
共有不動産の固定資産税は、共有者全員で支払う必要があります。
納税は共有者全員の連帯義務となるため、共有者のだれかが滞納した場合、ほかの共有者が立替えなければなりません。
滞納した税金を支払わなければ、延滞金がかかったり、不動産を差押える「強制執行」に発展します。
固定資産税の納付書は毎年4月上旬、代表者のもとに送付されます。代表者は納付書を受け取ったら、各共有者から持分割合に応じた納税額を集めて納付しましょう。
固定資産税が負担になって共有状態を解消したい場合は、共有持分を売却するなどして共有状態を解消するとよいでしょう。共有持分の売却については、専門買取業者に相談すると高額かつスムーズな売却が期待できるのでおすすめです。
目次
共有不動産の固定資産税は「共有者全員で支払う」
共有不動産の固定資産税は共有者全員で負担しなければなりません。正確にいえば、固定資産税の租税債務は共有者全員の連帯債務となります。
連帯債務とは、債務者全員が全額返済する義務を、等しくもっていることを意味します。
したがって、自分の持分に相当する固定資産税をすでに負担していたとしても、他の共有者が当人の持分に相当する固定資産税を滞納した場合には、立替払いをする義務があるのです。
つまり、固定資産税の納税義務者は共有者全員といえます。
共有者同士で「Aさんが全額払う」「Bさんは1/10だけ払えばOK」と取り決めていても、その約束は共有者同士では効力を持ちますが、固定資産税を徴収する市区町村には効力を持ちません。
「固定資産税を負担」した場合は贈与税が発生するケースもある
だれかが全額を負担することや、持分割合とは違う割合で固定資産税を負担することはできますが、相続税法上は贈与にあたります。
金額によっては、贈与税の納税義務が発生する場合があります。
ただし、共有不動産の使用目的によっては生活費に該当し、贈与税の課税対象とはならないこともあります。
なお、贈与税は年110万円までは非課税です。実際に贈与税が発生するかどうかは、税理士に確認してみるとよいでしょう。

共有不動産の固定資産税は代表者が立て替えて払うことが一般的
市区町村は、共有不動産が新規に登記されたとき「固定資産税の代表者をお知らせください」という通知を発送します。
固定資産税の代表者とは、市区町村が行う固定資産税に関する質問や調査などの電話に対応したり、実際に税金を納付したりする人のことです。
つまり、納税義務者は共有者全員でも、実際の納税額は代表者による立て替えで払うことが一般的です。
また、固定資産税の納付書も代表者の住所に送付されます。
固定資産税の代表者は立て替えた税金をあとから請求できる
固定資産税は代表者にまとめて請求されます。
そして、固定資産税の代表者は立て替えた税金をあとから請求できます。
もしも、立て替えた分の取り立てなどで共有者とトラブルになったときは、不動産問題に強い弁護士に相談してみましょう。
法的な根拠と客観的な意見で、支払いの交渉をしてくれます。
代表者は「共有不動産に住んでいる人」がおすすめ
共有不動産の納税義務における代表者は、共有者間の話し合いで決定できます。
共有不動産に住んでいる人を代表者にするのが一般的です。
不動産に住んでいる人を代表者にすることで、市区町村からの問い合わせにすばやく対応できます。
特別な事情がない限り、実際に共有不動産に住んでいる方を代表者とすることを強くおすすめします。
固定資産税の確認方法は2つ
代表者から伝えられた不動産の固定資産税が、想定以上に高額なときなど、自分で固定資産税の金額を確認したいこともあるでしょう。
その場合は、市役所で固定資産税の金額や固定資産税評価額、その他の情報を直接確認できます。これを固定資産課税台帳の「閲覧」制度といいます。
また「他の人が所有している不動産の固定資産税」を確認できる固定資産課税台帳の「縦覧」という制度もあります。
両制度は混同されやすいのですが、縦覧を行える期間は概ね4月一杯に限定されています(土日や祝日などの関係で若干前後します)。
固定資産課税台帳の閲覧をする場合には、300円の手数料がかかります。
しかし、縦覧期間中、つまり4月中であれば、自分の不動産も他人の不動産も無料で閲覧できます。急ぐ事情がなければ、4月に確認するといいでしょう。
本人以外が固定資産課税台帳を閲覧するには委任状が必要
縦覧の期間外、つまり固定資産課税台帳の閲覧は、対象の不動産を所有している人しかおこなえず、さらに身分証明書の提示が必要となります。
また、家族が代わりに確認する場合は、委任状が必要となります。
委任状に決まった様式などはありませんが、市区町村によってはウェブサイトなどにテンプレートを公開しているので、必要に応じて参考にするといいでしょう。

