
土地は所有しているだけでも固定資産税や維持費などのコストがかかってしまいます。そのため、不要な土地を相続した場合、売却を検討することもあるでしょう。
しかし、相続した土地の名義が故人のままで売却してもよいのかと疑問を抱く人も少なくありません。
この記事では、故人名義の土地を売却する手続きと流れについて詳しく解説します。
また、不動産の種類ごとの売却方法や故人名義の土地を早く売るポイントなども説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
故人名義の土地を売却する手続きと流れ
相続した土地は名義変更しなければ売却できないため「相続登記」が必要です。ケースによっては相続登記に手間がかかるので、早めに名義変更することが大切です。
次の項目から故人名義の土地を売却する手続きと名義変更から物件引き渡しまでの流れを解説していきます。
また、土地売却における基礎知識については以下の記事でもわかりやすく解説しているため、参考にすることでより理解が深まるでしょう。

①名義を変更する
相続した土地を売却するためには最初に名義変更が必要です。正確には相続を原因とした所有権の移転登記をおこなうことになります。
なぜなら、登記上の名義人になっていないと第三者に対してその土地の所有者であることを主張できないことが民法第177条によって規定されているからです。
また、不動産の登記は故人の名義から直接買主の名義に変更することも認められていません。買主が登記をおこなうためには、売主である相続人の名義に変更しておく必要があります。
名義変更に必要な書類
相続した土地を名義変更するには、いくつかの必要書類があります。その主な必要書類が以下の通りです。
- 被相続人の戸籍謄本や住民票の除票
- 相続人の住民票や戸籍妙本
- 固定資産評価明細書
相続が発生した際に遺言書の内容に従う場合や遺産分割協議によって分割方法を決定する場合、上記の書類の他に遺言書や遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書なども準備しなければなりません。
名義変更(相続登記)に必要な書類は以下の記事でも詳しく解説しているため、参考にするとよいでしょう。

②売却の相談・査定
査定とは売却しようとしている不動産の評価額を調べることです。査定の目的は売却したい物件の価値や価格を具体的に把握するためです。
不動産の価値を把握する方法は「価格査定」や「鑑定評価」などがあります。無料で査定をおこなっている不動産会社も存在するため依頼するとよいでしょう。
土地の価格を正確に査定してもらうためには、所在地や面積などの基本情報を不動産会社に開示することが大切です。
ちなみに、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼すると費用が発生します。費用については会社や鑑定評価額によって異なるため、依頼する前に目安の費用を不動産鑑定事務所に問い合わせておくとよいかもしれません。
③売却価格の決定
基本的に売却価格は希望価格や不動産会社の査定価格、市場動向などを検討して決定します。希望価格に沿った売却をするためにも、希望や考えを明確にしましょう。価格を決定する時には、希望価格と最低価格を考えておくことが大切です。
土地の売却価格を決める方法については以下の記事でも解説しているため、参考にするとよいでしょう。

④媒介契約の締結
媒介契約とは不動産の売買や賃貸などの仲介を宅建業者に依頼する契約のことです。媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類あり、以下のような違いがあります。
・他の宅建業者への依頼が可能
・他の宅建業者への依頼ができない
・7日以内に指定流通機構への登録
・2週間に1回以上の報告義務
・他の宅建業者への依頼ができない
・5日以内に指定流通機構への登録
・1週間に1回以上の報告義務
・自ら買主を探すことができない
それぞれメリット・デメリットがあるため一概にこの媒介契約を結べばいいというものではありません。
以下の記事でもそれぞれの媒介契約についてわかりやすく解説しているため、どの媒介契約が自分の売却スタイルに合っているのか検討してみてください。

