袋小路にある家の土地の評価方法と高く売却するための3つの方法

袋小路

「両親が袋小路の奥にある家に住んでいるが、老人ホームに入るのを機に相続対策も兼ねて売却したい」あなたもこのように考えているのではないでしょうか?ただ、袋小路(行き止まり)にある家は、前面道路の幅員が狭く使い勝手が悪いことも多いです。そのため、一般的な物件と同じように売却しようと思ってもなかなか買い手が見つかりません。売却を成立させるためにも、袋小路の家の価値について正しく理解しておくことが大切です。

この記事では、袋小路の家のメリット・デメリット、土地の評価方法、高く売る3つの方法について解説します。

袋小路(行き止まり)の家とは?

行き止まり
袋小路
袋小路の家は一般的に、道路が行き止まりになっている先の土地にある家のことです。上図でいえば、D、Eが袋小路(行き止まり)の家にあたります。またもう少し広く、前面道路が袋小路になっている家をまとめて「袋小路(行き止まり)の家」ということもあります。上図でいうA~C、F~Hがそうです。売却活動を始める前には、その物件の良い点・悪い点を正しく把握しておくことが大切です。

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袋小路(行き止まり)の家のメリット4つ

前面道路が行き止まりになっているため、その道路を通る方は、同じ袋小路の家に住んでいる方か、その家に用事がある方に限られます。その結果、主なメリットは、次の4つになります。

(1)子どもが家の前で遊ぶときに安心
(2)排気ガスや騒音に悩まされない
(3)不審者がいたらすぐに気づく
(4)周囲の視線を気にせず生活できる

(1)子どもが家の前で遊ぶときに安心

袋小路には車がほとんど入ってくることはありません。そのため、家の前で子どもを遊ばせていても、事故にあう可能性が低いです。

(2)排気ガスや騒音に悩まされない

車の往来がないので、便利でも交通量の多い道路に面している家と比べて静かです。排気ガスや騒音に悩まされることなく、静かに暮らすことができます

(3)不審者がいたらすぐに気づく

袋小路にマンションが建っている場合は別ですが、一戸建て住宅ばかりの場合、人数も限られるので、袋小路に入ってくる方の顔はある程度覚えられているでしょう。そのため、住民以外の馴染みのない顔の方が袋小路に入ってくると目立ちます。怪しい人影があったらすぐに気づくことができるので、空き巣の被害を避けられます

(4)周囲の視線を気にせず生活できる

特に袋小路の行き止まり部分に家がある場合、家族か家に用事がある方以外、家の前まで人が来ることはありません。前面道路からの他人の視線をほとんど気にする必要がないので、一般的な物件に比べて視線に対してストレスを感じずに生活できます

袋小路(行き止まり)の家のデメリット3つ

次に袋小路の家のデメリットについてです。人・車の行き来が少ない袋小路だからこそのデメリットがあります。

(1)車庫入れ・車庫出し時に邪魔になる
(2)家の前が井戸端会議の場所となり付き合いに悩む
(3)火災や地震などの災害があった時に、奥の家は逃げにくい

(1)車庫入れ・車庫出し時に邪魔になる

袋小路は車同士のすれ違いが難しいような狭い道のことが多いです。しかし、近隣の家にその家の親戚や知人が訪れたときには、前面道路にはみ出して駐車されることもよくあります。また宅配便などの大型のトラックが駐車していると先に進めません。その結果、車庫入れ・車庫出しの邪魔になり、最悪の場合、車がいなくなるまで待たなければならないこともあります。

(2)家の前が井戸端会議の場所となり付き合いに悩む

車の通りが少ないというのは、子どもだけでなく、大人にとっても安全な場所です。そのため、周囲の家の方たちの井戸端会議の場所として利用されやすくなります。自分から率先して、井戸端会議に参加するのであればデメリットというわけではありませんが、近所付き合いが苦手という方にとっては強い苦痛となるでしょう。

