道路に面していない土地でも売却できる
道路に面していない土地でも、売却すること自体は可能です。ただし、一般的な土地と比べると買主が見つかりにくく、売却方法の選択肢が限られたり売却価格が低くなる傾向があります。
道路に面していない土地の主な売却方法は以下のとおりです。
- 隣接する土地の所有者に売却する
- 不動産会社に仲介を依頼する
- 土地買取を専門とする不動産会社に売却する
また、ひとえに道路に面していない土地といっても、土地や道路の形状・幅員、周囲の状況によって特徴が異なります。ここでは、道路に面していない土地を大きく3種類に分けて整理します。
※上記は法律上で定められている分類ではなく、内容を分かりやすく説明するために整理したものです。
道路に面していない土地では、接道義務を満たしておらず新築や建て替えができないなど、土地の利用方法に制限があるケースがあります。また、建築基準法第43条第2項による認定・許可などによって建築できる可能性もあるため、土地ごとに確認が必要です。
道路に面していない土地を売却するときは、まず土地がどのような状態にあるのかを確認することが重要です。
接道義務を満たさない土地は原則として新築・建て替えができない
建物の敷地は建築基準法第43条により、原則として「道路に2m以上接していなければならない」と定められています。また、建築基準法第42条では、原則として「幅員4m以上」のものを建築基準法上の道路としています。
つまり、建物の敷地は原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。この接道義務を満たしていない土地は、原則として建物を新築したり、既存の建物を建て替えたりできません。
ここで注意すべきなのが、道路に接しているように見える土地でも、その部分が建築基準法上の道路に該当しなければ、接道義務を満たしていない可能性があることです。
たとえば、幅員4m未満の自動車だけが通行するための道路や、地区計画によって定められた区域内の道路などは、見た目が道路であっても建築基準法上の道路に該当しない場合があります。
ただし、特定行政庁による認定や許可によって建築できるケースもあります。売却前に役所の建築指導課窓口などで「接道義務を満たしているのか」「建築が可能か」などについて確認しておきましょう。
融資や出入りの制約があり、買主が限られやすい
道路に面していない土地は一般的な土地と比べて担保評価が低くなりやすく、融資を受けにくい傾向があります。そうなると購入希望者は住宅ローンを利用できず、購入を諦めてしまう可能性が高くなります。
また、土地から公道までの通路を第三者が所有している場合は、土地の売主や通路の所有者に通行権や通行のための契約について確認する必要があります。
もし「通行する権利が明確ではない」「車の出入りができないほど通路が狭い」場合は、購入後の土地の利用方法が限られるため、買い手が見つかりにくくなる可能性があります。
売却を進める前に登記簿や公図などを確認し、土地への出入りに関する権利関係を整理しておきましょう。土地情報を明確に整理することで、その土地に合った売却方法を検討しやすくなります。
道路に面していない土地の売却方法と選び方
道路に面していない土地を売却する方法は、主に以下の3つです。
道路に面していない土地の売却方法
| 売却方法 |
向いている条件 |
確認点 |
| 隣地所有者への売却 |
隣接する土地と一体で利用することで、土地の価値が高まる場合 |
隣地所有者が購入を希望するか、売却条件に合意できるか |
| 不動産会社への仲介依頼 |
接道状況や土地の形状などに問題があるものの、購入を検討する一般の買い手が見込める場合 |
接道状況や建築の可否、通行権などを不動産会社に伝え、売却可能性や売出価格を確認する |
| 専門の買取業者への売却 |
再建築不可や接道状況などの問題があり、一般の買い手を見つけるのが難しい場合 |
買取の可否、提示された買取価格、契約条件などを複数の業者に確認する |
どの方法が適しているかは、土地の接道状況や利用方法はもちろん、売却までにかけられる時間や希望する売却価格によっても変わります。
売却方法を決める前に、土地の状態と希望する条件を整理してそれぞれの方法を比較しましょう。
土地を一体利用できる隣地所有者に売却する
道路に面していない土地の売却にあたり、まず購入の意向を確認しておきたいのが隣接する土地の所有者です。隣地と一体的に利用できる場合、買主にとって土地を取得することがメリットになる可能性があります。
たとえば、隣地の土地と一体で利用することで敷地を広げたり、建物を建てられる土地と組み合わせたりできるケースが挙げられます。道路に面していない土地単体では活用しにくくても、隣地と合わせることで利用価値が高まることがあります。
道路に面していない土地は利用用途が限られるという性質上、相場よりも安くなる傾向があります。ただし、隣接する土地の所有者にとって土地を取得するメリットが大きい場合は、一般の買主に売却する場合よりも高い価格で購入してもらえる可能性があります。
まずは土地に隣接する所有者を確認し、購入の意向がないか相談してみるとよいでしょう。隣地所有者への売却が向いているのは、以下のようなケースです。
- 隣地と一体利用することで土地の価値が高まる
- 隣地所有者が土地を広げたいと考えている可能性がある
- 建築や活用が難しく、一般の買主を探すのが難しい
売却を検討するときは、登記簿や公図などで隣地所有者を確認し、土地の境界や面積、通行に関する権利関係を整理してから話を進めることが重要です。
