管理会社の対応が悪いと感じつつも、そのままズルズルと委託契約を続けてはいませんか?賃貸経営で成功するか否かは、管理会社選びにあると言っても過言ではありません。
理由もなしに仕事をしない管理会社に物件を任せていては、収益が下がるどころか、損失が大きくなってしまうことも。
この記事では、仕事をしない管理会社に委託しつづける3つのリスクと、管理会社の変更方法と選び方について解説いたします。
仕事をしない管理会社の特徴
まずは、仕事をしない管理会社の特徴から知っておきましょう。現在、以下のような対応をされている場合、その業者は「仕事をしない管理会社」「義務を怠っている不動産会社」であると判断できます。
・清掃や建物維持管理を怠る
・定期的な報告や改善提案がない
・入居者への提案が不十分
・家賃の値下げ交渉が多い
・原状回復工事がいい加減
入居者募集が不十分
入居者募集活動が十分に行われているかどうかは、不動産投資の「要」。どんなに良い物件でも、賃貸仲介業務に本腰を入れてもらえなければ、賃料収入を得るどころか賃貸契約を獲得することもできません。
もし「空室が埋まらない」「満室期間が減った」と感じるときは、不動産会社のプロモーションが十分ではない可能性があります。ほとんどの管理会社は、自社で入居者を直接募集してはいません。
空室を埋めるために直接的な営業をかけることや、チラシを貼ったり配布したりすることができないのです。
そのため、大手ポータルサイトに物件情報を掲載したり、仲介業務を行っている不動産会社に「物件を紹介してください」と営業をかけたりして、入居者からの問い合わせを集めています。
もし、空室期間が長く続いているのにもかかわらず「管理会社から適切な改善策がでない」「空室対策について明確な回答がない」ときは、上記の対策がなされていない可能性が大きいです。
「仲介会社にチラシを貼りだしているか?」「入居者の反応はどうか?」をチェックしてみたり、月の内覧件数を問い合わせてみたりして、プロモーション活動が十分に行われているかどうか確認してみてください。
清掃や建物維持管理を怠る
管理会社が物件を見回っていないと、物件のささいな変化に気づくことができません。その結果、トラブル頻度が多くなり、入居率が低下することにも繋がります。
敷地内の草木が伸びっぱなしになっていたり、共用灯が切れていたりするなど、共有部分が汚れている物件は、管理会社が見回っていない証拠です。
また、何度も「虫が湧く」「不法駐車がある」という生活トラブルが頻繁に発生する場合、管理会社が管理を怠り、改善策を実施していない可能性が十分にあります。
定期的な報告や改善提案がない
管理会社は、オーナーに対して収益維持のためのレポート提出や状況説明をするのが一般的です。にもかかわらず「電話もメールもない」という状態であれば、正しい運営や管理ができません。
「クレーム対応の進捗状況」と「今後のクレーム防止策」「収益アップのための運営方針」などの報連相は、収益を維持するために絶対必要なこと。
このような報告や提案がない場合は、仕事をしない管理会社と判断せざるを得ません。
入居者への対応が不十分
入居者への対応が不十分なため、オーナーの負担が大きくなるケースもあります。入居者からのクレームや要望を放置するなんてことは、もはや論外。
入居者の不満に適切に対応しなければ、退去者が続出してしまいます。また「適当な対応で済ませてしまう」という、一応、対応「だけ」はしているケースも深刻です。
根本的な改善がなされていないため、今後もクレームが発生し続ける可能性があります。
家賃の値下げ交渉が多い
やたら家賃の値下げを要求してくる会社も要注意です。確かに、入居者の不満解消や空室対策のための値下げは効果的です。
しかし、そればかりではオーナーの利益は下がる一方。大事なのは、いかにオーナーの利益を下げることなく、入居者の満足度をあげる提案をしてくるかどうかになります。
「お金での解決しかありません」という提案ではなく「オーナーの費用負担がないクレーム対応案」がほしいところです。
原状回復工事がいい加減
退去後に行うハウスクリーニングや原状回復工事がいい加減に処理されている可能性があります。次の入居者を募集するためにも、退去後の室内はキレイにしておかなければいけません。
また、退去時清算の計算や支払い交渉も曖昧にされる可能性があります。たいした修理もしていないのに、修繕費用を請求されたり、入居者に負担してもらうべき部分をオーナーに請求してきたりする会社もあるのです。
費用負担がハッキリしないことには、工事の着手も遅れ、次の入居付けも遅れてしまいます。
仕事をしない管理会社に委託しつづける3つのリスク
ここまで読んでいただき、仕事をしない管理会社に委託し続けるリスクについて、すでにお気づきのオーナー様も多いと思います。
ご存知のとおり、管理会社の対応の悪さは、収益低下に直結します。このまま管理を委託し続けた結果、以下のような深刻な3つのリスクが発生する可能性が高いです。
経営難に直結する
適切な入居付けが行われなければ、家賃収入は激減します。管理会社が入居希望者に物件を案内しなければ、内覧も行われません。
入居自身が物件を見つける確率よりも、窓口になっている管理会社が申込み者に物件を紹介する確率の方が、はるかに高いのです。
管理会社のさじ加減ひとつで、空室か入居かが決まってしまうのに、不信感のある管理会社に入居付けを任せっきりにしているのは、怖いとは思いませんか?
