自主管理のメリット
投資物件を購入すれば、自然と家賃収入が得られると思っている人もいるかもしれませんが、所有しているだけでは安定した家賃収入は得られません。
安定した家賃収入を得るには、購入した投資物件の管理をおこなう必要があります。管理方法には「管理会社に委託する方法(管理委託)」と「自分で管理をおこなう方法(自主管理)」の2つがあります。
「自主管理なんて手間と時間がかかって大変なのでは?」と思っている人も多いでしょう。
確かに自主管理を選んだ場合には手間と時間がかかるので大変ですが、以下の4つのメリットがあるため、自主管理を選ぶ物件所有者もいます。
・管理委託費を節約できる
・キャッシュフローが良くなる
・入居者との距離が近くなる
・不動産管理に必要な知識が身に付く
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
管理委託費を節約できる
管理会社に賃貸物件の管理を業務委託すると管理委託費が発生します。委託費用の上限は特に決まっておらず、家賃収入の3~7%が相場であり管理会社によって異なります。
仮に家賃収入が10万円の物件で、委託費用が家賃収入の5%に設定されている管理会社だった場合、支払う月々の委託費用は5,000円です。
委託費用は家賃収入に基づいているため、空室で家賃収入が得られない状況では、委託費用を負担せずに済むと考えている人もいるのではないでしょうか?
しかし、管理会社との管理委託契約の内容次第では、空室が生じても委託費用が発生するケースがあり、家賃収入がなくても支出だけが生じることもあるので注意が必要です。
また、空室が生じた場合の入居者募集業務には、委託費用とは別に仲介手数料が発生します。
仲介手数料は宅地建物取引業法に上限が定められており、貸主と借主の双方に家賃0.5カ月分、承諾を得た場合にはどちらか一方に家賃1カ月分の費用が請求されます。
自主管理であればこれらの費用を節約できるというわけです。
キャッシュフローが良くなる
不動産投資を始めるにあたり、分譲マンションやアパートを購入する際は、多額の資金が必要です。
そのため、不動産投資を始める人は、自己資金だけでは不足するので融資を受けながら不動産投資をおこなうのが一般的です。
融資を受けると毎月返済しなければならないため、キャッシュフローを常に良好な状態に保つ必要があります。
しかし、管理業務を管理会社に委託していて空室が生じた場合、融資の返済と管理委託費を支払わなくてはならず、キャッシュフローが悪化してしまう恐れがあります。
自主管理をおこなっていれば、空室が生じても管理委託費を支払う必要がないため、毎月の支出を抑えることが可能です。
ただし、毎月の支出といってもそこまで大きな金額ではなく、大幅に抑えることはできないので過度の期待は禁物といえるでしょう。
入居者との距離が近くなる
所有物件の管理業務を管理会社に委託すると、全ての窓口が管理会社になります。そのため、どのような入居者がいるか、劣化状況がどうなっているかを確認する機会がほぼありません。
しかし、自主管理であれば大家さん自身が窓口になるため、入居者との距離が近くなります。
その結果、入居者が何に不満を抱いているのか直接的に分かるため、対策を練ることで入居者満足度を向上させて、高い入居率を獲得することが可能です。
また、物件を訪れる機会が多いため、入居者同士のトラブルや不満、建物の不具合にいち早く気づくことができます。すぐに対応することで、入居者満足度が高くなる、資産価値の下落を少しでも抑えられるでしょう。
不動産管理に必要な知識が身に付く
不動産管理とは、入居者管理と建物管理の2つです。
入居者管理・・・入居者募集や賃貸契約の締結・更新などの入居者募集業務、家賃徴収や滞納者への督促などの会計業務、解約手続きや退去時の立ち会い、クレーム対応などを指します。
建物管理・・・常清掃や定期清掃などの清掃業務、設備点検や修繕などの点検・修繕業務などを指します。
建物管理は専門知識を必要とする業務が多く、清掃業者や工務店などの専門業者に業務委託するのが一般的です。
仕事を退職すると時間に余裕ができるため、退職後自主管理に切り替えようと考えている人も少なくありません。
