借地権付き建物が売れないといわれる5つの理由
イエコンでは、過去に借地権付き建物の購入を検討したものの、購入を見送ったことがある方を対象に、購入を見送った理由についての独自アンケートを実施しました。その結果、購入を見送った理由として特に多かった上位の理由は以下の通りとなりました。
| 借地権付き建物の購入を見送った理由 |
割合 |
| 売却や建替えのたびに地主の承諾が必要になる |
36.2% |
| 地代の支払いが続く |
24.8% |
| 借地契約の更新に不安がある |
17.6% |
| 住宅ローンを利用しにくい |
12.9% |
| 売却したくなったときに買主候補が少ない |
8.5% |
※アンケート調査期間:2026年1月~2026年3月
※アンケート収集方法:インターネット
買い手が借地権付き建物の購入を見送った理由は、売り手から見ると「借地権付き建物が売れにくい直接的な原因」であるといえます。ここからは、アンケート結果から分かった借地権付き建物が売れない理由について、それぞれ詳しく解説していきます。
売却や建て替えのたびに地主の承諾が必要になる
借地権付き建物が売れにくい大きな要因の1つは、売却や建て替えのたびに地主の承諾が必要となる点です。民法上、「賃借人は賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲渡し、または賃貸物を転貸することができない」と定められています(民法第612条)。
借地権も賃借権の一種であるため、地主の承諾を得られなければ、借地権の売却や転貸は原則できません。また、借地契約では増改築禁止特約が設けられるのが基本です。この特約が設けられている場合、地主の承諾がなければ原則として建替えができません。
「老朽化の進行で倒壊の危険性が高い」といった建替えせざるを得ない特別な事情がある場合を除き、無断で建替えをすると契約解除や損害賠償を請求されるリスクが生じます。そのため、売却や建替えを行う際には、事前に地主と交渉し、承諾を得ることが重要です。
承諾を得る際には、地主に「承諾料」を支払うのが慣習となっています。承諾料の具体的な金額は法律で定められているわけではありませんが、借地権価格(更地価格×借地権割合)の10%程度が目安です。
地主の承諾が得られず売却や建替えができない場合、裁判所からの許可を得るための法的手続きが必要になりますが、これには手間や時間、費用がかかります。
このように、建物の所有者であっても自由に売却や建替えができないという制約や、承諾を得る際の金銭的負担が買い手にとっての不安材料となります。
そのため、こうした手続きの負担を懸念して購入を見送る人も多いのです。
地代の支払いが続く
借地権付き建物は、借地契約が継続している限り、毎月地代の支払いが発生します。
借地権付き建物は通常の建物よりも安く購入できるものの、購入後は建物の固定資産税や修繕費に加えて地代も発生するため、ランニングコストは通常の類似物件よりも高額になりがちです。
また、地価の変動や物価の上昇、固定資産税の増税といった理由により、地主から地代の値上げを要求されるケースも少なくありません。そのため、将来的に地代の負担が増加するリスクもあります。
初期費用は安く抑えられても、長期的に見れば地代などのランニングコストがかさみ、結果としてトータルの支出が通常の物件を上回ってしまう可能性がある点も、買い手から購入を避けられやすい1つの要因となっています。
借地契約の更新に不安がある
借地契約の更新について不安を感じやすい点も、借地権付き建物の売れにくさを助長する要因の1つです。
借地契約には期限があり、契約が満了した後は更新手続きを行わなければなりません。借地権が「旧法借地権」「普通借地権」であれば、借地人が更新を望む限り、原則として契約は自動的に更新されます。
ただし、地主側に「親の介護や経済的困窮などで、どうしてもその土地に住まざるを得ない」といった正当事由がある場合、地主は更新を拒絶できるため、確実に契約を更新できるとは限りません。
もし契約が更新できなかった場合、借地人はその土地から立ち退かなければなりません。
