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親の死後に家を処分するための完全マニュアル!処分方法から処分にかかる費用まで網羅的に解説

親の死後に家を処分するための完全マニュアル!処分方法から処分にかかる費用まで網羅的に解説

「親の死後に実家を相続したけど活用する予定がない」といった場合、家の処分を検討している人もいることでしょう。場合によっては、「処分したいけど費用や手間がかかるなら少しだけ放置してもいいか」のように考えるかもしれません。

居住や賃貸などで活用する予定がなければ、親の死後は家を速やかに処分することを検討してください。処分せずに家を放置してしまうことには、「資産価値が下がりさらに売れづらくなる」「近隣住民に迷惑をかけてしまう可能性がある」など、さまざまなリスクがあるためです。

さらに、特定空き家として指定されてしまう可能性もあり、その場合には固定資産税が最大6倍になるうえに、最大50万円の過料が科されてしまうリスクもあります。

そのため、親の死後に家を所有した場合、使用する予定がなければ速やかに処分するための対策を講じることが大切です。

親の死後に家を処分する方法にはさまざまな手段がありますが、基本的にはまず売却を検討してみてください。「相続放棄」「自治体への寄付」など、ほかにも処分方法はありますが、これらは推奨しづらいものであるうえに、売却であれば利益が出ることに期待できるためです。

当記事では、親の死後に家を処分するための完全マニュアルをテーマに、処分方法や放置した場合のリスク、家の処分にかかる費用などを網羅的に解説していきます。親の死後に家の処分を検討している場合には参考にしてみてください。

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親の死後に家を処分せずに放置するのは絶対にNG!放置した場合のリスク

「住む予定や活用するつもりもないけど、管理するのは面倒」「家が遠方にあって管理が難しい」など、さまざまな事情があるかもしれませんが、親の死後に家を処分せずに放置するのは絶対に避けてください。

親の死後に家を処分せずに放置することには、下記のようなリスクがあります。

  • 放置すればするほど家の資産価値が下がり売れづらくなる
  • 固定資産税や都市計画税が毎年かかり続ける
  • 近隣住民に迷惑をかけてしまい損害賠償を請求される可能性がある
  • 不法侵入や放火といった犯罪の温床になる可能性がある
  • 特定空き家に指定される可能性がある

これらのリスクは、家を放置する期間が長ければ長いほど大きくなります。親の死後に家を処分することを検討している場合、放置はせずに可能な限り早く処分できるように行動をとってみてください。

放置すればするほど家の資産価値が下がり売れづらくなる

基本的にはどのような物件であっても、築年数がかさめばかさむほど、その分老朽化が進みます。老朽化が進むほどその物件の資産価値は下がる傾向があります。

資産価値が下がってしまうと、その分売却金額は安くなりやすく、場合によっては「買い手がなかなか現れない」ということにもなりかねません。つまり、放置をすればするほど築年数がかさんでしまい、家を売却で処分することが難しくなってしまうのです。

なお、国土交通省が公表するデータでは、築年数が20年を超えたあたりから戸建住宅の資産価値は10%程度まで下がると公表されています。

資産価値の推移

極端な言い方をすれば、家の資産価値はこの瞬間にも下がっています。親の死後に家を処分することを検討しているのであれば、可能な限り早めに対策を講じるようにしましょう。

固定資産税や都市計画税が毎年かかり続ける

親の死後に相続で家を所有した場合、今後は自身がその家の所有者となります。

家に限らず不動産の所有者は、固定資産税や都市計画税といった税金を毎年納めなければなりません。使っておらず放置をしている家であったとしても、これらの税金はかかります。

固定資産税や都市計画税の税額は、家がある地域の自治体やその家の資産価値によって変動します。あくまで目安ですが、固定資産税や都市計画税の税額は下記のように算出されるのが一般的です。

費用 金額の目安
固定資産税 自治体によって異なるが、固定資産税評価額の1.4%程度
都市計画税 自治体によって異なるが、固定資産税評価額の0.3%程度

たとえば、固定資産税評価額が1,000万円の家であれば、固定資産税が「1,000万円×1.4%=14万円」、都市計画税が「1,000万円×0.3%=30,000円」と計算されます。

この条件であれば、親の死後に家を処分せずに放置した場合、毎年17万円程度の税金を支払わなければなりません。無駄な出費にもなるため、居住や活用の予定がない家であれば放置をせずに速やかに処分することを検討してみてください。

