道路に面していない土地には3つの種類がある
道路に面していない土地は「無道路地」とも呼ばれており、以下3つの種類に分けられます。
- 道路ではない道に面している
- 道路に面していはいるが間口が足りない
- 他の土地に囲まれている
ここでいう道路とは、建築基準法に定義された道路をいいます。そのため、一見すると道路に接している土地であっても、建築基準法の規定を満たしていない場合があるので注意しましょう。
建築基準法の規定を満たしていない土地は、建物の建築・建て替えができません。いわゆる「再建築不可物件」と呼ばれる物件であり、売却が困難になります。
1.道路ではない道に面している
建築基準法上の道路は、原則として幅員4m以上と定められています。
そのため、土地と接している道路が幅員4m未満であれば、法的には「道路に面していない」とみなされます。また、地域によっては、行政の指定により幅員6mが基準となっている区域もあります。
参照:e-Govポータル「建築基準法第42条」
2.道路に面していはいるが間口が足りない
道路には面していても、土地と道路の接地面が足りないケースも「道路に面していない」とみなされます。
接道義務を満たすには「建築基準法上の道路に2m以上接している」必要があります。
そのため、上図のような縦長の土地など、道路と土地の間口が2m未満だった場合、道路に面していない土地となります。
3.他の土地に囲まれている
土地の周りが他人の土地に囲まれている場合も、当然ながら道路と接していない状態です。
上図のような土地は「袋地」とも呼ばれます。
また、下図のように崖や河川に接していて、道路に出られない土地は準袋地と呼ばれます。
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土地が道路に面しているか確認する方法
所有している土地が道路に面しているか確認する方法は、主に以下の3通りあります。
- 管轄の自治体の役所で調べてもらう
- 管轄の自治体の公式ホームページで指定道路図を調べる
- 再建築不可物件に強い不動産会社に調べてもらう
自治体の役所で調べてもらうには、以下の書類を持参する必要があります。
登記簿謄本(登記事項証明書) |
不動産の所在や面積、所有者、権利関係などが記載されている書類 |
公図 |
土地の形状や区画、地番、道路などが記されている図面 |
地積測量図 |
土地についての測量結果(面積や境界)を明らかにした図面 |
建物図面 |
建物の形状や敷地の位置関係などが記されている図面 |
上記の書類が手元になければ、法務局の窓口や公式ホームページから請求できます。
道路に面していない土地の売却が難しい理由
道路に面していない土地の売却が難しい理由として、以下の5つが挙げられます。
- 新築や建て替えが原則できない
- 緊急車両が進入できない
- リフォーム等も機器搬入しにくく難易度が高い
- 買主がローンを組めない
- 隣地や私道の所有者とトラブルになる可能性がある
ここからは、それぞれの理由について詳しく説明します。
新築や建て替えが原則できない
接道義務を満たしていない場合、建築物の建造や建て替えができません。建築確認申請をしても、接道義務を満たしていなければ、その申請が通らないからです。
すでに建物が建っている土地であっても、接道義務を満たしていなければ「既存不適格建築物」となり、建て替えは不可となります。地震や豪雨などの自然災害で建物が全壊したとしても、再建築できません。
ただし、建築確認申請が不要な小規模なリフォームであれば可能です。どの程度までリフォーム可能かは、リフォーム会社や工務店に相談してみてください。
参照:国土交通省ホームページ(既存不適格建築物の増築等について)
緊急車両が進入できない
道路に面していない土地は、消防車や救急車などの緊急車両が進入できるスペースを確保できません。急病人が出たときや火災が発生したときなどに緊急車両が接近できないため、救助活動や消火活動がスムーズに行えない場合があります。
救助活動や消火活動は1分1秒を争う時間との勝負なので、少しでも時間が遅れると助かる命も助からなかったり、消火が遅れて周囲の建物にも燃え広がってしまったりする恐れもあります。
こういった点も、道路に面していない土地が買い手に避けられやすく、売却が難しい理由の1つとなっています。
リフォーム等も機器搬入しにくく難易度が高い
リフォームや解体を行うとしても、工事車両が入れないため工事の難易度が上がります。
建築に必要な機材や資材を運び入れることが難しく、工事車両が近づいて作業できない場合が多々あります。
工事の難易度が上がると、かかる費用も高くなってしまうので、活用や維持のコストが負担になる可能性が高いです。
買主がローンを組めない
