共有持分の売却をご検討中の方の中には、「売却することで他の共有者と揉めてしまうのではないか」と不安に感じる方も多いでしょう。
実際、筆者にご相談いただく売主様の中には、「他の共有者と関係が悪くならないか」「他の共有者が買主と揉めないか」といった不安を口にされる方が少なくありません。
まず前提として、共有持分は所有者の単独の意思で自由に売却することが法的に認められています。そのため、持分の所有者が、他の共有者に相談せずに自己持分を売却することは法的には問題がありません。しかし、法的には問題がなくても、場合によっては売却前後で共有者とトラブルになることがあります。
そこで、共有持分をなるべく揉めずに売却するためには、売却方法ごとに工夫することが重要です。以下の方法とポイントを参考にしてください。
| 方法 |
揉めずに成功させるコツ |
向いているケース |
| 自己持分を他の共有者に売る |
・不動産会社に仲介を依頼して調整役になってもらう
・売却価格を相場よりやや下げて歩み寄る |
・共有者に持分を買い取るだけの資金があり、かつ買い取りを望んでいる
・共有者間での関係を維持したい |
| 共有者全員と協力して不動産全体を売る |
・不動産会社に取りまとめを依頼する
・売却益を公平に分ける |
共有者全員が売却に同意している |
| 共有持分を買取業者などの第三者に売る |
事前に売却することを一言報告しておく |
・他の共有者と調整が難しく、スムーズに売却したい
・売却について共有者の同意を得るのが困難 |
上記のように、売却方法ごとに適切な対応を取ることで、なるべく揉めずに共有持分を売却できるでしょう。
特に注意したいのは、共有者への配慮を欠いた売却が、関係悪化やトラブルにつながるおそれがあるという点です。法的には、共有者に知らせずに自己持分を売却しても問題ありませんが、売却後に「知らされなかった」と不満を抱かれるケースもあります。
そのため、可能であれば、売却前に「持分を手放す予定であること」を伝えておくと良いでしょう。共有者が事情を理解していれば、売却後のトラブルを未然に防ぐことができます。
自分から伝えにくい場合には、不動産会社を間に入れて調整してもらうのも有効です。専門家が間に入ることで説明ややり取りがスムーズに進みやすく、売却後は買主が新たな所有者となるため、自分が不動産に関して対応する必要もなくなります。
このように、法的な手続きだけでなく、人間関係への配慮を意識することで、共有持分の売却を「揉めずに、後悔なく」進めることができるでしょう。
とはいえ、共有持分のような特殊な不動産を扱える業者は限られており、依頼先の選定がスムーズな売却を実現するうえで重要なポイントとなります。
売却を成功させるためには、複数の業者を比較し、信頼できる業者を選ぶことが何より大切です。
イエコンでは、共有持分をはじめとした訳あり不動産に特化した業者へ一括で査定依頼ができ、安心して売却を進められるようサポートしています。売却を検討している方は、まずは一度査定を試してみてください。
共有持分を他の共有者と揉めずに売ることは可能
共有名義の不動産であっても、自身の共有持分のみであれば、他の共有者の同意を得ずに売却できます。これは、民法206条で下記のように定められていることが根拠です。
第二百六条
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
引用元 民法 | e-Gov 法令検索
つまり、共有持分を売却する際に他の共有者と事前に話し合う必要はなく、手続き上は共有者に何も伝えずに売却を進めることも可能です。そのため、売却の段階で揉める心配はほとんどありません。
ただし、売却後には登記簿の名義変更や固定資産税の通知などを通じて、最終的に他の共有者に売却が知られることになります。特に、売却先が共有持分の買取業者である場合、業者が他の共有者に対して買取交渉を行うことも多く、「誰が売ったのか」が分かってしまうケースも珍しくありません。
