借地権を相続した場合の手続きや評価方法、相続放棄の判断ポイントを解説

相続破棄

財産を所有している人が亡くなった場合は、相続が発生します。

相続の対象になる財産は、現金や預金、株式や不動産など様々なものがありますが、実は、借地権も相続の対象となる財産に含まれます

そのため、借地権を所有している人が死亡した場合は、借地権の評価や相続手続きを行う必要があります

この記事では、借地権を相続した場合の手続きから、評価方法や相続放棄の判断ポイントまでを徹底解説します。

目次

借地権を相続した場合の手続き

借地権相続
借地権を相続して、最初に迷うのが、これからどのような手続きをしていけば良いのかということでしょう。ここでは、借地権を相続した場合の手続きの流れを見ていきましょう。

借地権を相続したらまずは地主に連絡

父から母へ、親から子へというように、法定相続人が借地権を相続する場合は、相続について地主に許可を得る必要はありません

被相続人(亡くなった人)と地主の間の賃貸借契約の内容はそのまま、相続人に引き継がれます。

遺贈(遺言書などで法定相続人以外の第三者が借地権を引き継ぐ死因贈与)の場合は、地主の許可が必要です。

では、借地権の相続に地主の許可が不要だからといって、相続したことを地主に連絡しなくても良いかというと、そうではありません。

借地権を相続した人は、借地権の売却やトラブルの回避など、今後のことを考えて、地主とは良好な関係を築いておく必要があります。

また、賃料の支払いが遅れてしまうことがないようにしなければなりません。そのためにも、借地権を相続したら、まずはその旨を地主に連絡する必要があります

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借地権の名義変更=建物の名義変更

借地権を相続したら、借地権の所有権者が変更になったことを登記する必要があります。そうすることで、借地権の所有者が自分であることを第三者に主張することができます。

ただし、通常、借地権の所有権者を登記簿に登録している場合はほとんどありません。

一般的には、建物の所有者を借地権の所有権者とみなすからです。

そこで、借地権を相続したら建物の名義変更を行い、登記上の建物の所有者を借地権の所有権者に合わせます。建物の名義変更手続きは法務局で行います。

登記の手続きには、通常1週間~2週間程度かかるので、登記を急いでいる場合には注意が必要です。

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借地権の名義変更に関する必要書類

借地権の名義変更(建物の名義変更)では次の書類が必要です。

不動産登記申請書

法務局に不動産登記をするための申請書です。この申請書は申請者が作成する必要があります。

テンプレートは以下の法務局のホームページからダウンロード可能です。
参照:法務局 不動産登記の申請書様式

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遺言書がある場合は遺言書を、そうでない場合は遺産分割協議書を用意します。

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登記済証権利証

被相続人の登記済証権利証を用意します。登記済証権利証には、所有者を証明する登記識別情報が英数字のIDで記載されています。

住民票の抄本または戸籍の附票

住民票には世帯の家族全員が記載されている「住民票謄本」のほかに、一部だけが記載された「住民票抄本」があります。

今回のケースでは、相続人自身の情報が書かれた「住民票抄本」を用意します。

「戸籍の附票」とは、戸籍に載っている人の住所の移動が記録されている書類です。どちらでもかまいませんが、住民票の抄本はお住まいの市区町村役場で取得できるのに対し、戸籍の附票は本籍地のある市区町村役場で取得する必要があります。

被相続人の印鑑証明書

3カ月以内に発行された、被相続人の印鑑証明書を用意します。

固定資産税証明書

登記の際、登録免許税の計算に必要になります。名義変更をする建物がある場所の市区町村役場で取得します。

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相続した借地権の評価方法

路線価
ここまでは、借地権を相続した場合の手続きについて見てきました。

借地権を相続した場合にもうひとつ気になるのが、借地権の価値です。

借地権の価値がいくらになるのかによって、相続税の金額も変わってきます。ここでは、相続した借地権の評価方法について解説します。

借地権割合とは?

借地権の評価をするために必要となるのが借地権割合です。

建物の所有を目的に貸している土地には、底地権と借地権の2つの権利が存在します。

底地権は貸地の所有者(貸主)が持っている権利、逆に借地権は借主が持っている権利です。借地権割合とは、その土地にどれぐらいの借地権があるのかを示す割合のことです。

【土地の評価額が1億円で借地権割合が60%の場合】
借地権は、1億円×60%=6,000万円
底地権は、土地の評価額1億円-借地権6,000万円=4,000万円
借地権を相続すると、借地権部分の6,000万円が相続税対象

借地権割合を自分で調べる方法

借地権の評価のためには、借地権割合を知る必要があります。

実は、この借地権割合は国税庁のホームページから自分で調べることができます。
では、借地権割合を調べる手順を見ていきましょう。

国税庁のホームページで「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」を開く

まず、以下の国税庁のホームぺージで「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」を開きます
参照:国税庁

