再建築不可物件を増築するときの注意点と増築可能にする方法

再建築不可物件

「子供が大きくなり自宅が狭く感じるようになった」「将来は実家の両親と一緒に住める二世帯住宅にしたい」など、自身や家族のライフスタイルの変化に合わせて住まいの増築を考える方も多いのではないのでしょうか。

上記のような理由で増築をお考えであれば、お近くの不動産業者に依頼するのが一般的です。

しかし、もし現在お住まいの住宅が「再建築不可物件」であるなら話が変わってきます。

「再建築不可物件」とは、読んで字のごとく建築をすることができない物件のことを指します。

再建築をすることができないということは、現在建っている建物を取り壊して更地にしようが、火災や地震などの災害で大規模な修繕が必要な状態になったとしても建て替えることができません。

もちろんそれは増築も例外ではありません。

ただ、そんな再建築不可物件にも増築(建築)を可能にする方法は存在します。

今回の記事では、そんな再建築不可物件を増築可能にする方法を中心に押さえておくべきことを3つご紹介していきます。

再建築不可物件は増築できない?

増築
冒頭でも簡単に説明しましたが、再建築不可物件とは原則として建築をすることができない物件になります。

もちろん、増築に関しても例外ではありません。

そんなデメリットを抱える再建築不可物件ですが、どうして建築をすることができないのかという疑問を持っている方も多いのではないのでしょうか。

再建築不可物件を建築することができない理由には、建築基準法という法律が深く関わっています。

建築基準法については下記をご覧下さい。

建築基準法(けんちくきじゅんほう、昭和25年5月24日法律第201号)は、国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定めた、日本の法律である。前身は市街地建築物法(大正8年法律第37号)である。

参照:電子政府の総合窓口(e-Gov)

上記が建築基準法の概要です。

建築基準法とは昭和25年5月24日に定められた法令になりますが、それ以降も多くの法改正が行われて現在にまで至ります

また、建築基準法の中には「接道義務」という項目があります。

接道義務については下記をご覧下さい。

接道義務(せつどうぎむ)とは、建築基準法(以下「法」)第43条の規定により、建築物の敷地が、道路に2メートル(ないし3メートル)以上接しなければならないとする義務をいう。都市計画区域と準都市計画区域内でだけ存在し、都市計画決定されていない区域では接道義務は無い。

上記が接道義務の概要です。

簡単に説明をすると、自身が所有している敷地が建築基準法を満たす道路(幅員4m以上)に2m以上接していなければならないということになります。

再建築不可物件となっている物件の多くが、下記の建築基準法、または接道義務の条件を満たしていません。

  • 建築基準法を満たした道路(幅員4m以上)に面していない
  • 建基法を満たした道路に面しているが、敷地が2m以上接していない

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再建築不可物件を増築可能にする方法

再建築不可物件とは、建築基準法や接道義務が原因となっているため増築(建築)をすることができないと解説しました。

そのため、再建築不可物件の所有者が増築を考えた時、敷地ごと売却して違う土地を購入するという方法しかないのかと考えてしまいがちですが、実は増築(建築)を可能にする方法も存在します。

それは、上記でも解説してきた建築基準法や接道義務の条件を満たし、再建築不可物件ではなく通常の物件として扱えるようにするという方法になります。

ここからは、その方法について図を用いて解説していきます。

セットバックを利用する

建築基準法や接道義務を満たすためには「セットバック」というものを利用して道幅を調整する方法があります。
セットバック

セットバックとは後退という意味になり、文字通り自身が所有している敷地を後退させることで前面の道路幅(幅員)を4m以上にして建築基準法を満たした道路にするという方法です。

上図(左)のように、自身が所有している敷地が前面道路に2m以上接しているため接道義務は満たしていますが、土地に接している道路が幅員4m未満で建築基準法の条件を満たしていないというケースがあるとします。

このような場合、上図(右)のように自身が所有している敷地をセットバック(後退)させて道路中心線から左右に2mずつ、幅員が4m以上になるよう調整をします。

セットバックを行って前面道路の幅員を4m以上にすることができれば、建築基準法を満たした道路として認められるので、その道路に2m以上接している敷地に建っている物件は再建築不可物件ではなく通常の物件として扱うことができるようになります。

ただ、問題点としてこのセットバックを利用して後退させた部分は私道ではなく公道として扱われることになります。

そのため、たとえ自身が所有していた敷地であっても建物はもちろん、塀や柵なども設置することができないという制限が付けられるので慎重に考えるようにしましょう。

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隣接している敷地を購入する

建築基準法や接道義務を満たすためには、隣接している敷地を購入して道路と接する部分を広くするという方法もあります。
隣地購入

上図(左)のように、自身が所有している敷地が建築基準法を満たした幅員4m以上の道路に面していても、土地と道路が1.5mしか接していないので、接道義務の条件を満たせていないというケースがあるとします。

このような場合、上図(右)のように自身が所有している敷地に隣接している部分の一部(上図では1辺0.5mの正方形部分)を購入することで、道路に接する部分の間口が2m以上になるよう調整します。

隣地を購入して建築基準法を満たす道路に2m以上接することができれば、接道義務を満たした敷地として認められるので、その敷地内に建っている物件は再建築不可物件ではなく通常の物件として扱うことができるようになります。

