最低敷地面積の土地分筆における注意点と分筆してしまった土地の売却方法

最低敷地面積

「親から相続した土地を親族で分けたい」「土地が広すぎて買い手が見つからない」このような理由で土地を分筆したいと思われているのではないでしょうか。

このとき、「最低敷地面積」という規定に注意する必要があります。もし最低敷地面積を下回る面積で分筆すると、その土地には新たに建物を建てられないなど様々な不利益があるからです。当然、売却も難しくなります。

そこでこの記事では、最低敷地面積が定められている理由と土地分筆における注意点、分筆してしまった土地の売却方法について詳しく解説します。これを読めば最低敷地面積のことを理解でき、最低敷地面積以下で分筆してしまった場合の対処法について理解できるでしょう。

最低敷地面積(敷地面積の最低限度)とは

最低敷地面積
最低敷地面積は敷地面積の最低限度ともいわれますこれは建物の規模によらず、建物を建てるときに必要な最低限の敷地面積のことです。

例えば、最低敷地面積が150㎡以上と定められた地域では、149㎡の敷地に建物を建築できません。最低敷地面積は全国一律で決まっているわけではなく、市区町村単位で基本的に地区計画区域・用途地域の種類別で決められています市街化区域であれば100㎡、市街化調整区域であれば150㎡、市街化区域の中でも第一種低層住居専用地域であれば120㎡、第一種中高層住居専用地域であれば110㎡です。

また、最低敷地面積が適用されない例外もあります。適用除外の例外について理解しやすくするため、先に最低敷地面積が導入された背景を説明します。実は平成の初期までは、敷地面積の最低限度がない地域も多くありました。ほとんどの市区町村で最低敷地面積が導入されるようになったのは最近のことです。

最低敷地面積の導入が進んだ背景と目的

最低敷地面積の導入が進んだ背景には「ミニ開発」があります。「ミニ開発」とは、一般的に以下のような開発行為を指します

1.1,000㎡未満の土地を
2.大部分の区画面積が100㎡未満となるように分割し
3.複数の宅地の分譲・建売住宅とする

500㎡のような大きな土地をそのまま購入できる買主は事業者や投資家に限られます。一般の人にはそれだけの土地を購入する資金は準備できませんし、そもそも一戸建てを考えているのであれば大きすぎて買う必要がありません。このように大きな土地は買主が限られているので、値段も下げる必要があります。そこで不動産ディベロッパー(開発事業者)は、土地を分筆することを考えました土地を細かく分けることで一般の人でも買えるようにしたのです。

「マイホームを持ちたい」「住宅はそこまで広くなくていい」「バブル経済崩壊による地価の下落」「住宅ローン金利の低下」という事情とも一致したこともあって、買主は多く、値段を下げずとも売れていきました。さらに、1,000㎡未満の土地を開発する場合、都道府県知事の開発許可が不要で、都市計画法で定められた敷地面積の最低限度に関する制限などの基準が適用されなかった点もミニ開発がおこなわれた理由の1つです。

しかし、ミニ開発による弊害もありました。土地に住宅が密集する形になるので、住宅間に十分なゆとりが取れず、日照や通風、採光が低下し、防災上も危険です。つまり、最低敷地面積を定める目的は、居住環境の悪化を防止することです。

最低敷地面積の適用が除外される例外

最低敷地面積の規定は、ゆとりある住環境を作ることを目的とした制度でした。それでは、すでに建物が建てられている最低敷地面積以下の土地は違法建築物となるのでしょうか。答えを先にお伝えすると、それは違法建築物とはなりません

最低敷地面積は、条例の施行後に建てられる建築物が対象となる規制です。つまり、条例施行前の時点ですでに分筆されている土地については、最低敷地面積の適用はされません。そのため、条例施行後もその土地を新たに分割せず、1つの敷地として使用する場合には新築・建て替えができますただし、新しく土地を分筆する場合には、最低敷地面積が適用されるので注意してください。

具体的に、最低敷地面積が80㎡の地域で考えてみます。例えば、すでに建物が建てられている敷地が70㎡で、建てられた時期が最低敷地面積の条例施行前だったとします。このとき、70㎡の敷地を使って建て替えすることは問題ありません。しかし、140㎡の敷地をこれから分割して、70㎡の2筆の土地にしたとします。このとき、敷地面積は同じ70㎡ですが、分筆後の土地は最低敷地面積の適用を受けます。そのため、分筆後に70㎡となった土地には新しく建物を建てられません。

一方で、次の場合には条例施行後、最低敷地面積以下であっても建物を建築できます

1.建ぺい率の限度が80%とされている地域において、防火地域内にある耐火建築物
2.公衆便所や巡査派出所などの公益上必要な建築物
3.敷地の周囲に広い公園や広場、道路などがあって、特定行政庁が交通上、安全上、防火上、そして衛生上支障がないと認めて許可した建築物
4.特定行政庁が用途上または構造上やむを得ないと認めて許可した建築物

ただし、特定行政庁から許可を得られることは稀です。これから分筆するときには、最低敷地面積を下回らないことを事前に確認しましょう。

最低敷地面積の調べ方

インターネット検索
売却を目的に土地を分筆したいときには、最低敷地面積を下回らないようにすることが大切です。最低敷地面積は自治体がそれぞれ独自に定めており、情報は市区町村のホームページ上で公開されていることがほとんどです。そのため、検索エンジンで「(市区町村名) 最低敷地面積」「(市区町村名) 敷地面積の最低限度」というキーワードで検索すれば閲覧可能です。

