
地震リスクの高い日本では、建物を建てる際に一定の耐震基準を満たしていることが義務づけられています。
耐震基準は1981年に大きく改正され、改正前の旧耐震基準は現行のものと比べてかなり緩やかな内容です。
そのため、旧耐震基準で建築された一戸建てやマンションは、売却で不利になってしまいます。
旧耐震基準の家を売るには、普通に売り出すのではなく、さまざまな工夫が必要です。
手間や費用をかけずに売却したい場合は、訳あり物件専門の買取業者に相談しましょう。旧耐震基準の物件でも、最短数日で現金化できます。
目次
旧耐震基準の一戸建て・マンションが売れない理由
震災の多い日本に住む以上、誰しも「地震による建物の被害」は気になります。
古い建物であれば「大地震が来たら壊れてしまうかもしれない」と思われてしまうのは当然です。
さらに、旧耐震基準の一戸建て・マンションなどの場合、下記3つのデメリットがあるので購入を避けられやすくなります。
- 1.住宅ローン減税が利用できない
- 2.住宅ローンの審査が通りづらい
- 3.住宅の維持費が高くなる
理由1.住宅ローン減税が利用できない
不動産の購入時、購入する物件が旧耐震基準の一戸建て・マンションの場合、下記の減税や公的給付金(補助金)を受けられません。
- 所得税の住宅ローン減税
- 不動産取得税、登録免許税の特例(優遇措置)
- すまい給付金
このうち最も影響が大きいのは、住宅ローン減税が使えないことです。住宅ローン減税が使えなければ年間で最大40万円、期限である10年間で最大400万円を損します。
住宅ローン減税の適用は、下記のいずれかを満たしていることが条件です。
- 建築から20年(マンションは25年)以内
- 現行の耐震基準に適合している
- 入居までに耐震基準適合証明書※を取得する
旧耐震基準の住宅・マンションでも、耐震改修工事をおこない、耐震基準適合証明書を取得できれば住宅ローン減税を受けられます。
しかし、耐震改修工事は買主側にとって大きな負担といえるでしょう。
また、分譲マンションの場合は買主の一存で耐震改修工事を行えないので、管理組合との協議が必要です。

参照:国税庁 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
理由2.住宅ローンの審査が通りにくい
旧耐震基準の中古住宅・中古マンションは、住宅ローンの審査でも不利になります。
特に、フラット35は、耐震基準適合証明書の取得がなければ融資を受けられません。
また、他の金融機関でも、旧耐震基準であることを理由に建物の担保価値が割り引かれ、融資額が少なくなってしまうことがあります。
住宅ローンの選択肢が狭くなれば、当然買主も少なくなってしまいます。
理由3.住宅の維持費が高くなる
旧耐震基準の不動産では、購入後の維持費が新築の一戸建て、新築マンションに比べて高くなってしまうこともあります。たとえば、旧耐震基準の不動産の場合には、地震保険の割引が適用されません。
特に、東海地震・南海地震といった将来の大規模地震が強く予想されている地域では、地震保険は必須といえるため、保険料負担を気にする買主は多いでしょう。
また、中古マンションの場合には、築年数の経過と共に修繕積立金が高くなることが一般的です。
なぜなら、多くのマンションでは築年数の経過と共に積立金の負担額が増える「段階増額積み立て方式」を採用しているからです。
中古物件の魅力のひとつである「購入金額の安さ」も、維持費が高くなれば帳消しになってしまいます。
旧耐震基準の住宅を早く売る4つのコツ
旧耐震基準の一戸建て・マンションでも、売り方を工夫をすれば、早く・高く売却することも不可能ではありません。
旧耐震基準の一戸建てやマンションには「敷地が広い」「立地や眺望が良い」といった物件も多く、メリットをうまくアピールできれば満足のいく売却は可能です。
具体的には、下記4つのコツを解説していきます。
- リフォームプランとセットにして売却する
- ホームインスペクションを受けておく
- 建物を解体して更地にする
- 専門業者に買い取ってもらう
コツ1.リフォームプランとセットにして売却する
旧耐震基準の物件は、リフォームを前提に購入を考える買主も少なくありません。しかし、物件を探している段階では、具体的にどのようなリフォームをしたいかイメージできていない買主がほとんどです。
そこで、物件を売り出すと同時に複数のリフォームプランを用意する方法があります。「この物件ではこんな風にリフォームできる」というイメージを膨らまし、買主の購入意欲を刺激するのです。
用意するのはあくまでプランのみなので、売主側が事前に工事をおこなう必要はありません。
また、買主にとっては次のようなメリットがあります。
- 自分でリフォーム業者を見つける手間が省ける
- マンション管理組合とのやりとりをサポートしてもらえる
- リフォーム費用が事前にわかるので予算が立てやすい

中古マンションはリノベーションで生まれ変わる
最近の中古マンションは「リノベーション」を行う人が増えています。リノベーションとは、簡単にいえばリフォームよりも大規模・包括的に行われる改修のことです。
リノベーションは「立地は良いが仕様が古くて使い勝手が悪い」という中古マンションの大きな欠点を解決し、居住用財産としての資産価値を大幅に高めることのできる手法です。
個人で建て替えることのできない中古マンションですが、リノベーションが普及したことで、仲介市場もかなり活性化されたといえます。
リフォームに強い専門の不動産会社と提携することができれば、物件の条件に見合った様々なリノベーションプランを買主に提案することができます。
コツ2.ホームインスペクションを受けておく
ホームインスペクションとは、建築士などの専門家による住宅の劣化・欠陥調査のことです。「住宅診断」「建物検査」「建物現況調査」といった呼称もあります。
売買に先だって「建物の瑕疵(かし)」や「今後の修繕見通し」を調査・確認してもらえるので、買主が安心して買いやすくなります。
また、診断の結果「建物の強度に問題がない」となれば、売主側で耐震基準適合証明書の取得が可能です。

