借地権とは、他人の土地を借りて使用する権利のことです。
そして、借地権は「普通借地権」と「定期借地権」の2つに分けられます。
借地権は、土地を借りる権利ですが、その権利のみを売却することも可能です。
地主に借地権を買取してもらうことや、第三者に借地権を売却することができます。
しかし、借地権の売却は普通の不動産売買と異なり、需要が少なく売りにくいです。借地権をスムーズに売りたい場合、弁護士と提携している「訳あり物件専門の買取業者」に相談するとよいでしょう。
借地権とは、他人の土地を借りて使用する権利のことです。
そして、借地権は「普通借地権」と「定期借地権」の2つに分けられます。
借地権は、土地を借りる権利ですが、その権利のみを売却することも可能です。
地主に借地権を買取してもらうことや、第三者に借地権を売却することができます。
しかし、借地権の売却は普通の不動産売買と異なり、需要が少なく売りにくいです。借地権をスムーズに売りたい場合、弁護士と提携している「訳あり物件専門の買取業者」に相談するとよいでしょう。
借地権とは文字通り、他人の土地を借りて使用する権利のことです。
借地権の中には賃借権、地上権、永小作権、地役権、使用借権などの種類があります。
これらの権利は、何を目的として土地を借りるのか、無償または有償で借りるのかで適用されるものが変わります。
建物を建てるためにお金を払って有償で借りる場合、発生する権利は「地上権または賃借権」です。
地上権は物権と呼ばれる権利の1つで、物権が設定された物を直接的に支配することができるものです。
地上権は非常に強い権利のため、他人の土地を借りるときに設定されることはまずありません。ほとんどの場合で賃借権が設定されます。
それに対して、無償で土地を借りて使用する場合は、賃借権ではなく使用借権が適用されます。
普通はお金を払わなければ使えない他人の土地を無償で使わせてもらっているので、賃借権のように強く権利を主張することは難しいです。
農業などの耕作・牧畜のために有償で借りる場合は「永小作権もしくは賃借権」が発生する可能性があります。
ただし、永小作権は現在、ほとんど設定されていません。これから新たに借りる場合は、基本的には賃借権を設定した契約となります。
この場合の賃借権では、借地人は農地法の適用を受けて、契約期間は最長50年です。地代の不払いや耕作放棄などの理由がない限り、契約を更新し続けることができます。
その他、たとえば道路に接していない土地を所有している場合、道路までの通路として他人の土地を借りることもあるでしょう。
このように建物の所有、農地としての利用以外で土地を借りるときには地役権が発生します。
地役権は自分が所有している土地をより利用しやすく、便利にするために他人の土地を利用する権利です。
有償でも無償でも権利の範囲に差はありません。存続期間も含めて自由に契約内容を決めることができます。
地役権は物権に該当するので、登記することで第三者に対しても権利を主張することができます。
そのため、通路のような地主が変わったとしても利用を続けないと不便になるような場合には地役権を設定した契約を結ぶことが多いです。
ここまで一般的な借地権について解説してきました。
しかし、普段「借地権」というときには「建物の所有を目的とした借地借家法に基づく賃借権」のことをいいます。
そこで次は、借地借家法に基づく借地権について詳しく解説します。
借地権には、普通借地権と3つの定期借地権、一時使用目的の借地権の合計5つの種類があります。
普通借地権は、更新のある借地権のことです。
契約書に特別な記載がない場合、借地権の存続期間は30年で、契約によって30年以上の期間を定めることもできます。
ただし、30年未満の期間では契約できず、契約書で30年未満の期間で設定していたとしても、30年に延長されます。
そして、更新第1回目の存続期間は20年、2回目以降の更新での存続期間は10年です。
また、契約は借地人が希望すれば原則、更新されます。
地主側が更新を拒否できるのは「正当事由」がある場合のみです。
正当事由とされるのは「地主が他に土地を所有しておらず、自分の居住のために土地が必要」「地主の親族が自宅を建てるために土地が必要で、借地人が借地上の建物を使用していなかった」などのときです。
地主の正当事由が認められて契約終了となったときには、借地人は地主に建物を時価で買い取ってもらうための建物買取請求権を行使できます。
この場合、地主は買取を拒否できず、請求があればそれだけで、建物の売買契約が成立することになっています。
このように普通借地権は建物が借地上にある限り契約期間にかかわらず、更新され続けることが大きな特徴です。
