相続した土地は3年以内の売却で節税!税計算と軽減制度を解説

相続 土地 3年以内 売却

土地を相続したものの、自分で住むこともだれかに貸すこともせず、持て余している人は少なくありません。

しかし、相続した土地の放置はあまりおすすめできません。維持費がかかるというデメリットもありますが、加えて「相続した土地の売却で節税できる特例」の期限を、見過ごしてしまう可能性もあるからです。

相続した土地は、3年以内に売却すれば税金の面でお得なのです。

相続した土地の売却を考えるときは、2つの特例を検討して税金を安く抑えましょう。

また、特例の期限が迫っている場合は、すぐに売却できる買取業者への相談がおすすめです。買取業者なら最短48時間での現金化も可能なので、節税の特例を逃すことも防げるでしょう。

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「相続した土地」を売却するときの基本的な税計算

土地を売却したときは、譲渡所得(売却不動産の取得費)に対して税金が課されます。譲渡所得と税金の計算式は次のとおりで、相続した土地を売却するときも同じ計算式を使います。

売却価格-(売却不動産の取得費+売却のための必要経費)- 特別控除額=譲渡所得
譲渡所得×税率=課税額

土地売却で得られた代金から「売却不動産の取得費」と「売却のための必要経費」を差し引いた金額(譲渡所得)に、所有期間によって決まる税率をかけて計算します。

「取得費となるもの」や「譲渡費用となるもの」の具体例は国税庁のホームページで紹介されているので、そちらを参照しましょう。

参照:国税庁「取得費となるもの」

参照:国税庁「譲渡費用となるもの」

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税率は「不動産の所有期間」で決まる

譲渡所得に対する税率は、土地の所有期間によって2つにわけられます。

土地を売却した年の1月1日時点に、土地の所有期間が5年超だった場合は「長期譲渡所得」となり、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。

また、譲渡所得にかかる税金の内訳は譲渡所得税、復興特別所得税※、住民税の3種類があるので、覚えておきましょう。

※復興特別所得税・・・東日本大震災の復興財源として創設され、2037年まで課税される。譲渡所得税の税額に2.1%をかけて算出する。

以上を踏まえてまとめると、譲渡所得にかかる税金の税率は次のとおりです。

譲渡所得税の税率 復興特別所得税の税率 住民税の税率
長期譲渡所得 15% 譲渡所得税の2.1% 5%
短期譲渡所得 30% 譲渡所得税の2.1% 9%

土地売却における最終的な課税額を計算したいときは、上記の税率をあわせて計算するとよいでしょう。

・長期譲渡所得の場合
15+(15×2.1)+5=税率20.315%
譲渡所得×20.315%=課税額
・短期譲渡所得の場合
30+(30×2.1)+9=税率39.63%
譲渡所得×39.63%=課税額

参照:国税庁「長期譲渡所得の税額の計算」

参照:国税庁「短期譲渡所得の税額の計算」

「相続した土地」の取得費用や取得期間は引き継がれる

譲渡所得を計算するときの取得費は、土地を購入したときの代金と、手数料などその他経費を合計したものです。

そして、相続した土地を売却する場合、取得費は被相続人が購入したときのものを引き継ぎます。

また、取得時期についても同様で、被相続人が取得した時期をそのまま引き継いであてはめます。

例えば、父親が「2011年に3,000万円で購入した土地」を息子が相続し、2021年に売るとします。
その場合、取得期間は2011年から起算するので10年間、取得費用は3,000万円として、課税額の計算にあてはめます。

ただし、先祖代々の土地で取得費がわからない場合、取得費を売却価格の5%として申告できます。また、取得費が売却価格の5%相当額を下回る場合も同様です。

参照:国税庁「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」

参照:国税庁「取得費が分からないとき」

「相続した土地」を3年以内に売却すると節税できる2つの特例

売地

相続した土地を売却するときの基本的な税計算を解説しましたが、税制度には税負担を軽減できるさまざま特例があります。

とくに、下記2つの特例は、相続した土地の売却において忘れず活用すべきといえます。

  • 1.相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
  • 2.被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