購入希望者を探す場合は不動産会社に仲介を依頼する
不動産会社への仲介依頼とは、不動産会社が購入希望者を探し、売主と買主の間に入って売買を進めることです。一般的な土地と比べて買主が限られやすい土地でも、投資目的や隣地取得など、特定の条件に合う購入希望者が見つかる可能性があります。
ただし、道路に面していない土地は利用方法が限られるので、通常の土地より売却に時間がかかる可能性があります。とくに建物の新築や建て替えができない土地では、住宅用地としての購入を希望する人が少なくなります。
仲介による売却が向いているのは、以下のようなケースです。
- 売却までにある程度時間をかけられる
- できるだけ高い価格での売却を目指したい
- 土地の条件に合う購入希望者を幅広く探したい
- 土地の利用方法を自分で判断できる買主を探したい
仲介を依頼するときは、道路との位置関係や接道状況、建築の可否、通行権などを不動産会社に正確に伝えましょう。土地の問題点をあらかじめ整理しておけば、売却価格や売却方法を検討しやすくなります。
また、道路に面していない土地を扱った経験があるかどうかも確認しておくと安心です。土地の条件を正しく評価できる不動産会社に相談することで、売却後のトラブルも防ぎやすくなります。
早期売却や現状での売却を希望する場合は専門の買取業者に相談する
できるだけ早く土地を手放したい場合や、接道状況などに問題があり仲介での売却が難しい場合は、専門の買取業者に相談する方法も選択肢のひとつです。
買取とは不動産買取業者などの事業者が買主となり、不動産を直接購入する方法です。仲介のように一般の購入希望者を探す必要がないので、条件の難しい土地でも売却を進めやすいのが特徴です。
道路に面していない土地は「建築できない」「権利関係が複雑」といった事情から、一般の買主を見つけるのが難しい場合があります。このような土地でも、不動産の買取を専門としている業者に相談することで、売却できる可能性があります。
ここで「道路に面しておらず、利用用途が限られる土地を買い取ってどうするのか?」と疑問に思われるかもしれません。専門業者は「隣地の買い増しによって接道条件を整える」「隣地と一体利用する」「資材置き場として活用する」など、土地の状況に応じた活用方法を検討します。
そのため、一般の買主からは敬遠されやすい土地でも、専門業者であれば独自の活用方法を前提として査定できる場合があります。
専門の買取業者への相談が向いているのは、以下のようなケースです。
- できるだけ早く土地を売却したい
- 購入希望者を長期間探したくない
- 建築や接道に関する問題を抱えている
- 通行権や境界など、権利関係が複雑になっている
- 土地を現状のまま売却したい
- 仲介で売りに出しているものの買主が見つからない
一方で、買取価格は一般的な仲介による売却価格より低くなる傾向があります。買取業者は購入後の整備や活用、再販売などにかかる費用やリスクを考慮して買取価格を提示するためです。
そのため「早期売却を優先するのか」「時間をかけて少しでも高く売ることを優先するのか」を決めておくとよいでしょう。
道路に面していない土地の価格相場と査定額を左右する条件
結論から申し上げますと、道路に面していない土地には一律の価格相場があるわけではありません。同じ地域にある土地でも、接道状況や建築の可否、通行条件などによって利用しやすさが変わるためです。
イエコン編集部は、道路に面していない土地を売却した経験がある125名を対象にアンケート調査を実施しました。
・調査名:道路に面していない土地の売却価格に関するアンケート
・調査方法:インターネットアンケート
・調査人数:125名
・調査期間:2026年6月
「道路に面していない土地は、いくらで売れましたか?」と質問したところ、以下の結果となりました。
道路に面していない土地の売却価格
| 売却価格 |
割合 |
| 100万円未満 |
18.4% |
| 100万円~300万円未満 |
24.8% |
| 300万円~500万円未満 |
20.0% |
| 500万円~1,000万円未満 |
16.0% |
| 1,000万円~2,000万円未満 |
9.6% |
| 2,000万円以上 |
3.2% |
| わからない・答えたくない |
8.0% |
アンケート結果では「100万円〜300万円未満(24.8%)」が最も多く、次に「300万円〜500万円未満(20.0%)」、「100万円未満(18.4%)」という結果でした。道路に面していない土地でも、100万円未満から1,000万円を超える価格で売却されたケースまであり、売却価格には大きな幅があることが伺えます。
土地の価格を調べるときは、まず周辺の一般的な土地がどの程度の価格で取引されているのかを確認します。そのうえで対象地の条件を踏まえた査定を受け、実際にどの程度の価格で売却できるのかを検討するという手順です。
接道条件や売却先によって価格が変わり、一律の相場は示しにくい
アンケート調査でもわかるように、道路に面していない土地の価格は、土地から公道までの通路の状況や建築の可否、売却先などによって大きく異なるので、一律の相場を示すことは難しいです。具体的には以下のような事例があります。
ワンポイント解説
【事例1】
Aさんは駅から徒歩10分ほどの場所に、道路に面していない土地を所有していました。土地には既存の建物があり、建物自体は問題なく利用できる状態でした。また、隣接する土地を通って公道まで出られることから、購入後も建物を利用できる点を評価した買主が見つかり、売却につながりました。