確かに管理を委託することは楽ではありますが、管理を丸投げしていると、経営難に直結してしまうでしょう。
早期修繕ができず費用がかさむ
物件の修繕はできるだけ早く行われるべきです。修繕個所を早期発見できるかどうかは管理会社の定期的な見回りが欠かせません。また、同じ修繕が起こらないよう適切な工事や修復が行われているかも重要です。
しかし、建物に劣化や破損が見つかっていても何の報告もなければ、修繕対応ができません。
さらに「また水漏れした」「いつも虫が湧く」など、似たようなクレームが何度も発生している場合、適切な対応がされていない可能性があります。
もし、損傷があるまま物件を放置することになれば、気づいた時には大規模な補修工事をしなければいけません。多額の修繕費用がかからないよう、問題箇所を早期に発見することが重要なポイントになります。
売却しにくくなる
管理状態が悪いと、資産価値がダウンします。「入居率が低い」「利回りが低い」という資産価値が下がった物件は、売却しにくくなります。
物件の入居率が低いと、買主から値下げ交渉が入り、高値で売ることができません。さらに、収益物件の利回りが低い場合は、投資家に興味すら持たれないことも。
出口戦略を狙う場合、満室の状態で売れるかどうかが重要なポイントです。手放したいと思った時に売却できるよう、入居率と資産価値を高めておきましょう。
管理会社の選び方と変更手順
管理会社を変更することを決意しても、次に依頼する会社からも似たような対応をされてしまってはいけません。同じ轍を踏まないよう、管理会社の選び方と変更手順についての知識を身につけていきましょう。
管理会社の特徴を見極める
ひとことで「管理会社」とは言っても、契約内容は同じではありません。業者によってビジネスモデルが細分化されています。
管理会社は大きく分けると「BM(ビルディングマネジメント)」「PM(プロパティマネジメント)」に分かれます。
BM(ビルディングマネジメント)は、主に建物の管理をメインとします。設備管理・清掃業務・保守点検など経営全般の業務を行います。
PM(プロパティマネジメント)は、主に資産の管理をメインとします。クレーム対応・家賃回収・業者発注など運営管理や提案を行います。
上記をみてわかるように、BMとPMは「業務内容」と「収益に取り組む姿勢や意識」が似ているようで異なっています。現状の経営状況によって両者を使い分けることができなければ、収益アップは見込めません。
BM(ビルディングマネジメント)
BMとは、建物経営を代行する会社のことです。主に、修繕計画の立案や工事やクレームの管理、清掃や警備などを請け負う会社となります。
BMは、定められた契約内容を遂行し固定報酬を得るケースがほとんどです。建物管理がメインとなるため「遠方に住んでいて管理はできないけれど、経営や運営はオーナー自身が行う」という場合は、BMに特化した管理会社に依頼しましょう。
PM(プロパティマネジメント)
PMは、資産管理を行う会社です。資産管理代行業者とも呼ばれています。入居者募集のための戦略や交渉、家賃回収やクレーム対応などを請け負います。
PMは物件の利益をアップさせることで収益を得ています。「資金を運用する方法や今後の投資についても相談していきたい」という希望があるのであれば、PMに依頼すべきです。
BMとPMどちらを利用すべきか
このように、建物の管理だけを任せたいのであればBM、収益アップのためのアドバイスがほしいのであればPMというように、管理会社の特徴を把握し両者を使い分けていかなければいけません。
管理会社は、契約ほしさに様々な提案をしてきますが、営業トークに惑わされず、自分が管理会社に何を求めるか考えを整理してみましょう。
管理会社の選び方
管理会社を選ぶとき「全国展開している会社か、地域密着型か」「老舗か、新しい会社か」という基準で判断するオーナー様も多いと思います。
しかし、会社名や経営年数を見て判断するのは、賢い選択とは言えません。良い管理会社と出会うために、重視すべきことは、以下の2つです。
