袋地や囲繞地は通常の土地と何が違う?まずは特殊な土地であることを把握しておこう
そもそもですが、袋地や囲繞地は下記の通り、通常の土地とは異なる特徴があります。
土地の種類 |
特徴 |
売却時の難しさ |
袋地 |
・他の土地に囲まれており、直接公道に接していない
・他人の土地を通らなければ公道に出られない
・接道義務を満たせないため再建築不可物件 |
売却が難しく、価格が低くなりがち。 |
囲繞地 |
・袋地を取り囲む土地で公道に接している
・接道義務を満たすため再建築が可能
・通行権が発生する |
・袋地よりも比較的売却はしやすいが、通行権が発生するため通常の土地よりも売却しづらい傾向 |
上記の通り袋地や囲繞地は、特殊性から通常の土地よりも売却が難しく、売却金額も安くなる傾向があります。
袋地や囲繞地の売却を検討している場合、自身が所有する土地の特徴をまず把握しておくとよいでしょう。
袋地は囲繞地に周囲を囲まれて公道に接していない土地のこと
袋地とは、他人の土地(囲繞地)に四方を囲まれており、公道に接していない土地を指します。なお、他人の土地ではなく、河川・水路・海などに四方を遮られている土地は準袋地と呼ばれます。
建築基準法第43条では、接道義務を満たしていない土地を再建築不可物件と定めています。接道義務とは、その土地が、幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接していなければならないという義務です。
第四十三条
建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。
引用元 建築基準法 | e-Gov 法令検索
四方を囲繞地に囲まれている袋地は、公道に直接接することはありません。つまり、再建築不可物件にあたるため、更地に新しく家屋を立てたり、古い家屋を壊して再建築したりすることはできません。
さらに、建物の主要構造部に手を加えるような大規模な増改築は、現行の建築基準法では認められないため原則不可能です。行えるのは、防火的なリスクが少ないエリアの袋地かつ、10㎡未満の増築や内装リフォームのような小規模の工事に限られます。
このように、袋地は周囲を他人の土地に囲まれているだけでなく、新しい建物の建築が認められないという点で特殊といえます。なお、もともと袋地であっても、周囲の囲繞地が道路になるなどして接道義務を満たした場合は、再建築が認められます。
袋地の所有者には公道に出るための権利が認められている
袋地の所有者が公道に出るには、囲繞地を通る必要があります。いくら仕方ないとはいえ「勝手に他人の所有地を通ってもよいのか」と、疑問に思う人もいるでしょう。
しかし法律では、袋地に住む人に囲繞地を通行する権利が認められています。具体的には、法律で定められた「囲繞地通行権」と、当事者間で契約に基づく「通行地役権」の2つがあります。
袋地所有者の権利
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概要
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囲繞地通行権
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袋地を所有する人なら必ず行使できる権利。「徒歩のみ」「通行できるのは幅2m程度」といった決まりがある。
権利を行使する場合、原則として償金(通行料)を支払う必要がある。
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通行地役権
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自分が所有する土地の利便性を高めるため、他の土地を利用できる権利のこと。袋地と囲繞地の所有者両名の同意があれば、通行範囲を自由に決められる。
土地の相続や売却によって囲繞地の所有者が変わっても、通行地役権は継続して効果を持つ。
