中古住宅売却のコツ!査定時に見られるポイントを解説

中古住宅 売却 査定

中古住宅は新築住宅に比べて需要が少なく売れにくいため、まずは不動産会社の無料査定を利用して、専門家からアドバイスをもらうことが大切です。

なぜなら、不動産会社の査定を受けないと価格相場がわからず、相場より売り出し価格が高いせいで中古住宅が売れ残ったり、相場より安値で売却して損をしてしまうからです。

建物の価値が低い中古住宅は解体・リフォームを施したほうが売れやすいですが、そのまま買取業者に売却したほうがよいケースもあるので、必ず無料査定を受けましょう。

この記事では、中古住宅を売却する人に向けて、査定時に見られるポイント・査定額の算出方法などを解説します。

​​中古住宅を高く売却するコツ・早く売却するコツの両方がわかるので、価格重視の人だけでなくスピード重視の人もぜひ参考にしてみてください。

目次

中古住宅の売却ではまず不動産会社に査定に出すことが大切

取得理由 回答割合
価格・家賃が適切だったから 61.7%
一戸建てだから/マンションだったから 57.6%
住宅の立地環境が良かったから 46.9%
住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから 35.9%
昔から住んでいる地域だったから 23.8%
親・子供などと同居・または近くに住んでいたから 20.3%
信頼できる住宅メーカー/不動産業者だったから 9.3%
将来、売却した場合の価格が期待できるから 9.3%
適切な維持管理が見込めるから 3.4%
その他 6.2%
無回答 1.7%


※中古戸建住宅取得世帯の場合

中古住宅といっても一戸建て・マンションなど建物のタイプが違う上、築年数・所在地などの条件も異なるため、ひとつとして同じ物件は存在しません。

売主自身が中古住宅の価格を推定することは難しく、類似物件や不動産市場のデータを有する専門家でないと物件の価値を正しく査定できません。

そのため、中古住宅を売却する場合、まずは不動産会社に無料査定を依頼して、専門家視点で物件の価値を正確に算出してもらうことをおすすめします。

不動産鑑定士とは異なり、不動産会社の多くは無料の机上査定を実施しており、スマホ・PCから物件情報を入力するだけで、中古住宅の売却価格を予測してもらえます。

必要であれば、訪問査定を不動産会社に依頼することも可能で、現地調査をおこなうことで机上査定よりも実際の売却価格に近い査定額を算出してもらえます。

不動産会社の担当者が現地調査をおこなう査定方法で、物件の状態・隣地との境界などを確認した上で売却価格を予測します

訪問査定は時間・手間がかかる欠点もあるので、机上査定で条件のよい不動産会社を絞り込んでから、あらためて訪問査定を申し込む方法がおすすめです。

参照:国土交通省「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」

物件にマッチした不動産一括査定サイトを選ぶ

中古住宅の売却前には不動産会社の査定を受けることが大切ですが、1社ずつ無料査定を申し込むと時間・手間がかかるので、不動産一括査定サイトの利用をおすすめします。

不動産査定を一度に複数の不動産会社に依頼できるサービスで、簡単な物件情報を入力するだけで複数の不動産会社から見積もり結果が届きます。

一括査定サイトを利用すれば、1分程度で済む簡単な物件情報をスマホやPCから入力・送信するだけで、平均6社以上の査定結果が最短30分程度であなたの元に届きます。

ただし、一括査定サイトにも種類があり、提携している不動産会社数・対応エリアなどが異なるため、申込み先によって査定額が変動する点に注意しましょう。

例えば、東京都・埼玉県・千葉県・ 神奈川県にある首都圏エリアの物件しか対応しておらず、地方や郊外にある物件は査定できない一括査定サイトもあります。

中古住宅の一括査定を受ける場合、国内大手の不動産会社はもちろん地元密着型の不動産会社とも多く提携している一括査定サイトの利用をおすすめします。

以下の記事では、主要な不動産査定サイトの口コミ・評判を比較しているので、一括査定サイトの選び方で悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。

中古住宅を売却するコツ

「中古住宅の取引件数は全体の約10%である」と示す内閣府のデータがあるように、日本では新築住宅の需要が高いため中古住宅は売れにくい傾向にあります。

そのため、中古住宅を売却する際は以下のコツを覚えておきましょう。

  • 高く売りたいなら不動産仲介会社に仲介を依頼
  • 早く売りたいなら不動産買取業者へ買取依頼
  • 内覧前にハウスクリーニングを行う
  • 建物が使い物にならない場合は更地売りも検討する

まずは「中古住宅を高く売りたいか?早く売りたいか?」を売主自身が決めて、自分の目的にあう不動産会社に売却を依頼することが大切です。

並行して、内覧前にハウスクリーニングを実施したり建物を解体して更地にするなど、必要に応じて中古住宅の需要を高めておくとよいでしょう。

この項目では、中古住宅を高く売るコツ・早く売るコツを解説した後、需要を高める方法も解説します。

参照:内閣府「平成22年度年次経済財政報告」

高く売りたいなら不動産仲介会社に仲介を依頼

「時間をかけても高く売りたい」という場合、不動産仲介会社に依頼して中古住宅の買主を探しましょう。

仲介で中古住宅を売却する場合、不動産会社と媒介契約を結んだ後、写真撮影や広告掲載などの売却活動をおこなうことで物件の購入希望者を探します。

その後、中古住宅を購入する買主が正式に決まったら、売主・買主間で売買契約を締結して物件を引き渡した後、不動産会社に報酬として仲介手数料を受け取ります。

中古住宅を仲介会社で売却するメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
買取より売却価格が高くなりやすい 短期間での売却がむずかしい
契約不適合責任が免責されない
周囲に知られずに売却しにくい
仲介手数料がかかる(※1)


※1=仲介手数料無料の場合を除く

仲介のメリットは売却価格が高い点で、買取の場合は物件を再販売する際に必要な経費が価格から差し引かれますが、仲介は価格から差し引かれないので売却益が多くなります。

仲介を利用する最大のデメリットは売却に時間がかかる点で、買主が見つからないと中古住宅を売却できないので、現金化を急いでいる人には向いていません。

東日本不動産流通機構の調査によれば、首都圏にある中古一戸建て・中古マンションは物件情報の登録から売却までに約3ヶ月かかるとされています。

種類 売却にかかる日数
中古一戸建て 81.2日
中古マンション 71.4日


※2022年のデータ
※物件情報の登録〜成約までの日数
※東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県にある物件の場合

比較的需要がある首都圏の中古住宅でも売却に約3ヶ月かかるので、さらに需要の少ない地方物件は売却に3ヶ月以上かかるケース・売れ残るケースも珍しくありません。

不動産売却に時間がかかると固定資産税の支払いが発生してしまうため、価格が多少安くても早めに売却して損切りしたほうがよい場合もあります。

目安としては、仲介会社に依頼して半年以上経っても買主が見つからない場合、すぐに中古住宅を買取してもらえる買取業者の無料相談を受けてみましょう。

参照:東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」

机上査定・訪問査定どちらも受ける

仲介会社で中古住宅を売却する際は「どの不動産会社に仲介を依頼するか?」の判断材料として、机上査定や訪問査定を受ける必要があります。

中古住宅の売却における、机上査定と訪問査定の違いは以下のとおりです。

種類 メリット デメリット
机上査定 スマホ・PCから申し込める 査定の根拠や精度が曖昧
査定額がすぐわかる
訪問査定 査定額が実際の売却価格に近い 現地調査の立会いが必要
時間・手間がかかる

机上査定は時間・手間がかからない一方で査定額が実際の売却価格と乖離しやすく、時間・手間のかかる訪問査定のほうが現実的な査定額がわかります。

そのため、中古住宅の売却時は机上査定だけでなく訪問査定も受ける必要がありますが、訪問査定を何社も受けると膨大な時間・手間がかかってしまいます。

基本的には、一括査定サイトを利用して複数の不動産会社に机上査定を申し込んだ後、査定額の高い不動産会社を厳選して、あらためて訪問査定を申し込む方法がおすすめです。

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媒介契約は「専任媒介契約」がおすすめ

中古住宅の売却を仲介会社に依頼する際、トラブルを防ぐために「どのような内容で売却活動をおこなうか?」といった内容を決めた媒介契約を締結します。

不動産売却における媒介契約は3種類あり、それぞれ契約内容が異なるため注意が必要です。

種類 解説
一般媒介契約 複数の不動産会社に依頼できる
専任媒介契約 不動産会社1社だけに依頼する
自分で探した買主にも売却可能
専属専任媒介契約 不動産会社1社だけに依頼する
不動産会社の見つけた買主にしか売却できない

駅近・築浅などの人気物件であれば一般媒介契約でも買主が見つかりますが、売れにくい中古住宅は売却活動に注力してもらえる専任媒介契約がおすすめです。

なぜなら、専任媒介契約では全国の不動産会社が加盟している「レインズ」というネットワークへの登録が義務化されており、より多くの人に物件情報を届けられるからです。

加えて、不動産会社には売却活動の進捗を2週間に1回以上のペースで報告する義務があり、売主側も状況がわかるため価格変更などの判断をしやすい点もメリットです。

専任媒介契約の契約期間は最長3ヶ月で、基本的に契約期間内は他の不動産会社と媒介契約を結べないので、依頼する不動産会社は慎重に選びましょう。

早く売りたいなら不動産買取業者へ買取依頼

「価格が安くても早く売りたい」という場合、不動産買取業者に中古住宅を直接買取してもらいましょう。

買取業者に中古住宅を売却する場合、無料査定で提示された条件を確認した後、不動産会社と売買契約を締結して、物件を引き渡す代わりに金銭を受け取る流れになります。

その後、買取業者は売主から買取した中古住宅に自社でリフォーム・リノベーションなどを施して、不動産市場で再販売をおこない収益をあげる仕組みです。

中古住宅を買取業者に売却するメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
仲介では売れにくい物件も売却可能 仲介よりも売却価格が安くなりやすい
仲介よりも早く物件を現金化できる
契約不適合責任を追求されにくい
周囲に知られずに売却できる

