実家を売りたくないときの対策について!家を所有し続ける方法を徹底解説

実家

思い出の詰まった実家を手放すのは、とても寂しいもの。家族で過ごした懐かしい部屋、家から見える風景など、どれを手放すと考えても心が苦しくなるのではないでしょうか。

しかし、住む人がいなくなった実家を空き家として放置しておくと、家が傷んだり納税額が跳ね上がったりしてしまうことも。もし家を売りたくないのであれば、家の活用方法についても同時に考えていかなければいけません。

そこで本記事では、実家を売りたくないときの対策と活用方法について解説いたします。実家を所有し続ける方法をお探しの人は、ぜひ参考にしてください。

実家を売りたくないときに最初に確認すべき3つのこと

財産分与
人生には相続や離婚のようなライフスタイル変化により、実家を売却しなければいけない問題に直面することがあります。

親族とのトラブルを避けるために、やむを得ず売却を決断する場面もあると思いますが、一度所有権を手放してしまうと、簡単に取り戻すことはできません。そのため、売却するか否かよりも、実家の売却を回避するための下準備として「所有権者」「財産分与の方法」といった現状を把握することから始めていく必要があります。

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確認事項1.まずは所有権者を確認

そもそも、名義人つまり所有権者でなければ、家を売却することはできません。反対に言えば、所有権者であれば売却を止めることも可能です。そのため、まずは売却する権利は誰にあるのか、所有権者を確認することから始めましょう

所有権者を確認するときには、登記簿謄本(または登記事項証明書)の「所有権者」の欄に目を通しましょう。登記簿謄本には家と土地の所有権者以外にも、売却にかかわる権利などがすべて記載してあります。法務局に行けば誰でも登記謄本を取得できますので、まずは登記謄本の内容を確認してみてください。

親の名義だと思っていた家も、実は第三者から借りていた不動産だったということもあり得ます。そうなった場合、所有権を取得できなければ、売却を防ぐことさえ難しくなってしまいます。こういった事態に備えるためにも、登記謄本にて誰が売却できる権利者なのか確認しておきましょう

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確認事項2.分配できる財産の調査

次に、分配される財産がどのくらいあるのか調査しましょう。財産がどのくらいあるのか把握できれば、実家の代わりに他の財産を譲るなど、売却以外の選択肢が増えます。

自己の財産を分与するのであれば、財産がどのくらいあるのか自分で確認できますが、問題は相続など自分以外の財産の把握です。故人が隠し持っていた財産を把握するのは、容易ではありません。しかし、財産分配の取りこぼしがないよう、しっかりと資産の額を把握しておく必要があります。

親や配偶者など家族の不動産を調査するためには、登記事項証明書や固定資産税の通知書、不動産会社から届く郵便物などを調べましょう

登記事項証明書は、法務局に行けば誰でも簡単に取得できます。また固定資産税の通知書はご家庭に届いていますので、過去の郵便物を探してみてください。もし固定資産税の通知書がない場合には、各市町村の役所にある名寄帳をみてみましょう。名寄帳は、土地家屋課税台帳とも言い、課税対象の固定資産税を一覧にした記録書です。管轄内であれば、実家のみならず投資不動産の情報も確認できますので、区・市役所に問い合わせてみてください。

確認事項3.財産分与の方法を決める

相続や離婚などで、財産を分与しなければいけないときがあります。分けにくい不動産は、現金化して平等に分配するのが一般的です。しかし、現金化を避けたい場合には、他の財産を分配したり分与対象の財産を自己資金で購入したりする方法があります。

財産の分割には、以下のような方法があります。

換価分割 不動産を現金化して分配する方法
代償分割 不動産を自己資金で買い取る方法
現物分割 対象の不動産の代わりに他の財産を譲る方法
共有 不動産を共同で所有する方法

実家が分配すべき財産に該当している場合、形として残すためには「換価分割」以外の方法を選択すればいいのです。自己資金があれば、実家を買い取ってもいいですし、他の財産を譲るという選択肢もあります。

どの分配方法を選択するのかは、相続人や配偶者など分配すべき相手の合意が必要です。自分で勝手に分配方法を決めてしまうと、後々トラブルに発展する恐れもありますので、注意しましょう