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通常の土地であれば行動に出るために他人の土地を通行する必要はありません。通行のための権利が認められている点も、袋地の特殊性といえます。
囲繞地は袋地を囲む土地のこと
囲繞地とは、袋地の周りを囲む土地のことです。袋地と異なるのは、囲繞地は道路に接しているため接道義務を満たせる点にあります。
そのため、接道義務を満たしているのであれば、建物の建て替えや増築などを行えます。
ただし、袋地の所有者は囲繞地を通らなければ公道に出られません。自身が所有する土地を袋地の所有者が通行することになるため、この点は通常の土地と異なる特殊性といえるでしょう。
袋地や囲繞地が通常の土地よりも売却が難しい理由
袋地や囲繞地は土地の特殊性から、通常の土地よりも売却が難しいです。具体的には、下記の理由が挙げられます。
- 再建築不可物件に該当するため建物を建てられない
- 日当たりや風通しがよくない
- 住宅ローンが組みづらく現金一括での購入を強いられることがある
- 災害などの非常時に対応が遅くなりやすい
- 他人の敷地の出入りが必要になる
- 袋地の場合は囲繞地の所有者に通行料の支払いを求められる可能性がある
- 空き巣などの被害に遭いやすい
- 給排水管を補修・修繕する際には隣地所有者の許可が必要になる
- 建物がある場合はリフォームや解体費用が高額になりやすい
ここからは、袋地や囲繞地が通常の土地よりも売却が難しい理由をそれぞれ解説していきます。
再建築不可物件に該当するため建物を建てられない
前述の通り、袋地は道路に接していないことから接道義務を満たせず、再建築不可物件としてみなされます。再建築不可物件は通常の物件よりも制限されることが多いため、買主から購入を敬遠されやすいです。
たとえば、マイホームの購入を検討している人にとって、長期間住めることが前提条件となります。袋地に建つ物件は老朽化が進んでも大規模修繕が制限されるため、長期間の居住を考えている人からは購入を敬遠されがちです。
また、袋地が更地の場合、建物を新たに建てることはできないため、住居の購入を検討している人から購入されることはありません。袋地に限らず、再建築不可物件は基本的には需要が低いのが実情です。実際に、袋地ではないものの再建築不可物件であるため売却先が見つからず、弊社に買取相談に来るケースも多く見受けられます。
日当たりや風通しがよくない
袋地は四方を囲まれているため、囲繞地すべてに建物があると、日当たりも風通しも悪くなります。
日当たりや風通しの悪い土地は人気が低く、買主もほとんどつきません。また、工事に必要な機材や車両の搬入が難しく、工事費が割高となるケースもあります。
法令上の制限だけではなく、住宅としての実用性の低さも袋地が売却しにくい理由の1つです。
住宅ローンが組みづらく現金一括での購入を強いられることがある
不動産を購入する場合、基本的には住宅ローンを利用します。しかし、袋地の場合は住宅ローンの審査に通りにくいです。
住宅ローンを利用する場合、購入する不動産を担保に入れるのが一般的です。担保は利用者からの返済が万が一滞った場合に損害を補うためのものであるため、融資額ほどの価値がある不動産でなければ担保に設定できません。
袋地は通常の土地よりも制限が多く、住宅としての実用性が低いことから、資産価値が低くなる傾向があり、住宅ローンの担保として認められないケースがあるのです。
住宅ローンが利用できなければ、買主は現金一括での購入を強いられます。現金で不動産を購入できる人は少ないため、買主が袋地の購入を断念してしまうケースも考えられます。
買取業者は通常ローンを利用せずに自己資金などで購入します。ただし、その後の転売時に買主が住宅ローンを利用できない物件は需要が限られるため、売却先が見つかりにくくなります。こうしたリスクを考慮し、袋地などローンが通りにくい土地は査定額が低めに設定される傾向があります。
災害などの非常時に対応が遅くなりやすい
袋地は道路と接していないため、緊急車両の出入りができません。そのため、災害などの非常時があった時の対応が遅れやすくなるのも袋地が売れづらい理由の1つです。
