遺産分割審判の流れを徹底解説!弁護士費用や確定時の対処方法

遺産分割審判 弁護士

相続が発生したとき、相続人全員が納得のいくように遺産分割をするために、遺産分割協議をおこないます。

しかし、遺産分割協議で相続人たちが同意できず、相続争いとなった場合は裁判所に「遺産分割審判」を届け出ることになります。

遺産分割審判と聞いて、

・遺産分割審判ってなに?
・審判で、実際にどうやって遺産分割をおこなうの?
・審判の結果に不服があっても、必ず受け入れなければならないの?

などと疑問に思う人も多いでしょう。裁判所に申し立てるというだけで、ストレスや不安を感じると思います。

この記事では「遺産分割協議がまとまらず困っている」「審判がどういうものかわからず漠然と不安」という人のために、遺産分割審判を不動産専門家の観点からわかりやすく解説していきます。

具体的には、

・遺産分割審判の概要と手順
・審判の結果に不服を申し立てる方法や費用

といった内容を、重要なポイントにしぼって紹介していきます。

この記事を読めば、遺産分割審判についての基礎知識を理解でき、相続争いとなった遺産分割を終わらせることができるでしょう。

最後まで読んで、ぜひ参考にしてみてください。

裁判官が審判を下す「遺産分割審判」

遺産分割審判

遺産分割調停において、相続人の間で話し合いを重ねたにもかかわらず遺産分割の話し合いがつかなかった場合、調停は不成立になり、遺産分割も不成立となります。

この場合は通常、自動的に審判手続に移行し、遺産分割を継続することになります。審判手続の移行は自動的なものなので、申立人が別途審判の申立てをする必要はありません。

また相続人は、調停を行わないうちから審判の申立てをすることもできますが、実際には特段の事情がない限り、調停から始めるよう調整されることになります。

遺産分割において「審判」は、遺産の分割方法を決めるための最終手段です。審判では、家庭裁判所の裁判官が遺産分割の方法に関して審判を下します。

平成26年度の司法統計を参照すると、遺産分割調停事件のうちの約1割弱が、審判にもつれ込んで争っています。遺産分割争いの解決が、いかに難しいかが分かるでしょう。

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審判では、家庭裁判所が強制的に遺産分割を決定する

遺産分割調停と違い審判では、話がつかない場合に家庭裁判所の裁判官が強制的に遺産分割の方法を決め、審判を終了します。審判の次の段階と言えるものはないのです。

調停では一貫してそうであったように、審判においても当事者同士の話し合いや譲歩による解決が可能であれば随時、そのための機会が開かれています。

しかし、調停でも再三重ねられてきた話し合いが決裂して審判になっているわけですから、当事者同士の話し合いを最優先して手続きが進むことはありません。

審判開始から一定期間に話し合いがつかないなら、それ以上争うことがないよう、最終手段として裁判官が分割方法を決定します。

遺産分割審判の手順と流れ

家庭裁判所

1.審判期日に出頭する

遺産分割審判に移行した場合には、家庭裁判所によって指定された審判期日に家庭裁判所へ出頭することになります。

調停では、当事者同士が顔を合わせる機会はほとんどありませんでした。しかし審判では相手方や他の相続人と一堂に会し、対面しながら裁判官の指揮のもと審判手続きが進んでいきます。

調停と異なるポイントは他にもあります。遺産分割審判においては調停委員会のような第三者は間に入らず、ひとりの裁判官のみが審判を担当します。

調停とは異なり審判では、一般的な訴訟の裁判のように手続きが進んでいきます。各相続人が書面や資料による証拠を提出したり、法律上の主張をしたり、その事実を裏付ける証拠を提示したりしながら自分の主張を重ねていきます。

裁判官はそれを踏まえ、遺産分割における争点の整理と、争点を客観的に判断するためにどのような調査が必要になるかを検討します。必要と判断されれば事実調査の一環として、家庭裁判所の調査官による調査や、調査嘱託がなされる場合があります。

2.2回目以降の審判

各相続人の主張や資料提出がすべて終わり、もうこれ以上は言うことがないという状態に至るまで、審判は回を重ねていきます。その間にも随時、当事者同士による話し合いの機会は用意されます。

3.当事者同士での話し合いによって和解する場合

あまり考えられることではありませんが、審判手続中の話し合いで当事者同士が円満解決する可能性もゼロではありません。

もし話し合いがまとまった場合には、審判ではなく調停が成立したものとみなされます。この場合、裁判所によって調停調書が作成され、審判は終了します。調停調書の通りに遺産分割すれば、遺産分割手続きは完了です。

