所有者不明の共有私道に接する土地の売却手順!共有私道の問題点や売却するためのコツも解説

共有者不明 共有私道 売却

複数人が所有権をもちあう私道を「共有私道」といいますが、共有私道のなかには所有者が不明になっているものがあります。

共有私道の所有者が不明だと、その私道に接する土地の売却が困難になります。

所有者不明の共有私道に接する土地の売却は、登記事項証明書の確認や財産管理制度の利用が必要です。

これらの手続きは非常に難しいうえに時間もかかります。

そこで、弁護士と連携している共有持分専門の買取業者に依頼すると、そういった手続きのアドバイスも受けながら売却ができます。

「所有者不明の共有私道」や「その私道に接する土地」を売却したい場合、ぜひ弁護士と連携している共有持分専門の買取業者である当社へご相談ください

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所有者不明の共有私道における問題点

所有者不明の共有私道が引き起こす問題は、主に以下のとおりです。

  • 水道管やガス管の工事ができない
  • 工事車両の通行許可が取れない

次の項目からそれぞれの問題について詳しく説明します。

水道管やガス管の工事ができない

土地を購入した人が新たに家屋を建てるのであれば、水道管やガス管の引き込み工事をおこなわなければならないこともあるでしょう。

しかし、引き込み工事で共有私道に手を加えるとき、私道の共有者全員から許可を取る必要があります。

そのため、所有者が不明だと全員から許可をもらえず、工事もできません。

所有者が不明だからといって勝手に工事をおこなってしまうと、所有者が発覚した際に損害賠償を請求される可能性もあります。

参照:e-Govポータル「民法第251条」

工事車両の通行許可が取れない

道路の幅員には決まりがあり、自分の土地に接している共有私道が建築基準法を満たしていないと「再建築不可物件」として扱われます。

再建築不可のままだと宅地利用が難しくなってしまうため、買主からの需要や人気が低下してしまう傾向があるでしょう。

道路の幅員が建築基準を満たしていない土地では、建て替え可能にするために土地の境界線を下げる「セットバック」をおこなうのが一般的です。

セットバックとは?

しかし、セットバックをおこなうための工事車両が共有私道を通るには、共有者全員の通行許可がいります。

共有者が不明だと、セットバックをおこなえず再建築不可の状態で売却活動をしなければなりません。

セットバックの基本知識をより詳しく知りたいという人は以下の記事も参考にするとよいでしょう。

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参照:e-Govポータル「民建築基準法第42条、43条」

所有者不明の共有私道に接する土地の売却手順

所有者不明の共有私道に接している土地であっても、決して売却ができないわけではありません。

手間はかかりますが、以下の手順で売却活動をすすめれば、土地を売却できる可能性があります。

  1. 共有私道の登記事項証明書を取得する
  2. 通行掘削等承諾書を取得する
  3. 境界確定測量を依頼する
  4. 不動産業者に物件の査定を依頼する
  5. 不動産業者と媒介契約を結ぶ
  6. 売り出し・交渉・売買契約・引き渡し

まずは、共有私道の所有者を探して明確にするのが先決です。

それでも所有者が不明であれば「財産管理制度」を利用することで代理人を選任できます。

次の項目から具体的な手段を解説しますので、参考にしてみてください。

共有私道の登記事項証明書を取得する

共有私道の所有者を確認するために、法務局で「登記事項証明書」を取得しましょう。

登記は一般に公開されているもので、だれでも閲覧・取得可能です。

しかし、登記事項証明書に記載されている所有者名が、現在の所有者と異なるケースもあり得ます。

例えば、現所有者が相続によって私道の所有権を取得したときに、相続登記の手続きがしなかったことも考えられます。

このような場合は、住民票や戸籍から所有者を探せるかもしれません。

自分で調べることも不可能ではありませんが、弁護士に調査を依頼することもおすすめです。

弁護士には「職務上請求」というものがあり、第三者の住民票の写しや戸籍謄本を取得することが認められているためスムーズに調査が可能になります。

所有者が不明の場合は財産管理制度を利用する

私道所有者の親族も居場所を知らないようであれば「財産管理制度」を利用することも検討しましょう。

この制度には以下の2種類があります。

不在者財産管理制度・・・所有者の行方や生死が不明なときに代理人を選任できる制度

相続財産管理制度・・・相続人の代わりに相続財産の調査・精算・管理・処分などの業務をおこなう人を選任できる制度

その土地の所有者の所在が不明(行方不明・生死不明)の場合は「不在者財産管理制度」が使え、その土地を相続した人がいるのかどうかわからない場合は「相続財産管理制度」を利用します。