また、契約を更新する際には、地主から更新料を請求されるケースが多いです。更新料は借地権価格の5~10%程度と決して安い金額ではありません。
このように、将来的に住み続けられなくなるリスクや更新のたびに発生する高額な更新料の負担は、終の棲家として住み続けたいと考える買い手にとって非常に大きな心理的ハードルとなります。
住宅ローンが利用しにくい
借地権付き建物が売れにくい理由として、買い手が住宅ローンを利用しにくいという点も挙げられます。住宅ローンを組む際は、購入する物件を担保として差し入れる必要があります。
借地権付き建物の場合、土地は地主の所有物であるため、土地を担保にすることができません。通常の物件よりも担保価値が低く評価されてしまうため、結果として融資を断られたり、融資額を大幅に減額されたりするケースが多いです。
また、金融機関が借地権付き建物への融資を行う際には、借地権や建物への担保設定に関して、地主の承諾書が必要になります。これは、借入金の返済が滞って金融機関が担保権を実行した場合、建物や借地権が第三者へ移転する可能性があるためです。
地主からすると、全く知らない第三者が新たな借地人になる可能性があるほか、地代の支払いや土地の利用方法をめぐってトラブルが生じることも懸念されます。また、借地人が地代を滞納した場合には、借地契約の解除と金融機関による担保権の実行との関係が複雑になり、対応に手間がかかる可能性も高いです。
こうした事情から、地主が承諾書の提出に慎重になりやすく、承諾を得られなければ買い手が住宅ローンを利用できない可能性があります。その結果、購入できる人が自己資金のある層などに限られ、売却が難航しやすくなるのです。
売却したくなった時に買主候補が少ない
将来的に転勤や親の介護などで住み替えが必要になった場合でも、借地権付き建物は買主候補が限られるため、売却が難航しやすい傾向があります。こうした「必要なときに売却しにくい」という点は、ライフプランの変化に柔軟に対応したいと考える買い手にとって、大きな不安要素です。
その理由として、前述の通り借地権付き建物は「売却や建替えには地主の承諾が必要」「毎月地代が生じる」「借地契約を更新できないリスクがある」「住宅ローンを利用しにくい」といった制約やリスクを多く抱えているため、通常物件と比較して市場での需要が極めて低いことが挙げられます。
売却活動が長期化すれば、その間も地代や建物の固定資産税を支払わなければならず、費用負担だけが増加し続ける「負動産」と化してしまうリスクもあります。
借地権の種類によって売却難易度は変わる
借地権付き建物は、借地権の種類によっても売却の難易度が大きく変わってきます。借地権には、「旧法借地権」「普通借地権」「定期借地権」の3種類があります。
| 借地権の種類 |
売却の難易度 |
| 旧法借地権 |
★★☆☆☆ |
| 普通借地権 |
★★★☆☆ |
| 定期借地権 |
★★★★★ |
ここからは、それぞれの借地権の特徴や売却難易度について1つずつ詳しく解説していきます。
旧法借地権
旧法借地権とは、現行の借地借家法の施行日(1992年8月1日)よりも前に設定された、旧借地法に基づく借地権のことです。旧借地法は、現行の借地借家法の新設に伴って廃止となりましたが、1992年7月31日以前から継続している借地契約については、引き続き旧借地法が適用されます。
旧法借地権は、現行の借地借家法よりも借地人の権利が強力に保護されているため、借地権の中でも比較的売却しやすい傾向があります。旧法借地権の特徴は以下の通りです。
| 当初の存続期間 |
非堅固な建物(木造住宅など):契約時に期間を定めた場合は20年以上、期間を定めなかった場合(法定期間)は30年
堅固な建物(鉄筋コンクリート造など):契約時に期間を定めた場合は30年以上、期間を定めなかった場合(法定期間)は60年
|
| 契約更新 |
契約満了時に借地人が更新を求めた場合、契約は自動的に更新される。
地主が更新を拒絶するには、正当事由が必要。
|
| 更新後の存続期間 |
非堅固な建物(木造住宅など):20年以上
堅固な建物(鉄筋コンクリート造など):30年以上
|
| 建物買取請求権 |
契約満了で更新されない場合、借地人は地主に対し、建物を時価で買い取るように請求できる。