共有持分を売却した時点で、所有権は買手へと完全に移転します。そのため、以後は不動産の管理や交渉に関与する必要はなくなりますが、家族や親族など今後も関係が続く共有者の場合、事前に一言伝えておくことでトラブルを防ぎやすくなります。
もし直接伝えにくい場合は、買取業者を間に入れて手続きを進めると、感情的な行き違いを避けながらスムーズに売却できるでしょう。
共有持分を揉めずに売るための方法
共有持分を揉めずに売る方法として、下記が挙げられます。
| 方法 |
揉めずに成功させるコツ |
向いているケース |
| 自己持分を他の共有者に売る |
・不動産会社に仲介を依頼して調整役になってもらう
・売却価格を相場よりやや下げて歩み寄る |
・共有者に持分を買い取るだけの資金があり、かつ買い取りを望んでいる
・共有者間での関係を維持したい |
| 共有者全員と協力して不動産全体を売る |
・不動産会社に取りまとめを依頼する
・売却益を公平に分ける |
共有者全員が売却に同意している |
| 共有持分を買取業者などの第三者に売る |
事前に売却することを一言報告しておく |
・他の共有者と調整が難しく、スムーズに売却したい
・売却について共有者の同意を得るのが困難 |
共有不動産は他の共有者との関係が絡むため、スムーズに進めることが難しい場合が多いです。これまで多くの共有持分を買い取ってきましたが、初めは不動産全体での売却を望んでいたものの、意見が分かれて感情的な対立が生じたことから、弊社に持分のみの買い取りを依頼されたケースも多いです。
そこで、揉めずに売るためには事前にしっかりとした対策を講じ、適切な方法で進めることが重要です。ここからは、揉めずに売却するコツを、売却方法に合わせて解説していきます。
自己持分を他の共有者に売る
他の共有者の売却は、共有持分の最も円満な処理方法といわれている一方で、こちらにも一定のトラブルのリスクがあります。例えば弊社では、他の共有者と売却金額で揉めた売主様からご相談をいただいたことがあります。
自己持分をなるべく揉めずに他の共有者に売るときには、次の2つの方法を検討することをおすすめします。
- 不動産会社に仲介を依頼して調整役になってもらう
- 売却価格を相場よりやや下げて歩み寄る
上記の通り、共有者間の関係悪化を防ぐためにも、「第三者を介した売却」が基本です。それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
不動産会社に仲介を依頼して調整役になってもらう
他の共有者と直接交渉を行う場合、売却価格や希望条件にズレが生じ、感情的な口論に発展することは少なくありません。こういった感情的な対立を避けるためには、不動産会社に調整役を依頼するのがおすすめです。
互いに言いだしにくい事柄も、仲介役の不動産会社から伝えてもらえるため、直接的な対立に発展しにくくなるのもメリットです。
特に、価格の設定方法などは売主・買主間で意見が対立しやすいですが、専門の不動産業者なら実際の市場データや過去の似たような事例を基にアドバイスできます。そのため、お互い納得のいく価格を見つけやすくなるでしょう。
実際に、こうした感情的な対立により交渉が長引いた結果、最終的に不動産会社に仲介を依頼したことで、スムーズに解決した事例がいくつもあります。
また、仲介業者に売買契約書を作成してもらうことで、後々のトラブルを防止できる点も大きなメリットです。口頭のやり取りだけでは誤解が生じやすく、「言った・言わない」といった問題が発生することもありますが、仲介業者を通じて契約内容を明確に文書化しておけば、後の紛争を未然に防げます。
実際に、売却後に「聞いていない」「分配の取り決めが違う」といった口頭トラブルが発生しかけたものの、契約書に明確な取り決めが記載されていたため、紛争に発展せずに解決できた事例もあります。
不動産会社に依頼することで、調整役としての安心感と、法的リスクを減らす契約サポートの両面でメリットが得られるでしょう。
売却価格を相場よりやや下げて歩み寄る
