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地主が借地権を買い取るときの相場は?買取交渉の3つのポイントも解説

地主 借地権 買取

借地権とは、地主から借りている土地を自由に使用してもよいとする権利です。

地主のなかには、貸し出している土地を「なんとか取り戻せないか」と考えている人もいるでしょう。借地契約は地主から一方的に解除できませんが、地主が借地権を買い取ることは可能です。また地主が買い取る方法は、借地権を相続したけど利用する予定がない人や、ライフスタイルが変わったため借地権を売却したいと考えている借地人にとっても理想的といえます。

ただし借地権の買取は、地主と借地人の交渉が必要です。借地権は権利関係も複雑なため、間違った認識で交渉を進めてしまうと、あとからトラブルになる恐れもあります。

そのため、借地権買取の交渉は、借地権に詳しい不動産業者と相談しながら行ったほうがスムーズに進むでしょう。

当社クランピーリアルエステートも借地を買取する際の借地人との交渉を得意としています。場合によっては、借地権を取り戻すより、自分が土地の所有権を手放したほうがよいケースもあるため、無料査定を利用してアドバイスを聞いてみましょう。

本記事では、借地権を買い取るときの価格相場や買取交渉のポイント、注意点について解説します。

借地を買い取る資金がない場合のローン借入や借地権を買い取るまでの手続き、借地権売却にかかる税金と経費もまとめました。

借地権を買い取りたい人や買い取ってほしい人は、ぜひ参考にしてください。


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借地権を買い取るときの価格相場は?

借地権を買い取る場合、きっかけは以下のどちらかです。

  • 地主から提案する
  • 借地人から提案する

借地権の買取価格の相場は「誰が買取を提案したか?」によって変わります。

それぞれのケースについて、1つずつ見ていきましょう。

地主から買取を提案した場合は更地価格の60~70%

地主から提案した場合
  • 自分で借地を使いたい
  • 借地に親族を住まわせたい
  • 借地でアパート・マンション経営を始めたい

このような理由で、地主から借地権の買取を提案した場合、買取価格の相場は更地価格の60〜70%です。

この割合は、路線図に記載されている借地権割合が基準になっています。

また地主から提案する場合、借地人の引越し費用や新しく住居を構えるために必要な費用の補償なども買取時の価格に上乗せされることが多いです。

借地人から買取を要求した場合は更地価格の50%程度

借地人から提案した場合

借地人から借地権買取の要求をした場合は、買取価格も低くなる傾向にあります。

ほとんどの借地人は借地権割合にもとづいた金額での買取を希望します。しかし最終的には更地価格の50%程度で買取されるケースが多いです。

借地人が借地権を売却したいということは、借地人側に相応の事情があるため、多少安値でも借地を返してもらいやすいです。

もし借地人が「借地権を第三者に売却したい」と思っても、地主の承諾と譲渡承諾料が必要なため手間や時間がかかります。また相続税評価額にもとづいて、借地人が更地価格の60〜70%程度で借地権を第三者へ売却しようと思っても、なかなか買主は見つかりません。

たとえ更地価格の50%程度になるとしても、地主に買い取ってもらったほうが、借地人にも「手間が少ない」「手元に残るお金は多い」というメリットがあります。

そのため借地権を買い取るときは、借地人から買取を要求した場合のほうが、買取価格が安くなるのです。

借地人と買取交渉するための3つのポイント

借地権を買い取るときは、お金だけ用意できればよいわけではありません。

たとえ、借地権の買取には十分すぎる金額を用意したとしても、借地人が買取を拒否すれば、地主は借地を買い取れません。地主が強制的に借地人を立ち退かせることも不可能です。

借地人の意思に反して立ち退いてもらうためには、裁判所で地主の正当事由が認められる必要があります。

しかし、正当事由は「地主が土地を使いたいから」という程度では認められません。

・地主がその土地にどうしても住まなければならない理由があり、地主自身が経済的に困っている
・借地人の住居は他にあり、その土地以外にも複数の土地で賃貸経営をしていて経済的にも裕福である

