投資用マンションの「売り時」はいつ?
マンション投資において、売り時の見極めはとても重要です。売り時を逃したり、逆に早まって売ってしまったりすると、トータルの運用収支がマイナスになってしまいます。
しかし、なにをもって「売り時」とするかは、投資の方針や市場の動向に左右されます。自身が投資で重視することを明確にしつつ、状況に応じて柔軟に売却することが大切です。
ここでは、「高値で売るため」と「収益悪化を防ぐため」の2点に絞って具体的なタイミングを解説しつつ、近年の市場がどのように動いているかを解説していきます。
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高値で売るための売り時タイミング
高値で売るための売り時としては、次の3つがあげられます。
- 築10~12年前後になったとき
- 近隣の不動産需要が高まったとき
- 金利が低いとき
これらのタイミングを押さえれば、物件の価値を最大限保った価格で売ることもできるでしょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
1.築10~12年前後になったとき
投資用マンションは築年数に応じて価格を下げていくため、売却時点の価格と、それまでの運用収支がトータルでプラスになることが重要です。
下記は、東日本不動産流通機構が公表している、中古マンションにおける㎡単価の低下率をまとめたものです。
築年 |
㎡単価 (万円) |
価格の下落率 |
築0~5年 |
94.63 |
- |
築6~10年 |
82.83 |
-12.47% |
築11~15年 |
69.41 |
-26.65% |
築16~20年 |
64.35 |
-32.00% |
築21~25年 |
54.10 |
-42.83% |
築26~30年 |
37.15 |
-60.74% |
築31年~ |
35.61 |
-62.37% |
データ参照:REINS TOWER(公益財団法人東日本不動産流通機構)「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)」
上記の表をもとに考えると、5,000万円のマンションなら築10年が経ってもおよそ4,500万円程度で売れる計算です。
賃料が月20万円であれば、10年間で得られる収入は「20万円×12ヶ月×10年=2,400万円」なので、売却価格との合計は6,900万円となります。概算ではありますが、諸経費を考慮しても十分プラスになるでしょう。
一方、築年数が進むと売却価格に加えて賃料も下がりますし、入居者付けがむずかしくなって空き室の期間も増えていくので、トータルの収支は悪化していきます。
築10~12年なら高額で売れるうえ、賃貸運営も安定した状態のまま売り抜けられるので、投資マンションの「美味しいところ」だけを取ることができるのです。
大規模修繕による負担金を避けられるのもメリット
築10~12年で売るメリットは、大規模修繕の負担を避けられるという点もあります。
大規模修繕はおおむね12年ごとにおこなわれ、その費用はマンションオーナーに毎月課される「修繕積立金」を充てるのが原則です。
しかし、実際は積立金だけでまかなえず、オーナーに対して一戸あたり数十万円~数百万円の負担金が別途発生します。
また、大規模修繕の費用は回数をかさねるごとに高くなるため、修繕積立金も負担金も値上がりしていきます。
築10~12年の時点で売ってしまえば、上記のような大規模修繕に関する負担増加を避けることが可能です。
2.近隣の不動産需要が高まったとき
地域の不動産需要が上がると、マンションの価格も上がることがあります。都市開発や大型商業施設の進出など、後から発生した要因によって不動産の需要が上がるケースが代表的です。
場合によっては新築時より高額になるマンションもあるため、積極的に売却を検討すべきタイミングといえるでしょう。
需要の指標としては、賃料相場や地価相場の上昇がポイントです。不動産ポータルサイトの価格相場や、国や都道府県が毎年発表する公示地価・基準地価をもとに、需要の高まりを調べることが可能です。
公示地価・基準地価は下記のWebサイトで閲覧できるので、不動産需要を調べる際の参考にしましょう。
→国土交通省「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」
3.金利が低いとき
金利が低い時期は買主がローンを組みやすく、多少価格が高くても成約しやすくなるため、高額売却に向いています。