他の共有者にスムーズに自己持分を買い取ってもらうには、売却価格を相場より少し下げるのがポイントです。実際に、相場価格より安い価格に設定することで、他の共有者が納得して買い取ってくれたケースが数多くみられます。
妥当な売却価格は、査定結果を参考にしつつ、不動産会社と相談して決めるのがよいでしょう。経験上、売主様が独断で提示した売却額よりも、不動産会社の査定や過去データを参考に決めた売却額の方が、買主様に納得していただきやすいと感じています。
市場相場よりも安い点が気になるかもしれませんが、面倒な売却トラブルを回避できる点は、時に金額以上の価値があります。少し安くすることで揉めずに売却できれば、その後も他の共有者との関係性が悪くなる心配もありません。
また、売却に成功すれば、その時点で管理費や修繕費、固定資産税の負担やそれに関する揉め事も関わらなくてよくなるわけです。共有持分を所有することによる余計なストレスを避けられるため、安易に市場価格に固執するのではなく、柔軟に対応することが大切です。
なお、相場より大幅に安い価格で売却すると、税務上「みなし贈与」とみなされるおそれがあります。みなし贈与とは、本来の取引より極端に安い価格で財産を譲渡した場合に、差額分を「贈与」とみなして贈与税の対象とする制度のことです。
そのため、あくまで適正な価格範囲で調整し、不安な場合は税理士や不動産会社に相談しておくと安心です。
共有者全員と協力して不動産全体を売る
共有名義の不動産は、おのおのが自己持分を売却するよりも、不動産全体を売却したほうが収益が大きくなります。そのため、より売却益を大きくしたいなら、共有者全員で不動産全体を売却するのがおすすめです。
しかし、売却そのものについては共有者全員が同意したものの、売却価格や条件で折り合いがつかないというケースは少なくありません。不動産全体を揉めずに売るには、次のような方法が有効です。
- 不動産会社に取りまとめを依頼する
- 売却益を公平に分ける
それぞれの内容を見ていきましょう。
不動産会社に取りまとめを依頼する
自己持分の売却と同じく、中立な立場である不動産会社に取りまとめを依頼すると、すんなり話し合いがまとまることがあります。実際に、売却価格を巡って揉めている共有名義の不動産を不動産業者が仲介すると、すぐさま売却条件が整った事例は多いです。
取りまとめの依頼先は、複数の不動産会社に査定依頼をしたのち、最も好条件だった不動産会社を選ぶことをおすすめします。不動産会社によって、査定額や対応、得意とする物件種別が異なるため、どの業者が最も高く売却してくれるかは一概に言えません。
例えば、ある不動産会社は価格交渉に強い一方で、別の会社は特定のエリアや物件タイプに特化している場合もあります。したがって、複数の会社に査定を依頼することで、最も高値で売却してくれそうな不動産会社を見つけられるため、より良い条件での取引が可能になるでしょう。
また、複数の査定を比較することで、相場感を把握できるため、売主としても納得できる価格を設定しやすくなります。全員が納得する売却額を見つけるためにも、必ず複数社の不動産会社に査定を依頼し、その中で良いと思った業者に取りまとめを依頼しましょう。
売却益を公平に分ける
売却益は、各共有者の持分割合に応じて分配するのがもっとも公平です。共有者同士の不平等感がないため、不満が出にくく、結果としてスムーズな売却完了につながります。
なお、売却益を公平に分けるには、もともとの売却価格について共有者全員が納得していることが前提です。売却価格に納得していない場合は、たとえ持分割合に応じて公平に売却益を分配しても、「自分の取り分が少ない」と感じることがあるためです。
実際に、上記のようなケースで、共有者の1人が他の共有者に売却益を譲ってほしいと申し出たために、親族トラブルに発展した事例があります。
また、共有不動産の管理を長期間してきた共有者が、自分の管理負担を考慮して、他の共有者に対して「管理してきた分、多く支払うべきだ」という主張をし、揉めた事例もあります。
