
再建築不可物件の場合、現在建っている古い物件を建て替えられません。災害で大規模な修繕が必要になったとしても同様です。
そのため「デメリットの多い再建築不可物件は購入する価値がない」と考えている人も多いでしょう。
しかし、じつは再建築不可物件にも隠れた価値が存在します。通常物件より安価で購入できるため、取得後に再建築不可の状態を解消することで、資産価値が上げられるお得な物件といえるのです。
再建築不可物件の購入を検討するにあたっては、再建築不可物件に関する知識が豊富な専門の不動産業者へ相談し、物件購入にあたってアドバイスを受けることが重要です。
また、資産価値の低い再建築不可物件を購入し、扱いに困ったり不要に感じるといった場合は、一括査定の結果をもとに売却も検討するとよいでしょう。
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目次
再建築不可物件を購入するメリット
再建築不可物件はリスクばかりが目立ち、価値のないものだと思っている人も少なくありません。
しかし、再建築不可物件にも購入する価値は十分にあります。
主に、下記の3つがメリットといえるでしょう。
- 周辺物件の相場よりも安価に購入ができる
- 浮いた購入費用を別の出費に充てられる
- 固定資産税が安いので税負担が少ない
1.周辺物件の相場よりも安価に購入ができる
再建築不可物件を購入するメリットといえば、まずは周辺物件の相場より安価で購入できることがあげられます。
再建築不可物件は建物だけでなく、土地そのものの利用価値や資産価値も低いとみなされます。
そもそも、問題を抱えた不動産を買う人は少なく、需要が低いといえます。自然と価格は安くなり、思わぬ掘り出し物が見つかるかもしれないのです。
価格相場は通常の5~7割程度
個々の条件で異なりますが、再建築不可物件は、通常価格の5~7割程度で売買されるのが一般的です。
例えば、購入を検討している物件の相場が約3,000万円だったとします。
しかし、購入予定の物件が再建築不可物件だった場合、約1,500万~2,100万円ほどで購入きます。
数百万~数千万円単位で価格が安くなると考えると、金銭的なメリットは大きいといえるでしょう。

2.浮いた購入費用を別の出費に充てられる
「再建築不可物件は周辺の物件より5~7割程度で購入できる」と解説しましたが、安価で購入することで、浮いたお金をリフォームやリノベーションに充てられる点も大きなメリットです。
再建築不可物件は築古物件であることも多く、購入後はリフォーム・リノベーションをおこなうケースが少なくありません。
劣化が激しい物件でも、安く買えた分の費用をリフォーム・リノベーションに費やせば、自分好みの物件にすることが可能です。

3.固定資産税や都市計画税が安い
再建築不可物件は資産価値が低いので、固定資産税や都市計画税などの税金が安くなります。
固定資産税とは、毎年1月1日(賦課期日)現在の土地、家屋及び償却資産(これらを「固定資産」といいます)の所有者に対し、その固定資産の価格をもとに算定される税額をその固定資産の所在する市町村が課税する税金です。
引用:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」
つまり、1月1日時点の不動産所有者に、その資産価値をもとに算出された税金を課すのが固定資産税です。
一方、都市計画税とは、都市計画事業又は土地区画整理事業の費用に充てるために、目的税として課税されるものです。
都市計画税が課されるかどうかは、地域によって異なります。課税される場合は、固定資産税と合わせて納付するのが基本です。
固定資産税や都市計画税は、その土地ごとの路線価(道路に接している宅地の1㎡あたりの価格)などをもとに評価額を決定し、税率を算出します。
再建築不可物件の場合は固定資産税評価額が低いため、税額も安くなるのです。

固定資産税以外の税金も安くなる
固定資産税評価額は、ほかの税金を算出するときの基準にもなります。
例えば、不動産の取得時に課される「不動産取得税」や、名義変更で登記申請をするときの「登録免許税」などです。
これらは不動産の購入時に必要な税金です。再建築不可物件の購入は、固定資産税だけでなく購入時の税金に関してもお得といえるでしょう。


