持分移転登記の概要と手続きをわかりやすく解説!登記費用や税金なども詳しく説明

持分移転登記

「共有名義の不動産を相続した」「離婚により夫の持分を名義変更することになった」などの事情で持分の移転登記をおこなわなければならない人も少なくありません。

この記事では、持分移転登記の概要と手続きが必要となる5つの原因を詳しく解説していきます。

また、具体的な手続きの流れや所有権移転登記との違い、必要な書類・費用などもわかりやすく説明するので、ぜひ参考にしてみてください。

持分移転登記とは共有持分権が移った(承継された)ことを示す手続き

5つの原因

持分移転登記・・・共有持分の名義を変更するときにおこなわれる登記手続きのことです。登記された権利者が何らかの事情で持分を手放す際に権利が移ったことを示すために行われます

この手続によって正式に持分の名義が変わったことを証明できるため、第三者に権利を主張することが可能です。

持分移転登記が必要になる5つのケース

共有持分を手放すことにおいては様々な事情があります。主に持分移転登記をおこなうことになるケースは以下の5ケースです。

  1. 相続
  2. 離婚
  3. 持分売買
  4. 持分放棄
  5. 代償分割

次の項目からそれぞれの原因について解説していきます。

①相続

相続財産に被相続人の共有持分が含まれているとしたら、持分移転登記をおこないます。

例えば、
「夫婦共有名義で不動産を購入し持分1/2ずつ所有している」
「被相続人は夫」
「相続人は妻と子ども(計2人)」

だとします。

もし法定相続分に従うのであれば、妻と子どもにそれぞれ1/2ずつの相続分が認められます。そのため、夫の持分1/2の半分である1/4ずつに対して持分移転登記手続きをおこないます。

その結果、妻は「1/2+1/4=3/4」子どもは「1/4」の持分を所有することになります。

②離婚

夫婦でペアローンを組んでいたり共同出資しているなどの場合、不動産の購入代金に対する自己負担額の割合に応じて持分をそれぞれ設定するのが一般的です。

離婚することになってしまったとすると不動産の持分を含めた財産分与がおこなわれることがあります。

例えば、夫が家を出ていき妻がそのまま住み続ける場合、権利関係の解消を目的として夫から妻への持分移転登記がおこなわれるケースもあります。

登記をおこなうためには離婚が成立したあとに2人で協力して共同申請する必要があります。離婚時の夫婦関係によっては「登記に協力してくれない」「手続きを進めてくれない」などの可能性もゼロとは限りません。

このようなトラブルを防ぐためには持分移転登記に共同申請することを約束した内容の「離婚協議書」を作成しておくとよいでしょう。

それでも手続きに協力してもらえないときは離婚問題や財産分与に詳しい弁護士に相談することが大切です。

住宅ローンが残っている場合は金融機関に相談する

持分移転登記をおこなう際に住宅ローンが残っているのであれば、貸主である金融機関に承諾をもらわなければならないケースがあります。

なぜなら、借り入れた当時の条件を基に審査がおこなわれているため、無断で不動産の持分や所有権の名義を変更すると契約違反になりかねないからです。

契約違反であるとみなされてしまうと残債の一括返済を請求されてしまう恐れもあります。

もし住宅ローンが残っている状態で持分移転登記の手続きを検討しているのであれば、借入先の金融機関に相談することが大切です。

③持分売買

持分が売買され所有者が変わったのであれば持分移転登記をおこないます。

例えば、所有する持分を他の共有者に売却したとすると、購入した共有者に持分の所有権が移転するため手続きをおこなう必要があります。

ちなみに、登記申請書には持分を売却して権利を失う人を「義務者」、購入して権利を取得する人を「権利者」として記載されます。

④持分放棄

持分移転登記は売買だけではなく放棄によっても発生します。

持分放棄・・・共有者が自分の持分を放棄し、その持分が他の共有者の持分割合に応じて帰属(分配)します。

例えば、長男・次男・三男の持分がそれぞれ1/3ずつだとします。長男が持分を放棄すると持分1/3は次男と三男に分配され持分は1/2ずつとなります。

このようなケースでは「持分放棄を原因とした持分移転登記」が発生し、放棄する側と分配される側が共同で申請する必要があります。

持分放棄したとしても登記簿上の名義がそのままだと、固定資産税を支払い続けなければなりません。もし他の共有者が登記申請に協力してくれないのであれば裁判所に「登記引取請求」を申し立てましょう。

無事に登記引取請求が認められれば、持分放棄後の権利関係と登記簿上の権利関係を一致させることが可能です。

⑤代償分割

共有関係を解消するための手段として共有物分割請求がおこなわれることがあります。共有関係の解消方法は裁判所の判決によって決められ、その方法は主に以下の3つです。

  1. 現物分割
  2. 代償分割
  3. 換価分割

この中で持分移転登記がおこなわれるのは「代償分割」のみです。

代償分割・・・他の共有者の持分を買い取ることで共有関係を解消する(単独名義にする)方法です。

一方で、現物分割は主に土地を分筆することで共有関係を解消する方法であり、持分が移転することはありません。また、換価分割は共有不動産を売却して得たお金を持分に応じて分割する方法であるため、所有権移転登記となります。

