建物に欠陥が発覚!瑕疵担保責任の詳細と契約不適合責任とは?

瑕疵担保責任

もし購入されたマンションに欠陥があった場合、売主に対して「瑕疵担保責任」を追及して補修や損害賠償を請求することができます

しかし、瑕疵担保責任にはさまざまな条件や時効などが存在するため、必ずしも売主に対し、責任を追及できるわけではありません。

そこで今回は、瑕疵担保責任の定義や期間、さらには今後民法改正によって重要になってくる契約不適合責任について解説します。

瑕疵担保責任ってどんな責任?

瑕疵担保責任
瑕疵担保責任とは、その名の通り「建物の瑕疵(欠陥)があった場合、売主が買主に対して負う責任」のことを指します。

根拠となる法律は民法570条で、以下のように規定されています。

第570条
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない

要するに、買主が知らなかった欠陥があった場合については、売主に対して損害賠償請求をすることができ、契約の目的を達成できないほど深刻な欠陥があった場合については、契約を解除できるという意味です。

また、買主は建物の欠陥を見つけてから1年以内でないと、売主に責任を追及し損害賠償を請求することができなくなりますので充分に注意してください。

関連記事
事故物件
ある日突然、所有していた物件が「事故物件」になってしまうことがあります。 売却を検討しても「事故物件なんて売れないのでは」と不安になることもあるかもしれません。 事故物件を売るには、またできるだけ高く売るにはどうしたら良いのかを解説します。 「事故物件」となる瑕疵は3種類 「事故物件」という言葉は広く認識されるようにな…

10年を過ぎれば瑕疵担保責任は消滅する

物件購入から何年も経っている状態では、その原則が適用されないこともあります。

平成13年の最高裁判例では、「他の金銭請求とともに、10年の消滅時効にかかる」と判断されました。

これは「買主が通常の消滅時効期間である10年の間に瑕疵を見つけられたというなら損害賠償請求権を行使しても不合理ではないが、消滅時効が定められていない状態では、買主が瑕疵に気づかない限り永久に権利が続き、売主の負担が大きい」と考えられたためです。

物件の瑕疵の有無は、遅くとも購入から10年間のうちに調べておいた方がよいでしょう。

また、売買契約の際に特約として「瑕疵担保責任そのものを排除する」というようなルールが設定されている可能性もありますので、物件契約の場合は必ず契約書を確認するようにしてください。

瑕疵担保責任の期間と免責について

瑕疵担保責任について追及できる期間については、売買契約の条項によって制限することができます

瑕疵担保責任については、自分自身が買主の立場であれば、できる限り長くして欲しいですし、売主の立場であれば免責して欲しいということになるため、売買契約を結ぶ際には瑕疵担保責任をどのように扱うのか、よく確認することが重要です。

関連記事
事故物件
「何らかのトラブルを抱えた不動産物件」を「事故物件」と言いますが、もし自分が保有する物件が事故物件になってしまった場合、なにより気がかりなのは「この物件は果たして売却することが出来るのだろうか」ということではないでしょうか。 この記事では、「事故物件とは何か」「売却するにはどうしたらよいのか」について、以下で解説してい…

買主の場合の注意点

自身が買主の場合は、できる限り瑕疵担保責任期間を引き伸ばしたいところですが、注意が必要なのは、売主が宅建業者である場合です。

物件を購入する際は、不動産業者から直接購入するケースも多いため、売主が宅建業者であることはよくあります。

売主が宅建業者の場合、瑕疵担保責任期間には以下のような制限が付きます

宅地建物取引業法:第40条  
宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第570条において準用する同法第566条第3項 に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条 に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない

このように、売主が宅建業者というプロである場合については、最低でも引渡しの日から2年以上は瑕疵担保責任を負わなければならないという制限があります

そのため、不動産業者から物件を購入する際に、売買契約書に瑕疵担保免責との記載があった場合については、宅建業法違反となり無効ですのでよく覚えておきましょう。

売主の場合の注意点

自分自身が物件を売却する際については、できる限り瑕疵担保免責にしてもらえるよう、買主側と交渉することが重要です。

不動産会社が瑕疵担保責任を負う分には、建築会社や施工業者にさまざまなコネクションがあるため、万が一欠陥が発覚したとしても、ある程度の損失で解決することができますが、個人売主となるとそうはいきません。

瑕疵担保責任を負うことになると、その期間中については常にリスクを抱える事になるため、売却して引渡したあとについても落ち着かない日々が続きます。

そのため、物件を売却する際には、買主側に瑕疵担保免責を条件として提示することをおすすめします。

買主側が不動産業者であれば、ほとんどの場合、瑕疵担保免責で了解してもらえるでしょう。
また、個人が買主の場合でも、多少の値引きに応じれば、瑕疵担保免責で許可が出ることもあります。