該当する土地がある地域の路線価図を開く

「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」を開くと、日本地図が表示されます。

該当する土地の都道府県をクリックすると、「○○県 財産評価基準書目次」のページが表示されるので、「路線価図」をクリックします。

選択した都道府県の住所が表示されるので、その土地がある住所を選んでいくと、該当する地域の路線価図が表示されます。

借地権割合を確認する

路線価図の上部に「記号」「借地権割合」が記載されている表があるので、その表と路線価図を見比べて、借地権割合を確認します。

例えば、該当する路線の記号がCなら、上部の表に当てはめて、借地権割合は70%となります。

借地権評価額の計算方法

借地権割合がわかれば、いよいよ借地権の評価額の計算です。

借地権は、その土地の評価額に借地権割合を乗じて計算します。

そこで、まずは、その土地の評価額を計算していく必要があります。

土地の評価には2つの方法があります。

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路線価方式

路線価方式とは、路線価図を用いて土地の評価額を計算する方法です。

都市部の宅地の多くは路線価地域にあり、路線価方式を用いて評価します。

路線価図には、土地に面した道路に数字やアルファベット、丸や四角の図形などが記載されています。

このうち数字は、道路に面した土地1㎡あたりの価額を千円単位で表しています。

例えば、記載されている数字が200なら、その道路に面している土地1㎡あたりの価額は、20万円となります。

ここに土地の面積を乗じて評価額を求めます。土地の面積が500㎡の場合は、20万円×500㎡=1億円がその土地の評価額になります。ただし、この計算は土地が正方形であると仮定した場合のものです。

実際には土地の形が正方形ということは少ないので、路線価に面積を乗じて求めた評価額に様々な補正を行って評価額を求めます。

倍率方式

もう1つの評価方法が倍率方式です。倍率方式は、国税庁のホームページの評価倍率表に記載されている倍率を使って評価額を計算します。

主に都市部以外の土地(倍率地域)の場合にこの方法を使って評価します。

倍率方式の具体的な算式は次のとおりです。

土地の評価額=固定資産税評価額×倍率

倍率は、評価倍率表に記載されている宅地や田、畑、山林など地目ごとの倍率等を使います。固定資産税評価額は、市区町村から送られてくる固定資産税の納付書や通知書に記載されているものを使います。

例えば、固定資産税評価額が2,000万円、評価倍率表に記載されている倍率が1.1の場合は、2,000万円×1.1=2,200万円がその土地の評価額です。

借地権評価額の算出

土地の評価額と借地権割合が分かれば、それを乗じて借地権の評価額を計算します。

評価額が1億円で、借地権割合が60%である土地の借地権の評価額は、1億円×60%=6,000万円になります。

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借地権を「相続」or「相続放棄」するかの判断ポイント

相続放棄とは

財産を所有している人が亡くなると、親族はその財産を相続します
では、財産は必ず相続しなければならないのでしょうか。

実は、相続開始の日から3カ月以内に、家庭裁判所で手続きをすることで、遺産の相続を放棄することができます

もちろん、借地権も遺産の中に含まれるため、相続放棄の対象です。

家屋を取り壊して更地にすると、相続放棄ができないこともあるので注意しましょう。

ただし、どれか1つの遺産だけを放棄することはできません。その人が引き継ぐすべての遺産を放棄する必要があります。

では、借地権を相続するか、それとも相続放棄したほうがよいのかをどう判断すれば良いのでしょうか。判断のポイントを見ていきましょう。

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判断のポイント1 借地権を利用するかどうか

まず考えることは、相続した借地権を利用するかどうかです。

例えば、借地の上にある建物を自宅として利用している場合で、相続後も自宅として利用する場合は、借地権を相続せざるを得ません。
つまり、相続放棄という手段を取れなくなります。

また、事務所など事業用として利用している場合も同じことが言えます。

このように、相続した借地権を利用しなければならない理由がある場合は、相続放棄できません。相続した借地権を利用しなければならない理由がない場合は、次からのポイントをもとに判断します。

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判断のポイント2  マイナスの財産が多いかどうか

相続できる財産は、現預金や借地権などプラスの財産だけではありません借金などのマイナスの財産もすべて相続する必要があります

マイナスの財産よりもプラスの財産が大きい場合は問題ありませんが、マイナスの財産の方が大きい場合は、相続放棄することで、自分のお金の減少を防ぐことができます。

判断のポイント3  借地権の売却価格で判断する

相続した借地権を利用しなければならない理由がない場合には、借地権の売却を考えます

借地権の売却価格が高ければ問題ありませんが、低い場合は、売却したお金で相続税を納付したり、負債を返済したりということができない場合もあります。

借地権の相続放棄を考える場合は、借地権の売却価格がいくらになるのかを調べてから判断しましょう。

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ローン承諾許可を得る

借地権の価格は土地の価格などを参考にして決まるため、その売却価格は数千万円と高額になることが多いです。そのため通常、金融機関のローンを利用して購入します。

この際に必要なのがローン承諾許可です。

ローン承諾許可とは、借地権の買主が金融機関のローンを利用し、抵当権を設定することを、地主が許可(承諾)することです。

ローン承諾許可がないとローンを利用できないため、購入者が限定され、借地権の売却価格は低くなります

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借地権の更新時期を避ける

借地権の更新時には、地主への更新料の支払いが必要となることがあります。

その場合、更新直前に借地権を売却しようとすると、購入者も余計な出費を避けるため、すぐには買い手が見つからない場合があります。その場合は、売却価格を下げなければならないケースもあります。

