共有持分の登記費用が単独名義よりも高くなる理由と相場を解説

不動産を購入したときには登記が必要で、手続きに費用がかかります。この登記費用についてあなたは、たとえば夫婦の共有名義にすると2倍になるのではないかと、疑問に思われているのではないでしょうか。

結論から言えば、2倍になるかどうかは登記申請を依頼する司法書士・土地家屋調査士次第です。まず、登記費用は大きく登録免許税と専門家に支払う報酬に分かれます。

そして、登録免許税は単独名義と共有名義で変わることはありませんが、支払うべき報酬は専門家の事務所によって異なるからです。

共有名義の人数分、報酬の支払いが必要となる事務所もあり、その場合は、単独名義よりも登記費用がかかってしまいます。

この記事では最初に、登記費用の内訳と相場を解説したあと、共有名義で不動産を取得したときに必要となりうる登記について説明します。

登記費用の内訳と相場


不動産を取得したとき、必ず何らかの登記をする必要があります。このときかかる費用が登記費用です。

登記費用の内訳は、大きく登録免許税と登記申請の手続きの代行を依頼する土地家屋調査士・司法書士へ支払う報酬の2種類です。それぞれの費用の詳細と相場について解説します。

共有持分にかかる登録免許税

まず、登録免許税です。登録免許税は登記申請をするときにかかる税金です。

登記には「建物表題登記」「所有権保存登記」「所有権移転登記」「抵当権設定登記」などさまざまな種類があります。そして、必要な登記は不動産をどのように取得したかによって異なります。

登記の内容については後ほど詳しく解説します。

また、この登録免許税の税額は「不動産の価額」が基準です。ただし、ここでいう「不動産の価額」は、不動産の売買価格のことではありません。固定資産税評価額のことを指します。

たとえば、住宅ローンを組んで、マイホームを新築したときに必要な登記と税率は下表のとおりです。

対象 登記 税率 軽減税率
土地 所有権移転登記 2% 令和3年3月31日までの間に登記する場合は1.5%
建物 所有権保存登記 0.4% 令和4年3月31日までの間に登記する場合は0.15%
土地・建物 抵当権設定登記 0.4% 令和4年3月31日までの間に登記する場合は0.1%

さらに、共有名義の場合、持分権者それぞれにかかる登録免許税は、所有している持分によります。

たとえば、持分が2分の1だった場合に、その持分権者の登録免許税を計算するときには、固定資産税評価額に持分割合を掛けます。したがって、土地の所有権移転登記にかかる登録免許税は「固定資産税評価額 × 1/2 × 1.5%」です。

そのため、夫婦共有名義で登記するとき、それぞれの持分割合の合計は「1」になるので、登録免許税は単独名義の場合と変わりません。このように、固定資産税評価額とそれに対する税率が明確に定められているので、登録免許税について「相場」は存在しません。

司法書士への報酬相場は5万円~10万円

司法書士は不動産の「権利」に関する登記の専門家です。そのため、登記事項証明書の「権利部」に登記されるものを不動産の所有者に代わって申請します。

住宅ローンを組んで不動産を取得する場合、抵当権設定登記が必要になるため、金融機関が司法書士を指定することが多いです。そして、司法書士に支払う報酬は登録免許税のように明確な基準があるわけではありません。

ですが、一般的には5万円~10万円になります。ただし、これは単独名義の場合です。

共有持分の場合、持分権者の数だけ報酬の支払いが必要になることがあります。とはいえ、共有持分の登記でも申請は1件で完了します。

そのため、単独名義でも共有名義でも報酬は同じに設定しているところも多いです。これは依頼する司法書士事務所によるので、事前に確認しておきましょう。

土地家屋調査士への報酬相場は6万円~10万円

司法書士が「権利」に関する登記の申請を代行するのに対して、土地家屋調査士は「表示」に関する登記の申請を代行します。そのため、登記事項証明書の「表題部」にかかる部分の専門家です。

表題部では、建物の所在地や構造、床面積などが登記されます。図面を作成する必要もあるため、調査のために現場の測量も行います。

必要な報酬も土地家屋調査士によって異なりますが、相場は6万円~10万円です。持分といった権利が影響するものではないので、単独名義・共有名義だからといって費用が変わるわけではありません。

不動産を取得したときに必要な登記


登記費用は登録免許税と司法書士・土地家屋調査士へ支払う報酬の合計額というのは、お伝えしたとおりです。続いて、不動産を取得したときに必要な主な登記について詳細を説明します。

