1.再建築可能にして活用する
1つ目の活用方法は再建築不可物件を再建築可能にすることです。
適切な対応を取れば、再建築不可物件における再建築が認められるようになります。
そして、再建築可能になれば、通常の物件と同じく自由に増築・改築ができるようになります。
そのためには、再建築不可物件が「再建築不可」である理由を知ることが大切です。
再建築不可の原因さえ解消すれば、再建築が認められるようになるからです。
再建築不可物件になっている理由
再建築不可物件は、法律で決められた「接道義務」を満たしていないことが理由で再建築不可となっています。
接道義務とは「建築物の敷地は、原則として4m以上の幅員の道路に2m以上接していなければならない」というルールです。
具体的には下図のような状態で、建築可能か、建築不可能となります。
建築基準法は1950年に制定されたので、制定前に建てられた建築物の多くが「再建築不可物件」と扱われてしまうのです。
ただし、すでに建築された再建築不可物件は、新たに増改築などができない代わりに解体する必要もありません。
また、建築当時は建築可能だった場所がさまざまな事情によって、接道義務を満たさなくなったため、再建築不可物件になったケースもあります。
つまり、再建築不可物件と扱われる理由は、接道義務を満たしていないことです。
参照:「建築基準法制度概要集」(国土交通省)
再建築不可物件を再建築可能にする対処法
接道義務さえ満たせば、再建築不可物件も再建築可能になります。
再建築不可物件を再建築可能にする対処法は、以下の4種類です。
- 自分の土地を位置指定道路にする
- セットバックする
- 隣地を買い上げる・もしくは借りる
- 43条但し書きの許可を取得する
つづいて、接道義務を満たすための具体的な対処法を4つ紹介します。
【対処法1】自分の土地を位置指定道路にする
建築基準法における「道路」とは、普段私たちが利用する公道だけを指すのではありません。
建築基準法では道路を8つに分類しており、第42条1項5号に基づく「位置指定道路」という道路が定められています。
建築基準法 第42条
土地を建築物の敷地として利用するため、道路法 、都市計画法 、土地区画整理法 、都市再開発法 、新都市基盤整備法 又は大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの
出典:「建築基準法第42条」(e-govポータル)
簡単にいえば、自分の土地を行政庁に私道として認めてもらった道路のことです。
そして土地の一部を位置指定道路として認めてもらうことで、接道義務を満たすようになれば、再建築可能となります。
ただし、位置指定道路とするには細かな条件があり、地域によって異なります。
そのため、位置指定道路の申請時には、必ず市役所などの行政庁と個別に相談するようにしましょう。
【対処法2】セットバックする
所有している再建築不可物件が「2項道路」に接している場合は「セットバック」することで再建築可能物件にできます。
専門用語が2つ出てきてイメージしづらいと思いますので、まず「2項道路」について解説してから「セットバック」についてお伝えします。
「2項道路」というのは、建築基準法第42条第2項で定められた道路のことです
ただし、当該道がその中心線からの水平距離二メートル未満でがけ地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該がけ地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離四メートルの線をその道路の境界線とみなす。
出典:「建築基準法 第四十二条第二項」(e-govポータル)
原則として、建築基準法では「幅員4m以上」の道を道路とみなします。
これは、普段の交通や火事や地震などの災害時の避難、緊急車両の交通をスムーズにおこなえて、住民が安全に生活できるようにするために定められているものです。
ですが、建築基準法が制定された昭和25年はまだ車の利用が一般的ではなく、すでに幅員4m未満の道路に沿って多くの物件が建築されていました。
これらの道を「道路とは認めない」としてしまうと国民全体への影響が大きいため、将来、幅員4m以上の道路を確保することを前提に「道路」として認めることにしました。
