築古住宅はどれくらいの価格で売却できる?
築古住宅の売却にあたって、まず気になるのは売却価格です。「築古住宅は資産価値がない」という話を聞いたことがある人も多いでしょう。
築古住宅に明確な定義はありませんが、おおむね築30年を超えた物件を指すケースが一般的です。建物は年月とともに劣化するため、築年数が古いほど売却価格も下がります。
まずは築年数ごとにどれくらい価格が下落するのかを把握し、そのうえで「なるべく高く売る方法」を押さえましょう。
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戸建ては築31年から価格が半額程度になる
戸建ての場合、新築時点から年数ごとに売却価格は下がっていき、築31年以降だと半額程度になります。
首都圏の「築年数別の中古戸建て住宅の平均売却価格」では、築0~5年の平均価格が4,000万円なのに対して、築31年~は2,000万円まで落ち込みます。
このデータは建物と土地を合わせた価格ですが、土地の資産価値はあまり変動しない点を踏まえる必要があります。つまり、下落した価格のほとんどは建物部分の資産価値ということです。
あくまで市場全体の傾向ですが、建物部分だけでいえば築31年以降は資産価値がほぼなくなってしまうといえます。
参照:「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年) 図表7-1 中古戸建住宅の築年帯別平均価格」(公益財団法人 東日本不動産流通機構)
築古マンションは築26年から価格が1/3程度になる
築古マンションも築年数ごとに売却価格が低下し、築26年以降に1/3程度まで下がります。
首都圏における中古マンション市場では、築0~5年の平均価格が約6,000万円なのに対して、築26~30年で約2,000万円となり、その後は横ばいです。
戸建てより早く値下がりしますが、マンションだと土地の価値はあまり考慮されず、売却価格は建物部分によるところが大きくなります。
建物部分の低下率だけでいえば、下げ止まってから横ばいとなるマンションのほうが、価値は残るといえるでしょう。
参照:「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年) 図表6-1 中古マンションの築年帯別平均価格」(公益財団法人 東日本不動産流通機構)
「築古住宅は資産価値がないから売れない」とは限らない
不動産知識として「築古住宅は資産価値がゼロになる」とよくいわれますが、これには法定耐用年数が関係しています。
[box class="box26" title="法定耐用年数とは?"]税法上、建物などの資産がいつまで使用できるか定めたもの。[/box]
建物の構造や使用目的ごとに「利用に耐える年数」を定めたもので、一般的な木造住宅の場合は22年、マンションで一般的な鉄筋コンクリート造なら47年が法定耐用年数です。
住宅用の建物の耐用年数
構造 |
耐用年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造のもの |
47年 |
れんが造、石造又はブロック造のもの |
38年 |
金属造のもの(厚み4mm超) |
34年 |
金属造のもの(厚み3mm超4mm以下) |
27年 |
金属造のもの(厚み3mm以下) |
27年 |
木造又は合成樹脂造のもの |
22年 |
参照:「減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一 機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表」(e-Govポータル)
しかし、法定耐用年数は本来、税金の計算などに用いられる基準であり、実際の耐久性(物理的にどれだけ長持ちするか)とは異なります。
そのため、法定耐用年数が過ぎていても買主さえいれば売買は可能です。
需要は下がりますが、築古住宅の取り扱いに慣れた不動産会社へ相談することで、法定耐用年数が過ぎた物件でも売却できる可能性があります。
築古住宅の売却価格を調べる方法
築古住宅の価格相場は、築年数が古いほど売却価格も下がる傾向にありますが、どれくらい価格が下落するのでしょうか。
築古物件の売却価格を知りたい場合、以下の方法を用いて自分で調べるのもおすすめです。
- 地域別の不動産相場を調べる
- 「一括査定」を使って不動産会社を比較する
それぞれの方法を順番に解説していきます。
安く買い叩かれないためには地域別の不動産相場を調べよう
住宅の売却価格は地域の需要に大きく左右されるため、適正な売却価格を把握するには地域の不動産相場を調べることが大切です。
不動産ポータルサイトや不動産情報誌を見て、築年数や立地、面積など、自分の物件と条件が近い物件を探してみましょう。
