不動産取得税と固定資産税の違いって?税金の計算を楽にする方法も解説

不動産取得税 固定資産税

自己居住用として新築マンションまたは中古マンションを購入した場合に限らず、不動産投資を行う目的で新築住宅または中古住宅を購入した場合にも税金はかかります。土地や住宅を取得した時に1度だけ税金がかかると思っている人もいるかもしれませんが、所有している限り毎年税金がかかります。このように土地や住宅を取得した場合は不動産取得税や固定資産税がかかりますが、どのような違いがあるのでしょうか?

この記事では、不動産取得税と固定資産税の違い、税金の計算を楽にする方法、家賃収入にかかる税金について詳しく解説します。

不動産取得税と固定資産税の違いは?

自身が居住する目的で購入した住宅や住宅用土地に限らず、不動産投資を行う目的で購入した賃貸用マンションや賃貸住宅を建てるための宅地には、不動産取得税や固定資産税がかかります。不動産取得税や固定資産税という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、実際にそれらがどのような税金なのか分からないという人も多いと思いのではないでしょうか?税金について理解できていないままだと、税金の未納によるトラブルに発展する可能性もあるため、まずはしっかりと各税金の特徴を理解することが重要です。

不動産取得税とは

不動産取得税とは、土地や家屋といった不動産を取得した、または増築・改築などを行って不動産の資産価値が高くなった場合に、物件の所有権者に対して課される税金です。不動産取得税は、土地や家屋などの固定資産税評価額に基づいて算出されます。

不動産取得税は不動産を取得した所有権者に対して課されますが、毎年課されるわけではありません。不動産取得税という名の通り、取得した時だけ課されます不動産の取得後は不動産取得税申告書を提出する必要がありますが、申告期限は都道府県ごとに異なるので注意が必要です。不動産を取得してから60日以内が一般的ですが、東京は30日以内、大阪は20日以内など申告期限が60日より短く設定されている都道府県もあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

不動産取得税申告書を提出すると、数カ月後に納税通知書が送られてきます。送られてきた納税通知書を金融機関や都道府県税事務所、郵便局などに持って行って、不動産が所在する都道府県に納付するのが一般的な納付方法です。都道府県によってはコンビニやクレジッカードの支払いに対応している場合もあるため、どのような納付方法があるのか事前に確認しておくと良いでしょう。

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固定資産税とは

固定資産税とは、不動産を所有している間、毎年物件の所有権者に対して課される税金です。不動産取得税と同様、土地や家屋などの固定資産税評価額に基づいて算出されます。しかし、購入した所有者がいつまでもその不動産を所有しているとは限りません。そのため、固定資産税は、毎年1月1日時点で登記簿に登録されている不動産の名義人に課すことが決められています。

1月1日時点で登記簿に登録されている不動産の名義人は、不動産の所在する市区町村に対して年4回固定資産税を納付します。納税のタイミングは、4月・7月・12月・2月が一般的です。納税通知書は1回目の納付のタイミングに合わせて送られてきます。納税のタイミングは、どこの地域でも年4回という点は変わりませんが、東京都は6月・9月・12月・2月と自治体ごとに納税のタイミングが異なるケースも。

自分の地域の納税のタイミングを確認する際は、ネットで『○○県 固定資産税の納期』と入力すれば、簡単に検索できるので事前に確認しておくことをおすすめします。固定資産税とは別に、都市計画税と呼ばれる税金が課されるケースも。市街化区域といった都市計画法で定められている地域に固定資産がある場合には都市計画税も課されることを知っておきましょう。

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不動産取得税と固定資産税で軽減措置を受ける方法

軽減措置
ただでさえ不動産の購入に多額の資金を拠出したにもかかわらず、さらに不動産取得税や固定資産税が課されると負担が大きくなってしまいます。不動産取得税や固定資産税には何か軽減措置はないのでしょうか?

不動産取得税の軽減措置を受ける方法

土地や建物を取得した場合には、一定の条件を満たせば不動産取得税の軽減措置を受けることが可能です。2021(令和3年)3月31日までは、4%から3%に税率が軽減されます。10万円未満の土地や新築または増改築された23万円未満の家屋、12万円未満の家屋など一部の取引では不動産取得税が課されません。