このようなトラブルを防ぐためには、売却前の段階で共有者全員が「売却価格」と「分配方法」に納得していることを確認することが大切です。あらかじめ話し合いの場を設け、金額の根拠や分配の考え方を明確にしておくことで、後の誤解や不満を避けられます。
それでも意見がまとまらない場合は、弁護士などの第三者を交えて調整を行うのが有効です。専門家を間に入れることで、感情的な対立を避けながら、客観的な基準にもとづいて合意形成を図れます。
特に、管理負担の差や売却益の取り分をめぐって意見が食い違う場合には、専門家の助言のもとで公平な精算方法を検討することが重要です。状況によっては、共有者間で「清算金(せいさんきん)」をやり取りし、負担や貢献度を考慮した分配を行うケースもあります。
共有持分を買取業者などの第三者に売る
共有持分をスムーズかつ確実に売却したい場合は、共有持分の取り扱いに特化した専門の買取業者に依頼するのが最も有効です。これは、共有不動産が下記のように多くのリスクを抱えていることから敬遠されやすいため、買い手が見つからないケースが多いという現実が関係しています。
- 相続が発生するたびに共有者が増え続ける
- 共有者間の権利関係が複雑になりやすい
- 他の共有者が反対すれば活用が難しい
- 単独での利用や再販ができない
- 固定資産税や管理費だけは発生し続ける
こうした背景から、売却先が見つからないだけでなく、共有持分の取り扱い経験が少ない不動産会社の場合はそもそも取り扱い自体を断られることも珍しくありません。その点、専門の買取業者は共有不動産の法的手続きや交渉ノウハウを熟知しているため、積極的に買い取りに応じています。
買取業者が提示した査定額に同意すれば契約が成立するため、スムーズな現金化が可能です。また、他の共有者との調整から権利関係の整理まで一括で対応しています。他の共有者との関係が悪化していても、その後の対応はすべて業者に任せられるため、他の共有者にかかわらずとも迅速に共有状態を解消できるのもメリットです。
実際に、「一般の不動産会社では断られたが、専門業者に依頼して短期間で現金化できた」「反対している共有者との共有関係すぐに終わらせられた」をという声も多く寄せられています。
そのため、共有持分の売却を考える際には、弊社のような専門の買取業者にご相談いただくことを強くおすすめします。
売却後のトラブルを避けるには「事前の一言」が効果的
共有持分の売却に他の共有者から同意を得る必要はありませんが、後々のことを考えると、全くの無断で売却するのは得策ではありません。何も知らされずに、自分たちの共有財産を見知らぬ第三者が所有することに、不満を感じる人は少なくないためです。
実際、共有持分を無断で売却したケースでは、買取後に他の共有者から「全く知らなかった」「納得していない」といったクレームが発生することがあります。
理論的には、売却後は買取業者が共有持分の所有者となるため、売主自身が不動産に関して対応する必要はありません。しかし、共有者との関係性によっては、買取業者を介さず売主に直接連絡が行くこともあり、感情的なトラブルに発展する場合があります。
こうした事態を避けるには、事前に共有者に「売却を進める意向があること」を伝えておくことが有効です。この一言が、後々のトラブルを未然に防ぐ鍵となります。
また、売却に反対されそうな場合や、伝え方に不安がある場合は、不動産会社に相談して第三者を交えて話し合う方法もあります。第三者が同席することで、感情的になりやすい場面でも、冷静かつ建設的に調整を進めやすくなります。
買取業者と共有者が揉めるのを避けるためには業者選びが重要
基本的に売却完了後は、その不動産をめぐる揉め事に売主様が責任を持つ必要はありません。他の共有者への説明やその他の話し合いは、買取業者がすべて対応します。
しかし、自分が共有持分を売却したために、他の共有者と買取業者がトラブルを起こすと、心情的に放っておけないという人もいるでしょう。
このような売却後の揉め事を避けるには、次の2つのポイントを押さえた業者選びが大切です。
- 共有持分の買取り実績が豊富かを確認する