再建築不可物件の中で「資産価値が下がりにくい物件」を見分けるポイント
再建築不可物件は、資産価値が低いものの購入を検討する価値はあることを解説しました。
しかし、ただでさえ低い再建築不可物件の資産価値が、購入後にさらに下がってしまうのではないかと不安な人も多いでしょう。
確かに再建築不可物件の中には、購入後に資産価値が下がってしまうものもあります。しかし、価値の下がりにくい物件も存在します。
「資産価値が下がりにくい物件」を見分けるポイントは、地域の人口動向と利便性を見ると良いでしょう。
重要なのは人口動向と利便性
「資産価値が下がりにくい物件」を見分けるポイントは、再建築不可物件でも通常の物件でも同じです。具体的には、人口が増加しており、利便性の高い地域のことになります。
過去の人口推移が増加傾向にある地域は、それだけ人が多くなっているということなので、土地や建物の需要があると考えられます。
また、利便性の高いエリアはそれだけで需要があり、不動産相場も高くなるのが一般的です。もともとの不動産相場が高いので、価格の安い再建築不可物件を選択肢に入れる人も少なくないのです。
再建築不可物件の購入後に資産価値を上げる方法
資産価値が下がりにくい再建築不可物件の選び方を紹介しましたが、所有者が能動的に資産価値を上げる方法もあります。
多少の費用が必要になりますが、うまく需要に見合った物件にできれば、かかった費用より高値で売却できる可能性もあります。
再建築不可物件を購入した後、どうやって価値を上げることができるのか、その方法を見ていきましょう。
1.リフォームやリノベーションで物件の価値を高める
リフォームやリノベーションをおこなって、物件の価値を高めるという方法があります。
建て替えができない再建築不可物件ですが、リフォームやリノベーションであれば可能です。
再建築不可物件は築年数の古いものが多々あります。そのため、建物の外装部分や内装、水回りなどの設備類を新しくするだけで、資産価値を大幅に上げることができるのです。
設備を刷新することで建物自体の断熱性や耐火性、耐震性が上がり、安全性も向上します。
また、建物の劣化を改善しつつ、自分好みで満足度の高い物件に変えられるのも、リフォームやリノベーションの大きなメリットです。

2.再建築不可物件の要因を解消する
再建築不可物件の資産価値を上げるためには、再建築不可物件を通常の物件として扱えるようにするという方法もあげられます。
再建築不可物件は様々な要因から資産価値が低いとみなされていますが、それらを解決することで資産価値も高まります。
再建築ができない要因には、建築基準法上の接道義務という法律が大きく関わっています。
接道義務とは、自身の所有する敷地が、幅員4m以上の道路に間口2m以上接していないといけないというものです。
「接道義務を満たしていない」という問題を解決する方法には、主に「セットバック」と「隣地の買取」の2つがあります。
解消方法1.「セットバック」で再建築可能にする
1つ目の方法は「セットバック」という方法です。
セットバックとは「後退」という意味で、文字通り自身が所有している物件を後退させる手法です。道路の幅(幅員)を広くして、建築基準法を満たす道路に変更をすることをいいます。
上図(左)のように、敷地に接している道路が幅員4m未満だった場合に有効な方法です。
上図(右)のように、自身が所有している敷地の境界をセットバックさせて、幅員が4m以上になるよう調整します。
このセットバックをおこなって前面道路の幅員を4m以上にすれば、通常の物件として扱うことができます。
解消方法2.「隣地を購入」して再建築可能にする
2つ目の方法は、敷地の隣地を購入するというものです。
上図(左)のように、敷地と道路の接する部分が2m未満のときに有効な方法です。
上図(右)のように、隣接する土地を一部購入し、道路に接する部分の間口が2m以上になるよう調整します。
隣地を購入して道路に接する部分を2m以上にすることで、通常の物件として扱うことができます。
ただし、隣接する土地を購入するには隣人との交渉が必要です。

まとめ
再建築不可物件は資産価値が低く、購入を避ける人も多いのは事実です。
しかし、再建築不可物件にも場合によっては「隠れた価値」が存在します。
建物の状態や再建築ができない要因、不動産の購入予算など、条件によっては「お得な買い物」となる可能性があります。
リフォームやリノベーションで物件の価値を高める方法もあるので、条件が良ければ購入を検討してみるのもよいでしょう。
再建築不可物件の価値に関するよくある質問
接道義務を守れていないなどの理由で建築基準法を満たしておらず、新しい建物の建築が認められていない土地を再建築不可物件といいます。
周辺相場よりも安価に購入できるため、浮いた費用を別の出費に充てられます。また、固定資産税などが安いので税負担が少なく、再建築不可物件を購入する価値は十分にあります。
人口が増加していて利便性の高い人気のエリアであれば、再建築不可物件でも資産価値が下がりにくいです。
リフォームやリノベーションで物件の価値を高めたり、建築可能にして通常の物件と同様に扱えるようにしましょう。
土地をセットバックしたり、隣地を購入することで接道義務を満たせば、建物の建築が認められます。