実家を空き家のまま所有してしまうことのリスクと注意点

老朽化
スムーズに実家を所有することができたとしても、上手に管理や運用できなければ、所有者に負担ばかりがかかる「負動産」になってしまいます。もし実家に住まずに空き家にしてしまった場合、以下のようなリスクが発生する恐れがあるので、注意しましょう。

・一気に老朽化してしまう
・周辺環境を悪化させる
・犯罪に巻き込まれる危険性
・損害賠償請求されるリスク
・固定資産税が上がる

ここからは、実家を空き家のまま所有してしまうことの注意点についてそれぞれ詳しく解説いたします。

一気に老朽化してしまう

よく「人がいない家はすぐに傷む」と、言われています。建物は定期的に維持管理しなければ劣化が進んでしまうもの。特に木造住宅は、季節の変化や雨風などに強くはありません。そのため、実家を空き家にしてメンテナンスを怠ってしまうと、一気に老朽化してしまうのです。

建物を維持するためには、適度な換気や排水を流すこと、敷地内の草木の除去や劣化部分の定期的なメンテナンスが不可欠です。

周辺環境を悪化させる

庭の植栽が手入れされなければ、草木が伸びて周辺環境を悪化させてしまいます。敷地外に草や木の枝が伸びたり、古木が道路にころがったりする恐れもあるので、注意が必要です。

しかし環境の悪化問題の怖いところは、見た目が悪くなるだけではありません。手入れされずに草木が伸びっぱなしになると、害虫や害獣の繁殖場所になってしまいます。害虫や害獣は家を老朽化させるだけでなく、近隣住民に迷惑をかけるうえ、不動産の資産価値を著しく低下させる原因にもなるのです。

犯罪に巻き込まれる危険性

人の出入りがない空き家は犯罪に利用されることが多く、不法侵入され犯罪者の拠点となったり、放火される危険性もアップします

実際に国内で犯罪者の拠点となった事例もあります。令和2年7月に、静岡県熱海市にある空き家で男女4人が大麻を栽培していたという事件がありました。犯人グループは空き家の敷地内で大麻を栽培し、密売していたそうです。

このような事件に巻き込まれてしまった場合、所有権者は犯人との関係を調べられるかもしれません。このように、空き家を放置していただけで、知らないうちに犯罪に加担していると思われてしまう恐れもあります

損害賠償請求されるリスク

ここまで紹介してきた例が実際に発生した場合、所有権者は損害賠償を請求されることもあります。

害虫や害獣が発生し近隣住民に迷惑をかけたり、外壁や屋根が崩れて人をケガさせたり、地震や水害によって破損した建材が他人の敷地内に入ってしまったりなど、所有権者の責任が問われるシーンが多々あります。

空き家を放置したことで、第三者に損害を与えてしまった場合には、所有権者が責任を負わなければいけないのです。

固定資産税が上がる

宅地に住宅が建っていた場合「固定資産税の減額措置」が適用され、固定資産税が最大で1/6になります。この減税措置を受けるために、住まない実家をそのままにしておくという人も多いのではないでしょうか。

しかし、2015年に「空家等対策特別措置法」が制定された結果、倒壊や景観悪化を招く危険性のある空き家を放置すると、この「固定資産税の減額措置」が適用されないことになりました

また、危険を及ぼす可能性のある空き家は「特定空き家」に認定され、場合によっては自治体より解体を要望されたり、解体を強行されたりする可能性もあります。

売りたくない実家を効率良く所有し続ける4つの方法

リフォーム
不動産は、適切に管理や運用をしていかないと「負動産」になってしまう理由がお分かりいただけたと思います。実家を売らずに所有できても、空き家にしてしまうことで、様々なリスクも発生してしまうのです。

では、所有権者が負担なく実家を維持していくためには、どうしたらいいのでしょうか。ここまらは、売りたくない実家を効率良く所有し続ける方法について解説いたします。

方法1.賃貸住宅として建物を貸し出す

一つ目は、実家を借家として賃貸に出すという方法借家として他人に住んでもらえれば、建物や敷地内の管理をしてもらえるうえ、家賃収入も得られるというメリットがあります。