- 査定の根拠を明確に示し、高値で買取りする業者を選ぶ
共有持分をスムーズに売却するための業者選びのポイントについて、それぞれ詳しくみていきましょう。
共有持分の買取り実績が豊富かを確認する
基本的に、悪質な業者は悪評が広まり、利用者が遠ざかるため、長期間にわたって実績を積むことはできません。つまり、共有持分の買取実績が豊富な業者であれば、一定の信頼が置けるといえます。
実績を確認する際は、単に「件数」だけでなく、どのような共有持分を買い取っているのかにも注目しましょう。たとえば、相続トラブルを抱えた持分や行方不明者がいる物件、再建築不可の土地など買取事例の種類を見れば、その業者がどの程度専門的な案件に対応できるかが分かります。
また、自分のケースと似た買取事例が掲載されていれば、スムーズに取引が進む可能性も高いので、確認してみることをおすすめします。
さらに、口コミや利用者の声を確認するのも有効です。このとき、自社のHPには都合の良い口コミしか載せないケースもあるため、利用者の生の声を聞くためにも、第三者の口コミサイトを活用するとよいでしょう。
査定の根拠を明確に示し、高値で買取りする業者を選ぶ
自分の共有持分を買い取る際に、その買取額の根拠を明確に示す業者を選ぶことをおすすめします。これには以下2つの理由があります。
- 買取額に納得感を持てるため
- 他の共有者の利益を守るため
根拠が明確であれば、他の業者との比較もしやすく、知らない間に安く買い叩かれてしまった、という失敗を回避しやすくなります。
また、前述したように買取業者は、売主様の共有持分を買い取ったのちに活用・売却をするため、他の共有者の共有持分も買い取る方向に動くのが基本です。
もし、その買取業者が売主様に丁寧な査定と説明を行っていれば、他の共有者から買い取るときにも同様の対応をすると考えられます。
つまり、共有持分の売却後に、買取業者と他の共有者の間で揉め事が起こりづらく、かつ業者に対するクレームが売主様に入るリスクも減らせるわけです。売主様と他の共有者との関係性の維持にもつながるでしょう。
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揉めずに売ることを目的とするなら避けたい方法
共有名義の不動産を揉めずに売却したい場合は、次のような方法は避けましょう。
- 分筆による単独所有化した後に売却する
- 共有物分割請求を経て競売か代償分割を狙う
上記のような方法は、売却そのものはスムーズにできても、後に他の共有者とトラブルに発展するケースが多いです。それぞれの内容をみていきましょう。
分筆による単独所有化した後に売却する
分筆とは、1つの土地を複数に分けて登記することで、いわゆる土地の「分割」にあたります。分筆をすると各共有者は自己持分を単独所有できるため、売却も自分1人の意志で行えるようになります。
ただし、この方法は現実的ではありません。分筆には他の共有者の同意が必要であり、仮に同意したとしても、分筆前の土地の確認・境界確定測量・新たな筆界確認書の作成などが必要です。
煩雑な工程が存在するうえ、これらの作業は土地家屋調査士に依頼しなければならないため、費用もかかります。さらに、土地を分筆すると、土地の形状や位置が変動し、同じ区画でも分筆前後で売却価格に差が出るケースもみられます。
その結果、分筆の提案者が他の共有者から批難された事例もあるのです。特に、分筆後に接道義務を満たせなくなる可能性がある点には注意が必要です。接道義務とは、幅員4m以上の国が認めた道路に、2m以上土地が接していなければならないというルールで、満たせなければ新たに建物を建築したり立て替えたりできなくなります。
接道義務を満たさない土地は、売却が非常に難しくなるため、分筆前には十分に確認しておかなければなりません。共有者間で公平性を保てるのであれば検討の価値はありますが、費用がかかるうえ、トラブルのリスクが高い方法であることに間違いないでしょう。
そのため、土地面積が非常に広いなどの理由がない限り、避けたほうがベターです。
