」など)
    共有持分の詳細 共有不動産である場合には、他の相続人との間でどのように共有されるのかを明記する
    私道の持分の詳細 不動産に私道が含まれる場合、その周辺道路の持分についても詳しく記載する

    上記のような情報を詳細に記載することで、第三者の法務局から見ても「対象の不動産」を特定できます。これにより、遺言書が相続手続きの際に有効なものとなり、その後の手続きをスムーズに進められるのです。不動産の特定が遺言書中で不明確だと、遺言書を用いて名義変更登記を申請することが難しくなるため、詳細かつ明確に記載しましょう。

    3.複数人に相続するなら、遺言書にその旨を具体的に記載

    複数人に相続させる場合には、その旨を遺言書に具体的に記載する必要があります。特に、不動産の分け方を明確に記載することがポイントです。

    遺言書に具体的な指示がない場合、相続財産は「法定相続分」もしくは「遺産分割協議」の対象となり、相続人間で意見の対立が生じる可能性があります。

    法定相続分とは、民法で定められた相続人の範囲や相続割合のことです。例えば、配偶者と子供二人が相続人の場合、配偶者が2分の1、子供二人がそれぞれ4分の1ずつ相続することになります。しかし、法定相続分に基づいて相続が行われると、後からトラブルが発生する可能性も否定できません。

    遺産が意図しない形で分配されるリスクを避けるためにも、遺言書には明確な指示が必要です。例えば、「妻〇〇及び、長男〇〇に全体の2分の1ずつ相続させる」といったように、不動産の分け方を明確に記載しましょう。

    参考:No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁

    4.遺言執行者を記載する

    遺言書には、「遺言執行者」を必ず記載します。遺言執行者とは、遺言者が亡くなった後に遺言の内容を実行するために必要な事務手続きを行う人のことです。遺言者の意思を尊重し、遺産分割や名義変更などの手続きを行います。

    遺言執行者の記載がない場合、遺言書自体が無効になる訳ではありませんが、遺言者が希望する形で遺産相続をスムーズに進めることが難しくなる場合があります。

    遺言執行者は、未成年や破産者を除き、誰でも指定できます。相続人と同じ人でも問題ありません。遺言執行者がすでに判断能力を失っている場合や、亡くなっている場合には、家庭裁判所に申立てを行い、新たに遺言執行者を選任してもらうことも可能ですが、選び直しには手間がかかります。

    そのため、初めから弁護士や司法書士などの法律専門家を選任しておくと安心です。遺言者の希望する遺産相続が確実に実現され、相続手続きが円滑に進むことが期待できます。

    共有不動産の遺言書例

    共有不動産の遺言書を作成する際には、相続する物件の特性に応じた記載が必要です。戸建て住宅とマンションでは記載方法が異なります。

    遺言書に不備があると、内容に不満を持つ相続人によって協議・調停・訴訟の手続きが行われ、遺言書を無効とする主張が認められる可能性があります。そのため、「登記事項証明書」に基づき、地番などの正確な情報を記載することが重要です。

    自筆証書遺言の場合、遺言者が全文・日付・氏名を自書し押印する必要があります。財産目録については、登記簿謄本の添付やパソコンでの作成も可能です。

    以下では、戸建住宅とマンションの2パターンについて、共有不動産の遺言書の書き方を解説します。

    戸建て(土地と建物)の共有不動産の遺言書

    戸建て住宅で、土地と建物を共有不動産として相続する際の遺言書の書き方について解説します。以下は、遺言者の配偶者と長男の2人が相続人となる場合の例です。

    遺言書



    遺言者〇〇は、以下のとおり遺言をする。

    第1条
     遺言者は、その所有する下記不動産の持分を、遺言者の妻〇〇(昭和〇年〇月〇日生)及び長男〇〇(平成〇年〇月〇日生)に2分の1ずつ相続させる。


    不動産の表示
     (1)所在:〇〇市〇〇町〇〇丁目
     地番:〇〇番〇〇
     地目:宅地
     地積:〇〇.〇〇㎡


    (2)所在:〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番地〇〇
     家屋番号:〇〇番〇〇
     種類:居宅
     構造:木造かわらぶき2階建
     床面積:1階〇〇.〇〇㎡、2階〇〇.〇〇㎡


    第2条
     遺言者は、本遺言の遺言執行者として妻〇〇(昭和〇年〇月〇日生)を指定する。


    作成年月日 令和〇年〇月〇日


    遺言者住所
    遺言者氏名 〇〇 印

    不動産の特定は、登記事項証明書を参照しながら、正確に記載します。遺言者の所有する不動産がすでに共有不動産の場合は、土地と建物の文末に「遺言者の持分2分の1」というように記載します。

    マンションの共有不動産の遺言書

    マンションの共有不動産を相続する場合、基本的には戸建ての遺言書と同様ですが、マンション特有のポイントに注意が必要です。「登記事項証明書」に基づいて詳細情報を正確に記載しましょう。以下は、遺言者の配偶者と長男の2人が相続人となる場合の例です。

