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不動産は相続登記せずに売却できる?登記しないリスクと早期に売却する3つのコツ

相続登記せずに売却

被相続人が不動産を残して亡くなった場合、その不動産は相続登記せずに売却できるのでしょうか。

なかには、相続登記の手続きを手間に感じ、登記をせずに売却したいと考える方もいるでしょう。

結論を言うと、相続登記をしていない不動産は、買主に対する所有権移転登記が行えないため売却できません

売買契約の締結自体は可能なケースもありますが、登記手続きが進まなければ、結果として契約内容の見直しや解除が検討されることがあります。

契約内容や状況によっては、損害賠償を請求されたり、売買代金の10~20%程度に相当する違約金が発生したりする可能性もある点に注意が必要です。

そのため、相続不動産の売却では「どの順序で手続きを進めるか」が重要なポイントとなります。

早期売却のコツとして、不動産の遺産分割協議を優先して行う、相続登記の手続きを司法書士に任せる、早い段階から不動産会社に相談するなどがあります。これらを行うことで、スムーズに不動産を売却できる可能性が高まるでしょう。

この記事では、以下の4点を中心に相続登記をせずに売却することのリスクや早期売却のコツなどについて説明します。

  • 相続登記せずに不動産の売却ができない理由
  • 相続登記せずに不動産を売却した際のリスク
  • 相続財産の不動産をできる限り早く売却するコツ
  • 不動産の相続登記をしなかった場合のデメリット

相続登記と売却の関係を理解し、状況に応じた進め方を整理するための参考としてご活用ください。

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不動産は相続登記せずに売却できない

相続財産に含まれている不動産は、相続登記をせずに売却できません。より正確にいうと、売買契約は締結できますが、その後の所有権移転登記ができないため売却できないのです。

不動産の売買では、その不動産に関する所有権移転登記が行われます。移転登記とは、不動産の所有権が売主から買主に移ったと証明する登記のことです。そして移転登記を行うためには、売主と名義人が一致しており、売主が誰なのか確定している必要があります。

相続財産の不動産を売却する場合、名義人である被相続人はすでに亡くなっているため、そのままでは登記手続きが進められません。そのため、実務上は相続人が売主となる前提として、名義を相続人へ変更しておく必要があります。

そこで、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更するために、相続登記を行う必要があります。相続登記をすれば、登記を受けた相続人が新たな名義人(売主)となり、売却に伴う所有権移転登記が可能になります。

なお、弊社へのご相談でも「相続登記をしないまま売却を進めたい」というご質問をいただくことがありますが、まずは売却前に相続登記を完了させるケースが一般的です。

不動産の相続登記をせずに売却した場合のリスク

相続登記をしていない不動産の売買契約を締結したものの、移転登記ができなかった場合は、民法上の債務不履行責任を負うことになります。また、契約内容によっては違約金を請求される可能性もあるでしょう。

具体的には、以下のようなリスクを負う可能性があります。

  • 売買契約が解除される可能性がある
  • 損害賠償請求をされる可能性がある
  • 契約内容によっては違約金が発生する

弊社が聞いた話の中でも、登記が完了していない状態で売却手続きを進めた結果、取引条件の見直しやスケジュールの調整が必要になるケースは少なくありません。

ここでは、このような不動産の相続登記をせずに売却した場合のリスクについて説明します。

1.売買契約が解除される可能性がある

不動産の所有権移転登記ができない場合、契約内容どおりの引き渡しができないため、民法上の債務不履行に該当します。この場合、買主は契約の解除を検討できるとされています。

第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
引用元 e-GOV 法令検索「民法第541条」

第五百四十二条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
一 債務の一部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
引用元 e-GOV 法令検索「民法第542条」

解除権を行使された場合、最初からその契約は存在しなかったものとして扱われます。不動産を売却した相続人、つまり売主は、買主に対して売買代金を返還しなければなりません。