正当事由が認められるのは、上記のように借地人よりも地主が利用する必要性が大きいと判断される場合のみです。そのため、借地を買い取るときには、借地人に納得してもらうことが重要です。

ここでは、借地人と買取交渉するためのポイントを3つ紹介します。

1.不動産業者に仲介に入ってもらう

借地を明け渡す場合、借地人には次のような労力や費用がかかります。

  • 次の住居を探す
  • 次の住居へ引っ越す
  • 新しい環境に慣れる

住み慣れた家を離れることに抵抗をしめす人は多いです。職場までの通勤時間が長くなってしまったり、子どもを転校させなければならなかったりする場合は、さらに大変です。

当事者である地主と借地人が直接交渉すると、お互いの主張がぶつかりあって、話がまとまりません。また借地権は権利関係も複雑なので、間違った認識で交渉を進めてしまうと、あとから「話が違う」とトラブルになる恐れもあります。

そのため借地権の買取では、借地権に関して専門知識があり、交渉力もある実績豊富な不動産会社へ仲介を依頼したほうがよいでしょう。不動産会社が第三者の視点から専門家として借地人へ交渉すれば、最初は売る気がなかった借地人も、売却を検討してくれることが期待できます。

2.価格交渉しすぎない

借地権を買い取る際、できる限り値段を抑えたいと考えるのは当然です。しかし、あまり価格交渉しすぎると借地人に買取を拒否されてしまう恐れがあります。

地主から借地権売却を提案する場合、借地人が「売却しない」と決めてしまえばそれまでなので、慎重に交渉する必要があります

逆に、借地人から借地の買取を相談された場合は、多少強気で交渉しても話がまとまる可能性が高いです。地主から提示された価格が安いと感じても、第三者に売却するよりは高い場合が多いためです。

ただし借地人は、買取価格に納得できなければ売却の話はなかったことにして、そのまま住み続けられます。借地人からの提案だからといって価格交渉しすぎると、せっかくの借地権を取り戻せる機会を逃してしまいます。

借地人も、事前に地主が借地を買い取るときの相場を調べている場合が多いので、相場に近い価格で交渉するようにしましょう

3.売却目的なら借地人に同時売却を提案する

同時売却は単独で売却するよりも高値になる

もし借地を買い取る理由が、土地の利用ではなく売却であれば、借地人に同時売却を提案するのも1つの方法です。同時売却とは、借地人が所有する借地権と地主が所有する底地を同じタイミングで第三者に売ることです。

同時売却であれば、借地権を買い戻さなくても完全所有権の不動産と同じように、実勢価格に近い価格で売却できる可能性があります。底地・借地をそれぞれ単独で売却するよりも高値になるため、借地人も売却を考えているのであれば、お互いにメリットがある提案です。提案したタイミングでは借地人に借地権の売却意思がなかったとしても、売却価格を知ると同時売却に協力してくれるケースもあります。

地主と借地人の売却金額の配分は、一般的に借地権割合(底地権割合)にもとづいて決まります。そのため、地主が得られる金額は、売却金額の3〜4割程度です。

もともと自分の土地なのに、どうして借主の借地人より得られる金額が少ないのか不満に思う人もいます。しかし底地単独での売却や、諸費用を含めて支払ったうえで買い戻した借地権の売却後の利益と比べるとほとんどの場合で多くなります。

交渉によっては売却金額の半分程度を受け取れるケースもありますが、お互いの事情や交渉力次第です。そのため、借地を買い取るときの交渉を有利に進めるには、実力があって信頼できる不動産会社を探すことが大切です。

当サイトを運営する「クランピーリアルエステート」では、全国800を超える弁護士などの士業と提携して、さまざまな不動産トラブルを解決した実績があります。

借地を買取する際の借地人との交渉も得意としていますので、ぜひ無料相談で悩みをお聞かせください。

借地権を地主が買い取る際の注意点

借地権を地主が買い取る際の注意点は、次のとおりです。

  • 解体費用を地主・借地人のどちらが負担するか明確にしておく
  • 口約束ではなく書面で契約を結ぶ
  • 所有者移転登記と建物の登記状況の確認を忘れない
  • 借地権を買い取る際には不動産取得税と固定資産税がかかる

