都営住宅の入居資格
都営住宅は、東京都が都民に対して提供するサービスであること、また、その目的が低所得者への住宅供給であることから、入居者には一定の要件が定められています。
都営住宅には、家族向きのものと、単身者向けのものとがあり、それぞれによって一部申込者の要件が異なっていますので、注意が必要です。
家族向けの物件の入居資格
①東京都内に居住していること
(都営住宅は、東京都が都民に提供するサービスですので、対象者は入居申し込みを行う時点で、東京都民となっている男女に限定されています。他の都道府県から東京に移住しようとする人が、直接都営住宅を申し込むことはできません)
②現に同居し又は同居しようとする親族があること
(家族向け物件についての申込みの場合には、当然、この条件がつきます)
③現に住宅に困窮していることが明らかであること
④収入が一定の金額を超えないこと
(都営住宅は低額所得者を対象としている制度であるため、入居要件として所得が一定の金額以下であることが条件としてチェックされます。子供がいる母子家庭などは入居が比較的決まりやすいです。概算では、世帯で収入のある人が1人の場合、以下の金額が基準とされています)
・家族が2人の場合 給与収入年収351万円まで
・家族が3人の場合 給与収入年収399万円まで
・家族が4人の場合 給与収入年収447万円まで
・家族が5人の場合 給与収入年収494万円まで
⑤暴力団員ではないこと
参照:東京都都市整備局
単身者向け都営住宅の入居条件
①東京都内に3年以上居住していること
(家族向け物件の場合には、申し込み時点で東京都在住であれば問題ないですが、単身者向け物件については3年以上の東京都内の居住実績が必要とされています)
②次のいずれかの要件に該当すること
・60歳以上、または、昭和31年4月1日以前に生まれた方(東京都営住宅条例第6条第2項第1号)
・障害者基本法第2条に規定する障害者でその障害の程度が条例に定める要件に該当する人
・障害者基本法第2条第1号に規定する障害者で、その障害の程度が一定の要件に該当する者
・原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律第11条第1項の規定による厚生労働大臣の認定を受けている者
・生活保護法第6条第1項に規定する被保護者又は中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律第14条第1項に規定する支援給付を受けている者
・海外からの引揚者で日本に引き揚げた日から起算して5年を経過していない者
・ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律第2条に規定するハンセン病療養所入所者等
・配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第1条第2項に規定する被害者又は配偶者暴力防止等法第28条の2に規定する関係にある相手からの暴力を受けた者で一定の要件に該当する者
③現に住宅に困窮していることが明らかであること
④収入がそれぞれ一定の金額を超えないこと
(都営住宅は低額所得者を対象としている制度であるため、入居要件として所得が一定の金額以下であることが条件となっています)
⑤暴力団員ではないこと
都営住宅の事故物件「直接受付」について
従来は、「病死等で発見が遅れた住宅」および「自殺等があった住宅」などのいわゆる「事故物件」については、通常の募集とは別に1月、7月、10月の年3回、「直接受付」募集という形で募集していました。
この3回の募集の内、1月と7月は同居者がいる家族向けのみの募集で、10月のみ家族向けのほかに単身者向け物件も募集されていました。
事故物件は、雰囲気が悪い、ゴミ屋敷になっている。
また幽霊が出るのではないか、恐怖度が高い物件として、一般的には敬遠されがちです。中には事故物件化して幽霊マンションという異名がつく建物もあるぐらいです。
事故物件を集めた大島てるというサイトを聞いたこともあるでしょう。
しかしこれらの不動産物件は家賃が相場より値下げされることが多く、お金の面でのメリットがあり、掃除が隅々まで行われ、風呂やキッチンが交換されてから貸し出されるケースが多いので、気持ち悪さを感じない人、霊能者などを気にしない人には人気があります。
そこで応募の倍率が高くなっていました。