コツ3.建物を解体して更地にする
一戸建ての物件では、老巧化して価値のなくなった建物を解体し、更地にすることで買主が見つかりやすくなることもあります。
旧耐震基準の住宅は、古くから市街地となっているような「利便性の高い地域の物件」も多いので、土地だけでも充分な資産価値をもっていることが少なくありません。
ただし、更地売却の場合には、解体費用を売却額に上乗せできないのが一般的です。
また、物件によっては、解体後は建物の再建築ができない場合もあります。
解体工事をおこなう前に、売却予定の物件が再建築不可物件ではないか確認しましょう。

コツ4.専門業者に買い取ってもらう
物件を「とにかく早く売却したい」という事情があるときには、専門の不動産会社に買い取ってもらうことも有効な選択肢です。
訳あり物件専門の買取業者を利用すれば、費用や手間は一切かからず、短期間で物件を売却できます。
当サイトを運営するクランピーリアルエステートも、訳あり物件専門の買取業者として多くの旧耐震基準物件を買取してきました。無料の査定・相談も承っているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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旧耐震基準の住宅を売らずに放置する3つのリスク
相続などで取得した一戸建て・マンションを売却せずにそのまま放置しておくと、物件を保有するためのコストが高くなります。
さらに、旧耐震基準の古い建物を放置しておけば、下記3つの重大なリスクがあります。
- 地震による倒壊リスク
- 空き家を所有し続けるリスク
- 中古住宅の需要が下がるリスク
上記のリスクを回避するためにも、早めの処分をおすすめします。
地震による倒壊リスク
日本で暮らしている以上、地震被害のリスクは避けられない問題です。
旧耐震基準の不動産は、近年頻発する大地震には耐えられない可能性が高いです。
なぜなら、旧耐震基準が定められたときには、震度7に達するような規模の地震が頻発することは想定外だったからです。
現行の耐震基準が「震度6~7程度の地震でも倒壊しない」ことを基準としているのに対し、旧耐震基準は、震度5規模の地震にしか対応していません。
したがって、震度6強から震度7クラスの地震では倒壊してしまう確率がかなり高いのです。

空き家を所有し続けるリスク
旧耐震基準の住宅は築年数も古く、空き家となっているケースも少なくありません。
使用する予定のなくなった空き家を放置することは、次のようなリスクがあります。
- 建物の老朽化が早く進み、維持・修繕・管理費用が高くなるリスク
- 屋根や壁などが崩壊したことで他人に損害を発生させるリスク
- 犯罪行為に巻き込まれるリスク(空き巣・放火・犯罪者のアジト化)
- ホームレスなどが住み着くリスク
- 「特定空き家」に指定されることによる固定資産税増加のリスク
特に、倒壊などで他人に損害を与えてしまったときには、土地の所有者に「無過失責任」が生じます。
民法第707条
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。出典:e-Govポータル「民法第707条」
損害保険に加入していなければ、多額の損害賠償のために自己破産に追い込まれるかもしれません。
また、物件を空き家のまま放置してしまったことが原因で、自治体から「特定空き家」に指定されると、固定資産税が6倍に跳ね上がってしまう可能性があります。
空き家問題の対応は国の重要な政策課題であるため、今後さらに厳しい対応を求められる可能性があります。

中古住宅の需要が下がるリスク
中古不動産は、時間が経つほど居住用財産としての価値が下がっていきます。
日本は新築物件の需要が高く、中古物件は耐震基準とは関係なく売却しにくい物件です。
特に、今後は人口の減少が進んでいくことから、物件の供給量が需要を大きく上回ることも考えられます。
供給過多の状態になれば、「売りたくても買主が全くみつからない」状況になってしまうことも考えられます。
まとめ
旧耐震基準の住宅でも、買主にとって魅力的な工夫をすることで、早く・高く売却することは可能です。
中古の一戸建て・マンションを少しでも良い条件で売却するためには、中古物件売却に特化した専門業者に相談・依頼するのが一番良いでしょう。
旧耐震基準の住宅は放置するリスクが高いため、なるべく早期に処分することをおすすめします。
旧耐震基準の物件でよくある質問
「倒壊の恐れがある」という心理的不安が大きな理由です。他には「住宅ローン減税が利用できない」「住宅ローンの審査が通りにくい」「住宅の維持費が高くなる」といった理由もあります。
現行の耐震基準をクリアするよう、改修工事をおこなうのが望ましいでしょう。工事にお金をかけたくない場合は、不動産の買取業者に買い取ってもらう方法をおすすめします。
売主が直接リフォームしなくても、リフォームプランのみ複数用意して売り出すことで売れやすくなります。また、旧耐震基準のままでも、現状のまま売買が成立することはありえます。
訳あり物件専門の買取業者であれば、旧耐震基準の物件でも早く・高額で買い取れます。とくに、弁護士と連携した買取業者なら法律面からのサポートもできるので、売却手続きの悩みや権利トラブルもスムーズに相談できます。→【弁護士と連携!】事故物件・訳あり物件の無料査定窓口はこちら
地震による倒壊リスクが高く、近年増えている震度6~7の地震で倒壊する恐れもあります。また、物件が空き家の場合、維持・修繕・管理費用が高くつくうえに、犯罪に巻き込まれるなど多くのリスクを抱えてしまいます。