日本では長年金融緩和が続いており、金利の水準は0%付近で推移していました。しかし、2023年の日銀総裁の交代に伴い政策が転換する可能性があります。
すぐに金利が上がるとは限りませんが、中長期的に見て金融政策・利上げへ向かうことも想定しなければいけません。
なるべく高く投資用マンションを売りたいのであれば、低金利が続いているうちに売却を検討することも大切といえるでしょう。
収益悪化を防ぐために売却を検討すべきタイミング
投資の収益悪化で損失を膨らませないための売り時としては、次の3つがあります。
- 収支がマイナスに転じたとき
- ローンの元金返済額より減価償却費用のほうが高くなったとき
- 2回目以降の大規模修繕前
無駄なコストを抑え、トータルで損をしないためには、これらのタイミングが重要です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.収支がマイナスに転じたとき
月々の収支がマイナスとなっている場合、損切のためにすぐ売却することも考えましょう。
先にも解説しましたが、不動産は古くなるほど家賃は下がり、修繕積立金などの出費は増えていきます。長期間所有していれば、いずれキャッシュフロー(お金の流れ)がマイナスになるときがきます。
そのような状態で持っていても赤字がかさむだけなので、早めに処分することが大切となります。
2.ローンの元金返済額より減価償却費用のほうが高くなったとき
減価償却とは、税務において「経年劣化による固定資産の価値減少」を反映し、課税対象を減らしていく手続きです。
建物の価額を資産の種類ごとに定められた耐用年数で按分し、経費として計上することで課税を軽減します(土地は減価償却の対象にならない)。
例えば、鉄筋コンクリート造の住居は耐用年数が47年なので、4,700万円のマンションなら単純計算だと「4,700万円÷47=100万円」を経費として計上するのが減価償却です。
仮に年収が1,000万円だとしたら、購入した年に4,700万円を経費計上しても超過分は無効となりますが、減価償却をすれば47年間に渡って100万円の経費計上ができるため、トータルで税金を軽減できます。
※上記は「定額法」で減価償却をした場合の計算ですが、毎年の未償却残高に応じて計算する「定率法」を選択した場合、初期段階ほど償却費が多く、後になるほど少なくなります。
ここで重要なのは、減価償却の費用は、毎月のキャッシュフローのなかで実際に現金を支出することはないということです。一方、ローンの元金返済額は実際に現金を支出しますが、経費として形状できません。
つまり、月々のローンの元金返済額より減価償却費用のほうが高くなった場合、帳簿上は黒字になっているのに、現実のキャッシュフローでは赤字になるという事態が発生するのです。
この状態を「デッドクロス」といい、後になるほど返済額における元金割合が増える「元利均等返済」のローンでは発生する可能性があります。
デッドクロスを迎えると手元の資金繰りが悪化するため、売却して損失を避けることを検討しましょう。
3.2回目以降の大規模修繕前
先にも解説しましたが、大規模修繕は建物が古くなるほど費用が増加します。1回目より2回目、2回目より3回目と、オーナーの負担も増えていくのが一般的です。
しかし、負担が増えていく一方、マンションそのものの価値は築年数に応じて下がります。言い換えれば、価値のないものを維持するために高額な出費が発生しているということです。
また、2回目以降の大規模修繕は、積立金の不足額が多くなったり、連絡が取れないマンションオーナーがいるなど、トラブルが発生しやすくなります。
すべてのマンションで上記のような問題が起こるわけではありませんが、リスクを確実に回避したいなら、なるべく早めに売却したほうがよいでしょう。
2022年は需要高騰から売却有利な状況
投資用マンションの売り時を2つの観点から解説しましたが、直近の市場動向から見た分析もしてみましょう。
結論から言うと、2022年時点において投資用マンションは絶好の売り時といえます。
まず、マンションの価格は2013年から上昇傾向が続いており、価格動向を示す不動産価格指数は約1.8倍まで増加しています。
参照:国土交通省「不動産価格指数 不動産価格指数(住宅)」
要因としては、長く続く金融緩和や、インフレによる新築戸建の高騰などが考えられます。
しかし、この状況がいつまで続くかはわかりません。金利の値上げや世界情勢の変化に伴い、マンションの需要が下がることも可能性としてありえます。
もしも今マンションを売るか迷っているのであれば、市場動向の面からは前向きに検討してもよいといえるでしょう。