しかし、平成30年2月からは、事故物件について特別に募集する形ではなく、通常物件と一緒に年4回の定期募集(5月、8月、11月、2月)において、「居室内で病死等があった住宅」として募集されることになりました。そのため現在では、「直接受付」という受付の方法は行われていません。
※東京都住宅供給公社のホームページでも、直接受付に関するページは無くなっており、閲覧できない状態になっています。
都営住宅の「居室内で病死等があった住宅」の倍率は5.2倍
事故物件に関する申込み方法などが変わって間もないのですが、現時点で情報が公開されている直近の平成30年11月の募集の結果を基に倍率を確認してみます。
平成30年11月の募集に際して、「居宅内で病死等があった住宅」の募集件数は360戸でした。
そのうち、最も倍率が高かった物件は中央区勝ちどきの物件で76倍、次いで板橋区西台の物件の68倍、王子の物件と石神井の物件がそれぞれ61倍でした。
一方で、応募がなかった物件は157件あり、43%の物件に応募がなかったことになります。
また、応募者が1名のみであった無競争で当選となった物件が47物件ありました。
全体平均では、360戸に対して1854件の応募があり、倍率は5.2倍となっています。
また、倍率が10倍未満の物件は153戸(応募がなかったものは除きます)となっています。
ちなみに、同じ平成30年11月の募集における世帯向け(一般募集住宅)の平均倍率は14.7倍、最高倍率が本郷の物件の741倍であったのと比較すると、一般論としては、やはり事故物件の方が倍率は低いといえるでしょう。
ただ、一般物件でも応募がなかった物件や、倍率が1桁の物件もありますので、最終的には物件の立地条件や、事故物件における事故の内容次第と言わざるを得ないようです。
都営住宅の「居室内で病死等があった住宅」の申込み方法
従来、通常の都営住宅への申し込みが応募書類を郵送する方法であるのに対して、直接受付ではあらかじめ定められた日に東京都庁または東京都住宅供給公社で直接申込みをする方法でした。
しかし、平成30年の2月の募集から、直接受付募集という方法が廃止され、通常の年4回の定期募集の際に、「居室内で病死等があった住宅」として、一緒に募集する形に変更された事に伴い、申込方法も、従来の直接、東京都庁または東京都住宅供給公社に出向いて手続きをする方法から、他の都営住宅への申し込みと同様に、申込書類を郵送で送付する方法へと変更になっています。
実際の抽選は、あらかじめ募集の際に定められている日に東京都庁のホールにおいて公開で行われます。
但し、この抽選に直接出向く必要はありません。
抽選会場に行ったかどうかによって、抽選の当落に影響することもありません。抽選結果は申込者に通知されます。
申し込みから入居するまでの流れ
申し込みから入居までの流れについて、直近の平成30年11月の募集で確認します。
申し込み
申込書配布期間は平成30年11月1日から9日までで、申込期限は平成30年11月13日まで(同日必着)でした。
申し込みが受け付けられると、申込者に対して「抽選番号」が送付されます。これによって、申込者は自分の抽選番号を知ることができます。
抽選
抽選は平成30年12月20日(木曜日)に東京都庁の第二本庁舎1階ホールで実施されました。
この抽選は公開されていますので、誰でも見学可能です。抽選結果は、郵送で申込者に通知されます。
資格審査
当選者については、入居資格を有しているかの審査が行われます。
必要書類の提出を求められたり、対面審査にて資格確認がなされます。
平成30年11月の募集では、資格審査期間として平成31年の2月から6月の5カ月が予定されています。
合格決定
資格審査に合格すると、合格通知書が送付されます。これによって入居資格が確定します。
入居予定住宅のお知らせ
具体的に空き部屋が発生し、入居の用意ができ次第、具体的に割り当てられた住宅が確定し、そのお知らせが届きます。
タイミング的には、使用が許可される日(使用許可日)の約1カ月前とされています。
通常の物件の場合、募集は部屋が空いた後に行われるのではなく、空く見込みの時点でなされるため、現在の入居者の退去状況によっては、実際に入居できるまでに相応の期間が生じてしまう可能性があります。
実際、平成30年11月の募集でも、使用許可日は平成31年6月から平成32年2月の見込みとしています。
更に「空き家が見込みどおり発生しないときは、平成32年3月以降になる場合もあります」と注意書きをしています。
ただ、事故物件の場合には、入居者の方は既に亡くなる等しており、当該物件に居住していないと考えられます。