例えば、「練馬区 最低敷地面積」と検索すると「用途地域(建ぺい率、容積率、高さの制限、敷地の最低限度等)」という練馬区のホームページが見つかります。そのページを確認することで、練馬区では建ぺい率を基準に敷地面積の最低限度の数値を定めていることがわかります。
参照:練馬区

また、インターネットで検索してもわからないときには、その市区町村では最低敷地面積を定めていない可能性もあります。しかし、「ホームページ上で公開していないだけ」という可能性もあるので、最低敷地面積の情報が見つからないときには直接、電話や訪問して役所に聞くようにしてください。「最低敷地面積が定められているのを知らず、それ以下の面積に分筆してしまった」となっては後悔しても遅いです。

最低敷地面積の緩和が実施されている市区町村もある

市区町村の中には、独自に最低敷地面積の規定を緩和しているところもあります。

そのため、最低敷地面積を調べるときには、同時に、緩和規定も定められていないか調べることをおすすめします。

緩和規定がわかれば、分筆できないと思っていた土地も分筆できるかもしれません。

最低敷地面積の土地分筆における注意点

最低敷地面積の制限は、指定面積未満に土地を分筆することを禁止するものではありません。あくまで、建物を建てるときに制限されるものです。そのため、最低敷地面積未満の土地でも分筆できますし、分筆後、最低敷地面積未満になるとしても問題ないです。しかし、相続が発生し、相続税が軽減される小規模宅地の特例を受けるために遺産分割しなければならないといった理由で、分割後の使い道まで考えられていない場合には、最低敷地面積未満となるような分筆は避けたほうがよいでしょう。なぜなら、最低敷地面積未満の土地は売却が難しくなるからです。

最低敷地面積から0.1㎡でも狭ければ、その敷地上に建物を建築できません。そうなれば、土地の使い道は駐車場や家庭菜園に限られてきます。さらに、最低敷地面積を下回る土地ですから、駐車場経営をするとしても高い利回りは期待できません。固定資産税や都市計画税など税金の支払いだけで赤字になる恐れもあります。そのような土地を購入したいと考える方は少なく、価格を下げても買主が見つからないでしょう。したがって、土地を分筆するときには最低敷地面積を調べ、それを下回らないようにすることが大切です。

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最低敷地面積の土地を分筆すると違反建築物になる

条例施行前に最低敷地面積未満の土地に建てられた建物は既存不適格建築物でも違反建築物でもありません。既存不適格建築物でもないのは、その敷地を1つの土地として使う限り、新築も建て替えもでき、通常の物件と同じように売買できるからです。しかし、その建物が建っている土地を分筆すると、その建物は違反建築物となります。分筆したときには、最低敷地面積の適用を受けるからです。行政からの是正指導対象にもなるので、すでに建物が建っている場合には分筆しないようにしましょう

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分筆してしまった最低敷地面積以下の土地の売却方法

土地売却
最後に、最低敷地面積未満で分筆してしまった場合の土地の売却方法について解説します。その方法は大きく3つです。

1.隣地の所有者に売却する
2.隣地を買い取り、最低敷地面積の制限を満たす
3.買取業者に売却する

1.隣地の所有者に売却する

最低敷地面積未満の土地は、新しく建物を建築できません。しかし、隣地の方であれば使い道があります隣地と合筆することで、1つの土地として最低敷地面積を満たすようになるからです。建ぺい率や容積率を考える必要はありますが、分筆してしまった土地の部分にも建物を建てて離れや物置、車庫などに利用できるようになります。また増改築・建て替えするときにも、元の敷地が広くなるので今より大きな規模の建物にすることもできます。

そのため、最低敷地面積未満の土地を売却する場合、売却先の第一候補は隣地の所有者です。利用価値が大きいので、第三者に売却するより価格を下げずに売却できます。

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2.隣地を買い取り、最低敷地面積の制限を満たしたあとで売却する

2つ目の方法は、隣地の所有者に売却するときと逆です。隣地の所有者から敷地を全部または一部買取することで、最低敷地面積の指定面積を満たすようにしますそうすれば建物を建築できる通常の土地として売却できます。
また、隣地を買取するときには、買取したあとの敷地がどちらも、最低敷地面積だけでなく、建築基準法で定められた容積率や建ぺい率、接道義務などすべての建物に関する規定を満たすことを確認することが大切です。後々のトラブルを避けられます。ただし、確認には法律・条例に関する専門知識が必要になるので、建築士や土地家屋調査士などの専門家に依頼するようにしてください。

3.買取業者に売却する

隣地所有者への売却、隣地所有者からの買取が難しく第三者の買主が現れる見込みがない時やできるだけすぐに売却したい時には、買取業者へ売却する方法もあります。買取業者によって得意・不得意があり、買取可能な物件も異なるので、買取査定は専門業者に依頼することがおすすめです。

まとめ

以上、最低敷地面積が指定されている目的と、土地分筆における注意点、最低敷地面積以下に分筆してしまった場合の売却方法について解説してきました。

まとめ
・最低敷地面積の目的は、快適な住まい環境の維持
・条例施行後、最低敷地面積未満に分筆された土地には建物を建設できない
・条例施行前、最低敷地面積未満だった土地は、新築・建て替え・売却が可能
・最低敷地面積は各市区町村のホームページで確認できる
・最低敷地面積以下に分筆した時は、隣地所有者に売る、隣地を買取る、買取業者に売る

この記事で解説してきたように、最低敷地面積未満の土地で分筆してしまうと建物を建てられないので、使い道はほとんどなく買主を見つけることも難しいです。そのため、分筆登記するときには、まず分筆後のすべての土地で最低敷地面積未満とならないよう事前に確認することが大切です。

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