定期借地権は、契約で期間を定めた更新のない借地権のことです。普通借地権では借地人の権利が強く、一度借地として貸すと、地主が土地を取り戻すのが難しい状況でした。
1992年に施行された借地借家法では新たに、更新をしない借地権が認められるようになりました。
借地人にとっては更新がないという点で、普通借地権よりも弱い権利となるので、定期借地権は普通借地権よりも賃料が安く設定されることが一般的です。
また、定期借地権には「一般定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」「事業用定期借地権」の3種類があります。
一般定期借地権は、存続期間を50年以上とすることで設定できます。一般定期借地権を設定するときには必ず契約書を書面で残しておく必要があります。
もちろん、公正証書で残しておけば設定した借地権が一般定期借地権であることを明確に証明することができるので地主にとっては安心です。
また、一般定期借地権を設定するときには次の項目を明記することが重要です。
契約書でこれらの項目に漏れがあった場合、たとえ書面で契約を交わしていたとしても一般定期借地権とは認められず、更新のある普通借地権とみなされるので注意してください。
建物譲渡特約付借地権は、存続期間を30年以上で定めます。
契約期間満了時に、借地権を消滅させるために借地上の建物を時価で買取ることを約束した借地権です。
また、期間満了で借地権が消滅したあと、借地人またはその建物の賃借人から継続使用の請求があったときには、期間の定めのない賃貸借契約が交わされたものとみなされます。
このとき地主は建物の貸主となり、借地人だった方は建物の借主という関係に変わります。
一般定期借地権と異なるのは、書面での契約が義務付けられていない点です。
とはいえ、契約書があるに越したことはないので後のトラブルを避けるためにも、建物譲渡特約付借地権を設定するときも契約書は作成するようにしておきましょう。
事業用定期借地権は、事業用の建物を所有することを目的として、存続期間を10年以上50年未満の期間に設定された定期借地権です。一般定期借地権とは異なり、契約のときには必ず公正証書を作成する必要があります。
存続期間が10年以上30年未満の場合は、特約を定めることなく「更新なし」「存続期間の途中で建物を再築した場合でも存続期間の延長はなし」「契約満了時、借地人に建物買取請求権はなし」とされています。
存続期間が30年以上50年未満のときに、上記のような条件を設定したい場合は特約として明記しなければいけません。
この借地権は、コンビニやファミレス、ガソリンスタンドなどで活用されることの多い借地権です。
事業用定期借地権の地代相場は年間で更地価格の6%程度と他の借地権の地代に比べて高くなっています。
ここまで借地借家法に基づく借地権の種類について解説してきました。
借地借家法というのは、1992年8月1日にそれまで別々にあった借地法と借家法、建物保護に関する法律が改正・統合されて施行された法律です。
この新法である借地借家法が施行される前に結ばれた借地契約を「旧法借地権」施行後に結ばれた借地契約を「新法借地権」といいます。
そして「旧法借地権」では、契約時に施行されていた借地法がそのまま適用されます。旧法の適用は更新や譲渡が新法施行後であっても変わりません。
「新法借地権」としたい場合には、借地契約を結び直す必要があります。
それでは具体的に「旧法借地権」と「新法借地権」の違いをお伝えします。
旧法借地権では、借地権の存続期間は建物の構造によって変わります。
非堅固建物の場合は20年以上、堅固建物の場合は30年以上です。
契約書に期間の定めがないときには、非堅固建物で30年、堅固建物で60年と定められています。
新法借地権では、建物の構造によって存続期間は変わりません。借地権の種類によって異なります。
普通借地権では30年以上、一般定期借地権では50年以上、建物譲渡特約付借地権では30年以上、事業用定期借地権では10年以上50年未満です。
旧法借地権では、更新後の存続期間も建物の構造によって差があります。非堅固建物の場合は20年以上、堅固建物の場合は30年以上です。
もしも、更新時に期間の定めがない場合は、非堅固建物であれば20年、堅固建物であれば30年とされています。
一方、新法借地権では、更新があるのは普通借地権のみです。更新後の存続期間は建物の構造によらず1回目の更新は20年以上、2回目以降の更新は10年以上です。
更新時に期間の定めがない場合は、1回目の更新は20年、2回目以降の更新は10年とされています。