瑕疵担保責任は、個人で負うには非常に重い責任なので、できる限り瑕疵担保免責で売却するようにしましょう

新築物件は品確法が適用される「基本構造は10年」

新築
宅建業法では売主が宅建業者の場合、最低でも2年の瑕疵担保責任期間を負うことと規定されていましたが、もしも物件が新築だった場合、瑕疵担保責任が2年間では短すぎるという印象があります。

そもそも、家電製品のメーカー保証だとしても、もう少し長いはずです。

そこで、すべての新築物件は「住宅品質確保促進法」によって別途保証期間が法律で定められており、その期間内に瑕疵が見つかれば、売主は無料で修繕したり、損害賠償を支払わねばなりません

このように品確法による瑕疵担保責任期間は、「住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵」について、10年間とすることを義務付けています。

さて、ここで最も重要なのは「住宅の構造耐力上主要な部分等」の範囲です。
いくら欠陥が見つかったとしても、該当範囲に含まれなければ、品確法による10年間の対象にはなりません。

関連記事
傾いた家
家が建っている地盤の状態によって、また地震などによって家が沈下して傾いてしまうことがあります。 家の傾きは生活環境だけでなく、健康状態などにも影響を与えますし、多くの人にとって好ましい状態ではありません。 なかには傾いた自宅を売却したい方も出てくるでしょう。 この記事では、傾いている家をできるだけ高く売るための方法や家…

住宅の構造耐力上主要な部分等とは?

2年を超えてから欠陥が発覚した場合は、該当箇所が「住宅の構造耐力上主要な部分等」に該当するかどうかで争いとなることがよくあります。

「住宅の構造耐力上主要な部分等」とは、具体的には以下の2点が該当します。

1.構造耐力上重要な部分

基礎、基礎ぐい、床版(床スラブ)、屋根版(屋根スラブ)、壁、柱、梁、土台などで、建物の自重もしくは積載荷重などを支える部分のことをいいます。

要するに、建物が建物として建っているために、構造上絶対的に必要な部分のことを「構造耐力上重要な部分」というのです。

これらの箇所に欠陥が判明した場合は、建物として住み続けることが不可能になる可能性が高いため、品確法によって10年の責任を定めています

例えば、2015年に問題となった「LALA横浜」の杭打ちデータ偽装事件の場合、欠陥のせいでマンション自体が傾いて住むことがままならない状態に陥りました。

このようなケースは構造耐力上重要な部分に該当するため、品確法によって10年間の瑕疵担保責任期間となるため、売主は補修や損害賠償をしなければなりません。

2.雨水の侵入を防止する部分

屋根の仕上げ・下地等、開口部に設ける戸、外壁の仕上げ・下地等、わくその他の建具、雨水排水管のうち屋根・外壁の内部・屋内にある部分など、雨水の侵入経路と排出経路に該当する部分が該当します。

雨水の侵入とはすなわち雨漏りであり、雨漏りするような家には安心して住むことができません。

よって、新築で物件を購入して10年以内に雨漏りがしてきた場合については、売主の責任によって補修や損害賠償をしなければならないのです。

マンションで外壁タイルが剥がれた事例から学ぶ

さて、ここからは実際にあった事例をもとに、瑕疵担保責任のポイントについて考えていきたいと思います。
本事例は、区分マンションの新築から7年後に外壁のタイルが落下したことによって生じた争いです。

その後、心配になったマンション管理組合が全ての外壁タイルの状況を調査したところ、ほかにも落下の恐れがあるタイルの浮きがある箇所が見つかったとのことで、売主や施工会社、設計事務所などを相手とって訴訟を起こしました。

本事例のポイントは以下の2点です。

1.外壁タイルは、住宅の構造耐力上主要な部分等に該当するのか

新築後7年経過していることから、マンション管理組合側の主張が認められるためには、品確法における「住宅の構造耐力上主要な部分等」に外壁タイルが該当する必要があります

外壁タイルというと、雨水の侵入経路にも関係してくるようにもとれるため、該当しそうな感じもしなくもないですが、実際のところ外壁タイルは建物の「お化粧部分」ともいわれており、住宅の構造耐力上主要な部分等には該当しないというのが通説のようです。

そこでマンション管理組合側は、売主だけではなく、施工会社や設計事務所なども被告にして、以下の点について主張したのです。

2.不法行為責任

簡単にいうと、たった7年でタイルが剥がれるような物件は、そもそも施工ミスのせいだから、責任をとって損害賠償しなさいという主張がなされたのです。

建築基準法などを無視しているような「不法行為責任」が発生していると認められた場合、賠償請求期間は「被害者が被害、または加害者を知ってから3年、被害が生じてから20年」と大幅に伸ばすことができます