【事例2】
Bさんが所有していた土地は、道路に面していないうえに土地までの通行権が明確になっておらず、接道義務も満たしていませんでした。さらに建物もなく新たに建物を建てることが難しかったため、購入後の利用方法が限られ、買主を見つけるまでに時間がかかりました。
同じ道路に面していない土地でも「既存の建物を利用できるか」「通行条件が整理されているか」「再建築できるか」などによって、売却のしやすさや価格が変わります。
また、売却先によっても価格は変わる可能性があります。「土地を一体利用できる隣地所有者に売却する」でも説明した通り、隣接する土地の所有者であれば購入した土地を既存の土地と一体利用できるメリットがあるので、一般の買主や買取業者よりも高い価格で購入を検討してもらえる可能性があります。
一方、買取業者に売却する場合は、購入後の整備や活用、再販売などにかかる費用やリスクを考慮して価格が提示されます。そのため、仲介や隣接する土地の所有者への売却に比べて、買取価格が低くなる傾向があります。
つまり、周辺の土地が1㎡あたりいくらで取引されているかだけでは、道路に面していない土地の売却価格は判断できません。周辺の取引価格はあくまで参考情報として確認し、対象地の条件や売却先を踏まえて査定を受けることが重要です。
立地・面積・通行条件・再建築の見込みが査定に影響する
道路に面していない土地の査定では、立地や面積だけでなく、購入後に利用できる可能性も判断材料になります。査定額に影響する主な確認ポイントは以下のとおりです。
道路に面していない土地の主な確認ポイント
| 条件 |
主な確認ポイント |
| 立地 |
駅からの距離や周辺の住宅環境、生活利便性など |
| 面積・形状 |
土地の広さや間口、奥行き、形状など |
| 接道条件 |
建築基準法上の道路との関係性や、接道義務を満たしているかなど |
| 通行条件 |
公道までの通路や通行権、通路の幅員など |
| 再建築の見込み |
新築や建て替えが可能か、許可や認定を受けられる可能性があるか |
| 隣地との関係 |
隣地と一体利用できるか、隣地所有者に購入するメリットがあるか |
| 権利関係 |
境界や通行などの権利関係が整理されているか |
たとえば、駅から近く面積も十分な土地でも、建物を建てられず、通行条件も整理されていない空き地であれば、一般的な住宅用地と同じようには評価できません。一方で、再建築できない土地でも、既存の建物をそのまま利用できる場合は前向きに評価される可能性があります。
通行条件や再建築については、以下のような事例もあります。
ワンポイント解説
Aさんは、駅から近いものの道路に直接面していない土地を所有していました。公道までの通行権は確保されていたものの、接道義務を満たしておらず再建築が難しい状態でした。そのため、周辺の一般的な土地よりも低い価格での査定となりましたが、既存の建物を利用できることなどが評価され、最終的に買主が見つかり売却できました。
道路に面していない土地の査定を依頼するときは、土地の所在地や面積だけではなく、公道までの経路や通行権、建物の有無、再建築の可否なども不動産会社に伝えましょう。
周辺の取引価格を参考にし、複数の査定で価格と条件を比較する
道路に面していない土地の価格を調べるときは、周辺の取引価格を参考にしたうえで、複数の不動産会社に査定を依頼する方法が適しています。
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、周辺で実際に取引された不動産取引価格情報や、地価公示などの情報(公示価格)を確認できます。道路に面していない土地の価格を考える際は、まず周辺の土地がどの程度の価格で取引されているのかを確認することからはじめます。
不動産情報ライブラリで確認できる価格情報
| 情報 |
概要 |
| 不動産取引価格情報 |
国土交通省が不動産取引の当事者へのアンケートなどをもとに公開している、実際の取引価格に関する情報 |
| 地価公示 |
国が毎年公表する標準地の1月1日時点における正常な価格 |
| 都道府県地価調査 |
都道府県が毎年実施する、基準地の7月1日時点における正常な価格 |
※不動産取引価格情報は取引当事者へのアンケートで収集した情報をもとに、物件を特定できないよう加工して公表されています。
不動産取引価格情報は、周辺で実際に取引された土地の価格を確認するときに参考になります。一方、地価公示や都道府県地価調査は、周辺の標準的な地価水準を把握するための資料です。
たとえば、不動産情報ライブラリで実勢価格を確認する場合、以下の手順で調べます。
- トップページから「不動産価格の情報をご覧になりたい方へ」を選択
- 「地域」「価格情報区分」「期間」などの検索条件を入力
- 画面右下にある「一覧表示」をタップ
公示価格を知りたい場合は、トップページから「地価の情報をご覧になりたい方へ」をタップし、上記と同じ手順で調べます。
ワンポイント解説
周辺の土地だけでなく、道路に面していない土地の取引価格も調べましょう。道路に面していない土地は、接道している一般的な土地と比べて利用方法が限られるので、価格にも差が生じる傾向があります。
周辺の一般的な土地の取引価格だけでなく、同じように道路に面していない土地の売買実績があれば、対象地の価格を判断する際の参考になります。
