川沿いの家を売却する方法
「川沿いの家は売れにくい」「価格が安くなってしまう」といった話を聞いたことがある人も多いと思います。たしかに、川沿いの家はデメリットも多く、需要が下がりやすいでしょう。
しかし、適切な方法で売却を行えば、安く買い叩かれる事態は防げます。
川沿いの家を売却するときには、次の工夫が必要です。
- 住宅診断でリスクを明確にしてから売り出す
- 地盤調査を行い必要があれば改良工事も実施する
- 更地にして売却する
それぞれ解説します。
方法1.住宅診断でリスクを明確にしてから売り出す
川沿いの家が売れにくいのは、買主の「将来的にどんなトラブルがあるかわからない」という不安が原因です。家そのものに問題がないことや、問題があっても気にする程のものではないとわかれば、買主も安心して購入できます。
住宅診断(ホームインスペクション)は、専門家が住宅の劣化や欠陥をチェックし、修繕箇所や費用、いつまでに修復すべきかを診断してもらうサービスです。
ホームインスペクションで瑕疵を明確にし、納得してもらったうえで売却すれば、損害賠償請求される可能性も低くなります。また、すぐに対応が必要な劣化や欠陥を修復しておくと、修復しないまま売り出すよりも買い手が見つかりやすくなるでしょう。
ただし、建物が湿気で腐食している場合は修繕が難しいため、売却価格が減少してしまう可能性があります。
費用は依頼する業者や診断内容によって異なりますが、5万〜10万円が相場です。
参照:NPO法人日本ホームインスペクターズ協会「住宅診断(ホームインスペクション)とは」
方法2.地盤調査を行い必要があれば改良工事も実施する
河川の流域は、大量の土砂が上流から運ばれ積み重なってできた低地のため、水分を多く含んでいる場合があります。川沿いや埋め立て地は、地盤が緩い傾向にあるので、物件を探している人からも敬遠されてしまいがちです。
なかには地盤が固い土地もありますが、見た目だけではわからないため「地盤が弱い」というイメージで売却しにくくなってしまうのです。
実際に地盤の強度が低ければ、災害時に液状化や地盤沈下のリスクが高くなります。
そのため、地盤調査を行い、強度に問題がないか確認するとよいでしょう。軟弱な地盤と判定された場合、業者側から適切な改良工事も提案されます。
また、2000年以降に建てられた家は、建築時の地盤調査が義務づけられています。手元に地盤調査報告書がないか確認してみましょう。
一般的な住宅の場合、地盤調査の費用は5万〜10万円が相場です。改良工事の費用はどのような工法を選ぶかで大きく異なり、数十万〜数百万円ほどになります。
方法3.更地にして売却する
家をそのまま売り出すより、解体して更地の状態で売り出したほうがスムーズに売却できる場合もあります。
とくに築年数の古い家は、建物部分の価値が失われ、解体しなくても土地の評価額でしか売買できないケースが多いです更地で売却すれば、土地だけが欲しい買主に購入してもらえる可能性が高くなるでしょう。
家の解体費用は、床面積や建物の構造によって左右されます。おおむね数十万〜数百万円が相場です。
「更地渡し」なら解体は売買契約成立後でOK
更地にして売却する場合、注意すべきなのは固定資産税です。建物がある住宅用地は、固定資産税が一律で1/6程度に減税されています。
しかし、更地にすることで土地の減税措置がなくなり、課税額が跳ね上がってしまいます。
固定資産税は毎年1月1日時点の状況によって決定されるので、その時期に更地を所有するのは避けたほうがよいでしょう。
固定資産税の対策として、家を解体せず「更地渡し」という条件を付けて売却する方法があります。更地渡しとは、売買契約の成立後に売主責任で家を解体する方法です。
更地渡しなら跳ね上がった固定資産税の支払いを避けられます。また、売却活動中は家を残せるので「土地だけが欲しい人」と「家も欲しい人」の両方から需要を狙えます。
方法4.浸水被害を受ける前に売却する
家が実際に被害にあっているかどうかも、家の価値に大きく影響します。
一般的に、川の氾濫で浸水被害を受けた家は、売却価格が2〜3割ほど下がります。修繕にかかる費用も考えると、売却で得られる利益は大きく減ってしまうでしょう。
また、買主側としても、浸水被害があった地域は避けたくなるのが心情です。
リスクがある家と、実際に被害を受けた家では、需要が大きく変わります。川沿いの家を売却したいときは、なるべく早く売却したほうがよいでしょう。
