
隣人と不動産の境界線が曖昧だと、勝手に物を置かれるなどといったトラブルが起きてしまうかもしれません。
実際に隣人とのトラブルを抱えてしまっている人は
・土地の境界線はどうなっているの?
・ブロック塀があれば境界線トラブルは起きない?
・境界線のトラブルを解決する方法を知りたい!
など、さまざまな疑問や悩みがあることでしょう。
この記事では「不動産境界線のトラブルに悩まされている人」のために、不動産専門家の観点から、あなたの疑問やお悩みを解消します。
具体的には
・「境界線」についての基礎知識
・境界線によって発生したトラブルを解決する方法
・境界線トラブルが発生した土地を売却するポイント2つ
など重要なポイントに絞って解説していきます。
この記事を読めば、不動産に生じる境界線トラブルを解消できるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、境界線トラブルがある不動産でも高く売却する方法もあわせて紹介しています。
土地の「境界線」には3種類ある
土地の隅を示す点のことを「境界点」といいます。土地の境界点が正確であれば、隣人とトラブルになることは少ないでしょう。
この境界点を示すために設置されているのが「境界標」です。境界標としてコンクリート杭や金属杭などが土地の隅に設置されていることが多いです。
境界点と別の境界点を結んだ線を「境界線」といい、土地の境界を示しています。
あまり知られていませんが、正確にいうと「境界線」には以下の2種類があります。
- 敷地境界線
- 隣地境界線
- 道路境界線
それぞれ自分の敷地の隣が道路か、
1.「敷地境界線」は敷地の外周を表す
敷地境界線は敷地の外周を表す線のことです。土地に線が引かれているわけではありません。
「敷地」は数ある土地の中の1種で、建物が建造されてのある土地のことを指します。
敷地は別の敷地「隣地」と隣接している場合が多いですが、道路と接している敷地もあります。
隣接している土地の種類によって、敷地境界線をさらに細かく細分化したものが、隣地境界線と道路境界線です。
次の項目では、それぞれの境界線の違いを解説します。
2.「隣地境界線」は隣の敷地との境界を示す
「隣地境界線」とは、敷地と敷地の境目を表す線のことで、自分の敷地と隣地の境目に存在します。
隣地境界線そのものは目で見えませんが、隣地境界線の上に塀や垣根などが設置されている場合が多いです。
ただし、境界標が必ず存在しているわけではなく、境界標のある場所が必ず境界点とは限りません。
3.「道路境界線」は敷地と道路との境界を示す
道路境界線は敷地と道路との境界を示す境界線です。
他の2つの境界線と同じように、物理的に確認できるわけではありません。
不動産売買に直接関係することは少なく、道路工事の際に用いられる境界線です。
道路の幅は、建築基準法で4m以上と決められています。
道路の幅が4mに満たない場合、隣接する敷地をセットバックして道路幅を確保しなければならず、その工事の際に用いられます。
土地の境界線の確認方法
「目に見えない境界線を、どのように確認すればよいのか?」気になる方は多いでしょう。
境界線トラブルの多くも、境界線の位置を確認していないために起こるトラブルです。
土地の境界線を確認する場合、基本的には「地積測量図」または「境界標」で確認できます。
地積測量図はどのようなものか、境界標の境界点について解説します。
地積測量図を取得して確認する
もっとも確実なのが「地積測量図」という書類を取得して境界線を確認する方法です。
地積測量図は土地の測量結果を明らかにし、道路や隣接地との境界が区分されている図面です。
地番・面積の計算・基準点の凡例などが記載されており、土地売買の時などに必要になります。
地積測量図は法務局や郵送、インターネットから取得でき、かかる費用は以下のとおりです。
- 法務局・郵送で取得する場合・・・手数料450円
- インターネットから取得する場合・・・手数料365円
ただし、地積測量図は作成時期によって精度に違いがあるため注意しましょう。
また、地積測量図はすべての土地に存在するわけではありません。地積測量図がない土地を売買する時には、事前に作成しましょう。
土地にある境界標を確認する
土地の角などに境界標が設置されている場合、隣地との境界を物理的に確認できます。
境界標は境界の点を表す目的で設置されており、境界標と境界標を結ぶ線が境界線となります。
境界標の種類は統一されておらず、コンクリート杭や金属杭、石杭など材質はさまざまです。
境界標に記されている刻印も十字・矢印・一字など多様で、種類によって境界点が異なります。
上の図は境界標の例です。刻印の種類によって境界点が異なるのがわかります。