地主は建物の買取請求を拒否できない。
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| 建物が朽廃・滅失した場合の扱い |
建物が朽廃した場合:法定存続期間中に建物が朽廃すると借地権は消滅する。ただし、契約で存続期間を定めている場合は、その期間中に朽廃しても借地権は消滅しない。
建物が滅失した場合:火災などで建物が滅失しても、借地権自体は残存期間中は消滅しない。
|
旧法借地権は地主に正当事由がある場合を除き、契約満了後は自動的に契約が更新されるため、借地人が建物の居住を希望する限り、半永久的に住み続けることが可能です。
法定期間内に建物が朽廃(人が住めなくなるほど建物が老朽化した状態)した場合は借地権が消滅するという規定がありますが、通常の維持管理やリフォームを行っていれば朽廃とみなされることは基本的にはありません。
また、契約満了後に更新せず退去する場合は、地主に対して建物の買取を請求できます。地主はこの請求を拒否できないため、自己負担で建物を解体する必要がなく、建物を現金化したうえで退去できます。
このように、旧法借地権は借地人が有利な立場にあるため、借地権の中では比較的売却しやすい傾向があります。
普通借地権
普通借地権とは、現行の借地借家法の施行日(1992年8月1日)以降に設定された、借地契約の更新がある借地権のことです。
普通借地権は旧法借地権と比較して地主の権利がやや考慮されるようになったものの、依然として借地人が強い立場にあるため、比較的売却しやすい部類に入ります。普通借地権の特徴は以下の通りです。
| 当初の存続期間 |
建物の構造にかかわらず、一律で30年(双方の合意があれば、これより長い期間を定めることは可能) |
| 契約更新 |
契約満了時に借地人が更新を求めた場合、契約は自動的に更新される。
地主が更新を拒絶するには、正当事由が必要。
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| 更新後の存続期間 |
1回目の更新:20年
2回目以降の更新:10年
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| 建物買取請求権 |
契約満了で更新されない場合、借地人は地主に対し、建物を時価で買い取るように請求できる。
地主は建物の買取請求を拒否できない。
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| 建物が朽廃・滅失した場合の扱い |
建物が朽廃した場合:残存期間内に朽廃しても借地権は消滅しない。
建物が滅失した場合:残存期間内に滅失しても借地権は消滅せず、地主の承諾を得て再築すれば期間の延長も可能。ただし、更新後の残存期間内に滅失した後、地主に無断で建物を再築した場合は、地主から解約を請求される可能性がある。
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普通借地権も旧法借地権と同様に契約更新が可能で、契約満了後は建物の買取を請求することが可能です。借地契約の存続期間は旧法借地権と比較して短くなったものの、契約更新が前提となっているため、長期間にわたって住み続ける予定の買い手にとって大きな安心材料となります。
定期借地権
定期借地権とは、現行の借地借家法の施行日(1992年8月1日)以降に設定された、借地契約の更新がない借地権のことです。旧法借地権や普通借地権と比較して地主側の権利が強力に保護されており、借地人が不利な立場にあるため、旧法借地権や普通借地権と比べると売却が難しい傾向があります。
| 当初の存続期間 |
50年以上(一般定期借地権の場合) |
| 契約更新 |
契約更新ができないため、当初の存続期間が満了した時点で借地権が消滅する。 |
| 建物買取請求権 |
建物買取請求権が認められていないため、契約満了後は建物を解体し、更地にして土地を返還する義務がある。 |
| 建物が朽廃・滅失した場合の扱い |
残存期間内に朽廃・滅失しても借地権は消滅しないが、期間は延長されない。 |
