孤独死があった物件の売却を検討している場合、「人が亡くなった物件でも売却できるのか」などと考えている人もいることでしょう。
結論、法律で制限されているわけではないため、孤独死物件の売却は不可能ではありません。
とはいえ、人の死があった孤独死物件は心理的に購入を敬遠されやすく、通常の物件よりも買い手がつきづらいのが一般的です。とくに、いわゆる「事故物件」に該当する場合にはさらに買い手はつきづらく、仲介で孤独死物件を売却するのは困難と考えられます。
仲介で売却できない場合には、事故物件専門の買取業者に孤独死物件を売却する方法もあります。そのため、孤独死物件を売却する場合には、まず所有物件が事故物件に該当するのかを確認したうえで、それに合わせて仲介または買取を選ぶことが大切です。
当記事では、孤独死物件が事故物件になる基準から、所有している孤独死物件に合わせた売却方法を解説していきます。孤独死物件の売却相場についても紹介していくため、孤独死物件の売却を検討している場合には参考にしてみてください。
>>【最短24時間スピード査定!】事故物件専門の無料査定はこちら!
孤独死があっても必ず事故物件になるわけではない!物件が事故物件になるかを確認しておこう
いわゆる事故物件は、人が亡くなった事例から心理的な抵抗を感じられやすいため買い手がつきづらくなります。そのため、法律などで制限されるわけではありませんが、事故物件は通常の物件よりも売却が難しいのが実状です。
孤独死物件も人の死があった物件であるため、「事故物件とみなされて売却が難しいのか」と考えるかもしれません。しかし、必ず「孤独死物件=事故物件」となるわけではないため、孤独死があった物件も問題なく売却できる可能性はあります。
そもそも事故物件とは、一般的に心理的瑕疵がある物件のことを指します。心理的瑕疵とは、不動産の売買や賃借をする人が心理的な抵抗感を持つような欠陥のことです。
「過去にどのようなことがあった物件でも構わない」という人もいるように、心理的な抵抗感を持つ基準は人によって異なります。
そのため、「〇〇があると絶対に心理的な抵抗感を与えてしまう」のような明確な基準はありませんが、事故物件に該当しうる基準は国土交通省のガイドラインで定められています。
具体例 | |
---|---|
事故物件になり得る物件 |
・他殺があった物件 ・自殺があった物件 ・火事などの事故死があった物件 ・遺体が人知れず放置されてしまい、特殊清掃や大規模なリフォームを行った物件 |
事故物件にならないと考えられる物件 |
・老衰 ・病死 ・階段からの転落 ・入浴中の溺死や転倒事故 ・食事中の誤嚥(ごえん) |
参照元:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
孤独死物件において、事故物件に該当するか否かは「遺体が発見されるまでの期間」「死因」が基準になります。たとえば、死因が自然死であり、遺体の発見が早かった孤独死物件であれば、事故物件に該当せずに通常の物件として売却できる可能性があります。
反対に、遺体の発見が遅れた場合や死因が自殺などの孤独死物件は事故物件とみなされてしまい、売却が難しくなるのが一般的です。
ここからは、孤独死物件であっても事故物件に該当しない例と事故物件に該当する例をそれぞれ解説していきます。
遺体の発見が早ければ事故物件に該当しない場合がある
孤独死といっても、家族や友人との交流があると、遺体が早く発見されるケースも少なくありません。以下のようなケースであれば、損傷がひどくない状態で遺体が発見されると予測されます。
- 近所に家族が住んでおり、定期的に入居者の家を訪ねている
- 友人が多くおり、定期的に入居者の家を訪れている
- 新聞を購読しており、月1回程度は配達員と会話している
事故物件を簡単に説明すれば、「借りたり買ったりする際に、心理的に抵抗を受けるような事例があった物件」といえます。そのため、人の死があっても心理的な抵抗がなければ、その物件は事故物件に該当しないとも言い換えられます。
遺体の発見が早く遺体が腐敗する前であれば、血液や体液が染み出して建物にダメージを与えることはなく、腐敗臭も発生しません。こうした遺体の発見が早い孤独死物件は、重大な心理的瑕疵に該当せず事故物件にならないケースが多いです。
なお、「死亡から⚪︎日以内であれば事故物件にならない」という基準はありません。事故物件になる重要な基準は発見までの日数ではなく、遺体の損傷による物件へのダメージや事件性の有無だからです。
