再建築不可物件を売却するなら買取業者がおすすめ
一般的に再建築不可物件の売却はハードルが高いですが、買取業者ならスムーズな売却が可能です。再建築不可物件の売却に買取業者がおすすめな理由は、下記のとおりです。
- スピーディーな現金化が可能
- 再建築不可のまま買い取ってくれる
- 「契約不適合責任」負わずに済む
スピーディーな現金化が可能
売却の場合、買い手が見つかるまでは現金化できません。しかし、買い取りであれば業者が買い手であるため売却活動をする必要がなく、スピーディーな現金化が可能です。早いところでは、最短即日で現金化できる場合もあります。
さらに、物件の状態や立地によっては、相場よりも高い価格で買い取ってもらえる可能性もあるでしょう。
再建築不可のまま買い取ってくれる
再建築不可のまま、さらには残置物もそのままの状態での買取が可能な点も、買取業者に依頼するメリットです。
再建築不可物件をスムーズに売却するには、セットバックして再建築可能にしたり、リフォームやリノベーションを施したりと、少しでも売れるよう対策が必要です。しかし、これでは売却までに時間がかかるだけでなく、工事費が売却益を上回ってしまう可能性もあります。
買取業者ならそうした手間やお金をかけず、すぐに物件を手放せます。
「契約不適合責任」負わずに済む
契約不適合責任とは、売買契約締結後に欠陥や不具合が見つかった場合、買い手が売り手に対して契約解除や損害賠償請求などをおこなえるルールです。
契約不適合責任を負うリスクは、住居目的で物件を購入する一般の買い手に対して発生するケースが多いです。しかし、買取業者が購入した再建築不可物件の買い手の多くは、不動産投資家や法人となるため、そのリスクが低くなります。
こうした背景から、買取業者によっては契約不適合責任そのものが免除される場合もあり、買取後のトラブルが回避できます。
再建築不可物件の買取業者の選び方
再建築不可物件の買取に対応している業者はたくさんあります。どこに依頼すればよいかわからない場合、以下のポイントを確認して買取業者を選んでみましょう。
- 相談料で比較する
- 対応エリアを確認する
- 口コミを確認する
- 担当者との相性を確認する
相談料で比較する
買取業者に依頼するとまずは相談や査定から始まりますが、基本的にこのステップは無料です。しかし、買取業者によっては相談の段階で料金が発生する場合があります。
相談料が有料だからとその内容や査定の質が良いとは限らず、買取で有利になるというわけでもありません。無料でも質の高い相談・査定をおこなってくれる買取業者は多いため、あえて有料の業者を選ぶ必要はないでしょう。
対応エリアを確認する
良い買取業者を見つけても、所有している再建築不可物件のエリアに対応していないと相談や査定が受けられません。
そのため、買取業者が全国の物件に対応している、あるいは物件のエリアに対応しているかの確認が必要です。
査定額を比較する
買取業者によって査定額は大きく変わります。買取では査定額がそのまま受け取る金額となるため、査定額が高いところに依頼することがおすすめです。
とはいえ、何十社もの査定を受けるのは手間となります。買取業者の実績やノウハウを確認し、高額買取の実績が多い買取業者を数社ほど厳選して査定をおこなうことがおすすめです。
買取業者によっては後から値下げしてくる可能性もあるため、査定額が出たらその根拠についても確認しておくと良いでしょう。
口コミを確認する
口コミは買取業者を選ぶ上での有効な判断材料です。実際に利用した人の声から買取業者の評価がわかり、高評価であるほど買取業者の信頼性は高いでしょう。
口コミにもさまざまな形態がありますが、以下のような口コミは信ぴょう性が高いといえます。
- 手書きの口コミ
- 利用ユーザーの写真も掲載されている
- Googleの口コミ
担当者との相性を確認する