定期借地権は契約満了後の更新や、滅失した建物を再築した際の期間延長が認められていないため、当初の契約期間が満了した時点で借地契約が消滅します。建物買取請求権の行使も認められていないため、契約満了後は建物を解体し、更地として地主に返還しなければなりません。解体費用は、建物の所有者である借地人が全額負担するのが原則です。
このように、定期借地権は買い手にとってのデメリットが大きいため、旧法借地権や普通借地権よりも買い手から敬遠されやすいです。契約更新がない定期借地権は「借地契約の残存期間=買い手が住める期間」であるため、残存期間が短いほど買い手が見つかりにくく、売却価格も下落します。
売れない借地権付き建物を売却する4つの方法
借地権付き建物は、「建物の売却や建替えが自由に行えない」「住宅ローンを利用しにくい」といった制約や地主とのトラブルのリスクを抱えているため、買い手から敬遠されやすく、売却が難航してしまいがちです。
しかし、自身の状況に適した売却方法を選べば、売却できる可能性を高めたり、早期の現金化を目指したりすることができます。売れない借地権付き建物を売却する方法としては、以下の4つが挙げられます。
| 売却方法 |
売却の難易度 |
売却期間の目安 |
向いているケース |
| 地主に買い取ってもらう |
★★★☆☆ |
3か月~半年程度 |
地主が借地権付き建物の買取を前向きに検討している
地主と良好な関係が築けている
|
| 専門の買取業者に売却する |
★☆☆☆☆ |
数日~1か月程度 |
地主から売却の承諾を得られない
地主との関係が悪く、一切関わりたくない
借地権付き建物を早急に売却したい
|
| 底地との同時売却を行う |
★★★★☆ |
3か月~半年程度 |
借地人と地主双方が売却を前向きに検討している
建物を市場価格に近い価格で売却したい
地主と良好な関係が築けている
|
| 地主の土地と借地権の一部を等価交換した後に売却する |
★★★★★ |
半年~1年程度 |
地主の土地が広大な整形地で、公平な分割が可能
地主が土地の所有を希望している
地主と良好な関係が築けている
|
ここからは、それぞれの方法について1つずつ詳しく解説していきます。
地主に買い取ってもらう
借地権付き建物を単独で売却する場合、比較的高値で売却しやすいのは地主です。なぜなら、借地権付き建物の買取は地主にとって以下のようなメリットがあるためです。
- 土地と建物の完全所有権が得られることで、自由な活用・処分が可能になる
- 将来的に土地・建物を市場価格に近い価格で売却できる可能性が高まる
- 借地契約が解消されるため、地代の受け取りや借地人との交渉、トラブル対応の負担がなくなる
毎月の地代収入は失ってしまうものの、複雑な権利関係を解消し、土地と建物の資産価値を高める絶好の機会となるため、第三者に売却するよりも高値での取引にも応じてもらいやすいです。
実際に借地権を売却した方へのアンケートでも、地主への売却を選択したケースは比較的多く見られました。地主に買い取ってもらう場合の相場は、更地価格の50~70%程度が目安となります。
| 借地人から買取を提案した場合 |
更地価格の50%程度 |
| 地主から買取を提案された場合 |
更地価格の60~70%程度 |
※ただし、実際の取引では建物の解体費用が差し引かれたり、地主側の資金状況や購入の意欲などによって、この目安より低い価格で取引されるケースも珍しくありません。あくまで目安として押さえておいてください
地主から買取を提案された場合は、借地人が有利な立場で交渉を進めやすいため、売却価格の相場も高くなる傾向にあります。ただし、借地権付き建物の買取にはまとまった資金が必要になるうえ、多くの地主は現状の地代収入を維持したいと考えているため、実際に売却に至るケースはそれほど多くはありません。
まずは地主の意向を確認し、買取に前向きであれば地主への売却を検討してみましょう。現状維持を希望している場合や資金面に余裕がない場合は、別の売却方法を検討する必要があります。
専門の買取業者に売却する
地主以外に借地権付き建物を売却する場合は、専門の買取業者が有力な選択肢となります。借地権付き建物は一般市場でも売却できますが、これまで説明してきた通り、一般の個人からは敬遠されやすいため、仲介での売却は難航してしまいがちです。
