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共有持分を売却したらどうなる?残された共有者への影響やトラブルを事例をもとに解説

共有持分を売却したらどうなる?残された共有者への影響やトラブルを事例をもとに解説

共有持分の売却に関してよくご相談いただくのが「自分の共有持分を売却したら、残された共有者はどうなってしまうのか?」という懸念です。

まず前提として、共有持分は他の共有者の同意を得ることなく、自分の意思だけで自由に売却可能です。しかし、その「売却先」が誰になるかによって、残された共有者への影響は大きく異なります。

共有持分の主な売却先は「親族などの共有者」もしくは「第三者である買取業者」の二つです。

もし、他の共有者に売却できるなら共有関係は円滑に解消されることが多く、その後の影響やトラブルは基本的に少なく済みます。これに対して買取業者に共有持分を売却した場合は、残された共有者が見知らぬ第三者と新たな共有関係を結ぶことになり、次のような事態が起きる可能性があります。

  • 買取業者が現地調査として共有名義不動産内に立ち入る
  • 占有している共有者に対し、持分割合に応じた使用料(家賃相当)を請求する
  • 残りの持分の売却や買い取りを求める交渉を行う
  • 交渉が決裂すれば、共有物分割の訴訟や競売手続きに発展することもある

ただし、すべての買取業者が強硬な手段を取るわけではありません。信頼できる買取業者は、無用なトラブルを避けた方が結果的に利益につながることを知っているので、丁寧かつ透明な対応を重視します。法的根拠に基づき、まずは丁寧な話し合いや適正価格での買取など、残された共有者の選択肢を尊重する提案を行うのが一般的です。

また、本メディアを運営しているクランピーリアルエステートは、全国1,500もの士業事務所と連携し、共有持分に関しては年間2,000件のご相談をいただいています。

「共有持分の売却後もトラブルになりたくない」「適正価格で売却したい」「できるだけ早く売却したい」など、お客様のご要望に合わせて無理な提案は一切しませんので、共有持分の売却をご検討の方は一度ご相談ください。

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【前提】共有持分の売却に共有者の同意は不要!

共有持分の売却に他の共有者の同意は不要

ご存じの方も多いかもしれませんが、共有名義不動産を「全部」売却する場合には、共有者全員の同意が欠かせません。しかし、「あなたが持っている共有持分だけ」を売却する場合は同意は不要です。

民法206条により、共有持分はあなた固有の所有権として扱われています。そのため、他の共有者の同意は不要で、あなたの判断だけで自由に売却できます。実務上も、査定や売買契約、決済といった手続きはすべて他の共有者に知られずに進めることができます。

ただし、売却手続きが完了して名義が変われば、基本的に他の共有者は「誰かが持分を売った」という事実を知ることになります。そのため、「売る瞬間までは内緒にできるが、売ったあとまで隠し続けることはできない」という点は押さえておきましょう。

ここでは、共有持分が自由に売却できる法的根拠と、売却手続きを内緒で進めた場合の実際の流れを詳しく解説します。

民法206条により共有持分は自由に売却可能

民法206条では、「自分の所有物は自由に使ったり処分したりできる」と定められています。この「処分」には売却が含まれており、共有持分も所有者の財産として同じように扱われます。

所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。出典:民法206条

つまり、あなたが売りたいと思えば、法律上はあなたの判断だけで売却できます。

他の共有者にバレずに共有持分の売却はできる?

「揉めるのが嫌だから、他の共有者には内緒で共有持分を売却したい」というご相談は少なくありません。

結論から言えば、売却手続き自体(査定~売買契約~決済)は他の共有者に知られずに完結させることが可能です。なぜなら、売買契約はあくまで「売主(あなた)」と「買主(買取業者など)」の間だけで成立するため、他の共有者へ通知する義務がないからです。

ただし、売却完了後(所有権移転登記後)には、基本的に他の共有者に知られることになります。なぜなら、新たに持分を取得した買主が、残された共有者に対して「持分を取得しました」という挨拶や、今後の交渉に関する連絡を入れるからです。