2.損害賠償請求をされる可能性がある

債務不履行の際に買主は、売主に対して損害賠償請求も行えます。

第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
引用元 e-GOV 法令検索「民法第415条」

たとえば、買主が当該不動産を賃貸運用する予定であった場合、取引が完了しないことで得られなかった収益相当額などが、損害賠償として請求される可能性があります。

債務不履行に基づく損害賠償請求を回避するためには、売主側で自分自身に故意・過失がなかったことを証明しなければなりません。場合によっては訴訟で争うことになるでしょう。

なお、損害賠償の成否や範囲は個別事情によって異なり、実務上も契約内容や当事者間の認識によって判断が分かれることがあります。

3.契約内容によっては違約金が発生する

一般的な不動産売買契約書には、債務不履行の際の違約金に関する条項が定められていることがあります。

たとえば、全宅連の不動産売買契約書のひな型には「契約違反による解除」という条項があり、この中で契約解除に伴う損害賠償は違約金の額とすると記載されています。

違約金の水準は契約ごとに異なりますが、実務上は売買代金の10~20%が相場であり、債務不履行が認められれば高額な違約金を支払うことになるでしょう。

このように、相続登記が未了のまま売却を進めると、取引条件や契約上の責任に影響が及ぶ可能性があるため、事前に登記の状況を整理しておくことが重要といえます。

相続登記をして不動産を売却するまでの流れ

相続登記の手続きは、遺言書の有無によって異なります。遺言書がある場合は原則として遺言書の内容に従いますが、遺言書がない場合は相続人全員で話し合う遺産分割協議を行います。

弊社にご相談いただいた場合は、相続登記と売却準備を並行して進めるケースも多く、全体のスケジュールを見据えて進行することが重要です。

このような遺産分割協議が必要なケースでは、不動産を売却するまでの大まかな流れは以下のようになります。

  1. 不動産の売却が必要か確認する
  2. 相続人全員で遺産分割協議を行う
  3. 不動産会社と契約し、不動産の売買を行う

ここでは、相続財産の不動産を売却するまでの一般的な流れについて説明します。

1.不動産の売却が必要か確認する

相続財産に不動産があった場合、まずその不動産を「保有・活用するか」「売却するか」どうかを整理しましょう。

売却を検討する主なケースには、被相続人の家に住む予定がない、不動産以外に価値のある財産がないなどといったケースが挙げられます。以下で主なケースについて解説します。

被相続人の家に誰も住む予定がない

被相続人の家に住んだり、貸し出したりする予定がない場合は、売却を含めた活用方法を検討することになります。

不動産は所有しているだけでも、修繕費や税金などの維持コストが発生します。特に管理が行き届かない状態が続くと建物の老朽化による倒壊や周辺環境への影響が懸念されるため、早めに方針を決めておく必要があります。

なお、倒壊の危険があり特定空き家に指定された場合には、固定資産税の住宅用地特例が使えなくなり、従来よりも6倍も多く税金が課されます。

実際に弊社でも、固定資産税の住宅用地特例が適用されないことを知らず、税金面で損をしてからご相談にこられたケースもあります。なるべく損しないためにも、誰も住む予定がない築古の家は、相続と同時に売却を検討するのが望ましいでしょう。

特定空き家とは
空家等対策の推進に関する特別措置法第2条2項で定義されている空き家のこと。倒壊の危険性がある状態、著しく衛生上有害となる恐れがある状態、著しく景観を損ねている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態のいずれかに該当する空き家を指します。

不動産以外に価値のある相続財産がない

相続人が複数いる一方で、不動産以外の財産が限られている場合は、売却による分配も選択肢の一つです。

遺産分割協議によって特定の相続人が不動産を取得することも可能ですが、実務上は、分配の公平性を重視して換価分割(売却して現金化する方法)が選ばれるケースも多く見られます。

というのも、一人が不動産を取得するのは不公平感が強く、あとから揉め事になる可能性が高いためです。

弊社にも、相続財産を分配するために買取相談に来られるケースがあります。その中で、相続人内で話がなかなか進まないというお話も実際に多く耳にします。

相続人同士で意見が割れてしまっている場合や遺産分割の法的手続きにご不安がある場合は、弊社が連携している司法書士や弁護士のご紹介が可能です

換価分割とは
不動産や有価証券(株式)といった現金・預貯金以外の財産を売却し、それで得た代金を分割する方法のこと。財産を現金にする分割方法なので、相続人が公平に財産を相続できるというメリットがあります。ただし、財産を手放す必要があり、そのまま財産を活用することができなくなります。