買取業者の評価が良くても、担当者との相性が良くないと気持ちの良い取引はできないでしょう。たとえば、担当者が不誠実ですと、前述したように後から値下げされたり、契約直前に不利な行為をされたりするおそれがあります。
そのため、実際に買取業者に足を運んだり、メールでやり取りするなどして、担当者との相性を確認することも大切です。
再建築不可物件に買い手がつきにくい理由
再建築不可物件は買い手がつきにくく、売却が難しい不動産です。その理由として、下記4つが挙げられます。
- 建物の建て替えや増築、改築ができず有効活用しにくい
- 軽微なリフォームはできても大規模なものはできない
- 築古で老朽化の進んでいる物件が多い
- 担保評価が低く、住宅ローンの審査に通らない可能性がある
理由を詳しくみていきましょう。
建物の建て替えや増築、改築ができず有効活用しにくい
再建築不可物件は、建て替えや増築、改築ができません。そもそも、今ある再建築不可物件は築年数が古く、建物自体が劣化しています。自然災害で建物が損壊・全壊したとしても、再建築が不可能です。
今は問題なくとも、建物の劣化具合からいずれは建て替えや改築が必要となるでしょう。しかし、基本的には現状のまま使用しなければならず、有効活用しにくい点で買い手がつきにくいのです。
軽微なリフォームはできても大規模なものはできない
クロスや床の張り替え、水回りの設備交換などといった軽微なリフォームは可能です。しかし、壁を壊す必要があるような間取りの変更や屋根の張り替えなど、大規模なリフォームはできません。
仮に軽微なリフォームがおこなえたとしても、物件の基礎が古いことで通常よりも高額な費用がかかってしまうおそれがあります。中古物件を安く購入し、大規模なリフォーム・リノベーションをしたいという場合、再建築不可物件ではそれが叶わないことから市場での需要も低いのです。
築古で老朽化の進んでいる物件が多い
再建築不可物件となるのは、建築基準法ができた1950年以前、あるいは都市計法が制定された1968年以前の物件です。
この時代からある物件は老朽化も進んでおり、耐震基準も満たしていません。それでも建て替えや大規模な改修ができないため、安全性に不安があるだけでなく、建て替えが必要になった場合はその土地から引っ越しが必要になる可能性があります。
今安く購入できたとしても、長い目で見るとデメリットの方が多い物件なのです。
担保評価が低く、住宅ローンの審査に通らない可能性がある
住宅ローンは、購入物件の担保価値に応じて融資額が決まります。再建築不可物件は資産価値が低いため、融資するにも銀行側はリスクを負うことになってしまうのです。
そのため、再建築不可物件の購入に対する住宅ローンは、審査に通らない可能性があります。たとえ通ったとしても希望金額は難しく、金利や借入期間などの条件は買い手にとって不利になる場合が多いでしょう。
住宅ローンのハードルが高い点で、必然的に買い手の幅も狭まってしまうのです。
再建築不可物件の買取相場は一概には言えない
再建築不可物件の買取相場は、一般的に「市場価格の50〜70%程度の金額」になりやすいといわれています。しかし、立地や物件の状態などによって買取金額が左右されるため、一概にはいえません。
とはいえ、通常の物件よりは買取相場が安くなる点は押さえておきましょう。
所有している再建築不可物件にどのくらいの価値があるか知りたい場合には、専門の買取業者に査定してもらうことがおすすめです。
不動産の仲介における空き家の売却価格
買取相場が一概にはいえないとはいえ、大体どの程度の金額で買い取ってもらえるのかは気になるポイントでしょう。買取業者は買取後にリフォームや解体などをおこなうため、買取相場は「仲介業者と比べて5〜8割」ほどです。
下記で、仲介業者の売却事例をご紹介します。この売却価格から5〜8割の金額を計算することで、おおよその買取金額が把握できます。ただし、物件の状態によって売却価格は大きく変わるため、あくまで参考程度として押さえておきましょう。
▼北海道
エリア | 取引価格 | 建築年 | 土地平米数 | 構造 |