たとえば、急病人が出たとしても救急車が袋地に入れず、処置が遅れてしまう可能性があります。また、火災が起きた場合も消防車が入れないため、消火活動や救助が遅れてしまうリスクがあるのです。
このようなアクセスの制約は、住宅購入者にとって大きな不安材料です。特に、家族を守るために安全な立地を重視する人々にとって、非常時に対応が遅れるリスクは購入の大きな障害となるでしょう。
他人の敷地の出入りが必要になる
先に説明した通り、袋地の所有者には囲繞地通行権が認められています。
囲繞地通行権は拒否できないため、囲繞地の所有者からすると「袋地所有者の通行を強制的に認めさせられる」のと同じです。
法律とはいえ、敷地内を通行されることを快く思わない人も多くいます。実際に、防犯の観点から「隣人であっても敷地内を通行されたくない」と考える人は多いため、囲繞地の需要は少なくなります。
袋地の場合は囲繞地の所有者に通行料の支払いを求められる可能性がある
前述したように、袋地の所有者には囲繞地通行権があるため、公道に出る際には囲繞地の通行が可能です。
単純に「出入りのたびに他人の所有地を通行するのに抵抗がある」と感じられてしまうことも袋地が売れづらい理由にもなりますが、原則として通行料の支払いが必要になることも買主がつきづらい原因の1つです。
第二百十二条 第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。
引用元 e-Gov「民法」
通常の土地では通行料の支払いがないため、袋地の売却においては年間コストがかさむ点が買主にとって大きなデメリットとなります。特に、袋地の買主は「通行料が将来的に増加する可能性」を懸念することが多いため、長期的な維持費用としてコストが積み重なるリスクを嫌う傾向にあります。
実際に、囲繞地所有者が通行料を引き上げたり、通行の際に追加的な条件を課されたりしてトラブルになり、買取依頼されるケースも少なくないのです。
空き巣などの被害に遭いやすい
袋地は囲繞地に囲まれているため、通常の土地よりも死角が発生しやすいです。
特に住宅に囲まれた袋地は、背の高い木や塀などの物理的な障壁によって外部からの視線を遮られてしまい、防犯カメラや照明が届きにくくなります。そのため、空き巣のターゲットになりやすい傾向です。
こうした点も、袋地が一般的な土地より売れづらくなる理由の一つです。安全性の確保や防犯対策が必要となるため、購入後に追加の費用や手間がかかることが懸念され、買い手が敬遠する要因となります。その結果、袋地の売却が難しくなることが多いです。
給排水管を補修・修繕する際には隣地所有者の許可が必要になる
袋地に建物が建っている場合、給排水管は隣地に埋設されています。
水管でトラブルが起きた場合、補修や修繕のための工事が必要になりますが、この際には隣地所有者から許可をもらう必要があります。許可が得られるまで工事を開始できません。
また、大掛かりな工事になれば、騒音や振動によって隣地所有者に精神的なストレスを与えてしまう可能性もあります。これによって隣人トラブルに発展してしまうリスクもあることから、袋地は通常の土地よりも売れづらいのです。
建物がある場合はリフォームや解体費用が高額になりやすい
通常の土地であれば、リフォームや解体の際には重機やトラックなどが用いられます。土地の広さなど条件によって前後しますが、相場はおおむね下記が目安となります。
建築物の種類 |
1坪当たりの解体費用相場 |
木造住宅 |
3~4万円 |
軽量鉄骨造 |
38,000円前後 |
鉄骨造 |
4~5万円 |
鉄筋コンクリート |
5~7万円 |
しかし、袋地の場合、重機やトラックが入れないため、資材の搬入などに手間がかかりやすいです。そのため、工事にかかる時間や費用は上記の相場よりも高くなる傾向にあります。
実際に、弊社でも袋地やその周辺の土地を買取った後、リフォームや解体をする際の費用は高額になるケースが多いです。
不動産を購入する人のなかには、購入後にリフォームや解体を検討している人もいることでしょう。そのような人からすれば、費用や時間がかかりやすい袋地は売れづらいといえます。
袋地や囲繞地の売却価格はどうなる?
