共有持分の更正登記の方法!放置すると税負担増加!必要書類や費用などを知って更正登記をしよう

共有持分 更正登記

土地や建物を購入する際、親子や夫婦で購入資金を出し合い、共同で所有することがよくあることです。

このとき、不動産仲介会社からのアドバイスが不十分だったなど、何らかの事情で、共有持分と自己負担金の割合が異なる内容で登記してしまうと、予想外の負担が生じてしまいます。

その際に必要となる手続きが「更正登記」です。

この記事では、共有持分の更正登記を放置するリスクや、更正登記の手続き方法・注意点・必要書類・費用などを解説します。

目次

更正登記をせずに放置すると「税金の負担額が多くなる」可能性がある

不動産購入時の負担費用に応じた持分割合になっていないと、税金の負担額が多くなることがあります。

たとえば、夫と妻が共同で4,000万円のマンションを購入し、夫が3,500万円(うち3,000万円は住宅ローンを利用)、妻が500万円をそれぞれ出し、登記で夫と妻の持分をそれぞれ1/2としたケースを見てみましょう。

不動産購入での持分割合の決め方は、購入時の負担費用に応じて決めるのが原則なので、今回は、夫の共有持分は7/8、妻の共有持分は1/8が適切な持分割合です。

この場合、本来の持分割合を減らした夫には住宅ローンの控除額に関して、妻には贈与額に関しての負担が発生してしまいます。

では、この2つについて具体的に解説します。

自己負担金に応じた持分割合にしないと住宅ローン控除額が低くなる

実際の不動産購入の自己負担金よりも持分割合を低く設定したまま、更正登記をしないと住宅ローンの控除が低くなります。

通常、住宅ローンの控除額は「住宅ローン年末残高×控除率1%」で決まるため、夫の住宅ローンの最大控除額は「3,000万円×1%=30万円」になりそうです。

しかし、住宅ローン控除の対象となる額の上限は持分に相当する額です。

今回は、夫が500万円を自己資金で出しているため、さらにその額から500万円を引く必要があります。

つまり、持分を1/2にすると、不動産の金額4000万円で自己負担金が500万円なので「4,000万円×1/2-500万円=1,500万円」が控除対象額となり、その1%の15万円が控除額です。

負担費用に応じて持分を適切に設定していれば、夫は最大30万円の控除を受けられたはずでした。

 

持分を贈与されたとみなされて贈与税の対象になる

持分を実際より多く取得してしまうと、持分を贈与されたとみなされて贈与税が課されてしまいます。

今回の例では、本来の妻の持分は1/8ですが、1/2で登記してしまっているため、この持分の差である3/8分の差額が、夫から妻への贈与とみなされて贈与税が課されてしまう可能性があります。

登記内容が事実と異なる場合は所有権更正登記で登記を訂正する

登記した内容が事実と異なる場合、所有権更正登記を行って間違いを訂正する必要があります。

誤った登記を放置していると、さきほど解説したように住宅ローンの控除額が低くなってしまったり、贈与税が発生してしまったりします。

税務署から共有持分の割合について指摘を受けないためにも、正しい登記に訂正する所有権更正登記が必要です。

所有権更正登記の具体的な方法や、なにに注意すべきかなど詳しく解説していきます。

所有権更正登記とは最初から誤っていた登記の一部を事実に合致させる登記

所有権更正登記とは、所有権の登記内容の一部が最初から事実と異なっていた場合、事実に合わせるために行う登記(更正登記)です。

あくまで、登記内容の一部ですので、最初から全部誤っていると更正登記はできません。

また、所有権更正登記が認められるのは、更正の前後を通じて同一の登記名義人が含まれている必要があります。

所有権更正登記ができるのは、以下のような場合です。

所有権更正登記ができる例
更正前の所有者 更正後の所有者
1.単独所有から共同所有への更正 Aのみ A 2分の1
B 2分の1
2.共同所有から単独所有への更正 A 2分の1
B 2分の1
Aのみ
3.登記名義人・共有持分割合の更正 A 2分の1
B 2分の1
A 3分の1
C 3分の1
D 3分の1
4.共有持分割合の更正 A 2分の1
B 2分の1
A 8分の1
B 8分の7

