未接道物件を売却するのは難しい?買取業者に断られる理由とケース別の売却方法

未接道物件

未接道物件とは、建築基準法という法律で定められた「接道義務」の規定を満たしていない物件のことです。未接道物件は再建築不可物件として扱われて、将来の増改築・建て替えが規制されるため、なかなか買主を見つけられません。

この記事では、未接道物件と認定される代表的な4つのケースを解説したあと、売却相場と売却方法について解説します。

未接道物件とは?未接道物件となる4つのケース

未接道物件
未接道物件とは、「建築基準法で定められた道路に敷地が接していない物件」のことです。私たちは普段、「道路」を区別していません。たとえば、3車線あって交通量が多い道も道路ですし、自転車1台がやっと通り抜けられる狭い道も同じく道路という認識ではないでしょうか。

しかし、建築基準法では道路について明確な定義がされています。その道路は6つに分類されていますが、原則、幅員4m以上の道を「道路」としています。また、「接する」ということについても定義があり、「敷地が道路に2m以上接している」状態です。もし接している長さが1.9mであれば、それは「道路に接していない」ということになります。

(1)敷地に接している道路の幅が4m未満

未接道物件
図のように土地が道路に接していても、その道路の幅が4m未満の場合、未接道物件となります。そもそも接道義務を満たしていない敷地に建物は建てられないのですが、実際にはこのような立地に建っている建物は多いです。それらすべてが違法建築物というわけではありません。なぜなら、建築基準法で接道義務が定められる前に既に存在していた建物があるからです。そのような物件は、大きな増築や建て替えなどで建築し直さない限り、そのまま使い続けることができます

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(2)道路に接している敷地の長さが2m未満

不整形地
2つ目は、前面道路は建築基準法で定められた道路でも、その間口が2m未満となっているケースです。不整形地や道路に接している間口はそのまま通路になっていて、奥に広い敷地があるような旗竿地や路地状敷地、敷地延長の土地に多くみられます。広い土地を分筆して、複数人で分けるときに、その分け方が手前の土地と奥の土地というような方法で行うと、意図せず、間口が2m未満になってしまうことが多いです。そのような敷地は、建築基準法が施行される前からなのか、施行以降なのかということを確認します。

(3)旗竿地で、路地部の途中に2m未満のところがある

旗竿地
旗竿地で多い未接道物件のケースです。「道路に2m以上接している」というのは、その接しているところが2m以上であればいいということではありません。建物が建っている敷地までずっと2m以上であることが必要です。そのため、上図のように路地部の一部が狭くなっていて、2m未満となっている形状の場合、間口は2m以上道路に接していても、未接道物件となるので注意してください。「2m以上接している」状態を満たしているかどうかは、「直径2mの円がどこにもぶつかることなく建物の敷地までたどり着ける」状態かどうかで判断できます

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(4)袋地(囲繞地)

袋地
最後に紹介するのは、土地の周囲を他人の土地や河川・崖などで囲まれていて、全く道路に接していないケースです。無道路地とも言われます。このような土地への出入りは、隣接地の一部を私道の路地としたり、そのまま敷地内を通らせてもらったりして行います。普段、使うには問題ありませんが、建築基準法で定められた接道義務は満たしていないため未接道物件です。

親から相続した土地の場合、その土地が接している道が公道だと思っていたら、私道だったということもあります。そのため、敷地が接している道路が建築基準法で定められている道路かどうか確認してください

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未接道物件の売却相場について

未接道物件の売却相場
未接道物件は再建築不可物件となるため、近隣の一般的な物件に比べて売却価格は低くなります相場は通常の物件の50%~60%程度です。

これほど安くなる理由はやはり、再建築不可ということが大きいです。なぜなら、再建築不可というのは、子供の成長や独立、老後といったライフスタイルの変化に合わせた住みやすい自宅にするための増改築・建て替えができないだけではありません。台風や地震などの自然災害の影響で建物が半壊・全壊した場合であっても、その敷地上に建物を再建築することは認められないからです。

特に現在ある再建築不可物件は、築年数が古いものがほとんどで耐震性にも不安があります。そのため、不慮の事態で建物が壊れることがあった場合、修理できず、引越しを余儀なくされます。このような大きなリスクが未接道物件には伴うため、売却相場も安いです。未接道物件の価格を土地価格と建物価格で分けて査定額を出すと、土地査定額はほとんどゼロになっているでしょう。