(3)火災や地震などの災害があった時に、奥の家は逃げにくい

もし、袋小路の入り口側で火災が発生したり、地震でブロック塀や建物が倒壊したりしたときには、その奥にある家は避難が難しいです。災害が起きても安全に避難できるように、庭に木戸を設置して避難経路にしたり、塀をブロックから樹木にしたりして避難経路を確保するようにします。

袋小路の道路が私道の場合の注意点

広大な敷地を宅地として開発していた場合、前面道路である袋小路の道路が私道になっている場合があります。このとき、私道の権利を持ち分として所有していれば、大きな問題にはなりません。しかし、私道の持ち分を持たない場合には、袋地と同じ状態です。公道に出るための囲繞地通行権はありますが、ガス管・水道管の引き込み工事や修理で掘削が必要なときには、私道所有者に掘削承諾を得る必要があります。そのため、道路が私道になっている場合には、私道の持分を所有しているか、所有しているのであればどのような形で所有しているのかを確認しておきましょう

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袋小路(行き止まり)の土地の評価

国土交通省
袋小路の土地の評価は、路線価による評価、公示価格による評価、取引事例による評価の3つが主です。売り出し価格の参考にしやすい評価は取引事例によるものですが、近隣で同様の条件の取引事例が見つからなければ難しいです。そのため、公示価格や路線価による評価をもとに、売却価格を算出することもよくあります。

取引事例比較法による評価

取引事例に基づいて評価する方法が取引事例比較法です。このときの取引事例は、所在地の周辺地域で条件の近い複数の売却事例を集めることが重要です。そのうえで、土地の形状や周辺の環境、方位などの個別要素を比較検討し、土地の評価を行います。この方法による評価のポイントは、成約事例の選択です。どれだけ近い条件の事例を選べるかで、土地の評価の正確性が決まります。

公示価格による評価

公示価格は、地価公示法に基づいて、国土交通省の土地鑑定委員会が全国で標準値を選定し、毎年1月1日時点での価格として公示しているものです。国土交通省の標準値・基準値検索システムというホームページで誰でも確認できます。都道府県、市または区を選び、調査年や用途区分で絞り込むことで結果が出ます。下図は東京都・八王子市・最新調査年の住宅地で絞り込んだものです。
八王子

この地域の公示地価が112,000円/平方メートルであることがわかります。そのため、袋小路にある家の土地面積が150平方メートルだった場合には、1,680万円という評価になります。ただし、離婚や相続による売り急ぎなど、物件取引の個別事情は考慮されていません。もし急いで売却する必要があるならば、売り出し価格は公示価格を参考に算出した金額よりも20%程度下げる必要があるでしょう。

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路線価による評価

路線価は、国税庁が発表している道路に面する宅地1平方メートルあたりの土地の評価額です。相続税や贈与税などを計算するための財産評価を目的に利用されますが、金融機関がローンを組むときなどの担保評価でも参考価格として使用されます。そして、売却価格の目安は路線価の1.25倍になります。なぜなら、土地の査定額は公示価格に基づいて算出されることも多く、公示価格の80%が路線価となるように設定されているからです。以下の路線価図には千円単位で表示されています。
路線価図

たとえば、このように「260D」と表記されていれば、260,000円/平方メートルということです。家の敷地が150平方メートルだった場合、3,900万円が路線価です。さらに1.25倍した4,875万円が路線価をもとに評価した売り出し価格の目安となります。

ただ実際には袋小路にある家の場合、前面道路に路線価が設定されていないこともあります。不特定多数の方が通行する道路に対して設定されるもので、周囲の家の居住者といった特定の方だけが使用する道路には設定されないからです。そのため、袋小路のような専用通路も宅地の一部として評価することになります。袋地や旗竿地と同じような評価方法です。どの評価方法も、個別事情による評価の増減や奥行き補正、不整形地補正といった専門知識が必要です。評価するときには専門の不動産鑑定士や不動産業者へ相談するようにしてください。

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接道義務を満たしていない場合は路線価・公示地価はあてにならない