前述したように、袋地や囲繞地は特殊な土地であり再活用がしにくいため、一般的な土地に比べると売却価格が安い傾向があります。ただし、査定結果は不動産会社によって異なります。
ここでは、袋地や囲繞地の売却価格について次の観点から解説します。
- 売却相場は接道義務を果たす土地の7割程度になる
- 不動産会社が見る査定のポイント
それぞれの内容をみていきましょう。
売却相場は接道義務を果たす土地の7割程度になる
前述したように、袋地は下記の理由により、一般の買主からの需要が低くなります。
- 再建築不可物件に該当するため、新たに建物を建てることができない
- 日当たりや風通しが悪く、居住性が低い
- 住宅ローンが組みづらく、現金一括での購入を強いられることがある
- 災害や非常時の対応が遅れやすい
- 他人の敷地を通行しなければならず、出入りに制約がある
- 袋地の場合、囲繞地の所有者に通行料の支払いを求められる可能性がある
- セキュリティ面で、空き巣などの被害に遭いやすい
- 給排水管の修繕や補修を行う際には隣地所有者の許可が必要
- 建物がある場合、リフォームや解体費用が高額になることがある
このような理由から、袋地は通常の土地に比べて購入希望者が見つかりにくいため、売却価格を下げて販売するのが基本です。あくまでも目安ですが、袋地の売却価格は接道義務を満たした土地の相場の約7割程度に落ち着くケースが多いでしょう。
買取業者にとっても、袋地にはさまざまな制約があるため、リスクを見越して買取価格は低くなる傾向にあります。
なお、袋地の評価額の算定は、不整形地補正による計算や土地の形状やアクセス条件などを踏まえて調整を加える必要があるなど非常に複雑です。このため、自己判断での価格設定は難しく、専門家に査定を依頼する方が確実といえます。
一括査定サイトを利用すれば、複数の買取業者に一度に査定を依頼でき、より高額で買取してもらえる業者を見つけやすくなります。イエコンでも一括査定を利用できるので、ぜひご活用ください。
不動産会社が見る査定のポイント
一般的に、売却を依頼したときに不動産会社は次のようなポイントを押さえて査定します。
再建築の可否 |
新築・立て直しができるか |
接道状況・通路確保 |
公道にスムーズに出られるか |
インフラ状況 |
他人の土地経由でなければ上下水道・ガス・電気を使用できないか |
隣地所有者との関係性 |
四方を囲む土地の所有者との関係は良好か |
建物の解体費用 |
既存の建物の解体費用はどれくらいか |
周辺環境 |
騒音・振動・悪臭などがないか |
立地 |
公共機関や病院・学校が近いか |
袋地の場合、再建築と接道状況・通路の確保については、良い評価は見込めません。また、公道へスムーズに出られない場合は、解体に必要な機器の運び入れが難しいため、解体費用も高額化する恐れがあります。
つまり、上記6つの査定ポイントのうち3つで低評価を受けやすく、結果として査定結果も安くなりやすいです。一方で、周辺環境や立地が抜群にいい場合は、査定にプラスに働くケースもあります。活用しにくいとされる袋地であっても、市場相場と大差ない価格で売れる可能性もあるというわけです。
なお、具体的な査定ポイントは不動産会社によって異なるため、詳しい売却相場を知りたい場合は実際に査定を依頼してみるのもおすすめです。
袋地や囲繞地は専門の買取業者に売却するのが得策
買い手が付きにくい袋地や囲繞地は、専門の買取業者に売却するのがおすすめです。専門の買取業者の多くは、訳あり物件の売却ノウハウが豊富です。例えば、隣地の所有者から土地を買い取ったり、旗竿地や位置指定道路にしたりすることで、袋地を再建築可の物件にして売却するという手法が一般的です。
つまり、一般の不動産会社では持て余すような土地でも、着実に収益化できるため、袋地や囲繞地でも買い取れる可能性が高いのです。また、専門の買取業者に依頼することで、袋地・囲繞地の所有者にとっても次のようなメリットに期待できます。
- 仲介で売れなかった袋地や囲繞地も買取に期待できる
- 仲介よりもスピーディーに買い取ってもらえる
- 基本的には契約不適合責任が免責される
- 仲介手数料が発生しない
それぞれの内容をみていきましょう。