相続税の納税資金を十分確保できていない

相続税の納税資金が用意できない場合も、不動産の売却を検討するほうがよいでしょう。

相続税は、相続財産の課税価格が「3,000万円+法定相続人の数×600万円」を超えた場合に課され、税金は現金で納めるのが原則です。被相続人の現預金や相続人の貯金が少ない場合は、不動産を売却するなどして納税資金を工面する必要があります。

実際に弊社にも「まずはいくらで売れるか知りたい」というご相談をいただくこともあります。納税資金の工面が必要な方は、まずは仲介業者や弊社のような買取業者に見積もりを出してもらうのも一つの手です。

遺言書を使った清算型遺贈が行われていた

被相続人は、遺言書を使い不動産の売買代金を相続人に相続させる清算型遺贈を行えます。

たとえば、遺言書に「遺言者の有する不動産を遺言執行者に換価処分させ、換価金から諸費用を控除し相続人に相続させる」などと書かれているケースです。このような文言が書かれている遺言が見つかった場合は、被相続人の不動産は遺言執行者によって売却されます。

2.遺産分割協議を行う

相続人が複数いて遺言書がない場合は、遺産分割協議を行う必要があります

遺産分割協議とは、相続人全員で誰がどの相続財産を相続するかについて話し合う手続きのことです(民法第907条)。協議にあたっては、事前に相続人調査や財産調査を行い、対象となる財産を整理しておくことが一般的です。そして日にちを調整し、相続人全員で財産の分割方法について話し合います。

話し合いがまとまれば、全員の署名・押印と合意内容を記載した遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は相続登記をはじめ、自動車の名義変更、金融機関での手続き、相続税の申告など、さまざまな場面で提出を求められます。

なお、遺産分割協議が不成立の場合は、遺産分割調停に移行するのが一般的です。遺産分割調停とは、家庭裁判所の裁判官と調停委員が間に入り、解決策の提案などをしてくれる手続きのことです。また、調停も不成立なら、裁判官が決定を出す審判に自動的に移行します。

実際に、遺産分割協議の段階で相続人間で意見が分かれるケースは一定数みられ、司法書士などの専門家を交えて進めることもあります。不動産に関する遺産分割協議がなかなか進まない場合、弊社と連携している士業事務所で法的なサポートも提供可能です。

3.相続登記の手続きを行う

遺産分割協議が無事に終わったら、不動産を売却するために相続登記の手続きを行います。

主な流れは、必要書類の取得・作成と法務局への提出です。

相続登記をするにあたり、まず戸籍謄本などの取得と登記申請書などの作成が必要になります。登記申請書とは、登記の申請をするために法務局に提出する書類のことです。法務局の窓口で交付してもらったり、法務局のWebサイトからダウンロードできたりします。

申請書に相続人の名前や不動産の情報などを書いて完成させたら、戸籍謄本や遺産分割協議書などの添付書類と一緒に綴じます。なお、原本の返還を希望する場合は、「原本と相違ありません」と記載した登記申請書一式のコピーを作成しておくとよいでしょう。

申請書・必要書類を用意できたら、法務局に対して申請を行います。申請方法には窓口への持参、郵送、オンラインの3種類があります。提出書類に間違いや不備がなければ1週間程度で受理され、法務局から登記完了証と登記識別情報通知書が交付されます。

なお、書類の不備や不足があると補正対応が必要となるため、事前の確認が重要です。

必要書類は登記申請書や戸籍謄本など

相続登記では、以下の必要書類を添付して提出する必要があります。

必要書類 遺産分割協議の場合 遺言の場合
登記申請書
遺産分割協議 ×
遺言書 ×
相続関係説明図
被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
被相続人の住民票の除票または戸籍の附表
法定相続人の戸籍謄本
法定相続人の印鑑証明書 ×
法定相続人の固定資産課税証明書(明細書)
法定相続人の住民票