つまり、事件性がなく、物件への損傷がない孤独死物件であれば、事故物件とはみなされず通常の物件として売却できると考えられます。
遺体の発見が遅れて特殊清掃が必要な場合は事故物件に該当する
国土交通省が定めるガイドラインからもわかるように、人の死によって特殊清掃や大規模なリフォームを行った物件は心理的瑕疵物件に該当し、事故物件とみなされるのが一般的です。
そのため、遺体の発見が遅れてしまい、血液や体液が染み出していたり腐敗臭が発生していたりすると事故物件とみなされる可能性が高いです。
事故物件とみなされれば心理的な抵抗が生まれやすく、基本的に買い手がつきづらくなります。この場合、仲介では売却が難しくなり、他の方法で売ることを視野に入れるべきといえます。
死因が他殺などの場合は事故物件に該当する
事故物件に該当するかどうかは、事件性の有無によっても変わります。他殺や自殺など、事件性がある孤独死物件の場合は事故物件となり、売却が難しくなるのが一般的です。
逆に、死因が病死や老衰などの事件性がない場合、心理的瑕疵がないとみなされるのが一般的であるため、事故物件とはみなされないと考えられます。
孤独死物件の売却方法は事故物件に該当するかで変わる
孤独死物件だからといって、必ず買い手がつきづらいとは限りません。重要なのは「心理的瑕疵がある事故物件であるかどうか」であるため、所有する孤独死物件が事故物件に該当しているかを基準に売却方法を決めるのが得策です。
そして、不動産の売却方法には「仲介」「買取」があります。需要がある物件であれば仲介、買い手がつきづらい物件であれば買取を選択するのが無難です。
つまり、所有する孤独死物件が買い手のつきづらい事故物件であれば買取、事故物件に該当しないのであれば仲介で売却することを検討するのがよいでしょう。
ここからは、孤独死物件の売却方法である「仲介」「買取」について解説していきます。
事故物件に該当する孤独死物件は専門の買取業者
孤独死物件が事故物件に該当する場合、心理的な抵抗を感じられやすいため、専門の買取業者に売却するのが得策です。具体的には、下記のような孤独死物件が該当します。
- 遺体の発見が遅れて特殊清掃が必要な物件
- 死因が他殺や自殺の物件
専門の買取業者であれば、買い取った事故物件を活用するノウハウがあります。そのため、他の業者では買取が難しいような孤独死物件であっても売却を期待できるメリットがあります。
また、事故物件を専門とする買取業者に依頼する場合、下記のようなメリットもあります。
- お祓いや特殊清掃をせずに買い取ってもらえる
- 契約不適合責任が免責になるのが一般的
このようなメリットがあることからも、事故物件に該当する孤独死物件の売却を検討している場合、専門の買取業者に依頼することを検討してみてください。
>>【最短24時間スピード査定!】事故物件専門の無料査定はこちら!
お祓いや特殊清掃をせずに買い取ってもらえる
孤独死物件の売却を検討している場合、「お祓いや特殊清掃は事前にしておくべきか」と考える人もいるでしょう。
仲介で売却する場合は原状回復させたうえでなければ買い手がつきづらいため、売り手負担でお祓いや特殊清掃を行っておくのが一般的です。
一方、事故物件専門の買取業者は、基本的に買い取った物件を自社でお祓いや特殊清掃を行います。孤独死物件をそのままの状態で売却できるのが一般的であるため、お祓いや特殊清掃にかかるはずの費用を抑えられるのもメリットの1つです。
契約不適合責任が免責になるのが一般的
孤独死物件にかかわらず、不動産の売り手は契約不適合責任に問われる可能性があるのが一般的です。契約不適合責任とは、売買した物件が契約内容に適さない場合、売り手が負担しなければならない責任のことです。
契約不適合責任に問われる可能性があるケースには、下記が挙げられます。
- 事故物件であることを隠して売却した
- 建物の建て替えや改築などを行えない「再建築不可物件」であることを隠して売却した
- 土地の所有者が複数人いることを隠して契約した
たとえば、過去に人が亡くなった事例があるにもかかわらず、それを買い手に伝えずに売買契約をしたとします。契約後にその事例が発覚した場合、損害賠償や契約の解除が求められるリスクがあるのです。
しかし、事故物件専門の買取業者であれば、「契約不適合責任を一切負わない」という条件で売却できるのが一般的です。そのため、売却後に契約不適合責任に問われるリスクは仲介よりも低いといえます。
>>【最短24時間スピード査定!】事故物件専門の無料査定はこちら!