共有名義人が固定資産税を滞納したらどうなる?
既に解説したとおり、代表者となっていない人が固定資産税の負担分を代表者に支払わない場合であっても、市区町村は代表者に請求をします。
実務上は、代表者の方が立替えざるを得ないケースが多くなります。
それでは、代表者が市区町村に対して固定資産税を滞納した場合にはどうなるのでしょうか。
以下の項目から、見ていきましょう。
代表者が固定資産税を滞納した場合は「他共有者」に請求がいく
代表者が市区町村に対して固定資産税を滞納し、督促しても支払わない場合には、市区町村は不動産の他共有者に固定資産税を請求します。
自分が負担すべき固定資産税を、既に代表者へ支払っているケースもあるでしょうが、市区町村はそのような事情を考慮しません。
その不動産を共有している人であれば、だれであっても固定資産税の全額を請求される可能性があり、請求されたときは支払う義務があります。
もちろん、市区町村に納税したあとで、代表者に対して「既に支払った負担分」の返金を求めることは可能です。
固定資産税を滞納してしまったら延滞金が課せられる
固定資産税を滞納してしまった場合、納付期限の翌日から1カ月間は年利2.9%、それ以降は年利9.2%の延滞金、つまり金利を支払わなければいけません。
1年で1割近くの金利を支払わうことになります。また、破産しても税金は免責されませんので、固定資産税はなにがあっても支払う必要があります。
不動産を共有している場合には複数の納税義務者がいますから、他の人が支払うことで、長期間の滞納が発生するとは考えにくいかもしれません。
しかし、納税義務者が多いからこそ全員が「誰かが支払うだろうから自分が負担するのは損だ!」と考え、かえって滞納が長期化してしまうことも多いのです。
共有名義人が死亡した場合の固定資産税の支払いは相続人が引き継ぐ
共有名義人が死亡した場合には、共有名義人が負担すべき固定資産税は、共有名義人の相続人が支払うこととなります。
相続後の支払い分だけでなく、死亡前に滞納していた固定資産税も相続人に支払い義務があります。
しかし、相続人の状況によっては、固定資産税を支払えるほどのお金が手元にない場合もあります。
加えて、遺産分割の協議がまとまるまでは、亡くなった人の銀行預金も下ろせません。
近い将来に共有名義人が亡くなるかもしれず、固定資産税の負担分が立替払いできないほど多額の場合には、存命中にある程度の預金を現金化しておくべきでしょう。
共有不動産の固定資産税を支払いたくない場合は共有名義を解消する
不動産を共有していると、だれがその不動産を利用するのか、家賃はどうするのか、といった点で意見が食い違うことも多いです。
共有不動産に住んでいる人が屋根や外壁の修繕を提案したとしても、共有不動産を利用していない共有名義人にとっては余計な出費に感じられるでしょう。
自分の住環境が改善するわけでもないのに、予期せぬ出費だけを迫られる迷惑な提案だと感じて、トラブルになってしまうケースが多いのです。
そのようなトラブルを予防、解決するために、共有名義の解消を検討しましょう。