上記で解説したものが再建築不可物件を増築(建築)可能にする方法です。

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増築する際の注意点

増築
再建築不可物件でも増築(建築)をすることは可能だということは解説しましたが、そもそも増築とはどこまで可能なのかご存知でしょうか。

「増築」とは、建物の延床面積を増やすことを指します。

また、延床面積が変わらないものに関しては改築と呼ばれています。

つまり、増築とは平屋を2階建て住宅にしたり、既存の部分に新たなスペースを加えたり、単純に建物の延床面積を増やすことができるものになります。

上記のように、様々な工事が可能で自由度も高い増築ですが、その分いくつか注意しなくてはいけないことも存在します。

ここからは、そんな増築に関する注意点をまとめて解説していきます。

建物の耐震性に問題が発生する可能性がある

増築をする際に注意しなければならないのが、増築によって建物の耐震性に問題が発生する可能性があるということです。

増築は既存部分の住宅に新たな部分を付け加えるということなので、どうしても増築部分とそうでない部分の2つに分かれることになります。

また、増築は基本的には耐震性を意識した工事が行われます。

そのため、既存の住宅が耐震基準を満たしている物件であれば問題はないですが、もし耐震性の劣る物件であった場合、増築した部分と耐震性のズレが生じてしまいます。

耐震性にズレのあるバランスが悪い住宅は、通常の住宅よりも倒壊するリスクが高いとされています。

そのため、増築する際には必ず既存部分の耐震調査をして、必要であれば耐震補強を済ませてから工事を検討するようにしましょう。

増築で生まれた接合部では雨漏りが発生しやすい

次に注意しなければならないのが、増築で生まれた接合部では雨漏りが発生しやすくなるということです。

上記でも解説をしていますが、増築をすると増築部分と既存部分の2つに分かれることになります。

増築工事がうまく行われているのであれば特に問題はないのですが、うまく施工が行われていなければ接合部分に隙間が生まれてしまうということも十分にあり得ます。

うまく施工が行われずに接合部分に隙間が出来ている場合、雨が降った際に雨水が隙間に入り込み雨漏りが発生しやすいです。

そのため、増築をする際には必ず施工業者と話し合い、既存部分と増築部分の接合部の対策を徹底してもらうようにしましょう。

建築基準法上の規定範囲内で増築する必要がある

次に注意しなければならないのが、建築基準法上の規定範囲内で増築する必要があるということです。

新築を建てる時と同様に、増築や改築であっても建築基準法上の規定を守り建築をする必要があります。

また、それには「建ぺい率」「容積率」といったものが大切になってきます。

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことを指します。

容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合のことを指します。

どちらも簡単に説明すると、その敷地ではどのくらいの面積を建物のために使うことができるのかということを示す数字になります。

増築

上図のように、敷地面積100㎡で建ぺい率50%の土地があるとします。

これは、敷地面積100㎡のうちの50%である50㎡を建物面積として使うことができるということになります。

また、この面積は、敷地を真上から見た水平投影面積を基準とします。
増築

上図のように、敷地面積100㎡で建ぺい率50%、容積率150%の土地があるとします。

これは、敷地面積100㎡の150%の数字を建物の延床面積に使えるということになります。

そのため、敷地面積100㎡の150%である延床面積150㎡の建物を建築することができるということになります。(建ぺい率が50%なので、1階50㎡、2階50㎡、3階50㎡という造りになる)

このように、建築基準法上の規定を守った上で増築をしなければいけないので、まずは自身の物件の工事が可能か、調べることも必要です。

増築することで固定資産税の負担が増えてしまう

最後に注意しなければならないのが、増築によって固定資産税の負担が増えてしまうということです。

本来、再建築不可物件は建築することができないという理由から利用価値や資産価値が低いとみなされており、固定資産税を含む税の負担が少なくなっています。

しかし、再建築不可物件を増築可能にするということは、同時に再建築不可物件ではなく通常の物件になるということになります。

そのため、物件の利用価値や資産価値も通常のものと同様に扱われるようになるだけでなく、増築の内容によってはより価値が高まるという可能性も十分に考えられます。

上記のような理由から、再建築不可物件を増築するということで固定資産税を含む税負担が増えるということは事前に理解しておきましょう。

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再建築不可物件を増築できない場合、どんな活用法があるのか?

不動産投資

ここまで再建築不可物件を増築可能にする方法について解説してきましたが、さまざまな理由で再建築不可物件の増築ができず、そのまま物件を放置してしまっている方も少なくないはずです。

しかし、再建築不可物件を放置すると、固定資産税による損失が膨らみ、いつの間にか大きな負債となってしまう恐れがあります。

ですが、再建築不可物件であっても、5つの活用方法を知ることで建築可能にでき、収益物件化して損失を防ぐこともできます。

再建築不可物件のデメリットを払拭し、利益を生み出す5つの活用方法は以下の記事を参考にしてみてください。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、再建築不可物件の増築に関して押さえておきたいポイントを3つご紹介しました。

最後にもう一度おさらいをします。

そもそも再建築不可物件は原則として増築することができません

しかし、再建築不可物件でも建築基準法や接道義務といった法律上の規定を満たすことで、通常の物件と同様に増築(建築)を可能にすることができます。

ただ、増築するにはいくつかの下記のような注意点があります。

  • 建物の耐震性に問題が発生する可能性がある
  • 増築で生まれた接合部は雨漏りが発生しやすい
  • 建築基準法上の規定範囲内で増築する必要がある
  • 増築することで固定資産税の負担が増えてしまう

また、様々な理由で再建築不可物件を持て余してしまっているという方は、賃貸物件にして貸出しを行うという活用方法もあります。

再建築不可物件の増築を考えているという方は、今回の記事をよく読んで、一度不動産会社に相談や確認などをしてみることをおすすめします。

最終更新日:

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