家庭裁判所に不在者財産管理人、または相続財産管理人を選任するよう申し立てる必要があります。

この申し立てができるのは「利害関係者または検察官」のみです。

家庭裁判所の判断によりますが、土地を売却しようとしている人は「利害関係者」に相当し、申し立てができると考えられます。

ちなみに、相続財産管理人の選任申し立て方法は以下の記事で具体的に解説ししているので、ぜひ参考にしてみてください。

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参照:e-Govポータル「民法第25条第1項」

共有私道の所有者に通行掘削等承諾書を取得する

土地の購入者が家屋を建てたりライフラインを整えたりできるように、通行掘削等承諾書を取得しましょう。

共有私道には2種類あり、それぞれで承諾をもらう所有者も違います。

共有私道の種類

共同所有型私道は「私道全体の名義が複数人である状態」で、通行掘削等承諾書は所有者全員からもらう必要があります。

相互持合型私道は「私道を区分けして別々の名義にしている状態」で、通行掘削等承諾書は実際に掘削するルート上の所有者からもらうことになります。

口約束ではなく、きちんと書類という形で残しておくことが大切です。

承諾書をもらうべき人のなかに所在不明の所有者がいる場合、先に解説したした不在者財産管理人や相続財産管理人から通行掘削等承諾書を取得しましょう。

ただし、財産の改変(工事によって土地を掘削する行為)は不在者財産管理人・相続財産管理人の権限を越える可能性があり、家庭裁判所の許可が必要となるので注意しましょう。

共有私道の不明所有者の探索や財産管理制度は複雑で、一般には馴染みのない手続きです。自力で進めるのは難しいため、司法書士や弁護士等の専門家に相談するとよいでしょう。

境界確定測量を依頼する

土地の境界線を明確にしておくと、売却価格を算出する際に必要な「土地の面積」を確定できるため売却しやすくなるはずです。

また、再建築不可を解消するためにセットバックをおこなう際、境界確定測量をしておくと、どれぐらいセットバックが必要かあらかじめ示すことができます。

法的に必須というわけではありませんが、土地を売却する際は境界確定測量をすることが一般的です。

測量は土地家屋調査士に依頼しましょう。

不動産会社に物件の査定を依頼する

共有私道の問題がクリアできれば、あとは通常の売却と同様の手順を踏みます。

まずは、土地のおおよその売却価格を算出するために、周辺の土地の相場を調べましょう。

土地を売却するときは、不動産会社に仲介を依頼することが一般的です。

複数の業者に価格査定を依頼し、評価の根拠を聞くことで現在の不動産相場を把握できます。

単に高い価格をつけたところに仲介を依頼するのではなく、担当者の接客態度や査定の根拠を見ながら、信頼できる不動産会社を選びましょう。

土地における売却価格の相場を自分で方法は以下の記事で詳しく解説しています。

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不動産業者と媒介契約を結ぶ

仲介を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を結びます。

契約形態には以下の3種類があります。

  • 専属専任媒介契約・・・1社だけがその物件を仲介できます。売主が自分で購入希望者を見つけることもできません。
  • 専任媒介契約・・・1社だけが仲介可能で、売主が直接購入希望者を見つけることもできます。
  • 一般媒介契約・・・複数の不動産会社がその物件を仲介できるほか、売主が自分で購入希望者を見つけることも可能です。

どの契約を結べかよいか判断に迷う人も多いと思います。

もし迷った場合は不動産業者に説明してもらった上で、自分に適した契約を結ぶとよいでしょう。

土地を売り出して売買交渉をする

不動産業者と媒介契約を結んだら、物件を売り出し、購入希望者が現れたら売却交渉をすすめます。

価格などの売買条件に双方が合意すれば、売買契約を結びましょう。

成約時に手付金を、物件の引き渡し時に売買代金を受け取り、不動産会社に仲介手数料を支払います。

また、名義変更のために不動産登記も忘れずにおこないましょう。

所有者不明の共有私道に接する土地は専門買取業者へ売却!

