賃貸経営を行っている方の中には、所有中の物件でトラブルが発生したものの対応方法が分からずに困ったという経験をしたことがある方も多いと思います。賃貸物件の管理を管理会社に委託している場合にはトラブルにすぐ対応してくれますが、自己管理の場合には対応方法を誤ると経営に大きな影響が生じるので注意が必要です。
この記事では、賃貸経営をしているオーナーに向けて、賃貸経営でよくあるトラブルとその解決方法について解説します。
賃貸経営を行っている方の中には、所有中の物件でトラブルが発生したものの対応方法が分からずに困ったという経験をしたことがある方も多いと思います。賃貸物件の管理を管理会社に委託している場合にはトラブルにすぐ対応してくれますが、自己管理の場合には対応方法を誤ると経営に大きな影響が生じるので注意が必要です。
この記事では、賃貸経営をしているオーナーに向けて、賃貸経営でよくあるトラブルとその解決方法について解説します。
不動産投資も資産運用である以上、空室リスクや滞納リスクなどのリスクを必ず伴うため、リスクマネジメントをしっかりと行わないと損失が生じるので注意が必要です。リスクマネジメントをしっかりと行うには、賃貸経営の際に生じやすいトラブルの内容と最適な解決方法を事前に把握しておくことが重要です。賃貸経営で生じるトラブルとして、主に以下の7つのトラブルが挙げられます。
それぞれのトラブルと解決方法について詳しく見ていきましょう。
家賃収入を得る目的で賃貸経営を始めたという方も多いと思いますが、必ずしも安定した収益が毎月手に入るとは限りません。大家さんの中には、賃貸経営を始めたのはいいものの、空室がなかなか埋まらずに悩んでいる方も多いと思います。賃貸物件の購入時にアパートローンを契約していれば、家賃収入が手に入らなくても返済は生じるため、キャッシュフローが悪化します。キャッシュフローが悪化すると返済が困難になり、最終的に購入した物件を手放さなくてはならない可能性も。そのような事態に陥らないためにはどうすればいいのでしょうか?
管理会社に依頼していても、なかなか空室が埋まらない場合、周辺相場と比べて家賃が高い、管理会社の営業力が低いといった原因が考えられます。家賃相場を物件ポータルサイトで確認して高かった場合には、適正水準に下げることで需要が期待できます。現在はネット環境が整っており、冊子や新聞広告などの紙媒体や店頭での張り紙といった昔ながらの募集方法だけでは、なかなか入居者を確保できません。そのため、もし、管理を委託している管理会社が昔ながらの募集方法を行っている場合は、時代の変化に合わせた募集方法を駆使している管理会社に変更することも1つの選択肢です。
時代の変化に合わせた募集方法として、物件ポータルサイトやレインズに登録するという方法が挙げられます。物件ポータルサイトに数多くの不動産会社が物件情報を掲載しています。物件ポータルサイトに掲載されているかどうか調べるには、自分の物件の名称を入力して検索すれば、物件ポータルサイトに登録されている場合にはネットの検索にヒットします。また、管理会社に物件ポータルサイトに登録しているか聞いて確認することも可能です。
レインズとは、国土交通省が指定している不動産流通機構が運営しているサイトのことで、こちらも数多くの不動産会社が物件情報を掲載しています。レインズは、会員登録している不動産会社しか閲覧できません。ほぼ同じ情報が掲載されているレインズマーケットインフォメーションであれば、一般の人たちも閲覧できますが、レインズのようにリアルタイムで更新されるわけではないので注意が必要です。レインズに登録しているかは、管理会社に直接確認するしか方法がありません。レインズに登録していれば、他の不動産会社からの紹介が増えることで入居希望者が見つかりやすくなるため、レインズの登録は必須と言えます。
他にも、設備が古いことが原因で入居率が下がっている場合には、設備を新しくすることで需要が期待できます。「家賃を下げれば空室が埋まる」と安易に考える方も多くいますが、家賃を一度下げると次の退去時まで下げた家賃で契約することになり、長期的な収入減に陥るので注意が必要です。安易に家賃を下げるのではなく、なぜ空室が生じているのか原因をしっかり特定してから原因に応じた解決方法を選択しましょう。