また、下記のWebサイトでは「過去に売買が成立した不動産取引」の情報を調べられます。実際に不動産が売れた価格を調べられるので、リアルな不動産相場を調査できます。
参照:「REINS Market Information」(全国指定流通機構連絡協議会)
参照:「不動産取引価格情報検索」(国土交通省)
高く売るには「一括査定」を使って不動産会社を比較することが大切
築古物件の売却価格について解説しましたが、紹介したデータはあくまで平均値です。実際は高値で売れる物件もあれば、ほとんど価値なしで売られる物件もあります。
高値で売れる要因としてあげられるのは「立地のよさ」や「面積の広さ」などですが、じつは「不動産会社選び」も価格に大きく影響します。
不動産会社は各社で得意分野が違うため、同じ物件でも不動産会社を変えるだけで100万円、200万円と差が出ることもあるのです。
そのため、複数の不動産会社に査定してもらい、査定額の高いところを探すようにしましょう。そして、効率的に不動産会社を比較するには、オンラインの一括査定が便利です。
下記リンク先で提供している一括査定では、全国の優良不動産会社から最大6社を比較できます。築古住宅を専門とする不動産会社もあるので、平均値より高値で売るためにぜひ活用してください。
「価格」と「売却スピード」のどちらを重視するかで不動産会社も変えよう
築古住宅を売るにあたって、価格より売却までの期間を重視したい人もいると思います。そのような人は、依頼する不動産会社を「仲介業者」ではなく「買取業者」にしましょう。
仲介業者と買取業者の違い
仲介業者 |
物件の買主を探し、売買契約をサポートすることで仲介手数料を取る |
買取業者 |
物件を直接買い取り、転売などで利益を得る |
買取業者だと「買主を探す」という手間がないため、スピーディーに売却できる点がメリットです。
築古物件のように売れにくい物件でも積極的に買い取る業者が多く、相談から売却まで早ければ2日で完了できます。
ただし、転売などで利益を得るという仕組み上、仲介業者より価格は下がってしまう傾向にあります。
下記の記事では仲介業者と買取業者の違いを詳しく解説しているので、どちらにするか迷ったときは参考にしてください。
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築古の戸建てを売却する方法
築古住宅だと需要が下がるのは事実ですが、スムーズに買主を見つけるためのさまざまな工夫もあります。
築古の戸建てを売却する方法として代表的なのは、下記のとおりです。
- 住宅の損傷や劣化を調査してから売る
- 建物を解体してから売る
- リフォームをしてから売る
- 「古家付きの土地」として売る
なお、物件によってどの方法が向いているかは異なるため、まずは不動産会社に相談して、上記のコツをおこなうべきかアドバイスをもらうようにしましょう。
1.住宅の損傷や劣化を調査してから売る
築古住宅が売れない理由の1つは、どこにどんな損傷や劣化があるかわからない点にあります。購入後に損傷・劣化が発覚する恐れがあるため、買主側に不安が生まれるのです。
そこで、売主側であらかじめ住宅を調査し、劣化や損傷の有無を明確にしておけば、買主の不安をなくせます。
損傷・劣化を調べる方法としては、住宅診断(ホームインスペクション)があります。専門家が住宅をチェックし、建物の状態に異常がないか調べるものです。
将来的に必要となる改修やその時期、費用などもわかるため、買主も安心して購入できます。
参照:「住宅診断(ホームインスペクション)とは」(NPO法人 日本ホームインスペクターズ協会)
2.建物を解体してから売る
建物の劣化が激しく、倒壊の危険性さえあるような戸建ては、解体して更地にしたほうが売れやすくなる可能性があります。
ただし、住宅用地にかかる税金は、建物があると一律で軽減されています。建物があるだけで、土地の固定資産税は最大1/6、都市計画税は最大2/3になっているのです。
つまり、更地にすると軽減措置が外れ、土地の税額が大きく上がってしまうことになります。
高額の税金を負担しないためには、1月2日以降に解体し、年内に売却するとよいでしょう。土地の税金は「1月1日時点の状況」を基準に課税されるため、更地状態での課税を避けられます。
3.リフォームをしてから売る
資産価値を高める方法として、建物をリフォームするケースもあります。
配管や水回り、暖房などの設備面を変えて利便性を高めれば、築古住宅でも需要は上がります。
また、外壁塗装など外観をきれいにするだけでも、築古住宅のマイナスイメージをなくし、買主の購買意欲を高める効果があるでしょう。
ただし、際限なくリフォームをおこなうと、費用が1,000万円近くなる恐れもあります。あくまで売れやすくするためと割り切り、必要最低限のリフォームに留めることが重要です。
まずは売却を依頼する不動産会社に相談し、どこをどのようにリフォームすれば売れやすくなるか、どれくらい売却価格が高くなるかを聞くようにしましょう。