いずれのパターンにおいても、更正前後で同じ登記名義人が含まれているため、所有権更正登記が可能になります。

所有権更正登記では所有者以外の協力や承諾が必要なことがある

所有権更正登記をする際に、所有者だけでは更正登記をおこなえない場合があります。

それは、更正登記をする不動産で契約に誤りがあったため更正登記をすると考えられたり、所有者のほかに利害関係者がいるということもありえるからです。

具体的にどのような場合に協力や承諾が必要か解説します。

新たに所有者が加わる場合は「以前の所有者の協力」が必要になる

更正前に登記されている所有者以外の人を所有者として更正登記する場合、前所有者にも協力してもらい、共同で登記申請をする必要があります。

たとえば、上記の表「1.単独所有から共同所有への更正」のように、Aの所有からABの所有に更正する場合、Aの前の所有者にも協力をしてもらうことになります。

「3.登記名義人・共有持分割合の更正」も同様に、新たにCDが所有者として加わるため、ABの前所有者の協力が必要です。
   
2のような共有所有から単独所有への更正や、4のような持分割合のみ更正する場合であれば、前所有者の協力は必要なく、AとBのみで所有権更正登記をおこなうことができます。

抵当権がある場合の所有者変更をともなう更正登記は「不動産の抵当権者の承諾」が必要

抵当権が設定されている不動産について、所有権更正登記をおこなう場合、前出した表の「1.AからAB」「2.ABからA」「3.ABからACD」のように更正前後で所有者が変わると、抵当権のおよぶ範囲が変わってしまうことがあります。

抵当権の範囲が変われば抵当権者に利害が発生するため、抵当権者である金融機関などの承諾書が必要になります。

4のように更正前と後で所有者は変わらず、共有持分割合のみを更正する場合、共有不動産全体に抵当権が設定されていれば、抵当権者に利害が及ばないため、抵当権者の承諾を得る必要はありません。

所有権更正登記ができない場合の2つの解決方法

所有権更正登記ができない場合には、以下のことが考えられます。

  1. 登記内容の一部ではなく、全部に誤りがある
  2. 不動産の前所有者の協力が得られない
  3. 不動産の抵当権者の承諾が得られない

1の場合では、所有権抹消登記をしてから、改めて所有権移転登記をすることで、2・3の場合では、「真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記」(真名回復登記)をすることで解決します。

登記内容が全て誤っている場合は所有権抹消登記後に所有権移転登記をする

  
所有権更正登記が認められるのは、登記内容が一部のみ誤っていて、更正前後を通じて同一の登記名義人が含まれている場合です。

そのため「更正前はAが登記名義人だったが、更正後はBとCが持分2分の1ずつの登記名義人になる」といったパターンのように、登記内容の全部が誤っていて、更正前後で登記名義人が異なる場合は所有権更正登記ができません。

このような場合は所有権抹消登記を行い、改めて所有権移転登記を行います。

所有権抹消登記とは、登記が全て誤っていてもおこなえる登記で、所有権が現在の所有者から以前の所有者へ戻ります。

更正登記の利害関係者に承諾が得られない場合は真名回復登記をする

ここまでで説明したように、所有権更正登記をおこなう際に新たに所有者が加わったり、対象不動産に抵当権が設定されている場合は前所有者の協力や、抵当権者の承諾を得なければならないことがあります。

しかし、こうした協力や承諾が得られないケースもあります。

そのようなときは所有権更正登記ではなく、「真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記」(真名回復登記)をおこない、事実と登記内容を一致させます。

真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記をおこなうと、事実と一致しない登記はそのままにして、不動産の所有権を移転することになります。