方法5.訳あり物件専門の買取業者に買い取ってもらう
ここまで「川沿いの家を売却する方法」をいくつか解説しましたが、どの方法もある程度の費用や手間がかかってしまいます。
費用・手間をかけずに売却したい場合、訳あり物件専門の買取業者に相談するとよいでしょう。
買取業者は家を直接買い取るため、早ければ数日で現金化が可能です。売却相手が不動産の専門家なので、後から文句をいわれたり、トラブルになったりする恐れもありません。契約不適合責任(売買契約にもとづいて引き渡された不動産が、契約内容と異なる場合に売主が負う責任)も免責されます。
また、訳あり物件専門の買取業者なら、住宅や地盤に問題がある場合でも高額買取が可能です。浸水被害を受けた家も、修理せず現状のまま引き渡せます。
当社クランピーリアルエステートも、訳あり物件専門の買取業者です。「川沿いの家」の買取も積極的に行っていますので、お気軽にご相談ください。
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川沿いの家の売却価格が下がる要因
川沿いの家にはさまざまなリスクがあると解説しましたが、具体的にどんなリスクがあるのでしょうか?
川沿いの家の売却価格が下がる要因としては、次の5つがあげられます。
- 1.ハザードマップの浸水想定区域に入っている
- 2.実際に浸水被害を受けている
- 3.結露や腐食などの瑕疵がある
- 4.害虫や悪臭が発生している
- 5.接道義務を満たしていない
これらの要因は、個人では対策できないものが多いといえます。
自分の家がこれらの要因にあてはまっている場合は、訳あり物件専門の買取業者に買い取ってもらったほうがよいでしょう。
1.ハザードマップの浸水想定区域に入っている
ハザードマップとは、自然災害が発生した場合の被災範囲や避難経路をまとめた地図です。主に自治体が地域ごとに作成しています。
浸水想定区域に指定されているところは、河川の氾濫による浸水被害の可能性が高い地域です。当然、需要も低くなりやすいといえます。
ただし、浸水区域に入っていても、家を売却できなかったり安く売ったりしなければならないわけではありません。
自分が家を購入した時点で浸水想定区域に入っていた場合、当時の購入価格にはすでに「浸水被害のリスク」が考慮されているからです。
築年数の経過など他の要因で価格が下がることはあっても、浸水想定区域のせいで損をすることはないでしょう。
むしろ、購入当時は浸水想定区域に入っておらず、ハザードマップの更新により区域内に含まれた場合、価格が大きく下落する可能性があります。
参照:国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
2.実際に浸水被害を受けている
川沿いの家が水害を受けた場合、瑕疵物件になり資産価値が下がってしまいます。
瑕疵物件には、物理的瑕疵物件、法的瑕疵物件、環境的瑕疵物件、心理的瑕疵物件があり、水害にあった場合は、物理的瑕疵物件に該当します。
そのため売却価格の相場が20〜30%下がってしまうのです。
物理的瑕疵は不動産売却時の告知事項に含まれているため、買主に伝える必要があります。
浸水被害にあったことを隠して売却すると、告知義務違反となり、契約解除や損害賠償請求などを受ける可能性もあるので、必ず告知しましょう。
1回でも被災した地域は再び被災する可能性が高いため、自分の家は無事だった場合でも、その地域一帯の平均価格が下がってしまうケースがあります。
しかし、自治体が河川改修といった対策事業を進めることで、需要が回復する可能性はあります。
また、地域全体の需要が高ければ、浸水被害で一時的に需要が下がっても短期間で増加傾向に転じる場合もあるのです。
駅が近い、商業施設が近辺にあるなど人気のある地域なら、浸水被害前と同じ価格で売却できる可能性が高いでしょう。
3.結露や腐食などの瑕疵がある
川沿いの家によくあるトラブルが、高い湿度による結露や腐食です。これらの瑕疵(欠点や欠陥)がある家はどうしても売れにくく、売り出し価格も下げなければならないのが実情です。
川沿いの家は風通しはよいですが、湿度が高くなる傾向があります。湿度が上がると、シロアリが発生しやすくなります。
また夏は湿度が高いと蒸し暑く、ジメジメしてカビの原因になりやすいです。
これらを放置すると、人体や家の耐久性に悪影響をおよぼします。
そのため湿気対策としてリフォームを行うか、更地で売却するといった対策が必要になるでしょう。