つまり、「手続き中は隠せても、売却後の事実まで隠し通すことはできない」点は理解しておきましょう。

共有持分を売却したらどうなる?残された共有者への影響やトラブルとは

共有持分を売却したらどうなる?残された共有者への影響やトラブルとは

前提として、共有持分の主な売却先は「親族など他の共有者」か「専門の買取業者」のどちらかです。前者であれば、残された共有者への影響は基本的にありません。

一方で、第三者である買取業者へ共有持分を売却した場合は別です。残された共有者は、利益を前提とした買取業者と共有関係を持つことになり、現地調査への対応や家賃請求、買取交渉などといったトラブルが発生しやすくなるためです。

ただし、すべての買取業者が強硬な手段をとるわけではありません。信頼できる買取業者は、無用なトラブルを避けた方が結果的に利益につながると理解しているため、共有者との関係に余計な摩擦を生まないよう慎重に買取を進めています。

本メディアを運営しているクランピーリアルエステートでも、1,500の士業事務所と連携し、共有持分に関するご相談を年間2,000件ほどお受けしています。残された共有者様との関係に配慮しながら、可能な限り穏やかな形で買取を進めています。

ここでは、実際の相談例をもとに、残された共有者に生じ得る影響を詳しく説明します。

買取業者が現地調査として共有名義不動産内に立ち入る

あなたが共有持分を売却すると、新しい共有者となった買取業者は、自分の財産の一部として不動産を把握する必要があります。

そのため、共有者としての法的な権利を行使し、以下のような目的をもって物件の敷地に立ち入ることが可能になります。

  • 建物の状態確認
  • 敷地の寸法確認
  • 再建築の可否調査
  • 写真撮影

居住者からすれば、突然見知らぬ人が敷地に入って来るようになり、大きな不安を抱くケースが非常に多いです。

【事例1】業者が現地調査に訪れたケース

(相談例)
「母と実家で暮らしていたところ、突然スーツ姿の人が訪ねてきて『お兄さんから持分を購入しました』と言われました。知らない人が家の中を見ようとする状況に母が強く動揺し、今後も安心して暮らせるのか不安です」

事前連絡もなく見知らぬ第三者が家に訪れてくると大きなストレスでしょう。
もっとも、信頼できる買取業者であれば、事前に連絡を入れたうえで居住者の予定や状況に配慮し、必要以上の立ち入りを避けながら丁寧に進めるため、こうした不安は生じにくいです。

新たな共有者から「家賃(使用料)」を請求される

共有名義不動産に特定の共有者が住んでいる場合、その方は第三者の共有持分も含めて家全体を使用していることになります。今までは親族間などで許されていたことでも、新たに共有者となった第三者は、その権利に見合った家賃などの対価をシビアに求めてくることがあります。

【事例2】業者から急に家賃の支払いを求められたケース

(相談例)
「兄が自分の持分を業者に売ってしまい、その業者から突然『あなたは無償で住んでいる状態なので、持分相当の使用料を支払ってください』と言われました。これまで家族間で特に決め事もなく暮らしていたので、とても驚きました。」

家族間では見過ごされていたことでも、第三者が入ると利益確保のために家賃請求が行われることがあります。
一方で、信頼できる買取業者であれば、共有者の事情に配慮しつつ、場合によっては家賃請求自体を行わないことも珍しくありません。

共有持分を売却するよう交渉を求められる

買取業者の多くは、共有持分だけでは十分な収益につながりにくいため、最終的には「不動産全体の権利をまとめたい」と考えます。
その結果、残された共有者に対して、全体の所有権を一本化するための交渉が始まることになります。

【事例3】強引に買取交渉を進められたケース

(相談例)
「買取業者から『このまま共有状態が続くと問題が起きるので、あなたの持分も売却してください』と連日電話があり、半ば追い込まれるような形で話を進められています。どう対応すべきか分かりません…」

一部の悪質な買取業者は収益化を急ぐあまり、残された共有者に対して強い圧力をかけることがあります。
一方で、誠実な業者であれば共有者の状況や要望を踏まえ、無理な売却や急な判断を迫らない姿勢で丁寧に進めます。

