家が売れないとどうなる?そのリスクとは
家の売却には、平均で3~6か月程度かかることが多いです。
一戸建ては6か月程度、マンションは3か月程度かかるのが一般的とされます。
ただし、場合によっては1年以上の長期にわたって売れないケースもあり、以下のようなリスクに直面する恐れがあります。
- 家を競売にかけられる
- 家の資産価値が下がり続ける
- 維持費がかかり続ける
- 不動産会社に安い価格で買い取られてしまう
- 引っ越し先の家を購入していたら空き家のまま残ってしまう
- 老朽化がひどい場合は解体を命じられる恐れも
それぞれ詳しくみていきましょう。
家を競売にかけられる
住宅ローンの返済が滞っており、家を売却した資金で返済しようとしている場合は、家が売れないでいると返済が滞り、最終的に家を競売にかけられます。
住宅ローンを組むときは、ローンを支払えなくなっても金融機関が債権を回収できるように、不動産を担保にする「抵当権」が設定されるのが一般的です。
そのため、ローンが返済できなくなると、担保としていた家などの財産は差し押さえられ、裁判所によって競売にかけられ、最も高い値段をつけた人に売却されます。
売却代金はローンの返済に充てられますが、競売は一般的な売却相場の60~70%という安い価格が相場になっています。
競売の売却価格では、残ったローンをすべて支払いきれない場合もあり、家を手放してもローンが残るケースを考えておかねばなりません。
家の資産価値が下がり続ける
長期間家が売れないでいると、年月の経過とともに家の資産価値が下落していきます。
木造の一戸建ては、減価償却の耐用年数が22年と定められていることから、築22年で建物としての価値がなくなり、土地のみの評価になると考えられています。
マンションの場合は、構造によっては47年まで耐用年数が定められていますが、築年数が経過するとともに価値が下がるのは同様です。
また、すでに新居に引っ越していて、売り出し中の家を空き家にしている場合は、老朽化が進みやすくなる点にも注意が必要です。
維持費がかかり続ける
売りに出している家でも、所有している限り維持費がかかり続けます。
土地や建物を所有していると課せられる固定資産税や、家が建っているエリアが市街化区域内であれば都市計画税がかかります。
マンションの場合は、これらの税金に加え、管理費や修繕積立金も負担し続けなければなりません。
すでに引っ越している場合は、新居と合わせて税金や管理費を二重に支払う必要があるでしょう。
不動産会社に安い価格で買い取られてしまう
家を売り出すときは、不動産会社が買い手を見つける「仲介」で一定期間売れなかった場合、最終的に不動産会社が買い取る「買取保証」という制度もあります。
不動産会社による買取は、確実に売れて現金化できる点がメリットですが、売却相場の約70~80%という安い価格で買われてしまう点がデメリットです。
買取では、不動産会社は買い取った家をリフォームやリノベーションし、新たに売り出すため、リフォームにかかる費用を差し引いて、相場より安い価格になります。
一定期間家が売れ残っている場合は、価格は安くなりますが確実に売れる買取も視野に入ってくるでしょう。
買取保証制度については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
引っ越し先の家を購入していたら空き家のまま残ってしまう
家の住み替えでは、先に新居を購入する「買い先行」と、家が売れてから新居を購入する「売り先行」の2通りの方法があります。
買い先行の場合、すでに新しく住む家を購入しているため、家が空き家のまま残ってしまい、所有している限り固定資産税などの税金や維持費が必要です。
さらに、倒壊の危険性があり放置すべきでない空き家(特定空き家)と自治体に判断された場合は、6倍の固定資産税が課されます。
通常、固定資産税には「住宅用地特例」があり、住宅が建っていれば、1/6の特例率が適用されます。
しかし、特定空き家に指定されると住宅用地特例の対象から外されるため、特例率が適用されず、固定資産税が6倍、都市計画税は3倍になるのです。
特定空き家に指定されないために、空き家をメンテナンスし続ける費用も負担しなければならないでしょう。
空き家の税金に関しては、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。
老朽化がひどい場合は解体を命じられる恐れも
家の老朽化がひどく、周囲に悪影響を与える恐れのある特定空き家に指定されると、自治体から解体を命じられる場合があります。
特定空き家とは、以下のような場合に当てはまる空き家のことです。