仲介で売れなかった袋地や囲繞地も買取に期待できる
袋地は通常の土地よりも制限が多いうえに、住宅としての実用性も低くなります。買主の需要も低いと考えられるため、仲介で袋地を売るのは基本的に難しいです。
実際に、仲介で何ヶ月も売れなかったため、頼みの綱として弊社へ相談されるケースも多いです。しかし、袋地や囲繞地を専門とする買取業者であれば、袋地や囲繞地をどのように活用し、高値で転売するかのノウハウを持っています。
そのため、仲介で売れなかった物件であっても積極的に売却相談に応じています。「より確実に売却したい」という場合、袋地や囲繞地を専門とする買取業者を探してみるとよいでしょう。
仲介よりもスピーディーに買い取ってもらえる
仲介の場合、買主が現れるまで不動産を売却できません。さらに、袋地や囲繞地の場合は通常の土地よりも買主は現れづらいため、仲介で売れたとしても時間がかかってしまうのが基本です。
あくまで目安ですが、仲介の場合6か月〜1年ほどかかります。
一方、専門の買取業者であれば、仲介のように買取先を探す必要はありません。業者が提示した査定額に納得できれば、そのまま即買い取りが進みます。スムーズで迅速な売却が可能なので、数日~数週間以内に現金化できるケースが多いでしょう。
「すぐにでも袋地や囲繞地を売却したい」という場合には、専門の買取業者に依頼することを検討してみてください。
基本的には契約不適合責任が免責される
契約不適合責任とは、売買した土地や建物が契約内容に適さない場合、売主が負担しなければならない責任のことです。
たとえば、袋地に建物が建っている場合、その物件に雨漏りやシロアリ被害などがあるにもかかわらず、それを隠して売買契約を締結させると、のちに損害賠償や契約の解除が求められるリスクがあります。
しかし、専門の買取業者であれば、「契約不適合責任を一切負わない」という条件で売買契約を成立できるのが基本です。また、物件の状態に関わらず、基本的にそのままの状態で袋地や囲繞地を買い取ります。売主はリスクを負うことなく物件を売却できるため、売却後に責任を問われる心配がありません。
売却後に責任に問われるリスクがなく、そのままの状態で袋地や囲繞地を売却できることも、専門の買取業者に依頼するメリットです。
仲介手数料が発生しない
不動産の売却には「買取」と「仲介」があり、より一般的なのは仲介です。仲介とは、不動産会社が売主に代わって一般購入希望者を探して売却する方法で、売却に成功すると、報酬として仲介手数料が発生します。
仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められており、売却益によって下記のように変動します。
取引額 |
報酬上限(税抜) |
200万円以下の部分 |
取引額の5%以内 |
200万円超400万円以下の部分 |
取引額の4%以内 |
400万円超の部分 |
取引額の3%以内 |
400万円を超える不動産を売買するときの仲介手数料の上限は下記の式のようにまとめられます。
(売買価格×3%+6万円)+消費税
例えば、売却価格が 1,000万円 の場合、下記の計算式で算出すると、約40万円が仲介手数料としてかかります。
(1,000万円 × 3% + 6万円)+消費税10% = 約39万6,000円
一方、買取は、不動産会社が売主から不動産を直接買い取る方法です。仲介活動は行わないため、仲介手数料は発生しません。つまり、仲介買取に比べて不動産収益の最大化を図れる可能性があります。
訳あり物件専門の買取業者の多くは、買取を実施しているため、仲介手数料を気にする必要がありません。特に袋地・囲繞地は一般的な土地に比べると売却相場が安いため、売却コストを抑えられるのは大きな魅力といえるでしょう。
袋地や囲繞地は買取業者以外の方法で売却するのは難しい
袋地や囲繞地は、買取業者以外の方法でも売却できる可能性はあります。しかし、いずれもおすすめできない理由があるため、あくまで「他にも方法はある」と把握しておく程度で考えておくのが無難です。
売却方法
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おすすめできない理由