しかし、入居者管理や日常清掃・日常点検などは管理経験のないオーナーがおこなってもそこまで問題はありませんが、それ以外の業務は急に対応できるものではありません。
経験値を増やしてようやく対応できるようになるため、自主管理で不動産管理に必要な知識を身に付けることは、一度管理委託を経験して再度自主管理に戻す場合にも役立つでしょう。
自主管理のデメリット
物件所有者が自主管理をおこなうことには、管理委託費の節約、キャッシュフローの良化といったメリットがありましたが、何かデメリットはあるのでしょうか?自主管理のデメリットとして以下の4つが挙げられます。
・煩雑な業務をおこなわなくてはならない
・入居者の不満が募る可能性がある
・資産価値が低下する可能性がある
・本業との両立が容易ではない
それぞれのデメリットについて詳しく説明します。
煩雑な業務をおこなわなくてはならない
管理委託ではなく自主管理を選んだ場合、入居者募集業務や会計業務などの入居者管理、点検業務や修繕業務などの建物管理を物件オーナーがおこなわなくてはなりません。
全てがスムーズであれば、これらをオーナーがおこなってもあまり負担にはならないといえます。
しかし、クレームや家賃滞納者、設備の不具合といった想定外のトラブルが生じた場合には、オーナーは24時間365日対応しなければならないため、精神的・肉体的負担が大きくなります。
また、賃貸物件の近くにオーナーが住んでいるとは限りません。仮に片道約1時間かかる場所にオーナーが住んでいた場合には現地に行くまでに時間と費用がかかります。
これらを踏まえると、管理業務に時間を割けない人や物件から自宅まで遠く離れている人は、自主管理よりも委託した方がよいといえるでしょう。
入居者の不満が募る可能性がある
副業として不動産投資をおこなっている人や物件から遠く離れた場所に住んでいる人が自主管理を選んだ場合には、初期対応が遅れる可能性があります。
緊急性の低い内容であれば、初期対応が遅れてもそこまで問題になりません。
しかし、設備の不具合やクレームなどの場合には、初期対応が遅れると入居者の不満が募る可能性があるので注意が必要です。入居者の不満が募ると、退去につながる可能性が高くなります。
その結果、今度は入居者募集業務に追われるため、悪循環に陥ってしまいます。自主管理を選んでこのような状況に陥っていては、管理委託費や仲介手数料を抑えても意味がありません。
「管理の専門家ではないので入居者も理解してくれる」という自分に都合の良い甘い考えでは入居者の不満が募ります。
入居者は賃料を払ってくれているため、入居者からの問い合わせには速やかに対応するなど、入居者満足度の高いサービスを常に提供することが重要です。
資産価値が低下する可能性がある
管理が行き届かなくなると、日常点検や定期点検、日常清掃や定期清掃が実施されないことが原因で経年劣化が進行しやすくなります。
その結果、建物の資産価値が下がるため、売却を考えていても希望通りの価格で売却できない可能性があるので注意が必要です。
また、管理が行き届いていないことが原因で物件の外観が悪くなると、入居希望者が見つかりにくくなります。劣化が進行すると、雨漏りや給湯設備の故障などのトラブル発生率も高くなってしまいます。
そうなると、対応への遅れと同様、入居者の不満が募って退去につながる可能性が高いため、日常点検や日常清掃などの業務は自主管理をおこなう上で必要不可欠といえるでしょう。
本業との両立が容易ではない
不動産投資を本業でおこなっている人の場合、管理業務に対して時間を割くことが可能ですが、本業とは別に副業として不動産投資をおこなっている人は両立が容易ではありません。
入居希望者に対しておこなう内覧や契約書の作成、退去手続きなどは、入居者と話し合って時間を調整することが可能です。
しかし、クレームや設備の不具合など急に発生する事例については時間を調整できないことも考えられます。
そのような事態が生じた場合には、一時的に席を外して状況を確認する、提携している業者に連絡するなどの対応に追われることになります。
これでは本末転倒になってしまうため、両立が困難と感じられる場合には、無理に自主管理を選ぶのではなく管理会社に委託しましょう。
