借地権の住宅ローン審査が厳しい理由とローンが組めない銀行について

借地権 住宅ローン審査

マイホームを購入するとき、土地が借地権であれば土地代は不要なので通常の不動産に比べて価格は低くなります。

それでも、購入価格は数千万円になるので現金一括は難しいでしょう。

この記事をご覧のあなたも「土地が借地権でも住宅ローンを借りられるだろうか」と不安に感じているのではないでしょうか。

実際のところ借地権の場合、住宅ローンの審査は通常の不動産よりも厳しいです。それは、どうしてなのでしょうか。

この記事では、借地権の住宅ローン審査が厳しい理由を解説したあと、具体的に住宅ローンを組めない銀行やフラット35を利用するための一定の要件についてもお伝えします。

これを読めば借地権で住宅ローンを組むために必要な条件を理解できます。

そして前もって対策することで、売買契約後に住宅ローンの審査が通らずに購入できないということを避けられるでしょう。

借地権の住宅ローン審査は厳しい?その理由とは

借地権 住宅ローン審査
不動産を購入するときには、住宅ローンを組むことが一般的です。

しかし、購入予定の土地が借地権だった場合、住宅ローンの審査が厳しくなります

その理由は、以下の3つです。

・担保価値が低いから
・借地契約を解除されるリスクがあるから
・地主からの承諾書に絶対の効力があるわけではないから

担保価値が低いから

銀行が住宅ローンの審査をするときには、対象の不動産の担保価値が重要です。

住宅ローンで借り入れる金額は年収の何倍にもなります。

銀行がそれだけの金額を融資できるのは、その購入希望者が信用できるということだけではなく、万が一、不測の事態でローンの返済を滞納されたとしても取り戻す対策があるからです。

それが「抵当権の設定」です。

不動産に抵当権を設定することで、債務不履行となったときには不動産を競売にかけて売却できます。

そして、そのときに競り落とされた金額をローン残債にあてます。

通常、住宅ローンを組むときには土地と建物の両方を担保に入れます

しかし借地権の場合、土地所有者は地主なので、地主の承諾がなければ抵当権を設定できません

そして借地権が賃借権の場合、地上権とは違って登記への協力義務はないので、地主は拒否することができ、承諾してもらえることはほとんどないです。

そのため、銀行が抵当権を設定できるのは建物のみになります。

それでも借地上の建物に抵当権を設定した場合、その敷地まで抵当権の効力は及ぶという判例が出ているので、担保価値としては建物価格+借地権価格で考えられます。
このとき、借地権価格は所有権を持つ土地に比べて低いです。

相続税評価額でも更地価格の6割程度が借地権価格になります。
そして借地権付き建物を競売にかけるとき、実際に競り落とされる金額は相続税評価額よりも大きく下がる傾向にあります。

借地権に関連した様々な手続きの煩雑さや権利の複雑さから購入したいと考える人が少ないからです。

つまり借地権付き建物の担保価値は、通常の不動産よりも低くなるので審査が厳しくなるということです。

また審査に通ったとしても金利が高く、返済が負担になってくるようなこともあるので融資条件も確認するようにしましょう。

借地契約を解除されるリスクがあるから

借地権は借地借家法の適用を受け、借地人に対する保護が強い権利です。

ですが、借地人が地代を滞納したり、地主の承諾なく増改築したり、建物の名義を父名義から自分名義にしたりすると契約違反となり、借地契約を解除されるおそれもあります。

そして借地人が原因で契約解除となると、建物買取請求権があったとしても、地主はその請求を拒否できます

そうなれば借地人は建物を取り壊して地主に土地を返却するしかないです。

しかし、抵当権が設定されている建物を解体するときには、抵当権者である銀行の承諾が必要になります。
この承諾は住宅ローンを完済することが大前提です。

もし完済できないのであれば、残債分を他の不動産や資産を担保として抵当権を付け替えるか、無担保で借地人に借り換えするかなどの対応となります。

ただし、担保になる複数の不動産を所有していたり、無担保で住宅ローンの残り分すべてを借入できたりする人はほとんどいません。

そのため銀行としても取り壊しを承諾することは難しく、借地契約が解除されたあとでは、地主の土地の上に「権利がない状態」で担保が存在していることになります。

このような状態で建物を競売にかけたとしても、借地権は存在しません。建物の所有権を取得しても、地主から土地の明け渡しを求められたら従うしかないです。

そのような建物を誰も競り落とそうとはしないでしょう。

つまり借地契約を解除されると、建物が担保の意味をなさなくなります

こうしたリスクが借地権にはあるため、借地権の住宅ローン審査を厳しいです。

地主からの承諾書に絶対の効力があるわけではないから

法律上、借地上の建物に抵当権を設定するときに地主の承諾は不要です。

なぜなら借地上とはいえ、建物は購入者の所有物だからです。

また借地上の建物に抵当権を設定することで、借地権にまで効力が及ぶというのは先ほど伝えたとおりです。

しかし、ほとんどの銀行で住宅ローンの融資審査をするときには地主の承諾書を求めます

その理由は、建物の担保価値がなくなることを防ぐためです。

この承諾書には、「地代の支払い遅延など借地契約解除にあたる行為があったときは、借地契約を解除する前に抵当権者へ通知・報告する」という内容の記載が求められます。

この記載をしておくことで、地主から地代滞納の連絡を速やかに受けることができるからです。

そして、借地契約が解除される前に銀行が競売を申し立て、裁判所の許可を受けて地代を代払いすることで借地権の消滅を防げます。
ただし、地主と銀行に契約関係はありません。