- 倒壊などの危険がある状態
- 衛生上有害となる恐れのある状態
- 周辺地域の景観を損なっている状態
- 放置することが不適切である状態
特定空き家に指定されると、助言や行政指導、勧告などの段階を踏んで、いずれにも従わなかった場合、状況改善の命令が出されます。
空き家の解体には多額の費用がかかり、更地にすると住宅用地特例が受けられず固定資産税が上がるというデメリットがあるため、空き家が老朽化する前に売却したいものです。
特定空き家については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。
家が売れない理由
家が長期間売れない場合、以下のような理由があると考えられます。
- 相場よりも高すぎる
- 老朽化しすぎている
- 外観が良くない
- 内覧時の印象が良くない
- 立地条件が良くない
- 再建築不可物件である
売りに出している家が上記に該当する場合は、一つずつ解決することで売却に近づきます。
家が売れない理由をそれぞれ詳しくみていきましょう。
相場よりも高すぎる
不動産の価格には相場があり、売り出し価格が相場より高すぎると、買主が見つかる可能性が低くなります。
物件の購入希望者は、インターネットで不動産情報を調べる際に、不動産会社のポータルサイトなどで希望の価格帯にしぼって検索します。
今は誰でも不動産の相場を調べられるため、相場から大きく離れた価格を設定してしまうと、検索結果から除外され、購入希望者の目にも留まらない恐れがあるのです。
相場より高すぎて売れない場合は、物件の価値と価格が釣り合っていないだけで、物件に魅力がないという訳ではありません。
不動産会社とよく話し合い、アドバイスを聞きながら、適正な価格を設定しましょう。
老朽化しすぎている
家が老朽化しすぎていると、見た目が悪いばかりでなく、配管や設備が劣化していることも、買主にとって大きなデメリットとなります。
中古住宅市場では、一戸建て・マンションともに築浅物件が人気であり、築年数が経過するごとに売れにくくなるのが一般的です。
築古物件を安く購入し、自分でリノベーションして住もうとする買主もいますが、老朽化がひどい場合はリノベーションにも多額の費用がかかるため、築古物件を好む層からも敬遠されるでしょう。
老朽化しやすい水回りをリフォームする、耐震診断を受け基準を満たしていることをアピールするなどの対策が必要です。
外観が良くない
築古物件だと、外壁が変色したり、ひび割れがあったりなど、外観に年期が感じられる点も家が売れない理由の一つです。
また、家の外観デザインにも流行があり、デザイン面で古く感じられると買い手から避けられてしまうでしょう。
すでに引っ越していて、空き家となっている物件は、放置してしまうとクモの巣や落ち葉などで寂れた見た目になってしまいます。
外観も家を購入するときの重要な要素であるため、購入希望者の目線で魅力的な外観かどうか定期的にチェックしましょう。
内覧時の印象が良くない
内覧時の印象は、家の購入を左右する重要なポイントです。
購入希望者は、物件の間取りや立地を気に入って内見に来てくれますが、物件そのものは良くても室内が散らかっていたり、汚れていたりすると印象が悪くなります。
購入希望者は、内覧時に以下のようなポイントを重点的に見ています。
水回りが汚れていたり、ホコリが溜まっていたりなど掃除が行き届いていないと、生活感が出てしまい良い印象を与えられません。
特に、ペットやタバコのにおいは住んでいる本人たちは気づきにくいため、内覧の前は十分に換気するなどして気をつけましょう。
また、購入希望者は物件だけでなく売主の対応も見ています。
笑顔で気持ちよく対応する、質問にはしっかりと答えるなど、好印象を持ってもらえるようにしましょう。
立地条件が良くない
立地は、家を買う際の非常に重要なポイントですが、以下のような物件は、立地が良くないと思われやすいです。
- 駅やバス停から遠い
- 歓楽街などが近く、治安が悪い
- 周辺に学校や病院、スーパーなどが少ない
- 川や斜面の近くなど、災害リスクが高い
立地が良い物件から先に売れていくため、立地の面で不利な物件は売れ残ってしまいます。
立地が良くない物件は、「日当たりが抜群」「駐車場が広い」「街から離れていて夜でも静か」などの立地以外の魅力をアピールしてカバーしましょう。
再建築不可物件である
再建築不可物件とは、現在建っている家を取り壊した後、新しい建物を建築できない土地のことです。
なぜ新しい建物を建てられないのかというと、建築基準法で定められている道路に接していない、すなわち接道義務を満たしていない土地であるためです。
接道義務とは?