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隣地の所有者に売却・買取の交渉をする
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隣地所有者との関係性が良好でなければ相談自体が難しい。また、隣地所有者が必ず了承してくれるとは限らないため。
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接道義務を満たして袋地を再建築可能にする
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隣地を借りたり、等価交換したりすることで接道義務を満たすことは可能。しかし、費用や手間がかかるため、すべての場合におすすめできるとはいえない。
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ここからは、それぞれの方法とおすすめしない理由について解説していきます。
隣地の所有者に売却・買取の交渉をする
一般で購入希望者を探すのではなく、まず隣地の所有者に相談してみる方法もあります。具体的には、下記の2つの選択肢があります。
- 隣人に袋地を買い取ってもらう
- 自身で隣の囲繞地を買い取る
いずれにしろ、袋地と囲繞地を合体させることで土地面積が広がります。さらに、囲繞地が公道に接していれば、1つの土地に合体させることで袋地状態が解消されるため、土地活用がしやすくなります。つまり、一般の中から購入希望者があらわれる確率が高くなるというわけです。
自身・隣人のどちらが土地を買い取っても、互いに利益のある売買取引となるでしょう。しかし、必ずしも隣地所有者が土地の売買に興味を示すとは限りません。特に近隣関係が悪化する可能性があり、強引な取引の提案が逆に売却を難しくしてしまうリスクもあります。
場合によっては有効な方法ですが、近隣とのトラブルが起きるリスクもあるため、専門の買取業者に依頼する方が確実で安全な選択となります。
隣地から一部の土地を借りて位置指定道路にする
袋地を位置指定道路にすることで、袋地そのままの状態よりも買い手がつきやすくなる可能性があります。位置指定道路とは、特定行政庁から「土地のこの部分が道路である」という指定を受けた幅員4m以上の私道のことです。
建築基準法第42条1項5号道路において、位置指定道路は以下のように定められています。
土地を建築物の敷地として利用するため、道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの
引用元 建築基準法 | e-Gov 法令検索
原則として建築基準法では私道を道路と認めていないため、私道にのみ接している土地は接道義務を満たせません。したがって、私道にしか面していない袋地は再建築不可物件ということになります。
しかし、この私道を行政から位置指定道路として認めてもらうと、その私道にしか接していない土地でも建物の建築が認められます。
つまり、新築の家を建てたり、古い建物を壊して立て直したりといった通常の土地と同様に活用できるため、購入希望者が現れる可能性があるのです。
袋地だけで幅員4mを確保するのが難しければ、隣地の土地を借りて申請するのも選択肢の1つです。とはいえ、この方法も隣地所有者との交渉が必須なほか、位置指定道路の申請自体も煩雑です。
非常に高い難易度の方法であり、現実的には難しい方法であるため、スムーズに売却したい場合には専門の買取業者に依頼する方が圧倒的に効率的です。
隣地から一部の土地を借りて旗竿地にする
旗竿地とは、見た目が旗竿に似ている土地です。具体的には、道路に接する細長い土地の先に、広くなった敷地がある土地を指します。
幅員4m以上の道路に竿部分の入り口が2m以上接している場合は、接道義務を満たせるため、再建築が可能になります。つまり、一般的な土地と同じように活用できるため、売却できる可能性が高まるのです。
この方法でも隣地の入り口を借りることになるため、所有者との交渉が必要となります。しかし売却を前提に借りる交渉では、どのような人が買主になるかわからないことから、貸し出しに難色を示す隣地の所有者が多いのが実情です。
