二世帯住宅の種類と売却価格相場
二世帯住宅は間取りから「完全分離型」「一部共用型」「完全同居用型」の3種類に分類できます。
- 完全分離型・・・それぞれの世帯の住居が完全に分離されている二世帯住宅
- 一部共有型・・・玄関、ダイニング、リビング、浴室、トイレなどの住宅機能の一部を共用する二世帯住宅
- 完全同居型・・・すべての生活空間を共有する二世帯住宅
二世帯住宅の売却価格相場は、二世帯住宅の種類によって異なります。
次の項目から、それぞれの間取りにおける売却価格相場をお伝えしますので、参考にしてください。
「完全分離型」の売却価格は中古一戸建て2戸分
完全分離型の二世帯住宅を新築する際の建築工事費は、新築の住宅を二軒建てる費用とほぼ同額になり、敷地面積も二軒分の広さがあります。
そのため、完全分離型の二世帯住宅を売却する場合、売却価格は中古一戸建て2戸分程度になるケースが多いです。
中古戸建の売却価格は築年数に比例して低くbなるのが通常です。
国土交通省の調査によると、戸建の価値は新築から10年程度で半分、11~20年程で約2割となります。
さらに詳しくは、以下の国土交通省のページを参考にしてください。
参照:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム 市場の現状」
「一部共用型」の売却価格は一般住宅より割高
一部共用型だとダイニングや浴室などを2箇所設けるため、一般の住宅に比べて建築工事費は割高になります。
売主の要望も聞いたうえで価格を決めるため、価格相場は一般の住宅に比べて割高になる傾向があります。
しかし、一部共用型の二世帯住宅は家族ごとに価値観が異なることもあり、買主側も希望どおりの物件に出会えることがなかなかありません。
購入希望者が現れないために、最終的には大幅に値引きをして売却するケースも少なくありません。
「完全同居型」の売却価格は一般住宅と同程度
完全同居型の二世帯住宅の場合、一般の住宅より部屋数が多いだけで、ダイニングや浴室などの設備が2箇所あるとは限りません。
そのため、中古住宅として売却する際の価格相場は一般的な住宅と同程度であることが多いです。
住宅自体の広さは二世帯分あるため、広めの一般住宅と認識しておくとよいでしょう。
周辺で同程度の間取りや築年数の住宅がいくらで取引されているのか、確認してみると参考になります。
国土交通省が運営している、以下の「土地総合情報システム」では、地域ごとの不動産取引履歴を確認できますので参考にしてください。
参照:国土交通省「土地総合情報システム」
正確な売却価格は「一括査定」で確認しよう
ここまで二世帯住宅の売却価格相場について解説しましたが、売却価格は家の傷み具合や立地によっても大きく異なります。
そこで、不動産業者の「一括査定」を利用してみてはいかがでしょうか。
一括査定サイトを利用すると、より正確な売却価格がわかります。
一括査定サイトでは、全国1,600以上の不動産業者の中から厳選された6社へ一気に査定が申し込めるので、1社ずつ査定を受ける必要がありません。
以下のボタンから、たった2分で査定結果がわかるので、まずは無料で一括査定を受けてみることをおすすめします。
【住宅種類別】二世帯住宅の売り出し方
二世帯住宅は、もちろんそのまま二世帯住宅として売り出してもよいです。
しかし、二世帯住宅は通常の戸建てよりも探している人の割合は少ないのが現状です。
そこで、二世帯住宅として売り出す以外の方法も視野に入れておくとよいでしょう。
【完全分離型】は「居住用+賃貸用」として分割して売り出す
完全分離型の場合、二戸の住居が独立しているため、それぞれの物件を別の用途として売り出すことが可能です。
一戸を居住用、もう一戸を賃貸用にしたり、どちらも賃貸用アパートにして投資用不動産として売り出すなどが考えられます。
店舗や事務所として売り出す場合は、地域や床面積に条件が設けられている可能性があるので、不動産業者や自治体へ事前に確認しましょう。
【一部共用型】はシェアハウスとして売り出す
一部共用型の二世帯住宅は、玄関や水回りが共用のケースが多いです。
その特徴を活かして、シェアハウスとして売り出すのもよいでしょう。
共用部分以外はプライバシーを守れる点も、一部共用型の二世帯住宅がシェアハウスに向いている理由です。
【完全同居型】は大人数用の住宅として売り出す
完全同居型の二世帯住宅は、全てのスペースが共用です。
そのため、部屋数の多さを活かして大人数用の一戸建て住宅として売り出すのもよいでしょう。
二世帯住宅を高額売却するには?