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投資用マンションを売るときの流れ
投資用マンションを売却する際の具体的な流れは、次のように進みます。
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と契約する
- 売却活動・内覧対応
- 売買契約の締結
- 入居者への通知
- 物件引き渡し
- 確定申告
それぞれのステップで注意点や重要なポイントがあるので、流れに沿って詳しく解説していきます。
1.不動産会社に査定を依頼する
まずは査定を申し込み、価格相場の把握と不動産会社の選別をおこないましょう。ここで重要なのは、査定は複数の業者を比較することです。
不動産会社はそれぞれ培ってきたノウハウや顧客ルートが異なるため、査定額にも違いが生じます。同じ物件で数百万円の価格差がでることも珍しくありません。
そのため、1社の査定だけで判断せず、なるべく多くの査定を比べることが大切なのです。
具体的には、オンラインの一括査定を使って複数業者へまとめて依頼する方法がおすすめです。カンタンな入力で申し込めるので、手間なく誰でも査定を比較できます。
例えば、下記リンクから利用できる「イエウール」は2,000社以上の優良業者と提携しているため、どのような投資マンションでも高額売却が可能な不動産会社を見つけられるでしょう。
投資用マンションの査定は「収益還元法」が基本
査定を申し込むときに押さえておきたいのが、投資用マンションの査定基準です。マンションに限らず、賃貸物件を売買するときの査定は「収益還元法」を使います。
収益還元法は、物件が将来生み出す利益を想定し、そこから現在の価値を算出する査定方法です。具体的な計算方法は、「直接還元法」と「DCF法」の2つに分けられます。
収益還元法はマンションの収益力を把握できるので、売却時だけでなく購入時にも重要な計算方法です。それぞれの計算方式を簡単に解説するので、マンション投資をするならぜひ押さえておきましょう。
直接還元法による計算方法
直接還元法は1年間の純利益を還元利回りで割る方法で、計算式は次のようになります。
年間の純収益÷還元利回り
還元利回りは「1年間の純利益÷不動産価格×100」で求めますが、査定時は類似物件の事例を参考にしたり、不動産会社が独自に公表している地域別のデータを使うのが一般的です。
例えば、年間純利益が100万円、還元利回りが5%とした場合、査定額は「100万円÷5%=2,000万円」となります。
DCF法による計算方法
DCF法は、買主が購入した後に発生する純利益と、将来売却するときの予想価格を、現在価値に直して合算します。
計算は複雑ですが、空き室や家賃低下などのリスクを反映した価格を算出可能です。
現在価値を計算するときは「割引率」という仮想の数値を設定(3~5%とするのが一般的)し、「(1+割引率)^所有年数」という式を使います。
1年毎の純利益÷(1+割引率)^所有年数・・・+売却予想価格÷(1+割引率)^所有年数
例えば、年間純利益が100万円、割引率が5%で、3年後に2,000万円で売却すると仮定すると、次のような計算となります。
年間純利益
1年目:100万円÷(1+0.05)≒95万円
2年目:100万円÷(1+0.05)²≒90万円
3年目:100万円÷(1+0.05)³≒83万円
売却価格
2,000万円÷(1+0.05)³≒1,727万円
査定額
95万円+90万円+83万円+1,727万円=1,995万円
2.不動産会社と契約する
査定を比較したら不動産会社と契約を結びますが、契約形態は大きく分けて「仲介」と「買取」があります。
不動産会社の種類 |
特徴 |
仲介業者 |
・売主と買主を仲介して手数料を取る業者 ・相場価格で売れる可能性は高いが、買主が見つからない限り売却できない |
買取業者 |
・不動産を買い取り、再販することで利益を得る業者 ・相場価格より安くなる傾向にあるが、早ければ数日で売却可能 |
なるべく高く売りたいなら仲介がおすすめですが、短期間で現金化したい場合や、訳あり物件など売却がむずかしいような物件は、買取業者への依頼もおすすめです。
また、仲介の場合はさらに3つの契約形態に分かれます。
媒介契約 |
メリット |
デメリット |
一般媒介契約 |
・同時に複数の不動産会社へ依頼できる ・自分で買主を見つけても良い |
・不動産会社にレインズへの登録や状況報告の義務なし |
専任媒介契約 |