不動産取得税は、土地と建物、新築と中古で適用される軽減措置の内容が異なるため、それぞれの内容を把握しておくことが重要です。

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新築住宅用の土地と建物の軽減措置

新築住宅用の土地に適用される軽減措置と適用条件は以下の通りです。

軽減措置 ・45,000円または土地1㎡当たりの固定資産税評価額×住宅の床面積の2倍×3%のいずれか高い方

・2021年(令和3年)3月31日までに土地を取得した場合の固定資産税評価額は2分の1

適用条件 ・建物の適用条件を満たしている

・土地を先に取得した場合は、3年以内に建物を新築する

・建物を先に建築した場合は、1年以内に土地を取得する

新築の建物に適用される軽減措置と適用条件は以下の通りです。

軽減措置 ・1,200万円を控除

※2020年3月31日までに認定長期優良住宅を取得すれば1,300万円を控除

適用条件 ・住宅の床面積が50㎡(戸建以外の賃貸住宅では1戸につき床面積が40㎡)以上240㎡以下

認定長期優良住宅とは、長く安心して快適に暮らせる住宅のことです。認定長期優良住宅は、以下のような条件を満たしている場合に認定されます

・将来に備えてバリアフリーリフォームに対応している
・ライフスタイルの変化に応じて間取りの変更が可能になっている
・耐震等級2級以上または免振建築物などで耐震性に優れている
・省エネルギー対策等級4級以上などの省エネルギー性を有している

中古住宅用の土地と建物の軽減措置

中古住宅用の土地に適用される軽減措置と適用条件は以下の通りです。

軽減措置 ・45,000円または土地1㎡当たりの固定資産税評価額×住宅の床面積の2倍×3%のいずれか高い方

・2021年(令和3年)3月31日までに土地を取得した場合の固定資産税評価額は2分の1

適用条件 ・建物の適用条件を満たしている

・土地を先に取得した場合は、1年以内に建物を新築する

・建物を先に建築した場合は、1年以内に土地を取得する

中古の建物に適用される軽減措置と適用条件は以下の通りです。

軽減措置 ・中古住宅の新築日に応じて控除額が異なる

※新築日が近いほど控除額が大きくなる。例:1997年(平成9年)4月1日以降は1,200万円、1954年(昭和29年)6月30日以前は控除無し。

適用条件 ・個人が自己の居住用に取得した住宅

・住宅の床面積が50㎡以上240㎡以下

以下はいずれかに該当する必要がある

・1982年(昭和57年)以降に新築

・新耐震基準に適合していることを証明または既存住宅売買瑕疵保険に加入

・新耐震基準に適合していないものの、入居前に新耐震基準に適合する改修を実施する一定の中古住宅(取得日前2年以内に調査が終了)。

新築の土地と建物、中古の土地と建物では、軽減措置の内容と適用条件が一部異なるので、しっかり確認しておきましょう。

固定資産税の軽減措置を受ける方法

新築や中古の土地や建物を取得した場合に一定の条件を満たしていれば、不動産取得税の軽減措置が受けられるのと同様、土地と建物の固定資産税も軽減措置を受けることが可能です。土地の固定資産税の軽減措置の内容は以下の通りです。

用地区分 軽減措置
小規模住宅用地(200㎡以下の部分) 課税標準の6分の1
一般住宅用地(200㎡を超える部分) 課税標準の3分の1

建物の固定資産税の軽減措置は新築のみ適用されますが、中古は適用されません。床面積が50㎡(賃貸用物件は40㎡)以上280㎡以下の場合には、120㎡までの部分の固定資産税が2分の1に軽減されます。

軽減措置は3年間しか受けることができないのが一般的です。しかし、3階建て以上の耐火建築物や準耐火建築物は5年間、長期優良住宅として認定された建築物は7年間まで軽減措置が延長されます。自治体によってはバリアフリーや省エネ、耐震強度などが優れている建物に対して、さらに別の軽減措置が適用される可能性もあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

不動産取得税と固定資産税の算出方法

固定資産税
不動産取得税と固定資産税の軽減措置の内容と適用条件について確認しましたが、不動産取得税と固定資産税はどのような計算方法で算出するのでしょうか?

不動産取得税の算出方法

不動産取得税は以下の計算方法で求めることができます。

固定資産税評価額(課税標準)×標準税率(4%)

固定資産税評価額は、不動産取得税の算出のほか、固定資産税や都市計画税、登録免許税の算出にも用いられています。3年に1回評価額の見直しが実施されており、前回の見直しが2018年だったため、次回の見直しは2021年となります。国土交通省が公表している地価公示と比べると、固定資産税評価額は約70%の水準です。標準税率は4%ですが、自治体ごとに差があるほか、特例によって軽減措置が適用されると2021年(令和3年)までは3%になります。

固定資産税の算出方法

固定資産税は以下の計算方法で求めることができます。

固定資産税評価額(課税標準)×標準税率(1.4%)