従って、通常物件の場合とは異なり、退去のタイミングを待ってということはないため、通常物件よりも入居可能日は早くなります。
入居説明会
使用許可日の3週間前に入居説明会が東京都住宅供給公社で行われます。
内容は、入居までの手続きや、下見の仕方などについてです。
時間的には概ね2時間程度かかることが多いです。
住宅の下見
実際に住む部屋の下見は任意ですが、やはり、実際にどのように家具を配置するか、何らかの不備が無いかなどは確認しておく事が好ましいでしょう。
下見ができる期間は1週間程度です。
できるだけ時間を工面し、実際に住んだ時に「家具が入らない」「コンセントが足りない」といった事態が起こらないようにしましょう。
保証金納付・連帯保証人の準備
入居手続きまでに住宅使用料(要するに家賃ですが)の2カ月分を保証金として納付する必要があります。
また、一定の要件を備えた方に連帯保証人になってもらう必要があります。
入居手続き・鍵の受け取り
実際に必要書類等を提出して、入居手続きを行います。
入居手続きが済むと実際に鍵を受け取ることができます。
但し、入居可能日は別に設定されていますので、それまでは家具の搬入等はできません。
入居
入居可能日から15日以内に引っ越しを行う必要があります。
なお、水道、ガス、電気などは、あらかじめ引っ越し日を通知しておく必要があります。
そうでないと引っ越しをしたのにこれらが使えないという事態になりかねませんので注意が必要です。
住民票の異動
引っ越しが完了したら、区役所に転居届を提出し、住民票の異動を行います。
入居届けの提出
住民票の異動が完了したら、住民票の写しを持って、当該物件の管轄センターに入居届けを提出します。これによって、一連の手続きは完了となります。
落選したら「再申込」もしくは「UR都市機構」を検討するのもアリ
都営住宅が建っているエリアによっては、倍率が非常に高いものもあります。
その場合落選することも想定しなければいけません。
落選した場合にはどういった対策を採ればよいでしょうか。
再申込に挑戦してみる
都営住宅は定期的に入居者の募集を行っています。
退去が多く発生する時期や、あまり倍率の高くない土地を狙って再度申し込みをしてみるのが、確かな手段と言えます。
何度も抽選に挑戦することで、受かる可能性も出てきます。
ただし受かりやすい属性というものがあるので、収入が多い人や年齢の若い人はどうしても抽選に通りにくいです。
UR都市機構の住宅に申し込む
UR賃貸住宅という、UR都市機構が提供する住宅もあります。
TVCMなどもよく放映されており、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
これは旧来の団地などを大幅にリノベーションし、現役世代の入居者向けに提供されている住宅になります。
また団地のリノベーション物件だけではなく、タワーマンションやデザイナー物件などもあります。
入居に必要な礼金、仲介手数料が無料であり、更新料も無料など経済的なメリットが数多くあります。
ただし入居にあたっては、一定以上の月収や前家賃の支払いなどの条件が設けられています。
それでも保証人や保証料も不要なので、貯金はあるが定収入がない人、多様な職業の方や外国人の方におすすめできる賃貸物件です。
こちらに申し込んでみることも検討してみましょう。
入居者の募集案内は、以下のサイトから確認できます。
店舗での相談も可能です。
参照:UR賃貸住宅
まとめ
いわゆる事故物件については、通常の都営住宅の募集と異なる手続きとされていましたが、平成30年からは通常の募集と同じ手続きでの募集となっています。
これにはメリット、デメリット双方があります。
デメリットとして、以前は、直接都庁などで、申し込みを行う際に、他の方の応募状況を得られたのですが、現在は全て郵送となったため、他の方の応募状況を見てから倍率の低い物件を選ぶといった対応ができなくなっています。
一方、メリットとして、従来、事故物件については募集が年3回で、単身者はそのうちの1回しか応募できなかったものが、現在は年4回の募集があり、しかも、単身者も2月と8月の年2回応募が可能となったことが挙げられます。
また、応募を郵送で行えるという点も、平日の日中に仕事をしている人にとっては、メリットといえるかもしれません。
人気の高いエリアの都営住宅に住みたい場合は、粘り強く何度も挑戦するか、似たような性質を持っているUR都市機構の賃貸住宅にも挑戦してみましょう。
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