持分移転登記の流れ

流れ
前の項目で説明したように原因はさまざまありますが、持分移転登記の流れは基本的に同じです。その流れ以下の通りです。

  1. 必要書類を揃える
  2. 法務局に提出する
  3. 持分移転登記完了の書類を受け取る

次の項目からそれぞれについて詳しく解説します。

①必要書類を揃える

持分移転登記の申請では、次の書類が必要です。

  • 登記申請書
  • 登記原因証明情報
  • 登記済証または登記識別情報
  • 固定資産税評価証明書
  • 登記権利者(持分を取得した人)の住民票
  • 登記義務者(持分を手放した人)の印鑑証明
  • 委任状(代理人が申請する場合)

次の項目では登記申請書の作成方法と登記原因証明情報がどのような書類なのか解説します。それ以外の書類については以下の記事で入手方法も含めて説明しているので参考にしてみてください。

もし「仕事で平日の日中は忙しい」「申請に手間をかけたくない」という人であれば、司法書士などの専門家に依頼するとよいでしょう。

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登記申請書

まず登記申請書は自分で作成します。パソコン入力でも手書きでも構いません。ただし、鉛筆や摩擦などで消せる筆記用具は不可です。

登記申請書には目的・原因・移転する持分の課税価格などを記載しましょう。

例えば、山田太郎さんから山田次郎さんに持分が移転する場合は「山田太郎持分全部移転」となります。売買によって移転登記するのであれば、原因は売買となります。

登記申請書の様式や詳しい記載例は法務局が公表しているため参考にするとよいでしょう。もし申請書の作成に疑問や不明点があれば法務局に相談することが大切です。

参照:法務局「不動産登記の申請書様式について 登記申請書の様式及び記載例」
参照:法務局「管轄のご案内」

登記原因証明情報

登記原因証明情報は「持分売買であればその売買契約書」「贈与であれば贈与契約書」「相続であれば遺産分割協議書」などのように書類が異なります。

契約や協議の内容などは口頭での取り決めでも効力が認められます。ただし、実際には契約書や協議書の提出が求められる手続きも少なくありません。

もし持分の売買や遺産分割協議をこれからおこなう・おこなっているというタイミングであれば作成しておくとスムーズに移転登記などの手続きを進められるでしょう。

仮に売買や協議が終了しているのであれば、できる限り内容を思い返して作成しておくとよいかもしれません。

②法務局に提出する

すべての必要書類を揃えたら共有不動産の所在地を管轄している法務局に提出します。

提出は窓口・郵送のどちらでも可能です。また「登記・供託オンライン申請システム」を利用すれば、インターネット上で手続きを進めることもできます。

オンライン申請であれば土日でも受け付けているため、平日は仕事で時間が取れない人は利用するとよいでしょう。

それぞれの詳しい申請方法については以下の記事と同様であるため参考にしてみてください。

参照:法務省「登記・供託オンライン申請システム」

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③持分移転登記完了の書類を受け取る

必要書類に不備がなく登記が完了すると、法務局から登記完了証が発行されます。この書類を受け取れば持分移転登記手続きは完了です。

完了証が発行されるまでの期間は法務局に申請して1週間~2週間程度だといわれています。ただし、書類の修正が必要になれば完了証の発行も遅れるので注意してください。

持分移転登記にかかる費用

費用
持分移転登記をおこなう際に必要書類の発行手数料や登録免許税などの費用がかかります。もし登記申請を司法書士に依頼するのであれば報酬も支払わなければなりません。

それぞれの費用がどのくらいかかるのか大まかな金額を把握しておくことで「想像以上に金額がかかってしまった」などのトラブルを防げるでしょう。

必要書類準備のための手数料

書類によっては発行手数料がかかるものがあります。手数料は自治体によって異なるケースもありますが、基本的には以下の通りです。

書類 手数料
固定資産税評価証明書 300円/1通
住民票 300円/1通
印鑑登録証明書 450円/1通

ちなみに、印鑑登録証明書をオンライン請求すると送付または窓口での受け取りが選択可能です。送付であれば1通410円、窓口交付であれば1通390円の手数料がかかります。

参照:法務省「登記事項証明書等の交付の請求をする場合の手数料が改定されます!」

登録免許税

登記申請をするときに「登録免許税」を納付しなければなりません。登録免許税は固定資産税評価額に税率を掛けて計算され、税率は登記原因によって異なります。

登記原因 不動産の種類 税率
売買 土地 平成31年4月1日から令和3年3月31日まで:1000分の15
令和3年4月1日から:1000分の20
売買 土地以外の不動産 1000分の20
相続 すべて 1000分の4
贈与 すべて 1000分の20
財産分与(離婚) すべて 1000分の20