標準税率は1.4%ですが、不動産取得税のケースと同様、自治体による差があります。固定資産税の税額は、納税通知書に記載されているため、上記の計算式をしっかりと覚えておく必要はありません。しかし、これから不動産の取得を予定している人の場合には事前に計算式を覚えておくと、どのくらいのランニングコストが発生するか予想できます。そうすれば購入後に予想外の支出に悩まされる可能性が低くなるでしょう。

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家賃収入にかかる税金一覧

消費税
不動産投資を行うにあたって住宅購入する際には、取得時に不動産取得税、貸家住宅を保有しているだけで毎年固定資産税や都市計画税が課されることが分かりました。では、不動産投資を行う際に生じた家賃収入はどんな税金が課せられるのでしょうか?家賃収入にかかる税金は以下の2つです。

・所得税
・住民税

所得税

個人で投資用不動産を所有して運用している場合は、得られた家賃収入に対して所得税が課せられます所得税の税率は、給与所得といった他の所得と合算した所得金額によって、最低5%から最大45%までの税率が適用されます。不動産所得の対象となる家賃収入に含まれるのは以下のような収入です。

・礼金
・更新料
・管理費
・駐車場利用料

「敷金は?」と気になった人もいるかもしれませんが、敷金は基本的に修繕や家賃滞納時の補填などに使用しない限りは物件の利用者(借主)に対して返すものであるため、収入ではありません。どのような費用が家賃収入に含まれるのか事前に確認しておきましょう。

住民税

家賃収入に課せられるのは所得税だけではなく、住民税も課せられます住民税の税率は、所得金額の10%が基本です。先ほどは不動産所得の対象となる家賃収入に含まれる収入を解説しましたが、家賃収入の全額に対して所得税や住民税が課されるわけではありません。不動産所得は、家賃収入から以下のような経費を引いて求めます不動産所得を決める際に経費として認められるものは主に以下のような費用です。

・修繕費
・管理委託費
・ローン金利
・減価償却費
・不動産取得税
・固定資産税

不動産取得税や固定資産税も経費として計上することが可能です。不動産投資の場合には住宅ローンを活用できませんが、不動産投資ローンは活用できます。ローンを全て経費にはできませんが、金利に当たる部分は経費に計上することが可能です。これらの費用を引いて残った不動産所得に所得税や住民税が課せられます。

消費税

住居専用の賃貸物件は消費税法上の非課税取引に該当するため、消費税を納税する必要はありません。しかし、取得したのが事業用の物件で、会社に賃貸するもしくは駐車場のみを賃貸する場合には消費税法上の課税取引に該当します。消費税の課税売上高が1,000万円を超えた場合には、消費税を納付する義務が生じるので注意が必要です。

法人税・個人事業税

個人で不動産投資を行っている場合でも、戸建住宅を5棟以上、マンションを10室以上といった事業規模で不動産投資を行っている場合には個人事業税が課されます。また、法人として不動産投資を行っている場合には、不動産投資によって得た所得に対する法人税、法人事業税、法人住民税などが課されます。

確定申告は税理士に任せた方が効率的

不動産取得税や固定資産税・都市計画税だけでなく、所得税や住民税といった多くの税金が不動産投資では課されます。不動産所得に対して課される税金は、どの収入が不動産所得に該当して、どの費用を経費として計上できるのかの判断が難しいため、せっかく確定申告をしても申告のやり直しが必要になる可能性も。

そこでおすすめするのが税理士に任せるという方法です。税理士は税金に関する専門家で、スムーズに確定申告の手続きを進めてくれるだけでなく、節税につながる話も教えてくれるのでより効率良く不動産投資を行えるでしょう。

まとめ

不動産投資を行うにあたって敷地を取得したまたは建売住宅を取得した場合には、不動産取得税が課されます不動産取得税は取得した時のみ課されますが、不動産を取得してから不動産投資を行っている間は毎年固定資産税・都市計画税が課されるので注意が必要です。また、相続した土地や建物などを活用して不動産投資を行っている場合は、不動産取得税は課されませんが、固定資産税・都市計画税は課されます。ただし、贈与の場合には、不動産取得税と固定資産税・都市計画税の両方が課されるので注意が必要です。

これらの不動産取得税や固定資産税・都市計画税は、軽減制度をうまく活用すればランニングコストを少しでも減額できます軽減制度を活用したい場合、不動産会社が申請書の作成や手配をしてくれます軽減制度はエリアごとに内容が異なる場合もあるため、事前に不動産が所在するエリアの軽減制度の内容や要件などを確認しましょう

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