家族の個性がそのまま形となっている二世帯住宅は、なかなか売れないというのが、世間の評価です。
このような二世帯住宅を少しでも高値で売却するためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。
二世帯住宅を高額売却したい場合、以下のような準備をしておくとよいでしょう。
二世帯住宅の売買実績が多い不動産業者に仲介を依頼する
二世帯住宅は一般の住宅より需要が少ないため「二世帯住宅は売れない」と考える不動産業者は少なくありません。
このような感覚の不動産業者に仲介を依頼すると、購入希望者の探し方もおざなりになるだけでなく、極端に安値の売却価格を提案してきます。
二世帯住宅の売却には独特の販売ノウハウが必要です。そのうえで不動産業者独自の購入希望者リストがあれば、売却できる可能性がより高いです。
つまり、二世帯住宅の仲介実績が豊富な不動産業者に依頼した方が、売却できる可能性が高いです。仲介を依頼する際は、二世帯住宅の販売実績を確認したうえで、判断した方がよいでしょう。
バリアフリー機能を強調する
二世帯住宅の中には、バリアフリー機能が充実している住宅も多いでしょう。
そして、二世帯住宅を探している人の中には、親の介護が必要な家庭は珍しくありません。
そのため、スロープや手すりなどのバリアフリー機能が充実している住宅であれば、ぜひ購入したいという人が現れる可能性が高いです。
バリアフリー機能が充実している二世帯住宅は、その需要から高値で売却できる可能性が高まるので強調するとよいでしょう。
重大でない瑕疵も修繕しておく
雨漏りやシロアリ被害があれば、修繕をしておくのは当然のことですが、そこまで重大な瑕疵でなくても、気になることがあれば予め修繕しておくとよいでしょう。
たとえば、建具の立て付け不良、壁クロスのめくれ、フローリングの浮きや鳴り、水回りの不備などがあります。
これらの不具合はそのままでも販売することは可能ですが、修繕を済ませておいた方が、購入希望者の印象が良くなります。
購入の意思表示があったとしても、そうした不備を理由に大幅な値下げを要求されることも珍しくありません。
そのため、多少の費用を投じてでも修繕した方が、高値での売却に結びつく可能性が高くなります。
ただし、修繕の前は必ず不動産業者へ確認し、売却価格と修繕費のバランスをみてもらうとよいでしょう。
住宅診断を実施しておく
日本で中古住宅があまり流通していない理由の一つとして「どんな不備が潜んでいるのか分からない」といったことがあります。
そこで、売り出し前に「住宅診断」を実施しておくことをおすすめします。
住宅診断はホームインスペクションとも呼ばれ、住宅に精通した住宅診断士が第三者的な立場からまた専門家の知見から、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所などを診断し、アドバイスをすることです。
住宅診断を実施した住宅は、重要事項説明の際に「建物現況調査の結果の概要」を書類として提示できるので、買主の不安がなくなるため、高値での売却が期待できます。
二世帯住宅売却時は事前に登記方法を確認しておこう
二世帯住宅は4種類ある登記方法によって、売却できる条件が異なります。
登記方法 |
解説 |
単有登記 |
親または子の単独名義で登記 |
共有登記 |
2人以上の共有名義で登記 |
非区分登記 |
二世帯住宅を1つの住宅として登記 |
区分登記 |
二世帯住宅を2つの住宅として登記 |
登記方法によっては、同居人の合意がないと二世帯住宅を売却できないケースもあるため注意が必要です。
そのため、二世帯住宅売却時は事前に物件購入時の登記方法を確認しておきましょう。
親または子の単独名義で登記する「単有登記」
単有登記とは、二世帯住宅を親または子、一方の単独名義で登記する方法です。
家族と同居していても、二世帯住宅は名義人だけの専有物という扱いになります。
そのため、家族の同意がなくても、名義人だけで二世帯住宅のリフォームや売却ができます。
ただし、二世帯住宅に出資した人の名前を登記しておかないと、出資額と持分割合との差額が贈与と扱われてしまう恐れがあるため注意しましょう。
2人以上の共有名義で登記する「共有登記」
共有登記とは、親子など2人以上が共有名義で登記する方法です。
親子両方が出資して二世帯住宅を共同購入した場合、出資額に応じて持分を設定するのが一般的です。