また、旗竿地自体も通常の不動産に比べれば需要は低いため、交渉が成立しても売却できる保証はありません。そのため、買取業者への依頼の方がスムーズかつ早期に解決できる可能性が高いです。
袋地や囲繞地を高値で売却するためのコツ
袋地や囲繞地を売却するのであれば、なるべく高値で売りたいと考えることでしょう。袋地や囲繞地を高値で売却したい場合、下記のコツを実践してみてください。
- 複数の買取業者に査定をしてもらう
- 袋地や囲繞地の買取実績が豊富な買取業者に依頼する
ここからは、袋地や囲繞地を高値で売却するためのコツをそれぞれ解説していきます。
複数の買取業者に査定をしてもらう
袋地や囲繞地を買取業者に買い取ってもらう場合、まず査定を受ける必要があります。
不動産業界における査定とは、土地や建物の買取金額の目安を調べることです。不動産査定は、業者ごとに査定ポイントが異なるため、金額にばらつきが出ることは珍しくありません。
そのため、1社だけの査定では、相場を知らないまま進めてしまう可能性が高く、最終的に「本来の価値」を見逃してしまうことがあります。
複数の買取業者や不動産会社に査定を依頼することで相場感を把握できるほか、より高額で買取をしてくれる業者を見つけやすくなります。
高額買取のチャンスを逃すことなく、最適な業者を選定できるメリットがあるため、必ず複数の業者から査定を受けて比較することが大切です。
袋地や囲繞地の買取実績が豊富な買取業者に依頼する
買取業者ごとで得意としている物件種類が異なります。得意な物件種類であれば、ノウハウから高値かつ早期で袋地や囲繞地を売却できる可能性があります。
買取業者がどの物件種類を得意としているかは、買取実績からも判断が可能です。袋地や囲繞地の買取実績が豊富であれば、ノウハウがあると判断できるためです。
買取実績は基本的に公式サイトから確認できます。袋地や囲繞地を買取業者に買い取ってもらう場合、複数の業者の買取実績を公式サイトから確認しておくとよいでしょう。
まとめ
袋地や囲繞地の場合、仲介では買主がつきづらいですが、専門の買取業者に依頼することで早期での買取に期待できます。
また、すべての人におすすめできるわけではありませんが、「再建築可能にして売却する」「隣地所有者に買い取ってもらう」という方法でも、袋地や囲繞地を売却できる可能性はあります。
袋地や囲繞地の売却を検討している場合、基本的には専門業者への依頼を優先しつつ、売却の見込みがあれば他の方法も検討してみるのがよいでしょう。
なお、袋地や囲繞地を売却せずに活用する方法もあります。「希望金額よりも査定額が安かった」「そもそも売却できなかった」といった場合、袋地や囲繞地を売却せずに活用することも視野に入れてみてください。
囲繞地・袋地のよくある質問
袋地や囲繞地の売却相場はどれくらいですか?
実際の金額は土地の条件によってことなりますが、一般的には通常の土地の3割程度と言われています。
どうすれば囲繞地・袋地を高く売却できますか?
囲繞地・袋地を高値で売却するには「再建築不可物件専門の買取業者への売却する」ことを検討しましょう。場合によっては数日での現金化も可能です。→
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袋地から公道に出るには、どうすればよいですか?
囲繞地通行権を行使したり、通行地役権を設定することで袋地から公道へ出ることが可能です。
袋地を売却せずに有効活用する方法はありますか
袋地を売却せずに収益化したい場合には、次の2つのような方法があります。
- トランクルームとして活用
- オートバイの専用駐輪場として貸し出す
いずれも土地の形状に左右されずに運用できるため、袋地に向いているといえます。なお、自動車の駐車場としての運用は向いていません。袋地には通行地役権があるとはいえ、囲繞地から転用できる通路の幅はせいぜい2m程度であり、自動車がスムーズに通行するのは難しいためです。
訳あり不動産の売却でお悩みなら
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