承諾書に通知することを書いていたとしても、抵当権者から地主に対してその通知義務への対価の支払いがない場合は地主に特別な法律上の義務が生じるとは解釈できず、地主の土地賃貸借契約の解除権を制限しない、という判決も出ています。(東京地方裁判所平成11年6月29日判決)

そのため、承諾書を提出してもらえれば絶対に大丈夫というわけではありません

銀行への連絡なしの借地契約解除を一定数防ぐことはできますが、それでもリスクがある状態です。

このように借地権付き建物で住宅ローンを組むときには、銀行側のリスクも大きいため審査が厳しくなりがちです。

一方で、不動産会社も住宅ローンの審査を通したいという思いは買主と共通しています

なぜなら、不動産会社は、不動産売買の契約が成立してはじめて「仲介手数料」という利益を得られるからです。

もし住宅ローンの審査が通らないからという理由で解約になってしまうとまさにタダ働きになってしまいます。

そのため特に、借地権付きの不動産を購入したいときには不動産会社選びが重要です。

不動産業者によってはある特定の銀行あるいは支店単位で密接な関わりがあって審査が優遇されるようなこともあります。また融資審査は銀行のローン担当者によるところも大きいです。

しっかりと条件を見極めたり、経験が足りなかったりする担当者では、通る審査も通りません。
そこで、ローン担当者の力量を判断でき、力不足だと感じればローン担当者の変更も依頼してくれるような不動産会社であれば、安心できます。

借地権付き物件を仲介してくれる不動産会社の担当者がどれくらい住宅ローンにも詳しいか確認するようにしましょう。

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借地権の場合は、住宅ローンを組めない銀行

銀行の中には、借地権の場合、規約で住宅ローンを組むことを認めていないところもあります

知らずにそのような銀行へ住宅ローンの相談に行っても時間と労力が無駄になってしまいます。

次に紹介する銀行は、ホームページ上で「借地上の建物は住宅ローンの融資対象外」と明記しているところです。

・イオン銀行
・新生銀行
・住信SBIネット銀行
・ソニー銀行

また、みずほ銀行のネット住宅ローンでは、借地権全てではなく「定期借地権付」の場合は借りられないとされています。

そのため定期借地権付きのマンションを考えている場合は注意が必要です。

この他、ホームページ・規約などには明記していなくても、「基本的には融資しない」という方針の金融機関もあります。

「住宅ローン不可」と書いていなければ、すぐに「融資対象になる」と思わずに、まずは一度問い合わせてみることが大切です。

「フラット35」は一定の要件を満たせば利用できる

住宅ローン審査
ここまで解説してきた住宅ローンは、銀行が提供している「民間融資」でした。

ですが、実は住宅ローンと言っても「フラット35」・「民間融資」・「公的融資」の3つの種類があります。

そして独立行政法人住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供している「フラット35」であれば、借地権でも一定の要件を満たすことで利用できます

その要件というのは、以下の3つです。

・担保
・借入期間
・借入対象となる借地権取得費

要件1:担保

原則、敷地に住宅金融支援機構を抵当権者とする第1順位の抵当権を設定することが条件になります。

第1順位の抵当権というのは、他の債権者よりも優先されてその担保からお金を回収できる権利です。

この抵当権の順位は、借主が債務不履行によって自己破産などに陥ったときに重要な意味を持ちます。

自己破産になるような人は住宅ローン以外にも、様々な金融機関・貸金業者からお金を借りている状態のはずです。

このとき少しでもお金を回収するために、借主の財産を現金に変えていく作業が始まります。当然、不動産も競売にかけられます。

そして不動産は数千万円になることもある大きな財産です。

もし抵当権の順位が1番でなければ、不動産を売却した代金は他の債権者と分け合うか、上位の債権者が順番にお金を回収したあとで残った金額分を回収することになります。

しかし、それは金融機関にとって嬉しくありません。

住宅ローンとして年収の10倍近い金額を融資するわけなので、どこよりも先に回収したいと考えます。

そこで第1順位の抵当権を設定することで、一番にお金を回収できる権利を取得します。

ただし、抵当権の設定は地主の承諾が必要です。

この抵当権設定の承諾は、最初の方にもお伝えしましたが、借地権が賃借権の場合、地主に承諾する義務はありません
そのため地主に拒否されてしまう可能性はかなり高いです。