例えば、3,000万円の二世帯住宅を親子がそれぞれ1,500万円ずつ出資したとすると、持分は1/2ずつ設定されます。
ただし、二世帯住宅をリフォームや売却する場合は、他共有者の同意が必要となります。
二世帯住宅を1つの住宅として登記する「非区分登記」
非区分登記とは、生活空間が分離されていても二世帯住宅を1つの住宅として登記できる方法です。
1回の登記で手続きが完了するため、費用を抑えて登記申請をおこなえます。
ただし、二世帯住宅は物件の面積が広くなる傾向にあるため、建物・土地ともに不動産取得税の控除が受けられない恐れがあります。
二世帯住宅を2つの住宅として登記する「区分登記」
区分登記とは、世帯ごとに生活空間を分けた二世帯住宅を2つの住宅として登記する方法です。
二世帯住宅を2戸の住宅としてそれぞれ登記するため、2回分の費用を負担しなければいけません。
一方で、それぞれの住宅は別物と扱われるため、区分登記した部分のみを売却できます。
たとえば、1階と2階を区分登記している場合、1階だけを売却することも可能です。
二世帯住宅売却時にかかる税金一覧
二世帯住宅を売却する際、かかる税金は以下の通りです。
次の項目からそれぞれ詳しく解説します。
印紙税
印紙税は、公正な取引を担保してくれた見返りとして、国や自治体に納める税金です。売買契約書に収入印紙を貼りつけて納税したことを示します。
課税額は、売却金額によって以下のように定められています。
記載された契約金額 |
税額 |
10万円を超え 50万円以下のもの |
200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの |
500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの |
1千円 |
500万円を超え 1,000万円以下のもの |
5千円 |
1,000万円を超え 5,000万円以下のもの |
1万円 |
5,000万円を超え 1億円以下のもの |
3万円 |
参照:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
登録免許税
不動産を売却した際には、所有権移転登記がおこなわれます。
この手続きを行う際に納めるのが登録免許税で、税率は売却価格の2%です。
たとえば、不動産の売却価格が3,000万円の場合、登録免許税は60万円です。
参照:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」
譲渡所得税
譲渡所得税は、二世帯住宅を売却で得た費用が購入費用を上回る際に課せられる税金です。
譲渡所得税は所得税と住民税に分けて次の計算式で算出します。
所得税=〔収入金額 – (取得費 + 譲渡費用) 〕×15%(所有期間が5年以下は30%)
住民税=〔収入金額 – (取得費 + 譲渡費用) 〕× 5%(所有期間が5年以下は15%)
居住用の不動産を売却した場合、譲渡所得から3000万円までの特別控除が適用されます。つまり、売却益が3000万円以内であれば、譲渡所得税は非課税となるのです。
ただし、完全分離型は所有者が誰かによって異なってきます。
たとえば、すべて親の名義で登記していた場合は、子供世帯の居住スペースは所有者の居住スペースではないと見なされ特別控除は適用されませんので注意しましょう。
参照:国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
半年以上売れない二世帯住宅を売却する4つの方法
二世帯住宅が売れないまま期間が経つと、固定資産税や都市計画税、さらには維持費の負担もかかってきてしまいます。
そのため、なるべくなら早く売りたいですよね。
そこでこの項目では、なかなか売れない二世帯住宅を売却する方法を4つお伝えします。
固定資産税などの負担がかかる前に売却できるよう、参考にしてみてください。
1.売却価格を見直す
1年以上経っても売れないとなると、まずは価格設定を見直す必要があります。
二世帯住宅を新築したときの工事費のことを考えると、価格を下げるのは勇気がいりますが、価格設定が高すぎると売れない原因になってしまいます。
市場価格に見合った価格に引き下げて、再度売り出しを図りましょう。
2.仲介の不動産業者を変える