家賃の額は立地や間取りによって左右されますが、ファミリー層に人気の借家は、長期間契約してもらえる可能性が高いでしょう。ただし、他人に家を貸すと賃貸借契約書が修了するまでは、自由に実家に出入りできなくなるというデメリットも生じます。また入居者をしっかり選定しないと、建物を雑に扱われ返って劣化が進んでしまう可能性も否定できません。

方法2.更地にして土地を貸す

実家の家屋の老朽化が進んでおり、建物の解体を余儀なくされるケースも少なくありません。築年数が古かったり、物の損傷が酷かったりするなど、とても人に建物を貸せるような状態ではないときは、更地にして土地を貸すという方法もあります。

更地は「借主が自由に建物を建てることができる」「解体費用が不要」など、借り手にとって魅力的な要素が強い不動産です。都市部であれば駐車場やトランクルーム、地方であれば資材置場や太陽光設置など、ニーズが多用化しているため、建物を貸すよりも活用しやすいというメリットがあります。

ただし、土地の貸し出しは、法律上解約しにくいというデメリットもあります。一度貸し出すと所有権者の手元に土地が戻ってくるまで、最低でも30年はかかってしまうことも。借地契約を締結するときは、不動産会社に相談し、不利にならないような契約を締結しましょう。

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方法3.リフォームして自分たちで住む

これまで住んでいた家を引き払い、実家をリフォームして自分で住むのもいいでしょう。近年のコロナ禍の影響により、リモートワークが増え、都市部から地方へ引っ越す人も増えています。

リフォームは新築よりもコストを抑えられるため、自己資金や融資額が少なくて住みます。また、戸建て空き家を改修すると、最大で100万円の助成金を援助する自治体もありますので、コスパを重視する人におすすめです。

ただし、リフォームは改修箇所や費用をしっかりと確認しないと、新築よりも高くなってしまう可能性があります。建物の老朽化程度や設備のグレードによって、費用が大きく左右されますので、まずは建物の現状をチェックし、どの程度のリフォームが必要なのか計画を立ててみてください

方法4.テナントとして貸し出す

テナントとして業者に貸すという方法もあります。住宅街や駅チカ、土地面積が広いなど、営業しやすい立地条件が整っていれば、法人契約獲得も難しくはないでしょう。

法人契約は、家賃収入が安定している契約期間が長いというメリットがあります。家賃は会社の経理担当が業務の一環として淡々と処理するため、個人との契約より家賃滞納リスクは少ないでしょう。

ただし「地方で人通りが少ない」「土地の形がいびつ」など、立地条件が悪いと法人契約できる可能性は低くなります。また素人がいきなり法人に営業をかけても門前払いされてしまうこともありますので、法人契約の実績が豊富な不動産会社に相談することから始めましょう

実家の売却が進んでいた場合に売買契約を中止する方法

契約破棄
ここまで、実家の所有権を手放さずに活用する方法についてご紹介してきました。しかし、すでに実家の売買契約が済んでしまっている場合は、買主と売主双方の合意がなければ契約を白紙に戻すことはできません。

では、売主側の意思とは裏腹に、不動産会社や買主が売却を進めたいと希望している場合はどうしたらいいのでしょうか。法律上、売買契約を締結した後は自己都合で契約を取り消すことができず、もし解約を願い出た場合には買主に違約金を支払うことになります。

契約解除の際に違約金が発生するか否かを以下の表にまとめました。

売買契約の段階 解約 違約金
査定後 可能 原則なし
媒介契約締結後 可能 原則なし
買主との価格交渉中 可能 原則なし
売買契約後の履行着手前 可能 手付金の倍返し
売買契約後の履行着手後 場合によっては不可能 違約金の発生

上記の表をみてわかるように、売買契約の段階によっては、売買契約をキャンセルすることが可能です。それでは、実際に売却を止めるための方法を、ケースごとに解説していきます。

査定後の契約キャンセルは問題なく行える

不動産の価格を調べた後に、売却をやめたくなった場合は、ペナルティなしにキャンセル可能です。不動産会社に価格査定を行っている段階であれば、売買契約を交わしている訳ではありませんので、何ら問題なくキャンセルできます。