買取業者を利用する最大のメリットは売却スピードが早い点で、仲介のように買主を探す必要がなく、売却活動をせずに最短数日で物件を現金化できます。

なるべく早く中古住宅を現金化したい人には、条件がまとまり次第すぐに不動産を買取してくれる「即時買取」に対応している買取業者がおすすめです。

一方、買取した中古住宅の再販売にかかるリフォーム代・経費などが差し引かれるため、仲介よりも価格が安くなりやすいデメリットもあります。

「早く売りたいけど、価格が安いのは嫌」という場合、仲介と買取のメリットを兼ね備えた買取保証を実施している不動産会社もおすすめです。

買取保証の場合、仲介のように売主の希望価格で物件を売り出した後、一定期間内に買主が見つからない時は不動産会社が物件を直接買取するので売れ残る心配がありません。

不動産買取の流れは以下の記事で解説しているので、買取業者の利用を検討している人は参考にしてみてください。

内覧前にハウスクリーニングを行う

内覧前に中古住宅のハウスクリーニングを実施して清潔感を高めておくと、購入希望者に与える印象が良くなり、早期売却や高額売却の可能性が高まります。

中古住宅の売却時にハウスクリーニングを実施する義務はありませんが、結局は購入後に買主側でハウスクリーニングを依頼するケースがほとんどです。

売主側でハウスクリーニングを実施しておけば、将来的に買主が被る費用や手間を肩代わりできるので、中古住宅の需要や売却価格を上げることに繋がります。

中古住宅のハウスクリーニングにかかる料金相場は以下のとおりです。

種類 費用相場
1R~1K 30,000円〜40,000円
1LDK〜2LDK 40,000円〜70,000円
3LDK~4LDK 75,000円〜100,000円
5LDK~ 約100,000円~

2階建ての物件であれば3LDK〜4LDKあたりが多いので、中古住宅のハウスクリーニングにかかる費用は10万円前後が相場と考えておくとよいでしょう。

プロのハウスクリーニングでは個人では取れない汚れも綺麗にできるため、汚れを取り除くことで中古住宅の売却価格が数十万円も上がる可能性もあります。

建物が使い物にならない場合は更地売りも検討する

中古住宅の築年数が古い場合、市場価値の少ない建物を解体して更地として売り出したほうが、購入後の使い道が多いので売れやすくなるケースもあります。

買主が中古住宅の土地だけを購入したい場合、既存の建物があると解体工事が必要ですが、更地であれば買主は購入直後から建築工事に着手できるので便利です。

例えば、木造の一戸建ては築20年で建物の市場価値がほぼゼロになるとされているので、築年数が20年以上の中古住宅は更地のほうが需要は高いでしょう。

ただし、中古住宅の建物を解体するには100万円以上もの解体費用がかかる上、解体後に売れ残った際の固定資産税が高くなる点に注意しなければなりません。

一般の買主ではなく買取業者なら、築年数の古い中古住宅も現状のまま売却できるので、解体費用を負担せずに済むことで損をせずに済むケースもあります。

中古住宅を更地として売り出す場合、自己判断で解体業者に依頼すると損をする恐れがあるので、不動産会社のアドバイスを受けた上で慎重に検討しましょう。

中古住宅の査定から売却までの流れ

「中古住宅を売りたいけれど、具体的に何をするのか?」がわからない人も多いのではないでしょうか。

中古住宅の査定から売却までの流れは、以下の8ステップです。

  1. 不動産一括査定などで売却価格相場を知る
  2. 依頼する不動産仲介会社を決める
  3. 訪問査定&媒介契約を締結する
  4. 売り出し価格を決めて売却活動を開始する
  5. 購入希望者と条件交渉をする
  6. 買主と売買契約を結ぶ
  7. 買主に物件を引き渡す
  8. 確定申告をおこなう

今回は仲介会社で中古住宅を売却するケースを解説しますが、買取業者の場合は媒介契約の締結〜購入希望者との条件交渉までの3ステップを省略できます。

中古住宅の売却価格を下げるほど短期間で売却できる可能性が高いですが、目安として約3ヶ月は売却に時間が必要と考えておきましょう。

この項目では、中古住宅の査定〜売却までの流れを順番に解説します。

参照:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」

①不動産一括査定などで売却価格相場を知る

不動産情報サイトであるアットホームの調査によれば、物件購入者の75.0%が物件情報以外にも「物件価格の相場情報があると嬉しい」と答えています。

物件情報以外にあったら嬉しい情報は?
回答 比率
物件価格の相場情報 75.0%
土地価格の相場情報 60.7%
周辺の居住環境 55.6%
災害リスク・避難場所 54.4%
治安情報 53.2%
街の開発予定 47.6%
修繕積立費 38.1%
リノベーションに関する情報 19.7%
その他 1.7%


※=複数回答可

上記のデータからわかるように、不動産売却では物件の価値を意識して購入する買主が多く、売主側も中古住宅の価格相場を知る必要があります。

中古住宅の売却相場を自分で調べる方法もありますが、結局は類似物件の成約価格・売却価格しかわからない上、調べる時間や手間も必要です。

手早く売却価格相場を知るには、不動産一括査定サイトを利用して複数の不動産会社の査定額を比較する方法がおすすめです。

1社ずつ不動産査定を申し込む場合、何度も物件情報や連絡先を入力する必要がありますが、一括査定サイトなら6社程度の査定額を一気に確認できます。

中古住宅の査定額だけでなく類似物件の価格相場も教えてもらえるので、まずは一括査定サイトを利用して不動産会社に相談してみましょう。

参照:アットホーム「物件購入・賃貸契約時に「不動産会社に求めること」に関する意識調査」

②依頼する不動産仲介会社を決定

価格相場を確認した後、査定結果を比較した上で中古住宅の売却を依頼する不動産仲介会社を決めます。

不動産会社にはそれぞれ得意分野があり、賃貸に強い業者や新築分譲に特化した業者もあるので、まずは中古住宅の売却が得意な業者を絞り込みます。

不動産会社のホームページをみて、一戸建て・マンション・首都圏の物件・地方物件など、自分の物件と似ている物件の売却実績が多い業者を選びましょう。

この時点では、中古住宅の売却を不動産会社へ正式に依頼した訳ではなく、媒介契約の締結前なので査定結果をみてキャンセルすることも可能です。

③訪問査定&媒介契約の締結

中古住宅を売却する不動産仲介会社を決めたら、訪問査定を依頼して正確な査定額を算出してもらいます。

訪問査定では不動産会社の担当者が1〜2時間程度の現地調査をおこない、役所や法務局で法規制やインフラ状況を調査するので査定結果の通知まで1週間ほど必要です。

訪問査定で中古住宅の査定額を確認した後、不動産仲介会社と媒介契約を締結して正式に中古住宅の売却を依頼します。

媒介契約には3種類あり、並行して依頼できる不動産会社の数・契約の有効期間などが異なるため、自分の目的にあう種類を選びましょう。

種類 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の会社への依頼 × ×
売主が探した買主への売却 ×
契約の有効期間 制限なし(※1) 3ヶ月以内 3ヶ月以内
指定流通機構への登録 法令上の義務はなし(※2) 媒介契約締結から7日以内 媒介契約締結から5日以内
売却活動の報告義務 法令上の義務はなし(※3) 2週間に1回以上 1週間に1回以上


※1=行政の指導は3ヶ月以内
※2=任意での登録は可能
※3=任意で報告を求めることは可能

参照:公益社団法人 全日本不動産協会 「一般媒介契約について」

④売り出し価格を決めて売却活動開始

不動産仲介会社と媒介契約を締結した後、中古住宅の売り出し価格を決めて売却活動を開始しましょう。

具体的には、媒介契約を結んだ不動産仲介会社がインターネット・チラシなどの広告に物件情報を掲載するので、売主が中古住宅の売り出し価格を決定します。

東日本不動産流通機構の調査によれば、中古マンションは売り出し価格と成約価格がほぼ同じですが、中古一戸建ては成約価格が売り出し価格より20%ほど低くなります。

種類 解説
マンション 売り出し価格と成約価格がほぼ同じ推移
戸建て 成約価格が売り出し価格より20%ほど低い


※東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県にある物件の場合

中古住宅は買主からの値下げ交渉が多く、成約価格が売り出し価格より安くなりやすいので、値下げ交渉を前提に売り出し価格を高めに設定することをおすすめします。

中古住宅の売り出し価格で悩んだ場合、価格の決め方を解説している以下の記事もあわせてご覧ください。

参照:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」

⑤購入希望者と条件交渉

中古住宅を不動産市場に売り出すと購入希望者から問い合わせが来るので、売却の価格・時期などの条件を交渉しましょう。

  • 中古住宅をいくらで売却するか?
  • 現況のまま中古住宅を引き渡すか?
  • 中古住宅の引き渡し時期をいつにするか?
  • 契約不適合責任期間を短縮・免責するか?
  • 買主の自己資金が少ない場合は手付金を少額にするか?

値下げ交渉に応じる義務はないので、売主が希望した売り出し価格で中古住宅を売却できるケースもあれば、値下げが必要になるケースもあります。

中古住宅の売却を急いでいない場合は他の購入希望者を待つ選択肢もありますが、早く売却したい場合は多少値下げするなど臨機応変に対応しましょう。

最終的な売却価格は売主・買主間で決めますが、売主本人が交渉するとトラブルが起きやすいので、不動産会社を介して交渉するケースが多いです。

中古住宅の売却交渉をスムーズに進めるには、以下の3点を不動産会社に伝えておくようにしましょう。

  • 最低限いくらで売却したいか?
  • 遅くてもいつまでに売却したいか?
  • 現状のまま物件を引き渡したいか?