通常、遺産分割協議を行った場合は、被相続人の戸籍謄本や固定資産課税証明書は取得していることが多いです。申請者自身の戸籍謄本・印鑑証明書・住民票などの足りない書類を取得し、申請までに登記申請書や相続関係説明図を作成しておきましょう。

弊社が対応したお客様の中には「被相続人の出生から死亡までの戸籍収集に時間がかかった」とお話されていた方も多くいらっしゃいました。

たとえば、被相続人が転籍を繰り返していたり、婚姻・離婚歴があったりすると、全国の役所から何通・何十通もの古い手書きの戸籍を遡って集める必要があり、ここで数ヶ月ストップしてしまうケースも少なくありません。

そのため、早めに準備を進めておくと手続きがスムーズです。

費用は不動産の価額×0.4%+必要書類の取得費用

相続登記では、登記の手続き費用と必要書類の取得費用が必要になります。

登記の手続き費用は、原則「不動産の価格×0.4%」で計算します。

不動産の価格は固定資産税評価額を基準とするのが一般的で、市区町村が交付する固定資産課税明細書や固定資産税課税証明書で確認できます。

金額分の収入印紙を何も書いていない台紙に張り付けて、登記申請書と一緒に綴じて提出しましょう。

また、戸籍謄本、住民票、印鑑証明書などの取得費用もかかります。地域や取得方法によって異なりますが、通常は1通あたり200~750円程度でしょう。

郵送で交付を受ける場合は切手代がかかり、窓口で交付を受ける場合は交通費を負担する必要があります。

マイナンバーカードがある方はコンビニエンスストア等での証明書自動交付サービスが利用でき、郵送や窓口よりも安く取得が可能です。

期間は不備がなければ1週間程度が目安

通常、相続登記の提出資料に不備がなければ1週間程度で受理されます。ただし、あくまで目安であり、繁忙期ではより多くの時間がかかります。

また、不備があった場合も、法務局に補正を求められたり、呼び出されたりするため時間がかかってしまうでしょう。

4.相続した不動産の売買を行う

相続した不動産は、通常であれば仲介による売却と買取による売却のいずれかを選択して進めるのが一般的です。

仲介の場合は不動産会社と媒介契約を締結し、市場で買主を探します。一方、買取の場合は不動産会社が直接買主となるため、条件次第では比較的スムーズに取引が進む傾向があります。

仲介の場合、売買を依頼する不動産会社が見つかったら、媒介契約を締結します。媒介契約には一般媒介契約、専属媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。それぞれの主な違いは、以下のとおりです。

一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数社への依頼の可否 × ×
自己発見取引の可否 ×
おすすめのケース 立地などがよい場合
時間をかけられる場合
自分で売却活動ができない場合
立地などの条件が良くない場合
できる限り早く売りたい場合
自分で売却活動ができない場合
立地などの条件が良くない場合
できる限り早く売りたい場合

どの契約形態が適しているかは、売却期間や物件条件、売主の方針によって異なります。

一般媒介契約は複数の不動産会社と締結できますが、専属媒介契約・専属専任媒介契約は1社としか締結できません。また、専属媒介契約と専属専任媒介契約では、売主自身が買い主を見つけられるかどうかが異なります。

通常は、自分で買主を見つけられる一般媒介契約か専任媒介契約がおすすめです。あとは、売主の希望や物件の状態などによって締結する媒介契約を決めるとよいでしょう。

不動産の買主が見つかったら、売主と買主が売買契約を締結します。売買契約をするにあたり、まずは宅地建物取引士による重要事項説明の読み合わせがあります。それから契約書に署名・押印し、引き渡しの日までに買主から手付金が支払われるのが一般的です。

引き渡しの日になったら、各種支払いや登記手続きなどが行われます。不動産の所有権移転登記もこのタイミングで行われ、司法書士などの専門家に依頼して進めるケースが一般的です。

これらの手続きを終えて、買主に不動産の書類や鍵を渡したら、引き渡しは完了となります。

相続した不動産をできる限り早く売却するコツ

相続財産の不動産を売却するには、遺産分割協議、相続登記、不動産売買というステップを踏む必要があります。そのため、相続の発生から実際の売却までには、一定の期間を要するのが一般的です。