周辺の取引価格を把握したあとは、不動産会社に査定を依頼します。このとき、1社だけでは適正価格が分からないので、複数の不動産会社に相見積もりを依頼するのが有効です。
特に道路に面していない土地では、一般の仲介を想定するのか、専門業者による買取を想定するのかによっても査定額が変わる可能性があります。
相見積もりでは査定額だけを比較するのではなく、査定額の根拠や想定している買主、売却方法まで確認することが大切です。査定額が高くても、実際の売却までに長い期間がかかる可能性や売却するために測量・境界確定などの費用が必要になる場合もあります。
各社の査定条件を確認したうえで、売却価格だけでなく売却にかかる費用や期間、売却方法なども含めて比較しましょう。
売却前に土地の接道状況と利用条件を確認する方法
道路に面していない土地を売却する際、まずやるべきなのが現在の接道状況と土地の利用条件を確認することです。
接道状況を調べることで、土地から道路までどのようにつながっているのか、建築基準法上の接道義務を満たしているのかについて確認できます。また、土地の利用条件を調べることで、建物を建てられるか、どのような用途で利用できるかなどを把握できます。
具体的な確認手順は以下のとおりです。
- 土地と道路の接し方を図面や現地で確認する
- 前面道路の種類と建築の可否を自治体で確認する
- 通行・掘削の権利や承諾内容を確認する
道路に面していないという理由だけで「建築できない」「利用できない」と判断するのではなく、まずは土地の現状と利用条件を確認することが大切です。
土地と道路の接し方を図面や現地で確認する
はじめに、土地と道路がどのように接しているのかについて、図面と現地の両方で確認します。道路に面していないと思っていても、実際には通路を通って公道へ出られるケースがあるためです。
具体的には法務局で公図や地積測量図などを取得し、対象地と周辺の土地、道路の位置関係を確認します。
そのうえで現地を確認し、次の点を整理しましょう。
- 図面と現地の状況に違いがないか
- 土地が道路に直接接しているか
- 土地と道路の間に別の土地がないか
- 公道まで通じる通路があるか
- 通路の幅員はどの程度あるか
- 車両が通行できるか
ここで注意したいのが、「人や車が通れること」と「建築基準法上の接道義務を満たしていること」は別だという点です。他人が所有する通路を通って公道まで出られる土地でも、その通路が建築基準法上の道路でなければ、その土地が接道義務を満たしているとは限りません。
図面や現地の確認だけで「建築できる土地」と判断するのは避けましょう。
前面道路の種類と建築の可否を自治体で確認する
前面道路が建築基準法上の道路に該当するかについて、自治体の建築担当窓口などで確認しましょう。すべての道路が建築基準法に該当するわけではありません。
自治体では以下の内容について確認しておくとよいでしょう。
- 建築基準法上の道路に該当するか
- 何mの道路として扱われているか
- 敷地が道路に何m接しているか
- 建築基準法上の接道義務を満たしているか
- 建物の新築や建て替えが可能か
- 建築基準法第43条第2項の認定や許可の対象となる可能性があるか
とくに、現在建物が建っている土地では「今建物があるから建て替えもできる」とは限りません。現在の建物が建築された時点と、現在の建築基準法上の取り扱いが異なる可能性があります。
ワンポイント解説
建築基準法では、原則として建築基準法上の道路(4m以上)に、建築物の敷地が2m以上接していることが求められます。建築基準法上の道路は原則として幅員4m以上ですが、例外として、幅員4m未満でも一定の条件を満たして特定行政庁が指定した「2項道路」などが道路として扱われる場合があります。
また、接道義務についても建築基準法第43条第2項に基づき、特定行政庁の認定や許可によって例外的に建築が認められるケースがあります。
幅員4m未満の道路でも「2項道路」として扱われることで、建築できる可能性があります。また、現地で測った接道幅が2m未満の場合でも、土地の状況によっては建築基準法第43条第2項の認定・許可の対象となる可能性があります。
現地で測った接道幅だけで建築の可否を判断せず、自治体の建築担当窓口に問い合わせて調べることが大切です。
なお、自治体で確認した内容は、査定を依頼する不動産会社にも伝えましょう。建築の可否が明確になれば、土地をどのような買主に売却できるのかを検討しやすくなります。
通行・掘削の権利や承諾内容を確認する
公道まで通行できる土地でも、通行や掘削に関する権利が整理されているとは限りません。売却前に「誰の土地を通っているのか」「どのような権利や承諾に基づいて通行しているのか」について確認しましょう。
確認しておきたい主な項目は次のとおりです。
- 通行する土地の所有者
- 通行するための権利や契約の有無
- 通行できる人や車両の範囲
- 通行できる時間や方法に制限がないか
- 水道や下水道などの配管が通っているか
- 配管工事などで掘削する場合の権利や承諾の有無
- 過去に隣地所有者との間で交わした承諾書や契約書があるか
対象地と公道の間に第三者の所有地がある場合、その土地を通る必要があります。このとき、通行に関する契約や地役権などが設定されているかによって、土地の利用条件が変わる可能性があります。
また、建物を建てたり建て替えたりする場合には、上下水道などの配管を通すために、第三者の土地を掘削する必要が生じるケースがあります。通行だけでなく掘削についても確認しておくことが重要です。