1981年以前の家なら「耐震補強工事」が重要
住宅が1981年以前に建てられている場合、耐震補強工事をしているかどうかが売却のポイントになります。
建物の耐震基準は1981年に改正されており、それ以前の建物は災害時の安全性が低いとされるのです。そのため、耐震補強工事がされていないと需要は著しく下がります。
耐震補強工事の費用は地域・物件によって異なりますが、木造の場合は100万円~150万未満の工事が多いとされます。
自治体によっては助成制度もあるため、耐震補強工事を検討する際は役所などに問い合わせてみましょう。
参照:「木造住宅の耐震改修の費用-耐震改修ってどのくらいかかるの?-」(一般財団法人 日本建築防災協会)
4.「古家付きの土地」として売る
解体やリフォームはせずに「古家付きの土地」として売り出す方法もあります。古家付きの土地として売り出す場合、建物の価値はないものとして、土地の値段のみで売買されます。
建物部分に価値をつけずに売るため、建物に問題があっても売主責任を問われません。解体やリフォームの費用もかからないため、手持ちの資金がなくてもスムーズに売却できます。
売却に持ち出し費用をかけたくない場合は、古家付き土地として売り出すことを検討してみましょう。
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築古マンションを売却する方法
築古マンションの場合、戸建てのように解体や古家付き土地としての売却はできないため、室内をいかに魅力的にするかが重要です。
室内の魅力を上げる方法として次の2つを紹介するので、可能な範囲でトライしてみましょう。
- リノベーションをしてから売る
- ホームステージングで部屋を魅力的に演出して売る
1.リノベーションをしてから売る
リノベーションは、物件に新しい価値を加えることをいいます。古い設備を入れ替えるだけでなく、デザインや機能性を付け加えることがポイントです。
扉や壁をなくして空間を広げたり、断熱効果の高い床材にするなど、工夫次第でさまざまな付加価値が生まれます。
ただし、戸建てのリフォームと同じく、リノベーションに費用をかけすぎて赤字にならないように注意しましょう。
2.ホームステージングで部屋を魅力的に演出して売る
ホームステージングとは、インテリアや照明などを工夫し、モデルルームのように室内を魅力的に見せる手法です。
なにもない空き部屋を見てもらうより、ライフスタイルを意識した家具を設置して「物件を購入した後の素晴らしい生活」をイメージさせるほうが、買主の購買意欲を刺激できます。
ホームステージングをすることで物件の売却期間が1/3になるというデータもあり、スピーディーな売却を実現できるでしょう。
参照:「ホームステージングとは」(一般社団法人 日本ホームステージング協会)
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まとめ
築古住宅は資産価値が下がり、築年数が古いほど売却が困難になります。
しかし、まったく売れないわけではなく、工夫次第でスピーディーかつ高値で売ることは可能です。
なるべく高値で売るためには、一括査定で複数の不動産会社を比較しましょう。各社で得意な物件に違いがあるため、査定額が100万円単位で変わることもあります。
築古住宅の取り扱い実績が豊富な不動産会社に依頼できれば、どんな築古住宅でも納得のいく売却ができるでしょう。
築古住宅の売却でよくある質問
築古住宅とは、築何年からを言いますか?
築古住宅に明確な定義はありませんが、おおむね築30年以上からとされています。
築年数が古い家の資産価値はどのくらいですか?
物件ごとによりますが、木造戸建ては20~25年程度で建物部分の価値がゼロになり、土地の価値のみで取引される傾向があります。一方、鉄筋コンクリート造のマンションだと、築47年時点で新築時の30%程度まで下がるのが一般的です。
法定耐用年数とはなんですか?
法定耐用年数とは、固定資産の構造や用途ごとに定められた、税法上の耐用年数です。あくまで会計処理に用いられる年数なので、実際に使用可能な年数ではありませんが、法定耐用年数を超えると市場価値が著しく下がります。
法定耐用年数を超えた住宅は売れなくなりますか?
法定耐用年数を超えても住めないわけではないので、売却は可能です。ただし、買主を見つけるのは難しくなるでしょう。
築古住宅を高く売却するためにはどうすればよいですか?
住宅診断で物件の劣化・損傷をあらかじめチェックしたり、リフォームやリノベーションで価値を高める方法などがあります。また、一括査定で複数の不動産会社を比較し、査定額の高いところに売却を依頼するとよいでしょう。→
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