借地権付き建物の取り扱いに長けた専門の買取業者であれば、収益化のための専門知識やノウハウを豊富に有しているため、市場では売れないような借地権付き建物も買い取れる可能性があります。市場で買い手を探す必要がないため、地主からの承諾がスムーズに得られるケースであれば売却活動も比較的短期間で進み、数日~1か月程度で売却が完了することも少なくありません。
一方で、地主との交渉が難航したり、借地非訟などの法的手続きが必要になったりする場合は、売却まで数か月から1年程度かかるケースもあります。
イエコンが行ったアンケートでも、「早く売却したかった」「地主との交渉を避けたかった」といった理由から、専門の買取業者を利用したケースも多く見られました。スピードや手間の軽減を重視する方にとって、有力な選択肢といえるでしょう。
特に、地主からの承諾が得られない場合や交渉が難航している場合も、買取業者が提携している弁護士が間に入って交渉や調整をするのも可能です。
ただし、買取業者は購入後に地主との交渉や権利関係の整理、再販売までの維持管理費や税金などのコストを負担しなければなりません。これらの費用やリスクを見込んで買い取るため、買取価格は地主へ売却する場合よりも低くなる傾向があります。
底地との同時売却を行う
地主も土地の売却に前向きであれば、地主と協力して借地権付き建物と底地の同時売却を狙うのも良いでしょう。
同時売却を行うと、土地と建物を完全所有権の不動産として売却できるため、借地権特有の「建替えや売却に地主の承諾が必要」「住宅ローンを利用しにくい」といった制約がなくなります。その結果、購入希望者の対象が大きく広がり、市場価格に近い価格で売却できる可能性が高まるのです。
借地権付き建物と底地を個別に売却するよりもスムーズに進みやすく、借地人と地主双方の経済的利益を最大化できる点が同時売却の強みといえます。ただし、土地を手放すように説得する必要があるため、将来的に土地の活用を希望している場合や、先祖代々の土地で強い思い入れがある場合は交渉が難航してしまいがちです。
また、売却代金を分配する際、双方の利害が対立してトラブルに発展するケースも少なくありません。まずは地主の意向を確認し、売却に前向きであれば売却代金の取り分や条件について合意形成を図ったうえで手続きを進めることが重要です。
地主の土地と借地権の一部を等価交換した後に売却する
地主が土地を残したいと考えている場合は、地主の土地と借地権の一部を等価交換してから売却する選択肢もあります。地主から借地部分の一部の所有権を譲り受ける代わりに、その土地に対応する借地権を地主へ返還することで、双方が単独で所有する土地を取得する方法です。
取得した土地は自由に活用・処分できるようになるため、等価交換前よりも買い手が見つかりやすく、市場価格と同等の水準での売却も期待できます。
ただし、分筆後はそれぞれの土地の面積が小さくなるため、接道義務や最低敷地面積を満たせず、再建築不可物件となってしまうリスクがあります。そのため、等価交換をするには、分筆後もそれぞれ単独で活用できるだけの十分な広さがあること、公平性を保ちつつ土地を分割できることが前提となることも頭に入れておきましょう。
土地の形状や分け方によっては、どちらか一方が不整形地になってしまい、資産価値や利便性に大きな差が生じる場合もあります。公平な分割が難しい場合、お互いに納得のいく形で等価交換を成立させるのは困難なため、別の方法を検討する必要があるでしょう。
あなたの借地権付き建物は売れない?簡単チェックリスト
借地権付き建物の売れやすさは、地主の意向や関係性、借地権の種類や残存期間、建物の状態などによって大きく異なります。以下の10個のチェックリストを確認し、自身の借地権付き建物がどの程度売れにくいのか診断してみましょう。
該当するチェックリストの個数が多いほど、売却の際に必要な合意形成や買い手探しに難航しやすく、結果として売却のハードルが高まります。特に該当するチェックリストが5個以上ある場合は、そもそも売却の承諾を得ることすら難しい状況にあるといえます。
