定期借地権付きマンションのデメリットは?住宅ローンの注意点や購入までの流れも解説

定期借地権付きマンション

定期借地権付きマンションは立地が良く、価格は通常の分譲マンションよりも安いことが魅力です。

しかし、価格が安い分、デメリットもあります。

この記事をご覧のあなたも「どんなデメリットや注意点があるのだろうか」と気になっているのではないでしょうか。

実際、マンションの敷地が借地権になっていることから利用の制限があったり、住宅ローンを受けにくかったりするなど気をつけるべきことも多いです。

そこで、この記事では、定期借地権付きマンションと通常の分譲マンションとの違い、定期借地権付きマンションのデメリットや住宅ローンを組むときの注意点について詳しく解説します。これを読めば、定期借地権付きマンションのデメリットも理解した上で、購入を考えられるようになるでしょう。

定期借地権付きマンションとは?

定期借地権付きマンション
定期借地権とは、更新のない借地権のことです。

もともと建物所有を目的とした借地権は、借地借家法の適用を受けるため、借地契約で定められた存続期間が満了になったとしても、契約を更新することができました。

さらに、たとえ地主が更新を拒否したいと思っても、地主に正当事由がない限りは契約を更新しなければなりません。

それでは土地所有者である地主への不利益が大きいということで、平成4年8月に施行された借地借家法から、一定の手続きを取ることによって、更新のない借地権の設定が認められるようになりました。

定期借地権付きマンションは、この「定期借地権」によって地主が貸した土地の上に存在しているマンションのことです。

そのため、定期借地権付きマンションを購入するときには、建物の専有部分は区分所有者が自由に使用・収益・処分ができる所有権で、敷地は定められた一定期間だけ、借りて使用できる借地権を取得することになります。

また、定期借地権には一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権、事業用借地権の3種類がありますが、居住用なので、一般定期借地権と建物譲渡特約付借地権が設定されます。

国土交通省が行った平成21年度の調査によると、マンションの供給事業者が地方公共団体や独立行政法人都市再生機構などの公的主体であれば一般定期借地権が設定されていることがほとんどです。

対して、民間企業であれば建物譲渡特約付借地権が設定されているマンションが70%程と高い割合を占めるという違いがあります。
参照:平成21年度 定期借地権付住宅の供給実態調査報告書

一般定期借地権と建物譲渡特約付借地権の違い

まず、一般定期借地権と建物譲渡特約付借地権の違いについてお伝えします。それは、以下の2つです。

・借地権の最低設定期間
・契約期間満了時の建物の取扱い

一般定期借地権では、最低でも50年以上と定められています。

それに対して、建物譲渡特約付借地権は30年以上です。

そして、期間満了時、一般定期借地権では建物を取り壊して更地にして返還する必要があります。建物買取請求権も行使できません

建物譲渡特約付借地権であれば、期間満了時の時価で建物を地主に譲渡できます

このとき、借地権者には買取請求権があること、地主には建物譲渡請求権があることを保護するために、仮登記という手続きを行います。

ただし、どちらの借地権でも契約更新がないことは共通です。

  一般定期借地権 建物譲渡特約付借地権
最低存続期間 50年以上 30年以上
建物買取請求権 なし あり(仮登記により保全)
更新 なし なし

次に、一般の所有権を取得する分譲マンションと、定期借地権付きマンションとの違いについて解説します。

一般の分譲マンションと定期借地権付きマンションとの違い

所有権を取得する一般的な分譲マンションと定期借地権付きマンションの違いは主に下記の5つです。

(1)購入費用が20~30%安い
(2)一時金を支払うことが多い
(3)土地の固定資産税・都市計画税の支払いがない
(4)使用期間に期限がある
(5)解体準備金が必要な場合がある

(1)購入費用が20~30%安い

定期借地権付きマンションは、借地権の存続期間を超えて住むことができません。そのようなデメリットがある分、購入費用は安くなっています。

所有権を取得する場合と比べて20~30%安い価格が相場です。

(2)一時金を支払うことが多い

定期借地権付きマンションでは土地を「利用」するだけなので、取得費用はかかりません

代わりに、一時金を支払うことが多いです。

この一時金には賃料前払い方式、保証金方式、権利金方式の3種類があります。

それぞれの一時金の意味合いは次のとおりです。

一時金の種類 意味合い
賃料前払い方式 賃料(地代)の一部または全部を前払いする。
保証金方式 賃料(地代)の不払いがあった場合の担保として払う。借地権の期間満了時に無利息で返還される。
権利金方式 定期借地権設定の対価として払う。契約終了時に返還されず、賃料(地代)も別途支払う。