  1. 建物表題登記
  2. 所有権保存登記
  3. 抵当権設定登記
  4. 所有権移転登記
  5. 地目変更登記

ただし、ここで解説する登記がすべて必要というわけではありません。取得方法や取得理由によって異なるので注意してください。

(1)建物表題登記

建物表題登記は、建物を新築したときや、登記されていない建物を取得したときに必要な登記です。この登記では「建物の所在や用途」「構造」「床面積」など物理的な情報を登録します。

建物の所在は住所ではなく土地の地番で記載する点に注意してください。また、建物表題登記は、建物の所有者の「義務」と定められています。

期限は建物の完成後または、建物を購入後1カ月以内です。登記を忘れると、10万円以下の過料という罰則があります。建物表題登記は土地家屋調査士が代理で申請することが一般的です。

なお、建物表題登記に登録免許税はかかりません。したがって、建物表題登記に必要な費用は土地家屋調査士へ支払う報酬のみです。

(2)所有権保存登記

所有権保存登記は、対象の不動産に対して初めて所有権の登記をすることをいいます。そのため、建物を新築したときに行います。

所有権保存登記の税率は、土地・建物ともに0.4%です。一定の要件を満たすことで、0.15%または0.1%に軽減されます。

また、売買により不動産を取得したときには、その不動産はすでに所有権が登記されている状態です。したがって「所有権保存」ではなく「所有権移転」となり、所有権移転登記を行います。所有権移転登記については後ほど解説します。

そして、この所有権保存登記は、建物表題登記のように義務化されているわけではありません。

しかし、登記しなければ、不動産の所有権を第三者に主張することができません。つまり、何かの事情で所有権を争って裁判となったときに、登記していなければ所有権を主張できないということです。

そのため、対象の不動産はたしかに自分のものであり、自分の意思で自由に使用・収益・処分できることを確実にするために行う登記です。登記しないデメリットが非常に大きいため、義務ではありませんが、ほとんどの方が登記しています。

また、所有権保存登記は権利に関する登記なので、司法書士が代行します。

(3)抵当権設定登記

住宅ローンなどの融資を受けて不動産を購入する場合に行う登記です。抵当権とは、万が一、ローンの返済が滞り、債務不履行となったときに、抵当権を設定した担保を差し押さえ、他の債権者よりも優先して弁済を受けられる権利です。

「土地や建物を担保に住宅ローンを借りる」というのは「土地と建物に抵当権を設定する」ことを指します。抵当権設定登記は他の登記と異なり、課税標準額は債権金額です。

たとえば
「固定資産税評価額が5,000万円」
「融資額が3,000万円」

だった場合、課税標準額は3,000万円となります。

そして、税率は0.4%です。抵当権設定登記にも軽減税率の設定があり、一定の要件を満たすことで0.1%となります。

抵当権設定登記を行うと「設定の原因」「再見学」「利息」「損害金」「債務者」「抵当権者」の情報が登記簿に記載されます。抵当権設定登記も権利に関する登記なので、司法書士が代行します。

また、夫婦の共有名義でペアローンを組む場合、抵当権設定登記の申請は2つ必要です。そのため、司法書士への報酬の支払いは単独名義に比べて多くなる可能性が高いので、事前に確認しておきましょう。

(4)所有権移転登記

所有権移転登記とは、すでに所有権が設定されている不動産を売買や相続・贈与などによって取得したときに行う登記です。名前のとおり所有権が移転したことを登録します。

所有権移転登記は所有権保存登記よりも重要です。なぜなら、所有権移転登記をしないままでいると、前の持ち主がそのまま不動産の所有権を第三者に主張できることになるからです。

通常の不動産業者を介して行われる中古住宅の売買では、代金決済前に必要な登記手続きを行うので、登記を忘れるということはまずありません。

しかし、個人間売買や相続・贈与の場合、所有権移転登記を忘れてしまうことも多いので気をつけてください。また、所有権移転登記の登録免許税の税率は、その原因によって下表のように異なります。

原因 対象 税率 住宅用建物の軽減
売買 土地 1.5%

(令和3年4月1日以降2%)

売買 建物 2% 令和4年3月31日までの間に登記する場合は0.3%
相続 土地・建物 0.4%
遺贈・贈与 土地・建物 2%

(5)地目変更登記

そもそも地目とは、土地の用途のことです。したがって、地目変更登記は、土地の用途を変更するときに行います。

たとえば、農耕地の地目は「田」や「畑」として登記されています。この土地の上に住居を建てようとするときに、地目を「宅地」へと変更する登記が「地目変更登記」です。

建物表題登記と同様、地目変更登記もその登記申請が義務付けられています。期限は地目に変更が生じた日から1カ月以内です。家を建てるときには、造成工事が完了した時点が、「地目に変更が生じた日」とみなされます。