    遺言書



    遺言者〇〇は、以下のとおり遺言をする。

    第1条
     遺言者は、その所有する下記の区分建物の持分を、遺言者の妻〇〇(昭和〇年〇月〇日生)及び長男〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に2分の1ずつ相続させる。


    一棟建物の表示
     所在:〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番地〇〇
     建物の名称:〇〇


    専有部分の建物の表示
     家屋番号:〇〇番〇〇
     建物の名称:〇〇
     種類:居宅
     構造:鉄骨鉄筋コンクリート造〇階建
     床面積:〇階部分 〇〇.〇〇㎡


    敷地権の目的たる土地の表示
     土地の符号:1
     所在及び地番:〇〇市〇〇町〇〇丁目
     地目:宅地
     地積:〇〇.〇〇㎡


    敷地権の表示
     土地の符号:1
     敷地権の種類:所有権
     敷地権の割合:〇〇〇〇分の〇〇


    第2条
     遺言者は、本遺言の遺言執行者として妻〇〇(昭和〇年〇月〇日生)を指定する。


    作成年月日 令和〇年〇月〇日


    遺言者住所
    遺言者氏名 〇〇 印

    マンションの遺言書には、区分所有建物の特定が必要です。建物全体の一部分である「専有部分」と、土地全体の「共有部分」について正確に記載します。

    共同不動産の遺言書を作成するときの注意点

    共有不動産の遺言書を作成する際の注意点は、以下の通りです。

    • 「自筆証書遺言」ではなく、記載漏れ・改ざん・紛失のリスクが少ない「公正証書遺言」での作成がおすすめ
    • 相続登記を行う際に法務局が対象の不動産を正確に認識できるよう、詳細かつ具体的に記載する
    • 遺言によって不動産を受け取る人が遺言者より先に亡くなった場合、その部分の遺言内容は無効になる
    • 認知症などで判断能力が低下している場合など、遺言者に判断能力がないと遺言書が認められない可能性がある
    • 相続人が最低限受け取ることを保障されている遺産の取り分を侵害しないよう気をつける

    それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。

    公正証書遺言を作成する

    遺言書を作成する際には、以下の3つの方法があります。

    自筆証書遺言 遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印する遺言書。形式的要件の不備があると無効になる可能性がある。
    公正証書遺言 公証人が作成し、公証役場で保管する遺言書。記載漏れや改ざん、紛失のリスクがほとんどなく安全。
    秘密証書遺言 内容を秘密にしたまま、存在だけを公証役場で証明する遺言書。自筆証書遺言と同様に、内容が法的に有効でない可能性がある。

    遺言書を作成する際には、「公正証書遺言」を作成することをおすすめします。公証人が作成し公証役場で保管するため、記載漏れ・改ざん・紛失のリスクがほとんどなく、遺言書の効力を担保できる点が特徴です。上記3つの方法のうち、「公正証書遺言」が最もトラブルのリスクが少なく、確実に遺言の内容を守れます。ただし、財産の価格に応じた手数料がかかります。

    「自筆証書遺言」は無料で作成できますが、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印する必要があり、署名や押印などの形式的要件が欠如していると無効になる可能性があります。「秘密証書遺言」は内容を秘密にしたまま存在を証明するものですが、本人が作成するため、内容が法的に有効でない可能性があります。

    参考:Q7.公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか?|日本公証人連合会

    詳細かつ具体的に記載する

    「共有不動産の遺言書の作成方法」の章でも触れた通り、遺言書には詳細かつ具体的に記載することが重要です。相続登記を行う際に法務局が対象の不動産を正確に認識できるよう、所在や構造、相続の分け方などを明確に記載しましょう。

    不動産の情報に不備や間違いがある場合、法定相続や遺産分割協議の対象となり、トラブルが発生する可能性があります。例えば、「〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番地〇〇に所在する、木造かわらぶき2階建の構造で床面積1階〇〇.〇〇㎡の家屋」といった具体的な記載が必要です。

    遺言の内容を確実に実行するために、「先祖代々の家屋」や「公園の隣の土地」といった抽象的な表記は避け、登記事項証明書に基づいた正確な情報を記載するようにしましょう。また、不動産が複数ある場合には、それぞれについて詳細に記載する必要があります。

    遺言者より先に受遺者が死亡すると遺言は無効になる

    遺言によって不動産を受け取る人(受遺者)が遺言者より先に亡くなった場合、その部分の遺言内容は無効になります。

    例えば、「所有する不動産の持分を、AとBに2分の1ずつ相続させる」という遺言をしていて、Aが遺言者より先に死亡した場合、Aに残す部分の遺言は無効です。これは民法第994条(受遺者の死亡による遺贈の失効)に定められており、もし受遺者が先に亡くなった場合、遺言書の書き直しが必要となります。