近隣住民に迷惑をかけてしまい損害賠償を請求される可能性がある

とくに家が遠方にある場合、定期的に家を管理するのが難しいかもしれません。だからといって家を放置すると、近隣住民に迷惑をかけてしまう可能性もあるため注意が必要です。

家の放置によって近隣住民に迷惑をかけてしまうケースとしては、下記が挙げられます。

  • 空き家の倒壊によって近隣住民や通行人をケガさせてしまう
  • 放火によって周囲の家に燃え広がってしまう
  • 庭の草木が伸びて隣地や道路にはみ出してしまう
  • 害虫や害獣、悪臭などの衛生面の悪化により、周辺環境に悪影響を与えてしまう
  • 犯罪者に狙われやすくなり、近隣に不安を与えてしまう

実際に近隣住民へ迷惑をかけてしまった場合、近隣トラブルに発展するリスクがあるだけでなく、所有者である自身に対して損害賠償を請求されてしまう可能性もあります。損害賠償を請求された場合、数十万円〜数百万円の支払いを命じられるケースも少なくありません。

近隣住民に迷惑をかけないためにも、親の死後に家を処分することを考えている場合、決して放置はせずに速やかに処分できるように対策を講じましょう。

不法侵入や放火といった犯罪の温床になる可能性がある

誰も住んでいない状態で家を長期間放置すると、その家が犯罪の温床になってしまうリスクもあります。具体的には下記のようなリスクが挙げられます。

  • 不法侵入
  • 放火
  • 不法投棄
  • 空き巣
  • 違法薬物の取引

草木が伸びきっているような家は、誰も住んでおらず管理がされていないと判断されて、犯罪を行う場所として目をつけられる可能性があります。実際に犯罪が起これば近隣住民にも悪影響を及ぼす可能性もあり、関係の悪化や損害賠償の請求となるリスクがあるため注意が必要です。

特定空き家に指定される可能性がある

親の死後に家を処分せずに放置を続けると、特定空き家として行政から指定される可能性があります。

特定空き家とは、近隣に影響を及ぼすおそれがあり早急な処理が必要な空き家のことです。空き家のなかでも、とくにリスクが高く緊急性があるものは行政から特定空き家として認定されます。

家が特定空き家として指定された場合、今後は固定資産税が最大6倍になるうえに、場合によっては最大50万円の過料が科されてしまいます。そのため、特定空き家として指定されないためにも、親の死後に家を放置するのは避けて、処分または適切な管理をすることが重要です。

なお、特定空き家として指定される基準については、下記のとおりです。

基準 具体例
倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態 ・建物自体が傾いている
・シロアリ被害によって柱や梁(はり)の状態が悪い

・建物にヒビが入っており崩れそうになっている

・屋根の瓦が剥がれている
・看板が崩れそうになっている
著しく衛生上有害となるおそれのある状態 ・浄化槽が破損したまま放置されるなどから、汚物やその臭気が流出している
・ごみの放置や不法投棄によって臭気が発生している
・ごみの放置や不法投棄によって害虫や害獣が発生している
適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態 ・屋根や外壁が汚れおり放置されている
・屋根や外壁が大きく傷んでいる
・窓ガラスが割れたまま放置されている
・敷地内にごみが放置されている
その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態 ・誰でも容易に侵入できる状態で放置されており、空き巣や放火など、犯罪の温床になる可能性がある
・周辺の道路、家屋の敷地などに土砂が大量に流出している
・立木の枝や落雪によって歩行者の通行を妨げている

親の死後に家を処分する際はまず売却を検討するべき

家を処分する方法としてはさまざまな手段がありますが、基本的にはまず売却することを検討してみてください。家を売却で処分すれば、利益が出ることが望めます。

家を売却する方法を大きく分けると、「仲介」「買取」の2種類があります。

  • 仲介:家の条件が良く買主が現れる見込みがある場合
  • 買取:買主が現れる見込みがない、またはすぐにでも家を処分したい場合

「すでに売却は検討したけど売れなかった」「築年数がかさんでいて売れそうにない」と考えるかもしれませんが、売却方法によってはこのような家も売却できる可能性は十分にあります。