土地を買う場合、ほとんどの人はローンの利用を検討します。このとき、購入する土地を担保に入れて融資を受けることが一般的です。
しかし、道路に面していない土地は前述の通りさまざまなリスクが高いことから、担保価値「ゼロ円」とみなされることがほとんどです。
その結果、通常の土地購入と同じようなローンは組めません。現金で購入するか、金利が高いノンバンクローンを利用する必要があります。
隣地や私道の所有者とトラブルになる可能性がある
道路に面していない土地の場合、公道に出るためには隣地や他人が所有している私道を通らなければなりません。
他人の土地を通行するには原則として所有者の承諾が必要になるため、通行を巡って所有者とトラブルになる可能性があります。
道路に面していない土地の所有者は、民法で他人の土地を通行する権利が認められているものの、必要最低限の範囲での通行しか保障されていないため、自動車での通行は認められない場合もあります。
また、高額な通行料を請求されたり、法律を無視して通行を妨害されたりとさまざまなリスクがあるため、道路に面していない土地は買い手から避けられやすいです。
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道路に面していない土地の価格相場は「通常物件の3割安」が目安
道路に面していない土地には、新しく建物を建てることも、既存の建物を建て替えることもできません。そのため、通常の土地に比べて利用価値が低く、売却時の価格も下がります。
通常の土地における価格相場に比べて、3割程度安くなるのが一般的です。
ただし、実際に土地を売却する際は「道路に面していない」という条件だけでなく、さまざまな条件の総合評価で決まります。以下では、具体的な土地の査定基準を解説します。
土地の査定は国が示す評価額が基準
土地の価格は、国が公表する以下4つの目安額が基準になるケースが多いです。
土地価格の目安額 |
概要 |
実勢価格 |
過去の取引で実際に売却された際の価格 |
公示価格 |
国土交通省が毎年公表する土地の取引をする際の目安額 |
固定資産税評価額 |
固定資産税の算出をする際に市区町村によって評価された価格 |
路線価 |
国税庁によって評価された価格で、相続税や贈与税を算出するのに使用する |
実際は上記の基準額に加え、周辺環境や住宅ローンの有無など売却したい土地の状況別に価格は変動します。
不動産情報ライブラリでおおよその取引価格を計算できる
不動産情報ライブラリを使えば、実勢価格や、公示価格を調べられます。使い方は以下の通りです。
- 実勢価格を知りたい場合は「不動産価格の情報をご覧になりたい方へ」を選び、公示価格を知りたい場合は「地価の情報をご覧になりたい方へ」を選択
- 住所・確認したい情報・該当する土地の区分・算出時期を選択
- 一覧表示をクリニック
この不動産情報ライブラリを使ってわかる情報は、以下の通りです。
- 取引総額・坪単価・㎡単価
- 面積・形状・道路との間口
- 前面道路の幅員・種類・方位
- 最寄り駅までの距離
- 都市計画
- 建ぺい率・容積率
- 取引の事情等
- 今後の利用目的
同じエリアで、所有している土地と近い条件の土地を見つけられれば、価格の目安をつけられます。
参照:不動産情報ライブラリ (mlit.go.jp)
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道路に面していない土地の価格を左右する基準
土地の価格は、上記で紹介した記事純額のほかに各種条件を加味して求めるのが一般的です。道路に面していない土地の価格を左右する基準としては、主に以下のようなものがあります。
- 駅までの距離など交通の利便性
- 買い物のしやすさ
- 周辺に学校や公園があるか
- 日当たりや風通しの良さ
- 周辺に反社会的勢力の事務所などはないか
- 騒音や振動はあるか、あるとすればどの程度か
- 土壌汚染の有無
- 土地の状態(広さや形状、傾斜など)
- 不動産の所有形態(単独所有・複数人での所有)
- 地域の人口
- 住宅ローン残債の有無
これらのポイントを考慮した上で需要や人気が高いと判断されれば、道路に面していない土地でもそこまで値下げせずに売却できる可能性があります。
道路に面していない土地を相場より高く売る3つの方法
前述の通り、道路に面していない土地は「再建築不可」という状態のため、売却が困難です。売却できても相場は非常に低くなります。
とはいえ「絶対に高く売却できない」わけではありません。次の3つのポイントを押さえることで、高く売却できる可能性があります。
- 1.再建築可能になるよう対策して売却する
- 2.再建築不可のまま売却する
- 3.専門の不動産買取業者に売却する
