家族の首吊り自殺で家が事故物件に!?上手な売却方法と告知義務の範囲を詳しく解説

首吊り自殺 家 売却

不動産売買において多くの人から敬遠される事件・事故物件は売却が非常に困難となる物件でもあります。

家族や親族が自宅で自殺してしまったために家が事故物件となってしまったというケースはよくあります。こういったケースでは心を整理するために売却したいけれど買い取ってくれる不動産会社が現れず、自殺のあった家をずっと手放せずに悩んでいる人が非常に多いです。

この記事では、自殺によって事故物件となってしまった家を上手に売却する方法をメインテーマとし、売主が負う瑕疵担保責任・告知義務の範囲などを詳しく解説していきます。

自殺物件の多くは首吊り自殺

家 診断
まず、自殺において最も多い死因は「縊死(いし)」、いわゆる首吊り自殺です。その多くは自宅で死に至っていることが厚生労働省の調査で判明しています。(参照:厚生労働省「平成30年の自殺の状況 30p~」

実際に事故物件における告知事項をよく調べてみると、首吊り自殺が過去にあったなどのケースが多くみられることから、この調査結果は紛れもなく現実と深く結びついているものだと認識できます。

そして、人の死に関わる事が起きた不動産は基本的に「心理的瑕疵物件」とみなされてしまうのが慣例です。

心理的瑕疵においてはそれぞれ物件ごとの事情を個別的に判断し程度が決まります。事件・事故物件において比較的に軽度の死因と判断された場合、告知義務期間等が短くなるケースもあります。

では、首吊り自殺が起きた物件の場合はどの程度の心理的瑕疵にあたるのか次の項目で説明します。

首吊り自殺の嫌悪度は比較的軽度という考えも

事故物件における死因の中で首吊り自殺は心理的な嫌悪度が低いとする考えもあります。

他の死因の中で例えを出すならば、死後に長期間放置されやすい孤独死の場合、腐敗によってとてつもない異臭が周囲に放たれることや、長期間死体が放置されていたという事実自体が悪い意味で近隣住民の記憶に刻まれてしまいます。

また、刃物等での自殺の場合では、人体へのショックや痛みが大きいことから死亡するまでにもがき苦しみながら暴れまわってしまうケースもあります。それにより部屋に血痕等が散乱し汚染範囲が広くなってしまいます。

事故発覚後に「部屋が血だらけだった」などのようにどこからともなく噂が流れはじめてしまうと、やはり近隣住民の脳裏には「あの物件は凄惨な現場だった」という印象が刻まれてしまうため心理的嫌悪感は非常に高くなってしまうでしょう。

一方で首吊り自殺の場合「その場で静かに息を引き取っていること」、また宙吊りになっていままであれば「死体による体液等の汚染範囲が限定される」などの理由から、凄惨な現場という印象が上記の2ケースに比べて弱くなり近隣住民の精神的嫌悪感は若干少ないともいえます。

心理的瑕疵は周りに与える嫌悪度が一つの指標

心理的瑕疵には明確な基準というものが存在しません。

物理的瑕疵や法的瑕疵と違って、人の心理というものは目に見える形で定義されていないものではないため非常に判断が難しいとされます。

例えば、何十年も前に起きた事件のことを未だに「告知事項(心理的瑕疵)アリ」としなければならないケースもありますし、逆に2~3年経過した時点で通常の物件として売買しても問題ないとされるケースもあります。

判断されるポイントとしては「その物件で起こった事件や事故が近隣住民や買主にどの程度の嫌悪感を与えているか」でしょう。

ニュースで大々的に報道された凄惨な殺人事件などは数十年間経っても近隣住民の心に深い傷が残りますが、年老いた老人がいつの間にか孤独死してしまったなどの場合では語られるのは長くて数年間で、嫌悪感とはまた少し違った感情を持つことでしょう。

つまり、自殺物件においても「どのような経緯で、どのような状況・状態だったのか」「近隣住民にどのくらいの心理的嫌悪を与えたのか」が心理的瑕疵の程度を決め、将来的な物件の価値に繋がってくるといえます。

自殺物件売却のデメリットと注意点

考える人
自殺のあった物件は事件・事故物件に属する不動産となります。他の瑕疵物件と異なるのは、目に見える物理的な欠陥だけではなく人の感情部分が関わる心理的な問題が資産価値に直接影響してくるという点です。