4.話し合いの決裂、審判の確定

審判における話し合いや証拠の提出でも解決できなかった場合は、最終手段として裁判官が遺産分割方法を強制的に決めます。裁判官は、非常に多くの要素を慎重に考慮して審判を行います。

例えば調停や審判での当事者の記録、分割対象の遺産の種類、相続人の年齢や職業、また心身の状態や生活状況などの要素です。

審判は、審判確定の告知日の翌日から数えて2週間が経過すると確定となります。当事者が複数人いる場合には、それぞれが告知を受ける日が異なる可能性もあります。

後でご紹介する点ですが「即時抗告」がなされない場合の審判確定日は、最も遅く審判の告知を受けた当事者が審判の告知を受けてから2週間経過後とされています。

審判が確定すると、その内容は調停調書のように法的な強制力を持ったものとなります。ですから、審判内容についての相続人全員の合意があるかどうかにかかわらず、遺産分割の方法が確定させられることになります。

審判の確定後は、新たな証拠や資料を提出し、それについて考慮するよう求めることはできません。

審判の結果は、審判書という書面にされます。調停調書と同様、審判によって得る遺産の名義変更などで提出が求められます。

遺産分割審判を欠席したらどうなる?

遺産分割協議では、その進行を妨害しようとして故意に欠席する相続人もいます。それによって遺産分割協議はそれ以上進まなくなり、悪影響を受けます。では、遺産分割審判も、同じような抗議行動によって影響を受けるのでしょうか?

いいえ。繰り返しになりますが遺産分割審判は、家庭裁判所の裁判官による強制的なものです。ですから欠席者がいたとしても、審判手続きの進行が影響されることはありません。

審判は、欠席すべきではないと言えます。なぜなら欠席することで、自分に有利になるであろう事柄についての主張を一切できなくなり、圧倒的に不利な立場に置かれるからです。

例えば寄与分など、当人の主張がなければ裁判官に考慮してもらえない事柄について何も述べられません。そうであれば、寄与分が考慮されることなどあり得ません。

また、他の相続人が自分に不利になるような資料や証拠(と主張するもの)を提示し、裁判官に訴えたとしても、欠席してしまったら反論することすらできません。

このように、審判の欠席は自分に不利に働く可能性が高いので、よほどの理由がない限りは欠席しないように注意しましょう。

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審判に不服がある場合は、2週間以内に申立てる

高等裁判所
先ほども述べた通り、遺産分割の審判は審判確定の告知日の翌日から2週間で確定します。確定した場合には、強制力を持つ審判内容に基づき、その通りに遺産分割をしなければいけません。

しかし、確定までの2週間であれば「即時抗告」によって不服を申し立てられます。

即時抗告をすると、高等裁判所の抗告審において、その不服申し立てに正当な理由があるかどうかを審理され、場合によっては新たな判決が下されることになります。

即時抗告の手順や流れ

では、即時抗告(そくじこうこく)の手順や流れについても見てみましょう。

1.即時抗告と期限

「抗告」という言葉の意味は、裁判における決定または結果(判決を除く)について、その取り消しや変更を求めるための不服申し立てのひとつの手段のことです。

即時抗告・・・抗告の種類のうちの一つで、申立てができる期間が制限されている場合の抗告のことを言います。

遺産分割の審判に対する即時抗告は、審判の告知を受けた日の翌日から2週間以内に、審判が確定しないうちに行います。

2.即時抗告の申立先

即時抗告するには、審判をした家庭裁判所へ高等裁判所宛の抗告状を提出します。再審理は高等裁判所に場を移して行われます。

ややこしいですが、申立て書類の提出は家庭裁判所、実際に即時抗告の審理を行うのは高等裁判所になるという点を覚えておきましょう。

3.即時抗告の費用と必要書類

即時抗告の申立ての手数料は、収入印紙1800円分です。必要書類は抗告状と即時抗告の理由を証明する書類です。これらの費用と書類を提出し、無事に受理されると、高等裁判所での抗告審が始まります。ちなみに抗告状は、相手方の分も一緒に提出することになります。

4.高等裁判所の抗告審での審理

即時抗告が受理されると、抗告審の審理が始まります。即時抗告の申立て理由によっては、棄却されることも少なくありません。

抗告審では、それが正当な理由があっての申立てかどうかが考慮されます。確かに正当な理由によると判断されると、抗告の相手方へ抗告状と抗告理由書が送付されます。その後、相手方の反論を聞きながら、審理が継続していきます。

それにしても、即時抗告における「正当な理由」とは、どのようなものが該当するのでしょうか?