・レスポンスが早いかどうかチェックする
物件に合ったプランを提案してくれる会社を選ぶ
物件によってアプローチ方法は様々です。そのため、立地や部屋の間取り、地域の特性すべてを総合的に判断し、その物件の特徴を活かしたプランを提案してくれる管理会社がおすすめ。
例えば「空室対策としてネット回線を無料にした方がいい」「フリーレントにして初期費用の負担を軽減してみよう」など、今後取り入れた方がいいサービスや、入居率を高めるための戦略です。
委託契約するときに、物件の現状や悩みを相談し、今後のプランや募集方法はどうすべきか、積極的に質問してみましょう。
レスポンスが早いかどうかチェックする
レスポンスの早い会社かどうかもチェックしましょう。クレームや入居付けは、できるだけ早く対処しなければいけません。レスポンスに時間をかければかけるほど、対処が遅れ、やがて大きな損失に繋がります。
収益維持のために、危機感を持って対応してくれるかどうかもチェックすべきポイントです。
「どんなふうに報告してくれるのか」「トラブル対処法はどうしているか」「報告頻度はどのくらいなのか」など、契約前に確認してみてください。
管理会社の変更手順
新たに委託する管理会社が決まっていれば、管理会社の変更は難しくありません。
新しい管理会社は、新規顧客のために旧管理会社からの切替手順を教えてくれますので、ストレスなく変更手続きを終えることができるでしょう。
しかし「まずは現在の管理会社との契約を終了させたい」「次の管理会社を決めかねている」という場合は、現状確認から始めます。委託管理会社から交付された契約書にある、解約条件を見てみましょう。
契約書には、解約するまでの期間や違約金などが記載されている場合があります。解約のタイミングを間違えるだけで、契約違反となり違約金が発生することもあるので、十分に注意してください。
解約に適した時期はいつなのかなど遠慮せずに担当者に問い合わせ、できるだけ損失をおさえた方が得策です。まずは、現在の管理会社に連絡し、解約を伝え、解約手続きに進みましょう。
オーナーは管理会社を管理するのが仕事
近年「自宅にいるだけで大家さんになれる」「すべて管理会社にお任せ」という広告を見かけますが、はたして本当にそうでしょうか。不動産は「金のなる木」ではありません。
不動産に限ったことではありませんが、需要に合ったサービスを提供して、はじめて利益が生まれます。
賃貸経営の最終責任者は、オーナー自身です。管理会社はあくまで「管理を委託」しているだけに過ぎません。賃貸管理とは、管理会社とオーナーが協力して行うものです。
どんなに評判の良い管理会社であったとしても、管理を任せきりにしていては、収益を伸ばすどころか損失を大きくしてしまいます。
受け身になり不動産を放置するのではなく、オーナー自身も、積極的に不動産経営に参加していきましょう。
・管理会社からの提案を前向きに考える
・担当者との連絡はこまめにとる
・管理会社に直接出向き、担当者と今後について話し合う
このように「自分も経営に参加している」という自覚を持ち、管理会社と協力する姿勢を持つことが大切です。できることからで構いません。自分の資産を守るために、前向きに取り組んでいきましょう。
まとめ
空室期間が長いのにもかかわらず、何の提案もないときや、家賃の値下げ交渉ばかりしてくるときは、仕事をしない管理会社と判断できます。
こうした仕事をしない管理会社との委託契約を続けることは、大きな損失につながります。出来るだけ早く、新しい管理会社に依頼することを検討してみましょう。
新たに管理会社と契約するとき、良い管理会社を選ぶことはもちろんですが、今後はオーナー自身も経営に参加することを考えてみてください。
不動産賃貸経営とは、管理会社と不動産オーナーとの協力が不可欠です。大切な資産を他人任せにせず、経営者としての自覚を持ち、積極的に運営に参加していきましょう。