⑥売買契約を結ぶ

売主・買主間で売却価格や条件などの話がまとまったら、正式に中古住宅の売買契約を締結しましょう。

とはいえ、不動産仲介会社が重要事項説明書や売買契約書を準備するので、売主は契約内容を確認するだけで問題ありません。

具体的には、売買契約の内容や契約約款を読み上げた上で最終確認をおこない、契約書にサインと押印をして売買契約を締結します。

中古住宅の売買契約を締結する際は、以下の内容をチェックしましょう。

 

項目 解説
契約全体 自分の希望条件は記載されているか?
自分にとって無理のある条件はないか?
不明確な条件はないか?
消費者に不利な契約でないか?
売買物件の表示 売却物件の表示に誤りはないか?
買取価格・支払日 買取価格・手付金などの金額に誤りはないか?
不動産会社からの支払日はいつか?
どのような性質の手付金か?
土地の実測・土地代金の精算 土地の実測はおこなうのか?
面積の増減に応じて買取価格の精算をおこなうのか?
所有権の移転と引き渡し 所有権の移転を確実におこなえるスケジュールか?
負担の消除 売却物件を完全な所有権で引き渡せるか?
賃借権など引き継ぐ場合はその内容が明確か?
危険負担 引き渡し前に物件が天災等により滅失・毀損した場合の取り扱いは明確か?
手付解除 いつまで手付解除が可能か?
手付金の金額は妥当か?
契約違反による解除 違約金や損害賠償の予定額は適当か?
契約不適合責任 契約不適合責任の期間は適切か?
付帯設備などの引き継ぎ 引き継ぐべき付帯設備などは明確か?
公租公課等の精算 精算方法と金額を把握したか?
ローン特約 買主が無理なく住宅ローンを返済できるか?
(買主に住宅ローンの利用予定がある場合)
その他 その他に定めておく事項はないか?

売買契約締結後に契約内容を変更する際は1度契約解除しなければならず、手付金の支払いが必要になる恐れもあるため、しっかりと内容を確認しましょう。

参照:公益財団法人不動産流通推進センター「売買契約のチェックポイント」

⑦物件の引き渡し

中古住宅の売買契約締結後、売主・買主間で作成した売買契約書の内容に従って物件を引き渡しましょう。

引き渡しでは、売主・買主・不動産会社の担当者・司法書士などが集まり、中古住宅の鍵の引き渡し・所有権移転登記などの手続きを1日でおこないます。

中古住宅を買主に引き渡す手順は以下のとおりです。

  • 買主から残代金を受け取る
  • 所有権移転登記や抵当権の抹消・設定の手続きをする
  • 不動産会社に仲介手数料を支払う
  • 買主から固定資産税などの清算金を受け取る
  • 買主に住宅の鍵や付属設備の取扱説明書などを渡す

売買契約を締結しても、中古住宅の所有権が自動的に売主から買主に移る訳ではなく、法務局で所有権移転登記を手続きする必要があります。

基本的には、司法書士が所有権移転登記をおこなうので、売主は登記費用と司法書士報酬を支払うだけで問題ありません。

中古住宅の引き渡し時は以下のものが必要です。

  • 所有権移転登記や抵当権抹消登記の必要書類
  • 実測図や付属設備の取扱説明書などの物件関連書類
  • 仲介手数料や登記費用などの資金
  • 実印

物件を引き渡せないと、契約解除や損害賠償請求に発展する恐れもあるので事前に準備を進めましょう。

⑧確定申告

中古住宅を売却した翌年は、不動産売却が黒字でも赤字でも必ず税務署への確定申告をおこないましょう。

不動産売却が黒字の場合は確定申告が義務化されており、手続きを忘れると10年以上の懲役または1,000万円以下の罰金を科せられる恐れがあります。

不動産売却が赤字の場合は確定申告をおこなう義務はないですが、一定条件を満たせば税金を控除できる特例があるので、確定申告をしたほうがよいです。

確定申告の時期は中古住宅を売却した翌年の2月16日〜3月15日までの間で、売主自身が手続きする方法・税理士に依頼する方法の2種類があります。

以下の記事では、確定申告の必要書類について解説しているので、これから中古住宅を売却する人は目を通しておきましょう。

中古住宅の査定時に見られるポイントと価格算出方法

中古住宅の査定を依頼すると、不動産会社から査定額が提示されますが「どのように査定額を計算したのか?」と疑問を抱く人も多いのではないでしょうか。

以下のように宅地建物取引業法で定められているとおり、不動産会社による中古住宅の査定額は明確な根拠に基づいて算出されています。

宅地建物取引業法 第34条の2
宅地建物取引業者は、前項第二号の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。

引用:e-govポータル「宅地建物取引業法」

中古住宅の査定において、不動産会社は次のような点を確認しています。

種類 中古一戸建て 中古マンション
築年数
間取り
物件の権利関係
リフォーム・修繕が施されているか
雨漏りや床の傾きなどの瑕疵はないか
交通アクセス・周辺環境は良好か
日当たり・風通しなどは良好か
騒音・振動・臭気などはないか
物件需要や市場動向
隣地との境界を確定しているか ×
土地の形状や接道状況等 ×
地中に障害物はないか ×
共用施設の管理状況 ×
構造と耐震基準 ×
階数・方角(※1) ×
施工会社 ×


※1=区分マンションの場合

上記からわかるように、中古住宅の査定時は中古一戸建て・中古マンションどちらにも共通する確認点、それぞれのケースでしか確認されない点があります。

この項目では、中古住宅全般にいえる査定ポイントを解説した後、中古一戸建て・中古マンションの順番で、各ケースの査定ポイントを見ていきます。

・中古住宅全般にいえる査定ポイント
・中古一戸建てで見られる査定ポイント
・中古マンションで見られる査定ポイント

中古住宅の査定額を算出する方法についても、具体例を用いて解説するので参考にしてみてください。

・土地部分の査定額の算出方法
・建物部分の査定額の算出方法

中古住宅全般にいえる査定ポイント

中古一戸建て・中古マンション共にどちらも住宅として利用される建物なので、不動産査定で評価されるポイントはある程度共通しています。

中古住宅の査定では以下の点を必ず確認されます。

  • 築年数
  • 間取り
  • 物件の権利関係
  • リフォーム・修繕が施されているか
  • 雨漏りや床の傾きなどの瑕疵はないか
  • 交通アクセス・周辺環境は良好か
  • 日当たり・風通しなどは良好か
  • 騒音・振動・臭気などはないか
  • 物件需要や市場動向

国土交通省のデータでも、中古住宅の買主は価格以外にも立地環境・広さ・設備などを重視しているように、住みやすさが査定額に与える影響は大きいです。

法律トラブルや物件の欠陥が見つかると費用を負担して解決する必要があるため、安心して住める中古住宅も査定額が高くなる傾向にあります。

9種類の査定ポイントを順番に解説します。

参照:国土交通省「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」

築年数

一戸建て・マンションに関係なく、中古住宅の査定で1番重要視されるのが建物の築年数です。

築年数の浅い物件ほど、設備・構造が比較的新しい上に経年劣化も少なく、住宅の寿命も長いため高額査定を受けやすいです。

加えて、築年数の新しい物件は住宅ローンの金利が優遇される場合が多く、低金利でローンを組めるメリットがあるので査定で評価されます。

築年数が古い物件は老朽化や経年劣化が進んでおり、修繕やリフォームの必要性が高いので査定額が低くなりやすいです。

間取り

物件の間取りは住みやすさに関わるため、中古住宅の面積が広い・利用しやすい間取りであるほど需要が多いので査定額も高くなる傾向にあります。

例えば、キッチンとリビングが繋がっている間取りはコミュニケーションを取りやすいので、ファミリー向けの物件として高く評価されやすいです。

収納スペースが充実している間取りは家具や物品を整理整頓しやすく、生活の乱雑さを軽減できるため評価される傾向にあります。

他にも、バス・トイレ別の間取りは別の人が同時に利用できる上、衛生面や清潔さへの配慮も容易なので査定額が高くなりやすいです。

  • 部屋の数が多いか?
  • 各部屋の広さは十分であるか?
  • 家事がしやすい動線であるか?
  • プライバシーを守りやすいか?
  • 収納が充実しているか?