ここで大切なのが「現在通っているから問題ない」と判断しないことです。現在は問題なく通行できていても、権利関係が明確になっていなければ、売却時に買主から確認を求められる可能性があります。
売却前に登記事項証明書や契約書、承諾書などを確認し、通行や掘削に関する権利関係を整理しておきましょう。自分だけで判断するのが難しい場合は、不動産会社や司法書士などの専門家に資料を見てもらう方法もあります。
道路に面していない土地を売却しやすくする方法
道路に面していない土地を売却しやすくする方法は、接道や通行に関する条件を整理して、買主が利用しやすい状態に整えることです。その結果、従来の土地に比べて購入後の利用方法を検討しやすくなり、売却先の選択肢を広げることにつながります。
主な方法は以下のとおりです。
- 隣地の一部取得や交換で接道を確保する
- 建築基準法第43条第2項の認定・許可を受けられるか確認する
- 条件に応じてセットバックや道路位置指定を検討する
- 境界や通行・掘削の条件を整理して買主に提示する
ただし、これらの対応には隣地所有者との交渉や自治体への確認、測量などが必要になるケースがあります。売却前に費用をかけて対応することが必ずしも得策とは限らないので、土地の価値や売却方法とあわせて検討しましょう。
隣地の一部取得や交換で接道を確保する
土地と道路の間に別の土地がある場合は、隣地の一部を取得することで道路との接道を確保できる可能性があります。
たとえば、隣地の一部を取得して道路から敷地まで2m以上の接道を確保できれば、建築基準法上の接道義務を満たせる場合があります。また、隣接する土地との位置関係によっては、土地の一部を交換することでそれぞれ土地の利用条件を改善できるケースもあります。
隣地所有者と交渉する前に、自治体の建築担当窓口や不動産会社などに相談し、どの程度の土地を取得すれば接道条件を満たせるのかを確認しておきましょう。具体的な確認内容は以下のとおりです。
- 取得する土地が建築基準法上の道路までつながるか
- 取得後に接道義務を満たせるか
- 土地の分筆が必要になるか
- 境界を確定する必要があるか
- 売買や分筆にかかる費用を誰が負担するか
- 隣地所有者が売却や交換に応じるか
隣地の取得については、隣地所有者が売却に応じなければ実現できません。まずは不動産会社や土地家屋調査士などに土地の形状を確認してもらい、実現できる可能性を整理してから交渉するとよいでしょう。
建築基準法第43条第2項の認定・許可を受けられるか確認する
接道義務を満たしていない土地でも、建築基準法第43条第2項に基づく認定や許可によって、建築が認められる可能性があります。
一 その敷地が幅員四メートル以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)に二メートル以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの
二 その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの
e-Gov法令検索 建築基準法第43条第2項
建築基準法では、原則として建築物の敷地が道路に2m以上接していることが求められます。一方で、一定の要件を満たす場合には、特定行政庁による認定や許可によって、この原則とは異なる取り扱いが認められる制度があります。
具体的な適用条件や取扱いは土地の状況や自治体が定める基準などによって異なるので、対象地を管轄する自治体の建築担当窓口へ確認しましょう。
ただし、「43条第2項の認定・許可があるから、どのような建物でも建てられる」という意味ではありません。「実際に認定や許可を受けられるか」「どのような条件が付くのか」については、土地の状況や自治体の取り扱いによって異なります。
条件に応じてセットバックや道路位置指定を検討する
前面道路の幅員や土地の状況によっては、セットバックや道路位置指定によって建築上の条件を整えられる可能性があります。セットバックとは、建築物を建てる際に敷地を道路側から後退させることです。
たとえば、現在所有している土地の前にある道路の幅員が3mで、その道路が建築基準法第42条第2項の「2項道路」に該当するとします。この場合、原則として道路の中心線から2m後退した位置までを道路として確保することで、建築基準法上必要とされる4mの道路幅員を確保できる場合があります。
ただし、セットバックは「道路に面していない土地を道路に面した土地へ変える方法」ではありません。あくまでも、すでに建築基準法上の道路に接しており、道路幅員が4m未満の2項道路など、建築にあたって敷地を道路側へ後退させる必要があるケースで行われる方法です。
一方、道路に面していない土地では、一定の条件を満たした道路を新たに整備し、特定行政庁から位置指定を受けることで建築基準法上の道路(位置指定道路)として扱われる可能性があります。
ただし、道路を新設すれば必ず位置指定道路になるわけではありません。道路の幅員や構造、接続先などについて基準を満たす必要があります。
セットバックや位置指定道路を検討するときは、先に自治体へ相談しましょう。あわせて、道路整備や土地の分筆、測量などにかかる費用など、対応後に土地の売却価格がどの程度変わる可能性があるのかを比較することも重要です。
境界や通行・掘削の条件を整理して買主に提示する
接道条件を改善できない場合でも、境界や通行・掘削に関する条件を整理しておくことで、買主が土地の利用方法を判断しやすくなります。