都市計画区域と準都市計画区域内において、建物を建てる敷地は原則として幅員4mの建築基準法上の道路に、2m以上の接続部分がなければならないという決まり
通常の宅地であれば、将来的に今建っている建物を壊し、子ども世帯の家に建て替えることもできますが、再建築不可物件は、このように土地を活用できません。
再建築不可物件で新しく建物を建てるためには、前面道路を幅員4m以上するために敷地を後退させるセットバックを行う必要があります。
セットバックとは?
敷地に接している道路の幅員が4mに満たないケースで、自身が所有している敷地を後退させることで、前面道路の幅員を4m以上にして建築基準法の条件を満たし、再建築を可能にする方法
その他には、リフォームやリノベーションを行い、現在建っている建物を使い続けるか、更地にするという選択肢しかないため、買い手がつきにくいのです。また、再建築不可物件は、建築基準法が施行された1950年より前に建てられた物件が多く、かなり老朽化していてリノベーションするにも多額の費用がかかる点でも、買い手に避けられやすいです。
再建築不可物件については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。
家が売れない場合の対処法
長期間にわたって家が売れない場合は、以下のような対策を取ることで、家を売却できる可能性が高まります。
- 販売価格を見直す
- ハウスクリーニングやリフォームも検討する
- 外観の写真や内覧時の片づけ等に力を入れる
- 不動産会社との媒介契約を変更する
- 不動産会社の変更を検討する
- 建物を解体して土地を売り出す
- 不動産会社に買い取りを依頼する
- 賃貸経営をして収益を得る
それぞれ詳しくみていきましょう。
販売価格を見直す
相場から離れた販売価格を、適正な価格に見直すことで売れやすくなります。
価格設定では、不動産会社の担当者に相談すると同時に、自分でも相場を調べることが重要です。
相場の確認方法には、以下の3つがあります。
これらのWebサイトで、近隣にある似た条件の物件の販売価格を調べてみましょう。
その上で、許容できる範囲まで値下げを検討します。
ただし、住宅ローンが残っている場合は、販売価格を下げすぎるとローンだけが残ってしまう恐れがあるため、価格設定は慎重に行いましょう。
ハウスクリーニングやリフォームも検討する
内覧時の印象を良くするためには、プロによるハウスクリーニングが効果的です。
家中をハウスクリーニングするのは費用面で現実的ではありませんが、特に水回りは印象が大きく変わりやすいため、優先的に行うことをおすすめします。
家の老朽化が激しい場合は、一部をリフォームして物件の価値を高めることも対処法の一つです。
ただし、リフォームを行っても、その費用を販売価格に上乗せして売却できるかどうかは分かりません。
また、中古物件の買主は、購入後に自分でリフォームを行いたいと考える人もいるため、リフォームなしでも売れる場合があります。
リフォームを行うかどうかは不動産会社の担当者とも相談し、慎重に検討しましょう。
外観の写真や内覧時の片づけ等に力を入れる
物件の購入希望者が最初に目にするのは、Webサイトや紙のチラシに載っている外観の写真です。
物件の第一印象を左右するため、暗かったり、画質が粗かったりする写真が使われている場合は、担当者に相談して物件の魅力が伝わるような写真に差し替えましょう。
また、内覧希望があったときは、できる限り家の隅々まで掃除しておくことで購入希望者の印象を良くすることができます。
部屋を広く見せるためにも、小物や家電をなるべく収納して見た目をすっきりさせておきましょう。
不動産会社との媒介契約を変更する
不動産会社に家の売却を依頼するときに結ぶ「媒介契約」には、以下の3種類があります。
専属専任媒介契約 |
専任媒介契約 |
一般媒介契約 |
・契約できるのは1社のみ
・売主が買主を見つけることはできない
・有効期限は最大3か月
・5日以内にレインズに登録する義務がある