物件の権利関係

単独名義で所有権が明確な物件・抵当権が設定されていない物件など、権利関係に問題のない中古住宅は査定で高く評価されやすいです。

なぜなら、所有権・抵当権などの権利関係をクリアした中古住宅であれば、購入後に問題が起こりにくいので買主側も安心して購入できるからです。

一方、中古住宅が1つの不動産を複数人で共同所有している共有名義である場合、共有者全員の同意がないと物件ではなく共有持分しか売却できません。

共有持分は単独で売却できますが、購入しても物件を自由に利用できる訳ではなく、他共有者とのトラブルに巻き込まれることも多いので、需要が少ないです。

権利関係に問題を抱えている中古住宅は、一般の買主ではなく弁護士と連携している買取業者に依頼して、法律トラブルを解決してから売却しましょう。

リフォーム・修繕が施されているか

築年数の古い中古住宅でもリフォーム・修繕が施されていれば、リフォームをしない場合よりも査定で高く評価される傾向があります。

なぜなら、キッチンやバスルームの改装・フローリングの張り替え・外壁の塗装といった不具合や劣化箇所を改修をすれば、買主からの需要が高まるからです。

不動産の買主は設備の新しい物件・劣化の少ない物件を好みますが、リフォームを施せば劣化を修繕できる上、建築当時よりも設備をアップデートできます。

ただし、査定額に上乗せされる金額がリフォーム費用に見合うとは限らないので、中古住宅の売却を機に無理をしてリフォームをおこなう必要はありません。

雨漏りや床の傾きなどの瑕疵はないか

雨漏りや床の傾きといった瑕疵がない中古住宅は、買主側で修繕をおこなう必要がないので査定額が高くなりやすいです。

雨漏りがあると建物内部に水が侵入して、壁・天井・床などが損傷する恐れがある上、室内が濡れてカビが発生することで健康被害を及ぼす恐れもあります。

床の傾きがある建物は構造に問題を抱えている可能性が高く、建物の基礎や柱などに負荷がかかり続けると、建物の安定性や耐久性が低くなります。

雨漏りや床の傾きなどの瑕疵を買主に報告せず中古住宅を売却すると、契約不適合責任を追及されて損害賠償責任を受ける恐れもあるため注意が必要です。

交通アクセス・周辺環境は良好か

中古住宅の交通アクセス・周辺環境も生活の利便性を左右するため査定で重要視されます。

例えば、電車の駅・バス停が近い物件や主要道路に近い物件は、通勤・通学に便利なので査定で高く評価されます。

近隣に商業施設・レジャー施設が充実している物件も、買い物や食事といった生活の質が向上するので査定で評価されやすいです。

一方で、墓場・火葬場などの日常的に嫌悪感を抱くような施設やパチンコ屋・風俗店といった教育上の配慮が必要な施設に近い物件は査定で低く評価されます。

過去に死亡事故や自殺の起きた事故物件・暴力団事務所に近い物件も、居住する上でストレスを感じるため査定額が下がりやすいです。

他にも、河川に近い物件・地盤の弱い物件は洪水や地震といった自然災害のリスクが購入希望者の不安要素となるので査定で評価されにくいです。

日当たり・風通しなどは良好か

物件内の温度や湿度に影響するため、日当たり・風通しが良好な中古住宅ほど査定で高く評価されます。

例えば、南向きにリビングがある物件は照明を点けなくても室内が明るく洗濯物も乾きやすいので、日当たりのよい物件として評価が高いです。

基本的には、物件の向いている方角によって日当たりが変わり、南向き・東向き・西向き・北向きの順に査定額が高いとされています。

 

方角 査定額への影響
南向き 0%下がる
東向き 約3〜7%下がる
西向き 約5〜9%下がる
北向き 約10〜20%下がる

風通しのよい物件は暑い日でも涼しい風が家の中を通り抜けることで快適な環境を維持できる上、湿気や換気不足によるカビやダニの発生も抑えられます。

具体的には、日光が入りやすい大きな窓があったり、吹き抜けなどで風の通り道を確保しているなど、設計段階で日当たり・風通しが計算されている物件は高く評価されます。

立地面では、近くに大きな建物があると日当たり・風通しが悪くなるので、隣地に周りを囲まれていない南向きの物件が高く評価されやすいです。

騒音・振動・臭気などはないか

居住者の日常生活や睡眠に影響を与えるので、騒音・振動・臭気などのストレスが少ない物件が査定で評価される傾向にあります。

線路や高速道路が周辺にある物件は電車や車両の騒音・振動が発生しやすく、快適に生活しづらいため査定で評価されにくいです。

空港の近くにある物件は飛行機の離着陸に伴う騒音で、ストレスや睡眠障害などの健康被害にあうリスクがあるため査定額が低い傾向にあります。

工場や工業地帯の近くに位置する物件も、排気ガスや臭気・機械の動作音などが懸念されるので査定で低く評価されます。

物件需要や市場動向

不動産売却においては需要と供給も価格に影響するので、物件需要が高く市場動向も活発な時期ほど査定額が高くなりやすいです。

例えば、同じエリアで似たような物件が多く売り出されている場合、需要が分散してしまうため査定額が低くなります。

新生活の始まる春・人事異動の多い秋は不動産売買が活発ですが、夏や冬は気温のせいで内見に出向く人が少ない閑散期なので、査定額が下がりやすいです。

不動産売却の繁忙期は3月前後ですが、実際に物件を探すのはそれより少し前なので12月〜1月あたりに売り出すことをおすすめします。

中古一戸建てで見られる査定ポイント

中古一戸建ての場合は建物と土地をセットで売却するので、中古マンション査定時と異なり土地や境界に関する評価もおこなわれます。

中古一戸建ての査定では、以下の点を確認されます。

  • 隣地との境界を確定しているか
  • 土地の形状や接道状況等
  • 地中に障害物はないか

中古住宅の境界確定をしていない隣地とトラブルが発生する恐れがある上、接道義務を満たしていない土地は新たに建物を建築できません。

加えて、土地の形状が悪いと購入後の使い道が限定されるほか、地中に障害物があると買主が地中埋設物の除去をおこなう必要があります。

この項目では、3種類の査定ポイントを確認します。

隣地との境界を確定しているか

中古一戸建ては隣地との境界確定を済ませておくと、将来的な境界トラブルを避けられるので査定で高く評価されます。

なぜなら、隣地との境界が明確でない土地は売却後にトラブルが発生する恐れがあるため、買主の多くは境界が明確な物件を購入したいと考えるからです。

中古住宅の売却後に隣地所有者と境界トラブルが発生した場合、土地家屋調査士に測量を依頼したり、裁判で筆界や所有権界を確定する必要があります。

土地の境界線が明確でない場合は隣地所有者と協議した上で、土地家屋調査士等に依頼して土地の境界を確定させておきましょう。

土地の形状や接道状況等

形状の整った土地・道路に面している土地であれば、中古一戸建ての査定額が高くなる傾向にあります。

なぜなら、形状の悪い土地は建物を建てる際にスペースの有効活用がむずかしく、建物の設計や利用方法に制約が生じることが多いからです。

加えて、接道義務を満たしていない土地には基本的に建物を建築できない上、道路に面していないと土地は建物への出入りが不便です。

建築基準法 第43条
建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない。

引用:e-govポータル「建築基準法」

具体的にいうと、土地の形状は正方形・長方形が好ましく、2方向の道路に接した角地であると中古住宅の査定額が高くなります。

反対に、台形・三角形・L字などの歪な形をした不整形地・道路に接していない無道路地・道路に接している部分が狭い旗竿地は査定額が安くなりやすいです。

地中に障害物はないか

中古住宅の地中に障害物がない場合、建物を建てる際に制約が生じない上、地盤にも問題が少ないと判断されるため査定額が高くなりやすいです。

地中埋設物を除去するには重機で掘り起こす必要があり、20万円〜100万円程度の工事費用がかかるので、本来の査定額から工事費用が差し引かれるからです。

地中にパイプ・ケーブルなどの障害物がある場合、建物を建てる際に地中埋設物の除去が必要ですし、売却後に契約不適合責任を追求される恐れもあります。

中古住宅の売却前に地歴調査・地中レーダー調査・ボーリング調査をおこない、地中埋設物がないことを証明しておけば査定で高く評価されます。

中古マンションで見られる査定ポイント

マンションは複数の住戸が集まった構造で、一戸建てのように土地と建物のセットではなく各部屋の専有部分のみを売却するため、査定ポイントも異なります。

中古マンションの査定時は、次の点が評価されます。

  • 共用施設の管理状況
  • 構造と耐震基準
  • 階数・方角(区分マンションの場合)
  • 施工会社

共用施設の管理が行き届いていたり、構造や耐震基準が比較的新しい中古マンションは経年劣化が少ないので、建物の寿命が長いと考えられます。

中古マンションの購入希望者は階数・方角や施工会社なども重視するので、階数の高いマンションや大手施工会社のマンションは人気が高いです。

この項目では、4つの査定ポイントを解説します。

共用施設の管理状況

共用施設の管理が行き届いている中古マンションは、視覚的に綺麗かつ居住者も住みやすいので査定で高く評価されやすいです。

具体的には、エントランス・廊下・階段・エレベーター・ゴミ捨て場・植木などの共用部分がきれいに整備されている中古マンションは査定額が高いです。

共用部分の定期的なメンテナンス・修繕が施されている中古マンションは、建物の劣化が進みにくいので将来的な修繕費用を抑えられる点も査定で評価される理由です。

以下のような共用施設が用意されている中古マンションは、占有部分だけでなく共用部分による付加価値を与えられるので査定額が高くなりやすいです。

  • 宅配ボックス
  • パーティールーム
  • 敷地内公園
  • キッズルーム
  • プール
  • ジム
  • 屋上テラス
  • コンシェルジュサービス

構造と耐震基準

鉄筋コンクリート・鉄骨造などの頑丈な構造をしており、新しい耐震基準に適合している中古マンションは査定で高く評価されます。

なぜなら、マンションの耐震性を重視している買主も多く、頑丈な構造で建築されていたり耐震工事が実施されているなど、地震に強いマンションは需要が高いからです。

具体的には、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造といった耐震性の高い構造のマンションであれば、査定で高く評価されやすいです。

ただし、旧耐震基準の中古マンションかつ耐震工事が施されていない場合、耐震性の高い構造でも査定で低く評価されるケースもあります。

階数・方角(区分マンションの場合)

中古住宅が区分所有マンションの場合、階層が高く南向きに近い方角であるほど、日当たりや眺望がよいので査定額が高くなりやすいです。

その根拠として、不動産流通推進センターの価格査定マニュアルでも、1階を−5点・60階を+25点と規定しているように、高層階になるほど査定で高く評価されています。

なぜなら、階数が高いマンションほど日当たり・眺望・通気性がよく、上からの足音・物音などの騒音問題も軽減されるので購入者が住みやすいからです。

マンションにおける部屋の方角はリビングにある大きな窓・バルコニーの向きで判断しますが、日当たりのよい南向きの部屋は人気が高く査定でも評価されます。

2方向に大きな窓のある角部屋のマンションも、それぞれの方角がもつメリットを両方享受できるので魅力的な物件として査定額が高くなりやすいです。

例えば、南と東に窓のある角部屋のマンションなら、南向きで日当たりがよいメリットに加えて、早い時間帯から朝日が差し込む東向きのメリットも兼ね備えています。

参照:公益法人 不動産流通推進センター「価格査定マニュアル」

施工会社

施工会社が大手ゼネコン・建設会社である場合や販売会社が大手企業だった場合、中古マンションの査定額が高くなる傾向にあります。

なぜなら、大手施工会社はアフターサービスが充実しており、マンションに不具合や問題が発生した際でも補償を受けられる可能性が高いからです。

デザインや設備を重視する購入希望者も多いですが、大手施工会社のマンションはデザイン性に優れており設備も充実している傾向にあります。

以下のような大手施工会社の中古マンションであれば、ブランド価値や知名度のおかげで買主からの信頼性も高いので査定額が高くなりやすいです。

施工会社 ブランド
住友不動産 シティハウス
大京 ライオンズマンション
東急不動産 ブランズ
東京建物 ブリリア
野村不動産 プラウド
三井不動産レジデンシャル パークホームズ
三菱地所レジデンス ザ・パークハウス