仮に承諾を得られたとしても、買い手が見つからず売れ残ってしまったり、相場よりも大幅に安い価格でしか売れなかったりするリスクが高いです。そのため、借地権関係の問題に強い不動産会社や弁護士などに相談し、専門的なサポートを受けながら交渉・手続きを進めていくとよいでしょう。
ただし、これはあくまで目安に過ぎないため、該当するチェックリストが4個以下でも売却に不安を感じている場合や、すでに地主との間でトラブルが生じている場合は、早めに専門家に相談して適切な対策を講じることが大切です。
地主の承諾が得られず借地権付き建物が売れないときの対処法
借地権付き建物を売却するには、事前に地主から承諾を得ておかなければなりません。地主からの承諾が得られず、売却手続きに進めない場合は、以下の方法で対処してみましょう。
- 承諾料を支払って交渉する
- 借地非訟を利用する
- 専門の買取業者に相談する
ここからは、それぞれの対処法について1つずつ詳しく解説していきます。
承諾料を支払って交渉する
地主の承諾が得られず売却できない場合は、地主に承諾料を支払ったうえで交渉してみましょう。地主は借地人から売却の承諾を求められても、それに応じる法的義務はありません。
あくまで地主の自由であるため、「新しい借地人が問題のある人物でないか不安」「手続きが面倒くさい」といった理由から、承諾を渋る地主も少なくありません。そこで、交渉をスムーズに進めるための切り札となるのが承諾料です。
承諾料という金銭的メリットを提示することで、新しい借地人に代わることによる将来的なリスクや手続きの手間を受け入れやすくなるため、地主から承諾を得られやすくなります。承諾料の相場は、借地権価格の10%程度が目安です。、地主の不安や警戒心を和らげられるよう、誠実に話し合いを進めることが大切です。
借地非訟を利用する
地主が交渉に応じてくれない場合や法外な承諾料を請求された場合は、「借地非訟」という法的手続きの利用を検討してみましょう。
借地非訟とは、借地人と地主との間で借地をめぐるトラブル(借地権付き建物の売却を地主が承諾してくれないなど)が生じた際、裁判所が地主に代わって許可を出す法的手続きのことです。
裁判所は、借地人・地主・買主それぞれの事情を総合的に考慮して、代諾許可を出すかどうかを判断します。判断にあたっては、主に以下のような点が考慮されます。
- 借地人に承諾料を支払えるだけの資力があること(承諾料は借地権価格の約10%が目安となるケースがある)
- 売却によって地主が著しく不利益を受ける特段の事情がないこと
「地主が不利になるような特段の事情」に該当する具体的なケースは以下の通りです。
- 買い手が反社会的勢力の関係者である
- 買い手が経済的に困窮しており、継続して地代を支払える見込みがない
- 騒音・悪臭・振動などを伴う事業や、違法な活動・公序良俗に反する目的で土地を利用するおそれがある
買い手がこれらに該当しない一般的な個人や企業であり、借地人が承諾料を支払える状況であれば、代諾許可が下りる可能性は高いため、地主から承諾を得られない場合の有効な解決策となります。
ただし、借地非訟は買主が確定している状態でなければ申立てができません。事前に買主を見つけ、裁判所の代諾許可が下りることで売買契約の法的効力が発生する「停止条件付き売買契約」を締結してから裁判所に申し立てる必要があります。
専門の買取業者に相談する
どうしても地主からの承諾が得られない場合は、借地権付き建物の取り扱い経験が豊富な専門の買取業者に相談してみましょう。買取業者や提携の弁護士が介入することで、感情的な対立を避けつつ冷静に交渉を進めやすくなるため、地主からの承諾を得られる可能性が高まります。
実際にイエコンにも、「地主が譲渡承諾に応じてくれず、何年も売却できずに困っている」「地主との関係が悪化し、自分では交渉できない」といった相談が数多く寄せられています。
それでも地主からの承諾を得られない場合は、その買取業者と裁判所の代諾許可が下りることを条件とした「停止条件付き売買契約」を締結することで、借地非訟の申立てが可能になります。
専門の買取業者であれば、資金力や社会的信用が裁判所に認められやすいため、代諾許可をスムーズに勝ち取りやすくなります。
売れない借地権付き建物を放置し続けるリスク