1.再建築可能になるよう対策して売却する
道路に面していない土地の売却価格が低い理由は、接道義務を満たしていないために、新しく建物を建てられないからです。
つまり、再建築可能な状態にしてから売却活動を始めれば、一般的な土地と同じ価格で売却できます。主な方法は、次の5つです。
- 隣地から土地を買い取る
- 建築工事のときのみ隣地を借りて接道義務を満たす
- セットバックをおこなう
- 但し書き道路を認定してもらう方法
- 位置指定道路に認定してもらう方法
隣地から土地を買い取る方法
隣地から土地を買い取り、接道義務を満たせば、再建築が可能となります。このとき、隣地を丸ごと買い取る必要はありません。目的はあくまで「接道義務を満たすこと」です。
そのため、隣地の一部を分筆してもらい、部分的に買い取ることで接道義務を満たせる場合があります。例えば、下図のような場合です。
隣地Aの上に建っている住居が離れているので、黄色になっている部分を売却しても、隣地Aの所有者にとって大きな問題はありません。
隣地の所有者と友好な関係を築けていれば、買取交渉もしやすいでしょう。
しかし、当事者同士の売却交渉はトラブルに発展するケースもあるため、充分に注意しましょう。
建築工事のときのみ隣地を借りて接道義務を満たす方法
隣地の買取が難しい場合は、一時的に賃貸借契約を結ぶ方法があります。買取をしなくても、建築工事の間だけ接道義務を満たしていれば、再建築は可能です。
一時的に借りるだけなら、隣地所有者も承諾しやすいでしょう。ただし、賃貸借契約は口頭だけでなく、契約書を交わして書面に残すことをおすすめします。
セットバックをおこなう方法
前面道路の道路との間口は満たしているが幅員が4m未満のために再建築ができない場合は、セットバックという対策があります。
セットバックとは、自分の敷地を後退させ、前面道路の幅員を広げる方法です。
敷地面積は減ってしまいますが、接道義務を満たして再建築可能にすれば土地の価値も上がるので、損失となることは少ないでしょう。ただし、建ぺい率や容積率については注意が必要です。
- 建ぺい率・・・敷地面積に対して、建物がどれだけの面積を占めているか
- 容積率・・・敷地面積に対して、建物の延べ床面積はどれだけか
セットバックによって敷地面積が小さくなると、建ぺい率や容積率がオーバーし、違反建築物になってしまう恐れがあります。既存の建物がある場合は、建ぺい率や容積率の計算も事前におこないましょう。
但し書き道路を認定してもらう方法
但し書き道路とは、敷地と接する道路が建築基準法上の道路に該当しないものの、一定の基準を満たしていれば例外的に再建築が認められる道路のことです。但し書き道路として認められるには、主に以下の基準があります。
- 敷地の周囲に公園・緑地・広場などの広い空地があること
- 幅員4m以上の農道や公共用の道に2m以上接していること
- 特定行政庁が交通上・安全上・防火及び衛生上支障がないと認めていること
- 建築物は地上2階以下で、かつ地階は1階以下の専用住宅・二戸長屋であること
但し書き道路の要件は自治体によって異なる場合があるため、詳細については管轄の自治体に問い合わせるか、公式ホームページをご確認ください。
位置指定道路に認定してもらう方法
位置指定道路とは、特定行政庁から「土地の一部が道路である」と位置の指定を受けた幅員4m以上の私道のことです。
敷地が建築基準法上の道路と接していなくても、敷地の一部を位置指定道路として認定してもらえれば、その部分が建築基準法上の道路としてみなされます。
位置指定道路として認定してもらうには、建築基準法施行令第144条の4で規定されている以下の要件を満たす必要があります。
- 道路の両端が他の道路と接続されており、通り抜けが可能であること
- 道路と接する部分に隅切りがされていること
- 砂利を敷くなど、ぬかるみとならない構造であること
- 縦断勾配は12%以下であり、段差がないこと
- 側溝などの排水整備が設けられていること
行き止まりがあって通り抜けができない道路の場合は、以下の要件を満たす必要があります。
- 道路の長さが35m以下であること(35mを超える場合は、終端および35mごとに自動車転回広場を設ける)
- 幅員6m以上(4m以上の場合もある)であること
- 道路と接する部分に隅切りがされていること
位置指定道路の申請に関しては、管轄の自治体の建築課でご相談ください。
2.再建築不可のまま売却する
再建築可能にするには、高額な費用や複雑な手続きが必要になるためハードルが高く感じる人も多いでしょう。しかし、下記の方法であれば再建築不可のままでも売却可能です。
- 隣地の所有者に売却する
- 不動産会社に仲介してもらう
- 不動産会社に買い取りしてもらう