なお、詳しい方法は「親の死後に家を処分する方法には推奨しづらいものもある」の見出しで解説しますが、売却以外の方法で家を処分するのは、基本的に推奨できません。

ここからは、親の死後に家を処分するための売却方法について、それぞれ解説していきます。親の死後に家の処分を検討している場合には参考にしてみてください。

仲介:家の条件が良く買主が現れる見込みがある場合

不動産における仲介とは、不動産会社が買主と売主の間に入って、物件の売買契約を成立させることです。買取とは異なり、不動産会社による売却活動によって買主を探してもらうのが一般的です。

親の死後に仲介で家を処分するメリットとして、買取よりも売却金額が高くなりやすい点が挙げられます。あくまで目安ですが、買取の場合は20%〜30%程度売却金額が安くなる傾向がありますが、仲介であれば市場価格とほぼ同等の金額で売却できるのが一般的です。

ただし、仲介の場合は買主が現れない限り売却ができません。条件が良い家でなければ、基本的には仲介で売却するのは難しいといえます。

仲介での売却に期待できるような条件が良い家の例としては、下記が挙げられます。

  • 都心などの人気のエリアにある
  • 駅から徒歩5分〜10分圏内にある
  • 築年数が5年〜10年程度の築浅物件
  • 治安がよく住みやすいエリアにある
  • 大型商業施設や学校、病院などが徒歩圏内にある
  • 風通しがよく騒音が少ない

なお、仲介では売却活動が必要になるため、家を売却で処分できるまでにある程度の期間がかかります。仲介で物件を売却できるまでは、一般的に3か月〜半年程度の期間がかかるといわれています。

そのため、3か月〜半年程度の期間がかかってでも、家をなるべく高値で売りたい場合には、仲介で家を処分することも視野に入れてみてください。

買取:買主が現れる見込みがない、またはすぐにでも家を処分したい場合

不動産における買取とは、業者が直接物件を買い取ることです。

売却活動が不要になるため、仲介よりも早く家を売却できるのが一般的です。仲介の場合は3か月〜半年程度かかるのに対して、買取であれば1週間程度で家を売却できる傾向があります。

また、買取業者は、転売や賃貸などで活用して利益を得ることを目的として買取業務を行っています。買い取った不動産を自社でリフォームなどを施したうえで活用するため、仮に状態が良くない家であっても買取業者であれば売却に期待できます。

そのため、「買主が現れる見込みがない」「すぐにでも家を処分したい」といった場合、買取で家を処分することも検討してみてください。

ただし、買取の場合は仲介よりも売却金額が20%〜30%安くなるのが一般的です。そのため、「売却金額が安くなったとしても、早く確実に空き家を手放したい」という場合に買取が得策といえます。

親の死後に家を処分する方法には推奨しづらいものもある

前述したように、親の死後に家を処分する場合には、まず仲介や買取での売却を検討するべきですが、親の死後に家を処分する方法は売却以外にもあります。

とはいえ、売却以外の方法で家を処分するのは、基本的に推奨できません。その理由は処分方法によって異なり、具体的には下記のとおりです。

  • 相続放棄をする:家以外の財産も相続できなくなる
  • 家を解体する:費用がかかるうえに必ず売却できるとは限らない
  • 自治体に寄付をする:必ず受け入れられるとは限らない

「絶対に検討するべきではない」とはいえませんが、これらの処分方法は特定のケースであればおすすめできるものです。

ここからは、売却以外に親の死後に家を処分する方法について、それぞれ解説していきます。

相続放棄をすると家以外の財産も相続できなくなる

親の死後に家の処分を検討している人のなかには、家を含めた遺産の相続を控えている人もいることでしょう。そして、家を活用する予定がない場合、相続放棄することを検討しているかもしれません。

確かに、相続放棄をすれば家を受け継ぐことがなくなります。ただし、相続放棄をすると家を含めたすべての財産を相続できなくなるため注意が必要です。

相続財産の対象となるものの例としては、家だけでなく、現金や有価証券、自動車、貴金属なども挙げられます。相続放棄をするとすべての財産を受け継ぐことができなくなるため、「家だけは相続せずに、ほかの財産は受け継ぐ」ということはできません。