管理会社に委託した方が効率良く運用できる
自主管理によってうまく運営できている場合には問題ありませんが、上記のデメリットを踏まえて現状に不安を感じているのであれば管理会社に委託した方がよいといえます。
また、これから投資用物件を購入して不動産投資をおこなおうとしている人は、まずは管理会社に委託することをおすすめします。その理由は、以下の3つです。
・適切な管理によって安定した運営が期待できる
・営業力を駆使して入居者を募集してもらえる
・遠方の物件も運用できるようになる
次の項目から、それぞれの理由について詳しく解説します。
適切な管理によって安定した運営が期待できる
管理会社に管理を委託した場合は、管理委託費や仲介手数料が発生しますが、基本的に入居者募集業務と建物管理業務の両方をおこなってくれます。
物件の管理にかかる時間と手間を省けるため、副業として不動産投資をおこなっている人は本業に専念することが可能です。
また、中古マンション経営・アパート経営の場合でも、過去の修繕状況を確認しながら的確な修繕を実施してくれるため、資産価値の下落リスクを抑えることが期待できます。
しかし、管理会社の管理業務の業務内容は全ての管理会社が同じというわけではありません。どのような委託内容になっているのか事前によく確認してから契約しましょう。
営業力を駆使して入居者を募集してもらえる
自主管理の場合でも、不動産ポータルサイトを活用して入居者を募集することはできますが、営業力にある程度の限界があるといえます。
しかし、管理会社に管理を委託した場合は、管理会社は不動産の専門家であるため、営業力を駆使して入居者を募集してもらえるでしょう。
また、豊富な経験を有する担当者の空室対策の方法を伝授してもらえるため、空室期間を短く抑えることが期待できます。
管理委託費や仲介手数料を抑える目的で自主管理をおこなっても、空室期間が長くなっては意味がありません。
特に立地条件があまり良くなく、入居者需要が低い地域の物件を運用する場合は入居者を確保するのが困難であるため、管理会社に委託した方がよいといえるでしょう。
遠方の物件も運営できるようになる
前の項目でも説明したように、遠方の物件の自主管理をおこなう際は、現地に行くまでに時間と費用がかかります。
そのため、自主管理にこだわるのであれば管理の無駄を減らすために、遠方ではなく近隣の物件を選ぶことになるでしょう。
しかし、近隣の物件が全て好条件の物件とは限りません。自主管理にこだわると、選択できる物件の種類が限定されるため、利回りが低くなる、築年数がかなり経過した物件になるなど、条件が悪くなる可能性があります。
自主管理にこだわらずに管理会社に委託した場合は、近隣の物件だけでなく遠方の物件も運営できるようになります。
遠方の物件が選択肢に加わったことで、駅から近い、利回りが高い、築年数が浅いなどの好条件の物件を選ぶことが可能です。
そのような物件を運営できるようになることで、空室のリスクや資産価値の下落リスクなどを抑えられるため、より安定した不動産投資をおこなうことができるでしょう。
まとめ
自主管理することによって、管理委託費や仲介手数料を抑えることができるほか、自主管理の経験値を増やすことができます。
不動産投資を本業としておこなっているオーナーは自主管理でも問題はありませんが、副業としておこなっているオーナーは両立が困難になりやすいので注意が必要です。
両立が困難になって初期対応が遅れてしまうと「入居者の不満が募って解約に至る」「管理不足による資産価値の下落が生じる」といったリスクを伴います。
このような事態に陥らないためにも、不動産投資を始めた時点で問い合わせに速やかに対応するといったように、入居者満足度の高いサービスを提供することが大切です。
現在自主管理中で管理状況に不安を抱いている人やこれから不動産投資を始める人は、物件の管理を管理会社に委託した方がよいといえます。
委託する場合は、管理委託費や仲介手数料が発生しますが、安心して不動産投資をおこなうための必要経費といえるでしょう。
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