ここからは、それぞれの方法について解説していきます。
隣地の所有者に売却する
道路に面していない土地の売却で、もっとも高く購入してもらいやすいのは、隣地所有者です。なぜなら、土地の価値は面積が広いほど高くなり、隣地を買い取っても得する場合が多いからです。
たとえば、下図のような場合、隣地の所有者が土地を手に入れることでより広い土地として活用できます。
また、下図のように隣地も接道義務を満たせていない場合も、高値で売れやすいでしょう。隣地所有者としても、土地を購入することで接道義務を満たせるメリットがあるためです。
隣地所有者の資金状況にもよりますが、無道路地における売却相場の2倍、一般的な土地価格の6割~7割程度で買ってもらえる可能性があります。
道路に面していない土地を売却したいと思ったときには、最初に隣地の所有者に買取の意思がないか確認しましょう。
不動産会社に仲介してもらう
隣地の所有者に買い取ってもらうのが難しい場合は、不動産会社に仲介を依頼して買主を探すことを検討してみましょう。
不動産会社に仲介してもらう方法なら、後述する不動産会社に買い取りしてもらう方法よりも高値で売却できる可能性があります。
ただし、仲介ではイチから購入希望者を探すことになるため、買い取りと比べると売却が完了するまでに時間がかかります。
特に、再建築ができない土地は買主にとってさまざまなデメリットがあり、市場での需要が低いため、通常の土地と比べると購入希望者が見つかるまで時間がかかりやすいです。
不動産会社に買い取りしてもらう
不動産会社に仲介してもらってもなかなか買主が見つからない場合や、できるだけ早く土地を手放したい場合は、不動産会社に買い取りしてもらうことを検討してみましょう。
この方法なら買主が不動産会社になるため、イチから購入希望者を探す必要がなく、スピーディーに土地を売却できるのがメリットです。
ただし、買い取りは仲介と比べると売却価格が低くなる傾向があります。その理由としては、不動産会社が買い取った不動産に付加価値を付けて再販し、利益を出す必要があるからです。
利益が出ない土地は不動産会社にとって買い取るメリットがないため、不動産会社によっては買い取りを拒否される可能性もあります。
3.専門の不動産買取業者に売却する
「隣地への売却は難しい」「接道義務を満たすためにセットバックなどをおこなうのが面倒」という場合は、再建築不可物件専門の買取業者へ売却することをおすすめします。
通常の買取業者では請け負えないような再建築不可物件でも、専門の買取業者なら「現状のまま」「高値で」買い取ってもらえます。
専門の買取業者の場合、買取後にセットバックに必要な測量や登記手続きなどを提携している専門業者へ格安で依頼できるパイプを持っているケースが多いです。そのため、物件を高値で転売しやすく、現状のまま買い取っても十分な利益が見込めます。
通常の不動産会社に売却するよりも高値で買い取ってもらえる可能性が高いため、まずは無料査定を受けてみて、どの程度の価格で買い取ってもらえるか調べてみましょう。
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まとめ
道路に面していない土地の相場は低く、通常の3割程度まで下がります。
なぜなら、接道義務を満たさず再建築ができないため、需要が著しく下がるためです。
手間なく、高値で売却したいのであれば、再建築不可物件を専門に取り扱う買取業者へ売却しましょう。
専門の買取業者なら、他の不動産業者では売却できないような物件でも、最短数日で現金化が可能です。
道路に面していない土地のよくある質問
どうすれば道路に面していない土地を高く売れますか?
隣地所有者に売却したり、再建築可能になるよう対策を施せば高く売れやすいです。また、再建築不可物件の専門買取業者であれば、現状のままでも高額買取してもらえる可能性があります。→
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道路に面していない土地は更地にした方がよいですか?
場合によりますが、接道義務を満たさない限りは建物の建て替えが認められず、更地にすると固定資産税が上がるため、急いで更地にする必要はないでしょう。
セットバックした土地の所有者は誰ですか?
セットバックした部分の土地は私道として扱われるため、所有権はその土地の所有者が持ちます。そのため、セットバックした土地の維持管理や固定資産税・都市計画税の支払いは、土地の所有者が行わなければなりません。
ただし、セットバックした部分を自治体に寄付もしくは買い取ってもらった場合は、自治体が所有者となります。
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