・不動産会社は7日以内にレインズへ登録する義務がある ・2週間に一度以上、必ず状況報告がある ・自分で買主を見つけても良い |
・1社にしか仲介を依頼できない |
専属専任媒介契約 |
・不動産会社は5日以内にレインズへ登録する義務がある ・1週間に一度以上、必ず状況報告がある
|
・1社にしか仲介を依頼できない ・自分で買主を見つけるのは不可 |
売却の目的や状況に合わせて、適切な契約を選びましょう。
3.売却活動・内覧対応
仲介で売る場合、買主を見つけるために売却活動をしなければいけません。ここでは、広告の出し方と内覧対応の2つが売却結果を左右します。
広告は買主が最初に見る情報なので、わかりやすく印象に残ることが重要となります。きれいで見やすい画像を用意し、基本情報などを丁寧に記載します。
売却活動に入ったら、不動産ポータルサイトなどで自分の物件情報を確認しましょう。不足している部分があれば、遠慮なく修正を相談することが大切です。
内覧対応は、基本的に不動産会社が対応しますが、場合によっては売主が立ち会うこともあります。好印象を持ってもらえるよう、事前に物件の魅力をまとめておきましょう。
4.売買契約の締結
買主が見つかったら、条件をすり合わせて売買契約を締結します。不動産会社が売買契約書を作成するので、内容を確認したうえで署名・捺印しましょう。
契約書に書かれた条件が最終的なルールとなるので、認識に行き違いがないかしっかり確認することが大切です。
また、入居者がいる状態で売却する「オーナーチェンジ」の場合、契約書と合わせて賃貸人変更通知書を作成することもあります。売主と買主の連名で作成し、引き渡しの完了後に送付するのが一般的です。
5.物件引き渡し
売買契約の締結後、買主のローン審査が終わるのを待って、物件の引き渡しに移ります。当事者や不動産会社、金融機関の担当者などが集まっておこなうのが一般的です。
買主が融資と同時に代金を支払ったら、売主は鍵や権利証などを引き渡します。また、同日に所有権移転登記の申請もおこないます。
法務局で登記申請が認められれば、マンションの売却手続きは終了です。
6.確定申告
売却後、マンションを売って得た利益について確定申告をおこない、譲渡所得税を納めなければいけません。
損失がでた場合も申告できますが、こちらは必須ではなく任意です。ただし、他の所得と損益通算することで節税できるので、基本的には申告したほうがよいでしょう。
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投資用マンションを売りやすくするためのコツ
不動産会社に丸投げするだけでは、売却に時間がかかることもあります。
そのため、投資用マンションを売りやすくするコツとして次の3つを押さえておきましょう。
- 入居者がいる状態で売り出す
- 空き家なら内覧対策を徹底する
- 外国人投資家への売却も検討してみる
これらのコツを実行すれば、ただ売り出すより成約率のアップが可能です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
入居者がいる状態で売り出す
入居者がいる状態で売り出す「オーナーチェンジ物件」は、買主側が入居者付けにかかる労力を減らせるので、成約しやすくなります。
また、入居者がいることから内覧もおこなわれないため、売主としても手間が省けてスムーズに売却活動を進めることができます。
空き室にもメリットはありますが、投資用マンションでもっとも重要なのは収益性です。入居者がいて賃料収入の見通しを立てやすい物件のほうが、買主にも好まれやすいでしょう。
空き室なら内覧対策を徹底する
空き室を売る場合、内覧時に与える印象が重要となります。管理状態が良好であると思ってもらえれば、成約率はアップするでしょう。
そのために大切なのは掃除の徹底で、水回りや窓ガラスなど目に付きやすい部分をきれいにすることが必須となります。
また、タバコやペットの臭い、壁紙の汚れなどが目立つようであれば、ハウスクリーニングや簡単なリフォームも検討しましょう。状態が悪いままだと、価格の値下げも請求される恐れがあります。
さらにひと手間加えるなら、室内をモデルルームのように演出する「ホームステージング」というサービスもおすすめです。物件の魅力を引き出し、購買意欲を刺激するので、売却期間の短縮が期待できます。
外国人投資家への売却も検討してみる
投資用マンションの買主で近年増えているのが、中国などアジア系外国人の投資家です。世界的に見ると、日本のマンション市場は割安かつ高い利回りを期待できるので、外国人投資家の注目を集めています。