それぞれ解説します。

解体費用を地主・借地人のどちらが負担するか明確にしておく

地主が借地権を買い取る際、ほとんどの場合は更地の状態に戻すように言ってきます。

買取金額の交渉が先に進んでしまい、地主も借地人も解体費用の負担について忘れている場合があります。また買取金額の折り合いがついたのに、地主は更地渡し、借地人は現況渡しとお互いに思っていることが異なる場合もあるでしょう。

地主が借地権を買い取る場合、借地権上の建物を更地にして引き渡さなければならないのか、現況で引き渡せばよいのかを確認しながら交渉を進める必要があります

後々のトラブルを防ぐためにも、解体をするのかしないのかだけではなく、解体費用の負担者も明確にしておきましょう

口約束ではなく書面で契約を結ぶ

地主に借地権を買い取ってもらう際は、書面で契約を結びましょう。

借地権を買い取ると地主と口約束をし、建物を取り壊して更地にしたのに、地主が買取を拒むといったトラブルが発生する場合があります。借地上の建物は、借地人の借地権を主張する大切な要素のため、このようなトラブルは避けなければなりません。

そのため地主に借地権を買い取ってもらう際は、口約束ではなく書面で契約を締結することが重要です。

引き渡しまでに借地人が更地にしなければならない場合は、地主の都合で売買契約が解除になったときの解体費用負担などを契約書に明確に記載しておきましょう。契約書に記載しておけば、後々のトラブルを防げます。

所有者移転登記と建物の登記状況の確認を忘れない

借地人が借地上に建っている建物の名義変更をせずに相続していると、登記名義人と実際の所有者が違うため、借地権売却の際に手続きがスムーズに進まない場合があります。また建物が古いと、未登記の場合もあるでしょう。

このような問題を防ぐためにも、建物の登記状況を確認することは重要です。土地及び建物の登記簿謄本は、不動産の所在地を管轄する法務局で取得可能です。

また所有権移転登記を行わないと、第三者に所有権を主張できません。そのため決済後は、建物の名義を借地人から地主に必ず移転しましょう。

借地権を買い取る際には不動産取得税や固定資産税がかかる

借地権を買い取る場合、不動産取得税や固定資産税、都市計画税がかかります。

概要 計算方法
不動産取得税 不動産を取得した際に取得した人に対して課税される税金 固定資産税評価額×4%
ただし、土地や住宅の場合は3%
固定資産税 毎年1月1日時点で土地や家屋を所有している人に課税される税金 固定資産税評価額×1.4%
ただし、税率が軽減できる特例がある
都市計画税 市街化区域内に土地及び建物を所有している人に課税される税金 固定資産税評価額×0.3%
ただし、地方自治体により税率が異なる

不動産取得税とは、不動産を取得したときに、取得した人に対して課税される税金です。

借地だけを買い取っても、その土地の所有権は持っていないため、不動産取得税は課税されません。しかし借地の上に建物が建っている場合や、借地を買い取り後に建物を建てた場合は、建物に対して不動産取得税がかかります

不動産取得税の納税額は、固定資産税評価額×4%です。ただし、令和9年3月31日までに取得した土地と住宅については、軽減税率として3%が適用されます

また、固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や家屋を所有している人に課税される税金です。都市計画税は、市街化区域内に土地及び建物を所有している人に課される税金です。固定資産税や都市計画税も、不動産取得税と同様に借地には課税されません。

計算方法は、次のとおりです。

  • 固定資産税:固定資産税評価額×1.4%
  • 都市計画税:固定資産税評価額×0.3%

なお固定資産税は1月1日に不動産を所有している人に課税されるため、年の途中で借地を売買している場合は、売主がすでに納税していることがあります。その場合は、契約書上で定めた方法で精算し納税負担を決定します。

借地権を買い取りたくても資金がない場合のローン借入

借地の買取をする際に利用できるローン

借地の買取にかかる金額は、少なくとも更地価格の50%、高ければ70%以上のケースもあります。

しかし借地人も借地の買取に納得している状態で、肝心の資金を用意できないと借地人にも迷惑をかけてしまいます。とはいえ、数千万円もの買取価格をすぐに用意できる人は少ないため、ローンの借入を利用して借地権を買取する人が多いでしょう。

