離婚に際し、持ち家をどうするかは大きな課題のひとつです。不動産情報メディア「イエコン」を運営する株式会社クランピーリアルエステートが、持ち家を所有したまま離婚した男女364人を対象に調査を実施。その結果、約7割の人が離婚時に住宅ローンを抱えており、特にオーバーローンが売却の障壁になっていることが明らかになりました。
調査によると、離婚後の持ち家の処遇として最も多かったのは「どちらかが住み続ける」ケースで、全体の約半数を占めました。一方、売却に踏み切った人は3割にとどまっています。オーバーローンのため売却を断念せざるを得なかった人が多い一方で、アンダーローンであれば財産分与や生活環境の変化を理由に売却を決断するケースも見られました。
本記事では、離婚後の持ち家の選択肢や、住宅ローンが売却や住み続ける判断に与える影響について詳しく解説します。
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離婚後に持ち家を売却したのは3割のみ!約半数はどちらかがそのまま住み続けている
持ち家を離婚後どうしたのかを聞いたところ、以下のような回答結果となりました。
自分か元配偶者のどちらかが住み続けたという人が1番多く、約半数が回答しています。
「自分の名義の家なので配偶者は出ていき自分が住んだ」「自分の名義の家だが自分は出ていき配偶者が住んだ」の回答を合わせると、62%が家を手放さずどちらかが住んでいるということになります。
一方、売却した人は全体の3割に留まりました。
売却しなかった人の意見の中には、ローンに関するものがあるようです。
オーバーローンになるため売却しなかったという意見が多数
売却しなかった理由として多いのは、「オーバーローンのため」でした。
- オーバーローンのため売却したとしても残債が1000万近く残ってしまうため売却できなかった(40代男性)
- ローンが残っており、売却の手続きも面倒だったので、そのまま住み続けています。(40代男性)
- 売却を考えたが、ローン残高より高値で売れないし、手間や時間もかかるし、生活環境が変わるのも嫌だったので子供と二人で暮らしている。(40代男性)
- 家を買ってまだ三年という時に離婚してしまったので、まだほとんどがローンの状態だったので。(40代女性)
- 売ろうと思ったが住宅ローンが残っていたのでやめた(40代女性)
残債が1000万近く残ってしまうため売却しなかった人や、オーバーローンに加えて手続きの手間を考えてそのまま住み続ける選択をした人がいます。
また、家を買ってからあまり年月が経っておらず、ローンがたくさん残っていた人もいるようです。
ローン残高が持ち家の評価額を上回っていると、売却の際に差額を自己資金でまかなったり住み替えローンを利用したりと金銭的な負担が大きくなります。
そのため、オーバーローンの状態で家を売るのはハードルが高いと考える人が多いのは仕方のないことでしょう。
アンダーローンの場合は売却できている人もいる
同じくローンについての意見を見てみると、住宅の評価額がローン残債を下回っている「アンダーローン」の場合は、売却している人が多くいることもわかりました。
- 試しに同じマンションの中古相場をインターネット上で確認したところ、購入価格と同等で売買されている事が解った為(50代男性)
- 購入時とほぼ同額で買ってくれることになり、手続きもスピーディだったから(50代女性)
- 住んだ後に、すぐ近くに地下鉄の駅ができ、ショッピングモールもできました。これにより購入時よりも高い金額で売れる事が分かったので。(40代男性)
- ローンは完済していたので、慰謝料の支払いをしてもらうため、売却と同時に振込をしてもらった(50代女性)
売却した際に利益は出なくても、住宅価格とローンがほぼ同額だったため売却した人や、購入後に周辺の開発が進んだために持ち家の価値が上がった人がいました。
また、すでにローンを完済している場合には売却金額がそのまま手元に残ります。
その売却金額を慰謝料に当ててもらったという人もいました。
ローンがあっても財産分与やさまざまな理由のため売却した人も
他にもさまざまな理由で、持ち家を売却した人がいます。
- 夫婦で頭金等を出し合って購入したので、財産分与の為に売却した。(50代女性)
- ペアローンで購入した家だったので、売却した方がややこしくなくて良いと考えました。(40代男性)
- ローンが残っていたので、どちらかが住むとしたら住む人が払うべきという話になり、お互いそれは嫌だったので売却することに決めた(30代女性)
頭金を夫婦2人で出していたり、ペアローンでお互いが負債を背負っている場合は、財産分与の際に家の扱いをどうするかが難しくなります。
そのため、売却してしまってシンプルに分ける方が良いと考える人もいるようです。