とくにアジア系の投資家は、自国の賃貸水準が日本より低いことから、求める利回りも日本人投資家より低くなります。
また、円安の時期に売り出せば外国人投資家にとってよりお買い得になるので、高額を提示しても購入してもらえる確率が高くなります。
より高く売りたいときは外国人投資家も売却先として視野に入れ、不動産会社へ相談してみましょう。
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投資用マンションを売るときの注意点
投資用マンションを売るにあたって、事前に知っておきたい注意点が次の2つです。
- ローンは売却時に完済することが必要
- 物件の瑕疵を買主へ伝えておかないと「契約不適合責任」に問われる
投資計画全体に影響が出ないよう、これらの注意点を押さえてトラブルを防ぎましょう。
ローンは売却時に完済することが必要
ローンを組んでいて物件に抵当権が付いている場合、売却時に残債をすべて支払わなければいけません。
完済しないまま金融機関に無断で売ると規約違反になるうえ、抵当権が抹消されない物件を買う人もいないため、売却時の完済は必須です。
返済方法は、売却益を充てたり、貯金などの自己資金から支払う方法、別のローンに借り換える方法などがあります。
また、もしも売却益や借り換えで返済できない場合、任意売却という方法もあります。新規借入ができなくなるなどデメリットはありますが、「ローンを残したまま売却」を可能にする方法です。
物件の瑕疵を買主へ伝えておかないと「契約不適合責任」に問われる
「瑕疵」とは欠点や欠陥のことで、マンションだと建築の不備といった物理的な瑕疵や、事故死・自殺といった心理的な瑕疵が代表的です。
これらの瑕疵は、契約で「どんな瑕疵があるか」などを明確にしておかないと、契約不適合責任に問われてしまいます。
契約不適合責任とは?
引き渡した物件が契約内容に適合しないときに売主が負う責任の範囲を定めたもの。損害賠償のほか、追完(補修もしくは不足数量の補完をすること)や、代金の減額、契約解除などを請求される可能性がある。
売主が瑕疵の存在を知らない場合も責任を問われる恐れがあるため、ホームインスペクション(専門家による住宅診断)で事前にしっかりチェックしたり、契約で免責特約を盛り込んでおくことが大切です。
契約不適合責任については、下記の関連記事も参考にしてください。
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投資用マンションの売却でかかる費用
最後に、投資用マンションを売却するときの費用を確認していきましょう。主な費用として、次の5つがあげられます。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 登記費用
- 譲渡所得税・住民税
- 消費税
これらの費用をしっかり把握し、売却前にどれくらいの金額になるかシミュレーションしておきましょう。
仲介手数料
不動産会社に仲介を依頼したときに支払う手数料は、売買価格を基準に上限額が決まっています。
仲介手数料の上限
不動産の売買価格 |
手数料の上限(速算式) |
200万円以下 |
5% |
200万円超~400万円以下 |
4%+2万円 |
400万円超 |
3%+6万円 |
上記に別途消費税もかかります。売買価格が3,000万円だとしたら、「 3,000万円×3%+6万円+10%(消費税)=105.6万円」が仲介手数料の上限です。
参照:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額 第二 売買又は交換の媒介に関する報酬の額 (昭和四十五年十月二十三日建設省告示第千五百五十二号)」
あくまで上限額なので、不動産会社によっては上記より安く依頼できる場合もあります。詳しくは下記の記事も参考にしてください。
印紙税
印紙税とは文書に課される税金で、売買契約書に収入印紙を貼り付けることで納税します。
課税額は契約書に記された売買価格によって変わり、2022年現在は軽減措置が適用されています。
印紙税の税額
売買価格 |
印紙代(本則) |
軽減後の税率 |
10万円 |
200円 |
200円 |
10万円超~50万円 |
400円 |
50万円超~100万円 |
1千円 |
500円 |
100万円超~500万円 |
2千円 |
1千円 |
500万円超~1,000万円 |
1万円 |
5千円 |
1,000万円超~5,000万円 |
2万円 |
1万円 |
5,000万円超~1億円 |
6万円 |