借地権付き建物は買い手から敬遠されやすいため、売却が難航してしまいがちです。しかし、売れないからといって何もせずに放置し続けると、以下のようなリスクが伴います。
- 地代を払い続けなければならず、負担が増える
- 老朽化が進み、売却価格が大きく下がる
- 空き家化によって近隣トラブルに発展する可能性がある
- 相続を繰り返した結果、権利関係が複雑になる
ここからは、それぞれのリスクについて1つずつ詳しく解説していきます。
地代を払い続けなければならず負担が増える
売れない借地権付き建物を放置している間も、毎月地代の支払いが発生します。たとえ建物に誰も住んでいなくても、借地契約が継続している限り、地代の支払い義務から逃れられません。
毎月の地代は数千円から数万円程度であっても、建物がまったく売れず放置期間が数年単位に及べば、トータルでの支出は数十万~数百万円規模まで膨れ上がってしまいます。
また、借地権付き建物を所有している間は、毎年発生する固定資産税や、契約更新時に発生する更新料など、地代以外の費用負担も生じます。特に借地権付き建物を空き家として放置している場合、これらの費用は借地人にとって大きな負担となるでしょう。
実際に、イエコンにも「毎月の地代負担が大きく、家計を圧迫している」というご相談が多く寄せられています。
父が亡くなり、実家である借地権付き建物を単独で相続しました。私はすでにマイホームを持っていて実家は空き家となっているため、早急に手放したいと思っているのですが、なかなか買い手が現れません。住宅ローンの返済に加え、毎月の地代や固定資産税の負担が重くのしかかり、精神的にも金銭的にも追い詰められています。
借地権付き建物を放置すればするほど、金銭的負担は膨らむ一方であるため、借地権付き建物が不要な場合は自身の状況に適した売却方法を選択し、早急に手続きを進めることが大切です。
老朽化が進み、売却価格が大きく下がる
売れない借地権付き建物を放置すると、老朽化がさらに進み、売却価格が大きく下がる原因にもなります。建物は、時間の経過によって徐々に老朽化が進みます。特に誰も住んでいない建物は、日常的な清掃や換気、通水、壊れた箇所の修繕などが行われないため、カビやシロアリ、木材腐食が発生しやすいです。
建物の売却価格は、築年数や建物のコンディションなどによって大きく左右されます。老朽化が進んだ建物は、建物としての資産価値が低くなるうえ、修繕やリフォーム、建替えなどの費用もかさむため、買い手からは購入を敬遠されてしまいがちです。
そのため、老朽化によって需要がさらに低下してしまうことから、どうしても売却価格は大幅に下げざるを得なくなります。実際に、「家の老朽化が進んでおり、大幅に値下げしても買い手が見つからない」というご相談は多いです。
父が亡くなり、借地権付き建物を相続しました。それから10年後に建物を売却しようと試みましたが、空き家としての放置期間が長かったこともあり、老朽化がかなり進行している状態でした。買い手からは「雨漏りやヒビ割れがひどく、このままでは住めない」「解体費やリフォーム費用がかかり過ぎる」と敬遠され、当初予定していた価格の半額以下に値下げしても未だ買い手が見つからない状況です。こんなことになるなら、相続してからすぐ売却すれば良かったと後悔しています。
ただでさえ借地権付き建物は売れにくく、売却価格も市場価格を大幅に下回ります。長期間放置して老朽化が進むと、さらに建物の資産価値が目減りし、タダ同然でも買い手がつかなくなってしまう恐れもあります。
また、建物の老朽化が著しく進み「朽廃した建物」と判断される状態になると、契約内容や状況によっては建物買取請求権を行使できなくなる可能性があります。建物買取請求権を利用できなければ、契約終了時に地主から更地での返還を求められた際、自らの費用で建物を解体・撤去しなければなりません。
建物の解体費用は建物の構造や規模によって異なりますが、一般的な戸建てでも100万~300万円程度かかるケースは珍しくなく、条件によってはさらに高額になることもあります。売却できないまま高額な解体費用まで自己負担となれば、経済的な負担はさらに大きくなるでしょう。
上記の理由から見ても、不要な借地権付き建物は、資産価値が残っているうちに売却や活用方法を検討することが重要です。