ここでは借地権を買取する場合のローン借入における注意点を見ていきます。

住宅ローンを組めるのは買取後に住居を建てるときのみ

不動産を購入するときによく利用されるローンが、借入期間が長くて金利も低い「住宅ローン」です。借地を買取するときにも住宅ローンを利用できるとよいのですが、条件を満たさない限り利用できません。

住宅ローンは契約者自身が住居を建てる、または購入するために利用できるローンです。借地権と借地上の建物を合わせて買い取り、そのまま住み続ける場合のみ利用できます。また更地となった借地であっても、原則1年以内に住宅を建てるのであれば、先に土地代金にあたる借地権の買取価格を融資してもらう土地先行融資やつなぎ融資を利用できる場合があります。

どのようなローン商品があるか、借地権の買取で融資を実行してもらえるかなど、金融機関によって異なるので事前に相談するようにしてください。

駐車場やマンション経営などに利用する場合は不動産投資ローンを利用

マイホーム以外の目的で借地を活用する場合は「不動産投資ローン」を利用します。たとえばアパートやマンションを建築して賃貸経営をする場合や、駐車場を経営するケースが該当します。

不動産投資ローンは収益性が重視されるため、住宅ローンよりも融資審査の基準が厳しいです。また、住宅ローンに比べて金利も高く設定されているので、入念に資金計画・投資計画を立てる必要があります。

不動産投資ローンも金融機関によって金利や返済期間、保証人の必要性、融資可能額などの条件に差があるため、複数の金融機関を比較することが大切です。ローン借入については不動産会社でも相談にのっているので、借地の買取交渉の相談とあわせて聞いてみるとよいでしょう。

借地権を買い取るまでの手続き

借地権を買取する流れは次の6ステップです。

借地権を買取するまでの主な流れ
  1. 不動産会社に相談
  2. 不動産調査
  3. 借地人に提案・交渉
  4. 借地権の売買契約締結と手付金の支払い
  5. 融資審査の申込み
  6. 融資実行、借地権の引き渡し

それぞれのステップに分けて、具体的に解説します。

1.不動産会社に相談

「借地権を買取したい」と思ったときは、借地人へ交渉する前に不動産会社へ相談しましょう。

借地権を買い取るということは、借地人をその土地から追い出すということです。今までの関係性が良かったとしても、地主から「借地を買い取らせてもらえないか」と伝えると、思いがけないトラブルに発展してしまう恐れもあります。

最初が肝心ですので、まずは不動産会社へ相談して「どのように借地人へ打ち明けるべきか?」といったアドバイスを受けるのがベストです。

2.不動産調査

借地権の買い取りで提案する価格を算出するために、不動産調査を行います。

現地調査では、借地の形状や面積・前面道路の幅員・隣地の境界線・周辺環境を確認します。また、借地がある地域の路線価や建築に関わる法令上の規制、建築可能な建物の用途・構造・規模、建て替えの可否などを市区町村役場で調査するのです。

ここで調査した内容から借地権の価格を査定し、買い取りを提案するときの価格根拠とします

3.借地人に提案・交渉

価格査定が完了したら、借地人へ買取の提案と交渉をしましょう。

買取価格の他にも、以下のような条件を話し合います。

  • 更地引き渡しか?
  • 建物を取り壊す場合の費用を負担するか?
  • いつ借地を引き渡すか?