道路に面していない土地では「道路まで通れるのか」という基準だけでなく「誰の土地を通るのか」「どのような権利に基づいて通行できるのか」「配管工事のために掘削できるのか」なども確認すべき内容です。
通行について隣地所有者との契約がある場合は、その契約書や承諾書を確認しておきましょう。地役権が設定されている場合は、登記事項証明書などから内容を確認します。
また、境界が確定していない場合は、買主から境界の明確化を求められる可能性があります。土地の形状や隣地との位置関係がわかる資料を整理しておけば、売却時の確認も進めやすくなります。
売却前に確認する資料
| 確認する資料 |
取得方法 |
| 公図・地積測量図・登記事項証明書 |
法務局の窓口やオンラインで取得する |
| 境界確認書 |
手元の書類を確認する。紛失している場合は、土地家屋調査士などに相談する |
| 通行・掘削に関する契約書や承諾書 |
手元の契約書や承諾書を確認する |
| 私道の持分や権利関係がわかる資料 |
法務局で私道部分の登記事項証明書などを確認する |
| 自治体で確認した道路種別や建築可否に関する資料 |
土地を管轄する自治体の建築担当窓口などで確認する |
これらの情報を整理したうえで不動産会社に提示すれば、土地の利用条件を買主に説明しやすくなります。土地の条件を明確にしたうえで買主を探すことで、売却後に認識の違いが生じるリスクを抑えやすくなります。
道路に面していない土地では、必ずしも大規模な工事や権利取得をしてから売却する必要はありません。まずは現在の土地の条件を整理し、改善にかかる費用と売却価格への影響を比較したうえで、どこまで対応するかを判断しましょう。
道路に面していない土地の売却にかかる費用・税金と手取り額
道路に面していない土地を売却するときは、仲介手数料や印紙税などの一般的な売却費用に加えて、土地の状態によって測量費や解体費などが必要になる場合があります。まずは売却前に「必ずかかる費用」と「土地の条件によって発生する費用」を分けて確認することが大切です。
道路に面していない土地の売却には、主に以下の費用や税金がかかります。
- 登記関連費用(仲介手数料や印紙税など)
- 測量・承諾取得・接道改善などにかかる費用
- 解体・残置物処分にかかる費用(建物がある場合)
- 譲渡所得にかかる税金
売却方法や接道改善策を検討するときは、売却価格だけでなく必要な費用や税金を差し引いた最終的な手取り額まで比較しましょう。
仲介手数料・印紙税・登記関連費用などを確認する
不動産会社に仲介を依頼して土地を売却する場合は、仲介手数料や印紙税などの費用が発生します。また、登記の変更や抹消が必要な場合は、登録免許税や司法書士報酬などの費用も確認しておきましょう。
仲介手数料は、不動産会社の仲介によって売買が成立した場合に支払う費用です。仲介手数料には上限が定められており、以下のように売却価格によって異なります。
売買による仲介手数料
| 売買価格 |
手数料 |
| 200万円以下 |
5.5% |
| 200万円超~400万円以下 |
4.4% |
| 400万円超 |
3.3% |
物件価格が800万円以下の宅地・建物については「低廉な空家等」の特例があり、仲介業者は原則の計算による上限を超えて仲介手数料を受け取ることができます。ただし、この特例によって受け取れる金額にも上限があり「30万円×1.1倍の金額」以内とされています。
売買契約書については、契約金額に応じた印紙税がかかります。税額は契約金額によって異なり、不動産譲渡契約書については、2027年3月31日までに作成されるものを対象とした軽減措置が設けられています。
また、売却時に登記簿上の住所と現在の住所が異なる場合は住所変更登記が、抵当権が設定されている場合は抵当権抹消登記が必要になることがあります。これらの手続きでは、登録免許税や司法書士に依頼する場合の報酬などが発生する可能性があります。
なお、買取業者が買主となる直接買取や隣接する土地の所有者に直接売却する場合は、仲介による売買ではないので仲介手数料は発生しません。
出典:<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ|国土交通省
測量・承諾取得・接道改善などにかかる費用を確認する
道路に面していない土地では、土地の状況によって測量や境界確認、通行・掘削に関する承諾の取得、接道条件を改善するための工事などが必要になることがあります。ただし、これらの対応が必ず必要になるわけではありません。
現在の土地の状態を買主が納得したうえで購入するのであれば、売主が無理に改善する必要はありません。一方、前章で紹介したように隣地の一部を取得したり、道路との接続を改善したりすることで土地の利用方法が増え、買い手が見つかりやすくなるケースもあります。
なかなか買い手が見つからず売却が進まない場合は、接道条件を改善するための工事を行ったり、通行・掘削に関する承諾を取得したりすることも選択肢のひとつです。
ここで注意すべきなのが、接道条件を改善すれば必ずしも売却価格が上がるとは限らないということです。対策を検討する際は、改善によって期待できる売却価格と、それにかかる費用を比較することが重要です。
たとえば、接道条件を改善することで売却価格が300万円上がったとしても、隣地の取得費や測量費、工事費などに250万円かかれば、単純な差額は50万円です。さらに、売却に伴う仲介手数料や税金なども考慮すると、実際の手取り額はさらに小さくなる可能性があります。