【不法行為責任とは?】

不法行為責任は、民法第709条で「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められています。

これに該当すると認められるためには、主に以下の2つの要件を満たさなくてはいけませんので充分に注意してください。

1.建物に安全性を損なう瑕疵がある

住居者の命や身体、財産などを危険にさらすような瑕疵がある場合です。

これは「現実的な危険」に限りません。

2.「被害が発生する」もしくは「危険が現実化する可能性がある」

「瑕疵のせいで住居者などの命や身体、財産が侵害された」、「瑕疵を放置すると命や身体、財産などに現実の危険が及ぶ可能性がある」場合を指します。

また、不法行為責任は、売主だけではなく設計主や施工主に対しても追及することができるのです。

本件事例では、もともとのタイル目地が実際あるべき位置からずれていたなど、施工上の過失などの可能性が確認されたため、マンション管理組合側はその点について強く追及を始めました。

本件訴訟については、結局のところ売主とは和解により決着がついたそうです。

瑕疵担保責任期間が過ぎていたり、該当しない箇所の場合、上記事例のように不法行為責任を追及せざるを得ません。

ところが不法行為責任を追及するためには、建物の詳細な調査が必要な上に、それをもって裁判において立証しなければなりません。

しかも、相手は不動産のプロですから、買主側の立証能力にも限界があるでしょう。

そのため、売主側の責任を追及するためには、やはり瑕疵担保責任に基づいて追求する方が成功率が高いのです。

瑕疵担保責任は民法改正で「契約不適合責任」にかわる

瑕疵担保責任
ここまでは瑕疵担保責任について解説してきましたが、実は民法の改正により瑕疵担保責任は廃止され、代わりに「契約不適合責任」が新設されます

改正の事情にはさまざまな理由があるようですが、一節によれば、日本の瑕疵担保責任という制度自体が、外国人からすると非常にわかりにくいらしく、日本の不動産を購入しにくい、売りにくいという面があることが影響しているそうです。

このような状況を解消して、海外投資家にも積極的に物件を買ってもらおうという思惑もあるのでしょう。

では、契約不適合責任と瑕疵担保責任はどの点が異なるのでしょうか。

1.法的な性質の違い

瑕疵担保責任については、法律で定めた責任という位置づけでしたが、契約不適合責任の場合は「債務不履行責任」がベースとなります。

そのため、瑕疵担保責任のように、隠れた瑕疵、つまり購入時に買主が知らなかったという縛りはなくなり、契約の内容に適合しているかどうかという面で判断されるのです。

2.損害賠償請求について

瑕疵担保責任に基づいて損害賠償請求をする際には、売主側の過失は問われません。

(無過失責任)よって、売主に落ち度がなかったとしても、欠陥があった時点で責任を負うことになります。

一方で契約不適合責任については、売主に「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるとき」については損害賠償請求ができません

つまり売主に帰責性がなければ、契約不適合責任を追及することができないのです。

3.損害賠償請求の仕方

瑕疵担保責任において売主に対して請求できるのは、契約の解除と損害賠償請求でしたが、契約不適合責任では、その2つに加えて、以下のような請求も可能になります。

追完請求

契約の内容に適合しない物件を引き渡された場合については、履行不能な場合を除いて、代わりの物件の引渡しを請求したり、不足分の引渡しを請求することが可能です。

この権利のことを「追完請求権」といいます。

また、追完請求の選択肢が複数ある場合については、買主がその中から選択することが可能です。

ただし、買主に相当な負担を課すものではない場合については、買主の請求とは違う方法によって追完することもできます。

代金減額請求

追完請求をしたにもかかわらず、売主がこれに応じないような場合について、買主に責任がなければ代金減額請求することが認められました

よって、代金を値引きするよう求めることも可能になったのです。

損害賠償請求の範囲が拡大

契約不適合責任に基づいて、損害賠償請求をする場合については、その範囲について瑕疵担保責任よりも拡大されました

瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求の場合、当該契約が有効であることを信じたために被った損害の実費等(信頼利益)が原則であったところ、契約不適合責任に基づく損害賠償請求の場合は、当該契約が履行されていれば、本来発生していたであろう利益(履行利益)にまで及ぶこととなり、その範囲が広くなったと解されます。

これまでも、訴訟にまで発展した案件については、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求であっても、信頼利益を超えて履行利益の賠償まで命じたケースがありますが、今後は訴訟までいかなくても、履行利益までの賠償を受けられる可能性が出てくるでしょう。

まとめ

これまで見てきたとおり、マンションの瑕疵に関する責任問題には、高度な法的知識が関わってきます。

このような問題に対し、何も対策やブレーンを用意することなく挑むのはまさに「無謀」といってもいいでしょう。

もしマンションに瑕疵が見つかった場合は、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

不動産売買について瑕疵担保責任を追及するためには、不動産に関する専門的な知識がある弁護士に依頼することがとても重要です。

不動産について得意としていない弁護士に依頼してしまうと、十分な立証ができず、思うような賠償が受けられなくなってしまう可能性があるため注意が必要です。

不動産に強い弁護士であれば、不動産業者や建築業者、不動産鑑定士や建築士などの専門家とのネットワークを構築している可能性があるため、瑕疵担保責任を追及しやすいでしょう。


最終更新日:

訳あり物件の売却をご検討の方は今すぐご連絡ください

0120-543-191