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承諾料の支払い

借地権の売却の承諾を得る際には、地主から一定の承諾料の支払いを求められることがあります。

承諾料は、一般的に借地権価格の10%程度が相場といわれています。

資金が必要になったために借地権を売却する場合、地主への承諾料を支払わなければならなくなると、手もとに残る現金のことを考えて売却価格を高くせざるを得ません。

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実績が豊富な不動産会社に依頼する

借地権は、土地や建物など不動産自体を売却する場合と違い、地主との関係など複雑な取引になることもあります。

借地権の取引の実績が少ない不動産会社に売却を依頼すると、交渉がうまくいかなかったり、長引いたりすることも多く、売却価格が低くなることもあります。

そのため、借地権をより高く売却したい場合は、借地権の取引実績が豊富な不動産会社に依頼したほうが良いでしょう。

借地権の買取業者に依頼する

上述したとおり、借地権の取引は権利関係などが複雑になることもあり、借地権の取引の実績が少ない業者に売却を依頼した場合は、売却価格が低くなることもあります。

実は、業者の中には借地権の買取を行う業者もあります借地権の買取業者に売却するメリットの1つが、スピードです。

業者が借地権を買い取るため、金額がまとまればすぐに売却できます。

すぐに現金化できることはもちろんのこと、なかなか買い手が見つからず、その結果、売却価格を下げざるを得ないということもありません。

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借地権の相続でトラブルが発生した場合、どこに相談すればいいのか?

借地権を相続する場合には、様々なトラブルが生じることがあります。

自分1人で解決することができない場合もあります。その場合は専門家に相談することになりますが、どこに相談したら良いかわからないことも多いでしょう。

ここでは、ケース別に相談先を見ていきましょう

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弁護士に相談するケース

弁護士に相談するケースの多くは、兄弟間など、複数の相続人の間でトラブルがあった場合です。

遺言書がない場合には、相続人同士が遺産をどう分割するのかを協議して決定します。もし遺産分割を巡って相続人同士が対立した場合は、裁判などにもつれ込むこともあるため、弁護士に相談します


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税理士に相談するケース

税理士に相談するケースは、相続税に関する相談です。

相続が開始してから10カ月以内に相続税の申告と納税を行う必要があります。

そのためには、借地権や不動産の評価などを行う必要があり、税の専門知識が必要です。そこで、税の専門家である税理士に相談します。

司法書士に相談するケース

司法書士に相談するケースの多くは、登記関係です。相続する財産の中に、借地権や不動産があった場合は、法務局で名義変更(所有権移転)の登記を行う必要があります。

登記には、必要書類を揃えたり、何度も法務局に足を運んだりと自分1人では難しいこともあります。その場合には、司法書士に相談します。

不動産会社に相談するケース

不動産会社に相談するケースは、借地権の売却(譲渡)を考えている場合です。

借地権の売却価格の査定を行ったり、買主を見つけるための広告や手続きを行ったりします。また、弁護士や税理士、司法書士と連携している不動産会社もあり、その場合はその他の相談も受け付けてくれます。

地主が亡くなった場合、借地権の契約内容はどうなるのか?

次に、地主が亡くなった場合の借地権の契約について見ていきましょう。

契約内容は変更しない

地主が亡くなった場合、気になるのが、今までの借地権の契約内容がどうなるのかということでしょう。

地主が亡くなった場合であっても、今までの借地権の契約内容は継続されます。そのため、契約を結びなおす必要はありません

速やかに支払先の確認をする

地主が亡くなった場合であっても、契約を結びなおす必要はありませんが、地主がその親族などに変わるため、振込口座などの支払先は変更になります。地代の支払いが遅れたり、未払いになったりすると、不要なトラブルのもとになりかねません。

地主が亡くなったことが分かったら、速やかに、支払先の確認をしましょう

立ち退きや地代の値上げ要求には応じなくてよい

地主が変更になった場合、立ち退きや地代の値上げの要求があるケースも出てくるかもしれません。しかし、地主が亡くなった場合であっても、今までの借地権の契約内容は継続されるため、立ち退きや地代の値上げ要求に応じる必要はありません

ただし、この場合、自分が借地権の所有権者であることを主張する必要があります。この場合の「主張」とは、建物の登記です。

建物の登記があれば、自分が借地権の所有権者であることが主張でき、旧契約書の内容も主張できます。

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まとめ

借地権を相続した場合には、相続の手続きや借地権の評価などを行う必要があります

また、場合によっては相続放棄や借地権の売却を考える必要もあるでしょう

しかし、自分1人で、すべてを判断することは難しいです。そのため、信頼のおける業者に相談することが重要です。

なお、弊社クランピーリアルエステートでも、借地権の買い取りを行なっております。借地権を所有しているが自分では活用できない、権利関係が複雑な土地の借地権を所有しているなど、一般の第三者には売却しにくい借地権の買取も承っております

売却後のサポートもさせていただきますので、借地権を手放したいと考えている場合には、ぜひ一度お声がけください

最終更新日:
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