土地と建物で査定時の価格算出方法が違う

一戸建ての中古住宅を売却する場合、土地と建物をセットで売却するケースが多いですが、以下のように土地と建物は査定額の算出方法が異なります。

種類 算出方法
土地 取引事例比較法
建物 原価法

なぜなら、多くの不動産会社が参考にしている不動産流通推進センターの「価格査定マニュアル」において、上記のように査定額の算出方法を分けているからです。

「価格査定マニュアル」は国土交通省が委託調査した「価格査定マニュアル策定委員会研究報告書」を元に作成されたので、信頼性の高い算出方法といえます。

この項目では、中古住宅の土地・建物の査定額を算出する方法を解説します。

参照:公益法人 不動産流通推進センター「価格査定マニュアル」

土地部分は「取引事例比較法」が慣例

中古住宅の土地部分は、条件が近い類似物件の成約価格から査定額を算出する「取引事例比較法」を用いるケースが多いです。

取引事例比較法は査定対象と条件の近い類似物件の事例を集めて比較する方法で、所在地・面積といった類似物件の条件が近いほど査定精度が高まります。

取引事例比較法では、次の手順で中古住宅における土地部分の査定額を算出します。

  • 類似物件の事例を3~4個集める
  • 類似物件の事例から標準地の価格を求める
  • 算出価格に事情補正や時点修正などを加える

標準地とは、査定対象の中古住宅が存在する地域における標準的な土地で、 角地や不整形地ではなく広過ぎず狭すぎない土地を仮想して価格を求めます。

類似物件の事例における平均価格から標準地の価格を求めた後、事情補正・時点修正・地域要因・個別要因の補正を加えた価格が取引事例比較法の査定額です。

種類 解説
事情補正 「所有者が破産して安く売られた」「投機目的で高く買われたなど」の特別な事情
時点修正 過去の取引時点と現在の評価時点における価格変動
地域要因 道路状況・交通量・騒音・周辺施設などの環境的要因
個別要因 接道状況・土地の広さ・形状・日当たりなどの個別的な要因

わかりやすいように具体例を用いて、取引事例比較法の算出方法を解説します。

例えば、査定対象の近隣エリアに類似物件A・B・Cの取引事例がある場合、類似物件の成約価格の平均額を出してから、Aのもつ条件で調整をして標準地の価格を算出します。

類似物件Aの成約価格:3,000万円
類似物件Bの成約価格:3,500万円
類似物件Cの成約価格:3,200万円

取引事例比較法における標準地の価格
(3,000+3,500+3,200)÷3=3,233万円

上記の3,222万円をベースにして、売りたい物件にプラス要素があれば3,222万円よりも査定額が上がり、マイナス要素があれば3,222万円よりも査定額が下がります。

参照:国土交通省「不動産鑑定評価基準」

建物部分は「原価法」が慣例

中古住宅の建物部分は、査定対象と同じ建物を取得する場合に想定される費用から査定額を算出する「原価法」を用いるケースが多いです。

原価法は査定対象の物件を解体したと仮定して、同様の建物を再び建築する際にかかる再調達価格を計算した後、建物の老朽化などで低下した価値の減価修正を加えます。

原価法では、次の手順で中古住宅における建物部分の査定額を算出します。

  1. 中古住宅の築年数と構造を調査する
  2. 同じ物件を新築した場合の再調達原価を調査する
  3. 再調達原価に老朽化などの減価修正を加える

まずは中古住宅の築年数や構造を調べた後、同じ建物を新築した際にかかる材料費・人件費である「再調達価格」を直接法または間接法で求めます。

種類 解説
直接法 建物に使用された資材・量・工法などから算出する
間接法 類似物件における建物の価格から算出する

以下のように、直接法では建物の構造・部材に応じて再調達価格を算出します。

構造 単価
木造 14.8万円〜20.9万円/㎡
軽量鉄骨造
重量鉄骨造 15.6万円〜22.0万円/㎡
鉄筋コンクリート造 18.8万円〜25.1万円/㎡
鉄骨鉄筋コンクリート造


※=不動産会社によって多少異なります

再調達原価を求めた後、耐用年数や観察減価法で建物の劣化具合を算出して、目減りした価値を減価修正で差し引いた価格が原価法の査定額となります。

種類 解説
耐用年数に基づく方法 建物がもつ残りの耐用年数から算出する
観察減価法 設備の劣化具合・建物の需要などの事情から算出する

原価法における耐用年数とは法定耐用年数のことで、以下のように建物の構造・用途によって耐用年数が異なります。

構造 耐用年数
(事業用)
耐用年数
(非事業用)
木造 22年 33年
軽量鉄骨 19年 28年
重量鉄骨造 34年 51年
鉄筋コンクリート造 47年 70年
鉄骨鉄筋コンクリート造

わかりやすいように具体例を用いて、原価法の算出方法を解説します。

例えば、築年数が11年で総面積100㎡の木造一戸建てがあるとします。
直接法の原価が15万円/㎡だと仮定すると、次のように査定額を算出できます。再調達原価=15万円×100㎡=1,500万円
減価修正=11÷22=0.5
原価法における査定額=1,500万円×0.5=750万円

中古住宅の売却相場と調べ方

中古住宅の査定を不動産会社に依頼すると査定結果が届きますが「提示された査定額が高いか?安いか?」がわからない人は自分で売却相場を調べましょう。

国土交通省の発表しているデータを参考にすれば、中古住宅の築年数と市場価値の推移を確認できます。

また、不動産ポータルサイトや土地総合情報システムを利用すれば、インターネット上で類似物件の売却価格を検索することも可能です。

この項目では、中古住宅の売却相場と調べ方を解説します。

築年数で見る市場価値の推移

中古住宅は一戸建て・マンションどちらも新築時がもっとも市場価値が高く、築年数が経過するほど市場価値が下がっていきます。

国土交通省の調査データによれば、築10年が経過した木造一戸建ての価値は、新築住宅のおよそ半分です。

マンションは築数年で価格が急落することが特徴です。その後は築年数の経過とともに下落していき、築25年程度でおよそ半額になります。

木造の一戸建ては築10年ほどでおよそ半額に達し、築15年を過ぎると下落率が緩やかになり築20年頃からほぼ横ばいとなります。

参照:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム 市場の現状」

建物の市場価値は築20年でほぼゼロになる

築20年を超える建物は市場価値はほぼゼロになるとされています。

なぜなら、国税庁が定めた建物の法定耐用年数において、事業用の軽量鉄骨造は19年・事業用の木造住宅は22年とされているからです。

あくまで法定耐用年数は「税務上の減価償却を何年でおこなうか?」の基準なので、実際には築年数が法定耐用年数を上回る住宅でも住み続けられます。

しかし、不動産会社は法定耐用年数を基準に査定をおこなうので、築20年を経過している中古住宅の市場価値はほぼゼロとされているのです。

参照:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
参照:e-govポータル「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」

中古住宅の買取相場は仲介の7割程度の価格になる?

不動産売却には仲介・買取の2種類がありますが、買取の価格相場は仲介の70%程度といわれています。

方法 解説
仲介 不動産会社が探した売主に物件を売却する
買取 売却したい物件を不動産会社に直接購入してもらう

例えば、仲介における売却価格が3,000万円の中古住宅であれば、買取価格は3,000万円の70%である2,100万円程度が目安です。

買取価格が仲介よりも安くなりやすい理由は、買取した住宅を不動産会社が再販売する際に必要なリフォーム代・見込み利益・諸経費が差し引かれるためです。

例えば、ボロボロの中古住宅を購入したい人は少ないので、故障部分の修繕やリフォーム・リノベーションを施さなければ、買主が見つからずに売れ残りやすいです。

加えて、買取した中古住宅を不動産会社が再販売する際には、人件費や宣伝広告費などもかかるため、再販売にかかる費用を差し引かれて買取価格が安くなりやすいです。

ただし「買取の価格相場は仲介の70%程度」というのは一般論であり、買取のほうが仲介より価格が高くなるケースもあります。

例えば、築年数が古く田舎にある家といった需要の少ない中古住宅の場合、大手不動産会社では取扱いを断られる場合も多いので価格は0円となってしまいます。

しかし、買取業者なら需要の少ない中古住宅も買取してもらえる可能性が高く、この場合は仲介より買取のほうが売却価格が高いといえます。

結論としては、中古住宅の売却価格は査定してみないとわからないので、まずは一括査定サイトを利用して複数の不動産会社の査定額を比較してみましょう。

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自分で売却相場を調べる方法

中古住宅の売却価格を調べる際は不動産会社の査定を受けるべきですが「提示された査定額が正しいのか?」と心配に感じる人も多いのではないでしょうか。

中古住宅の価格を知りたい場合、次の方法を用いて自分で価格相場を調べられます。

方法 価格
レインズ 現在売りに出ている物件の売り出し価格(※1)
過去にあった不動産売却の成約価格(※2)
不動産ポータルサイト 現在売りに出ている不動産の売り出し価格
土地総合情報システム 過去にあった不動産売却の成約価格