いつまでも売れないのは、不動産業者の販売能力に問題があるかもしれません。
積極的に購入希望者を探していない可能性がありますから、3ヶ月ごとの契約更新の際は、二世帯住宅の売買実績がある不動産業者に依頼することも視野にいれておきましょう。
また、媒介契約の見直しも有効です。媒介契約については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
3.空き家状態にして売り出す
室内をクリーニングしても、入居したままでは生活感を完全に消し去るのは難しいでしょう。
生活感を一掃させるためには、家を空き家状態にしてオープンハウスとして内覧してもらう方が、家に対する印象がアップします。
特に二世帯住宅において引き渡し後にそのまま利用する人は少なく、リフォームやリノベーションをした後に入居する人が大勢います。
そうした希望を持つ人は、専門家のアドバイスを受けながら内覧をしたいと考えていますから、フリーに物件に出入りできた方が歓迎されます。
これまで以上に関心を持ってもらえる層を開拓する意味でも空き家にして売却する方法はとても有効です。
4.仲介業者ではなく買取業者に売却する
二世帯住宅を売却する場合、依頼する不動産業者には「仲介業者」と「買取業者」の2種類があります。
種類 |
解説 |
仲介業者 |
物件を購入してくれる買主を探す |
買取業者 |
自社で物件を直接買取する |
なかなか二世帯住宅が売却できない場合、不動産業者に買取してもらう方法がおすすめです。
買取業者を探すなら「一括査定サイト」
一括査定サイトを用いれば、複数の不動産業者による査定額を比較して、もっとも買取価格の高い業者に二世帯住宅を高額売却できます。
まとめ
売却したい二世帯住宅が、どのような買主に使われるのかを予測したうえで売却することが重要です。まずは「一括査定サイト」を利用して、売却価格の高い不動産業者に絞ってから、二世帯住宅の売却を相談するとよいでしょう。
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二世帯住宅でも売却できますか?
二世帯住宅を自分が単独所有していれば自由に売却できます。しかし、他の世帯と共有していたり他世帯が単独所有している場合、同居相手の同意がないと二世帯住宅を売却できません。
二世帯住宅には、どのような種類がありますか?
親世帯と子世帯で分かれている「完全分離型」をはじめ、一部のスペースを共用で使う「一部共有型」や、すべてのスペースを共同で使う「完全同居型」の3種類があります。
二世帯住宅の所有権はどうなっていますか?
二世帯住宅を片方の世帯が単独所有している「単有」と、2世帯で共同所有している「共有」と、それぞれの占用部分を1つの住宅としている「非区分、1世帯ずつ単独所有している「区分」の3種類があります。
二世帯住宅を売却するには、どのような方法がありますか?
二世帯住宅として売却するだけでなく、一戸ずつ別の買主へ売却したり、シェアハウスなど共同住宅として売却することも可能です。
なかなか二世帯住宅が売れない場合、どうすればよいですか?
二世帯住宅にしかないメリットを買主へ伝える、売出し価格を値下げする、不動産業者に買取してもらうといった方法を用いれば、なかなか売れにくい二世帯住宅でも売却可能です。
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自社で物件を買取している不動産買取業者は、一般的に需要の少ない物件でも価値のある物件としてリフォームできるノウハウを持ち合わせています。
たとえば、自社でリフォームを施して再販売するので、なかなか売れにくい二世帯住宅でも相場に近い価格ですぐに買取できる可能性が高いです。
二世帯住宅を高く買取してほしい場合は「一括査定サイト」を利用して、査定額の高い買取業者を探すとよいでしょう。
以下のリンクから、たった2分で一括査定を受けられるので、二世帯住宅を高く売れる買取業者を探してみてはいかがでしょうか。
二世帯住宅は「完全分離型」「一部共用型」「完全同居型」のそれぞれのタイプによって、買主の用途が異なります。
なかなか購入希望者が現れない二世帯住宅は、不動産仲介で売却するよりも買取業者に売却したほうが早く手放せるケースも多いです。
とはいえ、どの買取業者に売却してもよいわけではなく、買取拒否されたり、安値で買い叩かれたしまう恐れもあります。
ですので、