未接道物件の売却が買取業者にも断られるほど難しい2つの理由

通常の物件であれば、買い手が見つからなかったり、とにかく早く売却して現金化したかったりするときには、買取業者への売却がおすすめの方法です。しかし、未接道物件の場合、買取業者によっては、査定すら断られる場合があります。未接道物件の売却が難しい理由は次の2つです。

(1)買取後の再販が難しいから
(2)未接道物件を活用できないから

(1)買取後の再販が難しいから

買取業者が物件を買取る理由は、その後、第三者に売却するためです。一般的な事業でいうと不動産買取が仕入れにあたります。そのため、買取業者の買取相場は、通常の不動産仲介によって売却する相場よりも安いです。買取業者は物件を買い取ったあと、状態がいい物件であればクリーニングするだけですが、ほとんどの場合はリフォームするなどして物件価値を上げてから売却しようとします。そして、売却価格から買取価格とクリーニングやリフォーム、広告費など再販のためにかかった費用を差し引いた金額が買取業者の利益になるという構造です。

しかし、未接道物件の場合、リフォームしても物件の価値を費用に見合うほど上げられません。リフォームに500万円かけたからといって、売却価格が700万、800万になるわけではないです。また、未接道物件の売却が難しい理由の1つに、住宅ローンを組みにくいという点があります。未接道物件は再建築不可のため、銀行などの金融機関ではまず審査が通りません。融資審査、融資額の判断で重要になる資産価値が非常に低いためです。そのため、未接道物件を購入する場合、買主は現金一括もしくは金利の高いノンバンクを利用して融資を受けることになります。

住宅購入のための融資額は大きいため、数%の金利の違いでも、利息にすると大きな違いになります。それだけの金利を払うのであれば、わざわざリスクのある未接道物件ではなく、通常の不動産を購入したいと考えるものです。つまり、買取業者が利益を出せる価格で未接道物件を売却するには、「その立地でなければどうしても嫌だ」というような方を見つける必要があります。とはいえ、そのような方はまず見つかりません。

(2)未接道物件を活用できないから

未接道物件の買取が断られるもう1つの理由が、買取業者に未接道物件を活用するノウハウがないからです。買取業者は物件の再販以外にも、その買い取った物件をリフォームして貸し出して賃貸経営として活用することがあります。しかし、未接道物件は大規模なリフォームも難しいため、収益物件として貸し出すにも手間がかかります。

さらに今は、一戸建てに賃貸で住む世帯は珍しく、空室の間の維持費も買取業者の負担になります。また、通常の物件であれば、更地にしてコインパーキングや月極駐車場などの駐車場経営に利用するという選択肢もありますが、未接道物件のため、それも難しいです。買い取ったとしてもその後の活用方法を見出だせない業者が多いため、断られてしまいます。

それでも、すべての買取業者で買取を断られるわけではないです。未接道物件や事故物件などワケあり物件と言われる物件を専門で買取している業者もあります。そうした業者であれば、一度は買取業者に断られた物件でも買い取ってもらえる可能性が高いです。未接道物件を買取で売却しようと考えたときには、再建築不可物件の買取も行っている業者を選ぶようにしてください

未接道物件を売却する方法【ケース別】

接道義務
未接道物件の売却の難しさについてお伝えしました。しかし、売却が不可能なわけではありません。対応によっては、通常の物件と同じような価格で売却することができます。

(1)全ケース共通

まず、全ケースで共通する売却方法は大きく分けて2つあります。

・リフォームして売却する
・収益物件として投資家に売却する

未接道物件のような再建築不可物件は、「建築確認申請が通らない」という意味で再建築不可です。逆をいえば、建築確認申請が不要な範囲であれば自由に工事ができます。そのため、リフォームするときも建築確認申請がいらない範囲で工事したり、工事を何度かに分けたりすることで進められます。そうして「気持ちよく住める物件」として売り出すことで、そのまま売り出すよりも購入者が現れる可能性は高くなります

次に、居住用としてではなく、投資用として売り出す方法です。未接道物件でも立地や間取りが良ければ、賃貸物件としての需要はあります。収益物件として売り出すときには、可能であればすでに借主がいる状態の方が買主も見つけやすく、高値になりやすいです。物件購入から賃貸経営開始までの空室期間がなく、投資家としてはメリットのある物件だからです。

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(2)敷地に接している道の幅が4m未満のケース

敷地に接している道路の幅員が4m未満であることが原因で未接道物件となっているケースの売却方法です。このケースでは、道路の中心線から2m離れた位置に敷地の境界線が来るように後退させておきます
未接道物件