そして、道路の中心線から水平距離2m(6m指定区域では3m)以上の位置まで下げることを「セットバック」といいます。
ただし、片側が崖地や川である場合は、崖地や川側の道路の端から4m(6m指定区域では6m)以上の位置にまで下げなければいけません。
また、セットバックすることで再建築可能にはなりますが、敷地面積が小さくなる点に注意が必要です。
どれくらいの距離をセットバックしなければならないかは、自身で計測して把握しておきましょう。
【対処法3】隣地を買い上げる・借りる
隣地の方と交渉して土地を買い上げたり、工事の期間だけ一時的に借りる契約を交わして、道路に2m以上接するようにする方法です。
家の前に幅員4m以上を満たす建築基準法上の道路があるのに、接している幅が足りない場合に用いられます。
上記の方法で接道義務を満たすことになるので、増改築ができるようになります。
増改築が可能であれば、通常の物件と変わらないので、買主も見つけやすくなり、売却価格も再建築不可物件よりも大きく引き上げられます。
ただし、隣接地の所有者との交渉はトラブルになることも多く、不動産業者に仲介を依頼することをおすすめします。
あなたが再建築不可物件を再建築可能にしようとしている事実を相手が知ると、相場よりも高い価格で土地の売却を提案してくる恐れがあるためです。
「隣の土地は倍でも買え」という言葉もありますが、不動産業者と相談しながら落ち着いて考えることが大切です。
【対処法4】43条但し書きの許可を取得する
建築基準法第43条には「但し書き」という続きがあり、下記のように書かれています。
ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。
出典:「建築基準法 第四十三条」(e-govポータル)
つまり、接道義務を満たしていない敷地でも、次のような場合は再建築ができます。
- 周囲に公園・緑地・広場などの広い空き地がある
- 農道などに接している
- 道路に通じて避難時に安全に利用できる通路に接している
43条但し書きの許可を受けるには、特定行政庁に許可申請を出す必要があります。
東京都であれば、東京都都市整備局市街地建築部建築企画課市街地担当に問い合わせれば具体的な許可基準や手続方法、審査期間について詳しく教えてもらえます。
参照:「建築基準法制度概要集」(国土交通省)
2.収益物件としてリフォーム・リノベーションをして活用する
再建築不可物件の売買契約は躊躇する買主が多いですが、賃貸契約であれば比較的容易に結べます。
とくに東京23区内は家賃が高いので、相場よりも家賃が安い築古物件を選ぶ入居者も多いです。
再建築不可物件は買主を見つけるより、入居者を見つける方が簡単なのです。
また、再建築不可物件は固定資産税が安いので、通常物件より家賃収入が少なくても十分に賃貸経営が成立します。
再建築不可物件でも、規定の範囲内であればリフォームやリノベーションができるので、外観や内装をきれいにすれば入居者を見つけやすいです。
そのほか、通常の賃貸物件ではなく、シェアハウス・社宅・寮・民泊など、収益物件としての使い道は豊富にあります。
どのような形で収益物件にするのが最適か、周囲の状況を鑑みてチェックするようにしてください。
ただし、フルリフォームとなると新築戸建と同レベルの費用を負担しなければならない点も覚えておきましょう。
3.更地にして月極駐車場・コインパーキング等にして活用する
再建築不可物件となっている物件がボロボロで空き家になっていたり、人が住むのも危険な状態だったりするのであれば、更地にして月極駐車場やコインパーキングとして利用することも検討しましょう。
台風や地震のような自然災害で、家屋の屋根が飛んでいったり、壁が崩れたりして周囲の建物も巻き込む被害を出してしまうとトラブルにもなりかねません。
再建築不可物件を放置して「特定空き家」に指定されてしまうと、固定資産税の優遇措置が適用されなくなります。
自治体の指示に応じない場合、50万円の過料に処せられる恐れもあるので、思い切って更地にした方が良いケースもあります。
更地にしたとき、どのような活用方法がいいのかは周辺の状況をみて、不動産会社と相談してみてください。
更地にすると新しく建物を建築できない
再建築不可物件を更地にすると、そのままではもう、新しく建物を建てることはできません。