※1=レインズの場合
※2=レインズマーケットインフォメーションの場合

上記を見ればわかるように、価格には売り出し価格・成約価格の2種類があり、方法によって調べられる価格が異なる点に注意しましょう。

自分で売却相場を調べる方法を3種類それぞれ解説します。

「レインズ」で調べる

国土交通省から指定された不動産流通機構が運営する「レインズ」を利用すれば、過去にあった不動産売買の成約価格を確認できます。

不動産売却では、不動産会社が売主の物件情報をレインズに登録して、その情報を閲覧した別の不動産会社が抱える顧客から売買契約の提案を受けることが多いです。

そのため、不動産会社の無料査定でもレインズの成約事例を参考にした上で、物件の状態や付加価値などを考慮して査定額を算出しているケースも少なくありません。

ただし、レインズは不動産流通機構の会員である不動産会社専用のシステムであり、宅建業者でない一般の個人は自分が売り出している物件以外の登録状況を閲覧できません。

個人が不動産の売却価格を調べる場合、レインズと同じ情報を掲載している「REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)」を利用しましょう。

レインズマーケットインフォメーションでは、次の手順で類似物件の成約価格を調べられます。

  • マンションor一戸建てを選択
  • 都道府県と地域を選択
  • 追加検索条件で絞り込む
  • 自分の物件に近い専有面積・築年数を探す

レインズとレインズマーケットインフォメーションには、以下の違いがあります。

種類 わかる情報
レインズ 現在売りに出ている物件の売り出し価格
レインズマーケットインフォメーション 過去にあった不動産売却の成約価格

レインズはリアルタイムの物件情報を確認できますが、レインズマーケットインフォメーションは過去の不動産売買における成約価格しか確認できません。

加えて、レインズマーケットインフォメーションは一戸建て・マンションの成約価格しか掲載していないので、土地の価格は「土地総合情報システム」で調べる必要があります。

近年では、レインズを閲覧させてくれる不動産会社も多いので、リアルタイムの物件情報を調べたい場合は不動産会社に出向いて、担当者と一緒にレインズを確認しましょう。

参照:全国指定流通機構連絡協議会「REINS Market Information」

「不動産ポータルサイト」で調べる

SUUMO・ライフルホームズなどの「不動産ポータルサイト」を利用すれば、類似物件の売り出し価格を確認できます。

不動産ポータルサイトは賃貸物件を探す際に利用する人が多いですが、購入希望者を募集している売り出し中の物件情報を掲載しているサイトもあります。

以下の代表的な不動産ポータルサイトでは、売り出し中の物件情報も掲載しています。

  • SUUMO
  • ライフルホームズ
  • アットホーム
  • スマイティ
  • Yahoo!不動産

「自分の中古住宅が大体いくらで売れるのか?」を知りたい場合、絞り込み検索をして周辺エリアにある条件の近い類似物件の売り出し価格から確認できます。

ただし、不動産ポータルサイトに掲載されているのは売り出し価格であり、値下げ交渉などのせいで最終的な成約価格は売り出し価格よりも安くなるケースが多いです。

参照:リクルート「【SUUMO】不動産売買・住宅購入・賃貸情報ならリクルートの不動産ポータルサイト」

「土地総合情報システム」で調べる

国土交通省の「土地総合情報システム」では、過去にあった不動産売買の成約価格を確認できます。

土地総合情報システムという名称ですが「土地と建物」や「中古マンション等」という項目があるように、土地だけでなく中古住宅や中古マンションの成約価格も検索可能です。

不動産ポータルサイトの売り出し価格とは異なり、土地総合情報システムの成約価格は実際にあった不動産売買の価格なので、より現実的な売却価格を把握できます。

とはいえ、すべての不動産売買を記録している訳ではなく、自分の中古住宅と近い条件の不動産売買がないと、正確な価格を把握できない点がデメリットです。

土地総合情報システムでは、以下の手順で類似物件の成約価格を調べられます。

  • 不動産取引価格情報検をクリック
  • 物件の種類を選択
  • 調べたい地域を選択
  • この条件で検索をクリック

参照:国土交通省「土地総合情報システム」

中古住宅売却における不動産会社の選び方

不動産会社にも大手や地域密着型などの種類があるため「どの不動産会社が中古住宅の売却におすすめなのか?」がわからない人も多いのではないでしょうか。

中古住宅売却における不動産会社は、以下の選び方で決めましょう。

  • 優良な不動産会社を絞り込む
  • 物件タイプにあう不動産会社を探す
  • 複数社の不動産会社を比較して選ぶ

前提として、どの物件タイプでも優良な不動産会社を選ぶ必要があるので、免許証番号や行政処分歴などを確認して、悪質な不動産会社を候補から取り除く必要があります。

続いて、一般的な住宅なら大手不動産会社・地方物件なら地域密着型の不動産会社など、売却したい中古住宅の物件タイプに適した不動産会社を選びます。

最後に、1つの不動産会社だけで検討するのではなく複数の不動産会社を比較した上で、中古住宅を売却する不動産会社を決めて各種契約を結びましょう。

優良な不動産会社の特徴

中古住宅を売却する際、悪質な不動産会社を選ぶと囲い込み・しつこい営業電話などのトラブルに遭う恐れがあるので、どの物件タイプでも優良な不動産会社を選びましょう。

中古住宅売却における優良な不動産会社の特徴は以下のとおりです。

  • 免許証番号の更新回数が多い
  • 行政処分歴が無い
  • 問い合わせから終始、親切丁寧な対応
  • 売買仲介業務歴が長い担当者がいる
  • 売却活動時のサービスの質が高い

免許証番号の更新回数が多い

そもそも不動産売買を仲介するには宅地建物取引業の免許が必要ですが、まれに無免許で営業している悪質業者もいるので、不動産会社の免許証番号は必ず確認しましょう。

宅地建物取引業の免許をもつ正規の不動産会社であれば、以下のような免許番号がホームページ内に記載されています。

免許証番号の記載例
国土交通大臣免許(1)第××××号
〇〇県知事免許(3) 第△△△△号

宅地建物取引業の免許には2種類あり、国土交通大臣または都道府県知事が認可をおこないますが、どちらのケースでも信頼できる不動産会社なので問題ありません。

免許証番号にあるカッコ内の数字は免許の更新回数を示しており、カッコ内の数字が大きいほど長く営業しているので、実績豊富な不動産会社である可能性が高いです。

例えば「〇〇県知事免許(3) 第△△△△号」とある場合、免許は2回更新されています。
宅地建物取引業の免許は1996年以降、5年周期で更新されています。

ただし、営業歴が短くても高い実績をもつ不動産会社も存在するので、あくまでも免許の更新回数は不動産会社を選ぶ際の参考程度に留めておきましょう。

例えば、ベテランの営業者が独立して不動産会社を立ち上げる場合、新たに免許を申請する必要があるため、免許証番号にあるカッコ内の数字は(1)となります。

反対に、業界未経験の社長が不動産会社を買収した場合でも、免許証番号にあるカッコ内の数字がゼロに戻る訳ではなく、実質的な経験は少ないケースもあります。

不動産会社のホームページは情報の信憑性に欠けるので、基本的には国土交通省のサイトから宅地建物取引業の免許をもつ不動産会社を検索することをおすすめします。

参照:国土交通省「宅地建物取引業者 検索

行政処分歴が無い

宅建業者や宅地建物取引士が建築基準法違反や誇大広告などで宅建業法に違反した場合、国土交通大臣・都道府県知事から指示処分・営業停止処分・免許取消処分が下されます。

種類 事例
指示処分 宅建業法違反をした
業務に関して取引関係者に損害を与えた
業務停止処分 指示処分に違反した
宅建業に関して不正な行為をした
免許取消処分 不正な手段で免許を取得した
業務停止処分に違反した

「どの不動産会社が行政処分を受けたか?」については、国土交通省のネガティブ情報等検索サイトを利用して、以下の手順で誰でも簡単に確認できます。

  1. ネガティブ情報等検索サイトにアクセス
  2. 「宅地建物取引業者」をクリック
  3. 「事業者名」に不動産会社の名前を入力して検索

国土交通省のネガティブ情報等検索サイトでは、直近5年以内の行政処分歴が確認できるので、基本的には行政処分歴のない不動産会社を選ぶことをおすすめします。

ただし、行政処分歴がなくても顧客トラブルが多い不動産会社・行政処分を受けた後に業務改善がなされて顧客トラブルの少ない会社も存在します。

行政処分歴はあくまでも優良な不動産会社を選ぶための参考情報でしかなく、最終的には実際に不動産会社の対応を確認して自身で判断することが大切です。

参照:国土交通省「国土交通省ネガティブ情報等検索サイト」

問い合わせから終始、親切丁寧な対応

中古住宅の売却では、宣伝活動・物件紹介・内覧対応などを担当者が1人でおこなうので、担当者の能力次第で売却価格やスピードが変わるといっても過言ではありません。

不動産情報サイトであるライフルホームズの調査でも、不動産売却経験者の29.7%が「担当者の対応が良かったから」という理由で不動産会社を決めています。

理由 割合
担当者の対応が良かったから 29.7%
地元の不動産事情に詳しかったから 24.2%
会社が信頼できたから 24.0%
査定価格が納得のいくものだったから 22.2%
過去に付き合いがある会社だったから 17.6%

問い合わせ段階から親切丁寧な対応をしてくれる担当者であれば、コミュニケーションが円滑に進むので、売主側の要望も伝えやすく納得のいく不動産売却を目指しやすいです。

例えば、無料査定で査定額を提示する際に「どうしてこの価格になったのか?」という根拠を初心者にもわかりやすい言葉で説明してくれる担当者は信用できます。

一方、どんなに優良な不動産会社でも、親身に話を聞かない担当者は売主の希望や条件を聞かずに自分の意見を押し付けてくる可能性が高いので避けることをおすすめします。

基本的には、査定時に対応した人物がそのまま担当者となるケースが多いので、無料査定では査定額だけではなく担当者の能力や人柄もしっかり確認しましょう。

査定時にチェックするべき担当者の言動

  • 売主の希望や条件を聞いてくれるか?
  • 質問に対して的確に答えてくれるか?
  • 専門用語を多用せずに説明してくれるか?