借地人への買取の提案は、お金の問題も絡んでくるため、当事者間での交渉は難しくお互いの主張が平行線を辿ってしまうことが多いです。そのため借地人に提案・交渉するときは、譲れない条件や出せる金額を伝えたうえで、不動産会社に仲介を依頼したほうがよいでしょう。

4.借地権の売買契約締結と手付金の支払い

借地人から買取の同意を得た後、売買契約を結びます。

このとき手付金も支払いますが、相場は売買価格の10%程度です。

手付金とは、不動産売買契約において、契約を締結する際に買主から売主に支払う売買代金の一部で、残金決済の際に売却金に充当されます。

なお売買契約書は、仲介する不動産会社が作成します。

万が一、買取資金の融資審査に落ちたときのことも考えて、契約書に「融資利用特約」の記載があるか確認しておきましょう。この特約があれば、融資が不成立となった場合に契約を解除できるうえ、手付金も返還されます。

5.融資審査の申込み

融資審査は原則として売買契約書を交わした後で申込みします。

審査には売買契約書以外に、申込者の属性や経済状況、不動産情報が記載された書類などが必要です。

金融機関によっては事前審査を行っている場合もありますが、書類の提出状況や審査内容などにより、審査結果が出るまでに1ヵ月ほどかかるケースもあります。

契約から残金決済までスムーズに進められるように、売買契約を結ぶときには必要書類を準備しておきましょう

6.融資実行、借地権の引渡し

問題なく融資を受けられれば、契約で定めた期日に融資実行・残金決済・借地の引渡しを行います。

融資実行から引き渡しまで続けて手続きしますが、建物もあわせて買取する場合、建物の所有権移転登記も行わなければなりません。借地権登記はされていない場合がほとんどですが、もし登記されている場合は地主への所有権移転登記を行いましょう。

また建物部分は不動産取得税の課税対象となっているため、期日までに忘れずに納税してください。

これをもって、借地権の買取が完了します。

借地権売却にかかる経費と税金

借地権売却にかかる経費と税金には、以下のものがあります。

経費と税金 概要
仲介手数料 仲介により契約を成立させた不動産会社に支払う手数料
譲渡承諾料 借地上の建物を所有する借地人が、借地権を第三者に売却や贈与などをするときに地主の許可をもらうために支払う費用
解体費用 建物を取り壊す費用
印紙税 契約書や領収証などの経済的な取引にともなって作成した書類に課税される税金
登録免許税 不動産を購入して登記する場合などに納付する税金
譲渡所得税 譲渡所得に課税される税金

それぞれ解説します。

仲介手数料

仲介手数料とは、仲介により契約を成立させた不動産会社に支払う手数料です。

宅地建物取引業法で上限額が定められており、上限額を超えなければ当事者間で報酬額を自由に決められます

仲介手数料の上限額は、次のとおりです。

借地権売却価格 仲介手数料上限額
200万円以下 借地権売却価格×5%+消費税
200万円超400万円以下 借地権売却価格×4%+2万円+消費税
400万円超 借地権売却価格×3%+6万円+消費税

たとえば3,000万円の借地権を売却した場合の仲介手数料は、次のように計算します。

3,000万円×3%+6万円+消費税=105万6千円

なお仲介手数料は、売買契約締結時に半金、不動産の引き渡しが完了するまでに残りの半金を支払うのが一般的です。

譲渡承諾料

借地権や借地上の建物を売却するためには、地主の承諾を得なければなりません

地主から承諾を得る際には、地主に対して譲渡承諾料を支払うのが一般的です。譲渡承諾料とは、借地上の建物を所有する借地人が、借地権を第三者に売却や贈与などをするときに地主の許可をもらうために支払う費用で借地権名義変更料とも呼ばれます。

承諾料は法律で定められているわけではないため、借地人は支払を拒否することも可能です。しかし借地契約で承諾料の規定に合意していたり、規定がなくても過去に承諾料を支払ったりしたことがある場合は、承諾料を支払わないために借地契約が解約される恐れがあるでしょう。

譲渡承諾料の相場は借地権価格の10%ほどです。相場はあくまでも目安で、地主との土地や地域の条件、関係性などによっても変わります。

なお地主が正当な理由がなく借地権売却を拒んだ場合、裁判所に借地非訟の申立を行い、地主の代わりに許可を得られます。借地非訟とは、地主と借地人の間で借地をめぐるトラブルが発生した際に、裁判所へ地主の代わりに許可を求める手続きです。

借地非訟によって「地主に正当事由なし」と裁判所が判断すれば、地主の承諾がなくても、第三者への売却は可能です。ただし裁判所が定めた承諾料を地主に払う必要があります。