湿気が高い家を売るケースについては、下記の関連記事でも詳しく解説しています。
4.害虫や悪臭が発生している
川沿いの土地は、草木が生い茂っている場合が多く、普通の土地と比べて虫が多い傾向です。
夏場は羽虫や蚊が大量に発生して、家のなかに侵入してくる場合もあるでしょう。
川の水が淀んでいたり、放置されたごみがあったりする場合は、嫌なにおいが家のなかに入ってくる可能性もあります。
ただし、マンションの高層階などは虫や臭いの影響も少ないため、低層階や戸建てと比べて価格は下がりにくいといえます。
5.接道義務を満たしていない
家は、原則として建築基準法上の道路に2m以上接している必要がありますこれを「接道義務」といい、違反している場合は再建築ができないなどデメリットがあります。
河川に囲まれて接道義務を満たしていない家は、満たしている物件と比べると、価格が5〜7割程度まで下がるのが一般的です。
ただし、次の要件にあてはまれば「接道義務を満たしている」とみなされます。
- 河川が国や自治体など公的機関の管理にある
- 幅員2m以上の橋をかけており、家の敷地と建築基準法上の道路が接続されている
- 河川の管理者に占有許可を受けている
自治体によって上記の要件は若干異なる場合があるため、市町村役場で確認しましょう。
参照:e-Govポータル「建築基準法第43条」
売却後の引き渡しまでに被災した場合はどうなる?
川沿いの家を売り出して無事に売買契約が成立しても、引き渡しまで数週間〜数ヶ月の間隔を空けるのが一般的です。
しかし、引き渡しまでに被災して家が損傷、もしくは倒壊などで消失してしまった場合、売買契約にはどのような影響があるのでしょうか?
上記の場合、修繕費用の負担や契約解除などのルールは、原則として買主側に有利な法制度となっています。
ただし、特約によって売主側の負担を軽減することもできます。
「災害による家の損傷や消失」は買主側から売買契約を解除できる
民法では、災害のように「売主と買主のどちらにも責任がない事由」で売買契約の履行ができなくなった場合、買主側から無条件で契約を解除できるようになっています。
あわせて、代金に関しても買主の支払い義務はなくなり、手付金やすでに支払われた代金も返還するのが原則です。
民法第542条
次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
1 債務の全部の履行が不能であるとき。
引用:e-Govポータル「民法第542条」
民法第536条
当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
引用:e-Govポータル「民法第536条」
これらの取り決めは、2020年の民法改正によって変更されています。
改正前は「売買契約成立後の損傷や消失は買主側が負担する」とされ、現行とは反対の法制度でした。原則は契約解除も代金の返還請求もできないという、買主側に不利なものです。
しかし、改正される前から「買主側のリスクが大きい」という意見があり、実際の不動産取引では特約で売主側の負担義務を定めるケースも多くありました。
公平性の問題を是正し、実際の取引事情に合わせるため改正に至ったという経緯があります。
特約によって買主側の負担を定めることも可能
原則としては買主側が有利な法制度となっていますが、当事者間の合意があれば、民法とは異なる負担を特約で定められます。
後からトラブルにならないよう、どちらかが一方的に有利な特約は避けるべきですが、交渉によってお互いが納得する妥協点を見つけることが大切です。
契約書には危険負担条項を盛り込み、被災を受けた場合の危険責任(家の損傷や消失に対する責任)がどの時点で移転するのか、しっかりと明記しておきましょう。
まとめ
川沿いの家を売却する方法や、価格が下がる要因を解説しました。
川沿いの家にはデメリットが多く、個人の力では解決できない問題点もありますが、決して売却できないわけではありません。
住宅診断や地盤調査などで「将来的に起こりえるリスク」をしっかりと把握し、適正価格で売り出せばスムーズに売却できます。
訳あり物件専門の買取業者なら、最短数日で高額買取も可能なのでおすすめです。まずは無料査定を受けてみて、価格相場を調べることからはじめましょう。
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