「目の前の共有私道が所有者不明で、自分の土地がなかなか売れない」
「購入希望者はいるが、価格に納得いかない」

上記のような状況の場合、共有持分専門の買取業者への売却を検討してみましょう。

大手不動産会社や一般物件をメインとして扱う買取業者では、所有者不明の共有私道に接する土地のような、権利が複雑な物件は取り扱わないことがほとんどです。

一方で、共有持分・共有不動産を専門に扱う買取業者であれば、相場に近い価格で買い取ってくれる可能性があります。

一般不動産と専門買取業者の違い

所有者不明の共有私道に接する土地売却のコツ

もしも私道の持分を持っていないなら「共有私道の持分を購入する」のも、1つのコツといえるでしょう。

土地と行動をつなぐ私道は水道管などのライフラインを通すほか、日常生活での出入りにも必要です。

土地に必須ともいえる私道の権利があるかないかでは、売却時の査定や売りやすさも異なります。

また、共同所有型私道の場合、工事にあたっては所有者全員の許可が必要と先に解説しました。

しかし、所有者のなかに不明者がいると全員の同意を得ることが非常に困難であるため、水道管などを共有私道の下に設置する際は、単独での実施が可能と判断された事例があります。

所有者不明の共有私道の問題は、近年、全国的に増加している所有者不明の土地とも関連しているので、行政による対策が今後もすすむかもしれません。

権利関係が複雑な土地を売却するなら専門家の力を借りよう

これまで解説したように、所有する土地が所有者不明の共有私道に接していると、不明になっている所有者を探したり、家庭裁判所に不在者財産管理人や相続財産管理人の選任申し立てをおこなわなければいけません。

また、工事には通行掘削等承諾書を取得する必要もあり、売却までに相当な時間がかかります。

これらのことから、所有者不明の共有私道に接する土地は、手続きを個人ですすめるのは現実にはかなり困難といえるでしょう。

不動産会社や弁護士など、土地の売買から複雑な権利関係の処理などに詳しい専門家に依頼した方が、迅速かつ高額での売却が期待できるといえます。

共有私道に面した不動産の売却は当社におまかせ!

当社クランピーリアル・エステートは、共有持分を専門に取り扱う不動産買取業者です。

全国1,200を超える弁護士・司法書士・税理士などの専門家とネットワークを形成しており、トラブルや法的な権利などを調整しながら運用できる強みがあります。

そのため、所有者が不明の共有私道や共有私道に接する土地でも積極的に買取をしています。

売却・買取に関して無料相談もおこなっていますので、疑問や不安がある人などはぜひ以下のリンクからお気軽にご相談ください。

共有持分や共有私道を巡ってトラブルがおきてしまった場合でも、トラブルなく買い取り致します。

まとめ

共有私道に接している土地は売却に手間がかかるといわれますが、私道の所有者のなかに「どこにいるのかわからない人」がいると、さらに売却するまでに時間と手間がかかります。

不明となっている所有者を探したり、家庭裁判所とやりとりをしたりするには、土地に関する法的な知識に精通した専門家に協力してもらうのが得策でしょう。

また、所有者不明の共有私道に接する土地だとしても共有不動産を専門的に扱う買取業者であれば、トラブルなくスムーズに買い取ってくれるケースもあります。

売却・処分に困った時は共有不動産を扱っている不動産業者に相談するとよいでしょう。

共有私道についてよくある質問

共有私道とはなんですか?

共有私道とは、国や自治体以外が所有者である道路のうち、複数の所有者がいる道路です。私道全体の名義が複数人の「共同所有型私道」と、私道を区分けして別々の名義にしている「相互持合型私道」があります。

共有私道の所有者が不明だと、どんな問題があるのですか?

インフラ工事のような道路を掘り返す工事には共有者全員の許可が必要なので、工事ができなくなってしまいます。直接掘り返さなくても、工事車両の通行に関して全員の許可がいります。私道に面した土地の売却においても、家の建築などがしにくくなるため需要が下がってしまいます。

「所有者不明の共有私道に接する土地」は売却できないのでしょうか?

いいえ、必ずしも売却できないとは限りません。登記簿から所有者を探したり、財産管理制度を使って代理人を立てることで、通行や工事の許可を取得できます。各種工事が問題なくできれば、需要が下がることもありません。

私道に関するトラブルは、だれに相談すればよいですか?

所有者の捜索や財産管理制度の利用は専門知識が必要なので、弁護士に相談するとよいでしょう。弁護士と連携した共有持分専門の買取業者に相談すれば、共有私道のトラブルから不動産売却まで一貫したサポートが可能なのでおすすめです→共有持分専門の買取査定はこちら

「いろいろな不動産会社に買取を断られてしまった・・・」こんな共有持分・不動産でも売れるの?

不動産の買取自体を断られている物件でも売却できます。共有私道の権利関係は複雑で解決にコストがかかるので、買取を積極的におこなっていない会社もあります。そういった場合も「共有持分の専門買取業者」へ売却すると良い結果が得られることが多いです。

最終更新日:
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