そのため、売却が思うように進まないことも多々あります。自殺物件を上手に売却するためには、売却時に一般物件と異なってくるポイントや注意点を理解することが大事です。

自殺物件は通常物件の売値より安くなる

自殺物件は殺人事件などが起きた物件と比べると若干嫌悪感は薄いといえます。とはいえ、不動産市場からみれば事故物件という扱いに変わりはなく資産価値の低下が予想されます。

おおよそ通常物件の相場から30%~50%程度引かれた金額で査定されるといわれます。

告知事項有りの心理的瑕疵物件だから買い手が付かない」というのが大きな理由ですが、死因や近隣住民が感じる心理的嫌悪感の程度によっても大きく変わります。

売却時に買主への告知が必要

心理的瑕疵物件となる自殺物件は、主に瑕疵付与時からの時間経過によって告知義務の有無が判断されます。

もっと具体的に説明すると、時間経過によって周囲に与えていた心理的嫌悪感が薄れているかどうかで告知の必要性が決まります。

しかし告知期間についても明確な決まりがなく、ケースごとに判断されます。

自殺の場合、告知義務期間は7年程度と判断されることが多いですが、賃貸で自殺したケースと一軒家で自殺した場合では人の入れ替わりの有無等に違いがあるため期間がまた異なってきます。

【補足】どんな事情が告知義務に該当するのか
「買主が聞いたら取引を渋るような事柄は告知義務有り」
「買主が聞いても取引を続行しても良いと判断される程度の事柄は告知義務無し」という基準で主に判断されます。

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未告知だと損害賠償請求の恐れがある

自殺などは経過年数に関わらず告知義務事項に該当する可能性が高いので、売主として包み隠さず告知しておくことを推奨します。

自殺物件を売却した後に何かしら異常性があった場合や過去の自殺を買主が知った場合、告知しなかったことにより瑕疵担保責任が追求され損害賠償が請求される可能性があります。

時間が経過し告知義務が無いと判断されるような自殺物件でも、裁判等で瑕疵担保責任を追う必要があると判断されてしまうケースもあります。

首吊り自殺物件を上手に売る方法

計画
首吊り自殺等があった物件は安価でしか売れないのかというと、必ずしもそうではありません。売り出し方や売却先を工夫することで、相場に近い金額で売却することができます。

また、首吊り自殺は死亡時における瑕疵のなかでは比較的に程度が軽いほうだと認識されることが多いため、しっかりとした売却戦略を立てることで一層価格を上げることができます。

自殺のあった建物を取り壊して更地で売る

自殺のあった物件を売る際には、心理的嫌悪感を減らす努力が大事です。その一つとして自殺の現場となった建物を取り壊して更地にすることが売却時に有効となります。

建物を解体すれば自殺した現場自体が無くなるので、嫌悪感は若干少なくなります。また、更地にすることで土地の利用に自由が生まれるため、さまざまな人を買い手としてターゲットにすることができます。

「嫌悪するべき建物は存在していないし、事故物件のため相場よりも安く土地が手に入る」と考えて購入する人は意外に少なくないため、とても良い売却手段といえます。

ただし、庭などで首吊り自殺をしたなどのケースにおいては土地自体が心理的瑕疵物件となりうるため、更地にしても買い手が見つからない可能性があります。

更地にしても原則として告知義務有り!

自殺のあった建物を解体したからといって、告知義務が完全に無くなるわけではありません。

告知義務についてはケースごとに判断されるものですが、後々瑕疵担保責任によって損害賠償請求をされるリスクを考えれば事件の起こった物件は土地を含めしっかりと瑕疵の事実を買主に告知したほうがよいでしょう。

ただし、10年以上の時間が経過し、それまで物件に異常性が見られなければ告知する必要性はないとした判例もあります。

事故物件専門の買取業者へ売却

事故物件を自身が納得する金額で一般の買い手に売却するのはとても難しいといえます。

多くの場合は買い手が見つからない、見つかっても売買交渉でかなり安くなってしまうのが実情です。

そこで注目したいのが「事故物件専門買取業者」です。瑕疵も何もない一般物件を扱う大手買取業者とは異なり、事故物件をメインとして扱っているところがポイントです。

大手の場合は安く買い叩かれてしまうところ、専門買取業者は事故物件の資産性を最も理解しているエキスパートが買取をおこなうため相場相当、希望の金額で買い取ることが可能です。