さらに持分移転の場合は、申請する持分割合も掛けられます。

例えば
「登記原因が相続」
「評価額1,000万円の土地」
「持分1/10を有している」

とすると持分移転登記の登録免許税は以下の通りです。

登録免許税=1,000万円×4/1000×1/10=4,000円

ちなみに、原則は現金での納付ですが、30,000円以下の登録免許税であれば収入印紙を登記申請書に貼り付けることで納付が認められています。

また、オンライン申請システムを利用して登記申請をおこなうことで「インターネットバンキング」「モバイルバンキング」「ATM」などを使って電子納付も可能です。

司法書士報酬

司法書士に支払う報酬は依頼する事務所によって異なります。持分移転に対する報酬は30,000円~40,000円が相場だといわれています。

「手続きに不安があるから任せたい」「手続きに手間をかけたくない」という人などは司法書士に依頼するとよいでしょう。

一方で「費用を節約したい」「平日の日中に時間がとれる」という人は自分で手続きをおこなうことも選択肢の1つです。

手続きに疑問や不安があれば法務局に問い合わせることで担当者から詳しい話が聞けることもあります。

持分移転登記で課税される可能性がある税金

税金
持分移転登記では、登記原因や不動産の評価額によっては登録免許税以外にも課税対象となる税金が主に4つあります。

  • 相続税
  • 譲渡所得税
  • 贈与税
  • 不動産取得税

それぞれの税金について具体的な税率や計算式を用いながら解説するので、大まかな税額を算出できるようになっておくとよいかもしれません。

相続税

持分を相続して移転登記をおこなうことで相続財産の合計額によっては相続税が課税されることがあります。取得金額ごとの基本的な税率と控除額は以下の通りです。

取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

例えば、取得金額が3,000万円だとすると相続税の金額は以下の計算式となります。

相続税額=3,000万円×15/100(15%)-50万円=400万円

ただし、実際には基礎控除額や不動産相続における特例などを考慮する必要があります。

不動産相続税の基礎知識や計算方法などは以下の記事でわかりやすく解説しているので、より理解を深めたい人は参考にしてみてください。

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譲渡所得税

持分を売却して利益が生じたのであれば「譲渡所得税」が課税されるケースがあります。まず譲渡所得の大まかな計算式は以下の通りです。

譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)

算出された譲渡所得に税率をかけますが、不動産の所有期間によって異なります。

売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、税率は以下の通りです。

区分 所得税 住民税
長期譲渡所得 15% 5%
短期譲渡所得 30% 9%

譲渡所得が500万円だとすると長期・短期それぞれの譲渡所得税は以下の計算式になります。

長期譲渡所得税=500万円×(15%+5%)=100万円
短期譲渡所得税=500万円×(30%+9%)=195万円

長期と短期では税額が約2倍の差が生じてしまうことがわかります。そのため「あと数カ月で所有期間が5年を超える」「売り急いでいるわけではない」というのであれば、売却のタイミングを少し遅らせることで節税につながるといえます。

仮に譲渡所得が0円またはマイナスになりそうであれば譲渡所得税は課税されないため、すぐに売却しても税金面での心配はしなくてもよいでしょう。

ちなみに、譲渡所得税の計算方法については以下の記事でもわかりやすく解説しています。

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贈与税

贈与が原因で持分移転登記が発生した場合は、持分を受け取った人(贈与された人)に贈与税が課税されます。

贈与税は「祖父母や父母などの直系尊属からその年の1月1日時点で20歳以上の子どもや孫におこなわれた」ことによって税率が異なります。一般的な親子間で贈与があった場合の税率は以下の通りです。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

ちなみに、基礎控除額は110万円です。例えば、贈与された持分の評価額が500万円だった場合、基礎控除後の課税価格と贈与税額は以下の通りです。

課税価格=500万円-110万円=390万円
贈与税額=390万円×15%-10万円=48万5,000円
※税率と控除額は上記の表を参照

不動産取得税

不動産取得税は都道府県や市町村などの地方公共団体に収める地方税です。有償・無償にかかわらず不動産を取得したときには課税されますが、相続によって取得したときは課税されません。

そのため、相続以外の売買や贈与、財産分与が登記原因の場合には不動産取得税がかかります。不動産取得税は原則、固定資産税評価額の4%です。

仮に固定資産税評価額が2,000万円だとすると不動産取得税は以下の通りです。

不動産取得税=2,000万円×4/100=8万円

ただし、一定の要件を満たすことで税率が軽減されたり、課税標準額が2分の1とする特例があります。

不動産取得税の算出方法や軽減措置などについて以下の記事で詳しく解説しています。

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まとめ

持分移転登記の原因は相続・贈与・売買・財産分与などさまざまありますが、基本的な手続きは所有権移転登記と同じです。

登記申請書の登記の目的に「持分全部移転」と書くか「所有権移転」と書くかの違いがあるくらいですので、複雑に考える必要はありません。

持分移転登記では登録免許税のほかに、相続税や贈与税、譲渡所得税などの税金を納める必要もあるので事前に計算しておくとよいでしょう。

また、登記申請や税額計算は法務局、税務署などでそれぞれの担当者に相談しながら自分でおこなうことが可能です。

もし「手続きに手間をかけたくない」「仕事で忙しくて手続きする余裕がない」という人などは司法書士や弁護士などの専門家に依頼するとよいでしょう。

最終更新日:
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