    ただし、遺言書の無効となる部分は遺贈部分のみであり、他の部分は有効のままです。そのため、先の例ではBに相続する分の遺言は有効となります。

    また、万一の場合を想定し、第二希望を遺言書に記載しておくことも有効です。例えば、「Aに相続する。もしAが先に死亡している場合はBに相続する。」という記載をしておけば、Bへの遺言が有効となります。これを「予備的遺言」と言います。

    参考:民法第994条|e−GOV法令検索

    遺言者に判断能力がないと遺言書が認められない可能性がある

    遺言書を作成する際、遺言者に判断能力がないと認められると、その遺言書は無効となる可能性があります。特に高齢者の場合、認知症などで判断能力が低下している恐れがあるため、遺言書を作成する際には注意が必要です。

    遺言能力とは、年齢が15歳以上であり、事物に対する判断力(意思能力)があることを指します。意思能力がないと判断された場合、遺言は無効となります。

    特に自筆証書遺言の場合、形式的要件の不備が問題となりやすいため、公証人が作成し公証役場で保管する「公正証書遺言」を作成することがおすすめです。

    遺留分侵害に気をつける

    遺言書を作成する際には、遺留分の侵害にも気をつけたいところです。遺留分とは、「各相続人が最低限受け取ることを保障されている遺産の取り分」のことです。

    遺留分を侵害する内容の遺言書を作成すると、遺留分を侵害された相続人が「遺留分侵害額請求」を行うことが可能となってしまいます。

    相続人の遺留分の割合は、以下のように決められています。

    相続人 遺留分の割合(個別的遺留分)
    配偶者のみ 2分の1
    配偶者と子(孫)
  • 配偶者:4分の1
  • 子:4分の1を等分
  • 配偶者と父母(祖父母)
  • 配偶者:3分の1
  • 父母(祖父母):6分の1を等分
  • 配偶者と兄弟姉妹 配偶者のみ2分の1
    子(孫)のみ 2分の1を等分
    父母(祖父母)のみ 3分の1を等分
    兄弟姉妹のみ なし

    例えば、遺言で不動産を配偶者一人にのみ相続させた場合でも、子が「遺留分侵害額請求」を行うことで、配偶者は子に対して金銭を支払う必要があります(民法第1042条以下)。遺留分を巡る争いを引き起こさないためには、遺留分を侵害しない範囲で各相続人に財産を承継させる工夫が必要です。

    参考:民法第1042条|e−GOV法令検索

    共有不動産の相続でトラブルを回避するために解消しておくこと

    共有不動産の所有者が亡くなった場合、遺言書がなければ相続権を持つすべての人に相続され、さらに共有者が増えることになります。しかし、共有不動産の売却や解体には、共有者全員の同意が必要です。人数が増えればトラブルに発展するリスクも増します。

    相続時の共有不動産に関するトラブルを回避するためには、遺言書を書く以外にも以下の方法があります。

    方法 内容
    生前贈与を行う 不動産は特定の一人に贈与し、他の相続人には現金で贈与することで、遺産分割時のトラブルを避ける
    土地を分筆する 土地を物理的に分割し、各相続人が単独所有できるようにすることで、共有状態を解消する
    自分の持分を売却する 自分の持分を他の共有者や第三者に売却し、共有状態から抜け出す
    共有不動産全体を売却する 共有者全員で協力して不動産全体を売却し、売却代金を持分割合に応じて分配することで共有状態を解消する
    共有持分を放棄する 所有権移転登記を行い共有持分を手放し、相続しない
    換価分割をする 共有不動産を売却して現金化し、その現金を相続人で分割する
    代償分割をする 共有不動産を一人が取得し、他の相続人に現金や他の資産で代償を支払う

    これらの方法を適用することで、相続時のトラブルを未然に防ぐことにつながります。また、遺言書がなく、すでに共有不動産を複数人に相続してしまった後でも、上記の対策を講じることが有効です。共有状態を放置せず、なるべく早く解消することをおすすめします。

    まとめ

    共有不動産とは、複数の所有者が存在する不動産で、その管理や処分には他の共有者の同意が必要です。特に相続時には、遺言書がないと共有者をさらに増やす可能性があり、トラブルのリスクが増します。

    不動産を共有名義で相続することにより発生し得る問題を避けるためには、遺言書を作成し、相続人や相続内容を明記することが有効です。遺言書がない場合、遺産分割協議で相続人を決めるか、それでも解決しない場合は遺産分割調停や審判に移行する必要があります。

    遺言書には、共有不動産の詳細や相続人を特定し、第三者から見ても不動産が特定できるように記載する必要があります。また、遺言内容の確実な実行のために、弁護士や司法書士などの法律専門家を「遺言執行者」として指定することも有効です。

    共有持分の相続自体を避けるため、生前に共有持分のみを売却する方法もあります。共有不動産の相続で悩んでいる場合や、共有状態を解消したい場合は、共有持分専門の買取業者に相談してみましょう。

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    共有持分に関するコラムはこちら

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    569
    更新日 : 2024年12月24日
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