また、ローンが残っているために住んだ人が返済を引き継がなくてはいけないという問題もあります。
アンケートには、お互いにローンを払うのが嫌だったので売却したという人もいました。
- 売れても少しローンが残り少し負担になった。(30代女性)
- 住宅ローンが20年以上残っていたし、一括返済はできなかった(40代女性)
- 売ろうとしてもすぐ買い手がつかなかったこと。売ったお金でローン残高の支払いもありますし、焦りました。(50代男性)
- 売れるのに時間がかかったり手続きが大変でした。(40代女性)
ただし、売却に時間がかかったりローンの残債を負担したりと苦労した声もあります。
家の売却には立地条件や築年数などさまざまな要因が関係しますが、一筋縄ではいかなかった人も多いようです。
離婚した当時住宅ローンが残っていたのは68%
離婚した時に住宅ローンが残っていたかどうかを聞いた質問では、68%の人が「残っていた」と答えました。
一般的には30~35年の範囲でローンを組む人が多いため、熟年離婚でない限りはローンが残っていることが多いのではないでしょうか。
離婚後もローンを払う男性は女性の4倍いる
離婚後にどちらかが持ち家に住む場合、誰がローンを払うかについて聞いた質問では以下の結果となりました。
「男性が払う」と答えたのは75%、「女性が払う」と答えたのは19%と、男性のほうが女性の約4倍いるとわかります。
これは別の質問で「持ち家の名義」について聞いたところ、男性名義が女性名義の4倍あることに関係しているのではないでしょうか。
男性名義と答えたのは67%、女性名義と答えたのは16%です。
家の名義とローンの支払者に相関関係があることがわかります。
持ち家の査定額が「妥当」と思っている女性は約9割、男性は5割
持ち家の査定額についての感じ方には、男女差があるとわかりました。
男性で査定額を「妥当」と思っている人は50%いるのに対して、女性は88%と9割近くの人が妥当だと感じています。
査定額を「安い」と感じている男性は女性の4倍
査定額を安いと感じている人が33%と、女性の9%に比べて多いのも男性の特徴です。
- なかなか売れなく足元を見られて買い叩かれた感じだったから。(40代男性)
- 地元の不動産屋に依頼しましたけど、足元を見られているような感じがしました。(50代男性)
- 4000万で購入、その3年後に離婚して査定額が3000万のため(40代男性)
- 当時は高く売れると周囲からの情報があったから。(40代男性)
査定額に関する意見を見てみると、足元を見られたと感じている人がいます。
また、購入後あまり年月が経っていないにもかかわらず、価格が下がってしまった人や、周囲の情報よりも低かったと感じている人もいるようです。
想定よりも安かったと感じている意見が多く、やはり男性の方が残ったローンを払う人が多いため査定額にシビアなのかも知れません。
女性は査定額を「妥当」と思う意見が多数
一方、女性の意見にはやはり「妥当」だと感じている人が多い印象です。
- 現状ままの売却だったため、リフォーム代を差し引けばこんなものかなと思ったから。(40代女性)
- そもそも 中古で分譲マンション買ったので その当時よりかは 金額が下がっていることは当然だと思ったので(40代女性)
- 新築だったので安い値段なら自分か相手が住んだ方がいいかもと色々考えただろうけど、予想より良かったのとこれ以上高くはならないだろうと思った(30代女性)
リフォーム代を差し引いた金額で考えれば妥当と感じる人や、買った当時よりも金額が下がっているのは当然と、高く売れたわけではないが金額に納得している人がいました。
一方、予想より高かったが、これ以上は高くならないだろうと考えた上で「妥当」と判断している人もいます。
ある意味、物件に対して冷静に分析している印象を受けました。
離婚後に住宅ローンで困らないために、住宅購入前に売却も視野に入れておくことが重要
住宅を購入する際に、その先に離婚があると考える人はかなり少ないでしょう。
しかし、離婚はもちろん他の理由でも将来的に家を売却する可能性はあります。
いざ売却する際に不満や後悔が残らないよう、売却の可能性を意識して家を選んだり、頭金を多くいれるなどローン以外の費用も考慮するなどの対策をしておくと安心ではないでしょうか。
【調査概要】
■調査名:離婚した後の持ち家についてのアンケート
■調査対象:賃貸ではなく家を自分か配偶者が家を所有しており、離婚した方
■調査方法:選択式・記述式のWEBアンケート
■有効回答人数:364
■調査期間:2024年11月26日~2024年12月10日
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