「建物が壊れる」というとき、旧法借地権ではその原因を朽廃と滅失の2つに分けられます。
朽廃は、時間の経過により自然的な劣化が原因で社会的価値・経済的価値を失うことです。
朽廃とみなされる明確な基準はないですが、建物土台や柱が破損していたり、腐食していて住めない状態になっている場合に当てはまる可能性があります。
滅失は、地震や台風・洪水・火事などの災害や改築のための人為的な取り壊しで借地上に建物がなくなることです。
旧法借地権では、この建物が壊れた原因によって扱いが異なります。
建物が朽廃したときには、その時点で借地権は消滅します。
借地権の存続期間が残っていたとしても、土地を明け渡す必要があるということです。
一方で、新法借地権であれば、建物が朽廃と滅失で区別はなく、契約期間中に建物がなくなったとしても借地権の消滅はありません。
旧法借地権では、借地権の存続期間が満了になっても借地上に建物がある限り、更新されることが原則です。
地主が更新を拒絶するには、正当な事由が求められます。
新法借地権でも、設定した借地権が普通借地権であれば旧法借地権と同じように正当な事由がない限り、地主は更新を拒絶できません。
一方、新法借地権には定期借地権があります。定期借地権は、契約期間満了で更新を拒否することができ、土地も返却されます。
借地借家法に基づく借地権は財産とみなされ、相続税や贈与税の課税対象です。
そのため、課税額を決めるためには借地権を評価する必要があります。
このときに使うものが借地権割合です。
それでは、借地権割合の調べ方と借地権の相続税評価額の計算方法について解説します。
借地権割合は路線価図や評価倍率表に表示されていて、国税庁のホームページから確認することができます。
アクセスすると日本地図が表示されるので、借地の地域を指定していきます。該当する地域の路線価図を開くと下図のようなA~Gまでのアルファベットとそれぞれの借地権割合が記載された表が見つかります。
たとえば、下の赤丸で囲んだところは「980B」と書かれています。
これは1平方メートルあたりの路線価が980千円(98万円)、借地権割合が80%であることを示しています。
参照:路線価図・評価倍率表
参照:路線価図
借地権の評価は借地権の種類によって異なります。
次の項目から、それぞれの計算方法を具体的に見ていきましょう。
普通借地権の相続税評価額は、更地価格に借地権割合を掛けたものです。
たとえば、更地価格が5,000万円、借地権割合が60%だったとします。
相続税評価額は「5,000万円 × 60% = 3,000万円」となります。
定期借地権は更新のない借地権です。
そのため、相続であれば被相続人が亡くなった日、贈与であれば財産を取得した日において、借地人に帰属する経済的利益と借地権の残った存続期間をもとに計算します。
これを計算式で表すと次のようになります。
ただし、この計算式をみるだけで理解するのは難しいと思います。ですが、安心してください。
国税庁が用意している「定期借地等の評価明細書」に従って、1つずつ項目を埋めていくことで算出されるようになっています。
参照:定期借地等の評価明細書
参照:借地権の評価
一時使用目的の借地権の相続税評価額は、雑種地の賃借権と同じ方法で評価します。
この記事でも解説したように、一時使用目的の借地権は普通借地権や定期借地権とは大きく性質が異なるものです。
雑種地の賃借権の価額の評価方法は次のようになります。
この計算で使う法定地上権割合は賃借権の残存期間に応じて決められています。
残存期間 | 法定地上権割合 |
5年以下 | 100分の5 |
5年超10年以下 | 100分の10 |
10年超15年以下 | 100分の15 |
15年超 | 100分の20 |
ここまで解説してきたように、土地の更地価格と借地権割合が分かれば、国税庁のホームページに掲載されている計算方法に従って相続税評価額を算出することができます。
しかし、土地の更地価格を計算するには単純に、路線価に面積を掛ければいいわけではありません。
そのため、借地権の相続税評価額を算出するときには税理士や不動産会社のような専門家に相談することをおすすめします。
借地権とは、他人の土地を借りて使用する権利のことです。
そして、借地権には更新のある普通借地権と、更新のない定期借地権、借地借家法が適用外となる一時使用目的の借地権があります。
この記事で紹介したように、借地権は借地借家法に基づく様々な制限があります。
もしも、借地権を巡ってトラブルが発生してしまった場合は、不動産問題に詳しい弁護士へ相談してみるとよいでしょう。