対策を実施するか迷った場合は、まず現在の状態のまま売却した場合の査定額を確認しましょう。そのうえで、接道条件を改善した場合の売却価格と必要な費用を確認し、最終的な手取り額を比較することで改善に費用をかけるべきか判断しやすくなります。
建物がある場合は解体・残置物処分の必要性と費用を確認する
建物が残っている土地を売却する場合は「建物を解体して更地にするのか」「建物を残したまま売却するのか」について検討する必要があります。ここでポイントとなるのが、解体費用をかけることがそのまま売却する以上のメリットにつながるかどうかです。
建物を解体するか判断する際は、次の点を比較しましょう。
- 建物を残した場合の査定額
- 更地にした場合の査定額
- 建物の解体費用
- 残置物の処分費用
- 更地にした後の土地の利用方法
たとえば、建物を残した状態で500万円の査定額が出て、解体費用が150万円かかるとします。この場合、更地にしたことで査定額が650万円を超えなければ、解体費用を差し引いた手取り額は、建物を残した場合と比べて増えません。
ただし、実際の売却価格は土地の立地や接道状況、建物の状態、買主の用途などによって変わります。「売却するなら先に解体する」と決めるのではなく、まず建物を残した状態で査定を受け、更地にした場合の査定額や解体費用も確認してから判断するのが現実的な方法です。
また、建物を残したまま売却する方法もあります。建物の状態が良好であれば、そのまま利用できることを理由に購入を検討する人がいる可能性があります。一方、老朽化が進んでいて買主が購入後に解体する必要がある場合は、その解体費用を考慮して売却価格が設定されることもあります。
特に、道路に面しておらず接道義務を満たしていない土地では、建物を解体して更地にすると再建築できなくなり、利用方法が限られる可能性があります。ただし、接道義務には例外もあるため、解体するかどうかは現在の接道状況や再建築の可否を確認したうえで慎重に判断しましょう。
なお、建物を解体すると、住宅用地に対する固定資産税の軽減措置に影響する場合があります。売却まで時間がかかる可能性がある場合は、解体費用だけでなく、解体後に発生する税負担や売却までの期間も含めて比較するとよいでしょう。
建物付きの土地を売却する場合は、解体前と解体後の査定額から解体費用・残置物処分費用・税負担などを差し引いた手取り額を比較することが大切です。
譲渡所得にかかる税金を確認し、手取り額を比較する
土地は高く売れるほど手元に残る金額が増えるとは限りません。売却価格が上がれば譲渡所得にかかる税金が増える場合があるほか、仲介手数料や測量費、工事費などの費用も発生するためです。
そのため、道路に面していない土地を売却するときは査定額だけで判断せず、売却にかかる費用や税金を差し引いたあと、いくら手元に残る想定なのか確認することが大切です。
土地を売却して利益が生じた場合は、譲渡所得に対して所得税や住民税などが課税される可能性があります。譲渡所得は原則として次の計算方法で求めます。
「譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)」
※特別控除が適用される場合は、ここから特別控除額を差し引いて課税譲渡所得金額を計算します。
取得費とは、土地を取得したときの購入代金や購入時の諸費用などのことです。譲渡費用には仲介手数料や売買契約書の印紙代など、売却するために直接かかった費用が含まれます。
税率は、土地を売却した年の1月1日時点における所有期間によって異なります。所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」として扱われます。
土地・建物を売却した場合の税率
| 区分 |
所得税 |
住民税 |
| 長期譲渡所得(所有期間5年超) |
15% |
5% |
| 短期譲渡所得(所有期間5年以下) |
30% |
9% |
※上記の所得税には復興特別所得税が含まれていません。復興特別所得税を含めた税率は、長期譲渡所得が20.315%、短期譲渡所得が39.63%です。
なお、税務上の譲渡所得と実際に手元に残る金額は同じではありません。「測量・承諾取得・接道改善などにかかる費用を確認する」でも説明した通り、実際の手取り額を考える際は、仲介手数料や測量費、工事費など売却に伴って発生する費用も考慮する必要があります。
譲渡所得にかかる税金は、取得費や所有期間、適用できる特例などによって変わります。具体的な税額を確認したいときは、税理士に相談するのも有効です。
まとめ
道路に面していない土地でも売却することは可能です。ただし「接道義務を満たしていない」「通行や建築に制約がある」などの条件がある場合、一般的な土地より買主が限られて売却価格が低くなる傾向があります。
売却方法には「隣地所有者への売却」「不動産会社による仲介」「専門の買取業者への売却」などがあります。土地の立地や接道状況、隣地との関係などを踏まえて、自分の土地に合った方法を選ぶことが大切です。
また、売却前には土地と道路の位置関係や前面道路の種類、建築の可否、通行・掘削に関する権利などを確認しておきましょう。土地の条件によって、利用方法や売却しやすさが変わる可能性があるためです。
道路に面していない土地を売却するときは、まず現在の土地の状態や接道条件を整理し、複数の不動産会社から査定を受けることをおすすめします。査定額だけでなく、売却方法や売却条件も比較したうえで土地に合った売却方法を検討しましょう。
道路に面していない土地のよくある質問
道路に面していない土地は更地にした方がよいですか?