参照:ライフルホームズ「「不動産会社選びの決め手」ランキング! 納得の売却につながる選び方のポイントは?」

売買仲介業務歴が長い担当者がいる

中古住宅は新築住宅に比べて需要が低く売却が難しいので、物件の魅力を伝えるコミュニケーション能力や買主との価格を決める交渉力が不動産会社の担当者に求められます。

売買仲介業務歴の長さは担当者のスキルや経験値を測る指標であり、売買仲介業務歴が長い担当者ほど専門知識や物件のある地域の事情に精通している可能性が高いです。

しかしながら、不動産売却に関する営業力・スキルは一朝一夕では身に着かないので、最低でも3年以上は売買仲介業務に携わっている担当者を選ぶことをおすすめします。

中古住宅を売却する場合、無料査定での相談時に担当者の売買仲介業務歴を必ず確認した上で、売買仲介業務歴の長い担当者がいる不動産会社を選ぶとよいでしょう。

売却活動時のサービスの質が高い

中古住宅の売却を不動産会社に依頼すると、以下のような広告作成・内覧対応といった販売活動を不動産会社が実施して、物件を購入してくれる買主を探します。

不動産会社がおこなう基本的な売却活動

  • 指定流通機構への登録
  • 宣伝・広告作成
  • 広告活動
  • 内覧準備・実施

ただ不動産を売り出すだけでは買主が見つかる可能性は低いため、需要の少ない中古住宅を売却する際は売り出し後の販売活動が通常以上に重要となります。

中古住宅をスムーズに売却したい場合、基本的な売却活動だけでなく以下のようなサービスも多く実施している不動産会社に仲介を依頼することをおすすめします。

サービス名 内容
設備保証サービス 水回りを中心とした住宅設備を無料補修
24時間駆け付けサービス 水回りやカギ紛失などのトラブルに365日24時間対応
荷物お預かりサービス 荷物を一時的に預けることが可能
整理収納片付けサービス 片付けコンシェルジュが物件の整理をサポート
プロカメラマン撮影サービス 広告用の写真をプロのカメラマンが撮影
ホームステージングサービス 物件のイメージアップのためにインテリアを貸出可能

上記のような質の高いサービスを提供している不動産会社に売却を依頼すれば、購入希望者に良いイメージを与えられるので中古住宅が売れる可能性を高められます。

不動産会社のホームページを閲覧すればサービス内容を確認できるので、複数の不動産会社を比較した上でサービスのよい不動産会社を選ぶとよいでしょう。

一般的な住宅なら「大手不動産会社」がおすすめ?

あなたが買主側の立場になって考えた場合「ブランド力のある大手不動産会社で住宅を購入した方が安心」と考える人も多いのではないでしょうか。

その根拠として、国土交通省の調査でも中古戸建住宅の選択理由を「信頼できる住宅メーカー・不動産業者だったから」と回答した買主は9.3%も存在します。

中古マンションの場合はよりネームバリューを気にする傾向にあり「信頼できる住宅メーカー・不動産業者だったから」と回答した買主は13.4%にも上ります。

上記からわかるように、大手不動産会社は買主からのニーズも高いので、一般的な中古住宅の売却であれば大手不動産会社の無料査定を一度は受けておきしょう。

ただし、どのケースにおいても大手不動産会社が最適解とは限らず、売却したい中古住宅の種類に応じて、以下のように不動産会社を使い分けることをおすすめします。

種類 おすすめ
一般的な住宅 大手不動産会社
地方物件 地域密着型の不動産会社
築古住宅・訳あり物件 専門の不動産会社

例えば、大手不動産会社は需要が高い首都圏の物件に注力しているため、地方にある物件は高値がつきにくく、地域密着型の不動産会社のほうが査定額の高いケースもあります。

とはいえ、実績豊富な大手不動産会社は多くの買主からも信頼されているので、一般的な中古住宅の売却時は大手不動産会社に相談すれば間違いないでしょう。

地方物件なら「地域密着型の不動産会社」も検討

すべての不動産会社が全国対応ではなく対応エリアを限定している場合もあるため、地方の物件は地域密着型の不動産会社でないと対応できないケースも少なくありません。

なぜなら、売りたい物件のある地域の不動産会社でないと、周辺環境・インフラなどの情報を購入希望者に説明できなかったり、現地調査ができないという事情もあるからです。

加えて、田舎は人口が少なく既に持ち家を所有している割合が多いため、そもそも中古住宅の需要が少ないので、購入希望者が見つかりにくいことも理由に挙げられます。

地方にある中古住宅を売却する場合、全国対応の不動産会社だけでなく地域密着型の不動産会社にも相談することをおすすめします。

地域密着型の不動産会社は地元の顧客を抱えているケースも多く、大手不動産会社では取扱いを断られるような地方の物件も売却できる可能性が高いです。

下記リンクの一括査定なら、地方・郊外でも対応可能な地元密着型の不動産会社も高確率で見つかるので、田舎の家を相続した際などに利用してみてください。

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築古住宅や訳あり物件なら「各種専門の不動産会社」がおすすめ

築古住宅や訳あり物件は需要が少ないため、一般的な不動産会社では利益が見込めないとして安値で査定されたり取扱いを断られてしまうケースも多いです。

中古の築古住宅や訳あり物件を売却したい場合、一般的な不動産会社ではなく専門の不動産買取業者に中古住宅を直接買取してもらう方法がおすすめです。

例えば、建物の市場価値は築20年でほぼゼロになるので、中古住宅の築年数が20年を超える場合は築古住宅の専門買取業者に相談しましょう。

築古住宅専門の買取業者なら、自社で建物をリフォーム・解体した上で再販売するので、一般的な不動産会社には扱えない築古住宅でも売却可能です。

他にも、事故物件・再建築不可物件・共有持分などの訳あり物件は一般の買主が見つかりにくいですが、訳あり物件専門の買取業者ならスムーズに買取可能です。

弁護士と連携した専門買取業者であれば、法的トラブルを解決した上で直接買取が可能なので、買主が見つからない訳あり物件も最短数日で現金化できます。

「築古住宅や訳あり物件でも高く売りたい」と考える人も多いですが、時間がかかると結果的に固定資産税で損をしてしまうので早めに売却することが大切です。

以下のリンクから、築古住宅・訳あり物件にも対応している専門買取業者の無料査定が受けられるので、まずは気軽に査定額をチェックしてみましょう。

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複数社の不動産会社を比較して選ぼう

中古住宅を売却する場合、1社の不動産会社の査定結果を鵜呑みにせず、必ず複数の不動産会社を比較した上で、媒介契約を結ぶ不動産会社を選びましょう。

なぜなら、1社の不動産会社の査定結果だけでは、売却価格の相場を把握できないため「その査定額が高いのか?安いのか?」がわからないからです。

それぞれの不動産会社は得意分野が異なり、売りたい中古住宅と同じエリア・物件タイプの取引実績が多い業者ほど、スムーズに売却できる確率が高いです。

しかし、1社ずつ不動産会社に査定依頼をするのは時間・手間がかかるので、一度に複数社へ査定を申し込める一括査定サイトの利用をおすすめします。

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中古住宅売却にかかる費用と税金

中古住宅の売却時は「利益を受け取るだけで、売主は1円も支払う必要がない」と誤解している人もいますが、売主側も仲介手数料・各種税金などの支払いが必要です。

中古住宅の売却には、次の費用と税金がかかります。

種類 具体例
費用 仲介手数料
抵当権抹消費用
住宅ローン残債
(未完済の場合)
税金 譲渡所得税
印紙税

中古住宅の売却時には、仲介手数料・印紙税・抵当権抹消費用がかかる上、住宅ローンが残っている場合は残債を支払う必要もあります。

加えて、中古住宅の売却が黒字の場合、売却で得た利益に課税される譲渡所得税も支払わなければなりません。

中古住宅の売却にかかる費用と税金を順番に解説します。

売却時にかかる費用

中古住宅の売却を不動産会社に依頼すると、仲介手数料が発生することは広く知られていますが、他にも抵当権抹消費用などが必要なケースも存在します。

中古住宅の売却時にかかる費用は、以下のとおりです。

種類 税額
仲介手数料 売却価格×3%+6万円+消費税 (※1)
抵当権抹消費用 1,000円〜
住宅ローン残債 残債の金額+手数料


※1=法律における上限額

不動産仲介会社で中古住宅を売却する場合、不動産売却を成功させた報酬として仲介会社に仲介手数料を支払うケースが多いです。

加えて、売却する中古住宅の取得時に住宅ローンを組んでいた場合、抵当権抹消費用や住宅ローン残債の支払いが必要になるケースもあります。

仲介手数料

中古住宅の売却を不動産会社に依頼した場合、成功報酬として「仲介手数料」を請求されるケースが多いです。

不動産会社へ支払う仲介手数料は法律で上限額が定められており、以下の上限額を超える仲介手数料は支払う義務がありません。

仲介手数料の上限額
金額 仲介手数料
200万円以下の部分 売却価格×5%+消費税
200万円〜400万円の部分 売却価格×4%+消費税
400万円を超える部分 売却価格×3%+消費税

中古住宅の売却価格は400万円を超えるケースが大半なので、売却価格の金額ごとに分けて計算するのではなく、以下の速算式で計算する方法が一般的です。

仲介手数料を無料としている不動産会社もありますが、基本的には上限額を請求する不動産会社が多いので「売却価格×3%+6万円+消費税」が相場と考えておきましょう。

参照:e-govポータル「宅地建物取引業法 第46条」

抵当権抹消費用

住宅ローンを組んで購入した中古住宅を売却する場合、法務局での抵当権抹消登記にかかる「抵当権抹消費用」も必要です。

抵当権抹消登記は自分でおこなうことも可能ですが、書類準備・手続きが複雑なため司法書士に依頼するのが一般的です。

抵当権抹消登記にかかる費用は不動産1個につき1,000円の登録免許税ですが、司法書士に手続きを依頼する場合は司法書士報酬も別途発生します。

種類 金額
登録免許税 1,000円
(不動産1件につき)
司法書士報酬
(依頼する場合)
約2万〜3万円

住宅ローン残債(未完済の場合)