つまり、管理や処分に困るからという理由だけで相続放棄をすると、資産価値がある財産も受け継げなくなってしまうリスクがあるのです。

なお、相続放棄の対象になるのは、借金のような負債も含まれます。資産価値がある財産よりも負債のほうが多い場合に相続放棄をすると、損をしてしまうケースもあります。

家の処分に困って相続放棄をするのは推奨しづらいですが、例外的に負債が多い場合であれば相続放棄を検討しても良いでしょう。

解体をするには費用がかかるうえに必ず売却できるとは限らない

親の死後に家を処分することを検討している人のなかには、「家を解体して土地だけなら売却などで処分しやすいのでは」のように考えている人もいるかもしれません。

しかし、不動産会社などに相談せずに、独断で家を更地にするのはおすすめできません。当然ですが、家を解体するには費用がかかり、数十万円〜数百万円ほどの費用がかかることも珍しくはありません。

また、更地にしたからといって、必ず買主が現れるとも限りません。場合によっては、「解体せずに建物を残していたほうが売却できた」というケースも考えられます。

そのため、家の解体を検討している場合、「更地にすれば売れる見込みがあるのか」について不動産会社に相談しておくのが得策です。

自治体への寄付は必ず受け入れられるとは限らない

自治体によっては、空き家の寄付に対応していることがあります。駐車場などとして土地を活用できるケースもあるため、自治体が求めるような物件であれば寄付が認められる可能性もあります。

ただし、寄付した後は、自治体が家の管理をしなければなりません。また、今後は家にかかる固定資産税を自治体が納めることになるため、それらのコストよりもメリットがあるような家でなければ寄付は難しいです。

自治体への寄付は基本的にハードルが高めであるため、ほかの方法で空き家を処分できないかを検討しておくのが無難といえます。

親の死後に家を処分する前にやっておくこと

親の死後に家を処分をする場合、事前にやっておかなければならないことがあります。そのため、親の死後すぐに家を処分することはできません。

親の死後に家を処分する場合、まずは下記をすべて行うようにしてみてください。

  • 役所に死亡届を提出する
  • 遺言書がないかを確認する

ここからは、親の死後に家を処分する前にやっておくことについて、それぞれ解説していきます。

役所に死亡届を提出する

親の死後は、役所に死亡届を提出しなければなりません。

死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡したときは,その事実を知った日から3か月以内)
引用元 法務省「死亡届」

死亡届の提出期限は、原則死亡を知った日から7日以内です。提出期限を過ぎてしまった場合、5万円以下の罰金が課せられるため注意をしましょう。

なお、死亡届の提出先は役所になりますが、親の本籍地・届出人の所在地・親が亡くなった地域のうちいずれかの役所に提出が必要です。

遺言書がないかを確認する

親の死後に家を処分する場合、遺言書がないかどうかを確かめておきましょう。家を処分するにはまず相続が必要になりますが、原則的に相続は遺言書の内容に沿って行う必要があるためです。

遺言書は金庫などの家のなかだけでなく、公証役場や親族に預かられている可能性もあります。まずは家のなかを探してみて、遺言書が見つからない場合には親族や公証役場に聞いてみるのがよいでしょう。

最寄りの公証役場については、日本公証人連合会の公式サイト「公証役場一覧」を参考にしてみてください。

親の死後に家を売却で処分できるまでの流れ

親の死後に家を売却して処分することを検討している場合、どのような流れで手続きをするのかを確認しておくのが得策です。仲介または買取によって手続き内容に違いはありますが、おおまかには下記のような流れとなります。

  1. 不動産会社や買取業者に査定を依頼する
  2. 売却を依頼する業者との契約を締結させる
  3. 決済・物件の引き渡しを行う
  4. 確定申告のために譲渡所得税を算出しておく

ここからは、親の死後に家を売却で処分できるまでの流れについて、各工程を詳しく解説していきます。

不動産会社や買取業者に査定を依頼する

親の死後に家を売却で処分をする場合、まずは不動産会社や買取業者に査定を依頼しましょう。

不動産における査定とは、土地や建物がどの程度の金額で売却できるのかを調査してもらうことです。提示してもらえた条件で問題がなければ、合意をしてその業者との契約に進みます。

なお、「なるべく高値で家を売却したい」という場合、複数の業者に査定を依頼しておくのも得策です。

査定の方法や基準は業者によって異なると考えられ、複数の業者に査定を依頼することで、査定結果もそれぞれで変わる可能性があります。それによって、査定額が最も高い業者を見つけることも可能です。