・1週間に1度以上の業務報告義務がある |
・契約できるのは1社のみ
・売主が買主を見つけられる
・有効期限は最大3か月
・7日以内にレインズに登録する義務がある
・2週間に1度以上の業務報告義務がある |
・複数の不動産会社と契約できる
・売主が買主を見つけられる
・有効期限なし
・レインズへの登録義務なし
・業務報告義務なし |
このように、3種類の媒介契約はそれぞれに特徴があります。
一般媒介契約よりも専任媒介契約のほうが、専任媒介契約より専属専任媒介契約のほうが、不動産会社の積極的な売却活動が期待できます。
一般媒介契約を結んでいる場合は、専任媒介契約や専属専任媒介契約に変更することで、売却活動に力を入れてもらえるようになるため、変更を検討してみてください。
媒介契約については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
不動産会社の変更を検討する
不動産会社は、家の売却を始めるときに何社か比較した中から信頼できる会社を選びます。
しかし、不動産会社が売却活動に力を入れていない、担当者との相性が悪いなどと感じる場合は、不動産会社の変更を検討しても良いでしょう。
一般媒介契約はいつでも解除ができますが、専属専任媒介契約と専任媒介契約は売主都合で解除すると違約金や費用の実費を求められるケースがあります。
ただし、明らかに不動産会社に非がある場合は、無条件で契約を解除できます。
また、不動産会社を変更すると、売却活動を再び一から始めることになり、売却にかかる時間が延びる恐れもあるため注意しましょう。
建物を解体して土地を売り出す
家の老朽化が進んでいる場合は、建物を解体して更地として売り出すと買い手が見つかる場合があります。
ただし、解体には多額の費用がかかること、更地にすると固定資産税が高くなることを考慮に入れておく必要があります。
木造住宅は築22年で価値がなくなると考えられているように、建物が古い場合は土地価格のみで取引されるのが一般的です。
建物を解体したほうが売れやすくなるかは、担当者とも相談してアドバイスをもらいながら検討しましょう。
建物を解体して更地にして売る方法については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
不動産会社に買い取りを依頼する
個人ではなかなか買い手が見つからないような物件でも、不動産会社の中には活用方法を見つけて買い取ってくれる専門業者があります。
買取は、仲介と比べると販売価格が70~80%に下がりますが、なかなか売れない家を確実に現金化できるメリットは大きいでしょう。
また、買取は仲介手数料がかからず、買い手を見つける必要がないため早く売れる点もメリットです。
賃貸経営をして収益を得る
家がなかなか売れない場合は、そのまま賃貸に出したり、更地にして駐車場にしたりなどの賃貸経営で収益を得る方法もあります。
賃貸に出す場合は、借り手がいれば毎月家賃収入を得られる、建物の劣化を防げるなどのメリットがあります。
駐車場経営は、更地の活用方法の中でも比較的少ない初期費用で始められ、何かあれば撤退して転用や売却をしやすい低リスクな土地活用法です。
家が長期間売れ残っている場合は、これらの賃貸経営も考えてみましょう。
まとめ
家がなかなか売れないと、固定資産税などの維持費がかかり続けます。
また、住宅ローンが返済できない場合は、最終的には競売にかけられる恐れもあります。
売れない家には、売却価格が相場より高すぎる、老朽化しすぎているなどの特徴があるため、売却価格を見直す、ハウスクリーニングを行うなどの対策を取りましょう。
不動産会社の中には、個人では買い手がつきにくい家を、リフォームやリノベーションして売り出す「買取」を行っているところもあります。
買取は、なかなか売れない家を早く売りたい方におすすめの方法です。
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