中古住宅の購入時に組んだ住宅ローンが未完済の場合のみ「住宅ローン残債」および「返済手数料」を負担しなければなりません。

なぜなら、住宅ローン返済中の不動産には抵当権が設定されており、繰り上げ返済で住宅ローンを完済して抵当権を外さないと中古住宅を売却できないからです。

注意点として、住宅ローンの残債を返済するのはもちろん、通常の約定返済とは異なり繰り上げ返済にかかる返済手数料も負担する必要があります。

金融機関によりますが、住宅ローンの返済手数料は一般的に5,000円〜3万円程度です。

金融機関 返済手数料
(全額繰り上げ返済)
三菱UFJ銀行 ・インターネット:1万6,500円
・テレビ窓口:2万2,000円
・店頭:3万3,000円
三井住友銀行 ・インターネット:5,500円
・店頭(専用パソコン):1万1,000円
・店頭(書面):2万2,000円
みずほ銀行 ・店頭:3万3,000円
りそな銀行 ・店頭:1万1,000円(変動金利型および全期間固定金利型)
・店頭:3万3,000円(​​固定金利選択型特約期間中)
ソニー銀行 無料
楽天銀行 無料
auじぶん銀行 ・変動金利適用中:無料
・固定金利適用中:3万3,000円
PayPay銀行 ・電話:3万3,000円
イオン銀行 ・インターネット:5万5,000円
・店頭:5万5,000円
SBI新生銀行 無料
住信SBIネット銀行 ・変動金利適用中:無料
・固定金利適用中:3万3,000円
フラット35 無料

返済手数料の金額・計算方法は金融機関によって異なる上、返済方法によって金額が変わる金融機関もあるので、事前に借入先の金融機関に確認しましょう。

売却時にかかる税金

中古住宅の売却時は売主から買主へ不動産の所有権を移すため、法的な手続きに税金がかかります。

中古住宅の売却時にかかる税金は、以下のとおりです。

種類 税額
譲渡所得税 (不動産の売却益−譲渡費用−取得費)×39.63% (※1)
(不動産の売却益−譲渡費用−取得費)×20.315% (※2)
印紙税 非課税〜60万円 (※3)


※1=短期譲渡所得の場合(所有期間が5年以内)
※2=長期譲渡所得の場合(所有期間が5年超)
※3=売却価格に応じて変動

不動産売却で得られる利益は譲渡所得として課税対象になるため、中古住宅の売却が黒字だった場合は譲渡所得税を支払う必要があります。

大きな金額が動く不動産売買の内容は売買契約書で公的な証拠として記録する必要がありますが、その際に国へ印紙税を支払わなければなりません

譲渡所得税

不動産売却が黒字の場合のみ、中古住宅の売却で得た利益に対して「譲渡所得税」が課税されます。

中古住宅の売却時に発生する譲渡所得税は、以下の手順で算出できます。

  1. 課税対象の譲渡所得を求める
    譲渡所得=不動産の売却益−譲渡費用−取得費
  2. 譲渡所得に一定の税率を掛け合わせる
    譲渡所得×39.63%または20.315%

「売却した年の1月1日時点での中古住宅の所有期間が5年以内か?」によって、中古住宅の売却時に発生する譲渡所得税の税率が以下のように異なります。

種類 短期譲渡所得
(所有期間が5年以内)
長期譲渡所得
(所有期間が5年超)
所得税 30% 15%
住民税 9% 5%

わかりやすいように具体例を用いて、譲渡所得税の計算方法を解説します。

例えば、不動産の売却価格が4,000万円・譲渡費用が300万円・取得費が3,000万円で所有期間が5年以内の場合、譲渡所得税は次のように273万円と計算できます。

譲渡所得:4,000万円−300万円−3,000万円=700万円
所得税:700万円×30%=210万円
住民税:700万円×9%=63万円
譲渡所得税:210万円+63万円=273万円

譲渡所得税を課税しない場合、10年以上の懲役または1,000万円以下の罰金を科せられる恐れもあるため、中古住宅の売却後は確定申告をおこないましょう。

印紙税

中古住宅の売却時は「印紙税」を売主と買主が平等に負担する必要があります。

次のように印紙税の税額は、売買契約書における中古住宅の売却価格に応じて変動する仕組みで、売却価格が高いほど印紙税の金額も高額になります。

売却価格 本則税率 軽減税率
10万円〜50万円以下 400円 200円
50万円〜100万円以下 1,000円 500円
100万円〜500万円以下 2,000円 1,000円
500万円〜1,000万円以下 1,000円 5,000円
1,000万円〜5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円〜1億円以下 6万円 3万円
1億円〜5億円以下 10万円 6万円
5億円〜10億円以下 20万円 16万円
10億円〜50億円以下 40万円 32万円
50億円を超える 60万円 48万円

本来は本則税率ですが、2024年12月までは軽減税率が適用されます。

印紙税は収入印紙を売買契約書の原本に貼る形式で納税しますが、コピーは必要ないので1枚分の収入印紙を売主と買主が平等に支払う形式が一般的です。

印紙税の納付に用いる収入印紙は郵便局や法務局で購入する形式が一般的ですが、金額の低い収入印紙であればコンビニで購入することも可能です。

参照:国税庁「No.7101 不動産の譲渡・消費貸借等に関する契約書」

参照:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」

中古住宅を売却する際の注意点

不動産会社が売主である新築物件と異なり、中古住宅は物件所有者が売主となるので売却価格・条件なども売主自身が責任をもって決めなければなりません。

中古住宅の売却時は以下3点に注意しましょう。

中古住宅を売却する際の注意点

  • 売主は契約不適合責任がある
  • 大掛かりなリフォームは避ける
  • 抵当権の抹消手続きは早めに行う

上記に注意しないと、中古住宅が売れ残ったり売却できても赤字を抱えてしまうほか、売却後に損害賠償請求を受けるリスクもあります。

それぞれの注意点を順番にみていきます。

売主は契約不適合責任がある

中古住宅には経年劣化などのダメージが多いですが、売買契約時点でわからなかった欠陥が発覚した場合、売却後に買主から契約不適合責任を追及されるリスクがあります。

契約不適合責任が認められる場合、買主は売主に対して損害賠償や物件の修繕などを請求できるため、不動産売却後でも出費が発生してしまう恐れもあります。

ただし、契約不適合責任は永遠に追及される訳ではなく、買主が物件の瑕疵に気付いてから1年以内に通知しなければ、原則として売主の契約不適合責任は免責となります。

民法第566条
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

引用:e-govポータル「民法第566条」

売却後の契約不適合責任を負いたくない場合、売買契約書に契約不適合責任を限定する文言を明記したり、既存住宅売買瑕疵保険に加入するといった対策があります。

買主が不動産会社の場合は契約不適合責任が免責されるケースも多いので、売却後に損害賠償などを請求されたくない人は買取業者に中古住宅を売却するとよいでしょう。

参照:国土交通省「既存住宅売買瑕疵保険について」

大掛かりなリフォームは避ける

中古住宅にリフォームを施せば需要が増える可能性はありますが、赤字になるリスクもあるので大掛かりなリフォームを実施することは避けましょう。

中古住宅にリフォームを施す場合、通常のリフォームでも100万円程度、フルリフォームを実施すると1,000万円以上かかるケースも少なくありません。

仲介会社ではなく買取業者なら、リフォームを施さずに現状のまま買取してもらえるので、リフォーム費用が浮いて結果的に得をするケースもあります。

例えば、中古住宅の買主が見つからず買取業者の査定を受けた結果、3,000万円で買取してもらえるケースがあるとします。

しかし、中古住宅に1,000万円かけてリフォームを施した結果、3,500万円でしか買主が見つからない場合、買取業者に売却する際よりも500万円損をしてしまいます。

上記のように、現状のまま売却したほうがよいケースもあるので、中古住宅は独断でリフォームをおこなわず、必ず不動産会社に相談してから実施しましょう。

抵当権の抹消手続きは早めに行う

住宅ローンなどを組んで現在の家を購入した場合、ローンを完済した上で抵当権の抹消手続きをおこなわなければ、中古住宅を売却できません。

なぜなら、抵当権が抹消されていない中古住宅はローンの支払いが滞ると競売に出されるリスクを抱えているので、購入希望者が見つからないからです。

しかし、ローンを完済しても自動的に抵当権が抹消される訳ではなく、売主側が中古住宅のある地域を管轄する法務局での抵当権抹消登記が必要です。

タイミング的には、残金決済・引渡し時に売却代金で住宅ローンを完済して、買主への所有権移転登記と同時に抵当権抹消登記をおこなうケースもあります。

とはいえ、抵当権が抹消されていない中古住宅は購入希望者が見つかりにくいので、借り換えローンなども活用して抵当権抹消登記は早めにおこないましょう。

参照:法務省「住宅ローン等を完済した」

まとめ

結局のところ、査定に出してみないと適正価格はわからないので、一戸建て・マンションに関係なく中古住宅の売却時は必ず不動産会社の無料査定を受けましょう。

なぜなら、築年数や間取り・交通アクセスや周辺環境・市場の動向など、中古物件の売却価格は数々の要素で決まるので、専門家でないと適正価格を見極められないからです。

インターネット上で価格相場を調べることも可能ですが、わかるのは類似物件の売り出し価格・成約価格でしかなく、自分の中古住宅に近い類似物件が見つかるとも限りません。

不動産査定を多く受けるほど、沢山のデータが集まり価格相場や適正価格を把握しやすいので、一括査定を利用して複数の査定額を比較するとよいでしょう。

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