上図のように敷地を後退させて道路の幅員を4m以上確保することを「セットバック」と言います。セットバックすることで敷地面積は狭くなってしまいますが、接道義務の規定を満たすようになります。もちろん、「建て替え時にはセットバックが必要な物件」として売り出すこともできますが、売り出す前にセットバックしておく方が買主にとってはわかりやすいです。また、売却活動も通常の物件として進められるので、市場価格で売り出せます。ただし注意点として、道路の片側が崖や河川となっている場合には、道路境界線から4m敷地を後退させる必要があるので気をつけてください。

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(3)道路に接している敷地の長さが2m未満のケース

次は、道路に接している敷地の長さが2m未満のケースです。このときの売却方法は3つです。

・更地にして隣接地の所有者に売却する
・隣接地を買い取って接道義務を満たして売却する
・隣接地と同時売却する

未接道物件も隣接地の所有者にとっては大きな価値があります。なぜなら、隣接地と合わせることで接道義務の規定を満たすようになる可能性が高いからです。そうすれば将来、隣接地の所有者が物件を売却しようと思ったときでも、市場価格で取引できます。そのため、隣接地の所有者であれば、第三者に売却するよりも高値の購入を期待できます。また、下図のように旗竿地で、路地部の途中に2m未満のところがある場合には、隣接地の所有者から土地の一部を買取る方法がおすすめです。
旗竿地

敷地全体を隣地の所有者に売却しようと思っても、両親や息子夫婦用など、家を2世帯住宅にしようといった目的がなければ、それだけ広い敷地を購入したいとは考えないからです。それよりも、接道義務の規定を満たしていない原因のところを解消するように隣接地の一部を買い取る方が、金銭的な負担も小さく、交渉もまとまりやすくなります。隣地を買取る場合には、買い取ったあとも隣地が容積率や建ぺい率などの法律で定められている条件をすべて満たしているか確認しておくことが大切です。

3つ目の隣接地との同時売却は、隣接地の物件も未接道物件で売却を考える場合におすすめの方法です。2つの敷地を合わせることで、接道義務を満たすようになります。
接道義務
同時売却であれば、どちらかの敷地を一度買い取って所有する必要がありません。お互いに土地を所有したまま売却活動ができるので、金銭的な負担は小さいです。このような状況であれば、隣接地の所有者に同時売却を提案してみてもいいでしょう。ただし、売却代金や分配割合でトラブルになることが多いので、交渉を含めて不動産業者に依頼するようにしてください。

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(4)袋地(囲繞地)になっているケース

最後は、袋地になっているケースです。このときの売却方法は、以下の2つです。

・隣接地の所有者に売却する
・隣接地の全部または一部を買い取って売却する

ただ、隣接地の所有者がすでに十分な敷地を持っているのであれば、さらに追加で自分の敷地を広げようとは思わないでしょう。広くても使い道が決まっていなければ固定資産税や都市計画税が無駄にかかることになります。また、広すぎる土地は将来、相続が発生したときに相続税や遺産分割のトラブルが起こりやすいです。そのため、袋地の場合は、下図のように隣接地の一部を買い取り、接道義務の規定を満たすようにして売却する方が現実的です。
袋地

袋地の場合、敷地への出入りのために隣接地の敷地を通っているはずです。まずは敷地所有者に売却する気がないか相談してみましょう。お金が絡む話は当事者同士で話し合うと利害関係にあるのでまとまりにくいです。そのため、たとえ関係性が良好であっても、不動産業者に仲介を依頼することをおすすめします。

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まとめ

以上、未接道物件の代表的な4つの種類と売却時の相場、売却方法について解説しました。

まとめ
・未接道物件は建築基準法の接道義務を満たしていない物件で再建築不可
・未接道物件の売却相場は一般的な物件の50%程度
・買取業者にも断られる理由は買取後の再販が難しいから
・未接道物件はセットバックや隣接地を購入し、接道義務を満たしてから売却する
・接道義務を満たすことができないときは隣接地の所有者に購入を提案する

未接道物件は、そのままでは売却が難しい物件です。まずは未接道物件となっている原因を把握し、それを解消する方法を考えて売却活動を進めることをおすすめします。未接道物件は不動産会社でも取り扱っていない会社があるので、未接道物件や再建築不可物件の取扱い実績が豊富で専門家といえる会社を選んで相談しましょう

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