また地主が借地権を買い取る場合や、相続により借地権を譲渡する場合は、承諾料は不要です。

解体費用

借地を更地にして売却するのであれば、建物の解体費用がかかります。

解体費用は建物の構造や形状、坪数などによって異なりますが、相場は以下のとおりです。

建物の構造 解体費用/1坪
木造住宅 3万~4万円ほど
鉄骨住宅 3.5万~4.5万円ほど
鉄筋コンクリート(RC)造 5万~8万円ほど

仮に40坪の鉄骨住宅を解体する場合は、140万~180万円ほどの費用がかかります。

また建物を解体する場合、ブロック塀や樹木の撤去、門扉や倉庫の撤去などの付帯工事が必要なケースがあります付帯工事費用は、解体費用とは別途必要な金員となるため、家屋を解体する場合は余裕ある資金計画が重要です。

解体費用は解体業者によって変わってくるため、複数の解体業者に見積もりを依頼するとよいでしょう。

なお事前に自分で庭木や雑草を伐採したり、家電製品や家具などを自分で処分したりすると、業者に依頼する付帯工事が減るため費用を抑えられます。

印紙税

借地権の売却の際には、印紙税がかかります。印紙税とは、契約書や領収証などの経済的な取引にともなって作成した書類に課税される税金です。借地権や借地上の建物を売却する際の売買契約書に、売却金額に応じた収入印紙を添付し、押印やサインで消印をして納付します。

収入印紙は売買契約書1通につき1枚となります。契約書は売主・買主分を作成するのが一般的なので、収入印紙は2枚必要です。

契約書に印紙税に関する取り決めがない場合は、売主と買主が平等に負担するのが一般的です。そのため売主・買主がそれぞれ保有する契約書分の収入印紙を負担します。また印紙代の負担割合は、売主と買主が自由に取り決めることが可能です。不動産会社が仲介する場合は、仲介手数料とあわせて負担割合を決める場合もあります。

不動産譲渡に関する契約書は、令和9年3月31日までに作成するものであれば軽減税率が適用されますが、借地権の譲渡については軽減税率が適用されません。ただし不動産譲渡契約書に、借地権のみでなく建物の金額もあわせて記載されていれば、合計金額が軽減税率の対象となります

たとえば売買契約書に「借地権3,000万円」としか記載がなければ、軽減税率は適用されないため、印紙税は2万円です。一方、建物2,000万円と借地権1,000万円を併記した場合は、軽減措置が適用されるため、印紙税は1万円となります。

なお、印紙税の額は、以下のとおりです。

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円を超え50万円以下 400円 200円
50万円を超え100万円以下 1,000円 500円
100万円を超え500万円以下 2,000円 1,000円
500万円を超え1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円を超え1億円以下 60,000円 30,000円

参照:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

契約書に記載された契約金額が1万円未満の場合は課税されません。また契約金額が10万円以下の場合(契約金額の記載のないものを含む)は、軽減措置の対象外です。

登録免許税

借地権上の建物を売却する際に抵当権が設定されている場合は、抵当権の抹消をしなければなりません。

抵当権抹消の登録免許税は、不動産1つにつき1,000円です。借地上に建物が2つ建っている場合は、2,000円の登録抹消費用がかかります。

また借地権や借地権上の建物が被相続人名義の場合は、所有権移転登記ができないため、相続登記をする必要があります

相続登記の計算式は、以下のとおりです。

固定資産税評価額×0.4%

なお借地権は、建物の登記がなければ、第三者に権利を主張できません。そのため、借地権を購入したときは、所有権移転登記を行う必要があります

所有者移転登記の費用は売主・買主のどちらが負担してもよいですが、買主が負担するのが慣習となっています。

登記申請は自分でもできますが、手続きが複雑なので、司法書士に依頼する場合がほとんどです。登記費用の相場は、登記内容でも異なりますが1~10万円です。

司法書士によっても異なるため、事前に見積もりをとっておくとよいでしょう。

譲渡所得税

借地権を売却したときに得られる利益を譲渡所得と呼びます。譲渡所得税は、譲渡所得に課税される税金です。

譲渡所得は、次のように計算します。

譲渡価格-取得費-譲渡費用-特別控除

取得費と譲渡費用の概要は、以下のとおりです。

概要
取得費 ・借地権や借地上の建物を取得するのにかかった費用
・借地権の更新料や権利金、建物の購入代金や建築代金、登記登記費用などが含まれる
・借地権者に返還される敷金や保証金などは含まない
譲渡費用 印紙税・仲介手数料・譲渡承諾料などが含まれる