新たな共有者から「共有物分割請求訴訟」を申し立てられる

もし共有状態の解消について、話し合いでは折り合いがつかない場合、新たな共有者は最終手段として裁判を利用しようとします。
これは「共有物分割請求訴訟」で、裁判所の判断によって共有状態を強制的に終わらせるための法的手続きです。

【事例4】訴訟をちらつかせられたケース

(相談例)
「買取業者と意見が合わず、『このまま話がまとまらないなら訴訟を提起します』と簡単に言われました。」

共有状態の解消には訴訟という選択肢が存在するため、悪質な買取業者はプレッシャーをかけるために軽々と裁判を持ち出すことがあります。
しかし、信頼できる業者であれば、訴訟はあくまで最終手段であり、まずはできるだけ話し合いで円満に整理できる方法を模索するため、いきなり裁判を前提に話が進むことはありません。

新たな共有者が固定資産税を滞納するリスクがある

共有不動産の固定資産税は、共有者全員に納税義務があります。そのため、もし新たな共有者が固定資産税を支払わない場合、他の共有者に督促が届き、肩代わりしなければならないこともあります。

一般的な買取業者が税金を滞納することはほとんどありませんが、個人投資家や資金力の乏しい業者の場合、トラブルになる可能性はゼロではありません。

【事例5】固定資産税のトラブルに発展したケース

(相談例)
「弟が共有持分を売却した相手が固定資産税を支払わず、役所から『滞納があるので確認したい』という通知が私の家に届くようになりました。自分はきちんと払っているのに、他人の分まで責任を問われる形になり困っています。」

このように、新しい共有者の納税状況によっては、関係のない共有者が役所対応や追加の税負担に巻き込まれることがあります。
ただし、誠実な買取業者であれば、納税手続きや共有者間の情報共有も適切に行うため、残された共有者へ余計な負担がかからないよう配慮しながら進めています。

共有持分の売却相場は売却先によって異なる

共有持分の売却相場は売却先によって異なる

先述の通り、共有持分の現実的な売却先は「ほかの共有者」もしくは「買取業者」になりますが、共有持分の売却価格は、この売却先によって大きく変わります。

  • 他の共有者に売却する場合:不動産全体の市場価格×持分割合
  • 買取業者に売却する場合:不動産全体の市場価格×持分割合×1/2~1/3

まず、共有者同士の取引では、共有状態を整理しやすいという特徴があります。そのため、市場価格に近い水準での売買が成立しやすい傾向があります。

一方、買取業者などの第三者へ売却する場合は、共有者に売却するよりもさらに1/2~1/3程度に落ち着くことが多いです。なぜなら、共有持分だけでは収益化が難しいため、買取業者は「不動産全体の所有権を一本化する」ことを目指して残りの共有者との交渉を行います。このようなコストを織り込んで買い取るため、価格はどうしても低く設定されます。

以上のように、「共有者に売る場合」と「買取業者に売る場合」では共有持分の売却相場に大きな差が生じます。

他の共有者に売却する場合:不動産全体の市場価格×持分割合

高値での売却が期待できるのは、「ほかの共有者」への売却です。共有者同士の取引であれば、共有関係の整理が進みやすいため、持分そのものが高く評価されやすく、市場価格を基準に計算することが一般的です。

共有持分の売却相場:不動産全体の市場価格×持分割合

例:3,000万円の土地で持分1/2を兄に売却する場合 → 約1,500万円

※親族間の取引では、関係性を踏まえた値引き交渉が入ることもあります。

買取業者に売却する場合:不動産全体の市場価格×持分割合×1/2~1/3

一方で、買取業者へ売却する場合は評価額が大きく下がるのが一般的です。共有持分だけでは活用方法が限られ、貸す・住む・担保にするなどの用途がほぼ確保できないため、市場ではほとんど流通しません。