場合によりますが、接道義務を満たさない限りは建物の建て替えが認められず、更地にすると固定資産税が上がるため、急いで更地にする必要はないでしょう。
建物がある場合は更地にしてから売却した方がよいですか?
必ずしも更地にしてから売却する必要はありません。建物の状態や土地の接道条件によっては、建物を残したまま売却した方がよい場合もあります。
とくに道路に面していない土地では、建物を解体しても接道条件そのものが改善されるわけではありません。解体費用をかけて更地にしたからといって、必ずしも土地が売却しやすくなるとは限らない点に注意が必要です。
まずは建物を残した状態と更地にした場合の両方について査定を受け、解体費用まで含めて比較することが大切です。
なお、相続土地国庫帰属制度を利用する場合は、建物がある土地は申請できません。法務省も「建物の存する土地」を申請できない土地として明示しています。
出典:不動産に関するルールが大きく変わりました。|法務省民事局
相続した道路に面していない土地も売却できますか?
相続した土地が道路に面していなくても、売却することは可能です。ただし、相続後の登記や土地の権利関係を整理したうえで売却を進める必要があります。
道路に面していない土地では、通常の土地よりも接道や通行条件などの確認事項が多くなります。相続した土地の場合は、これらに加えて相続人が誰なのか、所有権が適切に登記されているかなども確認しましょう。
相続登記は、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請することが義務付けられています。売却を予定している場合でも、相続登記を済ませて所有者を明確にしておくことが重要です。
また、相続人が複数いる場合は、土地の所有関係にも注意が必要です。共有状態になっている場合は、誰がどの持分を所有しているのかを確認したうえで、売却方法を検討する必要があります。
隣地所有者に購入を断られた場合はどうすればよいですか?
隣地所有者に購入を断られた場合は、不動産会社への仲介依頼や土地の買取を専門とする不動産会社への相談を検討しましょう。隣地所有者への売却は土地を一体利用できる場合に有力な方法ですが、隣地所有者に購入する必要がなければ売却できるとは限りません。
まずは一般の購入希望者を探す仲介を検討します。土地の利用方法や接道条件を踏まえて、購入できる人を探してもらえる可能性があります。
仲介で買主が見つからない場合は、接道していない土地や再建築が難しい土地を取り扱う買取業者に相談する方法もあります。買取では不動産会社などが直接買主となるため、一般の購入希望者を探す場合とは異なる売却方法を検討できます。
売却できない場合、相続土地国庫帰属制度は利用できますか?
相続にて土地を取得した場合、一定の要件を満たせば相続土地国庫帰属制度を利用できる可能性があります。ただし、「売却できない土地なら国が引き取ってくれる」という制度ではありません。
法務省によると、相続土地国庫帰属制度には、要件に該当すると承認申請自体ができない「却下要件」と、申請自体は可能ですが、法務局による審査で該当すると国庫帰属が認められない「不承認要件」があります。
各要件ごとの条件は以下のとおりです。
相続土地国庫帰属制度の却下要件・不承認要件
| 区分 |
要件 |
| 却下要件 |
建物がある土地 |
| 担保権や使用収益権が設定されている土地 |
| 他人の利用が予定されている土地 |
| 特定有害物質により土壌汚染されている土地 |
| 境界が明らかでない土地・所有権の存否や帰属、範囲について争いがある土地 |
| 不承認要件 |
一定の勾配・高さの崖があり、管理に過分な費用・労力がかかる土地 |
| 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地 |
| 土地の管理・処分のために除去しなければならない有体物が地下にある土地 |
| 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地 |
| 災害の危険があり、被害を防止するための措置が必要な土地 |
| 土地に生息する動物により、土地や周辺に被害を生じさせる土地 |
| 適切な造林・間伐・保育が実施されておらず、国による整備が必要な森林 |
| 国庫帰属後、国が管理費用以外の金銭債務を負担する土地 |
| 国庫帰属に伴い、承認申請者の金銭債務を国が承継する土地 |
現在所有している土地が上記の条件に該当する場合、相続土地国庫帰属制度の適用は厳しくなる可能性があります。
さらに、制度を利用する場合は審査手数料として土地1筆につき14,000円が必要です。承認を受けた場合は、10年分の土地管理費相当額として算定された負担金も納付する必要があります。
相続土地国庫帰属制度を希望しても、土地の状態によっては申請できなかったり審査で不承認となったりする可能性があるので、適用条件や必要な費用を確認したうえで利用を検討しましょう。
出典:相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件|法務省
セットバックした土地の所有者は誰ですか?
セットバックした部分の土地は私道として扱われるため、所有権はその土地の所有者が持ちます。そのため、セットバックした土地の維持管理や固定資産税・都市計画税の支払いは、土地の所有者が行わなければなりません。
ただし、セットバックした部分を自治体に寄付もしくは買い取ってもらった場合は、自治体が所有者となります。