一方で、各手続きをどの順番・優先度で進めるかによって、全体のスピードに差が出る傾向があります。

ここでは、相続して手に入れた不動産をできる限り早く売却するコツを紹介します。

1.不動産の遺産分割協議を優先して行う

一般的に遺産分割協議では、全ての相続財産に関して話し合いをします。

しかし、実は遺産分割協議は複数回に分けて行うことも可能なため、不動産に関する協議だけ優先して進めることができます。また、不動産しか記載されていない遺産分割協議書でも有効です。

法務局も不動産のみの遺産分割協議書で相続登記の申請を受け付けてくれます。

遺産分割協議は、相続人の数が多い場合や分割方法の意見が分かれる場合、長期化することがあります。そのため、売却を前提とする不動産については優先的に整理しておきましょう。

2.相続登記の申請手続きを司法書士に依頼する

相続登記をスムーズに行いたいなら、司法書士に依頼するのがおすすめです。

相続登記の手続きは、相続人自身でもできます。しかし、登記申請書や相続関係説明図を作成したり、作成した申請書を提出したりするのに手間がかかります。

また、提出した書類に不備や間違いがあった場合には、登記官の指示に従い補正をしなければなりません。

その点、司法書士に依頼すれば相続登記の手続きに不備が少なく、短時間で受理される可能性が高まります

戸籍収集や相続関係の整理についてもサポートを受けられるため、結果として手続き全体の期間短縮につながることもあります。相続自体を迅速に終わらせるために依頼を検討するのもよいでしょう。

弊社へのご相談でも、「書類の準備で時間がかかっている」というお声は多く、専門家に依頼することでスムーズに進んだケースも少なくありません。弊社は1500以上の士業と連携しているため、相続登記をスムーズに進めたい場合にご紹介も可能です。

3.相続登記の前から不動産会社に相談しておく

不動産会社との売却相談は、相続登記をする前でもできます。

事前に相談することで、不動産を査定してもらえたり、売却する際のアドバイスを得られたりします。また、複数の不動産会社と比較しておくことで、方針に合った依頼先を事前に検討できます。

不動産会社を選ぶ際は、過去の取引実績、インターネット広告の有無、見込み客の有無、担当者の営業能力などが重要になります。

相談する際はこれらを確認しつつ、その不動産会社が信用できるかどうかを見極めるようにしましょう。

なお、「すぐに現金化したい」「共有関係を解消したい」「仲介では断られてしまった」といったケースでは、弊社のような買取業者も選択肢の一つです。

「相続登記の特約」でリスクを回避するのもおすすめ

不動産の売買契約を締結する際に、相続登記の特約をつけることもできます。

相続登記の特約とは、所有権移転登記の時期までに売主が相続登記を完了させることを約束する特約です。

相続登記の特約の正式名称は「停止条件付売買契約」といい、実務上は「相続登記が完了すること」を契約の効力発生の条件とする「停止条件付売買契約」として結ぶのが一般的です。

また、売主が誠実に手続きを行ったものの、やむを得ない事情で相続登記ができなかった場合には、違約金や遅延損害金を支払わずに解除ができるという項目も含められます。

このような特約を設けることで、登記未了の状態で契約を進める際の条件を明確にすることが可能です。

ただし、特約の内容や条件については個別に調整が必要となり、すべての取引で採用されるわけではありません。

実務上は、相続登記の完了を前提として売却を進めるケースが一般的であり、登記状況によっては売却活動の開始時期が調整されることもあります。

そのため、遺産分割協議が完了していない段階では、そもそも不動産会社が媒介契約に応じないケースもある点に注意しましょう。

2024年より相続登記は義務化!登記しないデメリット

相続登記は、不動産を売却する前提となる手続きです。

2024年より相続登記が義務化されたことで、相続登記しないと不動産を売却できないだけでなく、相続登記をしないと過料を科されたり、トラブルに巻き込まれたりする可能性もあります。