事故物件に該当しない孤独死物件は仲介
「特殊清掃の必要がない」「死因に事件性がない」といった孤独死物件は事故物件とならない可能性があるため、通常の物件と同様に売却活動が可能です。買取よりも仲介のほうが売却金額は高くなる傾向があるため、事故物件ではない孤独死物件であれば仲介で売却することを検討してみてください。
とくに、下記のような需要高い物件であれば、孤独死があったとしても仲介での売却に期待できます。
- 駅から徒歩5分圏内
- 人気のエリアにある
- 主要都市まで車で10分圏内
- 治安がよく、周囲に商業施設や学校、病院などがある
ただし、条件がよい物件であっても買い手が現れない限りは物件を売却できません。孤独死物件が事故物件に該当しなくても、その物件の条件次第では買い手が現れずになかなか売却できない可能性もあります。
孤独死物件を仲介で売却する場合、まず不動産会社に仲介で売却できそうかどうかを相談しておくのが得策です。
孤独死物件を仲介で売却する場合は遺品整理を事前に行っておく
仲介で物件を売却する場合、物件を可能な限り原状回復させておくのが無難です。孤独死物件の場合、故人が残した遺品が残っているケースが多いため、事前に遺品整理を行ったうえで仲介を依頼するのがよいでしょう。
遺品整理や不用品処分は基本的に遺族が行いますが、一人暮らしで身寄りがなく相続人がいない場合には、物件所有者が行うしかありません。部屋に残置された不用品が多いと、処分費用が多額となるのが注意点です。
孤独死物件を売却するなら基本的には告知義務があると考えておくべき
孤独死物件は人の死が影響することから、買い手に心理的な抵抗を与えやすい物件です。そのため、「孤独死があったことを隠して売却はできないか?」と考えるかもしれません。
しかし、孤独死物件を売却するのであれば、基本的に人の死があったことを隠さずに売却するべきです。国土交通省のガイドラインにも記載されているように、心理的瑕疵物件を売却する際には、物件購入において重要な事例を買い手に対して伝える必要があるためです。
これを「告知義務」といい、心理的瑕疵物件を売却する場合、方法にかかわらず売り手はこの義務を負わなければなりません。
告知義務について、賃貸契約であれば概ね3年の時効がありますが、売却契約の場合の時効は定められていません。そのため、人の死から数年経過していた孤独死物件であっても、売却をする場合にはその事実を買い手に伝える必要があります。
仮に告知せずに契約を結んだ場合、告知義務違反に問われ、引き渡し後に契約不適合を追及されるリスクが発生します。
なお、自然死や病死の場合など、告知義務が生じないケースもあります。とはいえ、人の死がかかわっている物件なのは変わらないうえ、知識がない状態で告知義務が不要かどうかを判断するのは難しいです。
孤独死物件を売却する場合、売却先となる不動産会社や買取業者にその事実をまずは伝えておくのが無難でしょう。
孤独死物件の売却相場は通常の物件よりも安くなるのが一般的
孤独死があった物件は、一般的に買い手には敬遠されます。よほどの好立地であり、希少性の高い物件であれば例外となりますが、買い手からすればわざわざ事故があった物件を、相場並みの価格で購入しようとは思わないのが一般的です。
そのため、孤独死物件は通常の物件よりも売却相場が安くなると考えられます。
物件の売却価格は立地などの条件によって変わるため一概に言えませんが、あくまで目安として孤独死物件は通常の10%〜30%程度安くなるのが相場といわれています。
そのため、孤独死物件を売却する際には周辺物件より価格を安く設定し、お得感を演出することで買い手を探していくというのが、一般的な手法となります。
なお、事故物件は物件にある心理的瑕疵によって買い手がつきづらくなり、さらに売却相場が低くなるのが一般的です。そのため、孤独死物件が事故物件に該当するか否かによっても、売却価格は変動すると予想されます。
売却相場 | |
---|---|
遺体の発見が早く事故物件に該当しない物件 | 通常物件より10%程度下落する |
事故物件に該当する孤独死物件 | 通常物件より20%〜30%程度下落する |
孤独死物件を売却する場合、所有物件が事故物件に該当するかどうかを基準に売却価格を設定しておくとよいでしょう。
>>【最短24時間スピード査定!】事故物件専門の無料査定はこちら!
まとめ
所有する物件内で孤独死が起きてしまうと、資産性は下落します。
仲介業者のほうは下落幅を押さえられる可能性はありますが、買主が見つからず売却期間が長期化するかもしれません。
買取業者なら最短2日でスムーズに売却できますが、価格はより下がりやすくなります。
買取業者に依頼するときは、訳あり物件専門の買取業者に相談してなるべく高値で買い取ってもらいましょう。
個々の希望や状況に合わせて、最適な売却方法を選ぶことが大切です。
>>【最短24時間スピード査定!】事故物件専門の無料査定はこちら!