共有物分割請求を経て競売か代償分割を狙う
不動産における共有分割請求とは、他の共有者にその物件の「共有状態の解消」を求める手続きです。共有者同士の話し合いだけで分割できる場合もありますが、決着がつかない場合は、裁判所に調停や訴訟を申し立てることになります。
その場合、裁判所が下記3つの方法から分割方法を決めることになります。
| 代償分割(価格賠償) |
共有者の1人が不動産全体の所有権を取得し、他の共有者に代償金を支払う |
| 現物分割 |
不動産を物理的に分割し、各共有者で単独所有する |
| 換価分割(代金分割) |
不動産を売却し、売却金を共有者全員に分配する |
不動産の場合、建物があると物理的に分割することは難しいため、代償分割か換価分割のどちらかが適用されるのが基本です。他の共有者に資金力があり、かつ買い取りに応じられるのであれば代償分割が選択されます。
しかし、どの共有者も買い取りが難しいのであれば、換価分割が選ばれるのが基本です。換価分割の場合は下記の2つの売却方法から選ばれます。
| 共同売却 |
不動産会社に仲介してもらって売却する |
| 競売 |
裁判所が行うオークション形式の売却方法 |
共同売却は通常の売却と変わらないため、より高い売却益が期待できます。換価分割が選択された時点で和解できれば共同売却が選ばれますが、共有者間での意見がまとまらない場合は競売が選択されます。
競売とはオークション形式の売却方法で、売却価格は市場相場の70%程度と、共同売却よりも安くなるのが基本です。
どの分割方法が選択されるかは裁判所次第であり、一度出た判決には強制力があるため、共有名義の不動産を確実に処理できるのが魅力です。
ただし、必ずしも希望通りの分割方法になるとは限りません。望んでいなくても、換価分割になれば全員が不動産を手放さなければならないリスクもあるのです。
実際に、分割請求が裁判に発展したことで共有者間の関係性が悪化したケースも多く見られます。また、裁判には費用がかかるうえ、判決が出るまでに半年~1年程度要します。もし競売になれば、取り分はさらに少なくなるため、裁判費用の方が高くつく可能性もあるわけです。
他の共有者と揉めやすいうえ、時間も費用も掛かるとなれば、売主にとってあまりメリットのある選択とはいえないでしょう。
まとめ
共有名義の不動産の自己持分を揉めずに売るには、他の共有者を尊重し、事前の報告を入れておくことがなによりも重要です。もし売却に反対されそうな場合は、不動産会社に仲介や調停を依頼することで、感情的な対立を避けつつ、交渉をまとめることができます。
なお、売却後の買取業者と他の共有者のトラブルを防ぐには、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。買取実績の豊富さや利用者の口コミなどを参考に、売主の売却活動を親身にサポートしてくれる不動産会社を選びましょう。
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共有持分のよくある質問
共有持分とは?共有不動産との違いは?
共有持分とは共有不動産における「共有者ごとの所有権割合」を表したものです。持分の権利割合は1/3などの数字で表記します。ちなみに共有不動産は「他人と共有している不動産そのもの」を指します。
共有持分だけの買取相場っていくらぐらいになりますか?
共有持分の買取価格相場は通常不動産の半額程度、もしくはさらに低い価格となる場合がありますが、売却先によっては相場に関わらず比較的に高い価格で買取していることもあります。そのため、買取相場が明確に決まっているわけではありません。
「いろいろな不動産会社に買取を断られてしまった・・・」こんな共有持分・不動産でも売れるの?
不動産の買取自体を断られている物件でも売却できます。共有不動産は権利関係が複雑でコストもかかるので買取を積極的におこなっていない会社もあります。そういった場合も「共有持分の専門買取業者」へ売却すると良い結果が得られることが多いです。