その結果、再建築不可物件の価値が下がり、売却価格も安くなってしまう点にも注意が必要です。
再建築不可物件を更地にする場合、管理が楽になる一方で、以下のようなデメリットも抱えています。
更地にするときはやり直しがきかないからこそ、他の活用方法よりも慎重に検討して決めるようにしてください。
4.隣地の所有者に売却する
下記のような場合、隣地の所有者に売却交渉することをおすすめします。
- 不整形地が整形地になる
- 再建築可能になる
- 庭や駐車場として利用できるようになる
隣地と合わせて土地を所有すれば、それぞれ単独で土地を所有しているよりも価値が高くなる場合もあるのです。
こうした場合、隣地の所有者にとっては、相場以上の金額を出しても再建築不可物件を購入するメリットがあるので、高額売却できる可能性が高いです。
再建築不可物件を売却する場合、必ず「隣地の所有者に購入してもらえないか」と不動産業者に交渉を依頼しましょう。
5.再建築不可物件の専門業者に売却する
良い活用方法が思い浮かばず、隣地の所有者も購入してくれない場合、再建築不可物件を専門業者に買取してもらいましょう。
再建築不可物件の購入者を個人の中から探すのは大変ですが、再建築不可物件の買取をおこなっている不動産会社は多くあります。
このような業者の場合、例えば以下のような再建築不可物件の使い道を熟知しているので、確実に買取してもらえる可能性が高いです。
- 築古の再建築不可物件を、提携しているリフォーム会社に格安でリフォームしてもらい、新築に近い価格で転売する。
- 提携している解体業者に依頼して格安で更地にしてもらい、コインパーキングとして活用する。
さらに、専門業者へ売却する場合、契約不適合責任が免責されることが多く、売却後に契約不適合責任を追及されるなどの面倒なトラブルに巻き込まれる恐れがないのもメリットです。
とはいえ、専門業者によって買取価格が異なるため、再建築不可物件を高く売りたい場合、不動産会社の選び方が重要になります。
以下のフォームから、複数の不動産会社による一括査定が受けられるので、再建築不可物件の買取価格を一気に確認してみるとよいでしょう。
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まとめ
買主を見つけづらい再建築不可物件も少し手を加えることで、資産価値を高めることができます。
例えば、再建築不可物件でも、接道義務などを満たすことで再建築可能にできます。
あるいは収益物件・更地などにして、そのまま活用することも可能です。
また、再建築不可物件の活用方法が見つからない場合でも、隣地所有者や再建築不可物件の専門業者に売却可能です。
ただし、再建築不可物件は不動産の中でも難しい分野なので、1人で悩まずに不動産業者に相談するようにしてください。
再建築不可物件の活用に関するよくある質問
再建築不可物件とは何ですか?
接道義務を守れていないなどの理由で建築基準法を満たしておらず、新しい建物の建築が認められていない土地を再建築不可物件といいます。
再建築不可物件を活用するには、どのような方法がありますか?
再建築可能にしたり、リフォーム・リノベーションを施して収益物件にする、更地にして月極駐車場・コインパーキングとして貸し出す方法があります。また隣地の所有者や再建築不可物件の専門業者に売却するのもおすすめです。
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どうすれば再建築不可物件を建築可能にできますか?
自分の土地を位置指定道路にしたり、セットバックする、または隣地を買取したり借りることで接道義務を満たしましょう。または特定行政庁に申請して許可を取得することで建物の建築が認められます。
再建築不可物件はそのまま売却できますか?
法律上の制限はないので、再建築不可物件であってもそのまま売却できます。ただし、買主が見つかりにくいため、なかなか売れにくいです。
再建築不可物件が売れない場合、どうすればよいですか?
土地をセットバックしたり隣地を買取することで、建築基準法を満たせば買主が見つかりやすいです。あるいは専門業者に買取してもらえれば、買主を探す必要がないので早く売却できます。
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