袋小路の道幅や間口が狭かったりして、家が建築基準法で定められた接道義務を満たしていない場合には注意が必要です。路線価では接道義務を満たしていない宅地は「無道路地」として定められた計算方法で評価します。しかし、その価格はあくまで税金計算のための評価額です。接道義務を満たしていない土地は、再建築不可物件のため、買主は住宅ローンも組めず、建て替え不可となります。

そのため、路線価で評価された価格で売り出しても、買い手は見つかりません。価格を大きく下げる必要があり、価格を下げても見つからない可能性もあります。接道義務を満たしているかどうかは、売却時の価格に大きく影響するので、査定の前にご自身でも調べておきましょうもし接道義務を満たしていなかった場合、問題を解消する方法がないか不動産業者に相談することをおすすめします。

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査定依頼のコツは専門に特化した不動産会社に相談すること

物件の査定は、1社にしなければならないという決まりはありません。人生で1、2回程度の高額な取引となるので、慎重に不動産会社へ査定依頼することをおすすめします。不動産会社によって物件の得意・不得意があり、同じ物件でも査定価格にばらつきが出るからです。

ただし、このときの査定結果は高ければいいというわけではありません。残念ながら、契約したいがために高額な査定をし、その後、様々な理由をつけて値下げを要求してくる不動産会社もいます。そのような会社に騙されないためにも、専門に特化した信頼できる会社を見つけることが家を売却するときには重要です。

袋小路(行き止まり)の家を少しでも高く売る3つの方法

更地
最後に、袋小路(行き止まり)の家を高く売る方法について解説します。方法は家の接道状況で異なります。

(1)通常の不動産売却と同じように家の印象を良くする

接道義務を満たしていれば、高く売るポイントは通常の物件とほとんど変わりません。内覧時には明るくハキハキと対応したり、ホームクリーニングをして家をきれいにしたりします。特にキッチンや浴室、トイレなどの水回りは、購入希望者の印象にも残りやすいので、集中して掃除しましょう。また、袋小路の家だからこそのメリット・デメリットも、これまで住んでいた実感から誠実に伝えることが大切です。良い点ばかり伝えても、売買契約成立後、クレームに発展するトラブルのもとになります。

(2)更地にして隣人に売る

接道義務を満たしていない家・土地はほとんどの人にとって価値は低いです。そのため、高く売る以前に、買主を見つけることが大きな課題になります。しかし、価値を感じて買ってくれる可能性のある相手が隣地の所有者です。

特に間口の広さが理由で接道義務を満たしていない場合には、購入することで接道義務を満たせるようになるかもしれません。そうなれば、隣地所有者の物件の価値は高まるので、相場より高い金額でも購入してくれる可能性があります。また道の幅員が原因だったとしても、隣地を取得することで駐車スペースに余裕ができるなどのメリットがあれば、取引は成立しやすいです。

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(3)リノベーションして売る

隣人へ買取の提案をして、断られたときには、第三者への売却を考えます再建築不可ではありますが、建築確認申請が不要なリノベーションは認められています。そのため、築年数が古かったとしても、一定規模のリノベーションは可能です。

ただ、リノベーションすることで売却価格を高くすることは期待できますが、リノベーションの費用負担額以上に価格を上げられるかは不確かです。少しでも高く売るという目的でリノベーションするのであれば、費用と値上がりの期待額を考えてから進めるようにしてください。

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まとめ

以上、袋小路(行き止まり)の家のメリット・デメリット、土地の評価方法と少しでも高く売る3つの方法について解説しました。

まとめ
・道路が行き止まりになっている土地にある家のこと
・袋小路の道路が私道の場合は、持ち分を所有しているかが重要
・接道義務を満たしていれば一般的な物件の売却と大きく変わらない
・接道義務を満たしていない場合には買主を見つけることから難しい
・接道義務を満たしていない状態で高く売ろうと思えば隣地所有者へ買取を提案する

袋小路の家は人気のある物件ではないです。しかし、メリット・デメリットを正しく理解し、伝えることができれば、相場より高くても買主を見つけることができるでしょう

最終更新日:

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