そのため、買取業者としては、購入後に残りの共有者と交渉を重ね、所有権の一本化を目指します。

ただ、この交渉には時間・労力・リスクが伴うため、その分が価格に反映され、相場は概ね1/2~1/3程度に設定されることが多いです。

共有持分の売却相場:不動産全体の市場価格×持分割合×1/2~1/3

例:3,000万円の土地で持分1/2を業者に売却する場合→約500万~750万円

共有持分を売却する流れ

共有持分の売却は、基本的に一般的な不動産売却と似ていますが、「共有者がいる」という点が大きな特徴です。
そのため、「誰に売るか」「共有者に話を通すか」によって進め方が変わります。

ここでは、できるだけ余計なトラブルを避けながら売却を完了させるための基本的な流れを5つのステップに整理しました。

  1. 可能であれば他の共有者へ一言伝えておく
  2. 売却方法を選ぶ(共有者に売るか、買取業者に売るか)
  3. 売買契約を結ぶ
  4. 決済と所有権移転登記を行う
  5. 確定申告を行う

可能であれば他の共有者へ一言伝えておく

先述の通り、共有持分は自分の判断だけで売却できますが、事前に共有者へ知らせておくことで、後のトラブルを大きく減らせます。
また、その段階で共有者自身が買い取ってくれる可能性もあり、売却条件が良くなることもあります。そのため、よほどの事情がない限りは、可能であれば連絡しておくのが無難です。

売却方法を選ぶ(共有者に売るか、買取業者に売るか)

ほかの共有者に売る場合は、親族間で価格を相談し、司法書士を通じて契約書や登記を行うのが一般的です。
一方、共有者同士の関係が悪い場合や、共有者に買い取るだけの資金がない場合、できるだけ早期の現金化を希望する場合などは、共有持分専門の買取業者に依頼を検討すると良いでしょう。

売買契約を結ぶ

買主が決まったら、売却条件を合意したうえで売買契約を締結します。買取業者が相手の場合は、契約不適合責任が免除されることが多く、売却後のトラブル負担が少ないというメリットがあります。

契約不適合責任とは

決済と所有権移転登記を行う

決済や法務局で所有権移転登記を申請します。登記が完了した時点であなたの共有持分は正式に買主へ移り、売却は成立します。

確定申告を行う

共有持分の売却によって利益が出た場合は、確定申告書を原則として翌年の2月16日~3月15日までに、管轄の税務署に提出しなければなりません。
また、利益が出ていなくても、控除制度を利用するために申告が必要なケースがあります。確定申告が必要かどうか分からない場合や、手続きに不安がある場合は税理士など専門家への確認がおすすめです。

まとめ

共有持分は、あなた自身の判断で自由に売却できる権利です。ただし、共有持分を売却したらどうなるのかは、売却先によって大きく変わります。

買取業者などの第三者に売却すると、残る共有者には家賃請求や、今後の利用についての協議、場合によっては買取交渉といった対応が発生することがあります。

もっとも、すべての業者が強引に進めるわけではありません。信頼できる業者ほど、トラブルを避けて円満に解決することが最も効率的だと理解しています。

当メディアを運営するクランピーリアルエステートは、1,500を超える士業事務所と連携し、年間2,000件以上の相談を受けています。関係を悪化させない形での買取を重視しており、できるだけ穏やかな解決につなげる体制を整えています。

共有持分の売却を検討しているけれど、共有者との調整が難しい、どう動けばいいかわからないという場合は、お気軽にご相談ください。

共有持分の売却に関するよくある質問

共有持分の買取価格を決める4つの要素とは?

業者が査定を行う際、主に以下の3点を見て価格を決定します。

立地:流動性が高い都心部などのエリアほど高く売れます。
持分割合:持分が多いほど(過半数など)、管理行為ができるため価値が上がります。
占有者の状況:誰が住んでいるか、話し合いが通じそうか等、解決の難易度が価格に反映されます。
共有者の数:共有者の数によって、所有権を一本化するまでの交渉難易度が変わるため。

共有持分に関するコラムはこちら

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    更新日 : 2025年11月07日
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