管理会社に賃貸物件の管理を委託していても、管理会社がしっかりと仕事をしない場合があります。例えば、清掃業務が管理委託契約に含まれているにもかかわらず、エントランスホールが汚れている、建物の劣化が進行しているにもかかわらず、適切な修繕アドバイスを行わないなどです。清掃が行き届いていない場合は、入居者の不満が募って入居率低下の原因になります。また、適切な修繕を行わない場合、資産価値が下がるほか、設備の劣化で大きな修繕が必要になる可能性があります。管理会社が仕事をしない場合の解決方法を見ていきましょう。
管理会社に管理を委託していても、任せきりだと実際に管理がしっかりと行われているか見抜くことができません。そのため、定期的に訪れて管理がしっかりと行われているのかを確認することが重要です。その上で、管理が行き届いていない旨を管理会社に一度伝えて、どのように改善するのかを話し合います。話し合ったにもかかわらず、それが実行されていない場合には、管理会社の変更をおすすめします。
適切な修繕アドバイスが行われていないと感じた場合は、管理会社に確認することが重要です。管理会社が一度確認した際に、劣化が緩やかだったという理由で、先送りにしている可能性があるためです。しかし、理由がないにもかかわらず、修繕のアドバイスを行っていない管理会社の場合は、管理委託を継続してもトラブルが生じる可能性が高いと考えられます。そのような場合は、管理会社を変更した方が良いと言えるでしょう。
賃貸物件を購入して運用していたものの、雨漏りやシロアリ被害などが生じている場合があります。雨漏りやシロアリ被害などが生じたまま放置すると建物の劣化が進行するため、修繕が必要になります。しかし、これらの修繕を行うには膨大な費用がかかるケースが多く、資金に余裕がなければ修繕費用を確保しなければなりません。
購入した賃貸物件に雨漏りやシロアリ被害といった瑕疵が潜んでいた場合には、瑕疵担保責任を追及することが可能です。瑕疵担保責任とは、物件に隠れた瑕疵が潜んでいた場合、売主に対して損害賠償請求や契約解除を請求できるという買主を守る制度です。そのため、このような事例では、瑕疵担保責任を追及すれば負担を大きく軽減することができます。
しかし、全ての事例に対して瑕疵担保責任を追及できるわけではありません。売買契約書に瑕疵担保責任を負わない旨が記載されていると、買主が事実を知っていたにもかかわらず黙っていたという故意を証明できない限り、瑕疵担保責任を追及できなくなります。瑕疵担保責任に応じるということは、売主にとっても金銭的負担が生じることになるため、なかなか話が進展しない可能性があります。速やかに話を進めるためには、弁護士といった専門家に相談した方が良いと言えるでしょう。
賃貸経営を行うにあたり、空室が生じると安定した家賃収入が得られないため、空室対策に注力するオーナーは多いと思います。しかし、入居者がいても、家賃を滞納された場合には空室が生じているのと同様に、安定した家賃収入が得られなくなるので注意が必要です。「家賃滞納中の入居者を追い出せばいいのでは?」と思った方も多いかもしれませんが、対応を誤ると入居者から反対に訴えられる可能性があるので注意が必要です。
家賃滞納はもちろん入居者に問題があるのですが、だからと言ってオーナーが強い姿勢で滞納者に対応すると、それがトラブルを悪化させる要因になるので注意が必要です。例えば、部屋に侵入できないように鍵を変える、マスターキーで荷物を全部外に出すなどの行為は、絶対にしてはいけません。滞納への対応は3カ月が1つの目安と言われています。3カ月以上家賃滞納があった場合は内容証明を送りますが、その内容証明に対する応答がなければ支払いの意思がないと判断されます。
大家さん側からの契約解除や強制退去に向けた手続きを進めることはできますが、裁判を起こす場合は手間と時間がかかるので注意が必要です。速やかに手続きを進めるためにも司法書士や弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。また、家賃保証サービスを契約するという方法も。家賃保証サービスとは、入居者が家賃を滞納した場合、保証会社が全額保証してくれるサービスです。家賃保証サービスを契約していれば、万が一滞納が生じても安心して賃貸経営を続けられるでしょう。