この場合、抵当権はそのままにしておくことができ、抵当権者に内容の変更がおよばないため前所有者の協力は必要ありません。

ただし、真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記をおこなうには、登記原因証明情報で合理的な理由を記載しなければなりません。

「前所有者の協力が得られない」「担保権者の承諾が得られない」という理由だけでは不十分で、詳細な理由を記載する必要があります。

共有持分の更正登記の手続き【参考事例あり】

この記事冒頭で挙げた、4,000万円の不動産を購入した夫婦の例で登記申請書の書式例・必要書類・費用を解説していきます。

夫と妻が共同で4,000万円の土地付き一戸建の住宅購入で、夫が3,500万円(うち3,000万円は住宅ローンを利用)、妻が500万円をそれぞれ出した事例です。

本来なら出した資金に合わせて夫7/8、妻1/8の持分になります。これを誤って1/2ずつの持分で登記してしまいました。

この場合の共有持分の所有権更正登記を申請し、正しい持分に修正します。

登記申請書の書式例

共有持分の所有権更正登記を行う際に提出する登記申請書の書式は、以下のとおりです。

登記申請書

登記の目的   〇番所有権更正(※1)

原因       錯誤

更正後の事項  △△〇〇(夫の氏名)持分 8分の7
           △△××(妻の氏名)持分 8分の1

権利者      〇〇県××市△△x丁目x番x号 △△〇〇(夫の氏名)

義務者      〇〇県××市△△x丁目x番x号 △△××(妻の氏名)

添付情報    登記原因証明情報 登記識別情報 代理権限証明情報(※2) 
印鑑証明書

令和〇年〇月〇日申請 △△法務局

代理人(※2)      〇〇県〇〇市〇〇X-XX-X
           〇〇△△(代理人の氏名) (印)
           連絡先電話番号XX-XXXX-XXXX

登録免許税   金2,000円

不動産の表示 (※3)
不動産番号  XXXXXXXXXXXXX
所在      〇〇県××市△△x丁目
地番      xx番地
地目      宅地
地積      XXX.XX平方メートル

不動産番号 XXXXXXXXXXXXX
所在     〇〇県××市△△X丁目
家屋番号  XX番
種類     居宅
構造     木造かわらぶき2階建
床面積   1階 XX.XX平方メートル
        2階 XX.XX平方メートル

※1:登記事項証明書(登記簿謄本)の甲区(権利部:所有権に関する事項)何番の所有権を更正するのか記入します。
※2:権利者・義務者以外の人が代理で申請する場合は、代理人の住所・氏名を記載し、代理権限証明情報(委任状)を添付します。
※3:登記事項証明書(登記簿謄本)の記載どおりに、所有権更正登記を行う不動産の情報を記入します。不動産番号を記入すると、土地の所在以下の情報を省略できます。

書面には、登記申請情報として以下の情報を記載します。

  • 登記の目的
  • 原因
  • 更正後の事項
  • 登記権利者
  • 登記義務者
  • 不動産の表示

登記の目的は、所有権移転か所有権更正になります。共有持分割合の修正は、所有権更正です。

原因は、売買や錯誤が考えられます。今回のように間違えて登記してしまったものを修正する場合は、錯誤と記載します。

更正後の事項は、更正登記の結果どうなるかのことで、今回は夫の持分が7/8、妻の持分が1/8になることが更正後の事項です。

登記権利者は持分が増える共有者(今回は夫)、当期義務者は持分が減る共有者(今回は妻)を指します。

不動産の表示は、更正登記の対象となる不動産の概要のことで、登記事項証明書を参考にするとよいです。

更正登記に必要な書類

共有持分の更正登記において共通して必要な書類には、登記申請をするための登記申請書と、なぜ更正登記をするのか理由を記した登記証明情報の2つが必要です。

登記申請書

登記の申請をするために必要な書類で、この申請書のほかに必要添付書類を提出することで、更正登記をすることができます。

また、司法書士に依頼することも、自分で作成することも可能です。

登記原因証明情報

登記申請をする際には、登記原因証明情報を添付する必要があります。

「土地付き一戸建て住宅を購入し、本来なら出した資金に合わせて夫8分の7、妻8分の1の持分にするところを、誤って2分の1ずつの持分で登記してしまった」ことが、所有権更正登記の原因なので、そのことを証明する書面を作成します。