もし、期限内に申請しなければ、10万以下の過料に処される可能性があります。なお、地目変更登記に登録免許税はかかりません。

また、登記申請の代行を依頼する場合、不動産の「表示」にかかる部分なので、土地家屋調査士になります。報酬額の相場は3万円~5万円です。

マイホームを共有名義で新築したときの登記費用の計算例


それでは実際に、マイホームを夫婦の共有名義で新築したときの登記費用を計算してみます。

前提条件は次のとおりです。

・土地は第三者から購入
・購入した土地の地目は「宅地」
・建物は新築
・土地の固定資産税評価額は2,000万円
・建物の固定資産税評価額は1,500万円
・夫婦ペアローンでそれぞれ1,500万円ずつ
・住宅用建物の軽減税率が適用される

登録免許税

必要な登記のうち、登録免許税がかかるものは
「土地の所有権移転登記」
「建物の所有権保存登記」
「抵当権設定登記」

の3つです。

■土地の所有権移転登記にかかる登録免許税
2,000万円 × 1.5% = 30万円

■建物の所有権保存登記にかかる登録免許税
1,500万円 × 0.15% = 2.25万円

■抵当権設定登記にかかる登録免許税
1,500万円 × 0.1% × 2 = 3万円

となり、合計で35.25万円です。

司法書士への報酬

司法書士へは合計4件の登記申請の代行を依頼します。司法書士事務所によって費用は異なりますが、おおよそ10万円~15万円です。

土地家屋調査士への報酬

土地家屋調査士には、建物表題登記の申請を依頼します。そのため、支払う報酬は6万円~10万円です。

以上より、共有持分の登記費用の合計は50万円~60万円になります。

共有持分の登記費用を抑える方法は自分で登記する


登記は、絶対に司法書士や土地家屋調査士に依頼しなければならないわけではありません。
登記申請は自分で行うこともできます。

そして、自分で登記すれば、報酬の支払いもなくなるので、その分だけ登記費用を抑えることができます。自分で登記するときの手順は大きく3つです。

  1. 必要書類を集める
  2. 申請書を作成する
  3. 申請する

手順1:登記申請に必要な書類を集める

住民票の写しは共有名義人全員分が必要です。また、必須ではありませんが、住宅用家屋証明書も、軽減税率の適用を受けるために必要なので準備します。

所有権移転登記の場合、さらに登記識別情報または登記済証、売買契約書、売主の印鑑証明書が必要になりますが、これらは売主が準備するので、あなたが特別対応する必要はありません。

手順2:申請書を作成する

登記申請書を作成します。申請書は法務局で直接作成してもいいですが、ホームページからダウンロードすることも可能です。

そして、手に入れた申請書に必要事項を記入していきます。

1つの登記につき申請書は1枚必要なので、融資を受けてマイホームを新築した場合

・所有権移転登記申請書
・所有権移転登記申請書
・抵当権設定登記申請書

の3通は最低でも必要です。

添付書類もそれぞれの申請書で必要になります。

手順3:申請する

最後に、申請書と必要な添付書類を合わせて不動産の所在地が管轄区域の法務局へ提出して申請します。申請は法務局に持参する以外に郵送でも可能です。

申請内容に問題なければ、登記完了証が届き、登記は完了です。

ただし、登記は専門家に依頼した方が早く・確実

このように、共有持分であっても登記は自分で行うことができます。そうすれば、登記費用を抑えることは可能です。

しかし、申請内容に誤りがあれば、修正が求められ、時間と手間がかかります。さらに、もし、登記申請が完了する前に権利関係でトラブルになった場合、非常に不利な状況になります。

そのため、不動産の登記手続きのためにある程度の時間を確保でき、勉強しながらでも自分でしたい、という場合以外は、専門家に依頼したほうが早く、確実なのでおすすめです。

まとめ

登記費用は共有持分だからといって大きく変わるわけではありません。特に、登録免許税は不動産の固定資産税評価額によって決まるため、単独名義でも共有名義でも同じです。

登記費用に差がでる原因は、司法書士や土地家屋調査士などの専門家へ支払う報酬の違いです。しかし、共有名義でも単独名と同じ報酬体系で受けているところもあります。

そのため、登記申請を司法書士に依頼するときには、共有名義で費用が変わるかを確認するようにしましょう。

最終更新日:
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