⑤販売開始
媒介契約を結んだら販売開始です。不動産会社に全国にある不動産会社のネットワーク「指定流通機構(レインズ)」に登録してもらい売却活動を進めてもらいましょう。
販売の情報は近隣住民も見るかもしれないので、事前に隣人に伝えておくとよいかもしれません。
⑥売買契約の締結
土地の買主が見つかったら売買契約を締結します。重要事項説明書など専門的な手続きは依頼している不動産会社が実施します。
条件などは売買契約の前に確認し、不明な点などは不動産会社にしっかりと確認しておきましょう。
⑦物件の引き渡し
指定した銀行口座へ買主から売却代金が振り込まれ、入金が確認できたら物件を引き渡します。
引き渡しの際には所有権移転登記も同時におこないます。また、売却した土地に抵当権が設定されている場合は抵当権抹消登記もおこなわなければならないので忘れないように注意しましょう。
故人名義の土地における種類別売却方法
相続した土地が貸している土地や借りている土地であるケースも考えられます。また、相続人が複数いる場合に共有名義で土地を取得することもあるかもしれません。
このように土地の種類や状態はさまざまであり、それぞれ売却方法が異なります。
次の項目から故人名義の土地を相続したときに「共有持分」「借地」「底地」「再建築不可物件」の4つの種類別の売却方法について解説していきます。
共有持分の売却方法
共有持分とは複数の人が1つの不動産を共同で所有し、各々がその不動産について持っている所有権割合のことです。財産や相続人、遺産分割協議などの状況によっては、1つの物件を複数人で引き継ぐこともあります。
共有名義の不動産における売却は共有者全員の同意が必要になり、名義人が1人の場合に比べて手続きが複雑です。
しかし、自分の持分のみであれば共有者の同意がなくても自由に売却可能です。
持分は第三者だけでなく他の共有者に売却できますが、共有者に売却する場合は共有者全員と話し合った上で売却した方がトラブルを避けられるかもしれません。
また、共有名義の土地は分筆(1つの土地を2つ以上の土地に分けること)して売ることもできます。分筆することで単独名義となるため、通常の土地として販売することが可能です。
分筆して売却すれば他の共有者の同意を得る必要もなく、持分のみの売却よりも高値で売買できるケースもあります。
共有名義で相続した土地に関する基礎知識や売却のコツなどは以下の記事でも詳しく解説しています。

借地の売却方法
「借地」とは他人から借りている土地のことで、借主が建物の所有を目的として土地を利用する権利を「借地権」といいます。
借地権は「地主に売却する」「第三者に売却する」「地主と協力して同時売却する」の3つの売却方法があります。
地主への売却はその土地を地主が買い戻しても使い道が決まっていなければ、今まで受け取っていた地代収入がなくなるのであまり期待できないかもしれません。
ただし、地主が借地権を買い戻して完全所有にしたいというタイミングであれば交渉しやすいかもしれません。
また、借地権は個人や法人などの第三者に売却することも可能です。ただし、地主の承諾なく売却した場合は、借地契約を解除される可能性があるので注意しましょう。
借地人と地主が協力して借地権と底地権を同時売却することで、買主は通常の土地を購入することと同様になります。借地よりも自由に土地を活用できるため、買主が見つかりやすい傾向にあります。
売却代金の分配については借地権・底地権の割合を加味した上で交渉するとよいでしょう。
借地権の売却方法については以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にするとよいです。

底地の売却方法
底地とは地主が貸している土地のことです。借主に対して借地権(建物を建てて利用する権利)が与えられるため、地主は土地の使用権を一時的に失います。
そのため、賃貸借契約の期間中は自由に活用することができないため、買主が見つかりにくく売却が難しい不動産だといわれています。
ただし「借地人に売却する」「不動産業者に売却する」「第三者に売却する」「地主と借地人が同時売却する」「借地と借地権を等価交換する」などの方法で売却できるケースがあります。
それぞれケースにおける詳しい売却方法に関しては以下の記事で説明しているので、参考にしてみてください。

再建築不可物件の売却方法
再建築不可物件とは建て替えたり新しく建物を建設できない物件のことです。再建築できない要因はさまざまなものがありますが、一般的に接道義務満たしていない場合が多いです。
再建築不可物件の条件や建て替え不可の理由などは以下の記事で確認しておくと、より理解が深まるでしょう。