登記義務者・登記権利者ごとで必要なもの

更正登記後に持分割合が増減する人によって、必要なものが異なります。

登記義務者・登記権利者ごとで必要なもの
登記義務者(持分増加者:夫) 登記権利者(持分減少者:妻)
印鑑 認印 実印
印鑑証明書 ×
登記識別情報または登記済証 ×
本人確認資料

登記義務者と登記権利者で違いがあるのは、印鑑・登記識別情報または登記済証です。

印鑑

登記義務者は印鑑として、認印が必要です。実印である必要はありません。

登記権利者は印鑑として、実印が必要です。実印にすることで、不正登記を防止します。

印鑑証明書

登記権利者は、発行日から3か月以内の印鑑証明書が必要です。

実印と印鑑証明書がそろうことで本人であることを確実に証明できます。

所有権を取得した際の登記識別情報または登記済証

登記権利者は、所有権を取得した際の登記識別情報または登記済証が必要です。

登記識別情報または登記済証の所持者であれば、登記名義人であることを公的に証明することができます。

平成17年の不動産登記法の改正で、登記済証から登記識別情報が発行されるようになったため、どちらかがあれば問題ありません。

本人確認資料

登記義務者・登記権利者とも、本人確認資料が必要です。

本人確認資料は、運転免許証・パスポート・マイナンバーカード・国民年金手帳などのことで「住所・氏名・生年月日」の記載があるものです。

状況に応じて必要な書類

また、代理人に登記申請を依頼したり、抵当権者の承諾を受けた場合はそれを示す書類が必要になります。

委任状なしに代理人が申請したり、口頭のみで承諾を得てもこれらの書類がないと登記申請できません。

委任状

代理で登記申請をしてもらう場合に必要です。申請書には代理人が押印することになります。

代理人として申請するのは、司法書士や弁護士が一般的です。

承諾書

不動産に抵当権が設定されている場合、金融機関などの抵当権者は所有権更正登記の利害関係者となることがあります。その場合に、利害関係者の承諾書が必要です

利害関係者から承諾書が得られない場合、更正登記は無効となります。

共有持分の更正登記にかかる費用

共有持分の更正登記にかかる費用は、司法書士への報酬と登録免許税です。

更正登記を司法書士に依頼せずに、自分でおこなうこともできますが、不備があると作成した書類の確実性を証明できなくなります。

そのため、必要な書類の取り寄せや申請書、登記原因証明情報などの作成を考慮すると、司法書士に依頼するしたほうが間違いがなく確実です。

司法書士への報酬

司法書士に登記申請書の手続きを依頼すると、司法書士に報酬を支払う必要があります。

事案によって金額は異なりますが、30,000円が目安です。

登録免許税

所有権更正登記の申請には、登録免許税がかかります。

不動産1件につき、1,000円の登録免許税がかかり、上記の例では土地と建物が対象になるので登録免許税は2,000円です。

登録免許税は、現金か収入印紙のいずれかで納めます。

更正登記を専門家に依頼して予想外の負担を受けないようにしよう

何らかの事情で、不動産の共有持分を本来あるべき割合とは違った割合で登記してしまった場合は、住宅ローンの控除額が減ってしまったり、贈与税が課されてしまうことがあります。

そうならないためにも、弁護士や司法書士などの専門家に依頼して確実に登記申請をおこないましょう。

なお、将来的に共有持分の売却をお考えなら、共有持分の取引実績が豊富な不動産会社にご相談されることをおすすめします。

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最終更新日:
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