当社も事故物件専門買取業者として数々の実績を誇り、査定スピードや価格も満足のいくものになるよう自信を持ってサービスを提供しております。

もしよろしければ、一度以下のリンクよりお気軽にお問い合わせいただけると幸いでございます。

首吊り自殺の瑕疵担保責任範囲

裁判所
前述したとおり、心理的瑕疵が付する自殺物件はしっかりと告知義務を怠らなければ売却後に瑕疵担保責任を問われることはありません。(告知済みの事項は契約内容とみなされるため)

しかし、心理的瑕疵においては瑕疵となる基準や欠陥が明確ではないものもあるため、告知したにも関わらず売主が不当な責任追及をされるケースもあります。

売買契約においてどの程度の範囲が隠れた瑕疵に該当し、売主が責任を負う必要があるのか解説していきます。

特約をつけた場合の瑕疵担保責任はどうなる?

「瑕疵についての担保責任を一切負わない」等の特約を付け売買契約を結んだとしても、売主は基本的に瑕疵担保責任を免れることはできません。

よくあるケースですが、民法第572条では以下のように定められています。

■担保責任を負わない旨の特約
売主は、第五百六十条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。出典:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089_20180401_429AC0000000044&openerCode=1#2093、総務省「民法 第五百七十二条」

ただ、この条文を読み取ると「隠れた瑕疵について売主が知らなかった場合の特約には有効性がある」という解釈にもなります。

具体的には、過去に自殺の事実があったことを知らずに売主が物件を所有していた、もしくは告知義務が無くなったと思い込んでいた物件を売主が所有していたなどのケースでは特約が有効となり得ます。

また、瑕疵担保責任を追求する側の買主は「売主が知らなかった」ということを立証する必要があります。しかし心理的瑕疵については立証することが非常に困難なため、より一層特約が有効化されやすいといえます。

いずれにせよ特約が有効となるかどうかはケースによりけりで最終的に裁判所の判断を仰ぎます。このような争いが起こった場合は早めに弁護士などの専門家に相談し対処することが大切です。

過去に自殺があっても瑕疵にならないケースもある

物件の売買契約において、過去にあった自殺等の事実が必ず瑕疵に該当するわけではありません。

例えば「数年前に建物内で首吊り自殺があった物件が売買され、買主が建物を取り壊した後に自殺の事実を知った」というケースでは売主側の説明義務は無く瑕疵に該当しないとした判例もあります。(参照 大阪地裁 平成11年2月18日)

このケースの大きなポイントは「買主は土地取得が目的だった」「自殺の現場である建物がすでに取り壊されて心理的欠陥となり得る対象が特定できない」という2点です。

特に、自殺の現場が既に存在しないものになっている場合、上記の判例のように売主が説明すべき瑕疵に該当しないケースになり得る可能性があります。

ただしこれは、買主が土地の取得と売買を目的とした契約だったからという前提のもとでの判決です。そのため、住居用として長く住む予定で個人が購入したケースにおいては瑕疵となりうる可能性もあります。

参照:不動産適正取引推進機構「RETIO判例検索システム H11.2.18 大阪地裁の判例」

まとめ

自殺などで事故物件になってしまった場合でも、物件における嫌悪度が軽いのであれば売却可能です。特に首吊り自殺など、事件の現場が建物内である場合は該当の建物を解体し更地にすることで嫌悪度を下げることができて売却もしやすくなります。

ただし、瑕疵のない一般的な物件と比べると価格は低くなってしまうことは予め留意しておきましょう。なるべく高額で売りたいのであれば事故物件専門の買取業者を売却先として選択するのが最善の方法です。

また、仲介などで売却する際には特にですが、心理的瑕疵における告知義務を怠らないように気をつけましょう。売主には売却後の瑕疵担保責任があるため告知義務を怠ると後々買主から損害賠償請求をされるおそれがあります。

事故物件における心理的瑕疵には、実際に瑕疵にあたるのか、告知義務があるのか判断できないものもあります。瑕疵や告知義務の有無を自身で判断できない場合は早めに弁護士等に相談しましょう。

最終更新日:

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