---|---|---|---|---|
北海道札幌市 | 4,900円 | 平成23年 | 190㎡ | 木造 |
北海道函館市 | 1,900万円 | 平成8年 | 310㎡ | 木造 |
北海旭川市 | 430万円 | 昭和40年 | 250㎡ | 木造 |
▼東京都
エリア | 取引価格 | 建築年 | 土地平米数 | 構造 |
---|---|---|---|---|
東京台東区 | 7,300万円 | 平成11年 | 50㎡ | 木造 |
東京都世田谷区 | 5,400万円 | 平成11年 | 70㎡ | 鉄筋コンクリート造 |
東京都三鷹市 | 1,500万円 | 昭和42年 | 75㎡ | 木造 |
▼神奈川県
エリア | 取引価格 | 建築年 | 土地平米数 | 構造 |
---|---|---|---|---|
神奈川県川崎市 | 2,700万円 | 平成12年 | 95㎡ | 木造 |
神奈川県横須賀市 | 7,800万円 | 昭和15年 | 240㎡ | 鉄筋コンクリート造 |
神奈川県横浜市 | 3,200万円 | 昭和48年 | 200㎡ | 木造 |
再建築不可と思われる物件数は約490万戸
住宅の総数 | 6240万7400戸 |
---|---|
幅員2m未満の道路に接している住宅数 | 292万3,600戸 |
道路に接していない住宅数 | 129万5,500戸 |
再建築不可物件と疑われる住宅の数 | 421万9,100戸 |
再建築不可の可能性がある物件の割合 | 6.8% |
再建築不可物件の数は、正しい統計が取得できません。そのため、ここでは「幅員2m未満の道路に接している住宅数」と「道路に接していない住宅数」の合計から再建築不可と思われる住宅の数を算出しています。
ただし、道路に接していなくとも、建築基準法の43条但し書きの許可を得て合法的に建てられている物件も含まれます。
【都道府県別】再建築不可物件の数
都道府県 | 再建築不可と疑われる物件の数 | 再建築不可と疑われる物件の割合 |
---|---|---|
北海道 | 14万1,600戸 | 5.0% |
青森県 | 3万8,000戸 | 6.6% |
岩手県 | 4万3,700戸 | 7.5% |
宮城県 | 5万5,200戸 | 5.1% |
秋田県 | 2万4,900戸 | 5.6% |
山形県 | 2万1,900戸 | 4.9% |
福島県 | 6万100戸 | 7.0% |
茨城県 | 5万6,700戸 | 4.3% |
栃木県 | 5万4,000戸 | 5.8% |
群馬県 | 5万5,900戸 | 5.9% |
埼玉県 | 12万6,000戸 | 3.7% |
千葉県 | 15万700戸 | 5.0% |
東京都 | 36万1,200戸 | 4.7% |
神奈川県 | 26万200戸 | 5.8% |
新潟県 | 4万1,600戸 | 4.2% |
富山県 | 2万4,400戸 | 5.4% |
石川県 | 2万5,700戸 | 4.8% |
福井県 | 1万8,700戸 | 5.7% |
山梨県 | 3万7,000戸 | 8.8% |
長野県 | 8万2,700戸 | 8.2% |
岐阜県 | 7万1,400戸 | 8.0% |
静岡県 | 10万1,700戸 | 5.9% |
愛知県 | 16万4,800戸 | 4.7% |
三重県 | 9万600戸 | 10.6% |
滋賀県 | 3万9,100戸 | 6.2% |
京都府 | 10万6,200戸 | 7.9% |
大阪府 | 30万2,600戸 | 6.5% |
兵庫県 | 19万2,700戸 | 7.2% |
奈良県 | 5万戸 | 8.1% |
和歌山県 | 7万600戸 | 14.6% |
鳥取県 | 2万9,200戸 | 11.4% |
島根県 | 4万2,000戸 | 13.4% |
岡山県 | 10万1,100戸 | 11.0% |