3万円 |
1億円超~5億円 |
10万円 |
6万円 |
5億円超~10億円 |
20万円 |
16万円 |
10億円超~50億円 |
40万円 |
32万円 |
50億円超~ |
60万円 |
48万円 |
参照:国税庁「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
参照:国税庁「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
軽減措置の期間は2024年までですが、変更や延長の可能性もあるので、売却時に最新のルールをチェックするようにしましょう。
登記費用
登記とは、不動産の権利関係を管理・公開するための制度です。投資用マンションの売却では、主に所有権移転登記や抵当権抹消登記が必要となります。
登記自体の費用は1,000~2,000円程度の登録免許税と、数百円程度の書類取得費用程度ですが、司法書士に手続きを依頼する場合は5万円程度かかります。
自分で申請することもできますが、法的な知識が必要になるため、基本的には司法書士へ依頼するのがおすすめです。
譲渡所得税・住民税
投資用マンションの売却益に対しては、譲渡所得税と住民税の2つが課されます。課税対象となる売却益は「譲渡所得」と呼ばれ、次のように計算します。
譲渡所得=売却価格-(取得費用+譲渡費用)
取得費用は投資用マンションを購入したときの購入費や仲介手数料、登記費用などが含まれます。譲渡費用は、売却時にかかった仲介手数料や登記費用などです。
なお、購入費に関してはそのまま差し引くのではなく、減価償却した現在の価値を差し引かなければいけません。
譲渡所得を算出したら課税額を算出しますが、保有期間によって税率は異なります。
譲渡所得税・住民税の税率
保有期間 |
譲渡所得税 |
住民税 |
5年以下(短期譲渡所得) |
30% |
9% |
5年超(長期譲渡所得) |
15% |
5% |
参照:国税庁「短期譲渡所得の税額の計算」
参照:国税庁「不長期譲渡所得の税額の計算」
5年超の所有で税率が大幅に下がるので、基本的には長期で保有したほうが税金面でお得になります。
消費税
投資用マンションを売却した場合、人によっては消費税の納税義務が発生します。ポイントは「前々年の売上が1,000万円を超えるかどうか」です。
不動産投資の場合、例えば事業用物件を数軒売却し、売上が1,000万円を超えた場合、課税事業者とみなされます。
また、不動産投資以外に個人事業主として収入があり、投資用マンションの売却と合わせて1,000万円超の売上があった場合、同じように課税事業者とみなされます。
自分が課税事業者にあてはまるかよくわからないときは、税務署や税理士に相談してみましょう。
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まとめ
投資用マンションの売却は、ベストな売り時を見極め、スムーズに買主を見つけることが大切です。
売却は投資の最終的な結果を出すものなので、最後で失敗してしまわないようにこの記事で解説したポイントをしっかり押さえておきましょう。
不動産会社などとも相談し、最新の市場動向も踏まえたうえで慎重に売却活動を進めることが大切です。
投資用マンションの売却についてよくある質問
投資用マンションの売り時はいつですか?
投資の目的などにもよりますが、高く売るなら築10~12年を迎えたあたりや、周辺の不動産需要が高いときに売るとよいでしょう。収益悪化を防ぐために売るのであれば、2回目以降の大規模修繕前や、ローンの元金返済額より減価償却費用のほうが高くなる「デッドクロス」に陥ったときが売り時です。
マンションの売却価格はどのようにして決まりますか?
「収益還元法」という、物件が将来生み出す利益から現在の価値を算出する方法を使います。収益還元法のなかにも、1年間の純利益を還元利回りで割る「直接還元法」と、将来発生する純利益と売却を現在価値に直す「DCF法」の2種類があります。
投資用マンションを売りやすくするためのコツはありますか?
入居者がすでにいる状態で売る「オーナーチェンジ」だと、すぐに収益が発生するので成約しやすくなります。空き室の場合は、清掃やホームステージングなどで内覧時の印象が良くなるようにしましょう。
ローンが残っていても売却できますか?
ローンが残っていても売却は可能ですが、売却益や自己資金、借り換えローンなどで完済する必要があります。
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