賃貸経営を行っていると入居者間トラブルが生じることがあります。例えば、深夜に楽器を演奏する、テレビのボリュームが大きいなどの騒音トラブルやゴミをきちんと分類しない、時間帯を守らないことで生じる異臭などのゴミ出しトラブルです。これらの入居者間トラブルが生じているにもかかわらず、速やかな対応を怠った場合には入居者の不満から退去へとつながって賃貸経営に大きな支障が生じる可能性もあります。
入居者間トラブルで最も重要なのは、速やかに対応するということです。入居者から騒音や異臭などの入居者間トラブルに関する情報を入手した場合、まずは事実確認を行うことが重要です。事実確認の手段として、加害者に直接聞き取りを行うという方法が挙げられます。加害者に直接聞き取りを行って本人が認めた場合は、日付を記入した警告書を作成して今後同様の問題が生じた際に契約解除を行う旨を伝えます。
もし、加害者が認めない場合、その被害状況が分かる証拠を被害者に押さえてもらうことが重要です。証拠が揃った段階で加害者に突きつければ、信頼関係が破綻したことを理由に、契約の解除を申し出ることができます。被害を訴えている入居者がクレーマーだった場合、周囲の入居者がその人物がいることが原因で退去者が増えて、安定した賃貸経営が困難になる可能性があるので注意が必要です。そのような場合、退去費用を負担して入居者に退去してもらうことも1つの選択肢です。しかし、入居者は自分が悪いと思っておらず、なかなか退去に応じない可能性があります。そのような場合、裁判や損害賠償に移るため、専門家である弁護士に任せることをおすすめします。
入居者は契約を解除する際に建物の原状回復に必要な費用を支払わなくてはなりません。賃貸借契約では、契約時に敷金を支払って、その中から原状回復費用を引いて、残った分を退去者に返還するのが一般的です。敷金なしの物件は、契約時に敷金を支払わないものの、原状回復費用を実費負担することが契約書に盛り込まれています。しかし、契約を解除する退去者の中には「原状回復費用を支払うお金がない」という理由で支払いを拒否する人もいます。
原状回復費用に関するトラブルが多いことから、国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルガイドライン」を作成しました。ガイドラインでは、賃借人の原状回復義務と費用負担の詳細が書かれているため、賃貸人と確認しながら話を進めていくことで支払ってもらえる可能性があります。しかし、それでも賃貸人が支払ってくれない場合は訴訟を起こすことになります。
費用や時間をかけずに回収する方法として分割で支払ってもらうのも1つの選択肢です。一括で支払うことに対して拒否する場合でも、分割払いであれば応じる可能性があります。分割払いという方法を選択する場合には、その内容をしっかりと書面に残しておくことが重要です。例えば、1回あたりの支払い額はいくらなのか、何回払いなのか、支払いが滞った場合にはどうするのかなどです。作成した書類に漏れがあった場合、相手が有利になってしまうため、そのようなことがないように弁護士といった専門家に相談して契約書を作成してもらいましょう。
自分が賃貸経営を行っているわけではなく、両親が賃貸経営を行っている場合には、両親が亡くなると賃貸物件の相続が発生します。賃貸物件の相続と言っても現金のように法定相続分に応じて賃貸物件を分けられないため、遺産相続でトラブルに発展する可能性が高いと言えます。
賃貸物件は資産価値が大きいため、相続が発生した場合にはある程度の相続税が発生する可能性が高いと言えます。相続財産が現金の場合には相続財産で相続税を納められますが、不動産の場合には資金がないと不動産を現金化してから相続税を納めなければなりません。現金化すると言っても、共有持分のままでは売却を進める際に持分を有している相続人の承諾を常に必要とするため、手間と時間がかかります。スムーズに売却を進めるためには、遺産分割協議を行って、相続人の中から代表者を決めて単独名義に切り替えてから売却を進めるのが一般的です。