そして、どの方式を採用しているかは地主や定期借地権付きマンションの販売を行っている不動産会社によって異なります。

実際、定期借地権付きマンションの供給事業者が公的主体だった場合の一時金の傾向は、一時金なしが50%、保証金が27.3%、権利金が18.2%、前払い地代が4.5%となっています。

それに対して、供給事業者が民間企業だった場合には、保証金が49.8%、権利金との併用が19.5%、一時金なしが29.3%となっていて、権利金のみ、前払地代のみは1.2%とほとんどありません。

また、同じ一時金であっても保証金方式での支払額の平均が126.6万円、権利金方式での支払額の平均が583.3万円と5倍近い差があることも特徴です。

(3)土地の固定資産税・都市計画税の支払いがない

定期借地権付きのマンションは、土地を所有するわけではありません

そのため、土地にかかる固定資産税・都市計画税の支払いも不要です。代わりに地代を地主に支払います

そして、これらの税金がかかるのは区分所有している建物に対してのみです。

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(4)使用期間に期限がある

「定期」とあるように、契約期間には定めがあります。

そして、普通借地権とは異なり更新はありません

そのため、マンションを購入しても、借地契約の期間満了時には取り壊して退去しなければなりません

購入すれば期限なく住み続けられる一般の分譲マンションとは異なる点です。

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(5)解体準備金が必要な場合がある

定期借地権付きマンションでも、一般定期借地権であれば、借地契約の終了時には更地にして返還する必要があります。

その解体にかかる費用を解体準備金として毎月積み立てていくことが多く、3,000~5,000円程度払います。

通常マンションと比較した定期借地権付きマンションのデメリット

定期借地権付きマンションのデメリット
定期借地権付きマンションのデメリットとなるのは主に次の4つです。

(1)地代を支払う必要がある
(2)売却しにくく、売却できても低価格になる可能性が高い
(3)契約期間の延長ができない
(4)住宅ローンが組みにくい

(1)地代を支払う必要がある

定期借地権付きマンションでは、土地を借りている状態なので、賃料として地代を支払います

月に1万~1.5万円に設定されていることが多いです。

通常のマンションを取得したときにかかる土地部分への固定資産税・都市計画税が7万円~10万円程度なことから、地代は割高になっています。

また、年間の地代の支払額は土地の更地価格の1.5%~1.8%に設定されていることが多いです。

もし定期借地権の契約期間が50年だった場合、契約期間満了時には土地の更地価格の75%~90%を支払っていることになります。

借地契約の締結時に権利金や保証金の支払いがあることも考えると、購入費用の安さの割に、契約期間全体では金銭的なメリットはそれほど大きくないともいえるでしょう。

(2)売却しにくく、売却できても低価格になる可能性が高い

定期借地権付きマンションを第三者に売却するとき、借地権の譲渡にあたるので地主の承諾が必要です。あわせて、譲渡承諾料も必要になります。

また、地主の承諾を得られなかったときには、裁判所に地主に代わる許可(代諾許可)を申し立てなければならないなど、通常のマンションに比べて手続きが面倒です。

さらに、地主の承諾を得られたとしても、そもそも買主を見つけることが難しいです。

たとえば、契約期間が50年の定期借地権付きマンションで築30年だった場合、買主は何があっても20年しか住めません。

そうなると、住宅ローンも最長で20年までで組むことになります。

一般的な35年の住宅ローンに比べて期間が短いので、それだけ毎月の返済額の負担も大きいです。

そのような理由もあり、希望売却価格を下げたとしても簡単には購入希望者を見つけられません

(3)契約期間の延長ができない

定期借地権は更新のない借地権です。契約期間の延長もできません

たとえば、定期借地権が一般定期借地権で、契約期間が50年の場合、50年経ったときにはマンションを解体して退去する必要があります。

もし30歳で定期借地権付きマンションを購入したとすると、80歳のときです。そのときには、身体も思うように動かなくなっている可能性もあり、慌てて新しい住居を探そうとしても大変です。