上記の2つは、相続後3年以内に土地を売ったとき税金が安くなる制度です。

ただし、期間をどの時点からカウントするかはそれぞれ異なるので注意しましょう。

特例を使える期間の起算日も含めて、詳しく解説していきます。

1.相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」は、譲渡所得の計算時、贈与税を取得費に加算できる制度です。

相続してからすぐに土地を売ると、売主は短期間のうちに相続税と譲渡所得税の両方を支払うことになってしまいます。

そこで、土地の相続時に納めた相続税を取得費に加えられるようにし、売主(相続人)の税負担を減らせるようにしたのがこの特例です。

取得費が加算されるので譲渡所得が低くなるため、結果的に課税額も安くなります。

取得費加算の仕組み

ただし、あくまでも支払った相続税の一部が控除額になるだけなので、後の項目で解説する「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」のように大きな金額が控除されることは稀です。

参照:国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

「相続税の申告期限から3年以内」の売却が要件

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」の要件に「その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却していること」というのがあります。

つまり、相続税の申告期限から3年以内に土地を売却しなければいけません。

相続税の申告期限は相続開始日から10カ月以内なので、取得費の特例を利用する場合、相続開始日から起算して3年10カ月以内が売却の期限です。

相続税の申告期限と売却期限

売ろうか迷っているうちに3年を過ぎてしまうと、節税の機会を逃すことになるので気をつけましょう。

申請に必要な書類

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例を利用する場合、確定申告をするときに下記の書類を提出しなければいけません。

  • 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
  • 相続税の申告書の写し

相続の時点では売却するつもりがなくても、その後3年以内に売却するかもしれません。スムーズに「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を利用できるよう、相続税申告に関する書類は大切に保管しておきましょう。

取得費に加算できる相続税の算出方法

取得費に加算できる相続税の金額は次の計算式で求められます。

加算される相続税の算出方法

「相続税の課税対象となるすべての相続財産額」とは、相続した土地の価格だけでなく、預貯金や株券、車や宝石など相続税の課税対象となったすべての財産の合計額を指します。「債務控除」は被相続人による金融機関からの借入金や未払いの医療費です。

「支払った相続税額」は、売主本人が相続時に支払った相続税の総額です。

具体的な節税額

例として、次の場合にどのくらいの相続税が取得費として加算できるのか計算してみます。

加算される相続税の計算例

通常の取得費に相続税の一部である30万円が加算できることがわかりました。

つまり、譲渡所得を求める計算式は次のようになります。

譲渡所得=土地の売却価格-(通常の取得費+30万円+譲渡費用)

実際にどれくらいの節税ができるのか、所有期間別に節税できる金額を計算してみましょう。

・所有期間が5年以下(短期譲渡所得)の場合
30万円×39.63%=11万8890円
・所有期間が5年超え(長期譲渡所得)の場合
30万円×20.315%=6万945円

つまり、加算額が30万円のとき、土地所有期間が5年以下の場合は特例によって約12万円の節税、土地所有期間が5年を超えた場合は約6万円の節税になるということです。

また、売却を先延ばしにすると譲渡所得税が増えるだけでなく、所有している年数だけ固定資産税も支払わなければなりません。

土地を使用する見込みがなく、少しでも税金を節約したい場合は、3年以内に売却してしまうのが最善策といえるでしょう。

2.被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

親が亡くなり家を相続したときに「更地にして売却してしまいたい」と考えている人もいるでしょう。

そのような場合に譲渡所得税を節税できる制度が「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」です。

この特例は、被相続人が住んでいた家(空き家)を売ったときに適用されますが、空き家を解体して更地にした場合でも同じように適用されます。

適用されると譲渡所得から最高で3,000万円が控除されます。譲渡所得が3,000万円以内の場合は、税金は課税されなくなります。

・計算例
土地の売却金額4,200万円-(取得費1000万円+譲渡費用200万円)=譲渡所得3,000万円
譲渡所得3,000万円-控除額3,000万円=0円(課税なし)