ただし、業者側は「査定=売る気がある」と判断することが多いため、査定後にキャンセルするときは、引きのばさず早めに断りの連絡をいれましょう

媒介契約締結後もキャンセルは可能

媒介契約とは、不動産会社に「買主を探して契約交渉の仲介に入ってください」と仲介を依頼する契約のことです。売買契約勘違いされる人も多いのですが、媒介契約は売主と不動産会社との契約になります。媒介契約は、そもそも売買契約ではありませんので、こちらも問題なく家の売却を止めることができます。媒介契約の期限は、最大で3カ月。更新希望を出さなければ、媒介契約はそのまま継続することなく終了となります。

媒介契約の中には「一般媒介契約」といういつでも解約可能な契約もあります。一般媒介契約の場合には、好きなときに契約を終了させることができますので、不動産会社に解約を申し出ましょう

買主との価格交渉中もキャンセル可能

買主と売却価格を交渉している最中のキャンセルについても、問題なく解約できます。これまで紹介してきた「査定後」や「媒介契約中」と同様に「価格交渉中」も契約書を交わす前の段階ですので、売却をやめることが可能です。

価格交渉中に契約がキャンセルになることは、珍しくはありません。「買主が気に入らない」「値下げ交渉されたので売却をやめたい」など、相手の提示してきた条件に納得が行かなければ売主側から交渉を取りやめてもいいのです。ただし、申込金をすでに受け取っていた場合には、キャンセル後に相手に返還しなければいけません。

売買契約後の履行着手前は注意が必要

さて、ここから契約キャンセルのハードルが一気にあがります契約書を取り交わすと、契約を白紙に戻すのが難しいのです。民法では、契約を一度交わしたら履行する(契約を進める)ことが大原則となります。

しかし、一度交わした契約でも「相手が履行に着手する前」であれば、支払い契約を白紙に戻すことが可能という定めもあります。不動産売買においての履行とは、契約を進めるための準備のこと。逆に言うと、相手側(買主)が履行に着手していれば、法律上売買契約はキャンセルできません

履行の着手とは「買主は代金を支払う前」の段階

では、契約締結後、キャンセルできるタイミングは、いつになるのでしょうか。具体的には、以下のような行動が「履行の着手」と判断されます

売主側の履行の着手と判断される行為 移転登記手続き

 

買主側の履行の着手と判断される行為 代金準備後の引き渡しの催促

代金の支払い

引っ越し

つまりは、買主側が売却代金を用意する前の段階であれば、契約キャンセルが可能ということです。ただし、すでに契約を交わしてしまったのですから、何も失わずにという訳にはいきません。契約締結後は、「手付金の倍返し」で解約するのが一般的です。

手付金の倍返しとは「手付金の2倍」の金額

売買契約締結後に、買主から手付金を受け取っていた場合、受領した手付金の倍額を支払えば、解約が可能一般的に手付金の額は、売却代金の5~20%程度

その倍額を支払えば、互いの了承を得ることなく、売買契約をキャンセルすることができます。この手付金の倍返しとは、いわゆる痛み分け。少なからず相手に迷惑をかけたため、倍額を支払うことで、解約に納得してもらう役割があります。

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売買契約の履行着手後は違約金が必要

売買契約後、すでに買主側が契約に向けて着手している場合は、解約するのは難しいと言えます。買主は「家を買う」予定で行動を起こしていますので、この段階での解約するためには「話し合って買主に納得してもらう」か「違約金を支払う」ことが必要です。

違約金の有無や金額については、売買契約書に記載されている内容を確認してください。契約書に「解約には売上代金の一部を支払う」と記載があれば、その内容通りの金額が必要です。

また、契約したにもかかわらず買主が「代金を支払わない」というような契約違反行為があった場合には、売主より契約解除を求めることができます。買主側に非があるときは、場合によっては損害賠償請求もできますので、仲介に入っている不動産会社に相談してみましょう

まとめ

家の売却は、様々な問題が複雑に絡み合うものです。家を出てから数十年経っても、住み慣れた家を手放すのは、大変心苦しいことでしょう。しかし、相続や離婚時、財産分与の対象になっても、実家を売却せずに所有し続ける方法はあります

状況によっては、より得策とも言える方法は、まだまだあります。何か困ったことがあれば、不動産会社や投資会社など、不動産の専門家に相談してみるとよいでしょう

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