境界標は不動性・永続性・視認性などの条件によって設置されています。土地をよく見ると色々な場所で境界標を確認できるので、見たことがある方も多いのではないでしょうか。
境界標で示された境界点と境界点を結んだ線が境界線です。地積測量図とは違い、法務局で取得する必要がないのでいつでも確認ができます。
ブロック塀がある土地でも境界線トラブルは発生する
隣地との境界を示すためにブロック塀が造られていることが多いです。「ブロック塀があれば隣人と境界線トラブルになることはない」と考えてしまいますが、実はそうではありません。
たとえば、ブロック塀が古くなったので修理したい時、隣人と共有で所有しているブロック塀であれば費用負担の面でトラブルになる事例もあります。
「古いブロック塀を取り壊したいので費用を半分負担して欲しい」と相談しても、隣人は「古くてもそのままでいい。取り壊すなら全額負担してくれ」とトラブルになることも珍しくありません。
また、新たにブロック塀を再構築する場合「共有でブロック塀を造るのか」「どちらかの土地に単独で造るのか」と塀を巡ったトラブルも考えられます。
次の項目から境界とブロック塀の関係について解説します。
ブロック塀が境界になるとは限らない
「ブロック塀=境界」とは限らず「隣地との間にあるブロック塀は境界」といったルールはありません。ブロック塀は人が設置したものです。
そのため、建設中に設置場所を誤り「ブロック塀が境界をはみ出していた」ということもあります。このことは土地の売買で地積測量図などを確認したことによって発見されることがあります。
ちなみに、土地には時効があり別の所有者がいることを知らずに使用していた場合は10年、知っていた場合は20年で時効取得が成立します。
時効取得される前に地積測量図や境界標ではっきりとした境界を確認するとよいでしょう。
隣地との境界上にブロック塀があるケース
ブロック塀には幅があり、境界上にブロック塀があることが多いです。
ブロックは幅があり境界線上にある場合は、境界をブロックの端と間違えないようにしましょう。
自分の敷地にのみブロック塀があるケース
自分の敷地にブロック塀がある場合は、ブロックの端が境界です。ブロックが存在する位置によって境界線が異なるので、敷地上・自分の敷地・隣人の敷地とブロックの位置をしっかりと把握することが大切です。
境界を間違えると登記簿などで記載されている公簿面積と、測量面積が異なります。都会になると僅かな面積の違いでも金額にすると数百万になることもあります。
相続で取得した土地などは、隣地所有者とブロック塀と境界の位置を確認しておきましょう。
境界線トラブルを避けるにはブロック塀の所有者を明確にすること
土地を売買する前にブロック塀の所有者が誰なのかはっきりしておくことが大切です。ブロック塀の所有者が単独の場合と共有の場合では、今後の修理や撤去などの取り扱いが異なります。
ブロック塀が単独所有であれば自由に取り壊したり建て直すことが可能です。
一方で、ブロック塀が隣人と共有の場合は、共有の持ち物なので取り壊しや建て直しは共有者の同意が必要です。費用はそれぞれが負担するため、費用を負担したくないなどの理由で隣人が取り壊しに応じないケースもあります。
また、取り壊した後にブロック塀を同じ場所に建て直す場合の費用は、各自が負担することになるでしょう。
建て直す時はブロック塀の位置をどちらかの敷地内・単独所有にすることでトラブルが発生する確率が減るかもしれません。
境界線のトラブルを解決する方法
よくある境界線トラブルは「境界標が移動していた」ケースです。境界標は一度杭を設置してしまえば移動することはほとんどありません。
しかし、その境界標が最初から間違った場所に設置されていたら今まで認識していた境界が違うことになります。
また、境界標が電柱やマンホールの近くに設置されている場合は「工事の際に間違って移動した」といったケースもでてきます。さらに境界標の位置は間違っていないが、境界点を示す方向が違う事例もあります。
境界線のトラブルは色々なことが原因で発生します。人為的な要因ではなく地震で境界標がずれることもあります。ここでは境界線のトラブルを解決する方法を解説します。
隣人と話し合って境界確認書を作成する
境界確認書は隣地との境界を明確にするための証明書です。境界確認書は測量後に隣人が立ち合い、お互いが納得した上で署名・押印がされます。
土地の境界が曖昧なままだと隣人とトラブルになる可能性がありますが、境界確認書があれば境界がはっきりしているのでトラブルを防げます。
境界の詳細を書面に残しているのでトラブル防止に効果的です。
筆界特定制度を利用して境界を決めてもらう