広島県 | 14万4,900戸 | 10.1% |
山口県 | 10万9,900戸 | 15.3% |
徳島県 | 4万1,400戸 | 10.9% |
香川県 | 5万5,300戸 | 11.3% |
愛媛県 | 9万3,900戸 | 13.1% |
高知県 | 6万3,500戸 | 16.2% |
福岡県 | 17万9,300戸 | 6.1% |
佐賀県 | 5万3,500戸 | 11.9% |
長崎県 | 10万6,000戸 | 13.0% |
熊本県 | 14万7,000戸 | 14.0% |
大分県 | 8万5,000戸 | 11.3% |
宮崎県 | 6万7,000戸 | 11.0% |
鹿児島県 | 14万9,000戸 | 16.5% |
沖縄県 | 4万4,000戸 | 5.7% |
参考:総務省「住宅・土地統計調査 平成30年住宅・土地統計調査 追加集計 」
再建築不可と疑われる物件は都市部に多い
再建築不可と疑われる物件数が多い都道府県のTOP3は、以下のとおりです。
再建築不可と疑われる物件の数 | |
---|---|
東京都 | 36万1,200戸 |
大阪府 | 30万2,600戸 |
神奈川県 | 26万200戸 |
次いで、兵庫県、福岡県、愛知県と全国の主要エリアが連なっています。こうした都市部は人口が多く、建物が密集しているエリアも多くあります。くわえて、都道府県自体の面積が比較的小さいこともあり、そもそも道路が狭いといったことも関係するでしょう。
また、建築基準法がなかった昭和初期は戦後、急速に復興が進んだ時代でもあります。復興に向けて人口が多い都市部を中心に物件を建築したことも、主要都市を中心に再建築不可物件が多い理由と考えられるでしょう。
再建築不可と疑われる物件の割合がとく多いのは中国・四国・九州地方
住宅の総数に対して、再建築不可と疑われる物件の割合が多かった都道府県TOP3は、下記のとおりです。
再建築不可と疑われる物件の数 | 再建築不可と疑われる物件の割合 | |
---|---|---|
長崎県 | 12万7,800戸 | 19.40% |
高知県 | 6万3,500戸 | 16.20% |
山口県 | 10万9,900戸 | 15.30% |
再建築不可物件の多くは、建築基準法や都市計画法が制定される1950・1968年以前に建てられた物件です。つまり、このような地域では住宅の総数に対して築年数が古い物件が多いともいえます。
なお、こうした地域は郊外が多く、市街地調整区域に指定されてるエリアが多い可能性があります。このことも、地方に再建築不可の疑いがある物件の割合が多い理由と考えられるでしょう。
都市計画法に基づき、自然を守るため、市街化の抑制が求められる地方自治体の指定区域。農地や田園地帯、山林や河川敷などが該当。
再建築不可物件を再建築可能にするための4つの方法
隣地を買い取る | 隣地を買い取って接道の問題をクリアする方法 |
---|---|
道路拡張工事を行う | セットバックを行い、敷地を後退させることで接道義務を果たす方法 |
隣接地の通行権を確保する | 他人の土地に「通行地役権」を設定し、再建築を可能にする方法 |
行政上の許可を得る | 地元に要望書を提出し、行政上の許可を得る方法 |
再建築不可物件は、上記4つの方法によって再建築可能にできます。買取ではなく売却したい場合は、再建築可能にすることで少しでも高く売れるでしょう。また、再建築不可物件を手放さず所有し続ける場合も、将来を見据えて再建築可能にしておくことがおすすめです。
隣地を買い取る方法と道路拡張工事をおこなう方法は、費用はかかってしまいますが、確実に再建築可能にできます。
一方、通行地役権や行政上の許可を得る方法は、土地の所有者からの合意を得たり、地方自治体に書類を提出したりと、手続きに手間がかかります。手続きを弁護士に依頼する場合はその費用も発生しますが、必ずしも合意や許可が得られるとは限らない点に注意が必要です。