ですが、金融機関によっては地主の承諾を得られなくてもフラット35を利用できる場合があります。

地主の承諾がないからと諦めるのではなく、一度問い合わせてみてください。

要件2:借入期間

借入期間は借地権の種類によって異なります

普通借地権であれば通常の借入期間と同じ扱いです。新法借地権では借地権の存続期間は最低30年となっているので、初回の契約期間も30年としていることが一般的です。

しかし、普通借地権は更新できるもので、更新を前提として取得するものになっています。

そのため借入期間においては、通常の所有権を取得する不動産を購入するときと同じように取り扱われています。

それに対して、定期借地権・建物譲渡特約付借地権の場合は更新がない借地権です。

契約期間満了となれば建物を取り壊して更地で地主に返却するか、建物ごと地主に買い取ってもらうかになります。

そこで通常の借入期間と借地権の残存期間を比べて、短い方の年数を借入期間の上限として利用します。

借地権の残存期間が少ない場合は、融資を受けられる金額が少なくなったり、毎月の返済の負担が重くなったりするので購入したい不動産が借地権付きだったときには、最初に借地権の種類・借地権の残存期間を確認することが大切です。

要件3:借入対象となる借地権取得費

借地権を取得するためにかかった費用がすべて借入対象になるわけではありません

借入対象は次の4つです。

(1) 権利金
(2) 保証金
(3) 敷金
(4) 前払賃料

これらのお金は、土地賃貸借契約書、地上権設定契約書で種類と対価の支払いを確認できることが条件です。

実際にお金を支払う必要があるものでも、契約書の記載に漏れがあったり、支払い項目の名前がなかったりすると借入対象にならないので注意してください。

そして保証金、敷金、前払賃料は担保設定に加えて、原則、返還請求権に質権も設定されます。

これらのお金は借地契約解約時に、借地人に返金されるものです。

質権を設定することで、住宅ローンを完済するまえに返金が発生した場合は金融機関に返金されることになります。
貸したお金を確実に金融機関が回収するための手段の一つです。

住宅ローンを返済できないというようなことがない限り、抵当権と同じで問題になることはないので安心してください
また、借地権取得費が名義書換料または承諾料の場合は、借入対象ではない点にも注意が必要です。

借地権でもフラット35を利用するために必要な3つの要件について解説してきました。

実際に利用できるかどうかは、利用希望者の年収や信用情報、対象不動産の条件などが関係してくるので、まずは融資を受けたい金融機関に問い合わせてみましょう。

借地権かつ再建築不可物件の場合、非常に住宅ローン審査が厳しい

再建築不可物件

建物の敷地が借地権なだけでも住宅ローン審査が厳しいことは、今まで解説してきたとおりです。

さらに、購入を予定している一戸建てが市街化調整区域にあって、その物件が接道義務を満たしていないなどで再建築不可だった場合、住宅ローン審査は非常に厳しくなります

特別な場合を除いて、通らないと思った方がいいです。

なぜなら、「再建築不可物件」は銀行にとって「担保評価がゼロ」のものだからです。

繰り返しになりますが、担保は債務者(住宅ローンを組んだ人)が住宅ローンを返済できなくなったときに、対象の不動産を競売にかけて現金化し、債権者(住宅ローンを融資した金融機関)が住宅ローン残債を回収することが目的のものです。

しかし再建築不可物件は現在の建築基準法を満たしておらず老朽化しても建て直しができないため、買い手がつきにくいものになっています。

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住宅ローン審査が通らないときの対処法

審査に通らなかったとしても住宅購入を諦めるのはまだ早いです。

借入可能金額は少なく、年利は高くなりますが、銀行のフリーローンやリフォームローン、一般的な銀行とは異なる取扱基準で特殊物件にも融資を行っている三井住友トラスト・ローン&ファイナンスのローン商品を利用する方法もあります。

住宅ローンはそのお金を何に使ってよいかという資金使途が明確に定められていますが、フリーローンなど資金使途が定められていないものであれば、名義書換料や承諾料としても利用できます。

まとめ

以上、借地権の住宅ローン審査が厳しい理由とローンが組めない銀行、借地権でもフラット35を利用するための3つの要件について解説してきました。

まとめ
・借地権の住宅ローン審査が厳しい理由は、借地権の担保価値の低さと不安定性
・借地権だとローンを組めない銀行は、イオン銀行・新生銀行・ソニー銀行など
・借地権の場合、フラット35利用要件は、担保・借入期間・借入対象となる借地権取得費
・借地権かつ再建築不可物件は、担保価値がゼロ円なので住宅ローンを組めない

借地権の住宅ローン審査はたしかに厳しいです。

ですが、絶対に融資を受けられないわけではありません。
「自宅をここに建てたい」、「この家に住みたい」と思ったところが、借地権や再建築不可物件などの訳あり物件であれば、借地権や再建築不可物件の取扱い実績が豊富な不動産会社に相談することをおすすめします。

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