賃貸住宅に引っ越すにしても、高齢者のみの世帯で入居できるところは多くありません。

そのため、契約期間終了後、どこに住むのか事前に考えておくことが大切です。

(4)住宅ローンが組みにくい

敷地が借地権の場合、住宅ローンが組みにくいというデメリットがあります。

通常、住宅ローンを組むときには、土地と建物どちらにも抵当権を設定し、担保とします。

しかし、定期借地権付きマンションでは、土地は地主のものなので、建物部分しか抵当権を設定できません

借地上の建物に抵当権を設定していれば、効力は借地権にまで及ぶとされていますが、それでも担保価値は非常に低いです。

第三者への売却に手間がかかるほかに、契約期間が明確に決められているからです。

借主が住宅ローンの返済をできなくなり、抵当権を実行し、競売にかけたときには借地権の残存期間が少なくなっている可能性もあります。

そうなれば買主を見つけることは難しくなるため、金融機関も債権回収の目処を立てらず、審査も厳しくなります。

そのほか、住宅ローンを組むときには注意すべきポイントもあるので、次で詳しく解説します。

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定期借地権付きマンションの住宅ローンに関する注意点

住宅ローン
定期借地権付きマンションで住宅ローンは組めないわけではありません。ただし、次の4つのポイントに注意する必要があります。

(1)担保価値が低いため、融資額も少なくなる可能性がある
(2)借地権の残存期間を超える住宅ローンは組めない
(3)金融機関から地主の承諾を求められる場合がある
(4)土地部分が住宅ローン控除の対象外となるケースがある

(1)担保価値が低いため、融資額も少なくなる可能性がある

住宅ローン審査の項目には、不動産の資産価値もあります

担保は借主から住宅ローンの返済が止まったときの資金回収のための保険のようなものです。そして、住宅ローンは年収の何倍もの金額の融資です。

そのため、融資額では借主の年収だけでなく、定期借地権付きマンションの担保価値と見合っているかも評価されます

しかし、定期借地権付きマンションの価格は通常の分譲マンションの70%~80%程度ですが、担保評価は半分以下のことも多いです。

その結果、年収が高かったとしても、受けられる融資額が少なくなる可能性があります。

準備できる頭金が心もとなければ、どれくらいの融資を受けられそうか、不動産会社や住宅ローンを申請する予定の金融機関に相談しておくと安心です。

(2)借地権の残存期間を超える住宅ローンは組めない

定期借地権では、期間満了時には明け渡しのため退去しなければなりません

そして、更地にして建物がなくなってしまうので、金融機関からしても担保がなくなります。

そのため、借地権の残存期間を超える住宅ローンは組めません

例えば、三井住友銀行の定借住宅ローンでは、融資期間終了時に、定期借地権の借地期間が10年以上残存していることが必要とされています。

一般的な住宅ローンの返済期間は35年以内なので、新築時に問題になることはありません。

しかし、中古物件として購入する場合や、第三者に売却する場合には残存期間が重要になります。
参照:定借住宅ローン

(3)金融機関から地主の承諾を求められる場合がある

所有権を持つ建物部分に抵当権を設定することは本来、借地権者の自由です。しかし、ほとんどの金融機関で住宅ローンを組むときには抵当権設定について地主の承諾書が求められます

抵当権を実行する前に、借地契約が解除されることを防ぐためです。

ただ、地主の中には承諾を拒否する方もいます。その場合、譲渡承諾と同じように裁判所に代諾許可を申し立てることになりますが、認められることはほとんどありません

抵当権設定の承諾は、住宅ローンを組むための要件として法律で定められているわけではなく、金融機関の自主的なルールであり、地主の任意によるものだからです。

地主の承諾を得られなかった場合、現金一括で購入したり、地主の承諾が不要の金融機関を探したりなどの対策が必要になります。

特に第三者へ譲渡するときには、住宅ローンを組めるかどうかが売却価格にも大きく影響することを覚えておいてください。

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(4)土地部分が住宅ローン控除の対象外となるケースがある