【共有名義の解消方法1】共有者のだれかが持分を一括で買い取る方法
不動産の共有名義を解消する場合、その不動産をこれから利用しようとする人が、他の共有名義人から不動産の持分を買い取る方法が考えられます。
この方法の長所は、なんと言っても共有している不動産が外部に流出しないことです。
購入しようとする人の経済状態に余裕があったり、その不動産の担保価値が十分で金融機関から借り入れをできるのであればよい方法といえます。
しかし、持分の購入資金を用意する必要があり、手元に資金のない共有者にはむずかしい方法です。
【共有名義の解消方法2】共有者のだれかが持分を分割で買い取る方法
金融機関からの借り入れが難しい場合には、分割払いの約束をして持分の売買を行ったり、持分を複数回売買したりすることも可能です。
分割払いの約束をして持分の売買をする方法と、一見同じように見えますが、まったく異なる契約ですから違いをよく理解しましょう。
分割払いの約束をして持分を売買する場合には、最初に契約を結んだ際に持分のすべてが買主に移ります。したがって、万一代金の支払いが行われなかった場合には、売手は裁判などの手段で持分を返してもらわなければいけません。
もしも、そのとき既に持分が人手に渡っていた場合には、取り返すことは極めて困難です。
持分を複数回売買する場合には、売買を行うたびに少しずつ持分が売手から買主へと移動します。毎回代金と持分を交換するイメージですから、代金が不払いとなる心配はありません。
しかし、買主は最終的に持分のすべてを購入できると期待しています。
もしも、途中で売主の気が変わって「持分の売却をやめる」と言い出した場合には、それまで支払った代金がムダになったと感じてしまい、トラブルになる可能性が高いです。
そのような事態を避けるためにも、必ず弁護士や司法書士の助言を受けて、分割売買の契約書を作成しましょう。
また、持分を複数回売買する場合には、売買ごとに持分が移転した旨を登記すべきです。登記を司法書士に依頼する場合、売買ごとに報酬が発生しますので注意しましょう。

【共有名義の解消方法3】共有不動産を第三者に売却する方法
共有不動産を全くの第三者に売却し、代金を持分にしたがって配分する方法も考えられます。
この方法は不動産を手放す必要がありますが、購入資金の借り入れをする必要はありません。
また、売買代金が元で共有者同士がトラブルになることもありません。
当社ランピーリアルエステートでも、共有不動産や共有持分の買取をおこなっています。
共有者と連絡を取らずとも、トラブルなく共有持分を買取いたします。
次の固定資産税の支払時期が来る前に、ぜひ一度無料査定や無料相談をご利用ください。
売却したいなら
共有持分買取専門の
当社にお任せください!

まとめ
不動産を共有している場合には、その不動産から発生する収益・費用の配分を行わなければならず、面倒に感じることが多いです。
その代表例が、年に4回訪れる固定資産税の負担分の精算でしょう。
共有者が高齢になってしまうと不動産の売買が困難となってしまうため、共有を解消する意向がある場合には早めに行動した方がいいでしょう。
しかし、なかなか機会をつかめなかったり、つい先延ばしにしてしまっている方も多いと思います。
固定資産税の負担額を請求する際や共有者の皆さんが集まる機会に、共有状態の解消に向けて話し合ってみてはいかがでしょうか。
共有不動産の固定資産税についてよくある質問
共有不動産の固定資産税は代表者がまとめて納税します。そして、代表者はあとから他の共有者に固定資産税を請求できます。
もしも、立て替えた固定資産税を払ってくれない他共有者がいるなら、不動産問題に詳しい弁護士へ相談しましょう。当事者間で直接、督促するよりも専門家に任せる方が解決しやすいです。
「他共有者」に請求がいきます。また、固定資産税を滞納してしまった場合、1年で1割近くの金利を余分に支払わなければなりません。
固定資産税を滞納している人が死亡したからといって、滞納金は免除されません。相続人に支払い義務が相続されます。
共有不動産の固定資産税を支払いたくない場合は、共有名義を解消するとよいです。共有者や、共有持分を専門に取り扱う買取業者に自分の共有持分を売るとよいです。共有持分を専門に取り扱う買取業者はこちら→