不動産の査定だけであれば無料で対応してもらえるのが一般的であるため、手間が増えてしまうかもしれませんが、複数の業者に査定依頼を出しておくのがよいでしょう。

売却を依頼する業者との契約を締結させる

家の売却を依頼する業者が決まった後には、その業者と契約を結びます。

仲介または買取によって締結する契約の種類が異なり、簡単にまとめると下記のとおりになります。

  • 仲介:媒介契約
  • 買取:売買契約

仲介を依頼する場合には、媒介契約を業者と結びます。媒介契約とは、不動産売却時に買主を探してもらうために売主が不動産会社と結ぶ契約のことで、売却活動の内容や契約期間、報酬といった条件を定めるのが一般的です。

一方、買取の場合は売買契約を結びます。売買契約とは、買主と売主で物件の売買をするための契約のことで、物件の買取金額や引き渡し日などを定めます。

どちらの契約であっても、契約書の作成などは依頼した業者が主に行ってくれます。不明点があれば契約の前に業者に相談をしておくのが良いでしょう。

決済・物件の引き渡しを行う

仲介の場合は売却活動を行ってもらったうえで買い手を見つける必要がありますが、買い手との契約が済んだ後は、契約内容に沿って決済や物件の引き渡しを行います。

決済や物件の引き渡しの日程は、契約を締結させる際に決定されます。売買契約の際には、引き渡しの都合がつきそうな日程をあらかじめ決めておき、その日に物件の引き渡しができるようにスケジュールを調整しておくとよいでしょう。

なお、家を引き渡す際には、物件の鍵を買い手に渡す必要があります。引き渡し日には処分したい家の鍵を忘れずに持っていきましょう。

確定申告のために譲渡所得税を算出しておく

家の売却によって利益が出た場合、原則として譲渡所得税を納めなければなりません。その場合には、家を売却した翌年の2月16日〜3月15日までに確定申告をする必要もあります。

そのため、親の死後に家を売却で処分した際には、「確定申告が必要になるのか」「譲渡所得税はいくらなのか」といった点も確認しておくことが大切です。

譲渡所得税は個人でも算出することは可能ですが、いくつかの手順を踏んで算出しなければなりません。

譲渡所得税の算出は、まず家の売却で得られた利益である「譲渡所得」の計算から始めます。譲渡所得は「買主から受け取った金額-(家の取得費+譲渡にかかった費用)」の式で算出可能です。

たとえば、「取得費2,000万円」「譲渡費用150万円」「売却金額3,000万円」の場合を想定すれば、「3,000万円ー(2,000万円+150万円)=850万円」と計算できます。なお、譲渡所得税は譲渡所得によって発生するため、売却によって利益が出なければ譲渡所得税はかかりません。

次に、譲渡所得に一定の税率をかけて、譲渡所得税を算出します。一定の税率は、家の所有期間によって下記のように変わります。

所有期間 所得税率
5年超 15%
5年以下 30%

譲渡所得が850万円であれば、所有期間が5年以下の場合は「850万円×30%=255万円」、所有期間が5年を超えていれば「850万円×15%=127.5万円」と計算します。

なお、不動産会社や買取業者では、「譲渡所得税が発生するかどうか」「確定申告でどのような手続きをするのか」などを相談できるのが一般的です。親の死後に家を売却で処分する場合、譲渡所得税や確定申告についても依頼する業者に相談しておくとよいでしょう。

親の死後に家を処分する場合にはさまざまな費用がかかる

家を処分するには、さまざまな費用がかかります。そのため、親の死後に家を処分する場合、事前にどのような費用がかかるのかを把握しておくのが良いでしょう。

  • 登録免許税:家を相続する場合
  • 印紙税:家を売却する場合
  • 仲介手数料:家を仲介で売却する場合

ここからは、親の死後に家を処分する場合にかかる費用について、それぞれ解説していきます。

登録免許税:家を相続する場合

親の死後に家を相続する場合、相続登記という手続きが必要です。

相続登記とは、死亡した不動産の所有者から相続人に名義変更をするための手続きのことです。相続登記の際には登録免許税という税金がかかり、その税額は下記の式で計算できます。

登録免許税=固定資産税評価額(※)×0.4%

たとえば、固定資産税評価額が3,000万円の家であれば、12万円程度の登録免許税を納めなければなりません。

なお、固定資産税評価額は各市区町村が定めており、納税通知書や固定資産税評価証明書から確認できます。登録免許税を算出する際は、これらの書類を確認してみてください。

印紙税:家を売却する場合

家を売却で処分する場合、売買契約書を作成しなければなりません。売買契約書は印紙税の課税対象となる「課税文書」に該当するため、契約書の作成時には収入印紙が必要です。