ここでは、不動産の相続登記をしないことで生じるデメリットについても確認しましょう。

1.10万円以下の過料を科される可能性がある

従来、相続登記をしなくても相続人に対する罰則はありませんでした。しかし、2024年4月1日より相続登記の申請が義務化されます

第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする
引用元 e-GOV 法令検索「新不動産登記法第76条の2」

これにより、正当な理由なく相続登記の申請を怠った場合、10万円以下の過料を科される可能性があります(新不動産登記法第164条第1項)

なお、具体的な適用は個別事情に応じて判断されるため、期限や要件を事前に確認しておくことが大切です。

2.不動産の権利・義務に関するトラブルが生じる

不動産の相続登記をしない場合でも不動産に関する義務は引き続き発生し、以下のようなデメリットもあります。

  • 固定資産税を負担する
  • 第三者に権利がわたる
  • 家賃を受け取れない など

固定資産税の負担や建物の管理責任などは、登記の有無にかかわらず生じます。固定資産税を納める必要はありますし、不動産の老朽化などが原因で他人をけがさせたら損害賠償を請求される可能性があるでしょう。隣人とのトラブルが起きる可能性もゼロではありません。

また、相続登記をしていない不動産は、相続人全員の共有状態となるため、持分の処分や第三者との関係など、権利関係の整理が複雑になる傾向があります。

たとえば、相続人の誰かが勝手に自分の持分を売却したり、相続人の債権者が持分を差し押さえたりするリスクがあります。こうなると本来の相続人は、その第三者に対して所有権を主張できません。

さらに、相続する不動産が賃貸物件だった場合、相続登記をしていないと借主から家賃を受け取れない可能性があります。

また、新しく貸し出そうと思っても、相続登記をしていない物件を仲介してくれる不動産会社は多くありません。

このように、不動産の活用の面でもデメリットが生じてしまいます

実際に弊社でも「名義が整理されていないために手続きが進まない」というご相談は一定数見られ、早期に登記を行うことでその後の対応がスムーズになるケースが多くあります。

3.子孫が相続登記をする際に負担が増えてしまう

相続登記を行わないまま次の相続が発生すると、手続きの対象が増え、相続人に以下のような迷惑がかかります。

  • 祖父母と親の分の相続登記が必要になる
  • 書類を取得するための負担が増える
  • 相続人同士の権利関係が複雑になる など

相続登記がされていない不動産を相続する人は、原則として祖父母と親の2回分の相続登記を行います。子どもが相続する頃には、戸籍謄本などの入手が困難になっていたり、権利関係が複雑になっていたりして、負担が増える可能性も考えられるでしょう。

なお、親が相続したことがわかる遺産分割協議書などが残っていれば、不動産の名義を祖父母から孫などに直接変更する「中間省略」ができる可能性はあります。しかし、この場合であっても1回目の相続人を確定させるなど、通常より手間はかかるでしょう。

相続人の数が増えることで合意形成が難しくなるなど、手続きが複雑化する傾向も見られます。将来の負担を見据えて、早い段階で登記を行っておくことを弊社でも推奨しています。

まとめ

相続財産の不動産を売却するには、事前に相続登記を完了させておくことが前提となります。売買契約自体は締結できる場合があっても、所有権移転登記が行えなければ取引を完了できないため、実務上は登記手続きが不可欠です。

仮に売買契約を締結したにもかかわらず、引き渡しの時点で所有権移転登記ができなかった場合、買主から売買契約を解除されたり、違約金を請求されたりするリスクがあります。

不動産の売却をできる限り早く行いたいなら、遺産分割協議、相続登記、不動産売買というそれぞれの段階をできる限り早く終わらせることが重要です。司法書士に相続登記の申請を依頼したり、早い段階から不動産会社と相談したりしておくことをおすすめします。

なお、相続登記は2024年4月1日より義務化されており、正当な理由なく相続登記をしていない場合、10万円以下の過料を科される可能性があります。不動産売買ができないだけでなく、ペナルティも課されるため、相続が発生した段階でできる限り早く相続登記の手続きを行いましょう。

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    更新日 : 2025年11月07日
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