空き家化によって近隣トラブルに発展する可能性がある
前述のとおり、空き家は管理が行き届かなくなると、老朽化による建物の崩壊や外壁の剥落、害虫・害獣の発生、庭木や雑草の繁茂による境界侵入、不法投棄、放火など、さまざまな問題を引き起こす原因となります。
これらの問題は、近隣住民からの苦情や関係悪化に直結します。もし建物の倒壊や突風による屋根の飛散などによって通行人や近隣住民をケガ・死亡させたり、隣家を破損させたりした場合には、建物の所有者である借地人が損害賠償責任を負うことになるのです。
イエコンにも、「放置していた実家について近隣住民から苦情が入り、対応に苦慮している」というご相談が多く寄せられています。
母が住んでいた実家を相続しましたが、そのまま空き家として放置していました。私は遠方に住んでいることもあり、空き家の管理がまったくできない状態でした。ある日、近隣住民から「台風の日に屋根瓦が落ちてきた」「庭の木や雑草が伸び放題で虫が大量発生している」と役所を通じて苦情が入りました。地主からも厳しい口調で対応を迫られていますが、空き家を手入れするための時間がなかなか取れず、精神的に参っている状態です。
放置された空き家は近隣住民や地主との関係悪化を招き、法的責任や精神的な損害にまで波及する恐れがあるため、適切に管理できない場合は早急に売却手続きを行うことが大切です。
相続を繰り返した結果、権利関係が複雑になる
借地人が死亡すると、借地権や建物は原則として法定相続人に引き継がれます。法定相続人が複数いる場合は、相続が発生した時点で借地権や建物は相続人全員の共有状態となります。
その後、遺産分割協議を行わずに放置したり、話し合いがまとまらず法定相続分のまま共有登記をしたりすると、共有状態が固定化されて権利関係が複雑化してしまいます。共有名義になった場合、共有者間で以下のようなトラブルのリスクが生じます。
- 共有者全員の同意が得られず、売却や建替え、リフォームなどができない
- 地代や固定資産税などの費用負担を巡って揉めたり、一部の共有者が支払いを拒否したりする
特に、元々地主との権利関係が存在する借地権付きの建物では、地主側でも相続による権利の細分化が生じるため、通常物件よりも権利関係が複雑化しやすい特徴があります。このまま相続が繰り返されれば、雪だるま式に権利関係者が増加する一方です。
権利関係が複雑になるほど、地主や共有者との権利調整が難航しやすいため、売却のハードルがさらに高まります。相続が繰り返されることによって、地主や共有者同士の関係も希薄になっていくため、話し合いや連絡すらできないといった事態も招きかねません。
実際に「相続で権利関係が複雑になってしまい、地主や共有者から売却の承諾を得られず困っている」というご相談が多く寄せられています。
母が所有していた借地権付き建物を相続しましたが、この建物は祖父の代から共有名義となっており、相続した時点で共有者は10人以上に膨れ上がっていました。共有者の中には一度も会ったことがない親族もおり、地主ともまったく面識はありません。私は建物の売却を希望しているのですが、連絡先や住所が分からない共有者がいて話し合いができず、売却ができないまま3年以上経過してしまいました。
借地権付き建物の問題は、放置すればするほど深刻化する一方です。将来的には大切な子どもや孫に多大な負担を押し付けることにもなりかねないため、できれば自分の代で権利関係を早急に解消しておくべきです。
まとめ
借地権付き建物は、「売却や建替えのたびに地主の承諾が必要」「借地契約を更新できるか不安」「住宅ローンが利用しにくい」など、さまざまな制約やリスクを抱えているため、一般の買い手からは購入を敬遠されやすいのが実情です。
しかし、地主であれば「完全所有権の建物・土地を取得し、複雑な権利関係を解消できる」というメリットがあるため、一般の買い手よりも好条件でスムーズに売却できる可能性があります。
底地との同時売却や等価交換であれば、借地権付き建物を一般的な完全所有権の建物として市場価格通りに売却することも可能です。ただし、どの売却方法であっても地主からの承諾や協力が必要になります。どうしても地主からの承諾や協力が得られない場合は、専門の買取業者へ相談してみましょう。