譲渡所得税は、譲渡所得がゼロやマイナスの場合は、課税されません

たとえば不動産評価額が3,000万円の借地権を売却した際、売却価格が2,700万円の場合は譲渡所得税はかかりません。

譲渡所得税は、譲渡した年の1月1日時点での所有期間により次の2つにわけられます。

譲渡所得の種類 所有期間 税率(所得税+住民税+復興特別所得税)
短期譲渡所得 所有期間が5年以下 39.63%(30%+9%+0.63%)
長期譲渡所得 所有期間が5年超 20.315%(15%+5%+0.315%)

なお譲渡所得がある場合は、借地権を売却した翌年の2月16日~3月15日までに申告・納税をしなければなりません。申告・納税を行わなかった場合、無申告加算税や延滞税がかかることもあるため、忘れないようにしましょう。

3000万円特別控除

売却した借地権上の建物がマイホームだったときは、3,000万円特別控除の特例を適用できます

3,000万円特別控除とはマイホーム(居住用住宅)を売却した際、所有期間の長さにかかわらず、最大3,000万円を譲渡所得から差し引ける特例です。この特例を利用すれば、借地権を売却した際の譲渡所得が3,000万円以内であれば譲渡所得税がかかりません。

なお3,000万特別控除の適用要件は以下のとおりです。

  1. 自分が居住している家屋を売るか、家屋と併せてその敷地や借地権を売却すること。なお、以前居住していた家屋や敷地などの場合は、住まなくなった日から3年目の12月末までに売却すること
    また、家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件に当てはまること
    ・家屋を取り壊した敷地の譲渡契約が、家屋解体から1年以内に締結し、かつ、住まなくなった日から3年目の12月末までに売却すること
    ・家屋を取り壊してから譲渡契約を結んだ日まで、敷地を貸駐車場などとして利用していないこと
  2. 売却した年の前年や前々年に3,000 万円特別控除の特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例を受けている場合を除く)またはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例を適用していないこと
  3. 売却した年やその前年、前々年にマイホームの買換えや交換の特例を適用していないこと
  4. 売却した家屋や敷地などが、収用等の場合の特別控除など、他の特例を適用していないこと
  5. 災害により滅失した家屋の場合は、その敷地に住まなくなった日から3年目の12月末までに売却すること
  6. 土地や建物の売主と買主が、親族や夫婦、内縁関係にある人、同族会社など特別な関係でないこと

次のような家屋を売却した場合は、3,000万円特別控除の特例は適用できません。

  • 3,000万円特別控除の特例を受けるためだけに入居した家屋
  • 居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使用した家屋など、一時的な目的で入居した家屋
  • 別荘などのような趣味・娯楽・保養のために所有している家屋

参照:マイホームを売ったときの特例|国税庁

ただし、3,000万円控除特例を適用するには、建物を売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告が必要です。確定申告をしない場合、この特例は適用できないため、忘れないようにしましょう。

まとめ

借地を買取するときの価格相場は更地価格の約50〜70%で、地主と借地人のどちらが提案したかによって異なります。

借地権を買い取る際は、地主と借地人の交渉が必要です。しかし借地権は権利関係も複雑なため、間違った認識で交渉を進めてしまうと、後々トラブルになる恐れもあります。

そのため借地権の買取は、借地権に関して専門知識があり、交渉力もある実績豊富な不動産会社へ仲介を依頼しましょう。

当サイトを運営する「クランピーリアルエステート」も借地を買取する際の借地人との交渉を得意としていますので、ぜひ無料相談で悩みをお聞かせください。