これには、家庭裁判所の審判に間違いがあることを裏付けるような新証拠などが該当するでしょう。そしてそれは、高等裁判所も認めるようなものでなければなりません。

即時抗告がただちに棄却されてしまうケースで多いものは、家庭裁判所における調停・審判で、すでに主張してきたことを繰り返しているだけの場合です。

それについてはすでに審判が下されているので、同じことの主張は二度とできません。調停から審判へ移行する際には「自分の要求が通るまで主張は曲げない!」と決意していた人でも、審判から抗告審への移行では、同様の手は使えないことになります。

正当な理由があると認められた場合の抗告審では、家庭裁判所でそれまで行われてきた調停や審判の内容が引き継がれ、改めて事実調査や証拠の確認、新証拠などとの照らし合わせが行われます。

ただし、すでにかなりの時間をかけて調停と審判を行った上での抗告審です。ありったけの情報や証拠や主張はすでに出し尽くされているため、審判を根底から否定するような新証拠でもない限りは審判の結果が変わるような判決は下されないと考えるのが妥当です。

5.抗告審の判決、不服の場合は最高裁判所へ

非常に稀なこととして、審判に重大な誤りがあったと認められた場合には、高等裁判所は家庭裁判所の審判を取り消し、新たな判決を下します。その後は、高等裁判所の判決に従って遺産分割を進めることとなります。

この高等裁判所の判決にも不服がある場合は、さらに最高裁判所へ特別抗告・許可抗告の申立てをすることも可能ではあります。

しかし実際には、最高裁判所へ申し立てても高等裁判所の判決が変わる可能性は限りなくゼロに近く、結果として骨折り損になる確率が高いでしょう。

審判にかかる弁護士費用は、平均で相続財産の5~10%

調停と違い審判では、争っている当事者同士がお互いの顔を見ながら手続きが進みます。非常に張り詰めた空気の中で行われるため、発言や主張が上手くできなかったり、思わず余計なことを口走ってしまうこともあり得るでしょう。

そんな時に弁護士という強い味方が自分に助言してくれたら、これほど頼もしいことはありません。遺産分割審判で有利な結果を得るには、弁護士に相談し対応を依頼することが得策です。

遺産分割審判を依頼するための弁護士費用の相場は、審判によって取得できる相続財産のうち、5~10%程度です。

この他にも必要に応じて、出張費や交通費、手数料などの実費もかかってきます。費用がかかると思うと気が進まないかもしれませんが、弁護士がつくことで、遺産分割審判で取得できる相続財産の額が上がることも十分考えられます。決して無駄にはならない費用なので、惜しまず捻出するようにしましょう。


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まとめ

審判は、調停よりもさらに過酷な争いの場になることがほとんどです。当事者同士が一触即発状態になり、冷静さを保つことが極めて難しい局面もあることでしょう。

そんな中でひとり孤独に闘っていても、思うような結果がもたらされないかもしれません。

体力と精神を消耗する審判ですから、せめて結果くらいは有利な方に導きたいと思うはずです。そのためには、法律の専門家を頼る以上に良い方法はありません。

遺産分割審判についてよくある質問

遺産分割審判とはなんですか?

遺産分割審判とは、家庭裁判所の裁判官が遺産分割の方法を決定する手続きです。協議や調停で相続人が合意できなかった場合に、裁判官の権限で強制的に分割方法を決定します。

審判内容に不服があっても、したがう必要がありますか?

審判内容に不服がある場合、2週間以内に即時抗告を申し立てれば高等裁判所で「抗告審」がおこなわれます。抗告審では、家庭裁判所の審判に問題がないかを審理します。抗告審の内容にも不服ある場合、最高裁判所へ特別抗告・許可抗告を申し立てられますが、抗告審の内容が覆るケースはあまりありません。

遺産分割審判の弁護士費用はどれくらいかかりますか?

依頼する弁護士によって異なりますが、平均的な相場は遺産分割審判で手に入る相続財産の5~10%ほどです。

遺産分割審判を欠席するとどうなりますか?

遺産分割審判ではお互いの主張を確認して、裁判官が公正な分割方法を判断します。しかし、審判を欠席すると自分の主張をする機会が失われてしまうので、不利な条件で審判が決定するかもしれません。遺産分割審判になったら、弁護士と相談しつつ適切な対応を考えましょう。

遺産分割審判を避けるには、どうすればよいでしょうか?

協議や調停の段階で、遺産分割に関して相続人が合意するしかありません。早めに相続を終わらせるには、ある程度の妥協も必要なケースがあるでしょう。

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