売却金額 本則税率 軽減税率
10万円を超える~50万円以下 400円 200円
50万円を超える~100万円以下 1千円 500円
100万円を超える~500万円以下 2千円 1千円
500万円を超える~1千万円以下 1万円 5千円
1千万円を超える~5千万円以下 2万円 1万円
5千万円を超える~1億円以下 6万円 3万円
1億円を超える~5億円以下 10万円 6万円
5億円を超える~10億円以下 20万円 16万円
10億円を超える~50億円以下 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

たとえば、家が5,000万円で売れた場合、通常収入印紙の金額が2万円となります。

不動産売買の印紙税には軽減措置が設けられており、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成された売買契約書であれば、軽減率が適用されます。買取金額が5,000万円で軽減措置が適用されれば、収入印紙の金額が2万円から1万円になります。

仲介手数料:家を仲介で売却する場合

親の死後に仲介による売却で家を処分する場合、仲介手数料がかかるのが一般的です。仲介手数料は不動産会社によって異なりますが、上限額は定められています。

不動産の売却価格 仲介手数料の上限
200万円以下 家の売却金額の5%
200万円超400万円以下 家の売却金額の4%+2万円
400万円超 家の売却金額の3%+6万円

たとえば、家の売買価格が3,000万円の場合、「3,000万円×3%+6万円+10%=105.6万円」が仲介手数料の上限です。あくまで上限額なので、不動産会社によっては上記より安く依頼できる場合もあります。

親の死後に家を売却で処分する際には必要書類を用意しておくべき

親の死後に家を売却で処分する場合、下記のような書類が必要になります。

必要書類 概要や具体例
本人確認書類 運転免許証、マイナンバーカード、パスポート など
登記済権利証(登記識別情報) 「権利証」とも呼ばれている書類。法務局から交付される
登記名義人であることを証明できる書類 ・納税通知書

・固定資産税評価証明書 など
住民票 市役所やコンビニエンスストアで発行できる
印鑑証明 市役所やコンビニエンスストアで発行できる

これらの書類の提出が求められた場合、提出をしなければ家を売却することはできません。不動産会社や買取業者に相談すれば、「どのような書類が必要なのか」「どのように書類を用意するのか」について教えてもらえるのが一般的です。

まとめ

親の死後に家を処分する方法にはさまざまな方法がありますが、基本的にはまず売却を検討するべきといえます。「相続放棄」「自治体への寄付」といった処分方法もありますが、これらの手段は推奨しづらいうえに、売却であれば利益が出る可能性があるためです。

家の売却方法には仲介または買取がありますが、家の条件がよく買い手がつく見込みがある場合であれば仲介、買主が現れる見込みがない、またはすぐにでも家を処分したい場合には買取を検討するのがよいでしょう。

なお、「家がなかなか売れない」「処分するための時間をつくれない」などの事情があっても、親の死後に家を処分せずに放置するのは避けましょう。放置にはさまざまなリスクがあるため、使用予定がない家であれば可能な限り早く処分するのが大切です。

親の死後に家を処分することのFAQ

親の死後に家を処分したいのですが、残置物の撤去にはどれくらいの費用がかかりますか?

業者によって費用は異なりますが、あくまで一般的には「1㎥あたり7,000円~15,000円程度」が相場と言われています。

なお、買取業者であればそのままの状態で物件を買い取ってもらえるのが一般的であるため、残置物の撤去の費用をかけずに家を処分することが可能です。

親の死後に家を売却で処分したいのですがなかなか売れません。売れない家はどのように処分すればよいでしょうか?

仲介で売れない場合でも、買取であれば売却できる可能性はあります。そのため、まずは買取で売却することも検討してみてください。

また、推奨はしづらいですが、「相続放棄」「解体して更地として売却」といった処分方法もあります。買取も難しい場合であれば、このような方法を視野に入れるのも検討してみてください。

いわゆる事故物件になると思いますが、訳あり物件でも売れるのでしょうか?

買取業者には事故物件のような訳あり物件を専門とする買取業者もあります。専門業者であれば、仲介では売却が難しいような物件も買取に期待できます。

そのため、まずは訳あり物件専門の買取業者に相談してみることを検討してみてください。

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更新日 : 2025年02月06日
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