住宅ローンを組んでマイホームを購入したときには、住宅ローン控除という制度を利用できます

住宅ローン残高または住宅の取得価格の少ない方の金額の一定の割合が所得税の額から控除されるものです。

所得税から控除しきれない場合には住民税からも一部控除されます。

消費税や金利の負担を小さくできる非常にメリットの大きな制度なのですが、定期借地権付きマンションの場合は注意が必要です。

定期借地権付きマンションを購入するときには、一時金を支払うことが多いとお伝えしました。

そして、一時金が賃料前払い方式にあたる場合、その分は住宅ローン控除の対象外となります。

また、保証金方式であっても、全額、住宅ローン控除の対象となるわけではありません。
一定の計算式に基づいて算出された金額が、土地の取得の対価とみなされます。

このように一部対象外となる項目があるので、住宅ローン控除を受けるときには専門家である税理士や所在地の税務署などに相談するようにしてください。

定期借地権付きマンションを購入するまでの流れ

最後に、定期借地権付きマンションを見つけてから、購入するまでの流れを解説します。

(1)購入の申込みを行う

購入したい定期借地権付きマンションが見つかったら、その販売を担当している不動産デベロッパー・不動産仲介会社に購入の申込みを行います

このとき、「提示された条件で購入する強い意志があります」と売主に伝える「買付証明書」に記入します。

あわせて、申込証拠金を支払うことも多いです。

(2)重要事項の説明を受ける

売主から売却の承諾を得られたら、契約手続きに進みます。

契約書を交わす前に、宅建業者から重要事項説明を受けます

これは、これから購入する物件や取引内容に関して重要な項目について、専門資格を持っている宅地建物取引士から説明してもらうことです。

土地が定期借地権であることも、このときに改めて説明を受けます。

(3)売買契約を結ぶ

重要事項説明を受けて、問題なければ売買契約を結びます

契約内容が事前に説明されたことと違いはないか、何かわからないことはないかを1つ1つ確認します。契約内容の誤解や理解不足で、トラブルになることも多いので、少しでも不明点があれば、遠慮することなく、質問してください。

また、売買契約書を締結するときには、住宅ローンの本審査を受ける前です。

そのため、住宅ローンを申請し、予定していた金額を借りられなかったときには、違約金なしで契約解除できるという融資利用特約も設定されています。そして、

契約を結ぶときには、手付金の支払いも行います。
売買価格の10%程度が相場です。

(4)住宅ローンを申請する

売買契約を結んだあと、住宅ローンの本申し込みを行います審査は2週間程度かかります。

融資利用特約の期日内に、金融機関の審査結果がわかるよう、契約を結ぶときには申請で必要となる書類を準備しておきましょう。

(5)登記手続き・残金決済・物件の引き渡し

住宅ローン審査も無事に承認されれば、登記手続きと残金の決済、物件の引き渡しをまとめて進めます

手続き自体は、司法書士や金融機関の担当者が行うので、事前に指示された必要書類を準備し、同席しておくだけで問題ありません。

(6)借地契約書を交わす

定期借地権付きマンションは、一括して地主と不動産デベロッパーが定期借地契約を交わしたあとマンションを建設し、そのあとで、販売を行っていることがほとんどです。

不動産デベロッパーが交わした契約内容と変わることはありませんが、改めて地主と購入者名義で定期借地契約を結びます

以上で、定期借地権付きマンションの購入は完了です。

まとめ

ここまで定期借地権付きマンションと通常の分譲マンションとの違い、デメリット、住宅ローンを組むときの注意点について解説してきました。

まとめ
・定期借地権付きマンションには、一般定期借地権と建物譲渡特約付借地権がある
・定期借地権付きマンションでは、契約の更新がなく、期間満了時には原則退去する
・定期借地権付きマンションのデメリットは、契約の延長がないこと、売却が難しいこと
・一時金の性質によっては、住宅ローン控除の対象外となる可能性がある
・借地権の残存期間によって、返済期間が短くなる可能性がある

定期借地権付きマンションは所有権を取得するマンションに比べて価格が20~30%安いという点はメリットですが、その分、この記事で解説してきたようなデメリットがあります。

購入時の価格だけでなく、将来の売却可能性や契約期間満了後の住まいの確保なども考えたうえで、購入を検討するようにしましょう。

そして、定期借地権付きマンションを購入しようと思ったときには、一度、専門家である不動産会社に相談することをおすすめします。

最終更新日:

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