再建築不可物件は「隣家の所有者に土地を売却する」「不動産会社に売却を依頼する」「再建築不可物件を専門に扱う買取業者に依頼する」の3つの売却方法があります。
買主は既存の家をどのように運用していくかがポイントになるので、売却価格には「建物の状態と瑕疵の有無」「物件の所在地」「将来的に建築可能にできる物件か否か」が大切です。
再建築不可物件の売却相場は通常の物件と比べると5〜7割程度だといわれています。
しかし、売却する前にリフォームやリノベーションしたり、自分の土地をセットバックさせて接道義務を満たすなどの方法を試すことで物件の価値を高めることが可能なケースもあります。
再建築不可物件の売却方法や高く売るコツなどは以下の記事を参考にするとよいでしょう。

故人名義の土地を早く売るためのポイント
相続した故人名義の土地を早く売るためのポイントがいくつかあります。そのポイントが以下の通りです。
- 遺産分割協議を速やかにおこなう
- 早めに相続登記を終わらせる
- 専門買取業者に売却する
次の項目からそれぞれのポイントについてわかりやすく解説していきます。
遺産分割協議を速やかにおこなう
相続人が複数いる場合、遺産分割協議をおこない誰がどの相続財産を取得するか決めなければならないこともあります。
ケースによっては遺産分割協議がなかなかまとまらないということも考えられます。
例えば、土地を相続する際に「共有名義と単独名義どちらにするのか」「売却するのかしないのか」など意見が対立してしまうかもしれません。
遺産分割協議が終わらない限り、売却活動を進めることは不可能です。遺産分割協議には時間がかかることを想定した上で、相続が発生したら速やかにおこなうことが大切です。
どれだけ協議を重ねてもまとまらないというのであれば、相続問題に詳しい弁護士に相談することが大切です。
相続問題に詳しい弁護士に介入してもらうことで、相続人全員が納得する内容で遺産分割協議を終えることができるかもしれません。
早めに相続登記を終わらせる
遺産分割協議だけなく相続登記を早めに終わらせておくことも重要です。相続した不動産を売却するためには、相続登記を実施して相続人名義に変更する必要があります。
不動産会社に売却を依頼するタイミングあれば必ずしも相続登記が完了している必要はありません。しかし、買主と売買契約を締結するまでに売主の名義に変更しておかなければ契約を結べません。
買主が現れてから名義変更しようと思っても、予想よりも時間がかかり契約締結時に間に合わない恐れがあります。
買主が決まっても相続登記が原因で売買契約が結べなかった場合、売却のチャンスを逃してしまいます。
仮に相続した土地を売却する予定がなかったとしても相続登記を終わらせておくことで、売却することが決まった際に慌てることがないでしょう。
専門買取業者に売却する
「今すぐにでも売却したい」「買主がなかなか見つからない」などの場合、相続不動産専門の買取業者に売却することも検討しましょう。
大手不動産会社や一般物件をメインとして扱う買取業者では、相続問題を抱えた不動産を請け負えないケースもあり、買取自体が拒否されてしまうこともあります。
相続不動産を専門に扱う買取業者であれば、故人名義の土地をトラブルなく買い取ってくれる場合があります。
数ある買取業者の中でも、相続不動産のエキスパートが勢揃いした「クランピーリアル・エステート」はどんな物件でも高価格での買取を実現しています。
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まとめ
相続した土地は故人名義のままで売却することは不可能です。そのため、相続登記をおこなって名義を変更することが最も重要です。
相続登記後は通常の土地と同様に売却の手続きを進めていけば問題ありません。
ただし、故人名義の土地が「共有持分」「借地」「底地」「再建築不可物件」の可能性があるため、それぞれ適切な売却方法を考えなければなりません。
また、早く売るためには相続して速やかに遺産分割協議や相続登記をおこないましょう。
なぜなら、遺産分割協議が済んでいないと売却活動を進めることができず、相続登記が完了していないと買主と売買契約を結ぶこともできないからです。
相続した故人名義の土地をトラブルなく売却したいというのであれば、早めに弁護士や専門業者に相談することが大切です。