対象となる土地は、相続直前に被相続人のマイホーム用として使用されていた土地で、売却金額が1億円以下のものです。

参照:国税庁「3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

「相続開始日から3年を経過する年の末日」が適用期間

「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用するには、相続開始日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに土地を売らなければいけません。

3000万円控除の期限

ただし、注意しなければならないのは、相続から売却するまでの間に事業や貸付用として使用された土地や、新たに建物などが建築された土地は特例の対象外となってしまうということです。

そのため、特例を受けようと考えている場合は「未使用の更地」として誰にも貸付せずに土地を保有しておきましょう。

2つの特例は併用できない

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」と「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を紹介しましたが、この2つは併用できないので注意しましょう。

ただし、軽減できる金額が贈与税だけである「取得費の特例」より、3,000万円まで軽減できる「居住用財産を売ったときの特例」のほうが、基本的に節税効果は高くなります。

そのため、相続した空き家を解体して更地にした人はまず「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を検討し、適用外だった場合のみ「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を申請するとよいでしょう。

特例の期限が迫っている場合は「買取業者」がおすすめ!

「相続した土地の売却を検討しているが、もうすぐ特例の期限が過ぎてしまう」という状況の場合、いかに素早く土地を売却できるかが重要なポイントとなります。

一般的に、土地を仲介で売却しようとすると、買主が決まるまで数ヶ月かかります。売買契約の締結までに特例の期限が過ぎてしまえば、節税できる機会を見逃すことになります。

そのため、特例の期限が迫っている場合は買取業者に相談するのがおすすめです。買取業者なら、査定依頼から現金化まで数日間でおこなうスピード買取が可能なので、特例の期限が迫っていても大丈夫です。

弊社クランピーリアルエステートも、土地の専門買取業者として最短48時間での土地買取が可能です。全国の弁護士と提携を組んでいるため、相続問題などが起きている土地もトラブルなく買い取れます。

売却したい土地の特例期限が迫っている場合は、ぜひ無料査定を利用してご相談ください。

まとめ

相続した土地は、相続から3年以内であれば税金を軽減できる特例が2つあります。

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」は、相続税を取得費に加算することで、課税対象である譲渡所得を低くできます。特例を受けられるのは「相続税の申告期限の翌日から3年間」です。

一方の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」は、売却する土地を被相続人が住居用に使っていた場合、譲渡所得を最大3,000万円まで控除できます。特例を受けられるのは「相続開始日から3年を経過する年の末日」です。

どちらの制度も期限があるため、相続した土地の売却を検討している場合、なるべく早く売却することをおすすめします。

税金の特例を活用して、相続した土地をお得に売却しましょう。

相続した土地の売却についてよくある質問

相続した土地を3年以内に売却すれば税金がかからないと聞きましたが、本当ですか?

必ずしも非課税になるとは限りませんが、軽減できる特例があります。相続税の申告期限(相続発生から10ヶ月後)の翌日から起算して3年以内の売却では「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」が、相続開始日から3年を経過する年の末日までの売却は「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」があります。

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」は、具体的にどんな制度ですか?

土地の相続時に支払った相続税を、譲渡所得を計算するときの「取得費」に加算できる制度です。譲渡所得を減らるので、土地売却で発生する税金を抑えられます。

「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」は、具体的にどんな制度ですか?

被相続人が住居用に使っていた土地を売却する場合、譲渡所得を最大3,000万円まで控除できる制度です。譲渡所得が3,000万円以下であれば、土地売却で発生する税金は非課税となります。

2つの特例は同時に利用できますか?

いいえ、2つの特例は併用できません。基本的に「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用したほうが節税できる金額は大きいので、まずは「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」の利用を検討し、適用条件を満たしていない場合は「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を検討してみましょう。

特例の期限が近づいていて、急いで売りたいのですが、どうすればよいですか?

仲介業者ではなく、不動産の買取業者に相談することをおすすめします。買取業者は直接買取をおこなうので、最短48時間のスピード買取が可能です。とくに、弁護士と連携している買取業者であれば、相続問題が起こっている土地でもトラブルなく買取できるのでおすすめです。→弁護士と連携した買取業者の無料査定窓口はこちら

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