筆界特定制度は土地の筆界の位置を特定する制度です。一般的に土地は「筆界(ひっかい)」と「所有権界(しょゆうけんかい)」に区別されます。
筆界は法務局に登記されている地番と地番との境界のことです。
筆界特定制度は現地調査や測量などの結果をもとに、筆界特定登記官が筆界を特定していきます。地形・面積・境界標などさまざまな状況を総合的に判断されます。
筆界特定制度は隣接地所有者の協力が不要で、土地所有者の申請のみで実施できます。境界線トラブル裁判で争うよりも手間が少なく、裁判に比べ費用を抑えられ期間が短いというメリットがあります。
境界問題解決センターに相談する
境界問題解決センターは土地家屋調査士や法律の専門家である弁護士の両方に相談できます。専門的知識を活かしてさまざまなアドバイスを受けられ、問題解決が期待されます。
しかし、境界問題解決センターに相談しても裁判とは違うので、相手方に出頭義務はなく出頭されないと手続きがストップするデメリットがあります。
裁判所へ境界確定訴訟を起こして解決する
境界線のトラブルを最終的に解決するには境界確定訴訟の裁判になります。境界確定訴訟が認められれば裁判所が境界を特定してくれます。
境界確定訴訟では自分の主張の根拠となる資料や法的な主張が必要となってきます。法律の専門家の弁護士、中でも不動産問題に精通している弁護士に相談するとよいでしょう。
境界線トラブルがある土地を売却するポイント
境界線トラブルがある土地でも売却は可能です。ここでは境界線トラブルがある土地を売却するポイントについて解説します。
境界確認書を作成して境界を確定する
一般的に土地売買では買主から境界確認書の提出を求められます。境界確認書があれば境界線のトラブル防止に効果的なので、境界線トラブルを不安に感じる買主が多いといえます。
境界確認書の作成には費用が発生します。売買契約書で境界確認書の提出が必要になっている場合は別ですが、境界確認書の提出は必須ではありません。
境界確認書がなくても土地の登記はできるので、必要に応じて作成しておくとよいでしょう。
測量費用は譲渡費用として所得税から控除できる
境界線トラブルを抱えた土地を売却する場合、境界の確定や土地の大きさを把握するために、測量が必要になることが多いです。
土地を売却した後は確定申告が必要になりますが、土地の売却金額に所得税が課せられるのではなく、土地の売却金額から取得費や譲渡費用を差引いた金額に対して所得税が計算されます。
土地の売買に関して、売主が負担した測量費用は譲渡費用として、所得税を控除できるので領収書や請求書を保存しておきましょう。ただし、曖昧な境界をはっきりさせるための測量費用は譲渡費用にはならないので注意が必要です。
土地の売却に際して発生した測量費用と境界線トラブル防止の測量費用では内容が異なるので、税理士などの専門家に相談をしましょう。
権利関係を調整してくれる買取業者に売却する
「境界が曖昧な土地をトラブルなく売りたい」「境界線トラブルに発展してしまった土地を早く手放したい」などの場合、権利関係をスムーズに調整してくれる買取業者への売却も検討してみましょう。
大手不動産会社や一般物件をメインとして扱う買取業者では、土地の境界線トラブルなど複雑な権利関係を解消できないケースが多く、買取自体を拒否されてしまうこともあります。
一方で、権利関係を調整するノウハウを確立している買取業者であれば、相場に近い価格で買い取ってくれる可能性もあります。
数ある買取業者の中でも、トラブル物件のエキスパートが勢揃いした「クランピーリアル・エステート」は境界線トラブルを抱えている土地でもスムーズな買取を実現しています。
弁護士と提携した買取業者なら高確率で売却できる
当社クランピーリアル・エステートでは、境界線のトラブルを抱えた土地など権利関係が複雑な物件も積極的に買取しております。
全国800を超える弁護士・司法書士・税理士などの専門家とネットワークを形成しており、トラブルや法的な権利などを調整しながらスムーズに売却できることが強みです。
また、専門知識と経験を持ち合わせたスタッフも多数在籍しているため、高額査定・スピード買取が可能です。
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まとめ
隣人と紛争にならないことが理想ですが、土地の境界を巡ったトラブルは珍しくありません。
トラブルになった土地だからといって売却せずに放置してしまうと、維持管理し続けなければならず固定資産税などの費用もかかってしまいます。
仮に土地の境界でトラブルが発生したとしても「境界確認書」「筆界特定制度」などを利用することで問題を解決できるかもしれません。
境界線トラブルに発展した土地の売却や処分に悩みがある場合は、専門業者にまずは相談しましょう。