また、売却しない場合、誰が賃貸物件を相続するか、他の相続人の法定相続分をどうやって清算するかを明確にする必要があります。そのような事前準備ができていなかった場合は、税金関係の専門家である税理士や相続関係に詳しい弁護士に相談することで速やかに解決できるでしょう。
賃貸経営には、この記事で紹介した以外にも様々なトラブルが発生する可能性があります。それらのトラブルは賃貸経営に大きな支障を与える場合があるため、賃貸経営のリスクを少しでも減らすためにも、対策をしっかりと練っておくことが重要です。賃貸経営のリスクを少しでも減らすためのコツとして、以下の3つが挙げられます。
それぞれのコツについて詳しく見ていきましょう。
賃貸経営を行っているオーナーの中には、自主管理を行うことによって管理会社に支払う管理委託費を抑えることで、不動産所得の最大化を狙っている方もいると思います。確かに自主管理にすれば支出を抑えられますが、賃貸経営にあまり詳しくないオーナーが自主管理をした場合、空室リスクや家賃滞納リスクなどの賃貸経営リスクが高くなるので注意が必要です。
管理会社は不動産の専門家なので、管理を委託すれば賃貸経営で伴うほぼ全てのリスクを大きく抑えることが可能ですが、管理会社であればどこでもいいわけではありません。入居希望者の入居審査や入居者対応、入居者管理などをしっかり行っているかを契約前に確認しておくことが重要です。これらは視覚的に分かりませんが、他の管理している物件の入居率や空室率、受託している物件数でおおよその判断が可能です。信頼できる管理会社に管理を委託することが、賃貸経営のリスクマネジメントと言えるでしょう。
管理会社に物件の管理を委託していても、任せきりにしている場合、管理に問題があっても気づきません。管理の問題に気づくのが遅れた場合は、空室や家賃滞納などの賃貸経営のリスクが高くなるので注意が必要です。物件所有者として、適切な管理が行われているのか、不動産市場がどんな状況なのかなど、情報収集をしっかりと行うことが重要です。
例えば、近隣物件の入居状態と所有中の物件の入居状態を比べて所有中の物件の入居率が低かった場合は、物件に何かしらの原因が潜んでいる可能性があります。管理会社の清掃がしっかりと行き届いていない、入居者の募集方法に問題がある、家賃設定が近隣物件よりも高い、設備が古いなどです。設備が古いことが原因の場合には、所有物件の入居者の年齢層にどのような設備が人気か調べて対策を練れば、空室リスクを抑えることが期待できます。入居者のニーズに合わせたサポートを行うことによって入居者満足度が向上するため、安定した賃貸経営につながるでしょう。
管理会社に管理を委託していても、管理会社はあくまで不動産の専門家なので、トラブルの内容次第では対応できない可能性があります。例えば、相続関係のトラブルや入居者同士のトラブルなどの場合には、弁護士や税理士に相談するのが一般的です。しかし、管理会社を選ぶ場合と同様に、弁護士や税理士も誰でもいいわけではありません。
弁護士や税理士によって得意分野が異なるほか、報酬も大きく異なります。依頼して成果が得られなければ意味がありません。賃貸経営関連の訴訟や相続税対策を得意とするなど、信頼できる弁護士や税理士を事前に見つけておくことも、安定した賃貸経営を行うために必要不可欠と言えるでしょう。
アパート投資やマンション投資といった不動産投資を行っている不動産投資家の中には、所有している物件でトラブルが生じて困っている方も多いと思います。トラブルの対処法を誤った場合、事態が悪化する可能性があるため、どのようなトラブルが多いのか、どのように対処すればいいのかを事前に把握しておくことが重要です。
また、最近は外国人の入居者も増えています。外国人は生活習慣が異なり、他の入居者とのトラブルが生じやすいと言えます。時代の変化とともにトラブルも変化していくため、管理会社や弁護士、税理士などの専門家と協力しながら賃貸経営を行っていきましょう。